(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車室前部に設けられて車両後方側から見て車両幅方向に延在する第一部位と前記第一部位の車両幅方向中央部から垂下された第二部位とで車室側に突出した面がT字状に形成されたインストルメントパネルにおける内側に本体部が設けられた車両用空調装置において、
前記インストルメントパネルに設けられて空調風を前席乗員の足元側に向けて吹き出すフット吹出口と、
前記インストルメントパネルに設けられて前記空調風の生成用として車室内の空気を取り込む内気吸入口と、
を有し、
前記フット吹出口が前記第二部位における側壁部の下部に形成されており、
前席のシートクッションの下端部とフロアパネルとの間に設けられ、前記シートクッションの下方側及びその前後を含む下側空間を車両前後方向に仕切るように配置されて開閉可能な仕切り部材と、
前記仕切り部材を開閉させる可動機構と、
前記車室前部に配置されて前席乗員の足元付近の温度を検出する温度検出部と、
前記前席よりも車両後方側に配置されて後席乗員を検出する後席乗員検出部と、
前記温度検出部によって測定された温度が予め設定した基準温度に達したものと判定した場合でかつ前記後席乗員検出部が後席乗員を検出した場合に前記仕切り部材が開いた状態になるように前記可動機構を制御すると共にそれ以外の場合に前記仕切り部材が閉じた状態になるように前記可動機構を制御する開閉制御部と、
を有する車両用空調装置。
前記第二フット吹出口から吹き出す空調風の風量が前記第一フット吹出口から吹き出す空調風の風量よりも多くなるように設定されている、請求項3又は請求項4に記載の車両用空調装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、前席乗員の足元スペースを確保する観点等から、インストルメントパネルを車両上下方向において薄型化することが検討されている。
【0005】
しかしながら、インストルメントパネルを車両上下方向において薄型化した場合、上記先行技術と同様の構成を採ると、フット吹出口から前席乗員の足元までの距離が長くなってしまう。したがって、前席乗員の足元の体感温度を容易に調節する点において改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、インストルメントパネルを車両上下方向において薄型化しても前席乗員の足元の体感温度を容易に調節することができる車両用空調装
置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載する本発明の車両用空調装置は、車室前部に設けられて車両後方側から見て車両幅方向に延在する第一部位と前記第一部位の車両幅方向中央部から垂下された第二部位とで車室側に突出した面がT字状に形成されたインストルメントパネルにおける内側に本体部が設けられた車両用空調装置において、前記インストルメントパネルに設けられて空調風を前席乗員の足元側に向けて吹き出すフット吹出口と、前記インストルメントパネルに設けられて前記空調風の生成用として車室内の空気を取り込む内気吸入口と、を有し、前記フット吹出口が前記第二部位における側壁部の下部に形成されて
おり、前席のシートクッションの下端部とフロアパネルとの間に設けられ、前記シートクッションの下方側及びその前後を含む下側空間を車両前後方向に仕切るように配置されて開閉可能な仕切り部材と、前記仕切り部材を開閉させる可動機構と、前記車室前部に配置されて前席乗員の足元付近の温度を検出する温度検出部と、前記前席よりも車両後方側に配置されて後席乗員を検出する後席乗員検出部と、前記温度検出部によって測定された温度が予め設定した基準温度に達したものと判定した場合でかつ前記後席乗員検出部が後席乗員を検出した場合に前記仕切り部材が開いた状態になるように前記可動機構を制御すると共にそれ以外の場合に前記仕切り部材が閉じた状態になるように前記可動機構を制御する開閉制御部と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、車室前部に設けられたインストルメントパネルが車両後方側から見て車両幅方向に延在する第一部位とその第一部位の車両幅方向中央部から垂下された第二部位とで車室側に突出した面がT字状に形成され、前席乗員の足元スペースが確保されている。このインストルメントパネルにおける内側に車両用空調装置の本体部が設けられている。車両用空調装置においては、インストルメントパネルに設けられたフット吹出口が空調風を前席乗員の足元側に向けて吹き出し、インストルメントパネルに設けられた内気吸入口が空調風の生成用として車室内の空気を取り込む。
【0009】
ここで、フット吹出口がインストルメントパネルの第二部位における側壁部の下部に形成されている。このため、前席乗員の足元スペースが確保されつつ、フット吹出口から前席乗員の足元までの距離を短くすることができるので、前席乗員の足元の体感温度を容易に調節することができる。
また、この車両用空調装置によれば、前席のシートクッションの下端部とフロアパネルとの間には、シートクッションの下方側及びその前後を含む下側空間を車両前後方向に仕切るように配置された仕切り部材が開閉可能に設けられ、仕切り部材は可動機構によって開閉させられる。仕切り部材が閉じられた状態では、フット吹出口から吹き出された空調風が、仕切り部材によって後席側に流れなくなる(又は殆ど流れなくなる)ので、前席乗員の足元の温度を容易に目標温度に近付けることができる。また、仕切り部材が開かれることで、フット吹出口から吹き出された空調風を後席側に送ることができる。
さらに、この車両用空調装置によれば、車室前部に配置された温度検出部が前席乗員の足元付近の温度を検出し、前席よりも車両後方側に配置された後席乗員検出部が後席乗員を検出する。開閉制御部は、温度検出部によって測定された温度が予め設定した基準温度に達したものと判定した場合でかつ後席乗員検出部が後席乗員を検出した場合に仕切り部材が開いた状態になるように可動機構を制御すると共にそれ以外の場合に仕切り部材が閉じた状態になるように可動機構を制御する。したがって、前席乗員の足元付近を効率的に温度調節した後には、後席側に空調風を送ることができる。
【0010】
請求項2に記載する本発明の車両用空調装置は、請求項1に記載の構成において、前記内気吸入口は、前記インストルメントパネルの下端部に設けられている。
【0011】
上記構成によれば、前席乗員の足元付近の空気、つまり空調風により温度が目標温度に近づいている空気を内気吸入口から取り込んで空調風に利用することができるので、冷暖房効率が向上する。
【0012】
請求項3に記載する本発明の車両用空調装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記フット吹出口として、前席乗員の左右の足のうちより車両幅方向内側に位置する足の足元側に向けて空調風を吹き出す第一フット吹出口と、前席乗員の左右の足のうちより車両幅方向外側に位置する足の足元側に向けて空調風を吹き出す第二フット吹出口と、を備える。
【0013】
上記構成によれば、第一フット吹出口は、前席乗員の左右の足のうちより車両幅方向内側に位置する足の足元側に向けて空調風を吹き出す。また、第二フット吹出口は、前席乗員の左右の足のうちより車両幅方向外側に位置する足の足元側に向けて空調風を吹き出す。このため、前席乗員の左右の足のそれぞれに良好に空調風を送ることができる。
【0014】
請求項4に記載する本発明の車両用空調装置は、請求項3に記載の構成において、前記第二フット吹出口が前記第一フット吹出口よりも大きく設定されている。
【0015】
上記構成によれば、より遠い方の足の足元側に向けて空調風を吹き出す第二フット吹出口が、より近い方の足の足元側に向けて空調風を吹き出す第一フット吹出口よりも大きく設定されている。したがって、より遠い方の足の足元側に送る空調風の風量を容易に多くすることができる。
【0016】
請求項5に記載する本発明の車両用空調装置は、請求項3又は請求項4に記載の構成において、前記第二フット吹出口から吹き出す空調風の風量が前記第一フット吹出口から吹き出す空調風の風量よりも多くなるように設定されている。
【0017】
上記構成によれば、より遠い方の足の足元側に向けて第二フット吹出口から吹き出す空調風の風量が、より近い方の足の足元側に向けて第一フット吹出口から吹き出す空調風の風量よりも多くなる。したがって、左右の足の足元の各体感温度を近付けることができる。
【0018】
請求項6に記載する本発明の車両用空調装置は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の構成において、前記車室前部に配置されて前席乗員の下肢の位置を検出する下肢検出部と、前記フット吹出口から吹き出す空調風の風向を調整する風向調整部と、前記下肢検出部の検出結果に基づいて前記フット吹出口から吹き出す空調風の風向が前席乗員の下肢側に向けられるように前記風向調整部を制御する調整制御部と、を有する。
【0019】
上記構成によれば、車室前部に配置された下肢検出部が前席乗員の下肢の位置を検出する。また、風向調整部がフット吹出口から吹き出す空調風の風向を調整する。そして、下肢検出部の検出結果に基づいてフット吹出口から吹き出す空調風の風向が前席乗員の下肢側に向けられるように調整制御部が風向調整部を制御する。したがって、前席乗員の下肢の位置に応じて空調風の風向を変えることができるので、前席乗員の足元の体感温度を容易に調節することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明の車両用空調装
置によれば、インストルメントパネルを車両上下方向において薄型化しても前席乗員の足元の体感温度を容易に調節することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形
態について
図1及び
図2を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印Wは車両幅方向を示している。
【0029】
(実施形態の構成)
図1には、本実施形態に係る車両用空調装置40が搭載された車両10の一部が側断面図(
図2(B)の1−1線に沿って切断した拡大断面図に相当する図)で示されている。なお、車両用空調装置40は、暖房及び冷房を行うことが可能とされる。
図2(A)には、
図1に示される車室前部12Fが縮小された状態の模式的な平面図で示され、
図2(B)には、
図1に示される車室前部12Fが車室内側から見た状態で縮小された状態の模式的な背面図で示されている。
【0030】
これらの図に示されるように、車室前部12Fにはインストルメントパネル14(以下、「インパネ14」と称する)が設けられている。
図1に示されるように、インパネ14は、車室12と車両前部16とを隔成するダッシュパネル18の車両後方側の上部側に配置されている。ダッシュパネル18の下端部は、フロアパネル20の前端部に接合されている。フロアパネル20は、車室12の下面を構成している。また、ダッシュパネル18の上端部には、図示しないカウルが接合されており、このカウルは、図示しないフロントガラスの下端部を支持している。前記フロントガラスは、車室12の上部側の前面を構成してその下端部側がインパネ14の上端部側に配置されている。
【0031】
インパネ14の車両後方側には、車両用の前席としてのフロントシート22が設けられている。フロントシート22は、本実施形態では車室12の前部左側が助手席とされ、車室12の前部右側が運転席とされている。なお、車室12の前部側において車両幅方向中央部には、センタコンソール28が配置されている。フロントシート22は、シート前後方向が車両前後方向に一致され、シート幅方向が車両幅方向に一致されている。フロントシート22は、シートクッション24と、シートクッション24の後端に下端が連結されたシートバック26と、シートバック26の上端に設けられた図示しないヘッドレストと、を含んで構成されている。なお、シートクッション24をフロアパネル20に支持させる構造部分は図示を省略する。シートクッション24は、その上面部が乗員着座用の着座部24Aとされると共に、図示しないスライド機構によって車両前後方向にスライド移動可能とされている。また、図中では前席乗員を符号P、前席乗員の下肢を符号Lo、前席乗員の足首から下の部分を符号Fでそれぞれ示している。
【0032】
図2に示されるように、インパネ14は、車両幅方向に沿って延在される内装パネル材として構成されている。インパネ14の内側(車両前方側)上部には、車両幅方向に沿って長尺状とされたインパネリインフォースメント(図示省略)が配設されており、インパネ14は、このインパネリインフォースメントに複数箇所で取り付けられている。なお、前記インパネリインフォースメントは、金属製のパイプ材であり、その長手方向の両端部は、左右の車体側部に立設された図示しない一対のフロントピラー(左右の骨格部材)に固定されている。
【0033】
図2(B)に示されるように、インパネ14は、車両後方側から見て車両幅方向に延在する第一部位14Xとその第一部位14Xの車両幅方向中央部から垂下された第二部位14Yとで車室側に突出した面がT字状に形成されている。インパネ14は、その上面を構成する上壁部30と、第二部位14Yの側面を構成する側壁部32と、下端部を構成する底壁部34と、を含んで構成されている。
【0034】
インパネ14の車両幅方向両サイドは、
図1に示される車両幅方向外側から見た側断面視で車両前方側が開放された略V字状の膨出形状部14Sとされている。膨出形状部14Sの膨出先端部の高さ位置は、フロントシート22に着座する前席乗員Pの膝部Nよりも車両上方側に設定されている。本実施形態におけるインパネ14は、膨出形状部14Sの上下方向の寸法が小さい薄型構造とされており、前席乗員Pの足元のスペースを広く確保することができる構造になっている。
【0035】
インパネ14における内側(車両前方側)には、車両用空調装置40の本体部としての空調ユニット42が設けられている。空調ユニット42は、HVAC(heating and ventilating air conditioning)のユニットであり、車室12内に温度調節された空気を供給するためのユニットである。なお、空調ユニット42の基本構成は、例えば、前述した特許文献1(特開2010−143374号公報)等で公知であるため、詳細説明を省略する。空調ユニット42のケースは、ダッシュパネル18に対して車室内側に配置されてかつダッシュパネル18に図示しない締結具(ボルト及びナット)等により取り付けられている。
【0036】
また、車両用空調装置40は、インパネ14に設けられて空調風を前席乗員Pの足元側に向けて吹き出すフット吹出口46、48を備えると共に、インパネ14に設けられて空調風の生成用として車室12内の空気を取り込む内気吸入口44を備える。なお、図中では、空調風が流れる方向を二点鎖線の矢印で示している(
図2においても同様)。
【0037】
内気吸入口44は、インパネ14の下端部を構成する底壁部34に設けられており、ダクトD1(
図2(A)参照)を介して、空調ユニット42の内気導入口42Aに接続されている。なお、
図1では、図を見易くするために、ダクトD1(
図2(A)参照)の図示を省略している。内気吸入口44は、空調ユニット42の略側方側で前席乗員Pの右足(左右の足のうちより車両幅方向内側に位置する足)の足元近傍に設定されている。また、内気導入口42Aは、空調ユニット42の側部に形成されている。また、フット吹出口46、48は、インパネ14の第二部位14Yにおける側壁部32の下部に形成されており、前席乗員Pの膝部Nよりも低い位置に設定されている。フット吹出口46、48は、
図2(B)の方向視では殆ど見えないが、模式的な背面図である
図2(B)では便宜上フット吹出口46、48を第二部位14Yの図中左側に誇張して図示している。また、
図2(A)に示されるように、フット吹出口46、48は、フット吹出口46、48からの空調風の吹出方向が車両幅方向外側斜め後方側かつ斜め下方側(
図1参照)に向くように設定されている。フット吹出口46、48は、ダクトD2、D3を介して、空調ユニット42の空気出口42B、42Cに接続されている。なお、空気出口42Bと空気出口42Cとは、一例として平面視で重なる位置に設定されているが、そのような位置関係になくてもよい。
【0038】
本実施形態では、
図1に示されるフット吹出口46、48として、前席乗員Pの左右の足のうちより車両幅方向内側に位置する足の足元側に向けて空調風を吹き出す第一フット吹出口46を備えると共に、前席乗員Pの左右の足のうちより車両幅方向外側に位置する足の足元側に向けて空調風を吹き出す第二フット吹出口48を備えている。第二フット吹出口48は第一フット吹出口46よりも大きく設定されている。また、第二フット吹出口48から吹き出す空調風の風量は、第一フット吹出口46から吹き出す空調風の風量よりも多くなるように設定されている。なお、以下の説明において、第一フット吹出口46及び第二フット吹出口48をまとめて説明するときには、単に「フット吹出口46、48」という。
【0039】
図2(A)の部分拡大図に模式的に示されるように、車両用空調装置40は、フット吹出口46、48から吹き出す空調風の風向を調整する風向調整部50、52を備えている。風向調整部50、52は、一例として、筒状とされると共に、車両上下方向の軸X1、X2の周りを回動することで、風向を調整可能とされている。風向調整部50、52は、調整制御部56(図中ではブロック化して図示)に接続されている。
【0040】
図1に示されるように、車室前部12Fのダッシュパネル18の下部には、前席乗員Pの下肢Loの位置(本実施形態では前席乗員Pの右足の位置と左足の位置のそれぞれ)を検出する下肢検出部54が配置されている。下肢検出部54は、一例として、前席乗員Pの下肢Lo及びその周辺の映像を撮影するカメラと、前記カメラで撮影した前席乗員Pの下肢Lo及びその周辺の映像を画像処理することで前席乗員Pの下肢Loの位置を算出して算出結果のデータを出力する画像センサと、を含んで構成されている。なお、下肢検出部54は、上記構成に代えて赤外線センサを含んで構成されてもよい。また、下肢検出部54は空調ユニット42と一体的に設けられてもよい。
図2(A)に示されるように、下肢検出部54は、調整制御部56に接続されている。調整制御部56は、下肢検出部54の検出結果に基づいて第一フット吹出口46から吹き出す空調風の風向が前席乗員Pの下肢Lo(いずれも
図1参照)のうち右足(左右の足のうちより車両幅方向内側に位置する足)の足元側に向けられるように第一の風向調整部50を制御する。また、調整制御部56は、下肢検出部54の検出結果に基づいて第二フット吹出口48から吹き出す空調風の風向が前席乗員Pの下肢Lo(いずれも
図1参照)のうち左足(左右の足のうちより車両幅方向外側に位置する足)の足元側に向けられるように第二の風向調整部52を制御する。
【0041】
また、
図1に示されるように、フロントシート22のシートクッション24の下端部とフロアパネル20との間には、シートクッション24の下方側及びその前後を含む下側空間LSを車両前後方向に仕切るように仕切り部材としての仕切り板58が配置されている。仕切り板58は、その上端部に設けられて車両幅方向に延在する軸58Xが、シートクッション24の側に回動可能に軸支されており、フロントシート22のシートクッション24の下端部とフロアパネル20との間に開閉可能に設けられている。なお、
図1では、仕切り板58が開いた状態の位置を二点鎖線で示す。車両用空調装置40は、仕切り板58を開閉させる可動機構60(図中ではブロック化して図示)を有している。可動機構60は、駆動モータと、駆動モータで発生させた駆動力を伝達して軸58Xを回転させるための駆動力伝達機構と、を有する。この可動機構60により仕切り板58は開度(言い換えれば垂下姿勢を基準姿勢とした場合の回動角度)を変えることができる。
【0042】
一方、車室前部12Fのダッシュパネル18の下部には前席乗員Pの足元付近の温度を検出する温度検出部62が配置されている。温度検出部62は温度センサで構成されている。また、フロントシート22よりも車両後方側には後席乗員を検出する後席乗員検出部64(図中ではブロック化して図示)が配置されている。後席乗員検出部64は、一例として、後席シートに設けられて乗員が後席シートのシートクッションに着座するとシート座面に作用する荷重によって電気接点が接触する電気接点式の着座センサを含んで構成されている。後席乗員検出部64は、上記構成に代えて、後席の映像を撮影するカメラと、前記カメラで撮影した後席の映像を画像処理することで後席乗員の有無を算出して算出結果のデータを出力する画像センサを含んで構成されてもよいし、赤外線センサを含んで構成されてもよい。
【0043】
温度検出部62及び後席乗員検出部64は、開閉制御部66(図中ではブロック化して図示)に接続されている。開閉制御部66は、温度検出部62によって測定された温度が予め設定した基準温度に達したものと判定した場合でかつ後席乗員検出部64が後席乗員を検出した場合に仕切り板58が開いた状態になるように可動機構60を制御すると共にそれ以外の場合に仕切り板58が閉じた状態になるように可動機構60を制御する。
【0044】
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0045】
図2(B)に示されるように、車室前部12Fに設けられたインパネ14が車両後方側から見て車両幅方向に延在する第一部位14Xとその第一部位14Xの車両幅方向中央部から垂下された第二部位14Yとで車室側に突出した面がT字状に形成され、
図1に示される前席乗員Pの足元スペースが確保されている。このインパネ14における内側に車両用空調装置40の空調ユニット42が設けられている。車両用空調装置40においては、インパネ14に設けられたフット吹出口46、48が空調風を前席乗員Pの足元側に向けて吹き出し、インパネ14に設けられた内気吸入口44が空調風の生成用として車室12内の空気を取り込む。
【0046】
ここで、フット吹出口46、48がインパネ14の第二部位14Yにおける側壁部32の下部に形成されている。このため、前席乗員Pの足元スペースが確保されつつ、フット吹出口46、48から前席乗員Pの足元までの距離を短くすることができるので、前席乗員Pの体感温度を容易に調節することができる。
【0047】
対比構造と対比しながら補足説明すると、例えば、インパネに設けられたフット吹出口が前席乗員の前方側に設けられた対比構造では、インパネを車両上下方向において薄型化した場合、フット吹出口から前席乗員の足元までの距離が長くなってしまう。そのため、このような対比構造では、空調風(フット吹出口からの気流)の拡散に起因して空調のロスが大きくなり、ウォームアップ時には足元の温度が目標温度に達するのに時間がかかる。また、前記対比構造では、インパネを車両上下方向において薄型化しない場合に比べて前席乗員の足元付近での空調風の風速が下がる。以上により、前記対比構造を用いて例えば冬季に暖房運転をした場合には、ウォームアップ時における前席乗員の足元の温熱感が低下することが予想される。これに対して、本実施形態では、フット吹出口46、48から前席乗員Pの足元までの距離を短くすることができるので、前記対比構造のような課題を解決することができる。
【0048】
また、本実施形態では、内気吸入口44は、インパネ14の下端部に設けられている。このため、前席乗員Pの足元付近の空気、つまり空調風により温度が目標温度に近づいている空気を内気吸入口44から取り込んで空調風に利用することができるので、冷暖房効率が向上する。
【0049】
また、本実施形態では、車両用空調装置40は、
図2に示されるフット吹出口46、48として、第一フット吹出口46と第二フット吹出口48とを備えている。第一フット吹出口46は、前席乗員P(
図1参照)の左右の足のうちより車両幅方向内側に位置する足の足元側に向けて空調風を吹き出す。また、第二フット吹出口48は、前席乗員P(
図1参照)の左右の足のうちより車両幅方向外側に位置する足の足元側に向けて空調風を吹き出す。このため、前席乗員Pの左右の足のそれぞれに良好に空調風を送ることができる。
【0050】
また、本実施形態では、より遠い方の足の足元側に向けて空調風を吹き出す第二フット吹出口48が、より近い方の足の足元側に向けて空調風を吹き出す第一フット吹出口46よりも大きく設定されている(
図1参照)。したがって、より遠い方の足の足元側に送る空調風の風量を容易に多くすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、より遠い方の足の足元側に向けて第二フット吹出口48から吹き出す空調風の風量が、より近い方の足の足元側に向けて第一フット吹出口46から吹き出す空調風の風量よりも多くなるように設定されている。したがって、左右の足の足元付近の各体感温度を近付けることができる。
【0052】
また、本実施形態では、
図1に示される車室前部12Fに配置された下肢検出部54が前席乗員Pの下肢Loの位置を検出する。また、
図2(A)に示される風向調整部50、52がフット吹出口46、48から吹き出す空調風の風向を調整する。そして、下肢検出部54の検出結果に基づいてフット吹出口46、48から吹き出す空調風の風向が前席乗員Pの下肢Lo(いずれも
図1参照)側に向けられるように調整制御部56が風向調整部50、52を制御する。したがって、
図1に示されるシートクッション24が移動されたり前席乗員Pの体勢が変わったりしても前席乗員Pの下肢Loの位置に応じて空調風の風向を変えることができるので、前席乗員Pの足元の体感温度を容易に調節することができる。
【0053】
また、本実施形態では、フロントシート22のシートクッション24の下端部とフロアパネル20との間に設けられてシートクッション24の下方側及びその前後を含む下側空間LSを車両前後方向に仕切るように配置された仕切り板58を有する。よって、フット吹出口46、48から吹き出された空調風が、仕切り板58によって後席側に流れなくなって(又は殆ど流れなくなって)空調風(例えば暖房運転時には温風)の空気が前席乗員Pの足元付近に貯められる。これにより、前席乗員Pの下肢Loを空調風で包み込むことができ、前席乗員Pの足元の温度を容易に目標温度に近付けることができる。
【0054】
また、本実施形態では、仕切り板58は、フロントシート22のシートクッション24の下端部とフロアパネル20との間に開閉可能に設けられており、可動機構60によって開閉させられる。したがって、仕切り板58が開かれることで、フット吹出口46、48から吹き出された空調風を後席側に送ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、車室前部12Fに配置された温度検出部62が前席乗員Pの足元付近の温度を検出し、フロントシート22よりも車両後方側に配置された後席乗員検出部64が後席乗員を検出する。開閉制御部66は、温度検出部62によって測定された温度が予め設定した基準温度に達したものと判定した場合でかつ後席乗員検出部64が後席乗員を検出した場合に仕切り板58が開いた状態になるように可動機構60を制御すると共にそれ以外の場合に仕切り板58が閉じた状態になるように可動機構60を制御する。したがって、前席乗員Pの足元付近を効率的に温度調節した後には、フット吹出口46、48から吹き出された空調風を後席側に送ることができるので、後席側においても空調効果が得られる。
【0056】
以上説明したように、本実施形
態によれば、インパネ14を車両上下方向において薄型化しても前席乗員Pの足元の体感温度を容易に調節することができる。
【0057】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、内気吸入口44がインパネ14の下端部である底壁部34に設けられており、このような構成が好ましいが、内気吸入口が例えばインパネ(14)の上壁部30等のようにインパネ(14)における下端部以外の部位に形成される構成も採り得る。
【0058】
また、上記実施形態では、フット吹出口46、48として、第一フット吹出口46と第二フット吹出口48とが設けられており、このような構成が好ましいが、例えばフット吹出口が一個又は三個以上形成されるような構成も採り得る。
【0059】
また、上記実施形態では、第二フット吹出口48が第一フット吹出口46よりも大きく設定されており、このような構成が好ましいが、例えば第一フット吹出口と第二フット吹出口とが同じ大きさに設定されているような構成も採り得る。
【0060】
また、上記実施形態では、第二フット吹出口48から吹き出す空調風の風量が第一フット吹出口46から吹き出す空調風の風量よりも多くなるように設定されており、このような構成が好ましいが、例えば第一フット吹出口から吹き出す空調風の風量と第二フット吹出口から吹き出す空調風の風量とが同じになるように設定された構成も採り得る。
【0061】
また、暖房運転時に第二フット吹出口(48)から吹き出す空調風の温度を第一フット吹出口(46)から吹き出す空調風の温度よりも高くなるように設定してもよい。また、冷房運転時に第二フット吹出口(48)から吹き出す空調風の温度を第一フット吹出口(46)から吹き出す空調風の温度よりも低くなるように設定してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、
図2(A)に示される下肢検出部54、風向調整部50、52及び調整制御部56が設けられており、このような構成が好ましいが、これらを設けない構成も採り得る。
【0063】
また、上記実施形態では、仕切り部材として
図1に示される仕切り板58が設けられているが、仕切り部材は、例えば、フロントシート(22)のシートクッション(24)の下端部に取り付けられてシートクッション(24)の下端部とフロアパネル(20)との間に設けられてシートクッション(24)の下方側及びその前後を含む下側空間LSを車両前後方向に仕切るように配置された仕切りカーテンやシャッター等のような仕切り板58以外の仕切り部材とされてもよい。また、前記の仕切りカーテンは巻き取り可能とされてもよい。
【0064】
また、上記実施形態のように、仕切り部材としての仕切り板58が設けられた構成が好ましいが、仕切り板58が設けられない構成も採り得る。また、上記実施形態では、仕切り部材としての仕切り板58を開閉させる可動機構60が設けられているが、このような可動機構60が設けられない構成も採り得る。
【0065】
また、上記実施形態では、温度検出部62、後席乗員検出部64及び開閉制御部66が設けられており、このような構成が好ましいが、これらを設けない構成も採り得る。
【0066】
また、上記実施形態では、助出席側の空調を行う構成について説明したが、運転席側の空調についても同様に適用することができる。
【0067】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0068】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。