(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマーが、前記潤滑粘度を持つオイル中に、該潤滑油組成物の質量を基準として、0.01〜25質量%の量で存在する、請求項1〜6のいずれかに記載の潤滑油組成物。
1種以上の分散剤、洗浄剤、酸化防止剤、摩耗防止剤、摩擦調整剤、および粘度調整剤から選択される、前記ポリ(2−オキサゾリン)添加剤とは異なる、1種以上の補助添加剤を含む、請求項1〜7のいずれかの何れかに記載の潤滑油組成物。
内燃機関のクランクケースを潤滑する方法であって、該機関を動作させる工程、および該クランクケースを請求項1〜8の何れかに記載の潤滑油組成物により潤滑する工程を含む、前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
本明細書において、以下の用語および表現が使用される場合、これらは以下に与えられる意味を持つ:
「有効成分(active ingredients)」または「(a.i.)」とは、希釈剤または溶媒ではない添加剤物質を言い;
「含む(comprising)」またはあらゆるその同語源の用語は、述べられた特徴、段階、または整数または成分の存在を特定するが、1またはそれ以上の他の特徴、段階、整数、成分またはその群の存在または付加を妨げるものではない。表現「からなる(consists of)」または「から本質的になる(consists essentially of)」または同語源の語は、「含む(comprises)」またはあらゆるその同語源の用語に含めることができる。該表現「から本質的になる」とは、物質を適用する上記組成物の特徴に実質的な影響を及ぼさない該物質を含めることを許容する。該表現「からなる」またはその同語源のものは、該表現が言及している、規定された特徴、段階、整数、成分またはこれらの群のみが、存在していることを意味する。
「ヒドロカルビル(hydrocarbyl)」とは、水素原子および炭素原子を含む化合物の化学基であって、炭素原子を介して、該化合物の残部に直接結合している該基を意味する。該基は、炭素および水素以外の1またはそれ以上の原子(「ヘテロ原子」)を含み得るが、これらが、該基の本質的にヒドロカルビル的特性に影響を及ぼさないことを条件とする。当業者は、適当な基(例えば、ハロ、特にクロロおよびフルオロ、アミノ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、スルホキシ等)を認識しているであろう。該基は不飽和であり得、および/またはポリマー状であり得る。好ましくは、該ヒドロカルビル基は、本質的に水素原子と炭素原子とからなっている。より好ましくは、該ヒドロカルビル基は、水素原子と炭素原子とからなっている。好ましくは、該ヒドロカルビル基は、脂肪族ヒドロカルビル基、例えばアルキル基である。
【0007】
ここにおいて使用される「オイル-可溶性」または「オイル-分散性」またはその同語源の用語は、必ずしも、上記化合物または添加剤が、上記オイル中に、あらゆる比率で可溶性、溶解性、混和性であり、あるいは懸濁し得ることを示すものではない。しかし、これら用語は、例えば該化合物または添加剤が、オイルが使用されている環境内でその意図された効果を発揮するのに十分な程度まで、該オイルに対して可溶性または安定に分散し得ることを実際に意味する。その上、他の添加剤の追加の組入れは、また必要に応じて特定の添加剤のより高レベルでの組入れをも可能とする;
添加剤に関連する「無灰」とは、該添加剤が金属を含まないことを意味し;
添加剤に関連する「灰分-含有」とは、該添加剤が金属を含むことを意味し;
「大量」とは、所定の組成の50質量%を超えることを意味し;
「少量」とは、上記添加剤(1または複数)の有効成分として計算された、所定の組成の50質量%またはそれ未満を意味し;
添加剤に関連する「有効量」とは、所望の技術的な効果を与えるのに効果的な、または該所望の効果を与える、上記組成物(例えば、添加剤濃縮物)中のこのような添加剤の量を意味し;
「ppm」は、上記組成物の全質量を基準とする、質量基準の百万分率を意味し;
所定の組成物または添加剤成分の「金属含有率」、例えばモリブデン含有率または上記添加剤濃縮物の全金属含有率(即ち、個々の金属含有率全ての総和)は、ASTM D5185により測定され;
所定の添加剤成分または所定の組成物に関連する「TBN」とは、ASTM D2896により測定されるような全塩基価(mgKOH/g)を意味し;
【0008】
「KV
100」は、ASTM D445により測定されるような100℃における動粘度を意味し;
HTHSは、CEC-L-36-A-90により測定されるような、150℃における高温高剪断(High Temperature High Shear)を意味し;
「リン含有率」は、ASTM D5185により測定され;
「硫黄含有率」は、ASTM D2622により測定され;
「硫酸灰分含有率」は、ASTM D874により測定され;
M
nは数平均分子量を意味し、またポリマー部分については、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定でき;
M
wは重量平均分子量を意味し、またポリマー部分については、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定でき;
「分散度(dispersity)」は、M
w/M
n(Dで示される)を意味する。
同様に、必須並びに最適および慣例的に使用される様々な成分が、調合、貯蔵および使用の条件下にて反応する可能性があり、また本発明があらゆるこのような反応により得ることのできるまたは得られる生成物(1または複数)をも提供するものであることが理解されよう。
更に、ここにおいて明記されている性能、範囲または比率の任意の上限および下限は独立に組合せることができるものであることが理解されよう。
【0009】
ポリ(2-オキサゾリン)
本発明のポリ(2-オキサゾリン)はホモポリマー、即ち一つの型の繰返し単位のみを含むポリマーであり得、あるいはこれらはコポリマー、即ち1を超えるモノマー種から誘導されるポリマーであり得る。
コポリマーの例としては、ランダムコポリマーであって、その重合が公知の統計的な規則、例えばベルヌーイ(Bernouillian)統計またはマルコフ(Markovian)統計に従う場合に形成されるものを挙げることができる。所定のランダムポリマー鎖における任意の特定の点におけるある特定の型のモノマー残基を見出す確率が、その周りのモノマーの型とは独立であるランダムポリマーを、ランダムコポリマーと呼ぶことができる。統計的即ちランダムコポリマーは、より規則性のあるポリマー型、例えば交互コポリマー、周期コポリマーおよびブロックコポリマーとは区別することができる。
ブロックコポリマー、即ち2またはそれ以上のポリマー(例えば、ホモポリマー)サブユニットが、共有結合(例えば、ジ-またはトリ-ブロックのように)によって結合されているものは、本発明との関連で注目するに値するものである。
同様に注目に値するものは分岐ポリマー、特にスターポリマーであり、ここでは数個の(3個またはこれを超える)線形ポリマー鎖(または「アーム(arms)」)が、中心のコアに共有結合により結合している。
【0010】
ポリ(2-オキサゾリン)およびその製造は、上記[背景技術]において議論されている。その製造において、任意のカチオン性の種は、2-オキサゾリンの重合を開始することができる。その例はH
+(HClまたはその他の酸由来);R
+(例えば、RIまたはRBr等のアルキルハライド由来);および金属カチオン並びに塩(例えば、Zr
4+)を含む。任意の求核性種は、該重合を停止することができる(例えば、大気水を由来とするOH
-、OTs
-(トシレート)、H
2NR、HSR)。その他の適当な開始剤基(i)および停止基(t)は、当業者には公知であろう。
好ましくは、nは4と400との間、好ましくは10と400との間、より好ましくは10と300との間、例えば25〜300である。
一般に、より高い重合度が好ましいが、500がnに関する好ましい上限であり得る。同様に、R
1におけるヘテロ原子(例えば、N、O、S、P、B、Si、F、Cl、Br、I)の存在も好ましいことであり得る。上で論じたように、上記用語「ヒドロカルビル」とは、R
1に対して適用された場合には、制限された数のヘテロ原子の存在を可能とし、またそれ故に、炭素および水素原子のみを含有する基に限定されない。
星形構造が必要とされる場合、上記ポリマー物質は、a) 多官能性開始剤の使用;(b) 架橋;またはc) 多官能性停止剤の使用またはカップリングにより製造し得る。
一態様において、上記ポリマーは、3個またはこれを超えるアームを持つ星形構造および10,000〜500,000という分子量を持ち、R
1は、少なくとも一つのアーム内に12〜100個の炭素原子を持つ、少なくとも幾つかの基を持ち、かつnは10〜1,000の整数である。
【0011】
この態様において、分子量は、線状のポリスチレン標準物質に関連してゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されるようなものである。
R
1がマクロモノマー系のヒドロカルビル基である場合、これは、以下の作業を介して与えることができる:
a) R
1プリカーサにおける反応性の基による重合;または
b) R
1プリカーサにおけるヒドロカルビル基中への、予め形成されたマクロモノマーの組込み。
12〜100個の炭素原子を持つR
1基の存在する意味は、上記ポリマーに、ベースオイル等の極性媒体に対する溶解度を与えるのに十分に親油性とすることにある。
好ましくは、R
1は1〜75個、より好ましくは1〜50個、例えば1〜36個の炭素原子を含有し、但し該ポリマー物質中の該R
1基の幾つかまたは全てが、12〜75個、好ましくは12〜50個、例えば12〜36個の炭素原子を持つことを条件とする。
上記基R
1における炭素原子数の例として、1、2、8、12、17および24を挙げることができる。
【0012】
潤滑組成物
本発明の潤滑組成物は、大量の潤滑粘度を持つオイルおよび上記ポリマー物質を含有する、少量の能力向上添加剤を含む自動車モーターオイルとして使用するのに適した潤滑剤であり得る。該潤滑組成物は、また最終的な潤滑剤を製造するために、潤滑粘度を持つオイルとブレンドするための、添加剤濃縮物の形状であってもよい。
好ましくは、本発明の潤滑組成物は、該組成物の質量を基準として、0.01〜25質量%の上記ポリマー物質、より好ましくは該組成物の質量を基準として、0.01〜10質量%、例えば0.5,1,2,3,4または5質量%までの該ポリマー物質を含むであろう。添加剤濃縮物の形状において、典型的に、該ポリマー物質は、該組成物の質量を基準として、潤滑粘度を持つオイル中に、30〜50質量%の量で存在するであろう。
上記潤滑粘度を持つオイル(しばしば「ベースストック」または「ベースオイル」と呼ばれる)は、潤滑剤の主な液体成分であり、その中に添加剤およびことによるとその他のオイルがブレンドされて、例えば最終的な潤滑剤(または潤滑剤組成物)が生成される。添加剤濃縮物を製造するために、並びにこれから潤滑油組成物を製造するのに有用なベースオイルは、天然オイル(植物、動物または鉱物)および合成潤滑油およびこれらの組合せから選択される。
【0013】
本発明における上記ベースストックおよびベースオイルに係る定義は、米国石油協会(American Petroleum Institute)(API)の刊行物:「エンジンオイルのライセンスと認証システム(Engine Oil Licensing and Certification System)」,工業サービス部門(Industry Services Department),第14版, 1996年12月, 補遺1, 1998年12月において見出されるものと同一であり、これは、ベースストックを以下のように分類している:
a) グループI(Group I)ベースストックは、90%未満の飽和物(saturates)および/または0.03%を超える硫黄を含み、また以下の表E-1に指定されたテスト法を用いて、80に等しいかまたはこれを超え、かつ120未満の粘度指数を持つ。
b) グループII(Group II)ベースストックは、90%に等しいかまたはこれを超える飽和物および0.03%に等しいかまたはこれ未満の硫黄を含み、また以下の表E-1に指定されたテスト法を用いて、80に等しいかまたはこれを超え、かつ120未満の粘度指数を持つ。
c) グループIII(Group III)ベースストックは、90%に等しいかまたはこれを超える飽和物および0.03%に等しいかまたはこれ未満の硫黄を含み、かつ以下の表E-1に指定されたテスト法を用いて、120に等しいかまたはこれを超える粘度指数を持つ。
d) グループIV(Group IV)ベースストックは、ポリα-オレフィン(PAO)である。
e) グループV(Group V)ベースストックは、グループI、II、III、またはIVには含まれない全ての他のベースストックを含む。
典型的には、上記ベースストックは、100℃にて、好ましくは3〜12mm
2/s、より好ましくは4〜10mm
2/s、最も好ましくは4.5〜8mm
2/sという粘度を持つ。
【0015】
好ましくは、上記潤滑粘度を持つオイルは、該潤滑粘度を持つオイルの全質量を基準として、10質量%に等しいかまたはこれを超え、より好ましくは20質量%に等しいかまたはこれを超え、より一層好ましくは25質量%に等しいかまたはこれを超え、より一層好ましくは30質量%に等しいかまたはこれを超え、より一層好ましくは40質量%に等しいかまたはこれを超え、より一層好ましくは45質量%に等しいかまたはこれを超えるグループIIまたはグループIIIベースストックを含む。より一層好ましくは、該潤滑粘度を持つオイルは、該潤滑粘度を持つオイルの全質量を基準として、50質量%を超え、好ましくは60質量%に等しいかまたはこれを超え、より好ましくは70質量%に等しいかまたはこれを超え、より一層好ましくは80質量%に等しいかまたはこれを超え、より一層好ましくは90質量%に等しいかまたはこれを超えるグループIIまたはグループIIIベースストックを含む。最も好ましくは、該潤滑粘度を持つオイルは、グループIIおよび/またはグループIIIベースストックから本質的になる。幾つかの態様において、該潤滑粘度を持つオイルは、専らグループIIおよび/またはグループIIIベースストックからなる。後者の場合において、該潤滑油組成物中に含まれている添加剤は、グループIIまたはグループIIIベースストックではないキャリヤオイルを含むことができることが認められる。
上記潤滑油組成物に含めることのできる潤滑粘度を持つその他のオイルを、以下のように詳述する:
【0016】
天然オイルは、動物および植物オイル(例えば、ヒマシ油およびラード油)、液状石油系油分およびパラフィン、ナフテンおよび混合パラフィン-ナフテン型の水素化精製され、溶媒処理された無機潤滑油を含む。石炭またはシェール由来の潤滑粘度を持つオイルも、有用なベースオイルである。
合成潤滑油は、炭化水素オイル、例えば重合および共重合されたオレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン));アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼンン);ポリフェノール(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール);およびアルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィドおよびこれらの誘導体、類似体および同族体を含む。
合成潤滑油のもう一つの適当な群は、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、琥珀酸、アルキル琥珀酸およびアルケニル琥珀酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と、様々なアルコール(例えば、ブチルアルコール、へキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。これらエステルの具体的な例は、ジブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)セバケート、ジ-n-へキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸ダイマーの2-エチルヘキシルジエステル、および1モルのセバシン酸と、2モルのテトラエチレングリコールおよび2モルの2-エチルヘキサン酸とを反応させることにより形成される複合エステルを含む。
【0017】
合成オイルとして有用なエステルは、同様にC
5〜C
12モノカルボン酸とポリオール、およびポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールとから製造されるものを含む。
未精製、精製および再精製されたオイルを、本発明の組成物において使用することができる。未精製オイルは、天然または合成源から、更なる精製処理なしに直接得られるオイルである。例えば、レトルト操作から直接得られるシェールオイル、蒸留により直接得られる石油系油分またはエステル化工程により直接得られかつ更なる処理なしに使用されるエステルオイルは、未精製オイルであろう。精製オイルは、該未精製オイルが更に1またはそれ以上の精製段階において処理されて、1またはそれ以上の特性が改善されている点を除き、該未精製オイルと類似する。多くのこのような精製技術、例えば蒸留、溶媒抽出、酸または塩基抽出、濾過およびパーコレーションが、当業者に知られている。再精製オイルは、既に運転において使用された精製オイルに対して適用される、精製オイルを得るのに使用されたものと類似する工程によって得られる。このような再精製オイルは、再利用または再処理オイルとしても知られており、またしばしば使用済み添加剤およびオイル分解生成物を処理するための技術によって付随的に処理される。
ベースオイルのその他の例は、ガスツーリキッド(gas-to-liquid)(「GTL」)ベースオイルであり、即ち該ベースオイルは、フィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)触媒を用いて、H
2およびCOを含有する合成ガスから製造されるフィッシャー-トロプシュ合成された炭化水素を由来とするオイルであり得る。これらの炭化水素は、典型的に、ベースオイルとして有用であるためには、更なる処理を必要とする。例えば、これらを、当分野において公知の方法によって、水素化異性化し;水素化分解しかつ水素化異性化し;脱蝋し;または水素化異性化かつ脱蝋することができる。
また、上記潤滑粘度を持つオイルは、グループI、グループIVまたはグループVベースストックまたは上記ベースストックのベースオイルブレンドを含むことができる。
【0018】
補助添加剤
本発明の全局面に係る潤滑油組成物は、更に1またはそれ以上のリン-含有化合物;酸化防止剤または抗酸化剤;分散剤;金属洗浄剤;およびその他の補助添加剤であって、本発明の上記ポリマー系添加剤とは異なるものであることを条件とするものを含むことができる。これらを、以下においてより一層詳細に論じる。
適当なリン-含有化合物は、ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩を含み、これらは、高頻度で摩耗防止剤および抗酸化剤として使用されている。該金属は、好ましくは亜鉛であるが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、またはアルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケルまたは銅であり得る。該亜鉛塩は、潤滑油において、該潤滑油組成物の全質量を基準として、0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%の量で、最も普通に使用されている。これらは、公知技術に従って、先ず通常は1種またはそれ以上のアルコールまたはフェノールとP
2S
5との反応によりジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を形成し、また次にこの形成されたDDPAを亜鉛化合物で中和することにより製造することができる。例えば、ジチオリン酸は、一級および二級アルコールからなる混合物を反応させることにより製造することができる。あるいはまた、多数のジチオリン酸を製造することができ、ここでその一つにおけるヒドロカルビル基は、特性上完全に二級であり、かつその他におけるヒドロカルビル基は特性上完全に一級である。該亜鉛塩を製造するために、任意の塩基性または中性亜鉛化合物を使用し得るが、酸化物、水酸化物および炭酸塩が最も一般的に使用されている。商業的な添加剤は、その中和反応において過剰の該塩基性亜鉛化合物を使用することから、しばしば過剰量の亜鉛を含んでいる。
【0019】
好ましい該亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェートは、ジヒドロカルビルジチオリン酸のオイル-可溶性塩であり、また以下の式によって表すことができる:
【化4】
ここで、RおよびR'は、同一または異なる、1〜18個、好ましくは2〜12個の炭素原子を含み、かつアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アルカリールおよび環式脂肪族基等の基を含むヒドロカルビル基であり得る。RおよびR'基として特に好ましいものは、炭素原子数2〜8のアルキル基である。従って、該基は、例えばエチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、アミル、n-へキシル、i-へキシル、n-オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2-エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロへキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであり得る。オイル溶解性を獲得するために、該ジチオリン酸中の全炭素原子数(即ち、RおよびR’)は、一般的に5またはこれを超えるであろう。従って、該亜鉛ジヒドロカルビルジチオホスフェート(ZDDP)は、亜鉛ジアルキルジチオホスフェートを含むことができる。適切には、本発明の潤滑油組成物は、約0.08質量%(800ppm)以下のリン含有率を持つことができる。好ましくは、本発明の実施において、ZDDPは、許される最大量に等しいかまたはそれに近い量で、好ましくはリンの最大許容量の100ppm以内のリン含有率を与える量で使用される。それ故に、本発明の実施において有用な潤滑油組成物は、好ましくはZDDPまたはその他の亜鉛-リン化合物を、該潤滑油組成物の全質量を基準として、0.01〜0.08質量%のリン、例えば0.04〜0.08質量%のリン、好ましくは0.05〜0.08質量%のリンを導入する量で含む。
【0020】
酸化防止剤または抗酸化剤は、鉱油が運転中に劣化する傾向を減じる。酸化的劣化は、該潤滑剤中のスラッジ、金属表面上のワニス-様デポジット、および粘度の増加により立証され得る。このような酸化防止剤は、ヒンダードフェノール、好ましくはC
5〜C
12アルキル側鎖を持つアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェノールスルフィド、オイル可溶性フェネートおよび硫化フェネート、リン硫化された(phosphosulfurized)または硫化された炭化水素またはエステル、亜リン酸エステル(phosphorous esters)、金属チオカルバメート、米国特許第4,867,890号に記載されているようなオイル可溶性銅化合物、およびモリブデン-含有化合物を含む。
芳香族アミンであって、その窒素に直接結合した少なくとも2つの芳香族基を持つものは、抗酸化性のために、高頻度で使用されるもう一つの化合物群を構成する。典型的なオイル-可溶性芳香族アミンであって、その一つのアミン窒素に直接結合した少なくとも2つの芳香族基を持つものは、6〜16個の炭素原子を含む。該アミンは、2つを超える芳香族基を含むことができる。全体で少なくとも3つの芳香族基を持つ化合物であって、そこにおいて2つの芳香族基が、共有結合によりまたは一原子または基(例えば、酸素または硫黄原子、または-CO-、-SO
2-またはアルキレン基)により結合されており、かつ2つが、一つのアミン窒素に直接結合しているものも、芳香族アミンであって、その窒素に直接結合している少なくとも2つの芳香族基を持つ該芳香族アミンであると考えられる。該芳香族リングは、典型的にはアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルアミノ、ヒドロキシ、およびニトロ基から選択される1またはそれ以上の置換基により置換されている。一つのアミン窒素に直接結合した少なくとも2つの芳香族基を持つ、任意のこのようなオイル可溶性芳香族アミンの量は、好ましくは0.4質量%を超えるべきではない。
【0021】
分散剤は、その主な機能が、固体および液状不純物を懸濁状態に維持し、それによりスラッジの沈着を減じると同時に、これらを不動態化し、かつエンジンデポジットを減じることである。例えば、分散剤は、該潤滑剤の使用中の酸化に起因するオイル不溶性物質を懸濁状態に維持し、かくしてスラッジの凝固および沈殿または該エンジンの金属部品上での沈着を防止する。
本発明における分散剤は、好ましくは上述の如く「無灰」であり、金属を含有し、それ故に灰分を形成する物質とは対照的に、燃焼に際して灰分を実質的に形成しない非金属有機物質である。これらは、極性ヘッドと共に長い炭化水素鎖を含み、その極性は、例えばO、PまたはN原子を含むことに由来する。該炭化水素は、オイル-溶解性を与える親油性の基であり、例えば40〜500個の炭素原子を持つ。従って、無灰分散剤は、オイル-可溶性のポリマー主鎖を含むことができる。
好ましい一群のオレフィンポリマーは、ポリブテン、とりわけポリイソブテン(PIB)またはポリ-n-ブテンにより構成され、例えばC
4製油所流の重合により製造できる。
【0022】
分散剤は、例えば長鎖炭化水素-置換カルボン酸の誘導体を含み、その例は、高分子量ヒドロカルビル-置換琥珀酸の誘導体である。注目に値する一群の分散剤は、例えば上記酸(または誘導体)と窒素-含有化合物、有利にはポリアルキレンポリアミン、例えばポリエチレンポリアミンとを反応させることにより製造される、炭化水素-置換サクシンイミドにより構成される。特に好ましいものは、ポリアルキレンポリアミンとアルケニル琥珀酸無水物との反応生成物、例えばUS-A-3,202,678;-3,154,560;-3,172,892;-3,024,195;-3,024,237;-3,219,666;および-3,216,936に記載されている如きものであり、これらは、その特性を改善するために、後処理、例えばホウ酸化(borated)(US-A-3,087,936および-3,254,025において記載されているように)、フッ素化またはオキシル化(oxylated)することができる。例えば、ホウ素化(boration)は、アシル窒素-含有分散剤と、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ボロン酸(boron acids)およびボロン酸のエステルから選択されるホウ素化合物で処理することにより達成し得る。
好ましくは、上記分散剤が存在する場合、これは1,000〜3,000、好ましくは1,500〜2,500の範囲の数平均分子量および適度の官能価を持つポリイソブテンから誘導されるサクシンイミド-分散剤である。該サクシンイミドは、好ましくは著しく反応性のポリイソブテンから誘導される。
使用可能な分散剤の型のもう一つの例は、例えばEP-A-2 090 642に記載されているような連結された芳香族化合物である。
洗浄剤は、ピストンデポジット、例えばエンジンにおける高温ワニスおよびラッカーデポジットの形成を減じる添加剤であり、これは、通常酸-中和特性を有し、また微細に分割された固体を懸濁状態に保つことができる。殆どの洗浄剤は、酸性有機化合物の金属塩である、金属「石鹸」をベースとしている。
【0023】
洗浄剤は、一般に長い疎水性尾部を持つ極性ヘッドを含み、該極性ヘッドは、該酸性有機化合物の金属塩を含む。該塩は、これらが通常正塩または中性塩として記載される場合には、実質上化学量論的な量の該金属を含むことができ、また典型的には0〜80という、100%有効質量(active mass)における全塩基数、即ちTBN(ASTM D2896により測定し得る如き)を持つであろう。大量の金属塩基を、過剰量の金属化合物、例えば酸化物または水酸化物と二酸化炭素等の酸性ガスとの反応により含めることができる。
この得られる過塩基化された洗浄剤は、金属塩基(例えば、炭酸塩)ミセルの外側層として、中和された洗浄剤を含む。このような過塩基化された洗浄剤は、150またはこれを超え、および典型的には200〜500またはこれを超える、100%有効質量におけるTBNを持つことができる。
適切には、使用可能な洗浄剤は、オイル-可溶性で中性かつ過塩基化されたスルホネート、フェネート、硫化フェネート、チオホスホネート、サリチレートおよびナフテネート、および金属、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばNa、K、Li、CaおよびMgのその他のオイル-可溶性カルボキシレートを含む。最も普通に使用される金属は、両者ともに潤滑組成物において使用される洗浄剤中に存在し得るCaおよびMg、およびCaおよび/またはMgとNaとの混合物である。洗浄剤は、様々な組合せで使用し得る。
追加の添加剤を本発明の上記組成物に組入れて、特定の性能の必須要件を達成することができる。本発明の潤滑油組成物に含めることのできるこのような添加剤の例は、金属防錆剤、粘度指数向上剤、防蝕剤、酸化防止剤、その他の摩擦調整剤、消泡剤、摩耗防止剤および流動点降下剤である。幾つかは、以下において更に詳しく論じられる。
【0024】
上記最終的なオイルのその他の成分と相溶性である、摩擦調整剤および燃費向上剤(fuel economy agents)も含めることができる。このような物質の例は、高級脂肪酸のグリセリルモノエステル、例えばグリセリルモノオレエート、長鎖ポリカルボン酸とジオールとのエステル、例えば二量化不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル、およびアルコキシル化アルキル-置換モノアミン、ジアミンおよびアルキルエーテルアミン、例えばエトキシル化牛脂アミンおよびエトキシル化牛脂エーテルアミンを含む。
他の公知の摩擦調整剤は、オイル-可溶性有機モリブデン化合物を含む。同様に、このような有機モリブデン摩擦調整剤も、潤滑油組成物に酸化防止的および磨耗防止的な評価をもたらす。このようなオイル-可溶性有機モリブデン化合物の例は、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、ジチオホスフィネート、キサンテート、チオキサンテート、スルフィド等およびこれらの混合物を含む。特に好ましいものは、モリブデンジチオカルバメート、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテートおよびアルキルチオキサンテートである。
その上、上記モリブデン化合物は、酸性モリブデン化合物であり得る。これらの化合物は、ASTMテストD-664またはD-2896の滴定手順により測定されるように、塩基性窒素化合物と反応するであろうし、また典型的には六価である。モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、およびその他のアルカリ金属モリブデートおよび他のモリブデン塩、例えばモリブデン酸水素ナトリウム(hydrogen sodium molybdate)、MoOCl
4、MoO
2Br
2、Mo
2O
3Cl
6、三酸化モリブデンまたは同様な酸性モリブデン化合物が含まれる。
【0025】
本発明の組成物において有用な上記モリブデン化合物の中に含まれるものは、以下の式を持つ有機モリブデン化合物である:
Mo(R’’OCS
2)
4およびMo(R’’SCS
2)
4
ここにおいて、R”は、一般的に1〜30個の炭素原子および好ましくは2〜12個の炭素原子を持つアルキル、アリール、アラルキルおよびアルコキシアルキルからなる群から選択される有機基であり、および最も好ましくは2〜12個の炭素原子を持つアルキル基である。特に好ましいものは、モリブデンのジアルキルジチオカルバメートである。
本発明の上記潤滑組成物において有用な有機モリブデン化合物のもう一つの群は、三核モリブデン化合物、特に式:Mo
3S
kL
nQ
zを持つものおよびその混合物であり、ここでLは、該化合物を上記オイル中に可溶性または分散性とするのに十分な炭素原子数を持つ有機基を持つ、独立に選択されるリガンドであり、nは1〜4であり、kは4から7までの範囲で変動し、Qは中性の電子供与化合物、例えば水、アミン、アルコール、ホスフィンおよびエーテル等からなる群から選択され、およびzは0〜5の範囲にあり、また非-化学量論的値を含む。少なくとも21個の炭素原子、例えば少なくとも25個、少なくとも30個、または少なくとも35個の炭素原子が、全ての該リガンドの有機基内に存在すべきである。
本発明の全ての局面において有用な潤滑油組成物は、好ましくは少なくとも10ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppmおよびより好ましくは少なくとも50ppmのモリブデンを含む。適切には、本発明の全ての局面において有用な潤滑油組成物は、1,000ppm以下、750ppm以下または500ppm以下のモリブデンを含む。本発明の全ての局面において有用な潤滑油組成物は、好ましくは10〜1,000ppm、例えば30〜750ppmまたは40〜500ppmのモリブデン(モリブデン原子として測定)を含む。
【0026】
上記ベースストックの粘度指数は、該ベースストックに、粘度調整剤(VM)または粘度指数向上剤(VII)として機能する特定のポリマー物質を組入れることにより増大され、もしくは改善される。一般的に、粘度調整剤として有用なポリマー物質は、5,000〜250,000、好ましくは15,000〜200,000、より好ましくは20,000〜150,000の範囲の数平均分子量(Mn)を持つものである。これらの粘度調整剤は、例えば無水マレイン酸等のグラフト材料でグラフトすることができ、また該グラフト化された物質は、例えばアミン、アミド、窒素-含有ヘテロ環式化合物またはアルコールと反応させて、多官能性粘度調整剤(分散粘度調整剤)を形成することができる。
ジオレフィンを使用して製造されるポリマーは、エチレン系不飽和を含むであろうし、またこのようなポリマーは、好ましくは水素添加される。該ポリマーが水素添加されている場合、該水素添加は、公知技術において知られている技術の何れかを用いて達成することができる。例えば、該水素添加は、エチレン系および芳香族系の不飽和両者が、例えば米国特許第3,113,986号および同第3,700,633号等において教示されているもの等の方法を利用して転化(飽和)されるように達成することができ、あるいは該水素添加は、例えば米国特許第3,634,595号、同第3,670,054号;同第3,700,633号およびRe 27,145において教示されている如く、該エチレン系不飽和の相当な部分が転化され、一方で殆どあるいは全く芳香族不飽和が転化されないように、選択的に達成することができる。同様に、これら方法の何れかを使用して、エチレン系不飽和のみを含み、また芳香族不飽和を含まないポリマーを水素化することもできる。
【0027】
流動点降下剤(PPD)は、その他に潤滑油(lube oil)流動性向上剤(LOFIs)としても知られており、これは該潤滑油が流動する最低温度を下げる。VMと比較すると、LOFIsは、一般により低い数平均分子量を有している。VMと同様に、LOFIsは、例えば無水マレイン酸等のグラフト材料でグラフト処理することができ、また該グラフト化された物質を、例えばアミン、アミド、窒素-含有ヘテロ環式化合物またはアルコールと反応させて、多官能性添加剤を形成することができる。
本発明においては、上記ブレンドに係る粘度の安定性を維持する添加剤を含める必要があるかもしれない。従って、極性基-含有添加剤は、ブレンド前の段階で適切に低い粘度を達成するが、幾つかの組成物は、長期間に渡り貯蔵した場合に、粘度における増加を示すことが観測された。この粘度増加を調節する上で効果的である添加剤は、以前に開示された如く、無灰分散剤の製造において使用される、モノ-またはジカルボン酸またはその無水物との反応により官能化された長鎖炭化水素を含む。
【0028】
潤滑組成物が1またはそれ以上の上記の添加剤を含む場合、各添加剤は、上記ベースオイルと、該添加剤がその所定の機能をもたらすことのできる量で、典型的にブレンドされる。クランクケース潤滑剤において使用される場合の、このような添加剤の典型的な有効量を、以下に列挙する。掲載された値全て(洗浄剤の値を除くが、その理由は、該洗浄剤がオイル内ではコロイド分散剤の形状で使用されることにある)は、有効成分(A.I.)の質量%として述べられている。
【表2】
【0029】
好ましくは、上記の完全に調合された潤滑油組成物(潤滑粘度を持つオイル+全添加剤)に係るノアック(Noack)の揮発度は、18質量%以下、例えば14質量%以下、好ましくは10質量%以下である。本発明の実施において有用な潤滑油組成物は、0.5〜2.0質量%、例えば0.7〜1.4質量%、好ましくは0.6〜1.2質量%という、全体としての硫酸灰分含有率を持つことができる。
必須ではないが、添加剤を含む1種またはそれ以上の添加剤濃縮物(濃縮物は、しばしば添加剤パッケージと呼ばれている)を製造することが望ましいことであり得、それによって数種の添加剤を上記オイルに同時に添加して、上記潤滑油組成物を形成し得る。
【実施例】
【0030】
今から、本発明を、以下の非限定的実施例において、詳細に説明する。
ホモポリマーの合成
2-ヘプタデシル-2-オキサゾリン(量については表を参照のこと)を、反応用フラスコに装填し、またクロロホルム(100μL)中のメチルトシレート(量については表を参照のこと)を添加した。この反応混合物を、110℃にて以下の表に示された期間に渡り攪拌した。次いで、該反応温度を130℃まで高め、かつ更なる所定期間(表を参照のこと)に渡り攪拌した。
【0031】
異なる分子量を持つ5種のホモポリマーを製造し、以下のように特徴付けした:
【表3】
【0032】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を、5mMのNH
4BF
4を含むDMF中で操作され、かつ屈折率検出器および可変波長検出器、2PLgel 5μm混合-C(mixed-C)カラム(300×7.5mm)、PLgel 5mmガードカラム(50×7.5mm)およびオートサンプラーを備える、アジレント1260インフィニティーシステム(Agilent 1260 infinity system)で行った。この測定器は、550〜46,890g/
モルという範囲内で、線状の細いポリ(メチルメタクリレート)標準物質を用いて較正された。全てのサンプルは、分析に先立って、0.2μmのナイロン66(Nylon 66)を用いて濾過された。
【0033】
上記ホモポリマーの構造は、以下の通りであった:
【化5】
ここで、(t)=トシレート;(i)=Meである。
【0034】
スターポリマーの合成
2-ヘプタデシル-2-オキサゾリン(5.75g、18.8mM、280当量)を、反応用フラスコに装填し、かつテトラ-p-トルエンスルホネートペンタエリスリトール(49.9mg、66.3μM、1.00当量)を添加した。この反応混合物を、130℃にて、該混合物が著しく粘稠になるまで攪拌し、またその温度を5時間に渡り150℃に高めた。この反応全体に渡り、転化率は、
1H NMR分光測定法により決定された。完全な転化の後、該混合物を室温まで冷却し、かつサンプルをGPC分析のために採取した。
【0035】
上記スターポリマー(実施例6)のMnは、34,130g/
モルであり、またD=2.64であった。
上記スターポリマーは、各アームについて下記の構造を持つ、4つのアームを持つスターであった:
【化6】
ここで、(t)はベンゼンスルホネート由来のものであり;(i)=Meである。
【0036】
ブロックコポリマーの合成
2-ヘプタデシル-2-オキサゾリン(5.08g、16.4mM、255当量)を、反応用フラスコに装填し、かつ乾燥クロロホルム(100μL)中のメチルトシレート(12.0mg、64.4μM、1.00当量)を添加した。この反応混合物を110℃にて3.5時間攪拌し、この反応全体に渡り、転化率を
1H NMR分光測定法により決定した。98%転化の後に、2-エチル-2-オキサゾリン(244mg、2.46mM、45当量)を添加し、また再度転化率を、
1H NMR分光測定法により測定した。完全な転化の後、該混合物を室温まで冷却し、またGPC分析用のサンプルを採取した。
この得られたブロックコポリマー(実施例7)のMnは、14,830g/
モルであり、またD=1.58であった。
【0037】
このブロックコポリマーは以下の構造を有していた:
【化7】
ここで、(t)=トシレート;(i)=Meである。
【0038】
ヘテロ原子を含有する物質の合成
2-デセ-1-エン-2-オキサゾリン(5.40g、25.8mM)を、反応用フラスコに装填し、また乾燥クロロホルム(100μL)中のメチルトシレート(17.7mg、95.5μM)を添加し、またこの反応混合物を120℃にて4時間攪拌した。この混合物を室温まで冷却し、またGPCおよび
1H NMR用のサンプルを、分析のために採取した。定量的な転化率が観測された。
この得られたポリマー(中間体1)のMnは5,570g/
モルであり、かつD=1.98であった。
【化8】
【0039】
実施例8
反応容器に、中間体1(2.50g、11.9mMのアルケン部分)を装填し、また50℃にてTHF(10mL)中に溶解させた。1-オクタデカンチオール(5.13g、17.9mM)を添加し、またこの混合物をUV(λ=365nm)照射下で18時間攪拌した。該反応後、ポリマーをMeOH中で沈殿させた。
1H NMR分析は、そのアルケン基に係る80%転化率を示した。
この得られたコポリマー(実施例8)のMnは11,820g/
モルであり、かつD=1.65であった。
【化9】
【0040】
実施例9
反応容器に、中間体1(1.89g、8.60mMのアルケン部分)を装填し、また50℃にてTHF(5mL)中に溶解させた。1-オクタデカンチオール(2.22g、7.74mM)を添加し、またこの混合物をUV照射(λ=365nm)の下で18時間攪拌した。
1H NMR分光測定は、アルケン部分に係る76%の転化率を示した。3-メルカプトプロピオン酸(910mg、8.60mM)を添加し、またこの混合物を、UV照射(λ=365nm)の下で18時間攪拌した。
1H NMR分光測定は、アルケン部分に係る更なる22%という転化率を示した。このポリマーを、アセトン中で沈殿させた。
1H NMR分析は、そのアルケン基に係る96%という転化率を示した。
この得られたコポリマー(実施例9)のMnは、13,400g/
モルであり、またD=5.69であった。
【化10】
【0041】
テスト
上記ポリマー各々を、以下のテストの一つまたはそれ以上において、ベースオイル中に0.91質量%の濃度にて分散させた場合につきテストした。
摩擦係数:PCSインスツルメンツ(PCS Instruments)社により供給された、MTM(ミニトラクションマシーン(mini traction machine));
このテストのプロファイルは以下の通りである:
・3-段階;
・ディスクトラック半径=21.05mm;
・検体はAISI 52100スチールであり、また径19mmのボールおよび径46mmのディスクからなっていた。
2または3回の独立した繰返しを、無作為試験により実施し、また結果を平均した。
【表4】
【0042】
粘度法的測定:
・KV100-ASTM法D445;
・150℃-CEC-L-36-90におけるHTHS(高温高剪断)粘度。
結果:
【表5】
・平均摩擦係数
aは、7mms
-1という平均回転速度に対する上記ストライベック曲線に係る領域において計算される。
・
bComp.は市場で入手し得るオレフィンコポリマー系分散粘度調整剤:ハイテック(HiTec) 5777を用いた比較テストである。
【0043】
これらの結果は、本発明の実施例(1〜7)が、上記ポリ(2-オキサゾリン)が存在しない場合の、上記ベースオイルテストと比較して、摩擦に係る利益を示したこと;その摩擦性能が、上記市販の添加剤のものに匹敵したこと;および意義あることに、そのHTHS粘度は、上記所定のポリマー処理率において、該市販の添加剤のものよりも低かったことを示している。
補足的な結果
実施例2を、摩擦性能に関して、実施例9(1個のS原子および2個のO原子をR
1内に含む類似の添加剤)と比較した。
結果は以下の通りであった:
【表6】
・平均摩擦係数
aは、7mms
-1という平均回転速度に対する、上記ストライベック曲線に係る領域において計算される。
【0044】
これらの結果は、ヘテロ原子がR
1内に含まれている(実施例9)場合に、改善された摩擦性能を明らかに示した。