(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1に開示されている蓋付き容器は、開封に際して複数のアクションが必要となり、利便性に欠けるという問題がある。そのため、特許文献2に開示されている容器のように、蓋を開く動作とラベルの開封とを同時に行える容器の提供が求められている。
【0006】
その一方、近年では、店頭等で悪戯によりラベルが開封されるといった問題が生じており、このような問題への対策が求められている。具体的には、特許文献1の蓋付き容器は、縦ミシン目が切断された場合には、蓋がラベルから露出するため、開封されたことを容易に視認することができる。しかしながら、特許文献1の蓋付き容器を、縦ミシン目が切断されずに横ミシン目のみが切断された場合には、開封されたことを容易に視認できない場合がある。例えば、特許文献1の蓋付き容器の場合、蓋の部分を掴んで回転させるなどして横ミシン目の部分でラベルを綺麗に切断して開封した後、ラベルを外すことなく蓋を元に戻すような悪戯がなされる懸念がある。このような悪質な悪戯が行われると、横ミシン目の部分でラベルが切断され、開封された形跡が一見しただけでは分からない懸念がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されている容器においても同様の懸念がある。すなわち、特許文献2に開示されているような位置に横ミシン目(同文献中の符号5参照)を設けた場合、横ミシン目を綺麗に分断した後に蓋を元に戻すような悪戯がなされると、開封された形跡が一見しただけでは分からない懸念がある。
【0008】
そこで本発明は、蓋を開く動作とラベルの開封とを同時に行うことができるとともに、ラベルが開封されたことを容易に把握可能であり、改ざん抑制効果の高いラベル付容器の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決すべく提供される本発明のラベル付容器は、ヒンジ付容器にラベルが装着されたラベル付容器であって、前記ヒンジ付容器は、内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の開口部に取り付けられる蓋体とを有し、前記蓋体は、前記開口部と連通した蓋開口を備えた蓋基部と、前記蓋基部の上に配置される開閉部と、前記蓋体の周部において前記開閉部と蓋基部とを連結し、前記開閉部による前記蓋開口の開閉を可能とするヒンジ部とを有し、前記蓋基部と前記開閉部との境界が、前記蓋体の周方向に延びるように形成されるものであり、前記ラベルは、少なくとも前記蓋体の外周部に装着され、前記蓋体の周方向に沿って形成された切断予定部を有し、前記切断予定部が前記蓋基部の下端よりも上方であって前記境界よりも下方となるように熱収縮装着されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のラベル付容器は、蓋体に装着されたラベルに周方向に延びる切断予定部を有する。また、本発明のラベル付容器の蓋体は、ヒンジ部を支点として開閉部を揺動させることにより開閉できるものである。そのため、ラベルが装着されたままの状態でヒンジ部を支点として蓋基部から開閉部を引き起こし、揺動させる操作を行うことで、切断予定部に沿ってラベルを切断させ、蓋体を開くことができる。このように、本発明のラベル付容器は、蓋体を開く動作とラベルの開封とを同時に行うことができる。
【0011】
ここで、本発明のラベル付容器においては、未開封状態である蓋体を開くために開閉部を蓋基部から引き起こす操作を行うと、切断予定部を境界としてラベルが閉部側の領域(開閉部側領域)及び蓋基部側の領域(蓋基部側領域)に破断される。本発明のラベル付容器では、切断予定部が蓋基部と開閉部との境界上ではなく、境界よりも蓋基部側に外れた位置に形成されている。そのため、一旦ラベルを破断させて蓋体を開くと、蓋体を閉じたとしても開閉部から突出したラベル領域が蓋基部側領域に完全に一致せず、一度開封されたものであることが視覚的に容易に把握可能となる。特に、ラベルの切断予定部が、境界よりも蓋基部側に外れた位置において開閉部側及び蓋基部側に向けて引っ張られつつ破断されるので、例えば刃物等で切断した場合とは異なり、各領域の切断予定部側の端部に伸びた部分(以下、「延伸端」とも称す)が形成されるなどする。そのため、本発明のラベル付容器は、上述したようにしてラベルを破断させて蓋体を開いた後、再び蓋体を閉じたとしても、ラベルの切断面の変形により、一度開封されたものであることが視覚的に容易に把握可能となる。従って、本発明によれば、ラベルが開封されたことを容易に把握可能であり、改ざん抑制効果の高いラベル付容器を提供できる。
【0012】
また、上述したように開閉部側領域や蓋基部側領域の端部(延伸端)が伸びる等して不揃いになると、延伸端が開閉境界に食い込んだり、はみ出したりして、一度開封されたものであることが直感的に把握可能となる。従って、本発明のラベル付容器によれば、悪戯等による開封を容易に把握可能となり、改ざん抑制効果が期待できる。
【0013】
ここで、上述した本発明のラベル付容器において、ヒンジ部が蓋体の外周部に設けられている場合には、蓋基部に残ったラベルがヒンジ部の影響で浮き上がったり、開閉に伴ってラベルがヒンジ部に噛み込む等、容器としての使用上は大きな問題とならないものの、美観等の観点からして改善が望まれる状態になる可能性がある。そのため、本発明のラベル付容器は、このような問題が生じないような構成とすることが望ましい。
【0014】
かかる知見に基づいて提供される本発明のラベル付容器は、前記切断予定部が、前記ヒンジ部を外れて形成されたものである。
【0015】
かかる構成によれば、蓋基部に残存したラベルの縁部を蓋基部の周面に沿うように配置させ、ラベルが浮き上がることを抑制することができる。その結果、本発明のラベル付容器は、開封後の見た目を向上させることができる。また、仮に切断予定部がミシン目とされ、ヒンジ部にかかるようにミシン目が形成されるラベル付容器である場合には、容器とラベルとの間に隙間が生じ、ミシン目が肥大して商品の見た目を損なうおそれがある。一方、本発明のラベル付容器は、ラベルと容器との間の隙間に起因するミシン目の肥大を抑制し、商品の美観を維持することができる。また、上述の構成によれば、開閉に伴ってラベルがヒンジ部に噛み込むのを抑制できる。
【0016】
ここで、本発明のラベル付容器のように、開閉部を引き起こすために加える力を利用して蓋体に装着されたラベルを破断しようとする場合には、蓋開口を開く操作の起点となる開封起点において開閉部が蓋基部から引き起こされてからヒンジ部に向かうに連れて、ラベルに対する力の作用が変化する。そのため、本発明のラベル付容器において、ラベルをスムーズに破断して分割できるようにするためには、ラベルに対する力の作用を考慮しつつ切断予定部の形状を最適化することが望ましい。
【0017】
かかる知見に基づいて提供される本発明のラベル付容器は、前記蓋体が、前記ヒンジ部に対して径方向反対側に、前記蓋開口を開く操作の起点となる開封起点を有し、前記切断予定部が、前記開封起点側から前記ヒンジ部側に向けて傾斜して形成された傾斜部を有することが望ましい。
【0018】
上述の構成によれば、開封起点を押し上げて蓋体を開封させる動作による力を、ラベルを分割させる力として効率的に作用させることができる。そのため、本発明のラベル付容器は、蓋体を開封させるための開閉部を押し上げる動作により、容易にラベル付容器を開封可能とすることができる。
【0019】
ここで、蓋体の開封動作と、傾斜部との関係について、補足して説明する。本発明のラベル付容器は、上述のとおり蓋体がヒンジ部を介して蓋基部に接続された開閉部を揺動させることで開閉可能な構造(以下、「ヒンジ開閉構造」とも称す)とされている。ヒンジ開閉構造の蓋体は、開封開始時にヒンジ部を支点として蓋基部から開閉部を引き起こすように力を加えた後、開閉部をさらに引き起こしつつヒンジ部側に向かうように斜め方向への力を加えることにより開封を進めることができる。一方、ラベルは、開閉部側領域と蓋基部側領域とに分割する方向、すなわち切断予定部に対して交差する方向に力を加えることにより、切断予定部に沿って破断して分割できる。そのため、本発明のラベル付容器は、蓋体の開封動作を通じてラベルに作用する力に応じて切断予定部の傾斜や形状を調整することが好ましい(例えば
図10参照)。具体的には、上述したように切断予定部の全部又は一部に前述した傾斜部を設ける等することが望ましい。このようにすることで、さほど大きな力を作用させなくても、ヒンジ開閉構造を有する蓋体の開封動作と共に切断予定部に沿ってラベルを破断することが可能となる。
【0020】
ここで、上述したラベル付容器において、蓋基部から開閉部を引き起こして蓋開口を開く操作を行う場合、開閉部を引き起こす際に大きな力を要する。また、本発明のラベル付容器のように蓋体にラベルが装着されており、開閉部を引き起こすために加える力を利用してラベルを切断予定部において破断しようとする場合には、ラベルの破断に要する力の分だけ開封起点においてさらに大きな力を作用させる必要がある。そのため、本発明のラベル付容器の開封に要する力を最小限に抑制するためには、開封起点に力を作用させやすい構造としたり、開封基点側においてラベルを破断しやすいようにするなどの方策を講じておくことが望ましい。
【0021】
かかる知見に基づいて提供される本発明のラベル付容器は、前記蓋体が、前記蓋基部に対して前記開閉部が前記蓋体の径方向に相対的に突出するように形成される突出部を有し、前記突出部が、前記開封起点として設けられるものであってもよい。
【0022】
本発明のラベル付容器は、突出部を使用者の指等の引っ掛かり部分として機能させることができ、開封開始の際に蓋基部から開閉部を引き起こすための力を作用させやすい。そのため、本発明のラベル付容器は、さほど大きな力を作用させることなく、開閉部を引き起こして蓋体を開くと共に、開閉部を引き起こす力を利用して切断予定部に沿ってラベルを破断する作業を行える。
【0023】
ここで、本発明のようにヒンジ開閉構造を備えた蓋体を採用しつつ、開閉部を引き起こす力を利用してラベルを容易に分割可能とするためには、開閉部を引き起こす時点でラベルの分割に要する負荷を最小限に抑制することが望ましい。
【0024】
かかる知見に基づいて提供される本発明のラベル付容器は、前記蓋体が、前記ヒンジ部に対して径方向反対側の位置に、前記蓋開口を開く操作の起点となる開封起点を有し、前記切断予定部は、前記蓋体の開封起点に対応する位置に弱化部を有することを特徴とするものである。
【0025】
本発明のラベル付容器において、蓋体に装着されているラベルを蓋基部側領域と開閉部側領域とに分割するための強度が、弱化部において前記切断予定部の他の部位よりも低強度とされている。そのため、本発明のラベル付容器は、開閉部を引き起こしつつラベルを分割するために要する負荷が最小限で済む。従って、本発明のラベル付容器は、開閉部を引き起こして蓋体を開くと共に、開閉部を引き起こす力を利用して切断予定部に沿ってラベルを破断する作業を最小限の力で行うことができる。
【0026】
なお、前記弱化部は、例えば切目として、前記切目を前記蓋体の開封起点に対応する位置に設ける。
【0027】
本発明のラベル付容器は、前記弱化部が、切目により構成されており、前記蓋体が、前記蓋基部に対して前記開閉部が前記蓋体の径方向に相対的に突出するように形成された突出部を有し、前記切目が設けられた位置において、前記突出部の一部が露出しているものであることが望ましい。
【0028】
上述の構成によれば、突出部が完全にラベルに覆われている場合と比較して、開封時に指が突出部に引っ掛かりやすい。そのため、本発明のラベル付容器は、より容易に開封動作を行うことができる。
【0029】
上述した本発明のラベル付容器は、前記切断予定部をいかなるものによって構成しても良いが、前記切断予定部の全部又は一部がミシン目により形成されるもの等、適宜の構成とすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、蓋を開く動作とラベルの開封とを同時に行うことができるとともに、ラベルが開封されたことを容易に把握可能であり、改ざん抑制効果の高いラベル付容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
≪第一実施形態≫
以下、本発明の第一実施形態に係るラベル付容器10について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0033】
図1に示すとおり、ラベル付容器10は、容器20(ヒンジ付容器)と、シュリンクラベル50(ラベル)とを有する。ラベル付容器10は、容器20にシュリンクラベル50が熱収縮装着され、封緘されている。
図1に示すとおり、シュリンクラベル50は、容器20の概ね全域を被覆する、いわゆる「フルシュリンク」とされている。
【0034】
(容器について)
図1及び
図2に示すとおり、容器20(ヒンジ付容器)は、容器本体22と、キャップ30(蓋体)とを有する。容器本体22には、収容物が収容される。
図3に示すとおり、キャップ30は、容器本体22の開口部24に取り付けられている。容器20は、底部20aを接地させて自立可能とされている。容器20の材質は特に限定されず、ペットボトル等の合成樹脂製容器、ボトル缶、ガラス瓶等が挙げられる。容器胴部の外形は、内部に内容物を収納できる中空状であれば特に限定されず、略円柱状、略楕円柱状、略四角柱状や略三角柱状などの多角柱状、略三角錐状などの多角錐状、略瓢箪形状、及びこれらの形状が組み合わされた立体形状などでもよい。
【0035】
なお、以下の説明において、別途記載がない限り、「上下方向」とは容器20が自立した状態における上下方向を指すものとして記載する。同様に、以下の説明において、別途記載がない限り、「上方」とは容器20が自立した状態における上方向を意味し、「下方」とは容器20が自立した状態における下方向を意味するものとして記載する。
【0036】
図1及び
図2に示すとおり、容器本体22は、胴部26と、首部28とを有し、これらが一体的に形成されている。本実施形態では、容器本体22は、胴部26及び首部28が略円柱状の外観とされ、胴部26から首部28に亘って径方向に縮小された形状とされている。容器本体22は、内部が中空とされ、開口部24を通じて胴部26に収容された収容物を取り出し可能とされている。
図3に示すとおり、開口部24は、首部28の上端部28aに形成される。首部28の上端部28aの外周面には、凸状の部分が環状に形成された接続部28bが設けられている。
【0037】
キャップ30(蓋体)は、容器本体22の開口部24に取り付けられた蓋部材である。
図3に示すとおり、キャップ30は、蓋基部32、開閉部38、及びヒンジ部42を備えている。キャップ30は、蓋基部32と開閉部38とがヒンジ部42を介して連結されている。なお、
図3の分解斜視図では、説明を容易とするために蓋基部32と開閉部38とを分離させて示している。
【0038】
図3に示すとおり、蓋基部32は、容器本体22に対して装着されている。蓋基部32の下端部32c(下端)の内周面には、容器本体22の接続部28bを嵌め込んで接続可能な部分(以下、「被接続部」とも称す)とされている。キャップ30は、被接続部に容器本体22の接続部28bを嵌め込むことにより、容器本体22に対して取り付けられる。蓋基部32には、環状に形成された取出口形成部36が設けられている。また、取出口形成部36の内側には、取出口34(蓋開口)が形成されている。本実施形態の取出口34は、蓋基部32の貫通孔として形成されている。取出口34は、キャップ30が容器本体22に対して取り付けられた状態において、容器本体22の開口部24と連通し、容器本体22の収容物を取り出すための取り出し口として機能する。
【0039】
開閉部38は、蓋基部32の取出口34を開放及び閉塞するためのものである。開閉部38は、蓋基部32に被せて取出口34を閉塞するために設けられている。開閉部38は、蓋基部32の上に配置される。開閉部38は、略円形の断面形状を有し、蓋基部32の直径と略一致する直径とされている。そのため、キャップ30は、開閉部38により蓋基部32の取出口34が閉塞された状態(閉状態)において、開閉部38の周面と蓋基部32の周面とが略面一となる。
【0040】
図3及び
図4等に示すとおり、開閉部38には、突出部40が設けられている。突出部40は、蓋基部32に対して相対的にキャップ30の径方向に突出するように形成される。より具体的には、突出部40は、開閉部38の下端部38aの一部を径方向外側に突出させて鍔状の形状をなすよう形成されている。突出部40は、閉状態において蓋基部32の周面から径方向外側に向けて突出するように形成されている。突出部40は、キャップ30を開くために開閉部38を上方に押し上げる際に使用者の指等を引っ掛かけるための部分として機能する。
図4(b)に示すとおり、突出部40は、キャップ30においてヒンジ部42が設けられた位置と径方向反対側の位置に設けられている。
【0041】
図3及び
図4等に示すとおり、ヒンジ部42は、キャップ30の周部に設けられている。より具体的には、ヒンジ部42は、蓋基部32の上端部32aと、開閉部38の下端部38aとを連結するように設けられている。本実施形態では、ヒンジ部42は、キャップ30の径方向外側に突出するように形成され、キャップ30の外周面に設けられている。なお、本発明のラベル付容器は、ヒンジ部がキャップ(蓋体)の周部に設けられたものであれば、キャップの外周部又は内周部のいずれに設けられたものであってもよいし、あるいは、蓋基部及び開閉部の開閉境界側の端部に設けられたものであってもよい。
【0042】
上述のとおり、キャップ30は、蓋基部32と開閉部38とがヒンジ部42を介して連結されている。
図5に示すとおり、キャップ30は、開閉部38のヒンジ部42が設けられた位置とは反対側にある突出部40を上方に押し上げる(引き起こす)ことにより、ヒンジ部42を揺動支点として開閉部38を蓋基部32に対して揺動させることができる。キャップ30は、開閉部38を揺動させることにより、取出口34を開閉する開閉操作を行うことができる。言いかえれば、キャップ30において、ヒンジ部42は開閉部38の揺動支点として機能し、突出部40は、キャップ30を開く操作を行うための開封起点Aとして機能する。
【0043】
上述のとおり、キャップ30は、ヒンジ部42を介して蓋基部32に接続された開閉部38を揺動させることで開閉可能な構造(以下、「ヒンジ開閉構造」とも称す)とされている。キャップ30は、開閉部38の開封起点Aを上方に押し上げて開閉部38を蓋基部32から引き起こし、開閉部38の下端部38aを蓋基部32の上端部32aと離間させることにより、取出口34を開状態とすることができる(
図5参照)。また、キャップ30は、開閉部38を蓋基部32側に引き戻し、開閉部38が蓋基部32に被さった状態にすることにより、取出口34を閉状態とすることができる(
図4(a)参照)。
図4(a)に示すとおり、キャップ30を閉状態とすると、蓋基部32の上端部32aと開閉部38の下端部38aとの境界に開閉境界Bが形成される。
【0044】
(シュリンクラベルについて)
シュリンクラベル50(ラベル)は、熱収縮性を有するフィルム51が筒状に形成されたものである。詳細については詳述するが、シュリンクラベル50は、容器20を挿通させて加熱処理がなされることにより、容器20に略密着するように装着される。以下のシュリンクラベル50の説明において、先ず容器20に装着される前の状態について
図6等を参照して説明し、次いで容器20に装着された状態について説明を行う。
【0045】
図6及び
図7に示すとおり、シュリンクラベル50は、略矩形の熱収縮性フィルム51の両端を重ね合わせて、溶剤、接着剤などでセンターシール部56において接合されて筒状に形成されたものである。
図6に示すとおり、シュリンクラベル50には、開口方向(
図6で示す上下方向)と交差するようにミシン目52、及び切目54(弱化部)が設けられている。
【0046】
図1及び
図2に示すとおり、シュリンクラベル50は、容器20のキャップ30から胴部26の最下端に亘って密着して装着される。ここで熱収縮性フィルム51とは、後述する加熱処理を行うことにより、収縮する機能を有するフィルムを意味する。
【0047】
熱収縮性フィルム51としては、熱収縮性を有する合成樹脂フィルム、不織布及び発泡樹脂フィルム、その他の機能層(遮光性、ガスバリア性等)並びにこれらの積層フィルムなどが挙げられる。熱収縮性フィルム51に使用できる合成樹脂としては、特に限定されず公知の樹脂を使用することができ、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリスチレン系樹脂(スチレン−ブタジエン共重合体など)、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂から選択される1種単独、又は2種以上の混合物などを含むフィルムを挙げることができる。熱収縮性を有する合成樹脂フィルムは、1つの樹脂層で構成されていてもよく、又、異種若しくは同種の異なる複数の樹脂層から構成されていてもよい。なお、これらのうち好ましくは、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、或いはポリスチレン系樹脂層とポリエステル系樹脂層が積層された積層フィルムである。これらのうち、ポリスチレン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム及びこれらの積層フィルムが好ましい。
【0048】
熱収縮性フィルム51は、良好な熱収縮性を発現するために、少なくとも一方向に延伸されていることが好ましい。延伸倍率としては、筒状に形成された熱収縮性フィルム51(シュリンクラベル50)の円周方向(一方向)に2〜6倍程度が好ましく、場合によってはシュリンクラベル50の高さ方向(一方向と直交する方向)に1.01〜2倍程度であることが好ましい。延伸方式としては、ロール方式、テンター方式及びチューブ方式等を使用することができる。なお、熱収縮性フィルム51の膜厚は、20〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは、20〜80μmである。なお、熱収縮性フィルム51は、加熱処理によって主に円周方向に収縮し、具体的には、円周方向に30〜80%(加熱処理条件;90℃の熱水に10秒間浸漬、以下同じ)、高さ方向に−3(マイナスは膨張を意味する)〜15%の熱収縮率を有することが好ましい。ここで熱収縮率とは、収縮前後のフィルムサイズの差を収縮前のフィルムサイズで除した値(百分率)である。
【0049】
熱収縮性フィルム51の表面には、商品名や商品イメージ等を表す文字や模様など所望の色相に調整した図示しない印刷層を設けることができる。なお、印刷層は、熱収縮性フィルム51のラベルの内側となる面に設けることが好ましい。印刷層は、例えば、所望の顔料や染料と、ビヒクルと称されるバインダ樹脂(アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリアミド系樹脂等)と、有機溶剤(エステル系溶剤、アルコール系溶剤、及びケトン系溶剤等)と、添加剤(ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、及び消泡剤等)とを混合したインキを用いて形成される。色相の調整は、顔料の種類やその添加量を調整することによって行われる。顔料の添加量を多くすれば、濃い色相で透明性の低い印刷層を形成することができる。なお、印刷層の厚みは、0.5〜25μmであることが好ましく、さらに好ましくは1〜10μmである。なお、印刷層の形成は、グラビア印刷、凸版印刷、平板印刷及び孔版印刷等によって行うことができる。印刷層において、文字や模様の表示を行わない部分には、背景色の印刷を行うことができ、通常は、白ベタ印刷が行われる。
【0050】
シュリンクラベル50の製造は、次のようにして行われる。まず、未延伸のフィルムを延伸処理し、シュリンクラベル50が印刷層を有するものである場合には、延伸処理したフィルムに公知の印刷方式により印刷層が形成され、長尺のロール状とされる。長尺ロールとされた熱収縮性フィルム51は、容器20に装着される幅にスリットされる。その後に、熱収縮性フィルム51は、一方の側縁部に他方の側縁部を重ね合わせて溶剤、接着剤などで接合(センターシール)し、筒状のシュリンクラベル50の連続体となる。この連続体を長手方向(上下方向)に所定のサイズを有する一枚のシュリンクラベル50となるように切断する。
【0051】
シュリンクラベル50の容器20への装着は、例えば次のようにして行われる。
図7に示すように、先ず、筒状に広げたシュリンクラベル50を容器20の外周に被せ、シュリンクラベル50の切目54の位置と、容器20の突出部40の位置とが略一致するように位置を合わせる(
図7参照)。シュリンクラベル50を容器20に被せた後、加熱処理してシュリンクラベル50を収縮させると、シュリンクラベル50が容器20に装着された状態になる。加熱処理は、熱風やスチームを吹き付けることにより行われる。具体的には、例えば、90℃に設定されたスチームが充満したスチームトンネルに、容器20に容器20の径よりも少し大きな径の筒状のシュリンクラベル50が外嵌された状態で通されることにより加熱処理される。
【0052】
なお、シュリンクラベル50は、筒状に形成される前のシュリンクラベル50の一端を先ず容器20に対して接着し、シュリンクラベル50の他端を容器20に巻き付けた上でシュリンクラベル50の一端と他端とを接着してシュリンクラベル50が筒状とされるものであってもよい。
【0053】
シュリンクラベル50には、切断予定部Cが設けられている。切断予定部Cは、シュリンクラベル50を開閉部側領域60及び蓋基部側領域62の二つの領域に分割可能とする境界線であり、本実施形態では、ミシン目52及び切目54から構成されている。
ミシン目52や切目54は、シュリンクラベル50が容器20の幅に切断された後やセンターシールされて筒状にされた後(例えば、一枚のシュリンクラベル50のサイズに切断すると同時)に形成することができる。なお、ミシン目52や切目54は、ダイカットやレーザー加工等により設けることができる。
【0054】
ここで、本明細書において、「ミシン目」とは、ミシン針の縫い跡の如くフィルムの表裏面に貫通する貫通孔部が一方向に断続的に形成された、貫通孔部の集合を意味する。かかるミシン目には、隣接する貫通孔部の間に、非貫通部(貫通処理のなされていないフィルム部分)が存在する。1つの貫通孔部の正面視形状は、細長い直線状、針穴状(円形孔又は楕円形孔)などが挙げられる。ミシン目に沿ってフィルムが切れ易くなることから、貫通孔部の形状は、細長い直線状が好ましい。ミシン目の貫通孔部の長さは、特に限定されず、例えば、0.3mm〜2mmであり、同非貫通孔部の長さは、特に限定されず、例えば、0.4mm〜5mmである。
【0055】
切目54は、切断予定部Cを境界としてシュリンクラベル50を分割するのに要する強度(分割強度)がミシン目52よりも低くなるように設けた弱化部である。すなわち、切目54は、シュリンクラベル50の分割に要する負荷を低減させるための負荷抑制手段として設けられている。切目54は、シュリンクラベル50の表裏面を貫通する隙間(スリット)として形成される。なお、本実施形態では、シュリンクラベル50に切目54を設けた例を示したが、切目54に代えて、後述する弱化部としてミシン目52の一部の貫通孔部の形状をより大きくしたものやミシン目52のピッチが細かいもの等を弱化部としてもよい。なお、切断予定部Cは、前記のような作用をもたらすものであれば特に限定されず、例えば、ハーフカット線、罫線、及びミシン目や切目とこれらとの組合わせ等が挙げられ、形状も直線に限定されず、略円弧状、略V字状、略U字状などの非直線からなる形状及びこれらを組合わせた形状であってもよい。ハーフカット線としては、フィルムの厚み方向に断面略V字状に切り込んだ線が挙げられ、罫線は、フィルムの厚み方向に押し込んだ押し込み線等が挙げられる。
【0056】
続いて、容器20に熱収縮装着された状態のシュリンクラベル50について、
図8等を参照しつつ説明する。なお、
図8において、説明を容易とするためにシュリンクラベル50に覆われた容器20の図示を省略している。
【0057】
図8に示すとおり、容器20に装着された状態において、シュリンクラベル50は、キャップ装着部58(蓋装着部)、及び本体装着部64に大別される。キャップ装着部58は、キャップ30の周部を取り囲むようにキャップ30に対して装着された部分である。より具体的には、キャップ装着部58は、縁部58aがキャップ30の天面に到達し、キャップ30の周面全域を覆うように装着された部分である(
図2参照)。また、キャップ装着部58は、上述した切断予定部Cを境界として、蓋基部側領域62及び開閉部側領域60に区画されている。また、蓋基部側領域62により蓋基部32が覆われると共に、開閉部側領域60により開閉部38が覆われている。
【0058】
一方、本体装着部64は、容器本体22の周部を取り囲むように装着された部分である。このように、ラベル付容器10は、キャップ30から容器本体22に亘って一続きのシュリンクラベル50によって容器20を被覆したものとされている。
【0059】
シュリンクラベル50は、切断予定部Cが蓋基部32の下端部32c(下端)よりも上方であって開閉境界Bよりも下方となるように、容器20に熱収縮装着されている。
図9(a)に示すとおり、上述した切断予定部Cは、キャップ30の周部を取り囲み、キャップ30の開閉境界Bを外れた位置を通るように形成されている。本実施形態では、切断予定部Cは、開閉境界Bよりも蓋基部32側に外れた位置に形成されている。また、切断予定部Cは、側面視において突出部40側からヒンジ部42側に向けて下り勾配となるように形成された傾斜部55を有する。本実施形態では、切断予定部Cは、開封起点Aに設けられた突出部40から、ヒンジ部42を下方に外れた位置に到達する区間全域において傾斜部55をなすように形成されている。そのため、切断予定部Cは、傾斜部55が設けられた部分(本実施形態では略全体)においてキャップ30の開閉境界Bに対して傾斜した状態となるように形成されている。
【0060】
図12(a)に示すように、切断予定部Cは、容器20に装着される前の段階から傾斜部55が形成されるように設計されている。具体的には、シュリンクラベル50を容器20に装着することにより開閉境界Bが到来する位置に境界仮想線B’が存在すると想定し、境界仮想線B’から切断予定部Cまでの距離が突出部40側とヒンジ部42側とで相違するように切断予定部Cを規定している。さらに詳細には、
図12(a)に示すとおり、シュリンクラベル50は、突出部40側における境界仮想線B’と切断予定部Cとの距離Lx1よりも、ヒンジ部42側における境界仮想線B’と切断予定部Cとの距離Lx2のほうが大きくなるように切断予定部Cを規定している([距離Lx1]<[距離Lx2])。
【0061】
上述したようにして切断予定部Cの位置や傾斜を規定しておくことにより、シュリンクラベル50は、傾斜部55がキャップ30の開閉境界Bに対して傾斜した状態になるように容器20に装着される。具体的には、
図12(a)に示したようなシュリンクラベル50を容器20に装着すると、
図12(b)に示すとおり、突出部40側における開閉境界Bと切断予定部Cとの距離La1よりも、ヒンジ部42側における開閉境界Bと切断予定部Cとの距離La2のほうが大きくなるように切断予定部Cが傾斜した状態で装着される([距離La1]<[距離La2])。また、開閉境界Bからヒンジ部42の下端までの距離La3に対し、切断予定部Cがヒンジ部42の下方に外れた位置を通るように距離La2が設定されている(La3<La2)。
【0062】
さらに詳細には、例えば、本実施形態のラベル付容器10として、キャップ30の直径D1が約30mm、距離La3が約3mmであるものとした場合、距離Lx1を約1mm、距離Lx2を約5mm等として[距離Lx1]<[距離Lx2]の関係を満足したものとすることができる。このようなシュリンクラベル50を容器20に装着することにより、熱収縮の程度による変動はあるものの、距離La1,La2がそれぞれ距離Lx1,Lx2と概ね一致し、[距離La1]<[距離La2]の条件を満足するように装着できる。距離La1が大きくなると、キャップ開封の力がミシン目にかかりにくくなるので、La1は8mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3.5mm以下、もっとも好ましくは1.5mm以下である。
【0063】
切断予定部Cは、大部分がミシン目52によって形成されているが、一部が切目54によって形成されている。より具体的には、切断予定部Cが設けられた部位のうち、キャップ30の突出部40側の部分には、弱化部として切目54が設けられている。切断予定部Cは、突出部40の近傍においてシュリンクラベル50を分割させる際に起点となる部分に切目54が設けられ、その他の部分にミシン目52が設けられた構成とされている。以下、ミシン目52の配置、及び切目54の配置について、さらに詳細に説明する。
【0064】
容器20にシュリンクラベル50が装着された状態において、ミシン目52は、切断予定部Cの概ね全域に亘って設けられている。ミシン目52は、キャップ30の開閉境界Bを外れた位置を通るように形成されている。具体的には、ミシン目52は、蓋基部32側に形成されており、開封起点Aに設けられた突出部40の下方から、ヒンジ部42を下方に外れた位置に到達するように形成されている。
【0065】
また、切目54は、キャップ30の開封起点A側に配置され、突出部40と略一致するように配置されている。このようにすることで、キャップ30の開封時にシュリンクラベル50を破断等して分割するために要する負荷が、最小限に抑制されている。
【0066】
具体的には、
図9(a)に示すとおり、シュリンクラベル50により封緘された状態のラベル付容器10を開封する場合には、突出部40を押し上げる(引き起こす)ように力が作用する(
図9(a)中の矢印F)。また、シュリンクラベル50には、突出部40と略一致するように切目54が配置されている。そのため、ラベル付容器10の開封時には、切目54が分割起点となり、シュリンクラベル50が切断予定部Cに沿って破断(分割)される。
【0067】
切目54の機能について、さらに詳細に説明する。本実施形態のラベル付容器10は、突出部40を上方に押し上げてシュリンクラベル50を上下方向に分割させることにより、シュリンクラベル50により封緘されたキャップ30を開封することができる。すなわち、ラベル付容器10を開封しようとする場合には、切断予定部Cを境界として、シュリンクラベル50の開閉部側領域60を上方に引っ張って、切断予定部Cに沿ってシュリンクラベル50を破断させる必要がある。
【0068】
ここで、本実施形態のラベル付容器10は、キャップ30がヒンジ開閉構造を備えたものである。また、キャップ30には、開閉部38の開閉操作に節度感を与えたり、密閉度を高めたりするために、開閉部38を開くタイミングで比較的大きな力をかける必要がある構造とされたものが多い。そのため、キャップ30を開く力を利用して少しでも低負荷でシュリンクラベル50を分断できるようにするためには、開閉部38を開くタイミングでシュリンクラベル50の分断に要する負荷を最小限に抑制することが好ましい。
【0069】
このような知見のもと、本実施形態のラベル付容器10においては、切目54が開封起点Aの近傍においてミシン目52に連続するように形成されている。そのため、シュリンクラベル50は、切目54が設けられない場合と比較して、キャップ30を開く力を利用しつつ低負荷でシュリンクラベル50を分断させることができる。
【0070】
また、ミシン目52には、突出部40からヒンジ部42に向けて下り勾配とされた傾斜部55が設けられている。突出部40が上方に押し上げられると、傾斜部55を境界として上方側の開閉部側領域60には、斜め方向に引張応力Nが作用する(
図10参照)。そのため、切断予定部Cが略水平の姿勢で設けられた場合と比較して軽い力で、切断予定部Cに沿ってシュリンクラベル50を分割させることができる。傾斜部の角度は、0°を越え25°以下であり、好ましくは20°以下であり、より好ましくは15°以下であり、もっとも好ましくは10°以下である。
【0071】
このように、ラベル付容器10は、切断予定部Cをなすミシン目52や切目54の作用が相まって機能し、突出部40を上方に押し上げる操作に必要な力と同等あるいはこれよりも僅かに大きな力を作用させるだけでシュリンクラベル50を開封できる。そのため、ラベル付容器10は、突出部40を上方に押し上げるワンアクションの開封操作を行うだけで開封することができる。
【0072】
また、
図9(b)に示すとおり、ラベル付容器10は、切断予定部Cが開閉境界Bから下方に外れた位置に設けられている。
図11(b)に示すとおり、悪戯などによりキャップ30が開封された場合に、蓋基部32に残存したシュリンクラベル50から蓋基部32の上端部32aが露出して、切断予定部Cが設けられていた部分にシュリンクラベル50の隙間が形成される。そのため、一旦シュリンクラベル50を破断させてキャップ30を開いた後、キャップ30を閉じたとしても前述した隙間から蓋基部32や開閉部38が露出し、一度開封されたものであることが視覚的に容易に把握可能となる。従って、本発明のラベル付容器10は、シュリンクラベル50が開封されたことを容易に把握可能であり、改ざん抑制効果を高めることが期待される。
【0073】
さらに、未開封状態であるキャップ30を開くために、開閉部38を蓋基部32から引き起こす操作を行うと、切断予定部Cを境界として開閉部38側及び蓋基部32側に向けてシュリンクラベル50が引っ張られつつ、シュリンクラベル50が破断される。
図11(a)に示すとおり、キャップ30の開封の際に、開閉部側領域60の分離端60aは、下方に引っ張られる。そのため、開閉部38側に残存する開閉部側領域60には、分離端60aが下方に延伸された延伸部60bが形成される。
【0074】
図11(b)に示すとおり、シュリンクラベル50に延伸部60bが形成された状態になると、開閉部38を再び閉じたとしても開閉部側領域60及び蓋基部側領域62の境界が不揃いとなり、延伸部60bが開閉境界Bに食い込んだり、はみ出したりして、一度開封されたものであることが直感的に把握可能となる。従って、本発明のラベル付容器10によれば、悪戯等による開封を容易に把握可能となり、改ざん抑制効果が期待できる。
【0075】
さらに、ラベル付容器10は、切断予定部Cに沿ってシュリンクラベル50を破断すると、開閉部側領域60をなす部分を容器20から取り外すことができる。これに対し、本体装着部64及び蓋基部側領域62は、容器20に装着された状態で維持される。そのため、ラベル付容器10は、開封に伴って発生する廃棄物を開閉部側領域60をなす部分(分割片)のみに抑制できるとともに、容器20の下端からキャップ30の蓋基部32までシュリンクラベル50が装着されているので、デザイン性、またシュリンクラベル50が機能層(例えば、遮光性等)を有する場合には機能性を、より広い範囲で維持することができる。
【0076】
また、上述のとおり、切断予定部Cは、ヒンジ部42の下方に外れた位置に到達するように設けられている。そのため、
図9(b)に示すように、キャップ30の開封後には、蓋基部側領域62がヒンジ部42に被らないように蓋基部32を被覆した状態になる。これにより、蓋基部32に残存した蓋基部側領域62の縁部62aが浮き上がることを回避し、開封後の見た目を向上させることができる。
【0077】
ラベル付容器10は、上述のとおり、切断予定部Cが、[距離Lx1<距離Lx2]となるように設けられることが望ましい。なお、上記の寸法は本発明のラベル付容器10の一例であり、本発明のラベル付容器はこれに限定されない。傾斜部55の傾斜角度、距離Lx1、及び距離Lx2は、キャップ30の直径D1の大きさや、距離La3によって種々選択可能である。
【0078】
≪第二実施形態≫
続いて、本発明の第二実施形態に係るラベル付容器70について説明する。なお、以下のラベル付容器70の説明において、ラベル付容器10と同様の構成についてはラベル付容器10の説明において付した符号と同じ符合を付して、詳細な説明を省略する。
【0079】
図13に示すとおり、ラベル付容器70は、容器20と、シュリンクラベル80とを有する。なお、ラベル付容器70の容器20は、胴部の形状及び首部の形状がラベル付容器10の容器20と異なること以外は、各構成の構造に大きな差異はない。そのため、ラベル付容器70の容器20については、詳細な説明を省略する。
【0080】
ラベル付容器70は、容器20のキャップ30がシュリンクラベル80に覆われて封緘されている点がラベル付容器10と共通する。ラベル付容器70は、シュリンクラベル80がキャップ30を覆う一方、容器本体22を被覆しない構成とされている。すなわち、シュリンクラベル80は、いわゆるキャップシールとされている。なお、容器20の胴部26には、別途、シュリンクラベル、粘着ラベル、感熱ラベル、インモールドラベル等のラベルが装着されていてもよい。
【0081】
シュリンクラベル80は、ラベル付容器10のシュリンクラベル50と同様に、熱収縮性フィルムにより形成されている。また、シュリンクラベル80は、シュリンクラベル50と同様に、切断予定部Cとして、ミシン目52及び切目54を有する。また、シュリンクラベル80は、ミシン目52が傾斜部55とされている。
【0082】
シュリンクラベル80を容器20に装着させた状態において、傾斜部55は、開封起点Aからヒンジ部42に向けて下り勾配をなすように配置されている。なお、ラベル付容器70は、傾斜部55、切目54、突出部40等、ラベル付容器10と同様の効果を有する。
【0083】
≪その他の変形例≫
本発明のラベル付容器は、上述した実施形態に加え、シュリンクラベルに形成される切断予定部Cの態様を種々選択することができる。例えば、
図15(a)及び(b)に示すとおり、本発明のラベル付容器10は、切断予定部Cを切目54とミシン目52とが所定の角度をなすように屈曲した形状を有しており、突出部40の一部がラベルに覆われず露出する形態であってもよい。
【0084】
また、例えば、
図16(a)及び(b)に示すとおり、本発明のラベル付容器10は、切断予定部Cを、境界仮想線B’と切断予定部Cとが略平行となるよう形成してもよい。
【0085】
また、例えば、
図17(a)及び(b)に示すとおり、本発明のラベル付容器10は、切断予定部Cに加え、いわゆる縦ミシン目を設けたものであってもよい。縦ミシン目は一条であってもよいし、二条であってもよい。また、縦ミシン目は、横ミシン目に連設してもよいし、開閉部側領域の中途部まで延びていてもよい(縦ミシン目が二条の場合には、一方が横ミシン目まで延び、他方が中途部まで延びていてもよい)。縦ミシン目を設けることでキャップを開封後、開閉部側領域のラベルを縦ミシン目に沿って分断することで当該領域のラベルを容器から容易に剥がすことができる。また、通常と同じように、縦ミシン目を分断後、横ミシン目に沿ってラベルを剥がすこともできる。
【0086】
さらに、上述の実施形態では、ラベル付容器10の開封起点として、開閉部38の一部を径方向に突出させた突出部40の例を示したが、開封起点の形状はこれに限定されない。例えば、ラベル付容器は、開閉境界と隣接する蓋基部の一部を凹状に形成し、開閉部38の開閉境界と隣接する部分の一部を蓋基部の凹状部分に対して相対的に突出するように形成されるものであってもよい。
【0087】
さらに、上述の実施形態では、ラベル付容器10の切断予定部Cを、ヒンジ部42から下方に外れた位置に到達するものとした例を示したが、本発明のラベル付容器はこれに限定されない。例えば、本発明のラベル付容器は、切断予定部をヒンジ部が設けられた位置に到達するものとしてもよい。
【0088】
さらに、上述の実施形態では、キャップ30(蓋体)に突出部40が設けられたラベル付容器10を示したが、本発明のラベル付容器はこれに限定されない。例えば、本発明のラベル付容器の蓋体は、突出部を備えないものであってもよい。
【0089】
さらに、上述の実施形態では、弱化部として切目54を設けたラベル付容器10を示したが、本発明のラベル付容器はこれに限定されない。例えば、本発明のラベル付容器は、弱化部を備えない切断予定部を有するものとしてもよい。
【0090】
上述の実施形態及び変形例に記載した構成の態様は、フルシュリンク及びキャップシールのいずれの態様に適用してもよい。
【0091】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示および精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。