特許第6969907号(P6969907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6969907
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】電気接続箱、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20211111BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20211111BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H02G3/16
   B60R16/02 610A
   H05K7/06 C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-110178(P2017-110178)
(22)【出願日】2017年6月2日
(65)【公開番号】特開2018-207659(P2018-207659A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟崎 忠利
(72)【発明者】
【氏名】福田 知彦
(72)【発明者】
【氏名】早坂 拓馬
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−37920(JP,A)
【文献】 特開2007−300757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路部品を配置可能な複数の接点部を有する第1ブロックと、
前記第1ブロックに向かい合うように配置される第2ブロックであって、前記複数の接点部の一部又は全部において前記回路部品と電気的に接続されるバスバーを有する第2ブロックと、
を備えた電気接続箱であって、
前記バスバーは、互いに独立した複数のバスバーを含み、
前記複数のバスバーの各々が、複数の前記接点部と一又は複数の接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の前記接点部と他の前記接点部とを繋ぐ周回構造有する、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記第2ブロックは、
前記バスバーを支持するハウジングを有し、
前記ハウジングは、
前記複数の接点部のうちの前記バスバーと前記回路部品とが接続されない前記接点部に対応する箇所に、該ハウジングを貫通するように開口した貫通孔を有している、
電気接続箱。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電気接続箱において、
前記回路部品は、
ヒューズ、リレー及びヒュージブルリンクのうちの少なくとも一つである、
電気接続箱。
【請求項4】
電気接続箱と、前記電気接続箱と接続先回路とを繋ぐ電線部と、を備えたワイヤハーネスであって、
前記電気接続箱は、
回路部品を配置可能な複数の接点部を有する第1ブロックと、
前記第1ブロックに向かい合うように配置される第2ブロックであって、前記複数の接点部の一部又は全部において前記回路部品と電気的に接続されるバスバーを有する第2ブロックと、を備え、
前記バスバーは、互いに独立した複数のバスバーを含み、
前記複数のバスバーの各々が、複数の前記接点部と一又は複数の前記接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の前記接点部と他の前記接点部とを繋ぐ周回構造有し、
前記電線部は、
前記バスバーを介して前記接点部に間接的に繋がる電線を含む、
ワイヤハーネス。
【請求項5】
請求項4に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記第2ブロックは、
前記バスバーを支持するハウジングを有し、
前記ハウジングは、
前記複数の接点部のうちの前記バスバーと前記回路部品とが接続されない前記接点部に対応する箇所に、該ハウジングを貫通するように開口した貫通孔を有し、
前記電線部は、
前記貫通孔を通じて前記接点部に直接的に繋がる電線を更に含む、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱、及び、電気接続箱と電線部とを備えたワイヤハーネス、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多数の電線が集合するように接続される電気接続箱が提案されている。このような電気接続箱の一例として、車両用のリレーボックスが挙げられる。リレーボックスは、収納されたリレー等と車体の各所に配置されている接続先回路とを繋ぐべく、多数の電線を接続可能な構成を備えている。より具体的には、従来のリレーボックスの一つは、リレー等が収納されたケース本体をカバー(上面カバー、下面カバー及び側面カバー)によって覆い、カバーに設けられた開口部を通じて外部からケース本体に電線を接続させるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−174504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような構造を有する電気接続箱(例えば、リレーボックス)に対して接続された多数の電線には、通常、同じ接続先回路から異なるリレー等に接続される電線(いわゆるダブリ電線)、及び、一のリレー等と他のリレー等とを繋ぐ電線(いわゆるUターン電線)が含まれる。別の言い方をすると、電気接続箱に求められる性能・機能の向上に伴い、電気接続箱に対する電線の接続構造は、複雑化する傾向がある。
【0005】
そして、このような複雑化に起因し、電気接続箱と電線と接続する作業が煩雑となる。更に、電気接続箱の周辺に多量の電線が密集すると、そのような多量の電線を取り回すために電気接続箱の格納スペースが大型化する場合もある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気接続箱に対する電線の接続構造を簡易化させた電気接続箱、及び、そのような電気接続箱を用いたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る「電気接続箱」は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1)
回路部品を配置可能な複数の接点部を有する第1ブロックと、
前記第1ブロックに向かい合うように配置される第2ブロックであって、前記複数の接点部の一部又は全部において前記回路部品と電気的に接続されるバスバーを有する第2ブロックと、
を備えた電気接続箱であって、
前記バスバーは、互いに独立した複数のバスバーを含み、
前記複数のバスバーの各々が、複数の前記接点部と一又は複数の接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の前記接点部と他の前記接点部とを繋ぐ周回構造有する、
電気接続箱であること。
(2)
上記(1)に記載の電気接続箱において、
前記第2ブロックは、
前記バスバーを支持するハウジングを有し、
前記ハウジングは、
前記複数の接点部のうちの前記バスバーと前記回路部品とが接続されない前記接点部に対応する箇所に、該ハウジングを貫通するように開口した貫通孔を有している、
電気接続箱であること。
(3)
(1)又は上記(2)に記載の電気接続箱において、
前記回路部品は、
ヒューズ、リレー及びヒュージブルリンクのうちの少なくとも一つである、
電気接続箱であること。
【0008】
上記(1)の構成の電気接続箱によれば、回路部品(リレー等)を収納するための第1ブロックとは別に、第1ブロックと接続先回路との接続を補助するための第2ブロックが設けられている。より具体的には、第2ブロックが有する複数のバスバーの各々は、複数の接点部と一又は複数の接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の接点部と他の接点部とを繋ぐ周回構造有している。このような構造を有するバスバーにより、接続先回路と第1ブロックとの接続が中継されるようになっている。
【0009】
このような第2ブロックを設けることにより、多数の電線を一つ一つ第1ブロックに直接つなぐ場合に比べ、電気接続箱(第1ブロック)に対する電線の接続構造を簡易化できる。更に、電線の接続構造を簡易化できる分、電気接続箱の格納スペース(又は、電気接続箱そのものの大きさ)を小型化できる。
【0010】
上記(2)の構成の電気接続箱によれば、ハウジングに設けられた貫通孔を通じ、外部から第1ブロックに電線を直接的に繋ぐことができる。よって、第2ブロックのバスバーを介する必要がない電線(例えば、電気接続箱のリレー等と接続先回路とを一対一に繋ぐだけの電線)を選択的に第1ブロックと直接繋ぐことにより、第2ブロックの構造を単純化できる。
【0011】
上記(3)の構成の電気接続箱によれば、車両用の回路部品として一般に用いられるヒューズ、リレー及びヒュージブルリンクに対して、本発明の電気接続箱を適用できる。
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る「ワイヤハーネス」は、下記(4)及び(5)を特徴としている。
(4)
電気接続箱と、前記電気接続箱と接続先回路とを繋ぐ電線部と、を備えたワイヤハーネスであって、
前記電気接続箱は、
回路部品を配置可能な複数の接点部を有する第1ブロックと、
前記第1ブロックに向かい合うように配置される第2ブロックであって、前記複数の接点部の一部又は全部において前記回路部品と電気的に接続されるバスバーを有する第2ブロックと、を備え、
前記バスバーは、互いに独立した複数のバスバーを含み、
前記複数のバスバーの各々が、複数の前記接点部と一又は複数の前記接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の前記接点部と他の前記接点部とを繋ぐ周回構造有し、
前記電線部は、
前記バスバーを介して前記接点部に間接的に繋がる電線を含む、
ワイヤハーネスであること。
(5)
上記(4)に記載のワイヤハーネスにおいて、
前記第2ブロックは、
前記バスバーを支持するハウジングを有し、
前記ハウジングは、
前記複数の接点部のうちの前記バスバーと前記回路部品とが接続されない前記接点部に対応する箇所に、該ハウジングを貫通するように開口した貫通孔を有し、
前記電線部は、
前記貫通孔を通じて前記接点部に直接的に繋がる電線を更に含む、
ワイヤハーネスであること。
【0013】
上記(4)の構成のワイヤハーネスによれば、電気接続箱には、回路部品(リレー等)を収納するための第1ブロックとは別に、第1ブロックと接続先回路との接続を補助するための第2ブロックが設けられている。より具体的には、第2ブロックが有する複数のバスバーの各々は、複数の接点部と一又は複数の接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の接点部と他の接点部とを繋ぐ周回構造、の少なくとも一方を有している。このような構造を有するバスバーにより、接続先回路と第1ブロックとの接続が中継されるようになっている。
【0014】
このような第2ブロックを設けることより、多数の電線を一つ一つ第1ブロックに直接つなぐ場合に比べ、電気接続箱(第1ブロック)に対する電線の接続構造を簡易化できる。更に、電線の接続構造を簡易化できる分、電気接続箱の格納スペース(又は、電気接続箱そのものの大きさ)を小型化できる。したがって、本構成のワイヤハーネスによれば、電気接続箱に対する電線の接続構造を簡易化できる。
【0015】
上記(5)の構成のワイヤハーネスによれば、ハウジングに設けられた貫通孔を通じ、外部から第1ブロックに電線を直接的に繋ぐことができる。よって、第2ブロックのバスバーを介する必要がない電線(例えば、電気接続箱のリレー等と接続先回路とを一対一に繋ぐだけの電線)を選択的に第1ブロックと直接繋ぐことにより、第2ブロックの構造を単純化できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電気接続箱に対する電線の接続構造を簡易化させた電気接続箱、及び、そのような電気接続箱を用いたワイヤハーネスを提供できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電気接続箱を用いたワイヤハーネスの分解斜視図である。
図2図2は、図1に示したバスバープレート及び電線を下側からみた分解斜視図である。
図3図3(a)は、バスバー単体の斜視図であり、図3(b)は、バスバープレートの斜視図である。
図4図4は、バスバープレートにおけるバスバーの透視図であり、図4(a)は、その上面図であり、図4(b)は、その側面図である。
図5図5は、本発明の実施形態の変形例に係るリレーボックス及び端子の斜視図であり、図5(a)は、端子挿入前の状態を示す図であり、図5(b)は、端子挿入後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電気接続箱10を用いたワイヤハーネス1について説明する。電気接続箱10を用いたワイヤハーネス1は、例えば、車両に搭載されて使用される。
【0020】
図1に示すように、ワイヤハーネス1は、電気接続箱10と、複数の接続先回路(図示省略)と電気接続箱10とを繋ぐ電線部20と、を備える。電気接続箱10は、リレーブロック30と、バスバープレート40と、を備える。以下、説明の便宜上、図1に示すように、「前後方向」、「幅方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交する。
【0021】
図1に示すように、リレーブロック30は、樹脂製のハウジング31を有する。ハウジング31は、上壁32と、幅方向に対向する一対の側壁33と、前壁34と、を有し、下面が開口する、直方体状の箱状の形状を有する。ハウジング31には、前壁34と前後方向に対向する後壁が設けられていてもよい。ハウジング31の内部の所定位置には、リレー、ヒューズ、及び、ヒュージブルリンク(以下、「リレー等」と呼ぶ)のうちの少なくとも1種類以上を複数個収納できるようになっている。
【0022】
各側壁33には、前後方向の所定の2か所の位置に、係合用突条35が設けられている。各係合用突条35は、幅方向外側に突出し且つ上下方向に延びている。上壁32には、ハウジング31内に一体成形されて上下方向に延びる複数の端子収納室36(図5も参照)に通じる複数の開口が形成されている。
【0023】
各端子収納室36の下端は、ハウジング31の下面の開口を介して外部に露出している。よって、各端子収納室36の下端から後述する端子22(図1等を参照)を挿入可能となっている。各端子収納室36内の接点部(図示省略)において、挿入された端子22とリレー等が電気的に接続することになる。
【0024】
更に、ハウジング31の他の接点部において、後述するバスバー60の上端子部61b〜64b(図3等を参照)とリレー等とが電気的に接続されることになる。そして、このような接点部を通じ、電線21が対応するリレー等に電気的に接続されている。
【0025】
図1及び図2に示すように、バスバープレート40は、樹脂製のハウジング50と、ハウジング50にインサート成形された金属製のバスバー60と、を有する。よって、バスバー60はハウジング50に支持されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、ハウジング50は、底壁51と、幅方向に対向する一対の側壁52と、前壁53と、を有し、上面及び後面が開口する、直方体状の箱状の形状を有する。ハウジング50とハウジング31とは、ハウジング50がハウジング31を収納するように、結合(嵌合)可能となっている。
【0027】
各側壁52には、前後方向における係合用突条35に対応する2か所の位置にそれぞれ、係合用突部54が設けられている。各係合用突部54は、幅方向外側に突出し且つ上下方向に延びている。係合用突部54は、ハウジング31とハウジング50との結合時、係合用突条35と係合することで、ハウジング31のハウジング50に対する前後方向の位置決めを行うようになっている。
【0028】
ハウジング50には、一対の側壁52のそれぞれの所定箇所、及び、底壁51の後端部の所定箇所(計3か所)にそれぞれ、上方に向けて突出する係止用レバー55が設けられている。係止用レバー55は、ハウジング31とハウジング50との結合時、その先端の係止部がハウジング31の上壁32の角部に係止されることで、ハウジング31のハウジング50からの分離を防止するようになっている。
【0029】
ハウジング50の底壁51には、複数の端子収納室36の一部又は全部に対応する複数の位置(本例では、4か所)にそれぞれ、貫通孔56が形成されている。換言すれば、貫通孔56は、複数の接点部のうちのバスバー60とリレー等が接続されない接点部に対応する箇所に形成されている。貫通孔56には、後述する電線21が挿通するようになっている。
【0030】
図2に示すように、ハウジング50の底壁51の下面には、所定の複数の位置(本例では、4か所)にそれぞれ、下方に向けて突出する角筒状のコネクタハウジング57が形成されている。後述するように、コネクタハウジング57の内部空間には、バスバー60の下端子部61c〜64cが上下方向に延びるように露出して配置されている(図4(b)も参照)。
【0031】
図3及び図4に示すように、バスバー60は、互いに独立した複数(本例では、4つ)のバスバー61〜64を含む。バスバー61〜64は、金属板に対して打ち抜き加工及びプレス加工等を施すことで形成され得る。
【0032】
バスバー61は、所定のパターンで前後方向及び幅方向に延びる連結部61aと、連結部61aの所定位置から上方に向けて突出する4本の上端子部61bと、連結部61aの所定位置から下方に向けて突出する2本の下端子部61cと、を有する。バスバー62は、所定のパターンで前後方向及び幅方向に延びる連結部62aと、連結部62aの所定位置から上方に向けて突出する3本の上端子部62bと、連結部62aの所定位置から下方に向けて突出する1本の下端子部62cと、を有する。
【0033】
バスバー63は、所定のパターンで前後方向及び幅方向に延びる連結部63aと、連結部63aの所定位置から上方に向けて突出する3本の上端子部63bと、連結部63aの所定位置から下方に向けて突出する1本の下端子部63cと、を有する。バスバー64は、所定のパターンで前後方向及び幅方向に延びる連結部64aと、連結部64aの所定位置から上方に向けて突出する2本の上端子部64bと、連結部64aの所定位置から下方に向けて突出する1本の下端子部64cと、を有する。
【0034】
バスバー61〜64の連結部61a〜64aの全体は、ハウジング50の底壁51にインサート成形されることで、底壁51に埋設されている(特に、図4(b)を参照)。バスバー61〜64の上端子部61b〜64bは、底壁51から露出し、上方に向けて突出している(特に、図3(b)を参照)。バスバー61〜64の下端子部61c〜64cは、底壁51から露出し、コネクタハウジング57の内部空間にて下方に向けて突出している(特に、図4(b)を参照)。各コネクタハウジング57には、後述する電線の端部に接続された端子が挿入される。この端子により、対応するバスバーと電線とが電気的に接続されるようになっている。
【0035】
以上のように構成されたリレーブロック30のハウジング31とバスバープレート40のハウジング50とを、図1に示す状態から、互いに上下方向に近づけて結合完了させることで、電気接続箱10が完成する。
【0036】
ハウジング50とハウジング31との結合完了状態では、ハウジング31の下端面(一対の側壁33の下端面と前壁34の下端面)が、ハウジング50の底壁51の上面に接触している。また、係合用突部54と係合用突条35とが係合することで、ハウジング31のハウジング50に対する前後方向の位置決めがなされている。加えて、係止用レバー55の先端の係止部がハウジング31の上壁32の角部に係止されることで、ハウジング31のハウジング50からの分離が防止されている。
【0037】
また、ハウジング50とハウジング31との結合完了状態では、バスバー61〜64の上端子部61b〜64bの先端部が、各接点部において、リレー等とそれぞれ接触して電気的に接続されている。
【0038】
図1及び図2に示すように、電線部20は、複数(本例では4本)の電線21を有している。各電線21の先端部には、端子22が設けられている。各電線21における端子22と反対側の端部は、対応する接続先回路(図示省略)と接続されている。
【0039】
各電線21の端子22は、ハウジング50の底壁51に設けられた対応する貫通孔56を介して、ハウジング31内の対応する端子収納室36にそれぞれ挿入される。これにより、複数の電線21が、ハウジング31内における端子収納室36内の複数の接点部において、リレー等に直接的に電気的に接続される。
【0040】
また、電線部20は、複数の電線21とは別に、先端部に端子(図示省略)が設けられた複数の電線(図示省略)を有している。これらの電線における端子と反対側の端部も、対応する接続先回路(図示省略)とそれぞれ接続されている。
【0041】
これらの電線の端子は、コネクタハウジング57に挿入される。これにより、これらの電線が、ハウジング31内における複数の接点部において、バスバー60を介してリレー等と間接的に電気的に接続される。
【0042】
このように、これらの複数の電線(よって、複数の接続先回路)が、ハウジング31内の複数の接点部において、バスバー60を介してリレー等に電気的に接続される。バスバー60は、複数の接点部(複数のリレー等)と一又は複数の接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の接点部(一のリレー等)と他の接点部(他のリレー等)とを繋ぐ周回構造を有している。
【0043】
具体的には、図3(a)から理解できるように、バスバー61は、4つの接点部(4つの上端子部61b)と2つの接続先回路(2つの下端子部61c)とを繋ぐ分岐構造、及び、連結部61aを介して一の接点部(4つの上端子部61bのうちの1つ)と他の接点部(4つの上端子部61bのうちの他の1つ)とを繋ぐ周回構造、を有している。
【0044】
バスバー62は、3つの接点部(3つの上端子部62b)と1つの接続先回路(1つの下端子部62c)とを繋ぐ分岐構造、及び、連結部62aを介して一の接点部(3つの上端子部62bのうちの1つ)と他の接点部(3つの上端子部62bのうちの他の1つ)とを繋ぐ周回構造、を有している。
【0045】
バスバー63は、3つの接点部(3つの上端子部63b)と1つの接続先回路(1つの下端子部63c)とを繋ぐ分岐構造、及び、連結部63aを介して一の接点部(3つの上端子部63bのうちの1つ)と他の接点部(3つの上端子部63bのうちの他の1つ)とを繋ぐ周回構造、を有している。
【0046】
バスバー64は、2つの接点部(2つの上端子部64b)と1つの接続先回路(1つの下端子部64c)とを繋ぐ分岐構造、及び、連結部64aを介して一の接点部(2つの上端子部64bのうちの1つ)と他の接点部(2つの上端子部64bのうちの他の1つ)とを繋ぐ周回構造、を有している。
【0047】
このように、バスバー60が分岐構造を有することにより、同じ接続先回路から異なる接点部(異なるリレー等)に接続される電線(いわゆるダブリ電線)を省略することができる。また、バスバー60が周回構造を有することにより、一の接点部(一のリレー等)と他の接点部(他のリレー等)とを繋ぐ電線(いわゆるUターン電線)を省略することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態に係る電気接続箱10を用いたワイヤハーネス1によれば、電気接続箱10には、複数のリレー等を搭載するためのリレーブロック30とは別にバスバープレート40が設けられている。バスバープレート40が有するバスバー60は、リレーブロック30内の複数の接点部と一又は複数の接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の接点部と他の接点部とを繋ぐ周回構造、の少なくとも一方を有しており、電線とリレーブロック30(リレー等)との接続を中継するようになっている。
【0049】
このような構造を有するバスバー60をバスバープレート40に設けることで、多数の電線をリレーブロック30に直接つなぐ場合に比べ、電線の接続構造を単純化できる。したがって、本構成の電気接続箱10を用いたワイヤハーネス1によれば、電気接続箱10に対する電線の接続構造を簡易化できる。
【0050】
更に、電気接続箱10によれば、ハウジング50に設けられた貫通孔56を通じて、外部からリレーブロック30に電線21を直接つなぐことができる。よって、バスバープレート40のバスバー60を介する必要がない電線21については、このようにリレーブロック30と直接つなぐことで、バスバー60及びバスバープレート40の構造を単純化できる。
【0051】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0052】
例えば、上記実施形態では、ハウジング50に設けられた貫通孔56を通じて、外部からリレーブロック30に電線21が接続されている。これに対し、ハウジング50に貫通孔56が設けられず、且つ、リレーブロック30に電線21が接続されていなくてもよい。この場合、ハウジング31内に設けられた複数の接点部の全てがバスバー60と電気的に接続されるように構成され得る。
【0053】
更に、上記実施形態では、本発明の「第1ブロック」として、リレー、ヒューズ、及び、ヒュージブルリンク(リレー等)のうちの少なくとも1種類以上が複数個収納されたリレーブロック30が採用されている。これに対し、本発明の「第1ブロック」として、リレー等以外の電装品が複数個収納されたブロックが採用されてもよい。
【0054】
更に、上記実施形態では、ハウジング31内の端子収納室36に端子22が挿入された電線21に大きな電流が流れたとき、ジュール熱に起因して、端子22の周辺の温度が過度に上昇する場合がある。この問題に対処するため、図5(a)に示すように、端子22と電線21との接続箇所(端子22の付け根の導体部分)に、電線21の径方向外側に延びる金属製の連結部23を介して電線21の延在方向に沿って延びる金属製の放熱板24を一体で形成してもよい。更に、ハウジング31内の端子収納室36を画定する隔壁37の開口端部における連結部23に対応する位置に、端子22の挿入方向に延びるスリット38を形成してもよい。
【0055】
そして、図5(b)に示すように、端子22を端子収納室36に挿入する際、連結部23をスリット38に挿入することにより、端子22の挿入完了状態にて、放熱板24が端子収納室36の外部に露出する。この結果、端子22の周辺に発生した熱が放熱板24を介して外部に開放され易くなり、端子22の周辺の温度が過度に上昇し難くなる。例えば、リレーブロックでは、通常、隣接する端子収容室36同士の間に空隙が存在するため、この空間を放熱板24を格納するスペースとして活用できる。
【0056】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る電気接続箱10を用いたワイヤハーネス1の特徴をそれぞれ以下(1)〜(5)に簡潔に纏めて列記する。
(1)
回路部品を配置可能な複数の接点部を有する第1ブロック(30)と、
前記第1ブロックに向かい合うように配置される第2ブロック(40)であって、前記複数の接点部の一部又は全部において前記回路部品と電気的に接続されるバスバー(60)を有する第2ブロック(40)と、
を備えた電気接続箱(10)であって、
前記バスバー(60)は、
複数の前記接点部と一又は複数の接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の前記接点部と他の前記接点部とを繋ぐ周回構造、の少なくとも一方を有する、
電気接続箱。
(2)
上記(1)に記載の電気接続箱(10)において、
前記第2ブロック(40)は、
前記バスバー(60)を支持するハウジング(50)を有し、
前記ハウジング(50)は、
前記複数の接点部のうちの前記バスバー(60)と前記回路部品とが接続されない前記接点部に対応する箇所に、該ハウジング(50)を貫通するように開口した貫通孔(56)を有している、
電気接続箱。
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載の電気接続箱(10)において、
前記回路部品は、
ヒューズ、リレー及びヒュージブルリンクのうちの少なくとも一つである、
電気接続箱。
(4)
電気接続箱(10)と、前記電気接続箱(10)と接続先回路とを繋ぐ電線部(20)と、を備えたワイヤハーネス(1)であって、
前記電気接続箱(10)は、
回路部品を配置可能な複数の接点部を有する第1ブロック(30)と、
前記第1ブロックに向かい合うように配置される第2ブロック(40)であって、前記複数の接点部の一部又は全部において前記回路部品と対して電気的に接続されるバスバー(60)を有する第2ブロック(40)と、を備え、
前記バスバー(60)は、
複数の前記接点部と一又は複数の前記接続先回路とを繋ぐ分岐構造、及び、一の前記接点部と他の前記接点部とを繋ぐ周回構造、の少なくとも一方を有し、
前記電線部(20)は、
前記バスバー(60)を介して前記接点部に間接的に繋がる電線を含む、
ワイヤハーネス。
(5)
上記(4)に記載のワイヤハーネス(1)において、
前記第2ブロック(40)は、
前記バスバー(60)を支持するハウジング(50)を有し、
前記ハウジング(50)は、
前記複数の接点部のうちの前記バスバー(60)と前記回路部品とが接続されない前記接点部に対応する箇所に、該ハウジング(50)を貫通するように開口した貫通孔(56)を有し、
前記電線部(20)は、
前記貫通孔(56)を通じて前記接点部に直接的に繋がる電線(21)を更に含む、
ワイヤハーネス。
【符号の説明】
【0057】
1 ワイヤハーネス
10 電気接続箱
20 電線部
21 電線
30 リレーブロック(第1ブロック)
40 バスバープレート(第2ブロック)
50 ハウジング
56 貫通孔
60 バスバー
61〜64 バスバー
図1
図2
図3
図4
図5