(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6969930
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】プローブ
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20211111BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
G01R1/067 C
H01L21/66 B
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-161169(P2017-161169)
(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公開番号】特開2019-39756(P2019-39756A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】那須 美佳
【審査官】
島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−281583(JP,A)
【文献】
特開2013−024689(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/122068(WO,A1)
【文献】
特開2012−220451(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3090950(JP,U)
【文献】
米国特許第07491069(US,B1)
【文献】
特開2015−148561(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0197099(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0269999(US,A1)
【文献】
国際公開第2016/155936(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面を貫通する螺旋状の複数の切り込みが互いに交わらずに形成されたバネ部を有する管形状のバレルと、
前記バレルの端部の開口端から先端部が露出した状態で前記バレルに接合された棒形状のプランジャーと
を備え、
前記バネ部が、中心軸が同一のコイルバネをそれぞれ構成する複数の素線からなる多重螺旋形状であり、前記複数の素線の線径が互いに異なることを特徴とするプローブ。
【請求項2】
前記複数の素線がそれぞれ構成する前記コイルバネの少なくとも1つが、他の前記コイルバネよりも放熱性を高くした放熱用コイルバネであることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記放熱用コイルバネに、他の前記コイルバネの材料よりも熱伝導率が高い材料が使用されていることを特徴とする請求項2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記放熱用コイルバネが、
導電性を有する基体と、
前記基体よりも熱伝導率の高い材料からなり、前記基体に接触する放熱材と
を有することを特徴とする請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記放熱材が、前記基体に周囲を囲まれて前記基体の内部に埋め込まれていることを特徴とする請求項4に記載のプローブ。
【請求項6】
前記基体に埋め込まれた前記放熱材の表面の一部が、前記バネ部で前記バレルの表面に露出していることを特徴とする請求項4に記載のプローブ。
【請求項7】
前記基体に周囲を囲まれて前記基体の内部に埋め込まれた前記放熱材と、表面の一部が前記バレルの表面に露出した前記放熱材とが、前記基体の膜厚方向に積層されていることを特徴とする請求項4に記載のプローブ。
【請求項8】
前記放熱材が、前記基体の表面に全体が露出して配置されていることを特徴とする請求項4に記載のプローブ。
【請求項9】
前記放熱材が、前記基体の表面に全体が露出して配置された表面領域、及び前記表面領域と一部が接触して前記基体に埋め込まれた埋込領域を有することを特徴とする請求項4に記載のプローブ。
【請求項10】
前記放熱材が導電性を有することを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項11】
前記バネ部の最も外側に絶縁材料からなる絶縁層が配置されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項12】
前記複数の素線がそれぞれ構成する前記コイルバネの少なくとも1つが、他の前記コイルバネと異なる材料からなることを特徴とする請求項1に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の特性の測定に使用されるプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などの特性をウェハから分離しない状態で測定するために、プローブが用いられている。プローブを用いた検査では、プローブの一方の端部を被検査体に接触させ、プローブの他方の端部を、基板に配置されてテスタと電気的に接続された端子(以下において「ランド」という。)に接触させる。
【0003】
検査において、被検査体やランドとプローブとの電気的な接続を確保する必要がある。このため、プローブを強く被検査体に押し付けるためにオーバードライブ(OD)をかけたり、プローブを弾性変形させることによってプローブとランドにプリロードをかけたりしている。このため、弾性変形する部分をプローブに設ける構造が採用されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−281583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリロードとODの両方を1本のプローブの弾性変形によってかけるために、プローブの全長を長くすることが必要である。例えば、全長が8mm程度のプローブが使用されている。このような全長の長いプローブは、使用によって撓みが生じやすい。その結果、隣接するプローブ間での接触(以下において「隣接ショート」という。)が発生するという問題が生じていた。
【0006】
上記問題点に鑑み、本発明は、プローブ間の隣接ショートを抑制できるプローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、側面を貫通する螺旋状の複数の切り込みが互いに交わらずに形成されたバネ部を有する管形状のバレルと、バレルの端部の開口端から先端部が露出した状態でバレルに接合された棒形状のプランジャーとを備え、バネ部が、中心軸が同一のコイルバネをそれぞれ構成する複数の素線からなる多重螺旋形状であ
り、複数の素線の線径が互いに異なるプローブが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プローブ間の隣接ショートを抑制できるプローブを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るプローブの構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るプローブのバレルと比較例のバレルとの撓み量を比較した結果を示す模式図であり、
図2(a)〜
図2(e)はストローク量を変えて比較した結果をそれぞれ示す。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るプローブの構成を示す模式図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係るプローブのバレルの構成を示す模式図であり、
図4(a)は側面図、
図4(b)は
図4(a)のIV−IV方向に沿った断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係るプローブのバレルの構成を示す模式図であり、
図5(a)は側面図、
図5(b)は
図5(a)のV−V方向に沿った断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係るプローブのバレルの他の構成を示す模式図であり、
図6(a)は側面図、
図6(b)は
図6(a)のVI−VI方向に沿った断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態の第2の変形例に係るプローブのバレルの構成を示す模式図であり、
図7(a)は側面図、
図7(b)は
図7(a)のVII−VII方向に沿った断面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態の第3の変形例に係るプローブのバレルの構成を示す模式図であり、
図8(a)は側面図、
図8(b)は
図8(a)のVIII−VIII方向に沿った断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態の第3の変形例に係るプローブのバレルの他の構成を示す模式的な断面図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係るプローブの構成を示す模式図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係るプローブのバレルの構成を示す模式図であり、
図11(a)は側面図、
図11(b)は
図11(a)のXI−XI方向に沿った断面図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態に係るプローブのバレルの他の構成を示す模式図であり、
図12(a)は側面図、
図12(b)は
図12(a)のXII−XII方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の長さや厚みの比率などは現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るプローブは、
図1に示すように、側面を貫通する螺旋状の切り込みが形成されたバネ部を有する管形状のバレル10と、バレル10の端部の開口端から先端部が露出した状態でバレル10に接合された棒形状のプランジャー20とを備える。バレル10のバネ部には、螺旋状の複数の切り込みが互いに交わらずに形成されている。即ち、バネ部は、中心軸が同一のコイルバネをそれぞれ構成する複数の素線からなる多重螺旋形状である。
【0012】
図1に示したプローブは、バレル10の両端部の開口端からそれぞれ先端部が露出した状態で、バレル10に接合された2つのプランジャー20を備える。接合部30において、バレル10の内部に挿入されたプランジャー20の挿入部とバレル10とが接合されている。バレル10とプランジャー20とは、スポット溶接によって溶接してもよいし、接着材によって接着してもよい。なお、プローブの全体を示す
図1では、プランジャー20のバレル10の内部に挿入された部分の図示を省略している(以下において同様。)。
【0013】
プローブは、例えば被検査体の電気的特性を判断する際に使用される。即ち、
図1に示した一方のプランジャー20の先端部は被検査体に接触し、他方のプランジャー20の先端部は配線基板などのランドと接触する。
【0014】
被検査体の電気的特性を検査するために、バレル10とプランジャー20には導電性材料が使用される。例えば、バレル10にニッケル(Ni)材などが使用され、プランジャー20にAgPdCu材などが使用される。
【0015】
バレル10の一部がバネ部になっているため、バレル10は軸方向に伸縮自在である。したがって、所定の押圧でプランジャー20を被検査体や配線基板と接触させることができる。即ち、プローブを強く被検査体に押し付けるように適正な強さのODをかけられる。また、プローブを弾性変形させることによってプローブとランドにプリロードをかけることができる。なお、例えばフォトリソグラフィ技術などを用いて、バレル10の一部の側面に切り込みをエッチングによって形成し、バネ部とすることができる。
【0016】
図1に示したプローブのバレル10のバネ部は、中心軸が同一のコイルバネをそれぞれ構成する2本の素線からなる二重螺旋形状である。このため、以下に説明するように、バネ部が単独の螺旋形状である場合と比べて、プローブの撓み量を低減することができる。
【0017】
図2(a)〜
図2(e)に、単独の螺旋形状のバネ部を有する比較例のバレル10Aの撓み量と、二重螺旋形状のバネ部を有するバレル10の撓み量とを、FEM解析によって比較した例を示す。比較は、バレル10とバレル10Aのそれぞれを所定の長さ(以下において「ストローク量」という。)だけ縮めることによって行った。
【0018】
図2(a)は、ストローク量が0である状態を示している。バレル10とバレル10Aの長さは、それぞれ8mmである。
【0019】
図2(b)〜
図2(e)は、ストローク量がそれぞれ10μm、20μm、30μm、40μmである状態を示す。
図2(b)〜
図2(e)に示すように、二重螺旋形状のバネ部を有するバレル10では、ストローク量が大きくなるに従って、両端部の中間を中心に素線の間隔が広がるが、撓み量は小さい。一方、比較例のバレル10では、ストローク量が大きくなるに従って撓み量が大きくなる。
【0020】
上記のように、バネ部を多重螺旋形状にすることによって、バレル10の撓み量を低減することができる。また、比較例では一定の方向に大きく撓みが発生するが、多重螺旋形状のバネ部を有するバレル10では、応力方向が分散されて、複数の方向にそれぞれ小さな撓みが生じている。つまり、バネ部を多重螺旋形状にすることにより、撓みの大きさや方向を制御できる。
【0021】
上記に説明したように、本発明の第1の実施形態に係るプローブでは、バレル10のバネ部を多重螺旋形状にすることにより、検査時のODやプリロードなどに起因するプローブの撓みを制御できる。その結果、
図1に示したプローブによれば、プローブ間の隣接ショートの発生を抑制することができる。
【0022】
(第2の実施形態)
図3に示す本発明の第2の実施形態に係るプローブは、バレル10のバネ部の多重螺旋形状を構成するコイルバネの1つが、他のコイルバネよりも放熱性を高くした放熱用コイルバネC1である。例えば、放熱用コイルバネC1に、他のコイルバネC2の材料よりも熱伝導率が高い材料を使用する。
【0023】
プローブの使用時には、プローブを介して被検査体に電流が流れる。このときプローブに発生するジュール熱によって、バレル10に形成したバネ部にヘタリ(熱ヘタリ)が生じることが想定される。バネ部にヘタリが生じると、被検査体やランドに接触するプローブの針圧が低下し、プローブの許容電流値が低下する。これにより、検査に必要な大きさの電流を被検査体に流すことができなくなり、被検査体の十分な検査ができない事態が生じ得る。
【0024】
これに対し、第2の実施形態に係るプローブによれば、バレル10のバネ部が放熱用コイルバネC1を有することにより、放熱用コイルバネC1を熱伝導経路としてジュール熱がバネ部の外部に速やかに放熱される。このため、バネ部の温度上昇が抑制され、ヘタリが発生しない。従って、プローブの許容電流値は低下しない。
【0025】
放熱用コイルバネC1には、例えば
図4(a)及び
図4(b)に示すように、導電性を有する基体11と、基体11よりも熱伝導率の高い材料からなり、基体11に接触する放熱材12とを有する構造などを採用可能である。
図4(b)に示す放熱材12は、基体11に周囲を囲まれて基体11の内部に埋め込まれている。放熱用コイルバネC1では、バネ部に配置された放熱材12が熱伝導経路となり、バネ部に生じるジュール熱を熱伝導によってバネ部の外部に放熱する。
【0026】
なお、被検査体の検査時に電流をバレル10に流すため、放熱材12が導電性を有することが好ましい。例えば、放熱材12には、金(Au)、銀(Ag),銅(Cu)、アルミニウム(Al)などが好適に使用される。基体11には、Niなどが好適に使用される。バネ部の全体を導電性の材料にすることにより、プローブの許容電流値が増大する。
【0027】
図4(a)に示したバレルでは、バネ部の中央に1つの帯状の放熱材12を配置した例を示したが、放熱材12の配置方法はこれに限られない。例えば、延伸方向と垂直な幅方向に互いに離間して配置された複数列の放熱材12を、放熱用コイルバネC1の延伸方向に沿って基体11の内部に配列してもよい。或いは、複数の放熱材12を基体11の膜厚方向に積層してもよい。
【0028】
なお、放熱材12の材料は基体11よりも熱伝導率の高い材料であるが、更に、放熱材12の硬度を基体11の硬度よりも高くしてもよい。例えば、バレル10の基体11がNiである場合に、Niよりも硬度の高い材料の放熱材12を使用する。これにより、バレル10の剛性が高くなり、バネ部のヘタリを抑制することができる。その結果、プローブの許容電流値の低下を抑制できるとともに、隣接するプローブ間のショートを防止できる。
【0029】
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態に係るプローブでは、バネ部で発生したジュール熱が放熱用コイルバネC1を伝わって速やかにバネ部以外に放熱される。このため、バネ部の温度上昇が抑制され、バネ部のヘタリが発生しない。したがって、第2の実施形態に係るプローブによれば、プローブの撓みを制御してプローブ間の隣接ショートの発生を抑制するとともに、プローブの許容電流値の減少を抑制することができる。他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
【0030】
<第1の変形例>
図5(a)及び
図5(b)に示す本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係るプローブでは、放熱用コイルバネC1の基体11に埋め込まれた放熱材12の一部が、バレル10の表面に露出している。つまり、放熱材12の全体が基体11に囲まれていない点が
図4(a)及び
図4(b)に示したプローブと異なる。
【0031】
図5(a)及び
図5(b)に示したプローブでは、基体11に埋め込まれた放熱材12が、放熱用コイルバネC1の延伸方向に沿って螺旋状に配置されている。放熱用コイルバネC1の表面に放熱材12を露出させることにより、バネ部で生じたジュール熱を効率よくプローブの周囲に放熱させることができる。
【0032】
図5(a)及び
図5(b)では放熱材12が連続的に配置されている例を示した。しかし、放熱用コイルバネC1の延伸方向に沿って複数の放熱材12を離間して配列してもよい。
【0033】
或いは、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、基体11の内部に埋め込まれた放熱材12と、一部がバレル10の表面に露出した放熱材12とを、基体11の膜厚方向に積層してもよい。
図6(a)に示した例では、それぞれの放熱材12が放熱用コイルバネC1の延伸方向に沿って配置されている。
【0034】
本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係るプローブによれば、放熱用コイルバネC1において放熱材12の一部をバネ部の表面に露出させることにより、バネ部で発生したジュール熱をプローブの周囲に効率的に放熱することができる。
【0035】
<第2の変形例>
図7(a)及び
図7(b)に示す第2の実施形態の第2の変形例に係るプローブでは、放熱材12が、基体11の表面に全体が露出して配置されている。つまり、放熱材12が基体11に埋め込まれた部分を有さない点が第1の変形例と異なる。
【0036】
図7(a)及び
図7(b)には、放熱用コイルバネC1の外部に向いた外表面にのみ放熱材12を配置する例を示した。しかし、基体11の周囲を囲むように、放熱用コイルバネC1の側面にも放熱材12を配置してもよい。
【0037】
第2の実施形態の第2の変形例に係るプローブによれば、放熱材12を基体11の表面に配置することによって、バネ部で生じたジュール熱をプローブの周囲に速やかに放熱することができる。このため、バネ部のヘタリが発生せず、プローブの許容電流値の減少を抑制することができる。
【0038】
<第3の変形例>
本発明の第2の実施形態の第3の変形例に係るプローブは、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、放熱材12が、基体11の表面に全体が露出して配置された表面領域121、及び、表面領域121と一部が接触して基体11に埋め込まれた埋込領域122を有する。つまり、基体11に埋め込まれた放熱材12とバレル10の表面に配置された放熱材12とが一体化されている。
【0039】
放熱材12の表面領域121と埋込領域122は、放熱用コイルバネC1の延伸方向に沿って螺旋状に延伸して配置されている。なお、平行に延伸する複数の埋込領域122を基体11に埋め込んだ構成にしてもよい。例えば
図9に示した放熱用コイルバネC1では、2列の埋込領域122が配置されている。また、基体11の周囲を囲むように、放熱用コイルバネC1の側面から外表面に渡って連続的に表面領域121が配置されている。
【0040】
第2の実施形態の第3の変形例に係るプローブによれば、バレル10のバネ部の内部で発生したジュール熱を、速やかにバネ部以外に放熱することができる。
【0041】
なお、上記では多重螺旋形状を構成する各コイルバネの素線の線径が同一である例を示したが、素線の線径が互いに異なってもよい。例えば、放熱用コイルバネC1の線径を他のコイルバネよりも広くすることにより、放熱性が向上する。また、放熱用コイルバネC1を、他のコイルバネC2の材料よりも熱伝導率が高い材料で形成してもよい。例えば、放熱用コイルバネC1の材料にAu、Ag、Cu、Alなどを使用し、その他のコイルバネC2の材料にNiなどを使用する。
【0042】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るプローブは、
図10に示すように、バレル10のバネ部の最も外側に絶縁材料からなる絶縁層40が配置されている。このため、仮に隣接するプローブ同士が接触しても、プローブ同士は絶縁層40によって電気的に絶縁されるためにプローブ間のショートを抑制できる。他は、
図1に示したプローブと同様である。
【0043】
例えば
図11(a)〜
図11(b)に示すように、バネ部の外側に向いた外表面101のみに絶縁層40を配置する。或いは、
図12(a)〜
図12(b)に示すように、コイルバネの外表面101と側面102に絶縁層40を配置してもよい。なお、
図12(a)〜
図12(b)は、放熱材12を基体11の内部に埋め込んだ放熱用コイルバネC1とその他のコイルバネC2に絶縁層40を配置した例である。
【0044】
図11(a)に示す構造によれば、バネ部に絶縁層40を容易に形成することができる。一方、
図12(a)に示す構造によれば、より確実にプローブ間のショートを抑制できる。
【0045】
なお、
図7や
図8に示すプローブのように基体11の表面に放熱材12が配置される場合には、放熱材12の外側に絶縁層40を配置する。他は、第1〜第2の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
【0046】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0047】
例えば、上記ではバレル10が二重螺旋形状のバネ部を有する場合を説明したが、バネ部が3重以上の螺旋形状であってもよい。その場合、第2の実施形態の係るプローブにおいては、少なくともコイルバネの1つを、他のコイルバネよりも放熱性が高く構成された放熱用コイルバネにする。
【0048】
また、上記ではバレル10の両端部にプランジャー20が装着されたプローブの例を説明したが、バレル10の一方の端部のみにプランジャー20が装着され、バレル10の他方の端部がランドなどに接触するプローブにも、本発明は適用可能である。
【0049】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0050】
10…バレル
11…基体
12…放熱材
20…プランジャー
30…接合部
40…絶縁層
C1…放熱用コイルバネ