(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る容器の封止構造を図面に基づいて説明する。
【0011】
(容器の封止構造を用いたエバポレータの概略構成)
まず、
図1および
図2を参照して、実施の形態に係る容器の封止構造を用いたエバポレータの概略構成について説明する。
【0012】
ここで、
図1は、実施の形態に係る容器の封止構造を用いたエバポレータ10を示す斜視図、
図2は、エバポレータの要部の分解斜視図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、エバポレータ10は、冷媒流路32,33を有し、互いに間隔をおいて左右方向Xに並列状に配列された複数の冷媒チューブ30と、複数の冷媒チューブ30のうち隣り合う冷媒チューブ30,30同士の間に挟まれて接合され、蓄冷材Bが充填される蓄冷材容器40とを備えている。
【0014】
これにより、アイドル・ストップ機能により車両のエンジンが停止されることでエンジンによって駆動される圧縮機が停止されても、冷媒Aで冷却されて蓄冷材容器40内の蓄冷材Bに蓄えられた冷熱が放冷されて、冷房能力を維持するようになっている。
【0015】
なお、
図1中矢印Yは空調装置の送風の空気流れ方向を示し、矢印Zは送風の空気流れ方向Yと直交する上下方向を示し、矢印Xは左右方向を示す。
【0016】
冷媒チューブ30は、送風空気流れ方向Yと直交する上下方向Zの両側に円筒状に形成された各一対のタンク形成部20a,20a及び21a,21aと、この各一対のタンク形成部20a,20a及び21a,21aが一体形成され、最中合わせに重ね合わせて形成されることで内部に各タンク形成部20a,21aに連通する冷媒流路32,33が形成される一対の冷媒プレート(金属薄板)31,31と、この一対の冷媒プレート31,31の冷媒流路32,33内に収容され、熱交換を促進する熱交換促進部(インナフィン)34,34とで構成されている。
【0017】
そして、各タンク形成部20a,21a内に流入された媒体Aが冷媒流路32,33に流通され、一対の冷媒プレート31,31の外周を流れる送風空気と冷媒Aとの間で熱交換を行い、送風空気を冷却するものである。
【0018】
また、冷媒チューブ30は、一対の冷媒プレート31,31の間に熱交換促進部34,34を挟み込んだ状態で最中合わせに重ね合わせて形成されている。
【0019】
この一対の冷媒プレート31,31は、周縁の接合部31b同士及び中央の仕切部31a同士が接合されている。また、各冷媒プレート31の中央の仕切部31aと周縁の接合部31bとの間には、第1熱交換通路用凹部31cと第2熱交換通路用凹部31dが並列に形成されている。
【0020】
これにより、一対の冷媒プレート31,31が重ね合わされてなる冷媒チューブ30の内部には、各冷媒プレート31の中央部の仕切部31aを隔てて冷媒Aを流す第1冷媒流路32と第2冷媒流路33が形成されている。また、各冷媒流路32,33には熱交換促進部34が収容されている。
【0021】
さらに、各冷媒流路32,33の両端は、各冷媒プレート31の上下端部に一体に形成された各一対のタンク形成部20a,20a及び21a,21aに連通されている。なお、第1冷媒流路32が送風の空気流れ方向の風上側に配置され、第2冷媒流路33が送風の空気流れ方向の風下側に配置されている。
【0022】
図1に示すように、一対の冷媒プレート31,31の両端側に一体に形成された各一対のタンク形成部20a,20a及び21a,21aは、左右方向Xの積層方向の外方に向けて円筒状に突出するように形成されている。これら各タンク形成部20a,21aが複数積層されることにより、複数の冷媒チューブ30の上下方向Zの両端部側に前後及び上下各一対の冷媒流路用タンク20,20及び21,21が形成されている。
【0023】
また、
図1に示すように、右端側の冷媒プレート35は上端部側にのみ積層方向の外方に向けて円筒状に突出する一対のタンク形成部20a,20aが一体に形成されている。
【0024】
この一対のタンク形成部20a,20aのうち送風の空気流れ方向の下流側のタンク形成部20aが冷媒Aを導入する冷媒導入口36になっていると共に、送風の空気流れ方向の上流側のタンク形成部20aが冷媒Aを導出する冷媒導出口37になっている。
【0025】
さらに、左端側の冷媒プレート38の上下端部には、各冷媒チューブ30の上下端部に一体に形成された各タンク形成部20a,21aに連通する少なくとも上下の一方に設けた連通部39が一体に形成されている。尚、蓄冷材容器40が介在されていない隣り合う冷媒チューブ30,30同士の間には、送風空気との熱交換を促進するアウタフィン24が挟まれて接合されている。
【0026】
また、蓄冷材容器40の第1収容凹部46と第2収容凹部47とは各蓄冷プレート41の上側において連通部48とで連通されている。
【0027】
さらに、各蓄冷プレート41の周縁の接合部41bの送風流れ方向の風上側の連通部48に対向する位置には、蓄冷材Bが充填される開口部49が形成されている。
【0028】
そして、開口部49には、注ぎ口を構成する円筒状の封止用カラー50が挿入され、この封止用カラー50は、本実施の形態に係る容器の封止構造によって封止されている。
【0029】
(封止構造の構成例)
図3を参照して、実施の形態に係る容器の封止構造Sの構成例について説明する。
【0030】
図3は、実施の形態に係る容器の封止構造Sの構成例を示す断面図である。
【0031】
なお、本実施の形態では、
図3に示すように、容器としてのエバポレータ10の開口部49には、冷媒等の注ぎ口を構成する円筒状の封止用カラー50が挿入されている。
【0032】
本実施の形態に係る容器の封止構造Sは、封止用カラー50内に挿入され、円板状のフランジ104とフランジ104から軸方向に伸びる円筒部101aとを有し、フランジの表面から円筒部の底部に有底穴が形成されたスリーブ101と、スリーブ101の有底穴内に配置された頭部150と、頭部150より小さい外径で頭部150から伸びる細長い軸部が形成されたロッド部と、から成る芯部材200(
図4等参照)により構成されている。
【0033】
そして、スリーブ101の内壁部101bの内径は頭部150がある部分を除いて頭部150より小さい径に形成されており、芯部材200の頭部150が、ロッド部102の牽引により、フランジ104の方向に移動してスリーブ101の内壁部101bを押圧して、円筒部101aの外周面101cに塑性変形による外周膨出部Cが形成され、この外周膨出部Cが封止用カラー50の内周面50aに密着されている。
【0034】
これにより、外周膨出部Cと封止用カラー50の内周面50aとが、面接触することにより、密封状態を十分に確保することでき、従来に比して密封性能を向上させることができる。
【0035】
なお、封止用カラー50を用いずに、スリーブ101を開口部49に直接挿入する場合には、外周膨出部Cと容器の開口部49の内周面とが、面接触することにより、密封状態を十分に確保することできる。
【0036】
また、スリーブ101の先端部は、封止用カラー50の端部から突出しない位置とするとよい。
【0037】
これにより、スリーブ101の先端部に他の部材等が接触し、スリーブ101が押し上げられるなどして封止状態が緩んで液体漏れを生じる事態を回避することができる。
【0038】
また、外周膨出部Cを形成する際に破断された頭部150側のロッド部102の破断部105の位置は、開口部49の円筒部49aの上端部より下方とするとよい。
【0039】
これにより、破断部105が外部の部材等と接触し、スリーブ101が押し下げられるなどして封止状態が緩んで液体漏れを生じる事態を回避することができる。
【0040】
さらに、外周膨出部Cは、容器の開口部49内(即ち、
図3に示す幅W内)に位置するように構成するとよい。
【0041】
これにより、外周膨出部Cの当接による容器側の変形を抑制し、安定した封止状態を確保することができる。
【0042】
また、フランジ表面からスリーブ内に伸び、ロッド部が配置される穴は、有底穴にするとよい。
【0043】
これにより、安定した封止状態を確保することができる。
【0044】
また、
図3に示す構成例では、封止用カラー50内にエポキシ変成シリコン等のシール剤300が充填されている。これにより、封止用カラー50内への異物の侵入を防止し、スリーブ101等の腐食を抑制して、安定した封止状態を維持することができる。
【0045】
また、
図3に示す構成例では、封止用カラー50の円筒部の肉厚T1と、容器開口部49の円筒部の肉厚T2の和は、スリーブ101の円筒部の肉厚T3より大きくなるように選定されている。
【0046】
これにより、外周膨出部Cの当接による封止用カラー50および容器開口部49の変形を抑制し、安定した封止状態を確保することができる。
【0047】
さらに、封止用カラー50の円筒部の肉厚T1は、スリーブ101の円筒部の肉厚T3より大きくなるように選定されている。
【0048】
これにより、外周膨出部Cの当接による封止用カラー50の変形を抑制し、より安定した封止状態を確保することができる。
【0049】
(封止構造の封止工程)
図4〜
図6の工程図を参照して、本実施の形態に係る容器の封止構造Sの封止手順について説明する。
【0050】
まず、
図4に示すように、容器の開口部49内に封止用カラー50を設置した状態で、この封止用カラー50内に、芯部材200を挿入する。
【0051】
この芯部材200は、スリーブ101と、スリーブ101の円筒部101a内に挿入されるロッド部102と、ロッド部102の挿入側に連結され、ロッド部102よりも大径の頭部150とを有している。
【0052】
次いで、
図5に示すように、スリーブ101のフランジ104に対して、治具或いは締結器等により押圧力F1を付与した状態で、ロッド部102をD1方向(
図5では上方向)に牽引する。
【0053】
これにより、頭部150はD1方向に移動して、スリーブ101の内壁部101bを押圧し、円筒部101aの外周面101cに塑性変形による外周膨出部Cが形成される。
【0054】
そして、ロッド部102をD1方向にさらに牽引すると、所定の引抜力を超えた時点で、ロッド部102は、頭部150の近傍位置で破断する(
図6参照)。
【0055】
この状態において、外周膨出部Cと封止用カラー50の内周面50aとは、面接触するので、接触面積が比較的大きくなり、密封状態を十分に確保することできる。
【0056】
なお、封止用カラー50を用いずに、スリーブ101を開口部49に直接挿入する場合には、外周膨出部Cと容器の開口部49の内周面とが、面接触することにより、密封状態を十分に確保することできる。
【0057】
また、スリーブ101の先端部は、封止用カラー50の端部から突出しない位置とすることにより、スリーブ101の先端部に他の部材等が接触し、スリーブ101が押し上げられるなどして封止状態が緩んで液体漏れを生じる事態を回避することができる。
【0058】
また、外周膨出部Cを形成する際に破断された頭部150側のロッド部102の破断部105の位置は、開口部49の円筒部49aの上端部より下方とすることにより、破断部105が外部の部材等と接触し、スリーブ101が押し下げられるなどして封止状態が緩んで液体漏れを生じる事態を回避することができる。
【0059】
さらに、外周膨出部Cは、容器の開口部49内(即ち、
図3に示す幅W内)に位置するように構成することにより、外周膨出部Cの当接による容器側の変形を抑制し、安定した封止状態を確保することができる。
【0060】
また、
図3に示すように、封止用カラー50内にエポキシ変成シリコン等のシール剤300を充填することにより、封止用カラー50内への異物の侵入を防止し、スリーブ101等の腐食を抑制して、安定した封止状態を維持することができる。
【0061】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載にしたがって解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0062】
例えば、封止用カラー50および容器の開口部49を構成する金属の硬度は、スリーブ101を構成する金属の硬度より高くなるように構成するとよい。これにより、外周膨出部Cの当接による変形を抑制し、安定した封止状態を確保することができる。