(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の流体圧シリンダをエアハイドロ式シリンダ1に適用した好適な実施の形態について、
図1から
図9を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態のエアハイドロ式シリンダ1では、シリンダをラジアル方向に二重構造とする。すなわち、外シリンダ10の内部に内シリンダ40を、内シリンダ40の内部に空圧供給ロッド22を、それぞれ同軸にして配置する。
そして、空圧供給ロッド22と内シリンダ40の間に第1ピストン30を配置し、内シリンダ40内における第1ピストン30の一方の面(油圧面)側を空気圧室80、他方の面側を第1油圧室81とする。
外シリンダ10と内シリンダ40との間に第2ピストン50を配設し、当該両シリンダ10、40内における、第1ピストン30の油圧面と同一方向を向く、第2ピストン50の面側を第2油圧室82とする。
内シリンダ40には、第1油圧室81と第2油圧室82に充填される油OLが移動し負圧を伝達するための連通孔44が形成される。
このように、第1ピストン30と第2ピストン50をラジアル方向に並列に配置すると共に、両ピストン30、50が油圧室に充填される油OLと接する面が同一方向となるように形成することで、エアハイドロ式シリンダ1の全長を短くすることができる。
【0010】
(2)実施形態の詳細
以下、本発明の流体圧シリンダをエアハイドロ式シリンダ1に適用した第1実施形態について説明する。
図1、
図2は本実施形態のエアハイドロ式シリンダ1の構成を表した図である。
図1において、(a)はエアハイドロ式シリンダ1の左側面図を、(b)は(a)の左側面図に表した断面線A−Aでの断面図を、(c)は右側面図を、(d)は(b)の断面図に表した断面線B−Bでの断面図を表している。
【0011】
図2は、本実施形態に係るエアハイドロ式シリンダ1のA−A’断面図である。
なお、
図2及びA線上の断面を表している断面図では、空圧配管継手28を断面の対象から除いて表示している。
また、以下の各断面図では、符号の引出線との区別が付きにくくなるため各部の断面を表す斜線については省略している。ただし、全体構成を表した図(
図2、
図6)では、各部の区別を明確にするため、各シリンダ内の供給エア(空気)ARと油OLが存在している空間についてはそれぞれ密度が異なる網点で区別している。
エアハイドロ式シリンダ(流体圧シリンダ)1は、
図2に示すように、筐体として機能する外シリンダ10、空圧供給部20、第1ピストン30、内筒部として機能する内シリンダ40、第2ピストン50、蓋60、コイルバネ70、71を備えている。
【0012】
外シリンダ10は、
図2において一点鎖線で示した仮想の中心軸線Cを軸心とし、シリンダ本体(筐体)を構成する外筒部11と、外筒部11の一方の側(図面左側)に配設された外シリンダ蓋12を備えている。
外筒部11における、中心軸線Cと直交する断面形状は、
図1(d)に示すように、内周面側が円形で、外周面側が角が取れた方形である。
なお、本実施形態の外筒部11と外シリンダ蓋12は一体形成されているが、互いの内外周面に螺刻されたネジにより螺合するようにしてもよく、シール部材を介して突き合わされた両部材をネジ止めすることで形成されるようにしてもよい。
外シリンダ蓋12の中心軸線Cを中心とする円形の貫通孔13が形成されている。
【0013】
外筒部11には、後述する複数の連通孔44と同一面上に、外筒部11を貫通する油供給孔14が形成されている。この油供給孔14は、第1油圧室81、第2油圧室82及び、連通孔44内に、第2流体として機能する油OLを充填するためのものである。
なお、本実施形態の連通孔44は
図1(d)に示すように4つ形成されているが、そのうちの1つが
図1(a)のA’線上に存在し、A線上には存在しない。従って、A−A’断面を表す
図2では、A線上から45度ズレた位置にある連通孔44を点線で表示している。ただし、点線で表した当該連通孔44内を満たす油OLにも網点を付している。なお、連通孔44の数と配置位置は任意であり他の数、位置でもよい。
油供給孔14は封止ネジ15で封止され、封止ネジ15には、第2油圧室82から油OLが流出することを防止するためのシール部材16が配設されている。
なお、封止ネジ15には、第1油圧室81、連通孔44、第2油圧室82内の油圧を測定するための圧力センサ(図示しない)を配設するようにしてもよい。
また、油供給孔14と封止ネジ15は1組である必要はなく、複数組配設するようにしてもよい。この場合、少なくとも1つの給油孔14を残して給油することで、給油していない給油孔14から内部の空気が抜けるので、給油が容易になる。そして、給油していない給油孔14から真空引きを行うことで更に容易に給油することができる。
また、複数組みのうちの1つの封止ネジ15に圧力センサを配設し、他の給油項14から給油を行うことも可能である。
【0014】
空圧供給部20は、蓋21と、蓋21の中心から一体形成された空圧供給ロッド22を備えている。この空圧供給ロッド22は、中央ロッドとして機能している。
外シリンダ10と空圧供給部20は、蓋21から外シリンダ蓋12に向けて複数本(本実施形態では4本)のボルト26により固定されている。
空圧供給ロッド22の先端には雄ねじが形成され、空圧供給ロッド22の外径よりも大きな外径の掛止ナット27が螺合されている。
【0015】
蓋21には、その側端面(厚さ面)から中心軸線Cに向かって第1空圧供給路23が形成され、この第1空圧供給路23と連続する第2空圧供給路24が、中心軸線Cに沿って空圧供給ロッド22に形成されている。第2空圧供給路24は、空圧供給ロッド22の先端まで貫通して形成されている。なお、第1空圧供給路23と第2空圧供給路24は、第1流体供給路として機能している。
空圧供給ロッド22の外径は、貫通孔13の内径よりも適度に小さいすきまばめに設定されている。空圧供給ロッド22の外周面と貫通孔13の内周面との対向面には全周に亘って空圧供給ロッド22側に形成された溝内にシール部材(オーリング)25が配設され、後述する第1油圧室81内の油OLが外部に流出することを防止している。
蓋21には空圧配管継手28が第1空圧供給路23と連続するように取り付けられており、この空圧配管継手28から、第1流体として機能する供給エアARが供給され、第1空圧供給路23、第2空圧供給路24を通り空圧供給ロッド22の先端から、第1流体室として機能する空気圧室80に供給される。
【0016】
第1ピストン30は、中央部に中心軸線C方向に外延するガイドロッド31が形成されている。
第1ピストン30とガイドロッド31の中心部には、貫通孔が形成され、当該貫通孔内に空圧供給ロッド22が摺動可能に挿通されている。第1ピストン30のガイドロッド31の反対側の面は掛止ナット27と当接することで、空圧供給ロッド22から外れないようになっている。
空圧供給ロッド22及びガイドロッド31と後述する内円筒部41との間には、ガイドロッド31の径よりも大きなコイル内径を有するコイルバネ70が配設されている。このコイルバネ70の一端は外シリンダ蓋12と当接し、他端は第1ピストン30と当接している。
コイルバネ70は、空圧力を受けた第1ピストン30が退避方向(図面左方向)に移動すると圧縮され、空圧力が小さくなると第1ピストン30を掛止ナット27と当接するまで戻す。
【0017】
第1ピストン30の内周面と空圧供給ロッド22の外周面との対向面には、全周に亘って第1ピストン30の内周面側に形成された溝内に内周シール部材32が配設されている。
また第1ピストン30の外周面と後述する内円筒部41の内周面との対向面には、全周に亘って第1ピストン30の外周面側に形成された溝内に外周シール部材33が配設されている。
この内周シール部材32と外周シール部材33により、空気圧室80内の供給エアARと第1油圧室81の油OLが互いの側に流出することを防止している。
【0018】
内シリンダ40は、第1ピストン30が内周面を摺動する内円筒部41、内円筒部41の一方の側(空圧供給部20側)に形成されたフランジ42、内円筒部41の他端側を塞ぐように形成された蓋部43を備えている。本実施形態の内円筒部41、フランジ42、蓋部43は一体形成されている。
内円筒部41のフランジ42側の周面には、第1油圧室81と第2油圧室82とを連通する複数の連通孔44がそれぞれ径方向に形成されている。この連通孔44は、第1ピストン30の摺動範囲、及び、第2ピストン50(後述)の摺動範囲と重複しない位置に形成されている。
内シリンダ40と外シリンダ10は、フランジ42から外シリンダ蓋12に向けて複数本(本実施形態では4本)のボルト46により固定されている。本実施形態では、ボルト46用の取付ネジ穴は外シリンダ蓋12を貫通していない。但し、ボルト46用の取付ネジ穴が外シリンダ蓋12を貫通して形成される場合には、第2油圧室82の油OLが流出しないようにシール部材が配設される。
【0019】
第2ピストン50には、油圧による推力を外部に出力する出力円筒部51が一体形成されている。出力円筒部51は、第2ピストン50の中央部に中心軸線C方向に外延して形成される円筒部と、当該円筒部の第2ピストン50と反対側の端部に円筒部の蓋をするように形成された出力板とを有している。
出力円筒部51の端部に形成された出力板の中心には、内シリンダ40の外周面との間に形成される空間と、外部との間で空気を移動させるための貫通孔52が形成されている。
第2ピストン50の中心部には貫通孔が形成され、内円筒部41に対して第2ピストン50が摺動可能に挿通されている。
出力円筒部51は、その全長のうち、第2ピストン50側の内径が第2ピストン50の貫通孔と同じ内径に形成され、内円筒部41の外周面を摺動することで、第2ピストン50の移動(摺動)をガイドしている。出力円筒部51の第2ピストン50と反対側の内径は内円筒部41の外径よりも大きく形成されることで、内円筒部41との摩擦による抵抗の増大を抑えている。
【0020】
第1ピストン30とガイドロッド31の端面が第1油圧室81で油OLと接する面における中心軸線C方向に対する垂直面への投影面積をS1、第2ピストン50が第2油圧室82と接する面における同垂直面への投影面積をS2とした場合、両投影面積はS1<S2となるように形成されている。
これにより、第2ピストン50は、ガイドロッド31が空気圧室80から空圧力を受けて第1油圧室81に加える圧力よりも大きな油圧力に増幅された推力を受けて出力円筒部51から出力することができる。
本実施形態では、第1ピストン30の内円筒部41を挟んだ外側に第2ピストン50が配設されている。すなわち、第1ピストン30における外径と内径の差をδ1とし、第2ピストン50の同差をδ2とした場合、第1ピストン30の外径よりも第2ピストン50の内径の方が大きいので、δ1=δ2であっても、両投影面積はS1<S2となる。本実施形態では、さらにδ1<δ2とすることで、より大きな推力を出力することができるようになっている。
【0021】
図2に示すように、第1ピストン30と第2ピストン50とを、中心軸線C方向に直列に配列するのではなく、ラジアル方向に並列に配置することで、エアハイドロ式シリンダ1の全長を短くすることができる。
そして、本実施形態では、第2油圧室82からの油圧を受けていない状態(
図2の状態)において、第1ピストン30の位置よりも、第2ピストン50の位置の方が退避方向側(図面左側)に位置している。これにより、エアハイドロ式シリンダ1の全長を更に短くすることができる。
【0022】
第2ピストン50の内周面と内円筒部41の外周面との対向面には、全周に亘って第2ピストン50の内周面側に形成された溝内に内周シール部材54が配設されている。
また第2ピストン50の外周面と外筒部11の内周面との対向面には、全周に亘って第2ピストン50の外周側に形成された溝内に外周シール部材55が配設されている。
この内周シール部材54と外周シール部材55により、第2油圧室82内の油OLが流出することを防止している。
【0023】
蓋60には、第2ピストン50の出力円筒部51が挿通するための孔61が形成され、複数本のボルト63により外筒部11に固定されている。
出力円筒部51と外筒部11との間には、出力円筒部51の外径よりも大きいコイル内径を有するコイルバネ71が配設されている。このコイルバネ71の一端は第2ピストン50と当接し、他端は蓋60と当接している。
コイルバネ71は、第2油圧室82からの油圧力を受けた第2ピストン50を出力方向(図面右方向)に移動すると圧縮され、油圧力が小さくなると第2ピストン50を元の位置まで戻す。
【0024】
本実施形態では、第1室として機能する第1油圧室81、第2室として機能する第2油圧室82、及び連通路として機能する連通孔44により第2流体室が形成されている。
空圧供給ロッド22及びガイドロッド31の外周面と、内円筒部41及びフランジ42の内周面とが対向すると共に、外シリンダ蓋12と第1ピストン30が対向する領域によって第1油圧室81が形成されている。
また、内円筒部41の外周面と外筒部11の内周面が対向すると共に、フランジ42と第2ピストン50が対向する領域によって第2油圧室82が形成されている。
【0025】
次に、本実施形態におけるエアハイドロ式シリンダ1の組立手順について説明する。
図3、
図4は、エアハイドロ式シリンダ1の組立手順についてA−A’断面図で表したものである。
なお、以下の組立手順(a)〜(f)は、
図3(a)〜(c)と
図4(d)〜(f)に対応している。
(a)最初に、外シリンダ10の貫通孔13に、シール部材25をセットした空圧供給部20の空圧供給ロッド22を挿通する。
外シリンダ蓋12と蓋21とが当接した状態で、
図1(a)に示すように、蓋21側から複数のボルト26によって外シリンダ10と空圧供給部20とを固定する。
【0026】
(b)次に、空圧供給ロッド22を、その先端側からコイルバネ70に挿通すると共に、内周シール部材32と外周シール部材33をセットした第1ピストン30に挿通する。
この際、第1ピストン30のガイドロッド31が、空圧供給ロッド22とコイルバネ70の間に位置するように配置する。
(c)そして、挿入した第1ピストン30を掛止するための掛止ナット27を空圧供給ロッド22の先端に螺合させる。
【0027】
(d)次に、空圧供給ロッド22、コイルバネ70、第1ピストン30、掛止ナット27を、フランジ42が外シリンダ蓋12に当接するまで内シリンダ40の内円筒部41に挿入する。
そして、内シリンダ40と外シリンダ10とを、複数のボルト46でフランジ42側から固定する。
(e)次に、内周シール部材54と外周シール部材55とをセットした第2ピストン50と出力円筒部51に、内シリンダ40の内円筒部41を挿入する。
【0028】
(f)次にコイルバネ71に出力円筒部51を挿入する。
そして、蓋60の孔61に出力円筒部51を通し、
図1(c)に示すように、4本のボルト63で蓋60を外シリンダ10に固定する。
最後に油供給孔14から第2油圧室82、連通孔44、第1油圧室81に油OLを注入し、封止ネジ15で封止する。
なお、空圧配管継手28については、(a)〜(f)のいずれの段階で取り付けるようにしてもよい。
【0029】
次に、このように構成されたエアハイドロ式シリンダ1の動作について説明する。
図5は、エアハイドロ式シリンダ1の動作前後の状態を表したA−A’断面図である。
図5(a)に示したエアハイドロ式シリンダ1は、出力円筒部51が最も空圧供給部20側に位置した状態である。この状態では、
図5(a)に示すように、第1ピストン30はコイルバネ70のバネ力により掛止ナット27と当接した状態であり、第2ピストン50はコイルバネ71のバネ力により最も退避した状態にある。以下、エアハイドロ式シリンダ1の各部がこの状態(
図5(a)の状態)である位置を開始位置とする。
また、エアハイドロ式シリンダ1の内部に配設される稼働部材である第1ピストン30と第2ピストン50はそれぞれ中心軸線Cを中心とする同軸に配置され、それぞれ軸方向に移動する。以下、中心軸線Cにおける第2ピストン50が開始位置から移動する方向(図面右方向)を出力方向といい、その逆方向(図面左方向)を退避方向として説明する。
【0030】
供給エアARが空圧配管継手28から供給されると、第1空圧供給路23、第2空圧供給路24を通り、空気圧室80が加圧される。
本実施形態では、上述したように、供給エアARを空気圧室80に供給する空圧供給ロッド22の径方向外側に第1ピストン30を配置している。すなわち、空圧供給ロッド22と第1ピストン30とを、中心軸線C方向に直列に配列するのではなく、ラジアル方向に並列に配置している。
これにより、空圧供給ロッド22から空気圧室80に対しては出力方向に供給エアARが供給されるのに対し、空気圧室80からの空気圧は第1ピストン30に対して退避方向に作用する。
従って、空気圧室80の空気圧がコイルバネ70のバネ力を超えると、第1ピストン30は空気圧によりコイルバネ70を圧縮しながら、退避方向に移動する。
【0031】
第1ピストン30が退避方向に移動すると、第1油圧室81の容積が縮小することで、第1油圧室81、連通孔44、及び、第2油圧室82内の油OLが加圧される。この加圧された油OLの油圧がコイルバネ71のバネ力を超えると、第2ピストン50は油圧力によって出力方向に移動する。
このように、本実施形態では、第1ピストン30の第1油圧室81側の面と、第2ピストン50の第2油圧室82側の面とが同一方向を向くように形成されているので、第1ピストン30の移動方向と逆の方向に第2ピストン50が移動する。
【0032】
本実施形態では、上述したように、第1ピストン30の投影面積S1よりも第2ピストン50の投影面積S2の方が大きい(S1<S2)ので、第2ピストン50は、S2/S1倍に増幅された出力方向の油圧力を受ける。
また、上述したように、第1ピストン30の径方向外側に第2ピストン50を配置している。すなわち、第1ピストン30と第2ピストン50とを、中心軸線C方向に直列に配列するのではなく、ラジアル方向に並列に配置している。
これにより、空気圧室80からの空圧力によって退避方向に移動する第1ピストン30に対して、第2ピストン50は逆の方向、すなわち第2油圧室82からの増幅された油圧力によって出力方向に移動し、出力円筒部51から大きな推力を出力する。
【0033】
図5(b)は、空気圧室80からの空圧力を受けて第1ピストン30が最も退避方向まで移動(最大ストローク幅まで移動)した状態を表したものである。
第1ピストン30が最大ストローク幅(空圧ストローク)だけ移動すると、コイルバネ70が縮み第1油圧室81の容積が最小となり、その分だけ油OLが連通孔44から第2油圧室82に移動する。
上述したように投影面積の関係はS1<S2であるため、
図5(b)に示すように、第1ピストン30の空圧ストロークだけ移動するのに対して、第2ピストン50と出力円筒部51は油圧ストロークだけ移動する。この状態の出力円筒部51先端の板状部は、出力方向に増幅された油圧による大きな推力が出力される。
【0034】
次に、第2ピストン50が退避する際の動作について説明する。
図5(b)の状態において、空圧配管継手28から供給される供給エアARの圧力が低下すると、第1ピストン30は圧縮されていたコイルバネ70によって掛止ナット27方向(出力方向)に移動する。
第1ピストン30の移動に伴い、第1油圧室81の容積が増大し、油圧室全体の油圧力も低下する。これにより第2ピストン50は圧縮されていたコイルバネ71によって退避方向に移動する。
そして、第1ピストン30が掛止ナット27と当接して開始位置まで戻ると、第2ピストン50も開始位置まで戻る。
このように、本実施形態では、
図5(b)の状態から同(a)の状態にまで戻る退避動作において、第1ピストン30と第2ピストン50はそれぞれ圧縮されたコイルバネ70、71のバネ力により、開始位置まで戻る。
【0035】
次にエアハイドロ式シリンダ1の第2実施形態について説明する。
説明した第1実施形態では、いわゆる単動型のエアハイドロ式シリンダ1、すなわち、第1ピストン30に作用する供給エアARの経路として出力用の1系統を設け、第1ピストン30の退避にはコイルバネ70を使用する場合について説明した。
これに対して第2実施形態のエアハイドロ式シリンダ1では、いわゆる複動型のエアハイドロ式シリンダ1であり、第1ピストン30に作用する供給エアARの経路として出力用と退避用の2系統を設けたものである。
【0036】
図6は、第2実施形態におけるエアハイドロ式シリンダの全体構成を表した断面図である。
なお、
図6では、第1実施形態と同一の箇所については同一の符合を付して適宜その説明を省略し、以下、異なる部分を中心に説明することとする。
また、
図6では、A−A断面ではなく、第1実施形態との対比を容易にするためにA−A’断面を表している。このため、A−A’線上に存在する、復動用の供給エアAR系統(第3空圧供給路94〜第5空圧供給路96)は、当該断面上に現れないので点線で示すべきであるが、図面が見にくくなるため便宜的に実線で表示している。
空圧配管継手28と空圧配管継手98については、第1実施形態と同様に断面の対象から除いて表示している。
【0037】
本実施形態では、第1ピストン30を退避方向(図面左側)に移動させるための空気圧室80aの他に、第1ピストン30を出力方向に移動させるための空気圧室80bを空気圧室80aの反対側に設けている。
空気圧室80aは、往復動作のうち、第1ピストン30を退避方向に、第2ピストン50を出力方向に移動させる往動用の空気圧室として機能し、空気圧室80bは、復動用の空気圧室として機能する。
本実施形態では、復動用の供給エアAR系統と空気圧室80bを設けているので、第1実施形態におけるコイルバネ70は配設されていない。
【0038】
空気圧室80bを形成するため、本実施形態の第1ピストン30は、ガイドロッド31の内径を空圧供給ロッド22の外径よりも大きく形成している。これにより、第1ピストン30の空気圧室80aと反対側の面には、第1油圧室81を構成する面の他に、空気圧室80bと当接する面が形成されている。
【0039】
また、ガイドロッド31の内径と同一の外径を備え、その端部の一部の外周面がガイドロッド31の先端側内周面と当接する中間円筒90を、その一端が空圧供給部20の蓋21と当接した状態で配設されている。
中間円筒90の一端側内周面には雌ねじが螺刻され、空圧供給ロッド22の蓋21側の外周に螺刻された雄ねじと螺合するようになっている。
中間円筒90の他端側から雌ねじまでの内径は、空圧供給ロッド22よりも大きく形成されることで、空圧供給ロッド22との間に全周に亘って隙間91が形成される。この隙間91を介して、後述する第5空圧供給路96から供給エアARが空気圧室80bに供給される。
【0040】
中間円筒90の外周面とガイドロッド31の内周面との対向面には、全周に亘って中間円筒90の外周面側に形成された溝内にシール部材93が配設されている。シール部材93は、空気圧室80bの供給エアARと、第1油圧室81の油OLとが、互いの側に流出することを防止している。
また、中間円筒90の外周面と、外シリンダ蓋12の貫通孔13の内周面との対向面には全周に亘って中間円筒90側に形成された溝内にシール部材92が配設され、第1油圧室81内の油OLが外部に流出することを防止している。このシール部材92は、第1実施形態のシール部材25に対応している。
【0041】
本実施形態では、空気圧室80bに復動用の供給エアARを供給する系統として、新たに第3空圧供給路94、第4空圧供給路95、及び、第5空圧供給路96が空圧供給部20に形成されている。
すなわち、蓋21には、その側端面(厚さ面)から中心軸線Cに向かって第3空圧供給路94が形成され、この第3空圧供給路94と連続する第4空圧供給路95が、中心軸線C方向に空圧供給ロッド22に形成されている。第4空圧供給路95は、蓋21側から、空気圧室80bを形成する空圧供給ロッド22と中間円筒90との隙間91の位置まで形成されている。この第4空圧供給路95は、蓋21側の開放部分を塞ぐために、埋め栓97が螺合されている。
さらに、空圧供給ロッド22には、その外周面から、第4空圧供給路95の先端部と連続する第5空圧供給路96が形成されている。
【0042】
なお、第1実施形態における第2空圧供給路24は、中心軸線C上に形成したが、本実施形態では、往路用、復路用の両系統を空圧供給ロッド22に形成する必要から、第2空圧供給路24と第4空圧供給路95は、相互に干渉しないように中心軸線Cよりも外側に形成している。
【0043】
空圧供給部20における蓋21の周面には、空圧配管継手28と同様に、空圧配管継手98が第3空圧供給路94と連続するように取り付けられている。この空圧配管継手98から、復動用の供給エアARが供給され、第3空圧供給路94、第4空圧供給路95、第5空圧供給路96を通り空圧供給ロッド22の周面から空気圧室80bに供給される。
【0044】
次に第2実施形態におけるエアハイドロ式シリンダ1の組立手順について説明する。
図7は、エアハイドロ式シリンダ1の組立手順の一部についてA−A’断面図で表したものである。
なお、以下の組立手順(a)〜(c)は、
図7(a)〜(c)に対応している。
(a)最初に、外シリンダ10の空圧供給ロッド22に、シール部材92、93をセットした中間円筒90が蓋21に当接するまで螺合する。
(b)次に、外シリンダ10の貫通孔13に、中間円筒90を挿通する。
外シリンダ蓋12と蓋21とが当接した状態で、蓋21側から複数のボルト26によって外シリンダ10と空圧供給部20とを固定する。
(c)次に、中間円筒90がガイドロッド31内に入るまで、空圧供給ロッド22を、内周シール部材32と外周シール部材33をセットした第1ピストン30に挿通する。
そして、挿入した第1ピストン30を掛止するための掛止ナット27を空圧供給ロッド22の先端に螺合させる。
【0045】
以下、図示しないが、
図4に示した第1実施形態における組立手順(d)〜(f)と同様に、組立を行う。
すなわち(d)内シリンダ40のセット、(e)第2ピストン50と出力円筒部51のセット、(f)蓋60のセット、空圧配管継手28、98のセット、及び、油OLの注入と封止、を行う。
【0046】
次に、このように構成された複動型のエアハイドロ式シリンダ1の動作について説明する。
図8は、複動型のエアハイドロ式シリンダ1の動作前後の状態を表したA−A断面図である。
第1ピストン30を退避方向に前進させる場合、
図8(a)の開始状態において、供給エアARを空圧配管継手28から、第1空圧供給路23と第2空圧供給路24を介して空気圧室80aに供給する。この際、空気圧室80b内の供給エアARを、第5空圧供給路96、第4空圧供給路95、第3空圧供給路94を介して空圧配管継手98から外部に流出させる。
このように、空気圧室80aに供給エアARが供給されると、第1ピストン30は、空気圧室80aの供給エアAR圧に押されて退避方向に移動し、第1油圧室81の容積が縮小する。
【0047】
第1油圧室81の容積が縮小することで、第1実施形態で説明したのと同様に、第2油圧室82の油圧力が増幅されて第2ピストン50、出力円筒部51が出力方向に移動し、
図8(b)の状態となる。
【0048】
一方、
図8(b)に示す状態から、第2ピストン50、出力円筒部51を退避させる場合、供給エアARを空圧配管継手98から、第3空圧供給路94、第4空圧供給路95、第5空圧供給路96を介して空気圧室80bに供給する。また、空気圧室80a内の供給エアARを第2空圧供給路24、第1空圧供給路23を介して空圧配管継手28から外部に流出させる。
空気圧室80b内に供給エアARが供給されると、その供給圧力によって、空気圧室80b側の圧力が空気圧室80a側よりも高くなり、第1ピストン30が出力方向(図面右側)に移動し、第2油圧室82の容積が元の大きさまで戻り、第2ピストン50と出力円筒部51も油圧力が下がることで開始位置に戻る。
【0049】
次に第3実施形態について説明する。
第1実施形態では、外シリンダ蓋12とフランジ42とを、フランジ42側からボルト46で固定する場合について説明したが、本実施形態では、外シリンダ蓋12側から固定するようにしたものである。
図9は、第3実施形態のエアハイドロ式シリンダ1における側面図と、A−A’断面図を表したものである。
この実施形態では、
図9(b)に示すように、外シリンダ蓋12とフランジ42とを、外シリンダ蓋12側から複数のボルト17で固定している。
このボルト17による固定をするために、空圧供給部20の蓋21には、各ボルト17に対応する位置に貫通孔29が形成されている。
図9(a)に示すように、 本実施形態では、ボルト17と、空圧供給部20の蓋21と外シリンダ蓋12とを固定するためのボルト26とをそれぞれ3本とし、
図9(a)に示すように、それぞれ同心円上の3点の位相をずらして配設している。これは、ボルト17とボルト26、及び、ボルト17、26と第1空圧供給路23とが干渉しない位置とするためである。
なお、本実施形態では、外シリンダ蓋12を貫通して蓋21側からボルト17の固定をしているので、第1油圧室81の油OLが流出しないようにシール部材18が各ボルト17に配設されている。
【0050】
本実施形態のエアハイドロ式シリンダ1を組み立てる手順としては、
図4(d)で示した工程において、最初に外シリンダ蓋12に形成された凹部にボルト18をセットしておく。その後、内シリンダ40の内円筒部41に空圧供給ロッド22等を挿通し、外シリンダ蓋12とフランジ42とが当接した状態で、外シリンダ蓋12、蓋21側からボルト17で固定する。他の前後の工程は第1実施形態と同様である。
本実施形態によれば、外筒部11と内円筒部41との間からボルト46を固定する場合に比べて領域的な余裕があるため、ボルト26とボルト17とを同一規格とすることが可能である。
【0051】
なお、第3実施形態として、第1実施形態の単動式のエアハイドロ式シリンダ1における外シリンダ蓋12とフランジ42との固定するボルトの向きを変更した場合を例に説明したが、第2実施形態の複動型のエアハイドロ式シリンダ1に対しても同様に適用することが可能である。
なお、複動型のエアハイドロ式シリンダ1に第3実施形態を適用する場合には、第3空圧供給路94と空圧配管継手98の配置位置を、両ボルト17、26と干渉しない位置に変更する。または、両ボルト17、26の位置を第3実施形態と異なる位置に変更する。
【0052】
以上説明した各実施形態によれば、エアハイドロ式シリンダ1の全長を短くすることができる。
すなわち、従来のエアハイドロ式シリンダ1では、2種類の流体室が直列に、または同じ方向に動くよう構成されているため、2種類の流体室のストローク長さが足し算されてシリンダ全体の長さが決まるのに対し、2種類の流体室を中心軸線Cに対してラジアル方向に並列に配置したので、各流体室のストロークの足し算にならず、シリンダの全長を短くすることができる。
また、2種類の流体室のピストン動作方向が反対になるように構成したので、各流体室の配置を容易にラジアル方向に配置できるようになり、シリンダの全長を短くできる。
【0053】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、本実施形態では、外シリンダ10と空圧供給部20を別々に形成しボルト26で両者を固定する場合について説明した。
これに対し、外シリンダ10と空圧供給部20とを一体として形成するようにしてもよい。この場合、外シリンダ蓋12とシール部材25、及び、ボルト26は不要であり、蓋21から外筒部11が、空圧供給ロッド22と同方向に外延するように一体形成される。
外シリンダ10と空圧供給部20を一体形成することにより、外シリンダ蓋12分の厚さが不要になるため、後述する組立工程が短くなると共に、長さ方向(中心軸線C方向)の長さをより短くすることができる。
【0054】
また、説明した実施形態では、第1油圧室81、連通孔44、第2油圧室82に充填する内部流体が油OLである場合について説明したが、充填する流体としては油OLに限られるものではなく流体であればよいが、非圧縮性流体の方が好ましい。非圧縮性流体の油を用いることで、推力の一部が流体の圧縮に消費されることを防止できるため、効率よく第2ピストン50、出力円筒部51に大きな推力を発生させることができる。
また、空気圧室80だけでなく、第1油圧室81、連通孔44、第2油圧室82に、空気等の圧縮性流体を充填するようにしてもよい。この場合にも短い空気圧シリンダとすることができる。
更に、第1油圧室81、連通孔44、第2油圧室82だけでなく、空気圧室80にも、油OL等の非圧縮性流体を充填するようにしてもよい。
【0055】
また、説明した実施形態では、空圧供給ロッド22、ガイドロッド31が挿通可能な大きな径のコイルバネ70と、出力円筒部51が挿通可能な大きな径のコイルバネ71とを、それぞれ1つ使用する場合について説明したが、外径が小さいコイルバネ70、71を複数配設するようにしてもよい。
この場合、実施形態で説明した1つのコイルバネ70、71が配置された円周上に、小外径のコイルバネ70、71を等間隔に配設する。小外径のコイルバネ70、71の数としては、本変形例ではそれぞれ6個配設するが、それぞれ2個以上であればいくつでもよい。また小外径のコイル70とコイル71の数は同数でなく異なる数としてもよい。
小外径のコイルバネ70の外径は、ガイドロッド31と内円筒部41との間隔よりも小さくする。また、小外径のコイルバネ71の外径は、出力円筒部51と外筒部11との間隔よりも小さくする。
【0056】
また説明した実施形態(及び上述の変形例)では、コイルバネ70とコイルバネ71の両者を配設する場合について説明したが、何れか一方だけを配設するようにしてもよい。
コイルバネ70、71は、第1ピストン30、第2ピストン50を開始位置まで戻す役割をしている。
このため、例えばコイルバネ70だけを配設した場合、コイルバネ70により第1ピストン30が出力方向(
図2右方向)に移動すると、第1油圧室81の油OLが増加し、第2油圧室82の油OLが減少する。その結果として、第1ピストン30に連動して第2ピストン50が元の位置(開始位置)に戻る。
一方、コイルバネ71だけを配設した場合、コイルバネ71により第2ピストン50が退避方向(
図2左方向)に移動すると、第2油圧室82の油OLが減少し第1油圧室81に流れ込み増加する。その結果として、第2ピストン50に連動して第1ピストン30が移動し、元の開始位置に戻る。
実施形態で説明したように、コイルバネ70、71の両者を配設する場合には、開始位置まで戻る動作を速やかに行わせることができる。
一方、出力の際の推力はバネ力によって相殺されるので、コイルバネ70、71の何れか一方だけを配設することで、相殺による推力の減少量を小さくすることができる。
例えば、第1ピストン30と第2ピストン50に配設したシール部材32、33、54、55による摺動抵抗が大きい場合には、両ピストン30、50の移動をスムーズにするために、コイルバネ70、71の両者を配設し、摺動抵抗が比較的小さい場合には何れか一方を配設することが可能である。
【0057】
次に第4実施形態のエアハイドロ式シリンダ1について、
図10〜
図13を参照して説明する。
ところで、第2実施形態(
図6〜
図8)では、第1ピストン30に作用する供給エアARの経路として出力用と退避用の2系統を設けた、いわゆる複動型のエアハイドロ式シリンダ1について説明した。
そして、第2実施形態のエアハイドロ式シリンダ1では、第1ピストン30にガイドロッド31を形成しているが、このガイドロッド31の内径を、空圧供給ロッド22が貫通する第1ピストン30の内径よりも大きく形成することで、ガイドロッド31の内側で、空圧供給ロッド22との間に空気圧室80b(第3流体室として機能)を形成する場合について説明した。
【0058】
この第4実施形態も複動型のエアハイドロ式シリンダ1であるが、第2実施形態と異なり、ガイドロッド31の内径を、第1ピストン30の内径と同じに、すなわち、空圧供給ロッド22の径と同じ大きさに形成し、ガイドロッド31の外側で、内シリンダ40との間に、空気圧室80b(第3流体室として機能)を形成するものである。
これにより、第1油圧室81における、ガイドロッド31先端の投影面積S1を小さくすることができる。
このため、第4実施形態によれば、第2実施形態に比べて、空気圧室80aにおける第1ピストン30の投影面積Sa、第2油圧室82における第2ピストン50の投影面積S2に対して、Sa/S1と、S2/S1を共に大きくすることができる。すなわち、第1油圧室81aの供給エアARの圧力に対して、出力円筒部51からより大きな出力圧力(推力)を出力することができる。
【0059】
但し、第2実施形態では、第4実施形態に比べて、供給エアARの往復系統(第2空圧供給路24、第4空圧供給路95等)を共に空圧供給ロッド22内に収容しているので、エアハイドロ式シリンダ1の径方向の大きさを小型化することができる。
【0060】
図10は、第4実施形態におけるエアハイドロ式シリンダ1の全体構成を表した断面図である。
図10では、第1〜第3実施形態と同一の箇所については同一の符合を付して適宜その説明を省略し、以下、異なる部分を中心に説明することとする。
図10は、
図9(b)と同様にA−A’断面を表している。また、空圧配管継手28と空圧配管継手98については、他の実施形態と同様に、断面の対象から除いて表示している。
【0061】
本実施形態では、第1ピストン30を退避方向(図面左方向)に移動させるための空気圧室80aの他に、第1ピストン30を出力方向(図面右方向)に移動させるための空気圧室80bを空気圧室80aの反対側に設けている。
空気圧室80aは、往復動作のうち、第1ピストン30を退避方向に、第2ピストン50を出力方向に移動させる往動用の空気圧室として機能し、空気圧室80bは、復動用の空気圧室として機能する。
本実施形態では、復動用の供給エアAR系統と空気圧室80bを設けているので、第1実施形態におけるコイルバネ70は配設されていない。
【0062】
空気圧室80bを形成するため、本実施形態の第1ピストン30は空圧供給ロッド22を貫通させる貫通孔が形成され、この貫通孔の径(第1ピストン30の内径)と同一内径のガイドロッド31が第1ピストン30から退避方向(図面左方向に)向かって形成されている。
これにより空気圧室80bはガイドロッド31と内円筒部41との間の領域に形成される。
【0063】
この実施形態の内シリンダ40は、蓋部43と内円筒部41とで形成され(第2実施形態におけるフランジ42は存在しない)、内円筒部41の先端側の内側にはネジ部73(雌ネジ)が形成されている。
【0064】
そして、第2実施形態におけるフランジ42に代えて、中間筒72が、外シリンダ蓋12と当接する状態で外シリンダ10内に配設されている。
中間筒72は、胴部72aとフランジ部72bからなり、中心にはガイドロッド31の外径と同じ径の貫通孔が形成され、貫通孔の内側をガイドロッド31が中心軸線C方向に摺動可能に配置されている。
胴部72aは、フランジ部72b側にネジ部73(雄ネジ)が形成されており、内円筒部41と螺合するようになっている。胴部72aの中心軸線C方向でフランジ部72bの反対側の端面は、第1ピストン30の端面と対向することで空気圧室80bと接している。
【0065】
中間筒72のフランジ部72bは、その外径が外筒部11の内径と同一に形成されている。
フランジ部72bは、その端面(胴部72aと反対側の面)の全体が、外シリンダ10の外シリンダ蓋12の内側の面と当接した状態で固定され、外シリンダ蓋12は蓋21に固定されている。
すなわち、
図10に示すように、外シリンダ蓋12とフランジ部72bとを、外シリンダ蓋12側から複数のボルト17で固定している。このボルト17による固定をするために、空圧供給部20の蓋21には、各ボルト17に対応する位置に貫通孔29が形成されている。
そして、外シリンダ蓋12は、空圧供給部20の蓋21に、蓋21側からボルト26で固定されている。
図10の断面では1本ずつが表示されているが、本実施形態におけるボルト17と、蓋21と外シリンダ蓋12を固定するボルト26のそれぞれは、少なくとも二箇所で使用され、それぞれ中心軸線Cを中心とする円上において概略均等に分割された位相で配設されている。またボルト17とボルト26のラジアル方向の配設位置は、互いに干渉しないよう中心軸線Cからの距離をそれぞれ変えてもよい。この際の各ボルトの位置は、第1空圧供給路23、第2空圧供給路24と干渉しない位置が選択される。
なお、本実施形態では、外シリンダ蓋12を貫通して蓋21側からボルト17で固定をしているので、第1油圧室81、第2油圧室82の油OLが流出しないようにするため、各ボルト17にはシール部材18が配設されている。
【0066】
上述したように、中間筒72には、ガイドロッド31の外径と同径の貫通孔が形成されている。そして、フランジ部72bにおける貫通孔内周面と、ガイドロッド31の環状の先端面と、空圧供給ロッド22の外周面、及び外シリンダ蓋12に囲まれた領域によって、第1油圧室81が形成される。
一方、胴部72aの外周面と、胴部72aよりも外側のフランジ部72bの面、外筒部11の内周面、及び第2ピストン50で囲まれた領域によって第2油圧室82が形成される。
【0067】
第2実施形態では、それぞれ円環状(ドーナツ形状)の第1油圧室81と第2油圧室82とを径方向に連通する連通孔44が内円筒部41に形成されている(
図6参照)。
これに対して本実施形態では、
図10に示されるように、第1油圧室81と第2油圧室82を連通する連通孔44がフランジ部72bに形成されている。連通孔44は、第1油圧室81と繋がる径方向の通路と、第2油圧室82と繋がる軸方向の通路とが直交するように連通している。
なお、本実施形態では、連通孔44が2箇所に形成されているが、
図10では、切断面の関係で連通孔44が1箇所表示されている。但し、連通孔44の数は1つでもよく、3以上の複数で形成するようにしてもよい。
【0068】
胴部72aの端面(フランジ部72bと反対側の面)は、空気圧室80bと接している。このため、胴部72aに形成した貫通孔の内周面側には、第1油圧室81の油OLが、ガイドロッド31との間を通り空気圧室80bに流出しないようにするため、シール部材77が配設されている。
また、内円筒部41の先端側の外周面が第2油圧室82と接し、この内円筒部41の先端側の内側に胴部72aが配設されている。このため、胴部72aの外周面には、第2油圧室82の油OLが空気圧室80bに流出しないようにするため、シール部材76が配設されている。
【0069】
第2実施形態では、ガイドロッド31の内側と空圧供給ロッド22との間に空気圧室80bを形成しているため、空気圧室80bと繋がる復路用の系統を、往路用の系統と同じ空圧供給ロッド22に形成している。このため、第2空圧供給路24(往路用)と第4空圧供給路95(復路用)は、相互に干渉しないように中心軸線Cよりも外側に形成されている(
図6参照)。
【0070】
これに対して第4実施形態では、ガイドロッド31の内周面を空圧供給ロッド22と当接させることで、ガイドロッド31の外側と内円筒部41との間に空気圧室80bを形成している。これにより、ガイドロッド31と内円筒部41との間隔、すなわち、両者間に配設される胴部72aの径方向の幅(=(内円筒部41の内径−ガイドロッド31の外径)/2)を広く確保することができる。
そこで本実施形態では、空気圧室80bと連通する復路用の系統を、空圧供給ロッド22内ではなく、中間筒72を貫通するように形成している。
すなわち、中間筒72の中心軸線Cと並行な方向に貫通孔74を形成し、この貫通孔74と蓋21の貫通孔75とを連通する貫通孔75を外シリンダ蓋12に形成することで、第6空圧供給路99を形成している。
【0071】
なお、第6空圧供給路99を、空圧供給ロッド22よりも外側に位置する中間筒72を貫通させているので、蓋21に形成する第4空圧供給路95は、空圧供給ロッド22よりも径方向外側に形成する。
また、本実施形態では、第6空圧供給路99を空圧供給ロッド22の外側に形成しているので、往路系統用の第2空圧供給路24は、空圧供給ロッド22の中心軸線C上に形成している。
【0072】
図10に示すように、第6空圧供給路99上における供給エアAR漏れを防止するために、蓋21の第4空圧供給路95と外シリンダ蓋12の貫通孔75との接続箇所にはシール部材79が配設され、外シリンダ蓋12の貫通孔75と中間筒72の貫通孔74との接続箇所にはシール部材78が配設されている。
【0073】
なお、本実施形態においても、第2油圧室82からの油圧力を受けた第2ピストン50に対して退避方向(図面左方向)の圧力を加え、油圧力が小さくなると第2ピストン50を退避方向に戻すためのコイルバネ71が配設されている。
但し、第1〜第3実施形態では出力円筒部51の外径と同じ内径である、大径のコイルバネ71が1つ配置されるのに対して、本実施形態では、外筒部11と出力円筒部51との幅と外径が略同一である、小径のコイルバネ71が等間隔に3箇所以上配設されている。
この小径のコイルバネ71を固定するための凹部が、第2ピストン50と蓋60のそれぞれ対向位置に形成されている。
なお、小径のコイルバネ71を複数配設する代わりに、第1実施形態等と同じく、大径のコイルバネ71を1つ配設するようにしてもよい。
【0074】
次に、第4実施形態におけるエアハイドロ式シリンダ1の製造方法について説明する。
図11、
図12は、第4実施形態におけるエアハイドロ式シリンダ1の組立手順を表したものである。
なお、以下の組立手順(a)〜(f)は、
図11(a)〜(c)と
図12(d)〜(f)に対応している。
(a)最初に、空圧供給部20の空圧供給ロッド22にシール部材25を、蓋21にシール部材79をセットする。また、外シリンダ10の外シリンダ蓋12にシール部材78とシール部材18をセットしておく。
そして、空圧供給ロッド22を外シリンダ10の貫通孔13に挿通し、外シリンダ蓋12と蓋21とを当接させる。そして、蓋21側から複数のボルト26で蓋21と外シリンダ蓋12に固定する。これにより、外シリンダ10と空圧供給部20とが固定される。
【0075】
(b)次に、胴部72aの内周面にシール部材77をセットし、外周面にシール部材76をセットする。
そして、外筒部11の内周面にフランジ部72bの外周面を摺動させながら、中間筒72を外シリンダ10内に挿入する。同時に、外シリンダ10内に挿通した空圧供給ロッド22が、中間筒72の貫通孔を挿通する。
【0076】
(c)次に、第1ピストン30の内周面に内周シール部材32をセットし、外周面に外周シール部材33をセットする。
そして、第1ピストン30とガイドロッド31の貫通孔に、空圧供給ロッド22を挿通する。この際、ガイドロッド31の先端が、空圧供給ロッド22と中間筒72の間で、シール部材77よりも蓋21側に位置するように配置する。
そして、挿入した第1ピストン30を掛止するための掛止ナット27を空圧供給ロッド22の先端に螺合させる。
【0077】
(d)次に、内シリンダ40の内円筒部41に、第1ピストン30と胴部72aを挿通し、内円筒部41と中間筒72とをネジ部73で螺合させて固定する。
(e)次に、内周シール部材54と外周シール部材55とを第2ピストン50にセットし、第2ピストン50と出力円筒部51内に、内シリンダ40の内円筒部41、蓋部43を挿入する。
そして、油供給孔14から第2油圧室82、連通孔44、第1油圧室81に油OLを注入し、封止ネジ15で封止する。
【0078】
(f)次に、第2ピストン50に形成された複数の凹部に小径のコイルバネ71の一端側を入れることでコイルバネ71をセットする。
そして、各コイルバネ71の他端側が、蓋60に形成された各凹部に入るように、蓋60の孔61に出力円筒部51を通し、4本のボルト63で蓋60を外シリンダ10に固定する。
なお、空圧配管継手28については、(a)〜(f)のいずれの段階で取り付けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、油供給孔14が1箇所に形成されている場合について説明したが、油供給孔14は複数あってもよい。この場合、ある1箇所の油供給孔14から油を注入する時に、他の油供給孔14に封止ネジ15を組付けず開放しておくと、内部エアが抜けやすくなり注油作業を行いやすい。
【0079】
次に、第4実施形態のエアハイドロ式シリンダ1の動作について説明する。
図13は、第4実施形態のエアハイドロ式シリンダ1における空気圧ピストンの移動に伴う各部の移動状態の断面を表した説明図である。
なお、以下の動作説明では、他の実施形態の説明と同様に、出力円筒部51の動作方向の観点から、
図13に向かって左方向を退避方向、右方向を出力方向として説明する。
【0080】
第1ピストン30を退避方向に前進させる場合、
図13(a)の開始状態において、空気圧室80b内の供給エアARが、第3空圧供給路94、第4空圧供給路95、第6空圧供給路99を通り外部に流出できるようにするため、空圧配管継手98に接続された図示しないホースの流路末端を大気へ開放しておく。
この状態で、空圧配管継手28から供給エアARを供給する。この供給エアARは、第1空圧供給路23と第2空圧供給路24を通り、空気圧室80aに供給する。
このように、空気圧室80aに供給エアARが供給されると、空気圧室80b側が開放されているので、第1ピストン30は、空気圧室80aの供給エアAR圧に押されて退避方向に移動する。
本実施形態では、第2実施形態に比べて、空気圧室80aにおける第1ピストン30の投影面積Saに対する、ガイドロッド31先端の面積(第1油圧室81におけるガイドロッド31の投影面積S1)が小さく形成されているので、第1油圧室81に対して、より大きく増幅された入力圧力を加えることができる。
このため、第1ピストン30の移動に伴い、ガイドロッド31も退避方向に移動することで、第1油圧室81には大きな入力圧力が加わり、その容積が縮小する。
【0081】
第1油圧室81の容積が縮小することで、第2実施形態で説明したのと同様に、第2油圧室82の油圧力が増幅されて第2ピストン50、出力円筒部51が出力方向に移動し、
図13(b)の状態となる。
本実施形態では、第1油圧室81におけるガイドロッド31の投影面積S1が小さく形成されているので、この投影面積S1に対する投影面積S2(第2油圧室82における第2ピストン50の投影面積S2)の比率が大きくなり、第2実施形態よりも大きな推力を出力円筒部51から出力することができる。
【0082】
次に、
図13(b)に示す状態から、第2ピストン50、出力円筒部51を退避させる場合について説明する。
この場合、空気圧室80a内の供給エアARが第1空圧供給路23、第2空圧供給路24を通り外部に流出可能な状態とするために、空圧配管継手28に接続された図示しないホースの流路末端を大気へ開放する。
そして、供給エアARを空圧配管継手98から、第3空圧供給路94、第4空圧供給路95、第6空圧供給路99を介して空気圧室80bに供給する。
空気圧室80b内に供給エアARが供給されると、その供給圧力によって、空気圧室80b側の圧力が空気圧室80a側よりも高くなり、第1ピストン30が出力方向(図面右側)に移動し、第2油圧室82の容積が元の大きさまで戻り、第2ピストン50と出力円筒部51も油圧力が下がることで開始位置に戻る。
【0083】
以上説明した第4実施形態における、複動式のエアハイドロ式シリンダ1によれば次の効果を得ることができる。
(1)第1ピストン30の端面が空圧室80aと接する面における中心軸線C方向に対する垂直面への投影面積Saと、ガイドロッド31の先端面が第1油圧室81で油OLと接する面における中心軸線C方向に対する垂直面への投影面積S1との面積比を大きくすることができ、油圧室に対する入力圧力をより大きくすることができる。
(2)また、ガイドロッド31の先端面が第1油圧室81で油OLと接する垂直面への投影面積S1と、第2ピストン50が第2油圧室82と接する投影面積S2との面積比よりも大きくすることができ、より油圧出力を大きくすることができる。
すなわち、第2実施形態に比べ、仮に第1油圧室81の径方向の幅(=(外径−内径)/2)は同じにしたとしても、第4実施形態の方が内径(外径)が小さいので、第1油圧室81に対する投影面積S1を小さくすることができる。
従って、第2実施形態に比べ、面積比、投影面積Sa/投影面積S1が大きくなるように構成されているので、エア圧で油圧室(第1油圧室81、第2油圧室82、連通孔44)を押圧する力の拡大率を大きくすることができる。
(3)また、投影面積S2/投影面積S1も大きくなるように構成されているので、油圧室内部での推力拡大率を大きくすることができる。
(4)更に、第1ピストン30の空気圧室80bと接する面における中心軸線C方向に対する垂直面への投影面積Sbを、第2実施形態の場合よりも大きくすることができる。これにより、第1ピストン30をスムーズに初期状態の位置に復帰させることができる。