(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のチューナモジュールと、前記チューナモジュールが前記螺合部材により取り付けられた金属シャーシと、前記チューナモジュール基板が接続される基板とを有する受信装置。
前記金属シャーシと前記板状部とが接触する面積が、円周状に形成された突部に比べて大きくなるように前記複数の突部が形成され、且つ、前記螺合部材に含まれるワッシャー部が前記複数の突部により略水平に支持される
請求項11に記載の受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態等について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
<2.第2の実施形態>
<3.変形例>
以下に説明する実施形態等は本開示の好適な具体例であり、本開示の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。
また、以下の説明では、図示が煩雑となることを防止するために、一部の構成のみに参照符号を付す場合や、一部の構成を簡略化して示す場合もある。また、断面図において断面を示すハッチングを適宜、省略する場合もある。
【0011】
<1.第1の実施形態>
「本開示に関連する技術について」
始めに、本開示の理解を容易とするために本開示に関連する技術について説明する。なお、以下の説明では、テレビジョン装置の基板(以下、受信基板と適宜、称する)に接続されるチューナモジュールを例にして説明する。
【0012】
図1A〜
図1Cは、受信基板に接続されたチューナモジュールを模式的に示したものである。
図1Aにおけるチューナモジュール1aは、のDVB−T(Digital Video Broadcasting-Terrestrial)2規格に対応する2回路(デュアル)のチューナモジュールである。
図1Bにおけるチューナモジュール1bは、DVB−T2規格に対応する1回路のチューナモジュールである。
図1Cにおけるチューナモジュール1cは、DVB−T規格に対応するチューナモジュールである。
【0013】
図1Aにおける受信基板2aは、DVB−T2規格に対応する放送信号を処理するための回路(2入力に対応する回路)が搭載された基板である。
図1Bにおける受信基板2bは、DVB−T2規格に対応する放送信号を処理するための回路(1入力に対応する回路)が搭載された基板である。
図1Cにおける受信基板2cは、DVB−T規格に対応する放送信号を処理するための回路が搭載された基板である。受信基板2a〜2cは、一般的に、テレビジョン装置のディスプレイの裏側に設けられている。上述したように、各受信基板に対して対応するチューナモジュールが半田付けにより取り付けられる。
【0014】
近年の受信基板では、受信基板に搭載されているSoC(System on Chip)と呼ばれるIC(Integrated Circuit)によってデジタル信号処理が行われ、受信機能の切り替えはソフトウェアによる制御によって行われる。ところで、チューナモジュールに内蔵される選局回路部分は例えば国別、地域別によって異なる周波数の割り当てに対応する目的や、1回路受信と2回路受信のように、仕様のバリエーション等で異なったモデルにならざるを得ないので、チューナモジュール別に使い分けがなされる。すなわち、同一のSoCを用いた同じ回路構成ながら、搭載するチューナモジュールの種類と同じ受信基板の種類(本例では3種類)が必要になってしまう。
【0015】
そこで、本実施形態では、以下に説明する接続方法を用いてチューナモジュールを受信基板に電気的に接続する。本実施形態における接続方法を、
図2を参照して説明する。
図2におけるチューナモジュール3aは、DVB−T2規格に対応する3回路のチューナモジュールである。チューナモジュール3b、3cは、DVB−T2規格に対応する1回路のチューナモジュールである。但し、チューナモジュール3b、3cは、それぞれのバージョンの番号が異なるものであり、同一の外形でありながら内部の構成が異なるものである。チューナモジュール3dは、DVB−Tに対応する1回路のチューナモジュールである。
【0016】
チューナモジュール3aは、金属製のケース体4aを有している。ケース体4aの内部には、チューナ機能部が形成されたチューナモジュール基板が収納されている。ケース体4aの外部には、チューナモジュール基板の端子部5aが露出している。また、ケース体4aの端部(例えば、端子部5aが露出する箇所の近傍の箇所)には、ネジ止め部6aが設けられている。同様に、チューナモジュール3bは、ケース体4bを有している。ケース体4bの外部には、チューナモジュール基板の端子部5bが露出しており、ケース体4bの端部には、ネジ止め部6bが設けられている。チューナモジュール3cは、ケース体4cを有している。ケース体4cの外部には、チューナモジュール基板の端子部5cが露出しており、ケース体4cの端部には、ネジ止め部6cが設けられている。チューナモジュール3dは、ケース体4dを有している。ケース体4dの外部には、チューナモジュール基板の端子部5dが露出しており、ケース体4dの端部には、ネジ止め部6dが設けられている。
【0017】
受信基板7は、コネクタ7aとSoC7bとを有している。コネクタ7aとSoC7bとが図示しない回路パターンにより電気的に接続されている。例えば、基板の端子部5a、5b、5c及び5dの構成を共通化し、各端子部をコネクタ7aに接続可能とする。これにより複数種類のチューナモジュールを共通の受信基板7に接続することができる。なお、コネクタ7aに対する取り付けのみでは、半田付けによる取り付けに比べて取り付けの強度が不足するおそれがある。そこで、ネジ止め部6aを使用してチューナモジュール3aを受信基板7に対してネジ止めし、取り付けの強度を補うようにしている。他のチューナモジュール3b等についても同様である。
【0018】
以上の接続方法を用いることで、多くの利点が得られる。例えば、半田付け工程が不要になる。チューナモジュールの取り付けに用いられる半田付けの工程では、受信基板の穴部周辺に半田を印刷等で塗布した後に高温のリフロー炉を通過させる等の特別な設備が必要となる。しかしながら、本接続方法は、端子部をコネクタに挿入し、チューナモジュールを受信基板にネジ止めすればよく、簡便な方法である。
【0019】
他の利点として複数のバリエーションの受信基板が不要になる点が挙げられる。すなわち、
図1に例示したように3種類の受信基板を用いる必要がなくなり、
図2に例示したように1つの受信基板に対して複数のチューナモジュールを取り付けることができる。このため、受信基板の開発の費用、時間、材料費等を大幅に節約できることができる。更に、開発時間及び製造設備が簡易化できることで、開発や製造に関わる人員に高いスキルが求められることもなく、また、施設・設備・工具が非常に簡便化できるので、ビジネスを遂行する上でのコストを削減することができる。
【0020】
以上、本開示に関連する技術について説明した。これらの技術を踏まえ、本開示の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
「チューナモジュールの構成例」
図3は、本開示の第1の実施形態に係るチューナモジュール(チューナモジュール10)を説明するための図である。チューナモジュール10は、受信装置の一例であるテレビジョン装置に取り付けられる。テレビジョン装置は、背面側に、受信基板20及び受信基板20が取り付けられる金属シャーシ30を有している。
図3では、チューナモジュール10がテレビジョン装置の受信基板20及び金属シャーシ30に取り付けられた状態が示されている。
【0022】
チューナモジュール10は、チューナ機能部が形成されたチューナモジュール基板11と、チューナモジュール基板11が収納され、シールドケースとしての機能を有するチューナケース12(ケース体)を有する。
【0023】
チューナケース12は、略箱型の収容空間を持つ構造に形成され、上面部TD及び底面部DDを有している。なお、上面部及び底面部との表現は説明の便宜上のものであり、上面部及び底面部がチューナモジュール10の使用状態において、上方及び下方にそれぞれ位置する必要はない。チューナケース12の上面部TDは、チューナモジュール基板11に実装されるIC等の点検をし易くするようにその一部が開口とされている。
【0024】
また、チューナケース12は、略箱型の縁部に形成され、チューナモジュール基板11とほぼ垂直な面を持つ側部SD1,SD2,SD3,SD4からなる略枠型の形状を有している。個々の側部SDに対応する面において、チューナモジュールの種類等に応じて孔部や突起、係止片等が適宜、設けられていてもよい。
【0025】
チューナモジュール10は、チューナケース12に固定され、中心電極(芯線)がチューナモジュール基板11に接続されるアンテナコネクタ13を有する。アンテナコネクタ13は概略、円柱形状をしており、例えば側部SD1側の面に対してかしめ加工により接続されている。
【0026】
側部SD2を構成する面には開口が形成されており、この開口を介して、チューナモジュール基板11の一部が側部SD2側からチューナケース12の外部に向かって露出している。チューナモジュール基板11が露出する箇所の端部付近に形成された端子部がチューナケース12の外部に位置している。この端子部が、
図3に示すように受信基板20に設けられたコネクタ21に接続される。上述したように、チューナモジュール10とは異なる他の種類のチューナモジュールも端子部を有しており、端子部がコネクタ21に接続可能とされている。異なる種類のチューナモジュールの端子部を、共通のコネクタ(本例ではコネクタ21)に接続できる構成により得られる利点については上述した通りである。
【0027】
チューナモジュール10は、第1板状部14と第2板状部15とを有している。第1板状部14は、例えば、側部SD1と反対側の側部SD3側からチューナケース12の外部に向かって延在している。第1板状部14は、例えば、側部SD3を構成する面を略90度折り曲げることにより形成される。第1板状部14は、螺合部材の一例であるネジが挿入される孔部14aを有している。
【0028】
第2板状部15は、例えば、側部SD1を構成する面の一部を略90度折り曲げることにより形成されており、チューナモジュール基板11の端子部近傍に配置されている。第2板状部15は、ネジが挿入される孔部15aを有している。チューナケース12を構成する上面部TD、底面部DD、側部SD1〜SD4、第1板状部14及び第2板状部15は、例えば、1つの板状の金属をプレス加工することにより形成される。
【0029】
受信基板20及び金属シャーシ30には、孔部14a、15aに対応してネジが挿入される孔部が形成されている。例えば、孔部15a、受信基板20に形成されている孔部15aに対応する孔部及び金属シャーシ30に形成されている孔部15aに対応する孔部にネジが螺合され、チューナケース12が受信基板20及び金属シャーシ30にネジ止めされる。このネジ止めは、上述したように、コネクタ接続の強度を補うためのネジ止めである。
【0030】
一方、孔部14a及び金属シャーシ30に形成されている孔部14aに対応する孔部にネジが螺合され、チューナケース12が金属シャーシ30に直接ネジ止めされる。ネジ止めは、例えば人手により行われるが、機械により自動で行われてもよい。なお、本実施形態では、孔部14a、15aに対して挿入される螺合部材は、共通(同一の形状)した螺合部材としている。これにより、螺合部材の選択ミスに起因してチューナモジュール10の取り付けに不具合が生じてしまうことを防止することができる。
【0031】
チューナケース12が金属シャーシ30に直接ネジ止めされることで機械的な固定と、グランド電位との電気的な接触とが行われる。機械的な固定についてはアンテナコネクタ13を正確に位置決めするために重要である。また、テレビジョン装置の金属シャーシ30は装置内で最も大きい金属部品である。このため、電気的に一様な電位を持つ安定した基準電位とすることができるので、通常、金属シャーシ30はグランド電位に接続される。金属シャーシ30に直接、ネジ止めされ接触するチューナケース12がチューナモジュール10の回路におけるグランド電位を取るように設計されることにより、チューナモジュール10の回路をテレビジョン装置の基準電位と共通のグランド電位をもって動作させることができる。
【0032】
「取り付け不良に伴う影響について」
ここで、チューナケース12が金属シャーシ30に適切に取り付けられていない取り付け不良の影響について説明する。金属シャーシ30に対するチューナケース12のネジ止めによる接続が不安定な場合には、チューナモジュール10の回路におけるグランド電位と、テレビジョン装置の回路におけるグランド電位とが異なるおそれがある。グランド電位が異なる場合、その電位差がノイズとしてテレビジョン装置やチューナモジュール10の回路に悪影響を及ぼしたり、不要な輻射ノイズを発生させる原因となる。
【0033】
このような取り付け不良が生じる原因の一つを
図4A及び
図4Bを参照して説明する。第2板状部15は、受信基板20及び金属シャーシ30に取り付けられる。これに対して、第1板状部14は、金属シャーシ30のみに取り付けられる。この段差を吸収するため、孔部14aの周縁にエンボス部41が設けられている。エンボス部41は、第1板状部14の底面(取り付け状態において金属シャーシ30側となる面)から上面に向かって凸となっており、その形状は、通常、
図4Aに示すような円周状である。
【0034】
図4Bは、螺合部材50によりチューナケース12が金属シャーシ30に取り付けられた状態を示す断面図である。本例における螺合部材50は、ネジ51と、スプリングワッシャー52と、ワッシャー53とを含むものである。本実施形態におけるネジ51としてはM3と呼ばれる規格に対応した大きさのネジを使用する。スプリングワッシャー52及びワッシャー53を、ワッシャー53を第1板状部14側にしてネジ51が螺合される。スプリングワッシャー52でネジ51とワッシャー53による接触圧を均一化し、ワッシャー53により孔部14aと金属シャーシ30の孔部31との間の位置ずれを吸収する。金属シャーシ30には、厚みを確保してネジ山を形成するためのバーリング加工が施されることでバーリング部32が形成されている。
【0035】
図4Bに示すように、第1板状部14と金属シャーシ30とが接触する接触部分は、孔部14aの外周に設けられたエンボス部41の更に外周部分になる。このため、ネジ51を螺合する際に作用する上向きの力によりバーリング部32がネジ51のネジ山に引っ張られてしまい、金属シャーシ30の一部が上方に塑性変形してしまう。塑性変形してしまった金属シャーシ30のバーリング部32ではネジ山に斜め方向の応力が掛かり、孔部14aの直径が大きくなったり、ネジ山がつぶれてネジ51が抜けてしまったりする不具合が生じる。
【0036】
また、ネジ51は金属シャーシ30の孔部31に固定されるので、金属シャーシ30及びチューナケース12のそれぞれの寸法公差、製造のばらつき等を考慮して孔部31の直径に比べて孔部14aの直径は大きく作られている。このため、第1板状部14と金属シャーシ30との接触面積が小さくなり易い中で、円周状のエンボス部41により更に接触面積が小さくなるため、金属シャーシ30の変形を抑制する力が作用しづらくなり金属シャーシ30が変形してしまうおそれが高くなる。
【0037】
「本実施形態に係るエンボス部について」
図5A及び
図5Bは、本実施形態に係るチューナモジュールにおけるエンボス部(エンボス部42)を説明するための図である。
図5Aは、エンボス部42の構成例を説明するための斜視図であり、
図5Bは、エンボス部42の構成例を説明するための上面図である。本実施形態に係るエンボス部42は、第1板状部14の孔部14aの周縁部に複数の突部が離隔して設けられた構成を有している。例えば、
図5Aに示すように、エンボス部42は、5つの突部(突部42a〜突部42e)が円周状に(円周上に沿って)設けられた花形の形状を成している。5つの突部42a〜突部42eは、第1板状部14の底面(取り付け状態において金属シャーシ30側となる面)から上面に向かって凸となっている。
【0038】
図6A及び
図6Bは、
図5Bにおける切断線XX−XXで切断した場合の断面を示す断面図である。本例における螺合部材としては、上述した螺合部材と同様に、ネジ51と、スプリングワッシャー52と、ワッシャー53とを含むものを使用している。
図6Bに示すように、エンボス部42の突部42a〜42eがワッシャー53に当接し、ネジ51の螺合時の応力(矢印方向AAに向かう方向の力)と下向きの応力(矢印方向BBに向かう方向の力)が均衡する。
【0039】
ここで、本実施形態に係るエンボス部42とワッシャー53とが接触する面積は、円周の全周にわたる突部からなるエンボス部41とワッシャー53とが接触する面積に比べて小さくなる。換言すれば、第1板状部14と金属シャーシ30とが接触する面積が増加する。例えば、
図6Aに示すように、例えば突部42cと突部42dとの間に位置する平坦部43が金属シャーシ30と接触する。他の突部間の平坦部についても同様である。これらの平坦部の面積分、第1板状部14と金属シャーシ30とが接触する面積が増加する。第1板状部14と金属シャーシ30とが接触する面積が増加することにより、ネジ51を螺合させる際に働く金属シャーシ30が上側に持ち上げられる力に対して抗する力(
図6B中矢印CCに向かう方向の力)が大きくなる。したがって、金属シャーシ30の変形を防止することができる。
【0040】
ネジ51の着脱を行った場合でも金属シャーシ30などの変形が無くなるので、異なる種類(形状)のチューナモジュールの取替えが容易となる。例えば、チューナモジュールが不良品であった場合でも簡単に交換ができるので、商品のサービス性を向上させることができる。また、設計段階でのチューナモジュールの交換も容易となるため、開発工数の短縮化を実現することができる。
【0041】
ところで、金属シャーシ30の孔部31の中心と第1板状部14の孔部14aの中心とがずれる場合がある。このずれは、一般にチューナケース12の公差及びチューナモジュール基板とチューナケース12の製造公差などに起因して生じる。特に異なるサイズのチューナモジュールを同一の受信基板に接続する態様を想定する場合には、孔部14aの大きさが一定程度、必要になる。
【0042】
このように、金属シャーシ30の孔部31の中心と第1板状部14の孔部14aの中心とがずれる場合でも、ネジ51を確実に取り付けられる。
図7Aは、金属シャーシ30の孔部31の中心と第1板状部14の孔部14aの中心とがずれた状態でネジ51が螺合された状態を示す図であり、
図7Bは、
図7Aにおける切断線XX1−XX1で切断した場合の断面を示す図である。
【0043】
図7Aに示すように、金属シャーシ30の孔部31の中心と第1板状部14の孔部14aの中心とがずれた状態でネジ51が螺合された場合でも、ワッシャー53が3点の支持ポイント(突部42a、突部42b及び突部42e)で支持されている。更に、
図7Bで示すように、ネジ51が取り付けられた状態でワッシャー53が略水平な状態を維持することができる。略水平な状態とは、水平な状態若しくは水平な状態からネジ51の着脱に支障がない程度、ワッシャー53が僅かに傾いている状態を意味する。この状態を維持することができれば、ワッシャー53の傾きに起因してネジ51の取り付け不良が生じてしまうことを防止することができる。
【0044】
図8及び
図9に示すように、ネジ51が螺合される箇所は、様々な方向にずれる可能性がある。
図8は、ネジ51が螺合される箇所が図面に向かって上側にずれた例を示す図であり、
図9は、ネジ51が螺合される箇所が図面に向かって下側にずれた例を示す図である。ネジ51が螺合される箇所がいずれの方向にずれた場合でも3点以上の突部によりワッシャー53を支持でき、ワッシャー53が略水平となる状態を維持できる。
【0045】
「第1の実施形態の変形例」
以上説明した第1の実施形態は、種々の変更が可能である。以下、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0046】
エンボス部42の構成は、適宜、変更可能である。エンボス部42は、例えば、
図10Aに示すように、孔部14aの周縁部に矩形状に設けられた4つの突部(突部44a〜44d)でもよい。また、エンボス部42は、
図10Bに示すように、孔部14aの周縁部に錐台(例えば四角錐台)状に設けられた3つの突部(突部45a〜45c)でもよい。すなわち、エンボス部42は、エンボス部41の構成に比べて第1板状部14と金属シャーシ30との接触面積を所定以上増加することができ、且つ、ネジ51を螺合させた状態でワッシャー53が略水平な状態になれば、適宜な形状を適用することができる。また、突部の形状に応じてワッシャー53の大きさを変えることも可能である。
【0047】
また、各突部は、孔部14aの周縁に接していなくてもよい。孔部14aの周縁部とは、孔部14aの周縁及びワッシャー53と接触する範囲で孔部14aの周縁に近接する箇所を含む意味である。
【0048】
チューナモジュール10におけるアンテナコネクタの数は適宜、変更することができる。例えば、
図11Aに示すようにチューナモジュール10のアンテナコネクタを2つのアンテナコネクタ13a、13bとしてもよいし、
図11Bに示すようにチューナモジュール10のアンテナコネクタを3つのアンテナコネクタ13c、13d、13eとしてもよい。また、チューナケース12の大きさが大きくなる場合には、
図11Bに示すように、チューナケース12の内側に第1板状部14を設けてもよい。例えば、チューナケース12内において側部SD2及び側部SD4を連結する連結部61を設け、連結部61から第1板状部14が延在してチューナケース12内に位置する構成でもよい。
【0049】
「効果」
本開示の第1の実施形態では、例えば、以下の効果が得られる。本実施形態によるネジ止め機構を用いたチューナモジュールを用いれば、金属シャーシの変形等に伴ってネジの固定部分が破壊されてしまうことを防止することができる。したがって、ネジの着脱を繰り返し行えるようになる。したがって、取り付け構造を共通にした複数タイプのチューナモジュールを容易に取替えることが可能となる。これにより、テレビジョン装置のバリエーションの変更が極めて容易になる。また、チューナモジュールの取り付けや交換の際に半田付けの工程が不要となるため、作業に係る費用、設備、工具の簡便化という効果が得られる。
【0050】
また、チューナモジュールは複数の回路を内蔵しているので、一般的に消費電力が大きくなり発熱する。しかしながら、本実施形態に係るチューナモジュールは、チューナケースを金属シャーシに直接固定する構成としたので、チューナモジュールを効率的に冷却することが可能となる。更に、チューナモジュールの電子回路の一部である、例えば選局用の局部発信器が発する発信信号の高調波が高周波ノイズとなるものの、その近傍にある金属シャーシとの接触点がグランドポイントとなって当該高周波ノイズを吸収し、不要輻射を低減することも可能となる。
【0051】
<2.第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。なお、特に断らない限り、第1の実施形態で説明した事項は第2の実施形態に適用することができる。
【0052】
アンテナの出力をテレビジョン受像機、パーソナルコンピュータ等の内部のチューナに供給するために使用され、同軸ケーブルの一端が接続される同軸コネクタとしてF型コネクタが知られている。F型コネクタは、主に日本や北米地域で使用されている。一方で、ヨーロッパ、東南アジア諸国、中東地域、アフリカでは、同軸コネクタとして主にIEC(International Electrotechnical Commission)コネクタと呼ばれる同軸コネクタが使用されている。第1の実施形態におけるチューナモジュール10のアンテナコネクタとして、F型コネクタまたはIECコネクタを適用することができる。アンテナコネクタとして、F型コネクタ及びIECコネクタを適用してもよい。例えば、チューナモジュール10が3つのアンテナコネクタを有する構成とし、そのうち2つのアンテナコネクタをF型コネクタとし、残りの1つのアンテナコネクタをIECコネクタとすることができる。
【0053】
「一般的なIECコネクタの構成例」
図12は、一般的なIECコネクタの内部構成例を示す断面図である。一般的なIECコネクタ100は、筒状の金属シェル101と、金属シェル101の内側に組み込まれる筒状の外部電極102と、内部電極(芯線)103と、外部電極102と内部電極103とを絶縁する絶縁体としての絶縁部104とを有している。金属シェル101をかしめることで形成されるかしめ部101aにより、絶縁部104が金属シェル101内に支持される。絶縁部104内には、内部電極103を収容する空間が形成されており、この空間に内部電極103が圧入されて固定される。内部電極103の一部が金属シェル101の外部に導出されている。
【0054】
上述したように絶縁部104は、金属シェル101のかしめ部101aにより固定されている。ところでこの絶縁部104は、熱等の影響により収縮する。絶縁部104の収縮に伴いかしめ部101aによる固定が緩くなり外部振動の影響で絶縁部104が振動する。外部振動としては、例えば、テレビジョン装置のスピーカから大音量が出力されたときのスピーカの振動が挙げられる。絶縁部104が振動することで、絶縁部104が金属シェル101とあたり異音が発生する。したがって、絶縁部104の振動を抑制し、異音の発生を低減することが望まれている。
【0055】
「本実施形態におけるIECコネクタの構成例」
図13〜
図15を参照して、第2の実施形態に係るIECコネクタ(IECコネクタ110)について説明する。
図13は、第2の実施形態に係るIECコネクタ110の内部構成例を示す断面図である。
図14は、第2の実施形態に係るIECコネクタ110の構成例を説明するための分解図である。
図15は、IECコネクタ110の内部構成の一部を拡大して示した部分拡大図である。
【0056】
IECコネクタ110の基本的な構成は、上述したIECコネクタ100と同じである。すなわち、IECコネクタ110は、外部ケースとして筒状の金属シェル111と、金属シェル111の内側に組み込まれる筒状の外部電極112(第1の電極)と、内部電極113(第2の電極)と、外部電極112と内部電極113とを絶縁する絶縁体としての絶縁部114とを有し、所謂4ピース構造と称される構造を有している。金属シェル111をかしめることで形成されるかしめ部111aにより、絶縁部114が金属シェル111内に支持される。かしめ部111aに対応して絶縁部114にはかしめ部114aが形成されている。絶縁部114内には、内部電極113を収容する空間が形成されており、この空間に内部電極113が圧入されて固定される。内部電極113の一部が金属シェル111の外部に導出されている。絶縁部114は、例えば樹脂により構成されている。
【0057】
図14に示すように、外部電極112は、筒状であり中空の基部112aを有している。基部112aは、内部空間の中央付近がやや狭くなるようにやや湾曲した形状を有している。基部112aの周面における中央付近には、複数の長穴112bが形成されている。外部電極112の端部(かしめ部111a側に位置する端部)には、内側に向かってやや屈曲し、弾性変形可能な弾性片112cが形成されている。例えば、外部電極112の円周状の端部に沿って略等間隔に複数(例えば、3〜5つ)の弾性片112cが形成されている。
【0058】
絶縁部114の外部電極112内への挿入時には弾性片112cがやや外側に弾性変形し、基部112aの一方の開放端が拡開された状態で絶縁部114が挿入される。絶縁部114は上述したように金属シェル111のかしめ部111aにより固定される。更に、弾性片112cの内側に向かう復元力により、
図15に示すように、絶縁部114は複数の弾性片112cにより支持(固定)される。したがって、かしめ部111aによる固定の強度が金属シェル111や絶縁部114の変形により低下した場合でも、絶縁部114が複数の弾性片112cにより所定位置で支持(挟持)された状態を維持できる。このため、絶縁部114と金属シェル111とが接触することによる異音の発生を防止することができる。以上説明した第2の実施形態に係るIECソケットを、第1の実施形態で説明したチューナモジュールのアンテナコネクタとして適用することができる。
【0059】
<3.変形例>
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。本発明は、第1及び第2の実施形態におけるチューナモジュールを有するテレビジョン装置等の受信装置として構成することも可能である。また、上述の実施の形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値などを用いてもよい。上述した実施形態及び変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0060】
本開示は、以下の構成も採ることができる。
(1)
チューナ機能部が形成されたチューナモジュール基板が収納されるケース体と、
前記ケース体に固定され、中心電極の端子部が前記チューナモジュール基板に接続される少なくとも1つのアンテナコネクタと
を有し、
前記ケース体は、螺合部材が挿入される孔部が形成された板状部を有し、
前記孔部の周縁部に複数の突部が離隔して設けられている
チューナモジュール。
(2)
前記螺合部材により、前記ケース体が受信装置の金属シャーシに取り付けられるように構成される
(1)に記載のチューナモジュール。
(3)
前記複数の突部が円周状または矩形状に設けられている
(1)または(2)に記載のチューナモジュール。
(4)
5つの前記突部が円周状に設けられている
(3)に記載のチューナモジュール。
(5)
前記ケース体は、上面部、底面部及び第1〜第4の側部を有する
(1)〜(4)のいずれかに記載のチューナモジュール。
(6)
前記第1の側部に前記アンテナコネクタが接続され、
前記第1の側部とは反対側の第3の側部側から、前記ケース体の外部に向かう方向に前記板状部が延在する
(5)に記載のチューナモジュール。
(7)
前記ケース体の内側に前記板状部が設けられている
(5)の記載のチューナモジュール。
(8)
前記チューナモジュール基板の端子部が前記第2の側部側から前記ケース体の外側に向かって露出する
(5)〜(7)のいずれかに記載のチューナモジュール。
(9)
前記ケース体は、前記螺合部材と共通の螺合部材が取り付け可能とされた孔部を有する他の板状部を有する
(1)〜(8)のいずれかに記載のチューナモジュール。
(10)
前記ケース体に接続される前記アンテナコネクタの数が1〜3のいずれかである
(1)〜(9)のいずれかに記載のチューナモジュール。
(11)
前記アンテナコネクタは、筒状の外部ケースと、前記外部ケースの内部に組み込まれている筒状の第1の電極と、前記第1の電極内に配される第2の電極と、前記第2の電極を支持するとともに、前記第1の電極と前記第2の電極とを絶縁する絶縁部とを有し、
前記絶縁体は、前記外部ケースと、前記第1の電極の一端側に設けられた複数の弾性片とにより支持される
(1)〜(10)のいずれかに記載のチューナモジュール。
(12)
(1)〜(11)のいずれかに記載のチューナモジュールと、前記チューナモジュールが前記螺合部材により取り付けられた金属シャーシと、前記チューナモジュール基板が接続される基板とを有する受信装置。
(13)
前記金属シャーシと前記板状部とが接触する面積が、円周状に形成された突部に比べて大きくなるように前記複数の突部が形成され、且つ、前記螺合部材に含まれるワッシャー部が前記複数の突部により略水平に支持される
(12)に記載の受信装置。