(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6969949
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】時計用の表示器作動要素
(51)【国際特許分類】
G04B 27/00 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
G04B27/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-179948(P2017-179948)
(22)【出願日】2017年9月20日
(65)【公開番号】特開2019-20373(P2019-20373A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年7月16日
(31)【優先権主張番号】15/652,862
(32)【優先日】2017年7月18日
(33)【優先権主張国】US
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2017年3月21日 出願人代理店への公開 〔刊行物等〕 2017年3月22日 報道陣への公開 〔刊行物等〕 2017年3月23日〜2017年3月30日 展示会における公開
(73)【特許権者】
【識別番号】501099611
【氏名又は名称】パテック フィリップ ソシエテ アノニム ジュネーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド シャブロ
【審査官】
岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−157951(JP,A)
【文献】
実開昭50−031973(JP,U)
【文献】
特開2011−174932(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0124388(US,A1)
【文献】
独国特許発明第102006008700(DE,B3)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計内の表示器を作動させるための作動要素であって、
・固定部分と、
・可動部分と、
・前記可動部分を前記固定部分に接続する第1の弾性部分であって、前記可動部分を前記固定部分に対して案内し且つ前記可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第1の弾性部分と、
・前記可動部分が前記固定部分に対して作動したときに前記時計の歯付き部品と係合して前記歯付き部品を作動させ、それにより前記表示器を作動させるように構成された作動部分と、
・前記作動部分を前記可動部分に接続する第2の弾性部分であって、前記作動部分を前記可動部分に対して案内するように構成され、前記可動部分が静止位置に戻った時に、前記作動部分が前記歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた前記作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第2の弾性部分と、
を備えることを特徴とする、作動要素。
【請求項2】
時計内の表示器を作動させるための作動要素であって、
・固定部分と、
・第1の可動部分と、
・前記第1の可動部分を前記固定部分に接続する第1の弾性部分であって、前記第1の可動部分を前記固定部分に対して案内し且つ前記第1の可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第1の弾性部分と、
・前記第1の可動部分が前記固定部分に対して作動したときに前記時計の歯付き部品と係合して前記歯付き部品を第1の方向に作動させ、それにより前記表示器を作動させるように構成された第1の作動部分と、
・前記第1の作動部分を前記第1の可動部分に接続する第2の弾性部分であって、前記第1の作動部分を前記第1の可動部分に対して案内するように構成され、前記第1の可動部分が静止位置に戻った時に、前記第1の作動部分が前記歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた前記第1の作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第2の弾性部分と、
・第2の可動部分と、
・前記第2の可動部分を前記固定部分に接続する第3の弾性部分であって、前記第2の可動部分を前記固定部分に対して案内し且つ前記第2の可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第3の弾性部分と、
・前記第2の可動部分が前記固定部分に対して作動したときに前記時計の歯付き部品と係合して、前記歯付き部品を前記第1の方向の反対の第2の方向に作動させ、それにより前記表示器を作動させるように構成された第2の作動部分と、
・前記第2の作動部分を前記第2の可動部分に接続する第4の弾性部分であって、前記第2の作動部分を前記第2の可動部分に対して案内するように構成され、前記第2の可動部分が静止位置に戻った時に、前記第2の作動部分が前記歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた前記第2の作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第4の弾性部分と、
を備えることを特徴とする、作動要素。
【請求項3】
対称形を有することを特徴とする、請求項2に記載の作動要素。
【請求項4】
前記弾性部分の各々が、回転案内部分であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の作動要素。
【請求項5】
前記弾性部分の各々が、2つの異なる平行面内に延び且つ平面図内で互いに交差した第1及び第2の弾性ストリップを含むことを特徴とする、請求項4に記載の作動要素。
【請求項6】
一体型に作られたことを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の作動要素。
【請求項7】
前記作動要素が、前記表示器の位置を設定するためにユーザが作動させることができる修正器であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の作動要素。
【請求項8】
前記作動要素が、前記時計の通常動作中に前記歯付き部品を駆動するように構成された駆動要素であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の作動要素。
【請求項9】
作動要素と、表示器を駆動するための歯付き部品と、隔離要素とを備えた時計機構であって、前記作動要素は、
・固定部分と、
・第1の可動部分と、
・前記第1の可動部分を前記固定部分に接続する第1の弾性部分であって、前記第1の可動部分を前記固定部分に対して案内し且つ前記第1の可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第1の弾性部分と、
・前記第1の可動部分が前記固定部分に対して作動したときに前記歯付き部品と係合して前記歯付き部品を第1の方向に作動させ、それにより前記表示器を作動させるように構成された第1の作動部分と、
・前記第1の作動部分を前記第1の可動部分に接続する第2の弾性部分であって、前記第1の作動部分を前記第1の可動部分に対して案内するように構成され、前記第1の可動部分が静止位置に戻った時に、前記第1の作動部分が前記歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた前記第1の作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第2の弾性部分と、
・第2の可動部分と、
・前記第2の可動部分を前記固定部分に接続する第3の弾性部分であって、前記第2の可動部分を前記固定部分に対して案内し且つ前記第2の可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第3の弾性部分と、
・前記第2の可動部分が前記固定部分に対して作動したときに前記歯付き部品と係合して、前記歯付き部品を前記第1の方向の反対の第2の方向に作動させ、それにより前記表示器を作動させるように構成された第2の作動部分と、
・前記第2の作動部分を前記第2の可動部分に接続する第4の弾性部分であって、前記第2の作動部分を前記第2の可動部分に対して案内するように構成され、前記第2の可動部分が静止位置に戻った時に、前記第2の作動部分が前記歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた前記第2の作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第4の弾性部分と、
を備え、
前記隔離要素は、前記第1及び第2の可動部分の一方が作動すると前記第1及び第2の可動部分の該一方によって動かされるように構成されており、前記第1及び第2の可動部分の他方を作動させたときに前記第1及び第2の可動部分の該他方に対応する作動部分が前記歯付き部品と係合することを防止する
ことを特徴とする、時計機構。
【請求項10】
前記隔離要素が、前記固定部分に対して並進運動可能であることを特徴とする、請求項9に記載の時計機構。
【請求項11】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の作動要素を備えることを特徴とする、時計。
【請求項12】
請求項9又は請求項10に記載の時計機構を備えることを特徴とする、時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用の表示器作動要素、並びにこれを組み込んだ時計、典型的には腕時計又は懐中時計に関する。
【背景技術】
【0002】
表示器作動要素は、例えば、時計の外部から手動で作動させてローカルタイム時間表示器又は日付表示器などの表示器の位置を設定することができる修正器である。
【0003】
あるいは、表示器作動要素は、表示器を支える歯車付き部品を時計の通常動作中に駆動するように構成された、カムによって制御される駆動要素である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】スイス国特許第702137号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の表示器作動要素は、幾つかの欠点を有する。それらは、摩擦及び摩耗を減らすためにその回転箇所における潤滑を必要とする。それらは、戻りばねとして作用する別個の部品の使用も必要とする。
【0006】
本発明は、これらの欠点を軽減することを目的とする。
【0007】
この目的で、時計内の表示器を作動させるための作動要素が提供され、該作動要素は、
・固定部分と、
・可動部分と、
・可動部分を固定部分に接続する第1の弾性部分であって、可動部分を固定部分に対して案内し且つ可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第1の弾性部分と、
・可動部分が固定部分に対して作動したときに時計の歯付き部品と係合して歯付き部品を作動させ、それにより表示器を作動させるように構成された作動部分と、
・作動部分を可動部分に接続する第2の弾性部分であって、作動部分を可動部分に対して案内するように構成され、可動部分の解除後に、作動部分が歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第2の弾性部分と、
を備える。
【0008】
本発明はまた、時計内の表示器を作動させるための作動要素を提供し、該作動要素は、
・固定部分と、
・第1の可動部分と、
・第1の可動部分を固定部分に接続する第1の弾性部分であって、第1の可動部分を固定部分に対して案内し且つ第1の可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第1の弾性部分と、
・第1の可動部分が固定部分に対して作動したときに時計の歯付き部品と係合して歯付き部品を第1の方向に作動させ、それにより表示器を作動させるように構成された第1の作動部分と、
・第1の作動部分を第1の可動部分に接続する第2の弾性部分であって、第1の作動部分を第1の可動部分に対して案内するように構成され、第1の可動部分の解除後に、第1の作動部分が歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた第1の作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第2の弾性部分と、
・第2の可動部分と、
・第2の可動部分を固定部分に接続する第3の弾性部分であって、第2の可動部分を固定部分に対して案内し且つ第2の可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第3の弾性部分と、
・第2の可動部分が固定部分に対して作動したときに時計の歯付き部品と係合して、歯付き部品を第1の方向の反対の第2の方向に作動させ、それにより表示器を作動させるように構成された第2の作動部分と、
・第2の作動部分を第2の可動部分に接続する第4の弾性部分であって、第2の作動部分を第2の可動部分に対して案内するように構成され、第2の可動部分の解除後に、第2の作動部分が歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた第2の作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第4の弾性部分と、
を備える。
【0009】
本発明は、作動要素と、表示器を駆動するための歯付き部品と、隔離要素とを備えた時計機構をさらに提供し、該作動要素は、
・固定部分と、
・第1の可動部分と、
・第1の可動部分を固定部分に接続する第1の弾性部分であって、第1の可動部分を固定部分に対して案内し且つ第1の可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように配置された、第1の弾性部分と、
・第1の可動部分が固定部分に対して作動したときに歯付き部品と係合して歯付き部品を第1の方向に作動させ、それにより表示器を作動させるように構成された第1の作動部分と、
・第1の作動部分を第1の可動部分に接続する第2の弾性部分であって、第1の作動部分を第1の可動部分に対して案内するように構成され、第1の可動部分の解除後に、第1の作動部分が歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた第1の作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第2の弾性部分と、
・第2の可動部分と、
・第2の可動部分を固定部分に接続する第3の弾性部分であって、第2の可動部分を固定部分に対して案内し且つ第2の可動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第3の弾性部分と、
・第2の可動部分が固定部分に対して作動したときに歯付き部品と係合して、歯付き部品を第1の方向の反対の第2の方向に作動させ、それにより表示器を作動させるように構成された第2の作動部分と、
・第2の作動部分を第2の可動部分に接続する第4の弾性部分であって、第2の作動部分を第2の可動部分に対して案内するように構成され、第2の可動部分の解除後に、第2の作動部分が歯付き部品を離れたときに後退することを可能にするようになっており、且つまた第2の作動部分に弾性戻り作用を及ぼすように構成された、第4の弾性部分と、
を備え、
隔離要素は、第1及び第2の可動部分の一方が作動すると第1及び第2の可動部分の該一方によって動かされるように構成されており、第1及び第2の可動部分の他方を作動させたときに第1及び第2の可動部分の該他方に対応する作動部分が歯付き部品と係合することを防止する。
【0010】
本発明は、上記定義の作動要素又は上記定義の時計機構のうちの1つを備えた時計をさらに提供する。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して作成した以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による表示器作動要素を含む時計機構の部分平面図である。
【
図3】本発明の好ましい実施形態による表示器作動要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び
図2は、本発明の好ましい実施形態による表示器作動要素2を含む時計機構1の一部を示す。この実施形態において、表示器作動要素2は、修正器である。時計機構1は、プレート3を備え、その上に可動部品が取り付けられており、プレート3自体は、ベースムーブメント(図示せず)に取り付けられている。これらの可動部品の中には、24時間毎に1回転の速度で回転する24時間歯車4、12時間毎に1回転の速度で回転するローカルタイム時針歯車5、ホームタイム時針星歯車6、及び24時間歯車4とローカルタイム時針歯車5とを互いに運動学的に接続する中間歯車7がある。
【0014】
24時間歯車4は、典型的には円板形態である昼/夜表示器8と、日付表示器(図示せず)を支える歯車を一日の終わりに1ピッチだけ回転させるフィンガ(図示せず)とを支える。ローカルタイム時針歯車5は、ユーザが位置するタイムゾーンにおける時間を示す、典型的には針の形態(
図1において点線で図式的に示す)のローカルタイム時間表示器9を支える。ホームタイム時針星歯車6は、ユーザが居住するタイムゾーンにおける時間を示す、典型的には針の形態(点線で図式的に示す)のホームタイム時間表示器10を支える。
【0015】
ホームタイム時針星歯車6は、ローカルタイム時針歯車5と同じ心軸11に取り付けられているが、この心軸11に、ローカルタイム時針歯車5に対して自由に回転するように取り付けられている。ローカルタイム時針歯車5に取り付けられ且つホームタイム時針星歯車6と係合しているジャンパ12は、時計機構1の通常動作中、2つの歯車5、6が互いに回転固定されるように2つの歯車5,6を保持する。
【0016】
通常動作中、ホームタイム時針星歯車6は、ベースムーブメントによって駆動され、ホームタイム時針星歯車6の回転は、ジャンパ12とホームタイム時針星歯車6との間の係合により、ローカルタイム時針歯車5の同じ回転を生じさせる。ローカルタイム時針歯車5の回転は、中間歯車7を介して24時間歯車4の回転を生じさせる。本発明による修正器2は、24時間歯車4に作用するように構成されており、ユーザが、ローカルタイム時間表示器9の位置、ひいては24時間歯車4によって支えられた昼/夜表示器8の位置及び日付表示器駆動フィンガの位置を修正することを可能にする。修正器2によるローカルタイム時間の修正は、時計機構1の動作中に行うことができる。
【0017】
図3を参照すると、修正器2は、好ましくは図示したように一体型に作られる。これは、対称形を有し、
・固定部分20と、
・固定部分20の一方の側に設けられた、第1の弾性部分21、第1の弾性部分21によって固定部分20に懸架された第1の可動部分22、第2の弾性部分23、及び第2の弾性部分23によって第1の可動部分22に懸架された第1の作動部分24と、
・固定部分20の他方の側に設けられた、第3の弾性部分25、第3の弾性部分25によって固定部分20に懸架された第2の可動部分26、第4の弾性部分27、及び第4の弾性部分27によって第2の可動部分26に懸架された第2の作動部分28と、
を備える。
【0018】
固定部分20、第1及び第2の可動部分22、26、並びに第1及び第2の作動部分24、28は、典型的には剛性である。
【0019】
固定部分20は、それにより修正器2をプレート3に固定することができる部分である。図示した例において、固定部分20は、T字形を有しており、T字の横分岐は、ねじ13(
図1及び
図2参照)を通すことができる穴20aを有しており、T字の縦分岐は、第1及び第3の弾性部分21、25に接合している。
【0020】
第1及び第2の作動部分24、28は、各々、24時間歯車4の歯車付き周縁部と係合するように設計されたくちばし状突起(beak)24a、28aを有する。
【0021】
図3をさらに参照すると、第1の弾性部分21は、第1の可動部分22を固定部分20に接続し、第1の可動部分22を案内して修正器2の面及びプレート3の面に対して垂直な軸A1の周りで固定部分20に対して回転させるように構成され、且つまた、第1の可動部分22が固定部分20に対する静止位置から離れるように移動したときに第1の可動部分22をこの静止位置に弾性的に戻すように構成される。
【0022】
第2の弾性部分23は、第1の作動部分24を第1の可動部分22に接続し、第1の作動部分24を案内して修正器2の面及びプレート3の面に対して垂直な軸A2の周りで第1の可動部分22に対して回転させるように構成され、且つまた、第1の作動部分24が第1の可動部分22に対する静止位置から離れるように移動したときに第1の作動部分24をこの静止位置に弾性的に戻すように構成される。
【0023】
第3の弾性部分25は、第2の可動部分26を固定部分20に接続し、第2の可動部分26を案内して修正器2の面及びプレート3の面に対して垂直な軸A3の周りで固定部分20に対して回転させるように構成され、且つまた、第2の可動部分26が固定部分20に対する静止位置から離れるように移動したときに第2の可動部分26をこの静止位置に弾性的に戻すように構成される。
【0024】
第4の弾性部分27は、第2の作動部分28を第2の可動部分26に接続し、第2の作動部分28を案内して、修正器2の面及びプレート3の面に対して垂直な軸A4の周りで第2の可動部分26に対して回転させるように構成され、且つまた、第2の作動部分28が第2の可動部分26に対する静止位置から離れるように移動したときに第2の作動部分28をこの静止位置に弾性的に戻すように構成される。
【0025】
第1から第4までの弾性部分21、23、25、27は各々、2つの弾性ストリップ21a、21b、23a、23b、25a、25b、27a、27bから成り、これらは修正器2の面に対して平行な2つの異なる面内に延び、且つ平面図内で互いに交差しており、ストリップの交点は、回転軸A1からA4までに対応する。しかしながら、多くの変形例が可能である。例えば、第1から第4までの弾性部分21、23、25、27は各々、修正器2の面に対して垂直方向に剛性を高めるために、それぞれ平行な面内に延びた2つより多くの弾性ストリップを有することができる。他の変形例において、各弾性部分21、23、25、27は、修正器2の面に対して平行な同一面内に延び、且つ互いに(物理的に)交差した2つのストリップを含むことができ、その交点は、回転軸A1からA4までに対応する。さらに他の変形例において、各弾性部分21、23、25、27は、RCC(リモート・コンプライアンス・センタ)型とすることができ、すなわち2つのストリップを越えて位置する仮想交点を有する2つのストリップを含むことができる。また、第1から第4の弾性部分21、23、25、27が異なる型式のものであってもよい。例えば、第1及び第3の弾性部分21、25が1つの型式であり、第2及び第4の弾性部分23、27が別の型式であってもよい。とはいえ、全ての弾性部分21、23、25、27が分離した交差ストリップで成る図示した実施形態が、より大きいストロークを可能にするので好ましい。
【0026】
弾性部分21、23、25、27に関して選択された変形例がどのようなものであっても、第1及び第2の可動部分22、26並びに第1及び第2の作動部分24、28は、弾性部分21、23、25、27のみによって保持され且つ案内されることに気づくであろう。物理的な軸は必要とされない。したがって、摩擦も摩耗もなく、潤滑は必要ない。ストリップの弾性限界を超えない限り、修正器2の性能は低下しない。さらに、弾性部分21、23、25、27が必要な弾性戻りトルクを及ぼすので、別個の戻りばねは必要ない。
【0027】
修正器2は、例えば、シリコンベース材料で深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)技術を用いて、ニッケルベース材料でLIGA技術を用いて、金属又は合金(例えば鋼)でフライス削り、エレクトロエロージョン又は3D印刷によって、金属ガラス(アモルファス金属)で成形によって、又はガラス若しくはサファイアでエッチングによって製作することができる。
【0028】
使用時、第1及び第2の可動部分22、26は、時計の外部から、
図1に矢印で図式的に示したそれぞれの第1及び第2の押しボタン14、15によって作動させることができる。押しボタン14、15は、修正器2と同じ面内にあって第1及び第2の可動部分22、26に直接作用してもよく、又は異なる面内にあってもよく、その場合、第1及び第2の可動部分22、26に取り付けたピン16、17(
図2参照)に対して作用することができる。
【0029】
第1の押しボタン14を作動させるたびに、第1の可動部分22が、第1の弾性部分21が及ぼす戻りトルクに抗して軸A1の周りで回転する。このことにより、第1の作動部分24のくちばし状突起24aが24時間歯車4の歯付き周縁部に入り、これを、ジャンパ12によってホームタイム時針星歯車6に及ぼされる力に打ち勝って
図1の反時計回りに360°/24である1ステップずつ回転させる。したがって、ローカルタイム時針歯車5は、
図1の時計回りに360°/12である1ステップずつ回転する。ひとたび第1の押しボタン14を解除すると、第1の弾性部分21は、第1の可動部分22をその静止位置に戻し、その結果、第1の作動部分24のくちばし状突起24aが24時間歯車4の歯付き周縁部から離れる。この運動中、第2の弾性部分23は、第1の作動部分24が後退する(引っ込む)こと、すなわち第1の可動部分22に対して軸A2の周りで回転することを可能にし、その間、くちばし状突起24aは、ホームタイム時針星歯車6上のジャンパ12の作用によって所定位置に保持された24時間歯車4上を摺動し、それにより、くちばし状突起24aが24時間歯車4を
図1の時計回り方向に動かすことを防止する。
【0030】
第2の押しボタン15を作動させるたびに、第2の可動部分26が、第3の弾性部分25が及ぼす戻りトルクに抗して軸A3の周りで回転する。このことにより、第2の作動部分28のくちばし状突起28aが24時間歯車4の歯付き周縁部に入り、これを、ジャンパ12によってホームタイム時針星歯車6に及ぼされる力に打ち勝って
図1の時計回りに360°/24である1ステップずつ回転させる。したがって、ローカルタイム時針歯車5は、
図1の反時計回りに360°/12である1ステップずつ回転する。ひとたび第2の押しボタン15を解除すると、第3の弾性部分25は、第2の可動部分26をその静止位置に戻し、その結果、第2の作動部分28のくちばし状突起28aが24時間歯車4の歯付き周縁部から離れる。この運動中、第4の弾性部分27は、第2の作動部分28が後退する(引っ込む)こと、すなわち第2の可動部分26に対して軸A4の周りで回転することを可能にし、その間、くちばし状突起28aは、ホームタイム時針星歯車6上のジャンパ12の作用によって所定位置に保持された24時間歯車4上を摺動し、それにより、くちばし状突起が24時間歯車4を
図1の反時計回り方向に動かすことを防止する。
【0031】
このようにして、修正器2は、ローカルタイム時間表示の両方向でのすばやい修正を可能にする。ローカルタイム時間表示を進めること又は遅らせることは、時計のベースムーブメント及び時計機構1が動作している間に行うことができ、そのことは、ロベースムーブメントに運動学的に連結されたままになっているホームタイム時針星歯車6に対してーカルタイム時針歯車5を回転的に結合し且つ切り離す、ジャンパ12によるものである。
【0032】
図面に示すように、修正器2は、少なくとも2つの対向する端部分29、30と、プレート3にねじ込まれるねじ33、34が横切る長円形の穴31、32とを含むことができる。ねじ33、34の頭部と修正器2の端部分29、30との間の協働は、押しボタン14、15が修正器2の面とは異なる面内にある変形例においては、修正器2のねじれを防止する。このような長円形の穴31、32及びねじ33、34は、押しボタン14、15及び修正器2が同一平面上にある変形例では、省くことができる。
【0033】
本発明の別の有利な特徴によれば、固定部分20の上に隔離ピース18が摺動的に取り付けられる。隔離ピース18は、T字形の固定部分20の横分岐上に配置され、この横分岐に沿って摺動可能である。この目的で、隔離ピース18は、修正器2をプレート3に固定するねじ13が貫通する長円形の穴18aを有する。ねじ13は、そのねじ山部分とその頭部との間に、固定部分20をプレート3に押しつける肩部(図示せず)を有する。隔離ピース18は、ねじ13の肩部と頭部との間に配置される。
【0034】
第1の押しボタン14を作動させると、修正器2の第1の可動部分22の突出部35が隔離ピース18の第1の端18bを押して隔離ピース18を第2の作動部分28のくちばし状突起28aに向かって動かし、その結果、隔離ピース18の第2の端18cがくちばし状突起28a用の止め部を形成し、もし第2の押しボタン15を作動させてもくちばし状突起28aが24時間歯車4の歯付き周縁部に入ることを防止するようになっている。したがって、押しボタン14、15が両方同時に押された場合でも、第1の作動部分24のくちばし状突起24aのみが24時間歯車4と係合することになる。このようにして、弾性部分21、23、25、27を塑性変形し若しくは破壊する又は機構内の他のパーツを破壊する、拮抗するトルクが24時間歯車4にかかることが回避される。
【0035】
第1の押しボタン14を優先する代わりに、隔離ピース18は、第2の押しボタン15を優先するように調整することもできる。この場合は、修正器2の第2の可動部分26の突出部36が隔離ピース18に対して作用して、押しボタン14、15が両方同時に押されたときに第1の作動部分24のくちばし状突起24aが24時間歯車4の歯付き周縁部に入ることを防止することになる。
【0036】
修正器2及び/又は時計機構1は、弾性部分21、23、25、27の変形を制限する止め部を備えることができる。図示した例(
図2参照)では、プレート3の凹んだ壁部分19がピン16及び17のストロークを制限して、弾性部分21、25の変形を制限する。修正器2の端部分29、30は、作動部分24、28のための止め部として機能することができ、組立て中に修正器2を取り扱うときに、弾性部分23、27の変形を制限する。
【0037】
本発明を、例示のみを目的として上で説明してきた。添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの変更を行うことができることが当業者には明らかであろう。
【0038】
例えば、一方向の修正のみが所望される場合、本発明の修正器は、図面に示した修正器2の半分で成る、例えば固定部分20の半分、第1の弾性部分21、第1の可動部分22、第2の弾性部分23及び第1の作動部分24を含むものとすることができる。
【0039】
さらに、本発明は、ローカルタイム時間表示の修正に限定されない。本発明は、例えば、日付、日又は月表示をすばやく修正するために用いることができる。
【0040】
修正器にする代わりに、本発明の表示器作動要素は、表示器を支える歯付き部品を時計の通常動作中に駆動するように構成された駆動レバーとすることができる。例えば、表示器作動要素は、
図3に示すピース2の半分を含むことができ、且つ、典型的には渦状カムであるカム上で摺動するくちばし状突起を有することができ、くちばし状突起がカムの高点から低点に降下するたびに作動部分24が歯付き部品を1ステップずつ動かして、引用により本明細書に組み入れる特許文献1に記載されたのと同様の機能を満たすようになっている。
【0041】
本発明の別の変更は、回転を案内する弾性部分21、23、25、27又はそれらのうちの1つ又は幾つかだけを、並進運動を案内する弾性部分で置き換えることから成る。その場合、関与する各弾性部分は、同じ面内に延びた2つの平行な弾性ストリップの形態にすることができる。
【0042】
本発明は、特に腕時計及び懐中時計に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1:時計機構
2:表示器作動要素
3:プレート
4:24時間歯車
5:ローカルタイム時針歯車
6:ホームタイム時針星歯車
7:中間歯車
8:昼/夜表示器
9:ローカルタイム時間表示器
10:ホームタイム時間表示器
11:心軸
12:ジャンパ
13:ねじ、33、34
14、15:押しボタン
16、17:ピン
18:隔離ピース
20:固定部分
21:第1の弾性部分
22:第1の可動部分
23:第2の弾性部分
24:第1の作動部分
24a:くちばし状突起
25:第3の弾性部分
26:第2の稼働部分
27:第4の弾性部分
28:第2の作動部分
28a:くちばし状突起
29、30:端部分