(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6969928
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F01L 3/16 20060101AFI20211111BHJP
F01L 3/08 20060101ALI20211111BHJP
F01L 3/20 20060101ALI20211111BHJP
F02F 1/28 20060101ALI20211111BHJP
F02F 1/36 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
F01L3/16 A
F01L3/08 Z
F01L3/20 C
F02F1/28
F02F1/36 A
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-159151(P2017-159151)
(22)【出願日】2017年8月22日
(65)【公開番号】特開2018-40350(P2018-40350A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2020年3月16日
(31)【優先権主張番号】10 2016 116 802.5
(32)【優先日】2016年9月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・ダイゼンホーファー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ゼンゲン
【審査官】
菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−001511(JP,U)
【文献】
実開昭50−079830(JP,U)
【文献】
実公昭47−005311(JP,Y1)
【文献】
特開昭60−011606(JP,A)
【文献】
実開昭57−005903(JP,U)
【文献】
米国特許第04184328(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 3/00
F02F 1/00
F01P 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(40)であって、
シリンダーヘッド(41)と、
少なくとも一つのシリンダーと、を備え、
各シリンダーのための前記シリンダーヘッド(41)には、吸気側それぞれにおける給気用の少なくとも一つのガス交換バルブと、排気側それぞれにおける排気ガス用の少なくとも一つのガス交換バルブ(42)と、が収容されており、
各ガス交換バルブは、バルブボディ(45)およびこのバルブボディ(45)と相互作用するバルブシートリング(46)を支持するバルブガイド(44)内に取り付けられたバルブステム(43)を備えており、
各シリンダーのための前記シリンダーヘッド(41)は、前記吸気側におけるそれぞれの前記ガス交換バルブと相互作用する給気用の吸気ポート(55)と、前記排気側におけるそれぞれの前記ガス交換バルブ(42)と相互作用する排気ガス用の排気ポート(50)と、を備え、
それぞれの前記バルブガイド(44)の外面には空気通路(57)が形成され、該空気通路(57)には給気供給源または圧縮空気供給源から空気が供給可能であり、
それぞれの前記バルブガイド(44)の下部において、それぞれの前記バルブガイド(44)とそれぞれの前記バルブステム(43)との間にはギャップ(52)が形成され、
それぞれの前記バルブガイド(44)には、前記空気通路(57)と前記ギャップ(52)とを連通させる少なくとも一つの空気ガイドボア(51)が導入されており、
それぞれの前記バルブガイド(44)とそれぞれの前記バルブステム(43)との間の前記ギャップ(52)を介して、それぞれの前記排気ポート(50)がエアフラッシュされる
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記空気ガイドボア(51)と前記空気通路(57)とは、それぞれの前記バルブガイド(44)の外面に設けられた少なくとも一つの溝(54)を介して連通していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
それぞれの前記バルブガイド(44)内に導入される前記バルブガイド(44)の前記空気ガイドボア(51)は、前記シリンダーヘッド(41)のボア(56)を介してそれぞれの前記シリンダーの給気のための給気ポート(55)と連通することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関。
【請求項4】
それぞれの前記バルブガイド(44)に前記空気ガイドボア(51)が複数導入されており、これら空気ガイドボア(51)は、前記バルブボディ(45)に対向する方向に収束するよう軸方向および半径方向に関して傾斜していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記バルブシートリング(46)は少なくとも一つの冷却水溝を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、シリンダーヘッド2およびシリンダーヘッド2に収容されたれた排気側におけるガス交換バルブ3の領域における内燃機関1の一部を示している。さらに、横方向には、排気側におけるガス交換バルブ3に隣接して、吸気側におけるガス交換バルブ4が断面で示されている。吸気側におけるガス交換バルブ4によって、それぞれの燃焼室に給気を供給することができる。排気側におけるそれぞれのガス交換バルブ3によって、排気ガスを各シリンダーの燃焼室から排出することができる。シリンダー内で燃焼させられる燃料は、図示していないインジェクターを介して、それに優先的に供給される。排気側におけるガス交換バルブ3のうち、バルブステム5、バルブボディ6、バルブガイド7およびバルブシートリング8が示されている。排気ガイドにおけるガス交換バルブ3のバルブステム5はバルブガイド7内で上下に可動的にガイドされ、これによってバルブステム5は、バルブステム5に支持されたバルブボディ6と共にストローク運動を行うことができる。排気側におけるガス交換バルブ3が閉じた状態では、バルブボディ6のセクション9はバルブシートリング8によって提供されるバルブシート10に当接する。ガス交換バルブ3の開放状態では、バルブボディ6のセクション9はスプリングシートリング8のバルブシートから持ち上げられる。シリンダーヘッド2は、吸気側におけるそれぞれのガス交換バルブ4と相互作用する給気のための吸気ポート11と、各シリンダーのための排気側におけるガス交換バルブ3と相互作用する排気ガスのための排気ガスポート12とを提供する。特に、吸気側におけるそれぞれのガス交換バルブ4が開かれたとき、吸気ポート11から来る給気は、それぞれのシリンダーの燃焼室に流入することができる。特に、排気側におけるそれぞれのガス交換バルブ3が開放されたとき、排気ガスは、それぞれの燃焼室からそれぞれの排気ポート12へと流出することができる。
【0003】
図1はさらに、排気側においてガス交換バルブ3と相互作用するスプリング要素13を示している。スプリング要素13は、それぞれのガス交換バルブ用のバルブタイミングギアの一部である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
性能密度が高く、しかもより厳しいミラー燃焼法を伴う内燃機関の場合、供給される燃料量および圧縮比は、ますます大きくなる。とりわけ、直接噴射式内燃ディーゼル機関の場合、これによって、いわゆる噴射噴霧パターンがガス交換バルブのような燃焼室側のコンポーネントにより近づくことになり、この結果、それはより高い温度にさらされる。これは、特に排気側のガス交換バルブにあてはまる。したがって、内燃機関のガス交換バルブ、特に排気側のガス交換バルブをより良く冷却することが強く求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑みて、本発明は、それを用いて特に排気側のガス交換バルブの良好な冷却が可能な新規なタイプの内燃機関を創出するという目的に基づく。
【0006】
この目的は請求項1に記載の内燃機関によって解決される。本発明によれば、排気側のそれぞれのガス交換バルブと相互作用する排気ポートはエアフラッシュされる。本発明では、排気側のそれぞれのガス交換バルブと相互作用する排気ガスのためのそれぞれの排気ポートがエアフラッシュされることが提案される。排気ガスと比較して相対的に冷たい空気を、特に排気側のガス交換バルブが閉じられた排気ポート内に吹き込むことにより、高温の排気ガスを排気ポートから排気ラインに押し出すことができ、これによって排気側のガス交換バルブから遠ざけることができる。これにより、特に排気側のガス交換バルブの効果的な冷却が可能となる。
【0007】
排気側のそれぞれのガス交換バルブと相互作用する排気ポートは、内燃機関の給気供給源から分岐させることができる給気によって、または内燃機関の別個の圧縮空気供給源から分岐させられることによって利用可能となり得る圧縮空気によってフラッシュされる。各排気ポートの給気によるエアフラッシュは、別個の圧縮空気供給源が必要とされないという利点を有する。別個の圧縮空気供給源によって利用可能となる圧縮空気による各排気ポートのエアフラッシュは、圧縮空気供給源によって排気ガス圧力よりも高いエアフラッシュのための圧力を常に提供できるという利点を有する。
【0008】
本発明の第1の有利なさらなる展開によれば、バルブステムの軸方向に延びる空気ガイドボアと、その半径方向にあるいは概ねその半径方向に延びる少なくとも一つの空気ガイドボアと、溝とが外面においてバルブステムに導入され、半径方向にあるいは概ね半径方向に延びるそれぞれの空気ガイドボアは、軸方向に延びる空気ガイドボアおよび溝と連通する。それぞれのバルブガイドには、その半径方向にあるいは概ねその半径方向に延びる少なくとも一つの空気ガイドボアが導入されており、この少なくとも一つの空気ガイドボアには給気供給源または圧縮空気供給源から空気を供給することができ、かつ、少なくとも一つの空気ガイドボアは、バルブステムのストローク位置とは関係なく、バルブステムの溝と連通する。バルブステムの軸方向に延びるバルブステムの空気ガイドボアは、バルブボディの領域においてバルブボディの空気ガイドボアを介してそれぞれの排気ポート内へと開口し、これによって、一方では、それぞれの排気ポートをエアフラッシュし、他方ではそれぞれのバルブボディを空気冷却する。したがって、本発明のこの第1の有利なさらなる展開では、空気でフラシュすることができる各排気ポートだけでなく、それぞれのバルブボディもまた空気冷却される。
【0009】
本発明の第2の有利なさらに別の展開によれば、少なくとも一つの空気ガイドボアが少なくとも一つのバルブガイド内に導入されるが、これには、給気供給源または圧縮空気供給源から空気を供給することができ、かつ、それはそれぞれのバルブガイドとそれぞれのバルブステムとの間のギャップと連通し、それぞれのバルブガイドとそれぞれのバルブステムとの間のギャップを介して、それぞれの排気ポートがエアフラッシュされる。本発明のこの有利なさらなる展開形態は構造の点で簡単である。
【0010】
本発明の第3の有利なさらに展開によれば、少なくとも一つの空気ガイド溝が、それぞれのバルブシートリング内に導入され、これには、給気供給源または圧縮空気供給源から空気を供給することができ、かつ、それは、それぞれのバルブシートリングとシリンダーヘッドとの間のギャップを介して、またはバルブシートリングのボアを介して、それぞれの排気ポートと連通し、それぞれのバルブシートリングとシリンダーヘッドとの間のギャップまたはバルブシートリングのボアを介して、それぞれの排気ポートはエアフラッシュされる。本発明のこのさらなる展開はまた構造に関して簡単であり、そしてまた、それぞれのバルブボディの空気冷却を可能にする。
【0011】
本発明の好ましいさらなる展開は従属請求項および以下の説明から得られる。本発明の例示的な実施形態について、これに限定されることなく、図面を用いて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】排気側のガス交換バルブの領域における従来技術に係る内燃機関を通る引用としての断面図である。
【
図2a】本発明に係る第1の内燃機関の詳細図である。
【
図2b】本発明に係る第1の内燃機関の詳細図である。
【
図2c】本発明に係る第1の内燃機関の詳細図である。
【
図3a】本発明に係る第2の内燃機関の詳細図である。
【
図3b】本発明に係る第2の内燃機関の詳細図である。
【
図3c】本発明に係る第2の内燃機関の詳細図である。
【
図3d】本発明に係る第2の内燃機関の詳細図である。
【
図4a】本発明に係る第3の内燃機関の詳細図である。
【
図4b】本発明に係る第3の内燃機関の詳細図である。
【
図5a】本発明に係る第4の内燃機関の詳細図である。
【
図5b】本発明に係る第4の内燃機関の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2aないし
図2cは、シリンダーヘッド21の、そしてシリンダーヘッド21内に収容された内燃機関のシリンダーの排気側におけるガス交換バルブ22の領域における本発明に係る第1の内燃機関20の詳細を示している。排気側におけるガス交換バルブ22のうち、バルブステム23、バルブガイド24、バルブボディ25およびバルブシートリング26が示されている。バルブステム23は、バルブタイミングギアを介して制御されるバルブボディ25がストローク運動を行うことができるように、バルブガイド24内で上下に可動的にガイドされる。バルブタイミングギアのうちスプリング要素27が示されている。特に、ガス交換バルブ22が閉じられているとき、バルブボディ25のセクション28はバルブシートリング26のバルブシート29に当接している。これに対して、特に、ガス交換バルブ22が開かれているとき、バルブボディ25のセクション28はバルブシートリング26のバルブシート29から持ち上げられる。この場合、排気ガスは、排気側の開放されたガス交換バルブを介して、シリンダーの燃焼チャンバーから、排気側におけるガス交換バルブ22と相互作用する排気ガス用の排気ポート30内へと流入できるが、ここではシリンダーヘッド21がこの排気ポート30を提供する。排気側におけるガス交換バルブ22と相互作用する排気ポート30は、本発明によれば、排気ガスを排気ポート30から排気ラインへと押し出し、これによって高温排気ガスをガス交換バルブ22から遠ざけるためにエアフラッシュされる。排気ポート30のエアフラッシュは給気または別個の圧縮空気によって実施することができるが、ここで給気は内燃機関の空気供給システムから分岐させることができ、そして圧縮空気は内燃機関の別個の圧縮空気供給源によって供給することができる。
【0014】
図2aないし
図2cに示す例示的な実施形態では、空気ガイドボア31(
図2b参照)が、その軸方向に延びるバルブステム23内に導入されている。さらに、バルブステム31の半径方向に優先的に延びる複数の空気ガイドボア32がその中に導入されており、半径方向に延びる空気ガイドボア32は、一方では、軸方向に延びる空気ガイドボア31と連通し、そして他方では、特に旋削リセスの形態のバルブステム23の外面に形成された溝33と連通する。
【0015】
バルブガイド24において、半径方向に優先的に延びる複数の空気ガイドボア34が同様に導入されている。バルブガイド24の空気ガイドボア34には、空気供給源または圧縮空気供給源からの空気を供給することができ、ここで、バルブガイド24の空気ガイドボア34は、バルブステム23のストローク位置とは無関係にバルブステム23の溝33と連通しており、この結果、バルブステム23のいかなる位置でも、バルブガイド24の空気ガイドボア34からの空気は、バルブステム23の空気ガイドボア32を介して、バルブステム23の空気ガイドボア31内に入ることができる。バルブステム23の軸方向に延びるバルブステム23の空気ガイドボア31は、実質的に半径方向に延びるバルブボディ25(
図2a参照)の空気ガイドボア35を介して、バルブシートリング26の領域において、それぞれの排気ガスポート30内に開口するが、ここで、空気ガイドボア35を介してバルブボディ25から現れかつ排気ポート30に入る空気によって、それぞれの排気ポート30は、一方では、エアフラッシュすることができ、それぞれのバルブボディ25は、他方では、空気冷却することができる。
図2cによれば、空気ガイドボア34,32および31の空気供給はシリンダーヘッド21のボア36を介して行われるが、これは、給気のためのシリンダーヘッド21の吸気チャンバー37と連通し、したがって吸気チャンバー37から給気を分岐させ、エアフラッシュのために空気ガイドボア34の方向にそれを導く。したがって、
図2aないし
図2cの例示的な実施形態では、空気は、バルブガイド24およびバルブステム23を介して、ガス交換バルブ22のバルブボディ25の方向に導かれる。このために、バルブステム23は、軸方向に延びる空気ガイドボア31と、好ましくは半径方向に優先的に延びる複数の空気ガイドボア32とを有する。バルブガイド24は、好ましくは半径方向に同様に優先的に延びる複数のガイドボア34を備える。バルブステム23の外面の溝33によって、ガス交換バルブのストローク位置にかかわらず、冷却空気を確実に上述した空気ガイドボアに供給することができ、かつ、冷却空気は確実にバルブステム23およびバルブボディ25の領域に入ることができるようになる。
【0016】
本発明に係る内燃機関40の第2の例示的な実施形態の詳細が
図3a,3bおよび3cに示されており、ここで
図3aは、シリンダーヘッド41およびシリンダーヘッド41内に受け入れられてガイドされる排気側のガス交換バルブ42の領域における内燃機関40の一部を示している。排気側のガス交換バルブ42のうち、バルブステム43、バルブガイド44、バルブボディ45およびバルブシートリング46が示されている。バルブステム43は、バルブタイミングギアによって開始される動作から独立して、上下に運動することができるが、ここではバルブタイミングギアのうちスプリングエレメント47のみが示されている。特にガス交換バルブ42が閉鎖されているとき、バルブボディ45のセクション48はバルブシートリング46のバルブシート49に当接する。対照的に、ガス交換バルブ42が開かれると、バルブボディ45のセクション48がバルブシートリング46のバルブシート49から持ち上げられ、この結果、排気ガスは、各シリンダーの燃焼室から排気側のガス交換バルブ42と相互作用する排気ガス用の排気ポート50へと流出できる。
図3aないし
図3cにおいては、排気ポート50のエアフラッシュのために、少なくとも一つの空気ガイドボア51がバルブステム43のためのバルブガイド44に導入され、好ましくは複数の空気ガイドボア51がバルブガイド44に導入されるが、これは、軸方向および半径方向に関して、それらの軸線が180°と等しくない所定の角度αを含むように傾斜させられている。
図3bによれば、これらの空気ガイドボア51の軸線は、バルブボディ45に対向する方向に収束する。バルブガイド44の空気ガイドボア51には、給気供給源または圧縮空気供給源からの空気を供給できるが、ここで、バルブガイド44の空気ガイドボア51は、バルブガイド44とバルブステム43との間のバルブガイド44の下側セクションに形成されたギャップ52と連通している。このギャップ52によって、それぞれのバルブガイド44とそれぞれのバルブステム43との間で、排気ガス用のそれぞれの排気ポート50をエアフラッシュすることができる。これにより、排気ガスを排気ポート50から排気ラインに押し出すことができる。
【0017】
図3a、
図3b、
図3cおよび
図3dの例示的な実施形態では、環状ギャップ52を形成するためにバルブガイド44に内面が導入されるが、これはバルブガイド44とバルブステム43との間にギャップ52を画定する。
【0018】
図3bから、さらに、バルブガイド44の中にさらなる溝
54が外部において導入されることが明らかである。バルブガイド44の空気ガイドボア51はギャップ52および溝54と連通している。溝54には、そして溝54を介して空気ガイドボア51には、既に説明したように給気供給源あるいは圧縮空気供給源からの空気を供給することができる。
図3cのセクションから明らかなように、
図3a、
図3b、
図3cおよび
図3dの例示的な実施形態におけるエアフラッシュは給気によって、すなわち、それぞれのシリンダーの吸気ポート55から分岐させられ、この吸気ポート55を出て、シリンダーヘッド41および空気通路57の空気ガイドボア56を介してバルブガイド44の溝
54の方向に導かれる給気によって実施される。既に説明したように、バルブガイド44の溝54から出た空気は、空気ガイドボア51を介してギャップ52内へと、そしてギャップ52から排気ポート50へと流れる。
図2aないし
図2cの例示的実施形態では、排気ポート30のエアフラッシュに加えてバルブボディ25は空気で直接冷却することもできるが、
図3aないし
図3dの例示的実施形態では、排気ポート50のエアフラシュのみが実施される。
【0019】
図4aおよび
図4bは、本発明に係るさらなる内燃機関60の詳細を示しており、
図4aは、シリンダーヘッド61、排気側のガス交換バルブ62および吸気側のガス交換バルブ63の領域における内燃機関60の一部を示している。両方のガス交換バルブ62,63はシリンダーヘッド61内でガイドされる。排気ガス用の排気ポート64は、排気側のガス交換バルブ62と相互作用する。給気用の吸気ポート65は、吸気側のガス交換バルブ63と相互作用する。特に吸気側のガス交換バルブ63が開放されると、吸気ポート65から出る給気はそれぞれのシリンダーの燃焼室に入ることができる。特に排気側のガス交換バルブ62が開放されると、排気ガスは各シリンダーの燃焼室から排気ポート64へと流出することができる。
【0020】
図4aは、排気側におけるガス交換バルブ62のバルブステム66を示しており、このバルブステム66はバルブボディ67を有し、そしてバルブガイド68内でガイドされている。さらに
図4aは、吸気側におけるガス交換バルブ63のバルブステム69を示しており、これはバルブボディ70を有し、そしてバルブガイド71内でガイドされている。吸気側におけるガス交換バルブ63のうちバルブシートリング72がさらに示されており、一方、
図4aは同様に、排気側におけるガス交換バルブ62のバルブシートリング73を示している。
【0021】
排気側のガス交換バルブ62と相互作用する排気ポート64をエアフラッシュするために、
図4aおよび
図4bの例示的な実施形態では、バルブシートリング73に少なくとも一つの空気ガイド溝74が導入される。
図4bによれば、互いに重なり合って配置された二つの空気ガイド溝74がバルブシートリング73に導入されるが、これは開口75を介して互いに連通している。
【0022】
図4bに示すバルブシートリング73の上側空気ガイド溝74には、排気ポート64をエアフラッシュするための空気、すなわち給気供給源または圧縮空気供給源からの給気または圧縮空気を供給することができるが、上側空気ガイド溝74に供給されるこの空気は開口75を通り、下側空気ガイドボア74を通って流れ、この下側空気ガイド溝75から出た後、排気ポート50内へと、優先的にはバルブシートリング73の領域において半径方向に延びる複数の空気ガイドボア76を通って流れる。このため、一方では、排気ガスは排気ポート64から押し出され、そして他方では、排気側のガス交換バルブ62のバルブボディ67を空気冷却することができる。
【0023】
図4aから最もよく分かるように、空気、すなわち給気は、吸気ポート65から別れるシリンダーヘッド61の空気ガイドボア77を介して、ガス交換バルブ62のバルブシートリング73の上側空気ガイド溝74に供給することができる。
【0024】
図2aないし
図2cおよび
図3aないし
図3cの例示的な実施形態では、バルブシートリング26および46はそれぞれ、従来技術においては通常のことであるように水冷されるが、これは
図4aないし
図4dの例示的実施例には当てはまらない。したがって、
図4aおよび
図4bでは、排気側の図示されるガス交換バルブ62のバルブシートリング73は水冷されない。しかしながら、吸気側のガス交換バルブ63のバルブシートリング72を水冷することができる。したがって、
図4aおよび
図4bの例示的な実施形態では、給気は、吸気側のガス交換バルブ63の吸気ポート65から分岐させられ、排気側のガス交換バルブ62のバルブシートリング73の方向に導かれる。給気は、ボア77を通ってバルブシートリング73の空気ガイド溝74の領域へと、そして空気ガイドボア76を通ってバルブボディ67に隣接する排気ポート64へと流れる。空気はバルブボディ67の表面を流れ、それを冷却する。排気ポート64からは排気ガスが押し出される。
【0025】
本発明に係る内燃機関のさらなる例示的な実施形態が
図5aおよび
図5bに示されており、
図5aおよび
図5bの例示的な実施形態は、不必要な繰り返しを避けるために同一のアセンブリに対して同じ参照数字が使用され、これらのアセンブリに関する上記説明が参照されるよう、
図4aおよび
図4bの例示的な実施形態に実質的に対応する。以下では、
図5aおよび
図5bの例示的な実施形態が
図4aおよび
図4bの例示的な実施形態とは異なる細部についてのみ、
図5aおよび
図5bの例示的な実施形態について説明する。
図5aおよび
図5bの例示的な実施形態では、シリンダーヘッド61のボア77を介して吸気チャンバー65から出る空気は、バルブシートリング73の空気ガイド溝74に供給することができるが、
図5aおよび
図5bにおいては、
図4aおよび
図4bの例示的な実施形態とは対照的に、空気ガイド溝74の領域に導かれたこの空気は、バルブシートリング73のさらなる溝に導かれるのではなく、バルブシートリング73とシリンダーヘッド61との間のギャップ74を介して排気ポート64内へと流れる。このギャップ78はバルブボディ67から離間しているので、吸気チャンバー65から分岐した給気は、
図5aおよび
図5bの例示的な実施形態では、主として排気ポート64のエアフラシュに役立つが、
図4aおよび
図4bの例示的な実施形態のようにバルブボディ67の冷却には役立たない。
【0026】
図4aおよび
図4bの例示的な実施形態ではバルブシートリング73は専ら空気冷却されるが、
図5aおよび
図5bの例示的な実施形態では、バルブシートリング73は、空気ガイド溝74の領域では空気冷却され、そして冷却水溝79の領域では水冷される。したがって
図5aおよび
図5bの例示的な実施形態では、バルブシートリング73のハイブリッド冷却が保証される。
図2aないし
図3bにおいて、各シートリング26,46は従来技術のように水冷される。
【0027】
全ての例示的な実施形態によって、特に、排気側における内燃機関のガス交換バルブの効果的な冷却が可能である。本発明は、特にディーゼル機関と共に、特に船舶において使用されるような直接噴射型大型内燃ディーゼル機関と共に用いられる。
【符号の説明】
【0028】
1 内燃機関
2 シリンダーヘッド
3 ガス交換バルブ
4 ガス交換バルブ
5 バルブステム
6 バルブボディ
7 バルブガイド
8 バルブシートリング
9 セクション
10 バルブシート
11 吸気ポート
12 排気ポート
13 スプリングエレメント
20 内燃機関
21 シリンダーヘッド
22 ガス交換バルブ
23 バルブステム
24 バルブガイド
25 バルブボディ
26 バルブシートリング
27 スプリング要素
28 セクション
29 バルブシート
30 排気ポート
31 空気ガイドボア
32 空気ガイドボア
33 溝
34 空気ガイドボア
35 空気ガイドボア
36 空気ガイドボア
37 吸気ポート
40 内燃機関
41 シリンダーヘッド
42 ガス交換バルブ
43 バルブステム
44 バルブガイド
45 バルブボディ
46 バルブシートリング
47 スプリング要素
48 セクション
49 バルブシート
50 排気ポート
51 空気ガイドボア
52 ギャップ
54 溝
55 吸気ポート
56 空気ガイドボア
57 空気通路
60 内燃機関
61 シリンダーヘッド
62 ガス交換バルブ
63 ガス交換バルブ
64 排気ポート
65 吸気ポート
66 バルブステム
67 バルブボディ
68 バルブガイド
69 バルブステム
70 バルブボディ
71 バルブガイド
72 バルブシートリング
73 バルブシートリング
74 空気ガイド溝
75 開口
76 空気ガイドボア
77 空気ガイドボア
78 ギャップ
79 冷却水溝