【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、総務省、第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、将来の接続先となる接続先候補に関して前記危険性がある場合に、その接続先候補が接続先として選定されないように制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、接続先となる基地局装置を経由してデータを送受信する通信装置であって、接続先となる前記基地局装置と無線通信を行う無線通信部と、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、過去に遮蔽により無線品質の劣化が発生した遮蔽発生位置に関する遮蔽履歴情報を記憶する記憶部と、前記遮蔽履歴情報および前記自装置の位置情報に基づいて、現在の接続先および将来の接続先の少なくともいずれかに関して、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性を判定して、その危険性の判定結果に応じて、自装置の接続先を制御する制御部と、を備え
、前記制御部は、自装置から前記遮蔽発生位置への方向の自装置の移動速度成分を算出し、当該算出された移動速度成分に応じた大きさで、前記遮蔽発生位置の周囲に危険エリアを設定し、その危険エリア内に自装置が位置するか否かに応じて、前記危険性を判定する構成とする。
【0019】
これによると、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性がある場合に、事前に、安全な接続先に遷移するように接続先を制御する。これにより、遮蔽による無線品質の劣化を事前に回避して、ユーザ体感品質が大きく低下することを避けることができる。
また、これによると、遮蔽による無線品質の劣化が実際に発生する前に、危険性を精度よく判定することができる。
【0020】
また、第2の発明は、前記制御部は、
現在位置において遮蔽状態が所定回数連続して検知されない場合、当該現在位置を非遮蔽位置と判定し、当該現在位置に関する前記遮蔽履歴情報を前記記憶部から削除する構成とする。
【0021】
また、第3の発明は、前記制御部は、接続先のセルを制御する構成とする。
【0022】
これによると、特定のセルに、遮蔽により無線品質の劣化が発生している場合に、そのセルを避けて、安全なセルに接続先を遷移させることができる。
【0023】
また、第4の発明は、前記制御部は、接続先のビームを制御する構成とする。
【0024】
これによると、特定のビームに、遮蔽により無線品質の劣化が発生している場合に、そのビームを避けて、安全なビームに接続先を遷移させることができる。
【0025】
また、第5の発明は、前記制御部は、現在の接続先に関して前記危険性がある場合に、の接続先に変更するように制御する構成とする。
【0026】
これによると、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性がある接続先から安全な接先に変更するため、遮蔽による無線品質の劣化を事前に回避することができる。
【0027】
また、第6の発明は、前記制御部は、将来の接続先となる接続先候補に関して前記危険性がある場合に、その接続先候補が接続先として選定されないように制御する構成とする。
【0028】
これによると、接続先切り替え(ハンドオーバ)時に、遮蔽による無線品質の劣化が発生しない安全な接続先が選定されるため、遮蔽による無線品質の劣化を事前に回避することができる。
【0048】
また、第
7の発明は、接続先となる基地局装置を経由して通信装置がデータを送受信する通信システムであって、前記通信装置は、接続先となる前記基地局装置と無線通信を行う無線通信部と、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、過去に遮蔽により無線品質の劣化が発生した遮蔽発生位置に関する遮蔽履歴情報を記憶する記憶部と、前記遮蔽履歴情報および前記自装置の位置情報に基づいて、現在の接続先および将来の接続先の少なくともいずれかに関して、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性を判定して、その危険性の判定結果に応じて、自装置の接続先を制御する制御部と、を備え
、前記制御部は、自装置から前記遮蔽発生位置への方向の自装置の移動速度成分を算出し、当該算出された移動速度成分に応じた大きさで、前記遮蔽発生位置の周囲に危険エリアを設定し、その危険エリア内に自装置が位置するか否かに応じて、前記危険性を判定する構成とする。
【0049】
これによると、第1の発明と同様に、遮蔽による無線品質の劣化を事前に回避して、ユーザ体感品質が大きく低下することを避けることができ
、また、遮蔽による無線品質の劣化が実際に発生する前に、危険性を精度よく判定することができる。
【0052】
また、第
8の発明は、接続先となる基地局装置を経由して通信装置がデータを送受信する際の接続先を制御する接続先制御方法であって、過去に遮蔽により無線品質の劣化が発生した遮蔽発生位置に関する遮蔽履歴情報、および自装置の位置情報に基づいて、現在の接続先および将来の接続先の少なくともいずれかに関して、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性を判定して、その危険性の判定結果に応じて、自装置の接続先を制御
し、前記接続先の制御では、自装置から前記遮蔽発生位置への方向の自装置の移動速度成分を算出し、当該算出された移動速度成分に応じた大きさで、前記遮蔽発生位置の周囲に危険エリアを設定し、その危険エリア内に自装置が位置するか否かに応じて、前記危険性を判定する構成とする。
【0053】
これによると、第1の発明と同様に、遮蔽による無線品質の劣化を事前に回避して、ユーザ体感品質が大きく低下することを避けることができ
、また、遮蔽による無線品質の劣化が実際に発生する前に、危険性を精度よく判定することができる。
【0056】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0057】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0058】
この通信システムは、ユーザ端末1(通信装置)と、サーバ2と、マクロセルの基地局3(基地局装置)と、スモールセルの基地局4(基地局装置)と、無線LANの基地局5(アクセスポイント、基地局装置)と、通信制御装置6と、を備えている。
【0059】
マクロセルとスモールセルと無線LANのセルとは重畳され、複数のRAT(無線通信方式)が混在する通信環境、いわゆるヘテロジーニアスネットワークを構成している。
【0060】
ユーザ端末1は、スマートフォンやタブレット端末などである。このユーザ端末1は、ヘテロジーニアスネットワークを構成する基地局3,4,5に接続することができ、ヘテロジーニアスネットワークと、インターネットおよびコアネットワークからなる有線ネットワークと、を介して、サーバ2と通信を行う。
【0061】
サーバ2は、ユーザ端末1との通信により、各種のデータのアップロードやダウンロードを行うものであり、例えば、ユーザ端末1で撮影した映像データなどをユーザ端末1から受信して格納し、また、ユーザ端末1に各種のコンテンツデータなどを配信する。
【0062】
マクロセルの基地局3は、LTE(Long Term Evolution)などのUHF帯を利用した無線通信を行うものである。このマクロセルの基地局3は、制御信号を伝送するための制御プレーン(C−Plane)の基地局となる。なお、マクロセルの基地局3は、ユーザデータを伝送するためのユーザプレーン(U−Plane)の基地局として使用される場合もある。
【0063】
スモールセルの基地局4は、5GのNR(New Radio)となる高SHF帯またはEHF帯(ミリ波帯)を利用した無線通信を行うものである。このスモールセルの基地局4は、ユーザデータを伝送するためのユーザプレーン(U−Plane)の基地局となる。
【0064】
無線LANの基地局5は、Wi−Fi(登録商標)による比較的小容量の無線通信や、WiGig(登録商標)による比較的大容量の無線通信を行うものである。
【0065】
通信制御装置6は、マクロセル(LTE)に関する通信を制御するS−GW(Serving Gateway)やP−GW(Packet data network Gateway)、スモールセル(NR)に関する通信を制御するSMF(Session Management Function)やUPF(User Plane Function)などである。
【0066】
次に、第1実施形態に係るユーザ端末1で行われる接続先制御について説明する。
図2は、ユーザ端末1で行われる接続先制御の概要を示す説明図である。
【0067】
セル内にビルなどの遮蔽物が存在すると、基地局3,4,5から見て遮蔽物の陰となる範囲に、遮蔽による無線品質の劣化が発生する遮蔽エリアが形成され、この遮蔽エリアにユーザ端末1が進入すると、遮蔽による無線品質の劣化が発生して、映像再生が中断し、ユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)を大きく低下させる。
【0068】
一方、遮蔽物には、ビルの他に、道路標識、信号機、樹木、看板、車両など種々のものがあり、さらに、樹木の伐採や看板の撤去、車両の通行がない場合は遮蔽がなくなるなど、遮蔽物の状況も時々刻々と変化することから、遮蔽物の状況に基づいて精度の高い遮蔽エリアを設定することは極めて難しい。
【0069】
そこで、本実施形態では、過去に遮蔽により無線品質の劣化が発生した遮蔽発生位置に関する遮蔽履歴情報を蓄積し、この遮蔽履歴情報と、ユーザ端末1の位置情報とに基づいて、ユーザ端末1が遮蔽発生位置の近傍に到達したか否かに応じて、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性を判定して、その危険性の判定結果に応じて、自装置の接続先を制御し、遮蔽発生位置に対応するセルを接続先として選択しないように制御する。
【0070】
このとき、
図2(A)に示すように、ユーザ端末1が現在接続中のセルの境界に到達していない場合と、
図2(B)に示すように、ユーザ端末1が現在接続中のセル(図中左側のセル)の境界に到達している場合とで、接続先制御の内容が異なる。
【0071】
図2(A)に示すように、ユーザ端末1が現在接続中のセルの境界に到達していない場合には、現在の接続先に関して危険性を判定して、接続先を変更する制御を行う。
【0072】
すなわち、現在接続中のセルに関する遮蔽発生位置の近傍にユーザ端末1が到達すると、現在接続中のセルとは異なる別のセル(代替セル)に接続先を一時的に遷移させる。例えば、広帯域なスモールセルに接続中の場合に、そのスモールセルに関する遮蔽発生位置の近傍にユーザ端末1が到達すると、代替セルとなる狭帯域なマクロセルに接続先を一時的に遷移させる。この場合、ユーザ端末1が遮蔽発生位置から遠ざかると、接続先を元のセルに復帰させる。
【0073】
図2(B)に示すように、ユーザ端末1が現在接続中のセルの境界に到達している場合には、接続先の切り替え(ハンドオーバ)のため、将来の接続先、すなわち、接続先候補(隣接セル)に関して危険性を判定して、接続先候補を選定する制御を行う。
【0074】
すなわち、いずれかの接続先候補に関する遮蔽発生位置の近傍にユーザ端末1が到達している場合には、その遮蔽発生位置に対応するセルが、接続先候補の選定から除外されるように制御する。例えば、接続先候補に広帯域なスモールセルが含まれる場合でも、そのスモールセルに関する遮蔽発生位置の近傍にユーザ端末1が到達している場合には、スモールセルを接続先候補の選定から除外して、代替セルとなる狭帯域なマクロセルを接続先に選定する。
【0075】
なお、接続先候補は、ユーザ端末1と接続可能なセル(マクロセル、スモールセル、および無線LANのセル)であり、マクロの基地局3などから通知される。また、ユーザ端末1において、自装置と接続可能なセルを探索して、接続先候補を取得するようにしてもよい。
【0076】
次に、第1実施形態に係るマクロセルの基地局3の概略構成について説明する。
図3は、マクロセルの基地局3の概略構成を示すブロック図である。
【0077】
マクロセルの基地局3は、無線通信部11と、有線通信部12と、制御部13と、記憶部14と、を備えている。
【0078】
無線通信部11は、ユーザ端末1と無線通信を行う。
【0079】
有線通信部12は、S−GWなどの通信制御装置6や、周辺にある別のマクロセルの基地局3やスモールセルの基地局4と有線通信を行う。
【0080】
記憶部14は、ユーザ端末1に関する情報や、周辺にある別のマクロセルの基地局3およびスモールセルの基地局4に関する情報や、制御部13を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0081】
制御部13は、無線制御部21と、有線制御部22と、を備えている。この制御部13は、プロセッサで構成され、制御部13の各部は、記憶部14に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0082】
無線制御部21は、ユーザ端末1との無線通信を制御し、ユーザ端末1からの無線品質情報に基づいて、適切な接続先への切り替えをユーザ端末1に指示する。
【0083】
有線制御部22は、S−GWなどの通信制御装置6や、周辺にある別のマクロセルの基地局3やスモールセルの基地局4との有線通信により、ユーザ端末1の接続先などに関する情報を交換する。
【0084】
なお、
図3にはマクロセルの基地局3の概略構成を示したが、スモールセルの基地局4および無線LANの基地局5もこれと略同様である。
【0085】
次に、第1実施形態に係るユーザ端末1の概略構成について説明する。
図4は、ユーザ端末1の概略構成を示すブロック図である。
【0086】
ユーザ端末1は、無線通信部31と、位置情報取得部32と、制御部33と、記憶部34と、を備えている。
【0087】
無線通信部31は、5Gヘテロジーニアスネットワークを構成するマクロセルの基地局3、スモールセルの基地局4、および無線LANの基地局5との間で無線通信を行い、5Gヘテロジーニアスネットワークおよび有線ネットワークを介して、サーバ2と通信を行う。
【0088】
位置情報取得部32は、GPS(Global Positioning System)などの測位システムにより、自装置の位置情報を取得する。
【0089】
記憶部34は、自装置に関する情報や、基地局3,4,5に関する情報を記憶する。また、記憶部34は、履歴データベースの登録情報(
図5参照)を記憶する。この履歴データベースには、過去に無線品質の劣化が発生した遮蔽発生位置などが登録される。また、記憶部34は、制御部33を構成するプロセッサで実行されるプログラムなどを記憶する。
【0090】
制御部33は、無線制御部41と、アプリケーション部42と、端末状態取得部43と、アプリケーション情報取得部44と、を備えている。この制御部33は、プロセッサで構成され、制御部33の各部は、記憶部34に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0091】
アプリケーション部42は、アプリケーションの内容に応じた処理を実行し、無線通信部31を介してサーバ2とデータを送受信する。
【0092】
端末状態取得部43は、端末状態情報として、自装置の現在の位置情報、および現在の移動情報(移動速度および移動方向)などを取得する。
【0093】
アプリケーション情報取得部44は、アプリケーション部42の通信を監視し、通信中のアプリケーションの種別に関するアプリケーション情報を取得する。
【0094】
無線制御部41は、無線通信部31で行われる無線通信を制御するものであり、無線品質測定部51と、無線障害検出部52と、遮蔽状態判定部53と、履歴情報管理部54と、履歴情報取得部55と、接続先制御部56と、を備えている。
【0095】
無線品質測定部51は、接続中のセル(サービングセル)に関する現在の無線品質を測定する。
【0096】
無線障害検出部52は、基地局3,4,5からの信号を受信できない状態、具体的には、RLF(Radio Link Failure:無線リンク障害)を検出する。
【0097】
遮蔽状態判定部53は、無線品質測定部51の測定結果および無線障害検出部52の検出結果に基づいて、遮蔽による無線品質の劣化が発生している遮蔽状態か否かを判定する。
【0098】
履歴情報管理部54は、遮蔽状態判定部53の判定結果に基づいて、現在位置が遮蔽発生位置か否かを判定して、現在位置が遮蔽発生位置である場合には、現在の位置情報とその他の通信状況に関する情報を遮蔽履歴情報として、記憶部34の履歴データベースに登録する。
【0099】
このとき、遮蔽による無線品質の劣化が発生している遮蔽状態を、所定回数連続して検知した場合に、現在位置を遮蔽発生位置と判定するとよい。これにより、移動する遮蔽物で無線品質が偶発的に劣化した場合を排除することができる。なお、遮蔽状態の頻度が高い場合、具体的には、遮蔽状態を所定期間内に所定回数検知した場合に、遮蔽発生位置と判定するようにしてもよい。
【0100】
また、履歴情報管理部54は、遮蔽状態判定部53の判定結果に基づいて、現在位置が遮蔽発生位置でないと判定した場合に、現在位置に関する遮蔽履歴情報が履歴データベースに登録されているか否かを履歴情報取得部55に問い合わせ、現在位置に関する遮蔽履歴情報がある場合には、遮蔽物が取り除かれたものと判断して、その遮蔽履歴情報を履歴データベースから削除する。
【0101】
このとき、遮蔽状態が所定回数連続して検知されない場合に、非遮蔽位置と判定するとよい。これにより、移動する物体などの影響で無線品質が偶発的に改善した場合を排除することができる。なお、非遮蔽状態の頻度が高い場合、具体的には、非遮蔽状態を所定期間内に所定回数検知した場合に、非遮蔽位置と判定するようにしてもよい。
【0102】
なお、無線品質測定部51での測定および遮蔽状態判定部53での判定は、現在接続中のセルの他に、マクロセルの基地局3などから通知される接続先候補(隣接セル)を対象にして行われ、履歴データベースが随時更新される。
【0103】
履歴情報取得部55は、接続先制御部56からの問い合わせに応じて、現在の接続先に関する遮蔽履歴情報を、記憶部34の履歴データベースの中から検索して取得する。また、履歴情報取得部55は、接続先制御部56からの問い合わせに応じて、接続先候補に関する遮蔽履歴情報を、記憶部34の履歴データベースの中から検索して取得する。
【0104】
接続先制御部56は、履歴情報取得部55で取得した遮蔽履歴情報などに基づいて、マクロセル、スモールセル、および無線LANのセル(カバレッジ)の中から適切な接続先を選択するための制御を行う。
【0105】
本実施形態では、自装置の位置情報と、遮蔽履歴情報とに基づいて、現在の接続先および将来の接続先に関して、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性を判定して、その危険性の判定結果に応じて、自装置の接続先を制御する。すなわち、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性がある場合には、遮蔽による無線品質の劣化が発生しない安全な接続先に接続されるように、自装置の接続先を制御する。
【0106】
また、本実施形態では、遮蔽発生位置を基準にして、ユーザ端末1の状態などに応じて、遮蔽発生位置の周囲に危険エリアを設定して、危険エリア内に自装置が位置するか否かに応じて、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性を事前に判定する。
【0107】
次に、第1実施形態に係る履歴データベースについて説明する。
図5は、履歴データベースに登録される遮蔽履歴情報の一例を示す説明図である。
【0108】
本実施形態では、遮蔽状態判定部53において、接続中のセルに関する無線品質などに基づいて、遮蔽による無線品質の劣化が発生している遮蔽状態か否かを判定し、遮蔽状態である場合に、現在位置を遮蔽発生位置と判定して、現在の位置情報とその他の通信状況に関する情報を遮蔽履歴情報として通信履歴データベースに登録する。
【0109】
この履歴データベースには、遮蔽履歴情報として、過去に遮蔽による無線品質の劣化が発生したときの位置(遮蔽発生位置)と、そのときの通信状況に関する情報が登録される。具体的には、日付、時間、位置、RAT、周波数、セルID、ビーム識別子、移動方向、無線品質、無線品質の変動率、周辺との最大無線品質差、およびRLF判定結果などが登録される。
【0110】
次に、第1実施形態に係るユーザ端末1において遮蔽履歴情報の登録および削除を行う際の手順について説明する。
図6は、ユーザ端末1の動作手順を示すフロー図である。
図7は、ユーザ端末1の動作手順を示すシーケンス図である。
【0111】
ユーザ端末1では、遮蔽状態判定部53において、現在の無線品質に関する判定(ST101)と、無線品質の時間的な変動状況に関する判定(ST102)と、無線品質の位置的な変動状況に関する判定(ST103)と、RLF(無線リンク障害)に関する判定(ST104)と、を行う。
【0112】
現在の無線品質に関する判定(ST101)は、現在の無線品質が良好であるか否かを判定するものであり、無線品質測定部51から、接続中のセルの現在の無線品質を取得して、その現在の無線品質が所定のしきい値Thより小さいか否かを判定する。
【0113】
無線品質の時間的な変動状況に関する判定(ST102)は、無線品質の時間的な変動が顕著であるか否かを判定するものであり、今回(現在)の無線品質および前回以前の無線品質から、無線品質の時間劣化率を算出して、その無線品質の時間劣化率が所定のしきい値Thより大きいか否かを判定する。
【0114】
無線品質の位置的な変動状況に関する判定(ST103)は、無線品質の位置的な変動が顕著であるか否かを判定するものであり、周辺位置と現在位置との無線品質の差を算出して、その無線品質の差が所定のしきい値Thより大きいか否かを判定する。
【0115】
RLF(無線リンク障害)に関する判定(ST104)では、無線障害検出部52から、RLF(無線リンク障害)の検出結果を取得して、RLFが検出されたか否かを判定する。
【0116】
ここで、現在の無線品質がしきい値Thより小さく無線品質が悪い場合(ST101でYes)、また、無線品質の時間劣化率がしきい値Thより大きく前回以前より無線品質が大きく劣化している場合(ST102でYes)、また、周辺位置と現在位置との無線品質の差がしきい値Thより大きく周辺に比べて無線品質が悪い場合(ST103でYes)、また、RLFが検出され無線リンク障害が発生している場合には(ST104でYes)、現在位置を遮蔽発生位置に決定する(ST105)。
【0117】
そして、履歴情報管理部54において、端末状態取得部43から、端末状態情報(現在位置、移動速度および移動方向)を取得し、また、接続先制御部56から、現在の接続先に関する接続先情報を取得して、現在位置(遮蔽発生位置)の情報とその他の通信状況に関する情報(接続先など)を、遮蔽履歴情報として、記憶部34の履歴データベースに登録する(ST106)。
【0118】
一方、現在の無線品質がしきい値Thより小さくなく(ST101でNo)、かつ、無線品質の時間劣化率がしきい値Thより大きくなく(ST102でNo)、周辺位置と現在位置との無線品質の差がしきい値Thより大きくなく(ST103でNo)、かつ、RLFが検出されていない場合には(ST104でNo)、現在位置を非遮蔽位置に決定する(ST107)。
【0119】
そして、履歴情報管理部54において、現在位置の遮蔽履歴情報があるか否かを履歴情報取得部55に問い合わせ、現在位置の遮蔽履歴情報がある場合には、現在位置の遮蔽履歴情報を履歴データベースから削除する(ST108)。
【0120】
このように本実施形態では、現在の無線品質が良好でない場合や、無線品質の時間的な変動が顕著である場合や、無線品質の位置的な変動が顕著である場合や、RLFが検出された場合に、現在位置を、遮蔽による無線品質の劣化が発生している遮蔽発生位置として、そのときの通信状況に関する情報を、遮蔽履歴情報として、記憶部34の履歴データベースに登録する。
【0121】
なお、遮蔽発生位置はある程度の範囲を同一位置とみなして制御を行うとよく、例えば、マクロセル、スモールセル、および無線LANのセルの全てを含むエリアを対象にして、所定の形状(例えば正方形、円、楕円)の均一な大きさ(例えば1m四方)のメッシュを設定して、メッシュ単位で遮蔽発生位置を管理するようにしてもよい。
【0122】
次に、第1実施形態に係る接続先制御部56で行われる処理について説明する。
図8は、接続先制御部56で設定される危険エリアを示す説明図である。
【0123】
本実施形態では、接続先制御部56において、遮蔽発生位置を基準にして危険エリアを設定して、その危険エリアにユーザ端末1が現在位置するか否かに応じて、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険な状態か否かを判定する。危険エリアは、まず、遮蔽発生位置を中心にした円形状に設定される。
【0124】
ここで、ユーザ端末1が遮蔽発生位置にすぐに到達するか否かに応じて、無線品質の劣化が発生する危険度が異なる。そこで、本実施形態では、ユーザ端末1の移動状態に応じて、危険エリアの大きさを設定する。
【0125】
また、ユーザ端末1が遮蔽発生位置にすぐに到達するか否かは、ユーザ端末1の現在位置Pcから遮蔽発生位置Pdに向かうA方向の移動速度Vの成分Vaに基づいて判定することができる。そこで、本実施形態では、ユーザ端末1の現在位置Pcおよび遮蔽発生位置Pdと、ユーザ端末1の移動速度Vおよび移動方向とから、移動速度VのA方向の成分Vaを算出して、この移動速度VのA方向の成分Vaに基づいて危険エリアの大きさを設定する。すなわち、移動速度のA方向の成分Vaが小さい場合には、危険エリアを小さく設定し、移動速度のA方向の成分Vaが大きい場合には、危険エリアを大きく設定する。
【0126】
特に本実施形態では、移動速度VのA方向の成分Vaに応じたオフセットO(補正値)を基準半径L(例えば1m)に加算した値を危険エリアの半径とする。
【0127】
図8(A)に示すように、移動速度成分Vaが0である、すなわち、方向Daに関してユーザ端末1が静止している場合には、オフセットを加算せず、危険エリアの半径を基準半径Lに設定する。この場合、ユーザ端末1の現在位置Pcと遮蔽発生位置Pdとの距離が、基準半径Lより小さい場合に、ユーザ端末1が危険エリアに位置し、危険状態と判定する。
【0128】
また、
図8(B)に示すように、移動速度成分Vaが小さい、すなわち、A方向に関してユーザ端末1が低速で移動している場合には、基準半径Lに小さなオフセットOを加算して危険エリアの半径を設定する。この場合、ユーザ端末1の現在位置Pcと遮蔽発生位置Pdとの距離が、基準半径Lに小さなオフセットOを加算した値より小さい場合に、ユーザ端末1が危険エリアに位置し、危険状態と判定する。
【0129】
また、
図8(C)に示すように、移動速度成分Vaが大きい、すなわち、A方向に関してユーザ端末1が高速で移動している場合には、基準半径Lに大きなオフセットOを加算して危険エリアの半径を設定する。この場合、ユーザ端末1の現在位置Pcと遮蔽発生位置Pdとの距離が、基準半径Lに大きなオフセットOを加算した値より小さい場合に、ユーザ端末1が危険エリアに位置し、危険状態と判定する。
【0130】
また、通信中のアプリケーションの種別に応じて、通信の安定性など、要求される通信特性が異なる。そこで、本実施形態では、通信中のアプリケーションの種別に応じて、危険エリアの大きさを設定する。
【0131】
例えばFTPなどのアプリケーションでは、通信の安定性はさほど問題にならず、瞬断や急激な伝送レートの低下がある程度許容されるため、危険エリアを小さく設定するか、あるいは、危険エリアを設定せずに、遮蔽発生位置に位置するか否かで危険判定を行う。一方、映像伝送などのアプリケーションでは、瞬断や急激な伝送レートの低下が許容されないため、危険エリアを大きく設定する。
【0132】
また、ユーザ端末1の種別に応じて、通信の安定性などの通信特性がユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)に与える影響の程度が異なる。そこで、本実施形態では、ユーザ端末1の種別に応じて、危険エリアの大きさを設定する。
【0133】
例えばユーザ端末1が、各種のメータやセンサ(計測装置)による計測結果を報告するものである場合には、通信の安定性などの通信特性がユーザ体感品質に影響を与えないため、危険エリアを小さく設定するか、あるいは、危険エリアを設定せずに、遮蔽発生位置に位置するか否かで危険判定を行う。一方、ユーザ端末1がスマートフォンなどの携帯デバイスである場合には、通信の安定性などの通信特性がユーザ体感品質に影響を与えるため、危険エリアを大きく設定する。
【0134】
このように本実施形態では、ユーザ端末1の移動状態や、通信中のアプリケーションの種別や、ユーザ端末1の種別の各基準に基づいて、危険エリアの大きさを設定するが、3つの基準のいずれか1つのみに基づいて、危険エリアを設定するようにしてもよく、また、複数の基準を組み合わせて危険エリアを設定するようにしてもよい。なお、複数の基準を組み合わせて危険エリアを設定する場合には、ユーザ端末1の移動状態を主要な基準として、危険エリアを設定するとよい。
【0135】
ところで、ユーザ端末1では、セルサーチで見つかったセルを対象にして無線品質の測定を常時行い、この無線品質の測定結果に基づいて、履歴データベースを随時更新するようにするとよい。この場合、遮蔽発生位置が新たに見つかった場合には、遮蔽履歴情報を履歴データベースに登録し、遮蔽発生位置の無線品質が改善されている場合には、遮蔽履歴情報を履歴データベースから削除する。
【0136】
このとき、遮蔽発生位置を中心にして円形状に設定された危険エリアの中に、無線品質が良好な位置がある場合には、その位置を危険エリアから削除するようにするとよい。このようにすると、危険エリアを、遮蔽により無線品質の劣化が実際に発生している遮蔽エリアに次第に近づけることができ、適切な危険エリアが形成される。
【0137】
次に、第1実施形態に係るユーザ端末1の接続先変更時および接続先候補選定時における動作手順について説明する。
図9は、ユーザ端末1の接続先変更時における動作手順を示すフロー図である。
図10は、ユーザ端末1の接続先候補選定時における動作手順を示すフロー図である。
図11は、ユーザ端末1の動作手順を示すシーケンス図である。
【0138】
図9に示すように、接続先変更時には、接続先制御部56において、まず、通信中のアプリケーションに関するアプリケーション情報をアプリケーション情報取得部44から取得して、そのアプリケーション情報に基づいて、映像通信中、すなわち、通信中のアプリケーションで映像の送受信が行われているか否かを判定する(ST201)。
【0139】
ここで、映像通信中であれば(ST201でYes)、次に、自装置の現在の位置情報を端末状態取得部43から取得する(ST202)。また、自装置の移動速度および移動方向を端末状態取得部43から取得する(ST203)。
【0140】
次に、現在の接続先に関する遮蔽履歴情報があるか否かを履歴情報取得部に問い合わせる(ST204)。このとき、履歴情報取得部55では、記憶部34に記憶された履歴データベースを検索して、該当する履歴情報がある場合には、その履歴情報を取得する。
【0141】
ここで、現在の接続先に関する遮蔽履歴情報がある場合には(ST204でYes)、次に、現在の接続先に関する遮蔽履歴情報に含まれる遮蔽発生位置と、自装置の移動速度および移動方向とに基づいて、オフセットを算出して、危険エリアを設定する(ST205)。
【0142】
次に、危険エリアと、自装置の現在の位置情報とに基づいて、自装置が危険エリア内に位置するか否かを判定する(ST206)。このとき、自装置の現在位置から遮蔽発生位置までの距離を算出して、その距離が、危険エリアの半径(基準値にオフセットを加算した値)より大きいか否かを判定する。
【0143】
ここで、自装置が危険エリア内に位置する場合には(ST206でYes)、接続先を変更する(ST207)。
【0144】
一方、映像通信中でない場合(ST201でNo)、現在の接続先に関する遮蔽履歴情報がない場合(ST204でNo)、自装置が危険エリア内に位置しない場合には(ST206でNo)、特に処理を行わずに終了する。
【0145】
なお、接続先の決定は、マクロセルの基地局3などのネットワーク側の装置が行うため、特定のセルに接続しないように、ネットワーク側の装置に依頼すればよい。この場合、例えば、接続したくないセルの情報(セルIDなど)を、セル切り替え要求のメッセージに付加するようにするとよい。
【0146】
また、接続先の変更では、接続先を現在の接続先とは異なるセルに切り替えることを要求するセル切り替え要求のメッセージをネットワーク側の装置に送信するようにしてもよい。このとき、切り替えの理由、すなわち、遮蔽による通信不良が想定されることを、セル切り替え要求のメッセージに付加するようにするとよい。
【0147】
図10に示すように、接続先候補選定時には、接続先制御部56において、まず、通信中のアプリケーションに関するアプリケーション情報をアプリケーション情報取得部44から取得して、そのアプリケーション情報に基づいて、映像通信中、すなわち、通信中のアプリケーションで映像の送受信が行われているか否かを判定する(ST301)。
【0148】
ここで、映像通信中であれば(ST301でYes)、次に、自装置の現在の位置情報を端末状態取得部43から取得する(ST302)。また、自装置の移動速度および移動方向を端末状態取得部43から取得する(ST303)。
【0149】
次に、接続先候補の各セル(隣接セル)に関する遮蔽履歴情報があるか否かを履歴情報取得部に問い合わせる(ST304)。このとき、履歴情報取得部55では、記憶部34に記憶された履歴データベースを検索して、該当する履歴情報がある場合には、その履歴情報を取得する。
【0150】
ここで、接続先候補のいずれかのセルに関する遮蔽履歴情報がある場合には(ST304でYes)、次に、その遮蔽履歴情報に含まれる遮蔽発生位置と、自装置の移動速度および移動方向とに基づいて、オフセットを算出して、危険エリアを設定する(ST305)。
【0151】
次に、危険エリアと、自装置の現在の位置情報とに基づいて、自装置が危険エリア内に位置するか否かを判定する(ST306)。このとき、自装置の現在位置と遮蔽発生位置との距離を算出して、その距離が、危険エリアの半径(基準値にオフセットを加算した値)より大きいか否かを判定する。
【0152】
ここで、自装置が危険エリア内に位置する場合には(ST306でYes)、遮蔽履歴情報があるセルを接続先候補から除外するように、接続先候補を選定する(ST307)。
【0153】
一方、自装置が危険エリア内に位置しない場合には(ST306でNo)、遮蔽履歴情報があるセルを接続先候補から除外しないように、接続先候補を選定する(ST308)。
【0154】
また、映像通信中でない場合(ST301でNo)、接続先候補に関する遮蔽履歴情報がない場合には(ST304でNo)、特に処理を行わずに終了する。
【0155】
なお、接続先の決定は、マクロセルの基地局3などのネットワーク側の装置が行うため、特定のセルを接続先候補から除外する場合には、そのセルを接続先に指定しないようにネットワーク側の装置に依頼すればよい。この場合、例えば、除外対象のセルの測定結果を実測値より低く補正した上で、測定報告を送信するか、測定報告の対象から除外すればよい。ネットワーク側の装置では、無線品質の最も良好なセルを接続先として決定し、このとき、除外対象のセルは無線品質が不良であるため、接続先から除外される。
【0156】
なお、
図9および
図10、
図11に示した例では、映像通信中であることを条件に、接続先の変更や接続先候補の選定を行うようにしたが、映像通信中であることを条件から除外するようにしてもよい。
【0157】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
【0158】
第1実施形態では、ユーザ端末1の移動状態(移動速度および移動方向)などに応じて、危険エリアの大きさを設定して、その危険エリアにユーザ端末1が位置するか否かに応じて、危険性を判定するようにしたが、本実施形態では、ユーザ端末1が遮蔽発生位置に到達するまでの所要時間(到達時間)に基づいて危険性を判定する。
【0159】
具体的には、まず、ユーザ端末1の現在位置から遮蔽発生位置までの距離を算出する。そして、現在位置から遮蔽発生位置までの距離と、ユーザ端末1の移動速度および移動方向とに基づいて、到達時間を算出して、到達時間が所定のしきい値より短いか否かを判定して、到達時間がしきい値より短い場合に、危険性があると判定する。
【0160】
例えば、現在位置から遮蔽発生位置までの距離を30mとして、しきい値を10sとした場合、移動速度が4km/hの場合には、到達時間は27sとなり、しきい値の10sより長いため、危険性がないと判定する。一方、移動速度が30km/hの場合には、到達時間は3.6sとなり、しきい値の10sより短いため、危険性があると判定する。
【0161】
なお、第1実施形態と同様に、ユーザ端末1の現在位置から遮蔽発生位置に向かう方向の移動速度の成分に基づいて、到達時間を算出するとよい。
【0162】
また、第1実施形態では、ユーザ端末1の移動状態や、通信中のアプリケーションの種別や、ユーザ端末1の種別に応じて、危険エリアの大きさを設定して、危険性を判定するようにしたが、本実施形態でも同様に、ユーザ端末1の移動状態や、通信中のアプリケーションの種別や、ユーザ端末1の種別に応じて、危険性を判定するようにしてもよい。この場合、ユーザ端末1の移動状態や、通信中のアプリケーションの種別や、ユーザ端末1の種別に応じて、しきい値を変更したり、到達時間を補正したりすればよい。
【0163】
次に、第2実施形態に係るユーザ端末1の動作手順について説明する。
図12は、ユーザ端末1の接続先変更時における動作手順を示すフロー図である。
図13は、ユーザ端末1の接続先候補選定時における動作手順を示すフロー図である。
【0164】
図12に示すように、接続先変更時には、接続先制御部56において、第1実施形態(
図9参照)と同様に、ST201からST204の各処理を行う。
【0165】
そして、現在の接続先に関する遮蔽履歴情報がある場合には(ST204でYes)、次に、現在の接続先に関する遮蔽履歴情報と自装置の現在の位置情報とに基づいて、自装置の現在位置から遮蔽発生位置までの距離を算出する(ST211)。
【0166】
次に、現在位置から遮蔽発生位置までの距離と、ユーザ端末1の移動速度および移動方向とに基づいて、到達時間を算出して、到達時間が所定のしきい値より短いか否かを判定する(ST212)。
【0167】
ここで、到達時間がしきい値より短い場合、すなわち、近々に遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性がある場合には(ST212でYes)、接続先を変更する(ST207)。
【0168】
一方、到達時間がしきい値より短くない場合、すなわち、近々に遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性がない場合には(ST212でNo)、特に処理を行わずに終了する。
【0169】
図13に示すように、接続先候補選定時には、接続先制御部56において、第1実施形態(
図10参照)と同様に、ST301からST304の各処理を行う。
【0170】
そして、接続先候補に関する遮蔽履歴情報がある場合には(ST304でYes)、次に、接続先候補に関する遮蔽履歴情報と自装置の現在の位置情報とに基づいて、自装置の現在位置から遮蔽発生位置までの距離を算出する(ST311)。
【0171】
次に、現在位置から遮蔽発生位置までの距離と、ユーザ端末1の移動速度および移動方向とに基づいて、到達時間を算出して、到達時間が所定のしきい値より短いか否かを判定する(ST312)。
【0172】
ここで、到達時間がしきい値より短い場合、すなわち、近々に遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性がある場合には(ST312でYes)、遮蔽履歴情報があるセルを接続先候補から除外するように、接続先候補を選定する(ST307)。
【0173】
一方、到達時間がしきい値より短くない場合、すなわち、近々に遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性がない場合には(ST312でNo)、遮蔽履歴情報があるセルを接続先候補から除外しないように、接続先候補を選定する(ST308)。
【0174】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図14は、第3実施形態に係るユーザ端末1で行われる接続先制御の概要を示す説明図である。
【0175】
前記の各実施形態では、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性を判定して、接続先のセルを制御するようにしたが、本実施形態では、接続先のビームを制御する。本実施形態の制御内容は、前記の各実施形態と同様であり、前記の各実施形態におけるセルをビームに置き換えることができる。
【0176】
例えば、接続先の変更では、現在接続中のビームに関して、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性を判定して、現在接続中のビームに危険性がある場合に、接続先のビームを変更するように制御する。これにより、接続先を、現在接続中のビームから、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性がない安全な別のビームに切り替える。
【0177】
図14(A)に示す例では、ユーザ端末1が、現在接続中のビームB1に関する遮蔽発生位置の近傍に到達すると、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性がない安全なビームB2に、接続先を切り替える。
【0178】
また、ユーザ端末1が現在接続中のビームの境界に到達して、接続先を切り替える際に、接続先候補(遷移先)のビームに関して、遮蔽による無線品質の劣化が発生する危険性を判定して、危険性があるビームを接続先候補から除外するように制御する。
【0179】
図14(B)に示す例では、ユーザ端末1が現在接続中のビームB1の境界に到達すると、接続先のビームを隣接するビームB2に切り替えることになるが、接続先候補のビームB2に関する遮蔽発生位置の近傍にユーザ端末1が位置することになるため、危険性があるビームB2を接続先候補から除外するように制御し、これにより、危険性がないビームB3に接続先が遷移する。
【0180】
本実施形態では、ユーザ端末1の記憶部34に、第1実施形態(
図4)と同様に、履歴データベースの登録情報が記憶されるが、本実施形態では、履歴データベースに、ビーム情報(ビームIDなど)が登録される。
【0181】
なお、本実施形態では、接続先のビームを制御するビーム制御を行うようにしたが、このビーム制御と、前記の各実施形態で示したセル制御とを組み合わせた制御を行うようにしてもよい。
【0182】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
【0183】
第1実施形態では、ユーザ端末1が遮蔽発生位置に近づいて、遮蔽による無線品質の劣化が予測される危険な状態になると、事前に安全な接続先に遷移するように接続先を制御するようにしたが、本実施形態では、通信帯域の急激な縮小が予測される危険な状態になると、事前に現在の伝送レートを適切な伝送レートに低下させるように制御する。これにより、実帯域縮小前に送信データの帯域を事前に縮小させておくため、実帯域が縮小された後、ネットワーク上にパケットが滞留してしまう事がなくなり、映像が停止することを防ぐことができる。
【0184】
また、本実施形態では、通信履歴情報として、過去の通信時に取得した各位置での伝送レートを履歴データベースに登録して、この通信履歴情報に基づいて、現在から所定時間経過したときの自装置の位置である到達予測位置における予測伝送レートを取得し、その予測伝送レートでデータを送受信する。
【0185】
また、本実施形態では、現在の伝送レートと到達予測位置の予測伝送レートとの差が所定のしきい値より大きいか否かに応じて、許容限度を超える通信帯域の縮小が発生する危険性を判定する。
【0186】
次に、第4実施形態に係るユーザ端末1の概略構成について説明する。
図15は、ユーザ端末1の概略構成を示すブロック図である。
図16は、第4実施形態に係る履歴データベースに登録される通信履歴情報の一例を示す説明図である。
【0187】
ユーザ端末1は、第1実施形態(
図4)と同様に、無線通信部31と、位置情報取得部32と、制御部33と、記憶部34と、を備えている。
【0188】
記憶部34は、履歴データベースの登録情報を記憶する。この履歴データベース(
図16参照)には、過去にユーザ端末1が通信を行った際のユーザ端末1の日付、時間、位置、RAT、周波数、セルID、ビーム識別子、移動方向、無線品質、無線品質の変動率、周辺との最大無線品質差、およびRLF判定結果に加えて、アプリケーション情報(アプリ情報)、伝送レート、パケットロス数、RTTが、通信履歴情報として登録される。
【0189】
制御部33は、無線制御部61と、アプリケーション部62と、端末状態取得部63と、履歴情報登録部64と、履歴情報取得部65と、伝送レート制御部66と、を備えている。
【0190】
無線制御部61は、無線通信部31で行われる無線通信を制御し、無線品質情報などに基づいて、適切な接続先(マクロセルの基地局3、スモールセルの基地局4、無線LANの基地局5)を選択する。
【0191】
アプリケーション部62は、アプリケーションの内容に応じた処理を実行し、無線通信部31を介してサーバ2とデータを送受信する。
【0192】
端末状態取得部63は、端末状態情報として、自装置の現在の位置情報、および現在の移動情報(移動速度および移動方向)などを取得する。
【0193】
履歴情報登録部64は、過去に通信を行った際の位置情報、およびその他の通信状況に関する情報(接続先、無線品質、および伝送レートなど)を、通信履歴情報として、記憶部34の履歴データベースに登録する。
【0194】
履歴情報取得部65は、伝送レート制御部66からの問い合わせに応じて、指定された位置(到達予測位置)に関する通信履歴情報を、記憶部34の履歴データベース(
図16参照)の中から検索して取得する。このとき、指定された位置(到達予測位置)と同位置で同じアプリケーション情報を持つ通信履歴情報の中から、一定品質(パケットロス率が一定値以下、伝送遅延が一定値以下等)の通信履歴情報を取得するようにする。該当する通信履歴情報が複数ある場合には、最も新しい履歴情報を取得するようにしてもよい。または、複数の通信履歴情報の中から、最大値の伝送レートを持つ通信履歴情報を取得するようにしてもよい。これは、例えばセキュリティ監視映像を送信する場合に適している。あるいは、無線品質の良い上位の通信履歴情報を平均化した通信履歴情報を、伝送レート制御部66に通知するようにしてもよい。これは、例えばエンタメ映像を送信する場合に適している。
【0195】
なお、通信履歴情報にアプリケーション情報がない場合、または、ユーザ端末1で通信中のアプリケーションと一致するアプリケーション情報が通信履歴情報にない場合は、到達予測位置に該当する通信履歴情報の中の伝送レートの最大値に対して一定範囲小さい伝送レートを持つ通信履歴情報を取得するようにするとよい。
【0196】
伝送レート制御部66は、履歴情報取得部65で取得した通信履歴情報と、自装置の現在の伝送レートとに基づいて、データを送受信する伝送レートを制御する。本実施形態では、現在から所定時間経過したときの自装置の位置である到達予測位置に関して、許容限度を超える通信帯域の縮小が発生する危険性を判定して、その危険性の判定結果に応じて、伝送レートを制御する。
【0197】
特に本実施形態では、通信履歴情報に基づいて、到達予測位置における予測伝送レートを取得して、その予測伝送レートでデータを送受信する。また、現在の伝送レートよりも予測伝送レートの方が所定のしきい値以上小さい場合に、許容限度を超える通信帯域の縮小が発生する危険性があると判定する。
【0198】
次に、第4実施形態に係るユーザ端末1の動作手順について説明する。
図17は、ユーザ端末1の動作手順を示すフロー図である。
図18は、ユーザ端末1の動作手順を示すシーケンス図である。
【0199】
伝送レート制御部66では、まず、自装置の現在の位置情報を端末状態取得部63から取得する(ST401)。また、自装置の移動速度および移動方向を端末状態取得部63から取得する(ST402)。また、通信中のアプリケーションに関するアプリケーション情報(映像、音声通話、ゲーム、FTPなど)を、アプリケーション部62から取得する(ST403)。
【0200】
次に、自装置の現在の位置情報と、自装置の移動速度および移動方向とに基づいて、所定時間経過後の到達予測位置、すなわち、現在から所定時間(例えば10s)だけ経過したときにユーザ端末1が到達する位置を算出する(ST404)。
【0201】
次に、到達予測位置に関する通信履歴情報があるか否かを履歴情報取得部65に問い合わせる(ST405)。このとき、履歴情報取得部65では、記憶部34に記憶された履歴データベースを検索して、到達予測位置に同じアプリケーション情報に該当する履歴情報がある場合には、その履歴情報を取得する。
【0202】
ここで、到達予測位置に関する通信履歴情報がある場合には(ST405でYes)、次に、その通信履歴情報に含まれる伝送レートを、到達予測位置での予測伝送レートとして取得する(ST406)。
【0203】
次に、予測伝送レートが現在の伝送レートよりも所定のしきい値Th以上小さいか否かを判定する(ST407)。
【0204】
ここで、予測伝送レートが現在の伝送レートよりもしきい値Th以上小さい場合には(ST407でYes)、アプリケーション部62においてデータ(映像データ)の伝送レートを予測伝送レートに調整するように、予測伝送レートをアプリケーション部62に通知する(ST408)。
【0205】
一方、到達予測位置に関する通信履歴情報がない場合や(ST405でNo)、予測伝送レートが現在の伝送レート以上である場合および予測伝送レートが現在の伝送レートよりも小さいが、その差がしきい値Th以上でない場合には(ST407でNo)、許容限度を超える通信帯域の縮小が発生する危険性がないので、特に処理を行わずに終了する。なお、予測伝送レートが現在の伝送レートより大きい場合は、事前に伝送レートを大きくしてしまうと、帯域が現在の実帯域を越えてしまうため、現状維持でよい。
【0206】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
【0207】
第4実施形態では、通信履歴情報として、過去の通信時に取得した各位置での伝送レートを履歴データベースに登録して、この通信履歴情報に基づいて、現在から所定時間経過したときの自装置の位置である到達予測位置における予測伝送レートを取得し、その予測伝送レートでデータを送受信するようにしたが、本実施形態では、通信履歴情報として、各位置での接続先を履歴データベースに登録して、この通信履歴情報に基づいて、到達予測位置における接続先を取得し、その接続先に対応する伝送レートでデータを送受信する。
【0208】
また、第4実施形態では、現在の伝送レートと到達予測位置の予測伝送レートとの差が所定のしきい値より大きいか否かに応じて、許容限度を超える通信帯域の縮小が発生する危険性を判定するようにしたが、本実施形態では、到達予測位置における予測接続先の通信容量が、現在の接続先の通信容量より小さいか否かに応じて、危険性を判定する。すなわち、20Gbps程度と通信容量の大きい現在接続先の5Gのセルから、300Mbps程度と通信容量の小さいLTEのセルに接続先が変更されると、それぞれ100人の通信中のユーザがいたとして、ユーザが使用可能な通信帯域は、5Gセルの200Mbpsから3Mbpsに低下することになる。このように、予測接続先の方が低容量の場合、現在通信中の送信帯域を収容できなくなり、パケットの滞留が発生して映像品質が低下するという危険がある。
【0209】
本実施形態では、ユーザ端末1の記憶部34が、第4実施形態(
図15、
図16)と同様に、履歴データベースの登録情報を記憶するが、本実施形態では、履歴データベースに、各位置における接続先が登録されている。また、記憶部34は、伝送レートテーブル(
図19)を記憶する。
【0210】
次に、第5実施形態に係る伝送レートテーブルについて説明する。
図19は、伝送レートテーブルの一例を示す説明図である。
【0211】
ユーザ端末1の伝送レート制御部66では、通信履歴情報に基づいて、到達予測位置における接続先を取得し、その接続先に対応する伝送レートでデータを送受信する。このとき、本実施形態では、記憶部34に記憶された伝送レートテーブル(伝送レート設定情報)に基づいて、予測接続先に対応する伝送レートを取得する。
【0212】
伝送レートテーブルには、接続先のRAT(Radio Access Technology)に応じた伝送レートが登録されている。
図19に示す例では、LTE(Long Term Evolution)、ならびにIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)で策定された無線LANに関する規格である802.11acおよび802.11adの各RATに応じた伝送レートが登録されている。
【0213】
次に、第5実施形態に係るユーザ端末1の動作手順について説明する。
図20は、ユーザ端末1の動作手順を示すフロー図である。
【0214】
伝送レート制御部66では、第4実施形態(
図17参照)と同様に、ST401からST405の各処理を行う。なお、通信履歴情報にアプリケーション情報がない場合、または、ユーザ端末1で通信中のアプリケーションと一致するアプリケーション情報が通信履歴情報にない場合は、到達予測位置に該当する通信履歴情報を取得すればよい。
【0215】
そして、到達予測位置に関する通信履歴情報がある場合には(ST405でYes)、次に、その通信履歴情報に含まれる接続先を、到達予測位置での予測接続先として取得する(ST411)。
【0216】
次に、予測接続先の通信容量と現在の接続先の通信容量とを比較して、予測接続先が現在の接続先より低容量か否かを判定する(ST412)。
【0217】
ここで、予測接続先が現在の接続先より低容量である場合には(ST412でYes)、伝送レートテーブルに基づいて、予測接続先に対応する伝送レートを予測伝送レートとして取得する(ST413)。
【0218】
次に、アプリケーション部62においてデータ(映像データ)の伝送レートを予測接続先の伝送レートに調整するように、予測伝送レートをアプリケーション部62に通知する(ST408)。
【0219】
一方、到達予測位置に関する通信履歴情報がない場合や(ST405でNo)、予測接続先が現在の接続先より低容量でない場合には(ST412でNo)、特に処理を行わずに終了する。なお、予測接続先が現在の接続先より高容量である場合は、事前に送信帯域を拡大してしまうと、送信帯域が現在の実帯域を越えてしまうため、現状維持でよい。
【0220】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0221】
例えば、前記の実施形態では、ユーザ端末が、自装置に関する遮蔽履歴情報を蓄積して、その遮蔽履歴情報に基づいて接続先を制御するようにし、また、自装置に関する通信履歴情報を蓄積して、その通信履歴情報に基づいて伝送レートを制御するようにしたが、各ユーザ端末の遮蔽履歴情報や通信履歴情報を、ネットワーク内の通信制御装置にアップロードして、ネットワーク経由で他のユーザ端末と共有するようにしてもよい。
【0222】
また、前記の実施形態では、遮蔽履歴情報や通信履歴情報に基づく制御(危険性の判定、接続先の選択、伝送レートの選択など)をユーザ端末で行うようにしたが、ネットワーク内の通信制御装置にアップロードされた遮蔽履歴情報や通信履歴情報に基づいて、必要な制御の全部または一部をネットワーク内の通信制御装置が行うようにしてもよい。