(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電源供給ピンは複数であって、それぞれの前記電源供給ピンと前記接地ピンとの間には異なる前記電流発生源が接続され、前記制御信号入力端子は前記異なる前記電流発生源のそれぞれに1つずつ接続されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板評価用パッケージ。
前記電源供給ピンは複数であって、それぞれの前記電源供給ピンと前記接地ピンとの間に接続される異なる前記電流発生源の電流をそれぞれ別に制御することを特徴とする請求項4に記載の回路基板評価方法。
【背景技術】
【0002】
LSI(large-scale integrated circuit:大規模集積回路)を搭載する印刷回路基板において、電源変動(電源ノイズ)が大きい場合に、印刷回路基板上で電源ノイズ波形を測定して、キャパシタ(capacitor)等の部品を追加して対処することが一般的である。
【0003】
この様な電源ノイズ対策には、電源線路の特性インピーダンスの周波数特性の把握が有効である。
【0004】
電源線路の特性インピーダンスの周波数特性において、インピーダンスのピークが存在すると、インピーダンスのピークを生じる周波数で、電源ノイズが大きくなる。そこで、インピーダンスのピークの周波数を含む周波数帯域でノイズを低減する容量のキャパシタを選択することが可能となる。
【0005】
また、ピーク周波数近傍のインピーダンス特性に基づいて、ノイズ対策用のキャパシタの配置場所を決定することも行われる。
【0006】
特許文献1には、回路基板の線路の特性インピーダンス測定装置が提示されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
次に、本発明の実施の形態について
図1を参照して詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の回路基板評価用パッケージ10は、回路基板に搭載する集積回路のパッケージの接続ピンと同一に配置される複数の接続ピン20を備える。回路基板評価用パッケージ10は、前記集積回路の電源ピンと同じ配置の少なくとも1つの電源供給ピン21と前記集積回路の接地ピンと同じ配置の少なくとも1つの接地ピン22との間に接続される電流発生源11を備える。更に、回路基板評価用パッケージ10は、前記電流発生源11に接続されて前記電流発生源11の電流を制御する信号が入力される制御信号入力端子12を備える。また、回路基板評価用パッケージ10は、前記電源供給ピン21と前記接地ピン22の間に接続される電源測定用端子13とを備える。
【0016】
回路基板に搭載される集積回路のパッケージを、上記の回路基板評価用パッケージ10に乗せかえて、電流発生源11が測定に必要な信号を電源供給ピン21に対して出力することを指示する信号を、外部機器から制御信号入力端子に入力する。そして、電源測定用端子13に現れる信号を外部の測定機によって測定する。
【0017】
この様にすることで、本実施形態の回路基板評価用パッケージ10は、集積回路が発生するノイズが回路基板の電源線に混入した状態を模擬した電源線の特性を測定可能とする。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について
図2乃至
図5を参照して説明する。
[構成の説明]
はじめに、
図2を参照して本実施形態の回路基板評価用パッケージの使用方法について説明する。
【0018】
図2は、例えばコンピュータ(computer)などのマザーボード(mother board)130を示している。
【0019】
マザーボード130には、電源コネクタ131、CPU(Central Processing Unit)の周辺チップセット132、メモリスロット133、拡張スロット134などが搭載されている。
【0020】
更に、マザーボード130には、LSIによるCPU(Central Processing Unit)が搭載されている。CPUは、マザーボードの上のLSIソケットにはめ込んで、接続ピンを介して電気的接続を行う場合が多い。
【0021】
本実施形態の回路基板評価用パッケージ100は、CPUに代えてLSIソケットにはめ込んで使用する。
【0022】
図2は、CPUに代えて回路基板評価用パッケージ100を装着した様子を示している。
【0023】
尚、換装はしにくくなるが、回路基板評価用パッケージ100とマザーボード130を半田溶融で電気的接続をしても良い。
【0025】
本実施形態の回路基板評価用パッケージ100は、基板101、複数の接続ピン120、電源供給ピン121、接地ピン122、電流発生器110、制御信号入力端子112、および電源測定用端子113を備える。
【0026】
基板101は、本来実装されるLSI(以下、LSI)のパッケージの底面と同じ大きさのプリント基板などであって、回路基板評価用パッケージ100の各構成部品を取り付けて、電気配線を行う基台である。
【0027】
接続ピン120は、LSIのパッケージの底面におけるピンの配置と、同じ位置に基板101の底面に配置される。
【0028】
電源供給ピン121は、接続ピン120のうち、LSIの電源ピンの位置に配置されているピンである。
【0029】
接地ピン122は、接続ピン120のうち、LSIの接地ピンの位置に配置されているピンである。
【0030】
ここで、基板101、接続ピン120の関係を説明する。
【0031】
図4は、基板101の断面の説明図である。
【0032】
基板101は、多層基板であり、内層に電源電力が印加される電源層と、接地電位の接地層を有する。
【0033】
接続ピン120のうち、電源供給ピン121は、内層で電源層にのみ接続されて接地層には接続されない。また、接地ピン122は、内層で接地層にのみ接続されて電源層には接続されない。
【0034】
他の接続ピン120は、電源層にも接地層にも接続されない。ただし、他の接続ピン120は、測定の目的によっては接地層に接続する場合もある。
【0035】
図3の電流発生器110は、電流発生源を有する電源回路であり、電流発生源は、制御信号が加えられることで、電流の振幅や周波数を変化して出力可能である。
【0036】
制御信号入力端子112は、電流発生器の電流発生源に対して加える制御信号が、外部から入力される端子である。
【0037】
電源測定用端子113は2端子であり、外部の測定器に電源信号を出力可能な端子であって、片方の端子は電源供給ピン121に接続され、もう片方の端子は接地ピンに接続されている。
【0038】
図5は、回路基板評価用パッケージ100の各部品の接続の様子を説明する図である。
【0039】
電流発生器110は、内部に電流発生源111を有する。電流発生源111の出力は、基板101の電源層と接地層に接続されている。
【0040】
電流発生源111は、制御信号入力端子112に外部から加えられた制御信号に基づいて、出力する電力の周波数や振幅を変化する。
【0041】
本実施形態の回路基板評価用パッケージ100は、電源供給ピン121と接地ピン122は、基板101の内層に接続される構造としている。これは、LSIの基板構造が電源層や接地層を有しており、回路基板評価用パッケージ100でもLSIの構造を模擬するために、この様に内層を使用する構成としている。
【0042】
しかし、
図1の様に電流発生源111、電源供給ピン121、接地ピン122、および電源測定用端子113を、内層を介さずに配線パターンや電線で接続してもよい。
[動作の説明]
次に、
図2を参照して、回路基板評価用パッケージ100の動作を説明する。
【0043】
マザーボードのLSIソケットに回路基板評価用パッケージ100を装着し、マザーボードの電源を投入する。ここで、マザーボードの電源は直流を想定している。
【0044】
次に、電流発生器110が、電流変動量はΔI、周波数はfで変動する交流の負荷電流を出力する様に、制御信号入力端子112に外部から制御信号を加える。
【0045】
そして、電源測定用端子113に出力される、周波数fで変動する電圧変動量ΔVを、電源測定用端子113に接続した外部測定器にて測定する。
【0046】
この時、周波数fにおけるマザーボードの電源系のインピーダンスZは、Z=ΔV/ΔIで求めることが出来る。
【0047】
電流発生器110が発生する交流の電流変動量ΔIは一定として、周波数fを変化して電圧変動量ΔVを測定し、各周波数のインピーダンスZをグラフに表すことで、インピーダンスの周波数特性を得られる。
【0048】
このインピーダンスの周波数特性のグラフで、特定の周波数にインピーダンスのピークが存在する場合、この特定の周波数(ピーク周波数)で電源ノイズが大きくなる。そこで、ピーク周波数を含む周波数帯域で共振特性を有するキャパシタを選択することで、電源ノイズの対策が可能となる。
【0049】
更に、この様に選択したキャパシタをマザーボードに配置する場所は、ピーク周波数近傍のインピーダンス特性から判断することが一般的に可能である。
【0050】
以上説明した様に、本実施形態の回路基板評価用パッケージ100は、LSIの電源ピンから観測したマザーボードの電源系のインピーダンスが測定可能となる。
【0051】
即ち、本実施形態の回路基板評価用パッケージ100によって、LSIが発生するノイズがLSIの電源ピンを介して回路基板の電源線に混入した状態を模擬した電源線の特性が、測定可能となる。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について
図6を参照して説明する。
[構成の説明]
図6に、本実施形態の回路基板評価用パッケージ200の断面の説明図を示す。
【0052】
本実施形態の回路基板評価用パッケージ200は、回路基板評価用パッケージ200と換装するLSIが、2系統の電源系を有している場合に対応するものである。
【0053】
本実施形態の基板201では、第1の実施形態の基板101では1層だった電源層が、電源層1と電源層2の2層になっている。
【0054】
電源供給ピン121は電源層1に接続され、電源供給ピン123は電源層2に接続されている。電源供給ピン121と123は、LSIの底面の電源ピンの配置と同じ位置に配置される。
【0055】
電流発生器210は、電流発生源111と電流発生源211を有し、電流発生源111は電源層1と接地層に接続され、電流発生源211は電源層2と接地層に接続される。
【0056】
そして、電流発生源111は制御信号入力端子112に接続され、電流発生源211は制御信号入力端子212に接続される。
【0057】
また、電源測定用端子113は、電源供給ピン121と接地ピン122に接続され、電源測定用端子213は、電源供給ピン123と接地ピン122に接続される。
【0058】
上記の各構成要素の機能は、第2の実施形態の回路基板評価用パッケージ100の各構成要素の機能と同様であるため、詳しい説明は省略する。
[動作の説明]
次に、本実施形態の回路基板評価用パッケージ200の動作について、
図6を参照して説明する。
【0059】
第2の実施形態と同様に、マザーボードのLSIソケットに回路基板評価用パッケージ200を装着し、マザーボードの電源を投入する。
【0060】
次に、電流発生源111が、電流変動量はΔI、周波数はfで変動する交流の負荷電流を出力する様に、制御信号入力端子112に制御信号を加える。
【0061】
そして、電源測定用端子213に出力され、周波数fで変動する電圧変動量ΔVを、電源測定用端子213に接続した外部測定器にて測定する。
【0062】
この時、周波数fにおけるマザーボードの電源供給ピン121から電源供給ピン123への電源系の伝達インピーダンスZtは、Zt=ΔV/ΔIで求めることが出来る。
【0063】
電流発生源111が発生する交流の電流変動量ΔIは一定として、周波数fを変化して電圧変動量ΔVを測定し、各周波数のインピーダンスZtをグラフに表すことで、伝達インピーダンスの周波数特性を得られる。
【0064】
第2の実施形態の動作の説明と同様に、伝達インピーダンスのピーク周波数が存在する場合に、マザーボード上にキャパシタを配置することで、複数の電源系に起因するノイズの対策が可能となる。
【0065】
以上説明した様に、本実施形態の回路基板評価用パッケージ200は、複数の電源系統を有するLSIの電源ピン同士の伝達インピーダンスが測定可能となる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、次のように拡張または変形できる。
【0067】
LSIの電源系が3系統以上の場合も、第3の実施形態と同様に電源供給ピンを追加して、電流発生源を追加することで、各電源同士の伝達インピーダンス特性を得ることが可能である。