特許第6969989号(P6969989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6969989
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】紙葉類搬送用羽根車の羽根部材
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/40 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   B65H29/40
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-226925(P2017-226925)
(22)【出願日】2017年11月27日
(65)【公開番号】特開2018-90418(P2018-90418A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年10月30日
【審判番号】不服2020-8074(P2020-8074/J1)
【審判請求日】2020年6月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-232864(P2016-232864)
(32)【優先日】2016年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有待 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】竹中 章
(72)【発明者】
【氏名】岡沢 学秀
【合議体】
【審判長】 藤本 義仁
【審判官】 藤田 年彦
【審判官】 清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−292378(JP,A)
【文献】 特開2013−155032(JP,A)
【文献】 特開2015−27899(JP,A)
【文献】 特開2011−79985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な筒部材の外周面から突出するように少なくとも1つ配置される、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材であって、
可塑剤を含まない熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなる羽根部材本体と、
ポリエステル繊維からなり、少なくとも一部が前記羽根部材本体の内部に埋設されると共に、前記筒部材の回転軸の軸方向に並んで複数配列された芯線と、を備え、
前記芯線の繊度は、100〜300デニールの範囲であり、前記芯線は、隣り合う前記芯線の間隔が0.25〜0.50mmの範囲となるように、前記回転軸の前記軸方向に並んで複数配列されていることを特徴とする紙葉類搬送用羽根車の羽根部材。
【請求項2】
前記芯線の繊度は、120〜180デニールの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材。
【請求項3】
前記芯線は、隣り合う前記芯線の間隔が0.25〜0.30mmの範囲となるように、前記回転軸の前記軸方向に並んで複数配列されたことを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材。
【請求項4】
前記芯線は、その芯線径が0.10〜0.19mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材。
【請求項5】
前記羽根部材は、前記筒部材の回転軸の軸方向に直交する径方向に沿って前記筒部材の外周面から突出するように配置され、
前記芯線は、前記筒部材の回転軸の径方向に沿って埋設されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類を搬送するために用いられる紙葉類搬送用羽根車の羽根部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動改札機、自動レジ釣銭機、両替機、自動券売機等には、紙幣、磁気カード、切符等の紙葉類が搬送される搬送装置が設置される。搬送装置には、紙葉類を搬送するための紙葉類搬送用羽根車が用いられる。紙葉類搬送用羽根車は、羽根部材が回転可能な円筒部材の回転軸に直交する径方向に放射状に複数取り付けられて構成される。そして、紙葉類搬送用羽根車は、羽根部材を高速で回転させて紙葉類に接触させ、接触時の摩擦力により紙葉類を搬送する。
【0003】
羽根部材は紙葉類に接触するため、長期間の使用により塑性変形が生じ、摩耗、割れ、欠け等の損傷が生じる。羽根部材が塑性変形することにより、紙葉類との接触が不十分となり、搬送ミスなどの原因に繋がる。そこで、羽根部材を円筒部材に着脱自在に取り付けられるようにして、羽根部材を交換可能にする構造も提案されている。つまり、羽根部材には、塑性変形を抑制して屈曲耐久性を高めることが求められている。
【0004】
そこで、羽根部材の塑性変形を抑制して屈曲耐久性を高めるために、特許文献1では注型により成形された熱硬化性ウレタンと、芯線にアラミド撚糸が用いられた羽根部材が提案されている。また、特許文献2では熱硬化性ポリウレタンと、ナイロンからなる芯線が用いられた羽根部材が提案されている。しかしながら、特許文献1,2に示す羽根部材であっても、屈曲耐久性を十分には満足できていなかった。羽根部材の塑性変形を抑制するためには、屈曲耐久性を高めて強度を保ちつつ、屈曲できる柔軟性が求められる。つまり、羽根部材は塑性変形しにくいこと、即ち、屈曲耐久性を高めつつ、元の形状に戻れる復元性が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−155032号公報
【特許文献2】特開2015−205771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性を高めた紙葉類搬送用羽根車の羽根部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、回転可能な筒部材の外周面から突出するように少なくとも1つ配置される、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材であって、熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなる羽根部材本体と、ポリエステル繊維からなり、少なくとも一部が前記羽根部材本体の内部に埋設されると共に、前記筒部材の回転軸の軸方向に並んで複数配列された芯線と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成では、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、回転可能な筒部材の外周面から突出するように少なくとも1つ配置される。なお、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、紙葉類に接触して搬送してもよい。そして、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、羽根部材本体と、芯線とを備える。羽根部材本体は、熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなる。芯線は、ポリエステル繊維からなる。芯線は、少なくとも一部が羽根部材本体の内部に埋設される。また、芯線は、筒部材の回転軸の軸方向に並んで複数配列される。
羽根部材本体には、復元性の観点から、弾性に優れるエラストマー材料が好ましく、エラストマー材料の中でも特に熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、耐摩耗性と弾性とに優れている。また、芯線を形成するポリエステル繊維は耐熱性、強度ともに優れている。芯線には、屈曲耐久性の観点から、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維が好ましく、特に、塑性変形に対して座屈しにくいポリエステル繊維が適する。羽根部材本体が熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなり、且つ、芯線がポリエステル繊維からなることで、屈曲時の芯線内部に発生する変形力(圧縮力)を低減することができ、羽根部材の屈曲耐久性および復元性が向上する。つまり、本発明の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性を高めることができる。
【0009】
他の観点によれば、本発明の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は以下の構成を有することが好ましい。
前記芯線の繊度は、100〜300デニールの範囲である。または、前記芯線の繊度は、120〜180デニールの範囲である。
【0010】
この構成では、芯線の繊度は、100〜300デニールの範囲であることが好ましい。芯線の径(芯線径)は、0.10〜0.19mmの範囲であることが好ましい。更に、芯線の繊度は、120〜180デニールの範囲であることがより好ましい。つまり、芯線の径が比較的細い。芯線の径が太い場合は、芯線の径が細い場合と比較して、屈曲した際に芯線内部(特に紙葉類搬送用羽根車の外周部付近)の変形力(圧縮力)が大きくなり、座屈・破断が生じやすくなる。従って、芯線の径を比較的細くすることにより、屈曲時の芯線内部に発生する変形力(圧縮力)を低減することができ、屈曲耐久性が向上する。つまり、本構成の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性をさらに高めることができる。
【0011】
他の観点によれば、本発明の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は以下の構成を有することが好ましい。
前記羽根部材本体は、可塑剤を含まない熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなる。または、前記羽根部材本体は、可塑剤を含む熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなり、前記可塑剤は、前記熱硬化性ポリウレタンエラストマー100重量部に対して、20質量部以下である。または、前記羽根部材本体は、可塑剤を含む熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなり、前記可塑剤は、前記熱硬化性ポリウレタンエラストマー100重量部に対して、5質量部以下である。
【0012】
この構成では、羽根部材本体は、可塑剤を含む熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなり、可塑剤は、熱硬化性ポリウレタンエラストマー100重量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。また、羽根部材本体は、可塑剤を含む熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなり、可塑剤は、熱硬化性ポリウレタンエラストマー100重量部に対して、5質量部以下であることがより好ましい。更に、羽根部材本体は、可塑剤を含まない熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなることがより好ましい。ここで、羽根部材本体に可塑剤が多く含まれると、長期間の使用において、羽根部材本体が紙葉類に繰り返し接触する中で可塑剤が滲出して、紙葉類表面に移行する。そのため、紙葉類と接する羽根部材本体が塑性変形し、羽根部材の反りが生じる。そこで、羽根部材本体に含まれる可塑剤を少なくする、または、羽根部材本体に可塑剤を含まないことで、羽根部材の反りが相対的に低減され、復元力が向上する。つまり、本構成の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性をさらに高めることができる。
【0013】
他の観点によれば、本発明の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は以下の構成を有することが好ましい。
前記芯線は、隣り合う前記芯線の間隔が0.25〜0.50mmの範囲となるように、前記回転軸の軸方向に複数並んで配列される。または、前記芯線は、隣り合う前記芯線の間隔が0.25〜0.30mmの範囲となるように、前記回転軸の軸方向に並んで複数配列される。
【0014】
この構成では、芯線は、隣り合う前記芯線の間隔が0.25〜0.50mmの範囲となるように、回転軸の軸方向に並んで複数配列されることが好ましい。または、芯線は、隣り合う芯線の間隔が0.25〜0.30mmの範囲となるように、回転軸の軸方向に並んで複数配列されることがより好ましい。隣り合う芯線の間隔が0.25mm未満である場合は、羽根部材本体の内部に埋設される芯線の数が多くなる。そして、羽根部材の剛性が大きくなり、羽根部材の屈曲性が低減してしまう。また、隣り合う芯線の間隔が0.50mm(特に、0.30mm)を超える場合は、羽根部材本体の内部に埋設される芯線の数が少なくなる。そして、屈曲時の芯線内部に発生する変形力を十分に低減することができない虞がある。そのため、隣り合う芯線の間隔が0.25〜0.50mmの範囲(特に、0.25〜0.30mmの範囲)であれば、羽根部材の屈曲性を適度に保つことができる。つまり、本構成の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性をさらに高めることができる。
【0015】
他の観点によれば、本発明の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は以下の構成を有することが好ましい。
前記羽根部材は、前記筒部材の回転軸の軸方向に直交する径方向に沿って前記筒部材の外周面から突出するように配置され、前記芯線は、前記筒部材の回転軸の径方向に沿って埋設される。
【0016】
ここで、「径方向に沿って」とは、径方向と平行という意味に限らない。径方向に沿ってとは、径方向に湾曲する場合や、径方向を示す直線に対して所定の角度で傾斜する場合を含む。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性を高めた紙葉類搬送用羽根車の羽根部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】紙葉類搬送用羽根車を模式的に示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は上面図である。
図2】紙葉類搬送用羽根車の円筒部材を模式的に示す斜視図である。
図3】紙葉類搬送用羽根車の羽根部材を模式的に示す図であり、(a)は回転軸の径方向における羽根部材の一部の断面図であり、(b)は(a)のX−X断面図である。
図4】屈曲耐久試験で用いた試験装置を模式的に示す概略図である。
図5】復元性試験を模式的に示す概略図である。
図6】復元性試験の試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、紙葉類搬送用羽根車に用いられる。紙葉類搬送用羽根車は、紙葉類に搬送する搬送装置に用いられる。搬送装置は、自動改札機、自動レジ釣銭機、両替機、自動券売機等において、紙幣、磁気カード、切符等の紙葉類を搬送又は集積するために設置される。
【0020】
(紙葉類搬送用羽根車の構成)
図1に示すように、紙葉類搬送用羽根車1は、筒部材10と羽根部材20とを有する。
本実施形態において、羽根部材20は、筒部材10の回転軸11の軸方向Gに直交する径方向に沿って配置される。羽根部材20は、筒部材10の外周面から突出するように配置される。図1では、回転軸11の軸方向G及び周方向Rを矢印で示している。本実施形態では、4つの羽根部材20が筒部材10に配置される。4つの羽根部材20は、筒部材10の回転軸11の周方向Rに等間隔に配置される。尚、羽根部材20の数は、4つに限らない。羽根部材20の数は、1つ以上あればよい。羽根部材20の数は、2〜16枚が好ましい。また、羽根部材20は、筒部材10の回転軸の周方向Rに等間隔に配置されていなくてもよい。
【0021】
(筒部材の構成)
図2に示すように、筒部材10は、略円筒状に形成される。尚、筒部材10は、略円筒状に限らない。筒部材10は、略多角形状に形成されてもよい。筒部材10は、回転軸11(図1(b)参照)と、基部12と、軸孔13と、切り欠き部14とを有する。
【0022】
基部12は、樹脂材料で形成されていてもよい。基部12は、例えば、エンジニアリング・プラスチックで形成される。エンジニアリング・プラスチックは、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等である。基部12は、上面12aと底面12bと外周面12cとを有する。本実施形態では、軸孔13は、上面12a及び底面12bの略中央に形成される(図1(b)参照)。回転軸11は、軸孔13に挿入される。つまり、回転軸11は、その軸方向が筒部材10の軸方向に沿うように配置される。そして、基部12は、回転軸11に回転不能に支持される。つまり、基部12は、回転軸11に固定される。尚、筒部材10は、軸孔13を有さなくてもよい。つまり、回転軸11は、基部12と一体で成形されてもよい。以上により、筒部材10は回転可能に構成される。つまり、回転軸11が回転することにより、筒部材10が回転するように構成される。
【0023】
切り欠き部14は、上面12aに開口するように形成される。また、切り欠き部14は、外周面12cの上部において、外周面12cに開口するように形成される。外周面12cの上部とは、外周面12cの底面12bより上面12aに近い部分である。また、切り欠き部14は、軸孔13に開口するように形成される。尚、切り欠き部14は、軸孔13に開口するように形成されていなくてもよい。また、切り欠き部14は、上面12aまたは底面12bのいずれかに開口するように形成されてもよい。また、切り欠き部14は、上面12a及び底面12bに開口するように形成されてもよい。切り欠き部14には、羽根部材20が挿入される。本実施形態では、羽根部材20は、上面12aの開口から切り欠き部14に挿入される。切り欠き部14の形状は、羽根部材20が嵌合可能であり、且つ、回転軸11の径方向に離脱しないような形状で形成される。切り欠き部14は、回転軸11の径方向においての羽根部材20を固定する。一方、切り欠き部14は、回転軸11の軸方向Gにおいての羽根部材20の動きを許容する。つまり、筒部材10は、羽根部材20を脱着可能に構成される。これにより、羽根部材20が摩耗等によってメンテナンスが必要な場合に、容易に羽根部材20を脱着して交換することができる。
【0024】
(羽根部材の構成)
図1および図3に示すように、羽根部材20は、羽根部材本体21と、芯線25とを有する。尚、図1(a)では、芯線25の記載を省略している。図1(b)では、羽根部材本体21が有する複数の凸部24の記載を省略している。
【0025】
本実施形態の羽根部材本体21は、基部22と、本体部23と、複数の凸部24と、を有する。尚、図3(b)では、基部22と、本体部23と、複数の凸部24との境界線を破線で示している。羽根部材本体21は、基部22と、本体部23と、複数の凸部24は、一体成形されていてもよい。羽根部材本体21は、熱硬化性ポリウレタンエラストマーで形成される。熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、耐摩耗性と弾性とに優れている。
【0026】
図1および図3(a)に示すように、基部22は、本体部23の回転軸11側の端部(図1参照)に形成される。基部22は、回転軸11の周方向Rの厚さが大きくなるように本体部23から膨出するように形成される。基部22及び本体部23の一部は、切り欠き部14に挿入されて、嵌合される。本実施形態では、基部22は、回転軸11の軸方向Gに直交する断面において、略半円状になるように形成される。基部22の形状は、略半円状でなくてもよい。基部22の形状は、羽根部材20が切り欠き部14から回転軸11の径方向において離脱しないような形状であればよく、例えば、凹凸状等である。
【0027】
本体部23は、略直方体状に形成される。本実施形態において、本体部23は、回転軸11の径方向の長さLaが回転軸11の軸方向Gの長さLcよりも長くなるように形成される。本体部23は、回転軸11の軸方向Gの長さLcが回転軸11の周方向Rに沿った長さLbよりも長くなるように形成される。
【0028】
複数の凸部24は、必須ではないが、回転軸11の周方向Rに面する本体部23の表面のいずれかの一方の表面または両方の表面上に形成されることが好ましい。本体部23の表面および/または複数の凸部24の表面は紙葉類に接触する面である。凸部24の数は、図3に示す数に限らない。本体部23の表面上に凸部24が設けられることにより、本体部23が紙葉類に接触した際に曲がりやすく、また、本体部23と紙葉類との摩擦係止力が良くなり、本体部23と紙葉類との滑りが少なく、良好な搬送を行うことができる。
【0029】
羽根部材本体21を形成する熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、ポリオールとポリイソシアネートとから得られるプレポリマーと、硬化剤とを熱硬化させることにより得られる。または、ポリオールとポリイソシアネートと硬化剤とを熱硬化させることにより得られる。熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、モル当量比であるNCOインデックス値(イソシアネート基/活性水素基)が、0.8〜1.0の範囲となるように配合されることが好ましい。イソシアネート基は、プレポリマーまたはポリイソシアネートのイソシアネート基である。活性水素基は、ポリオール及び硬化剤の活性水素基、ポリオールの活性水素基、または、硬化剤の活性水素基である。
【0030】
ポリオールは、分子中に水酸基を2個以上有するものに限らない。ポリオールは、例えば、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリラクトン系ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリオレフィンポリオール類等を1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
ポリエーテルポリオール類は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等である。
【0032】
ここで、ポリエステルポリオール類は、ジカルボン酸化合物と、ポリオール化合物とを反応させて得られる。ジカルボン酸化合物は、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等である。ポリオール化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等である。
【0033】
ポリラクトン系ポリエステルポリオール類は、ポリカプロラクトンポリオール、ポリ−β−メチル−δ−バレロラクトン等である。
ポリカーボネートポリオール類は、ジオール化合物と、カーボネート化合物とを反応させて得られる。ジオール化合物は、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール等である。カーボネート化合物は、ホスゲン、ジアルキルカーボネートやジフェニルカーボネート等である。
【0034】
ポリオレフィンポリオール類は、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等である。
【0035】
ポリオールは、特に、ポリエーテルポリオール類が好ましい。ポリエーテルポリオール類から形成されるポリエーテル系熱硬化性ウレタンは、ポリエステルポリオール類から形成されるポリエステル系ポリウレタンと比較して、耐加水分解性に優れているため、長期間使用しても経時劣化が少なく屈曲耐久性に優れている。
【0036】
また、ポリオールは、低分子量ポリオールを併用してもよい。低分子量ポリオールは、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール)、シクロヘキサンジオール(例えば1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール)、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等の脂環式ジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の三価以上のポリオールである。
【0037】
ポリイソシアネートは、例えば、芳香族イソシアネート類、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環式ポリイソシアネート類、上記各ポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート類、上記各ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート類などを、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
芳香族イソシアネート類は、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'−MDI)、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4'−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などである。
【0039】
脂肪族ポリイソシアネート類は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアナートメチル(NBDI)などである。
【0040】
脂環式ポリイソシアネート類は、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI、水添XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI、水添MDI)などである。
【0041】
硬化剤は、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの成形時に通常使用されるものを使用することができる。硬化剤の活性水素基の種類は、例えば、水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、ウレタン基、チオール基、エポキシ基等である。具体的には、硬化剤は、4、4'−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA)、4,4'−メチレンジアニリン(MDA)等を使用することができる。
【0042】
尚、熱硬化性ポリウレタンエラストマーには、必要に応じて、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、充填剤、加水分解抑制剤、反応促進剤、離型剤、難燃剤等の添加剤を配合することができる。但し、本実施形態の羽根部材本体21に用いる熱硬化性ポリウレタンエラストマーには、可塑剤を配合しない方が好ましい。
【0043】
本実施形態において、芯線25は、図1(b)および図3(a)に示すように、その一部が羽根部材本体21の本体部23の内部に埋設される。芯線25は、残りの部分が外部に露出していてもよい。尚、芯線25は、その全部が羽根部材本体21の内部に埋設されていてもよい。本実施形態では、芯線25は、回転軸11の軸方向Gに沿って並んで複数埋設される。また、芯線25は、図3(b)に示すように、隣り合う芯線25同士の間隔Ldが0.25〜0.50mmの範囲となるように、回転軸11の軸方向Gに並んで複数配列されることが好ましい。尚、隣り合う芯線25同士の間隔Ldは、0.25〜0.30mmの範囲であることがより好ましい。
【0044】
芯線25は、ポリエステル繊維からなる。芯線25はポリエステル繊維の撚糸でもよく、単一のフィラメントからなる不撚糸であってもよい。ポリエステル繊維は、耐熱性、強度ともに優れている。つまり、羽根部材20にポリエステル繊維からなる芯線25を埋設することにより、羽根部材20の破損に対する屈曲耐久性が向上する。芯線25の繊度は、100〜300デニールの範囲であることが好ましい。そして、芯線径は、0.10〜0.19mmの範囲であることが好ましい。尚、芯線25は、繊度が120〜180デニールの撚糸が好ましい。なお、芯線はポリエステル繊維以外の繊維を含み得る。
【0045】
羽根部材20は、回転軸11の径方向の長さが15〜50mm、回転軸11の軸方向Gの長さ(幅)が2〜10mm、回転軸の周方向の長さ(厚さ)1〜4mm程度に成形されることが好ましい。
【0046】
(羽根部材の製造方法)
次に、羽根部材20の製造方法について説明する。羽根部材20は、二重円筒金型からなる円筒金型、または、割金型である平金型を用いて、注型により製造されてもよい。
【0047】
まず、円筒金型を用いた場合の羽根部材20の製造方法について説明する。
円筒金型は、内側円筒金型と外側円筒金型からなる二重円筒金型である。内側円筒金型は、外側円筒金型の内部に配置可能に構成される。また、内側円筒金型の外周面には、基部22及び複数の凸部24を形成する窪みが形成される。
(1)内側円筒金型の外周面に芯線25を巻き付ける。この際、芯線25は、隣接する芯線25同士の間隔が所定間隔となるように巻き付ける。
(2)内側円筒金型を外側円筒金型に挿入して略同心となるように配置する。
(3)内側円筒金型と外側円筒金型との間に形成された空間部に、羽根部材本体21を形成する液状材料を注型する。そして、液体材料を加熱して熱硬化させて、ポリウレタンエラストマーからなる基部22、本体部23及び複数の凸部24を形成する。
(4)円筒金型から脱型して得られた円筒状の羽根部材前駆体を裁断して、羽根部材20を得る。
【0048】
次に、平金型を用いた場合の羽根部材20の製造方法について説明する。
平金型は、第1平金型と第2平金型の割金型である。
(1)第1平金型に芯線25を複数並べた状態で固定して配置する。この際、芯線25は、隣接する芯線25同士の間隔が所定間隔となるように配置する。
(2)芯線25が固定された第1平金型に、第2平金型を合わせて配置する。
(3)平金型の内部に羽根部材本体21を形成する液状材料を注型する。そして、液体材料を加熱して熱硬化させて、ポリウレタンエラストマーからなる基部22、本体部23及び複数の凸部24を形成する。
(4)平金型から脱型して、羽根部材20を得る。
尚、平金型を用いた製造方法では、羽根部材20を1枚ずつ成形してもよく、複数枚の羽根部材20の集合体を成形してもよい。この場合、平金型は、複数枚の羽根部材20の集合体を成形することができる大きさのものが用いられる。そして、成形した集合体を所定の寸法に裁断することにより、複数枚の羽根部材20を得る。
【0049】
本実施形態の紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20は、以下の特徴を有する。
紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20は、回転可能な筒部材10の回転軸11の軸方向Gに直交する径方向に沿って筒部材10の外周面から突出するように少なくとも1つ配置される。そして、紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20は、紙葉類に接触して搬送する。
そして、紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20は、羽根部材本体21と、芯線25とを備える。羽根部材本体21は、熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなる。芯線25は、ポリエステル繊維からなる。芯線25は、少なくとも一部が羽根部材本体21の内部に回転軸11の径方向に沿って埋設される。芯線25は、筒部材10の回転軸11の軸方向Gに並んで複数配列される。
羽根部材本体21には、復元性の観点から、弾性に優れるエラストマー材料が好ましく、エラストマー材料の中でも特に熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、耐摩耗性と弾性とに優れている。また、芯線25を形成するポリエステル繊維は耐熱性、強度ともに優れている。芯線25には、屈曲耐久性の観点から、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維が好ましく、特に、塑性変形に対して座屈しにくいポリエステル繊維が適する。羽根部材本体21が熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなり、且つ、芯線25がポリエステルからなることで、屈曲時の芯線25内部に発生する変形力(圧縮力)を低減することができ、羽根部材20の屈曲耐久性および復元性が向上する。つまり、紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20は、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態の紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20において、芯線25の繊度は、100〜300デニールの範囲であることが好ましい。この場合、芯線25の径は、0.10〜0.19mmmの範囲であることが好ましい。更に、芯線25の繊度は、120〜180デニールの範囲であることがより好ましい。つまり、芯線25の径が比較的細い。芯線25の径が太い場合は、芯線25の径が細い場合と比較して、屈曲した際に芯線25内部(特に外周部付近)の変形力(圧縮力)が大きくなり、座屈・破断が生じやすくなる。従って、芯線25の径を比較的細くすることにより、屈曲時の芯線25内部に発生する変形力(圧縮力)を低減することができ、屈曲耐久性および復元性が向上する。つまり、本構成の紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20は、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性をさらに高めることができる。
【0051】
また、本実施形態の紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20において、羽根部材本体21は、可塑剤を含む熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなり、可塑剤は、熱硬化性ポリウレタンエラストマー100重量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。また、羽根部材本体21は、可塑剤を含む熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなり、可塑剤は、熱硬化性ポリウレタンエラストマー100重量部に対して、5質量部以下であることがより好ましい。更に、羽根部材本体21は、好ましくは可塑剤を含まない熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなる。ここで、羽根部材本体21に可塑剤が多く含まれると、長期間の使用において、羽根部材本体21が紙葉類に繰り返し接触する中で可塑剤が滲出して、紙葉類表面に移行する。そのため、紙葉類と接する羽根部材本体21が塑性変形し、羽根部材20の反りが生じる。そこで、羽根部材本体21に含まれる可塑剤を少なくする、または、羽根部材本体21に可塑剤を含まないことで、羽根部材20の反りが相対的に低減され、復元力が向上する。つまり、本構成の紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20は、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性をさらに高めることができる。
【0052】
なお、熱硬化性ポリウレタンエラストマーが可塑剤を含まないとは、可塑剤が熱硬化性ポリウレタンエラストマーに実質的に含まれないことを意味する。ここで「実質的に含まれない」とは、不純物として含まれることは許容するが意図的には添加しないことを意味する。
【0053】
また、本実施形態の紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20において、芯線25は、隣り合う芯線25の間隔が0.25〜0.50mmの範囲となるように、回転軸11の軸方向に並んで複数配列されることが好ましい。尚、芯線25は、隣り合う芯線25の間隔が0.25〜0.30mmの範囲となるように、回転軸11の軸方向に並んで複数配列されることがより好ましい。隣り合う芯線25の間隔が0.25mm未満である場合は、羽根部材本体21の内部に埋設される芯線25の数が多くなる。そして、羽根部材20の剛性が大きくなり、羽根部材20の屈曲性が低減してしまう。また、隣り合う芯線25の間隔が0.50mm(特に0.30mm)を超える場合は、羽根部材本体21の内部に埋設される芯線25の数が少なくなる。そして、屈曲時の芯線25内部に発生する変形力を十分に低減することができない虞がある。そのため、隣り合う芯線25の間隔が0.25〜0.50mmの範囲(特に、0.25〜0.30mmの範囲)であれば、羽根部材20の屈曲性を適度に保つことができる。つまり、本構成の紙葉類搬送用羽根車1の羽根部材20は、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性および復元性をさらに高めることができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
なお、上記実施形態では、羽根部材20は、筒部材10の回転軸11の軸方向Gに直交する径方向に沿って直線状に筒部材10の外周面から突出するように設けられる。しかしながら、羽根部材20の構造はこれに限られない。例えば、上記径方向に沿って湾曲した形状の羽根部材であってよい。あるいは、羽根部材20は、上記径方向に所定の角度傾けて設けられてもよい。ここで、所定の角度は、例えば0°〜90°の範囲で任意に設定される。このように上記径方向に所定の角度傾けて設けられる羽根部材の場合、筒部材の切り欠き部に角度を設けてもよいし、羽根部材本体の本体部が屈曲点を有してもよい。羽根部材本体の本体部が屈曲点を有する場合、屈曲点の位置は、例えば基部との結合部付近であってもよい。
【0056】
本発明において、羽根部材20の数は、4つに限らない。羽根部材20の数は、1つ以上あればよい。また、羽根部材20は、筒部材10の回転軸の周方向Rに等間隔に配置されていなくてもよい。
【0057】
本発明において、筒部材10は、略円筒状に限らない。筒部材10は、略多角形状に形成されてもよい。筒部材10は、回転軸11を挿入する軸孔13を有さなくてよい。つまり、筒部材10は、回転軸11と基部12と一体で成形されてもよい。
【0058】
本発明において、切り欠き部14は、軸孔13に開口するように形成されていなくてもよい。また、切り欠き部14は、上面12aまたは底面12bのいずれかに開口するように形成されてもよい。また、切り欠き部14は、上面12a及び底面12bに開口するように形成されてもよい。
【0059】
本発明において、基部22の形状は、略半円状でなくてよい。基部22の形状は、羽根部材20が切り欠き部14から回転軸11の径方向において離脱しないような形状であればよい。基部22の形状は、例えば、凹凸状等の形状であってもよい。
【0060】
本発明において、芯線25は、その一部が羽根部材本体21の内部に埋設されていればよく、残りの部分が外部に露出していてもよい。芯線25は、その全部が羽根部材本体21の内部に埋設されていてもよい。
【実施例】
【0061】
次に、本発明の実施例について説明する。
本実施例では、11の参考例1〜11および、4の実施例12〜15の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20と、9の参考比較例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120とを作成した。また、参考例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例1〜8の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120では、羽根部材20の羽根部材本体21を形成する液状のポリウレタン原料組成物として、ポリエーテル系ウレタンプレポリマー100質量部に、可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)20質量部を配合し、60℃で攪拌混合した液状原料と、硬化剤として3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)10質量部を120℃で溶解した液状原料とを、攪拌混合したポリウレタン原料組成物を用いた。参考例10、11、実施例12の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20では、参考例1の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20で用いた可塑剤の配合量が20質量部であるポリウレタン原料組成物に対して、可塑剤の配合量が10、5、0質量部であるポリウレタン原料組成物を用いた。実施例13、14、15の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20では、それぞれ、参考例2、3、5の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20で用いた可塑剤の配合量が20質量部であるポリウレタン原料組成物に対して、可塑剤の配合量を含まない(0質量部)ポリウレタン原料組成物を用いた。参考例9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120では、水素化ニトリルゴム(H-NBR)100重量部に、硫黄0.5重量部、可塑剤としてジオクチフルタレート(DOP)20質量部、及び加硫促進剤を添加してゴム練りした未加硫ゴムシートを用いた。参考例、実施例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20と、参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120は、芯線25の材質及び繊度、隣り合う芯線同士の間隔を変量した点を除いて、上記実施形態の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20と同じ構成である。
【0062】
また、参考例、実施例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120は、二重円筒金型からなる円筒金型で製造した。参考例、実施例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例1〜8の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120の製造工程は、以下の通りである。(1)内側円筒金型の外周面に芯線25を、隣接する芯線25との間隔が所定の間隔となるように、螺旋状に巻き付けた。隣接する芯線25の間隔を、芯線の周期とした。(2)内側円筒金型を外側円筒金型に挿入配置した。(3)金型のキャビティにポリウレタン原料組成物を注型し、115℃で25分熱硬化させた。(4)金型から脱型後、70℃で12時間エージング処理して、円筒状の羽根部材前駆体を得た。(5)円筒状の羽根部材前駆体を、芯線25に沿った方向で、3mm幅でカットした。そして、それをさらに、芯線25に直交する方向で、20mmの長さにカットして、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材を得た。(6)ポリアセタール製の円筒部材10に得られた羽根部材20、120を取り付けて紙葉類搬送用羽根車1とした。
尚、参考比較例9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120の製造工程は、上記(1)〜(6)の工程の内の(2)〜(4)の工程を以下の工程に替えたものである。(2a)芯線の上に、未加硫ゴムシートを巻きつけた後、外側円筒金型を配置する加硫装置の円筒型ジャケット内部に配置した。(3a)加硫缶に投入して加硫装置にて加圧、加熱して加硫を行い、円筒状の羽根部材前駆体を成形した。(4a)金型から脱型後、円筒状の羽根部材前駆体を得た。
【0063】
参考例、実施例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120の芯線25の材質及び繊度を、以下の通り、変更させた。参考例、実施例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20の材質及び繊度を表1にまとめた。参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120の芯線25の材質及び繊度を表2にまとめた。
参考例1、4、5、8〜11、実施例12、15、参考比較例9:ポリエステル繊維(PET,60番手,150デニール)
参考例2、実施例13:ポリエステル繊維(PET,90番手,100デニール)
参考例3、実施例14:ポリエステル繊維(PET,40番手,300デニール)
参考例6:ポリエステル繊維(PET,100番手,90デニール)
参考例7:ポリエステル繊維(PET,30番手,450デニール)
参考比較例1:ナイロン繊維(66ナイロン,60番手,150デニール)
参考比較例2:ナイロン繊維(66ナイロン,50番手,210デニール)
参考比較例3:ナイロン繊維(66ナイロン,40番手,300デニール)
参考比較例4:アラミド繊維(66ナイロン,30番手,450デニール)
参考比較例5:アラミド繊維(パラ系アラミド,60番手,150デニール)
参考比較例6、8:アラミド繊維(パラ系アラミド,45番手,200デニール)
参考比較例7:アラミド繊維(パラ系アラミド,30番手,450デニール)
【0064】
参考例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120の芯線25の周期を、以下の通り、変更させた。参考例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20の芯線25の周期を表1にまとめた。参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120の芯線25の周期を表2にまとめた。尚、芯線25の周期とは、上述のとおり、隣り合う芯線25の間隔である。
参考例1〜3、6、参考比較例1〜3、5、6、9:0.3mm
参考例4:0.25mm
参考例5、7、参考比較例4、7:0.5mm
参考例8、参考比較例8:0.2mm
参考例9:0.7mm
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】

【0067】
表1、2に示すように、参考例1〜9は、本体の材質と芯線の材質の組み合わせが、「ポリウレタン+ポリエステル」の組み合わせである。参考比較例1〜4は、本体の材質と芯線の材質の組み合わせが、「ポリウレタン+ナイロン」の組み合わせである。参考比較例5〜8は、本体の材質と芯線の材質の組み合わせが、「ポリウレタン+アラミド」の組み合わせである。参考比較例9は、本体の材質と芯線の材質の組み合わせが、「水素化ニトリルゴム+ポリエステル」である。
【0068】
そして、参考例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120に対して、屈曲耐久性試験及び復元性試験を行った。
【0069】
屈曲耐久性試験は、参考例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120に対して行った。屈曲耐久性試験では、図4に示すような試験装置30を用いた。屈曲耐久性試験の試験装置30は、バー33を介して、モータ31とステンレス鋼板のスライドベース32が接続されている。屈曲耐久性試験の試験装置30は、モータ31の回転により、バー33に取り付けられたスライドベース32が図4(a)及び図4(b)の矢印方向の順番に往復運動するように構成されている。そして、固定部材35に参考例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120が取り付けられる。参考例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120は、スライドベース32に接触して、スライドベース32の往復運動により図4(a)及び図4(b)の矢印方向の順に屈曲するように取り付けられる。この試験装置30を使用して、参考例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120に対して、1往復を1屈曲として、300屈曲/分のスピードで往復運動を行った。そして、約7万回屈曲時、及び、約170万回屈曲後の参考例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20及び参考比較例の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120の破損、塑性変形の有無を判定した。
【0070】
参考例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20の屈曲耐久性試験の試験結果を表1に示す。参考比較例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120の屈曲耐久性試験の試験結果を表2に示す。尚、屈曲耐久性試験において、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の長さの減少の比率、および、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の塑性変形の状態が屈曲または屈折に基づいて、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の塑性変形の有無を判定した。屈曲耐久性試験では、屈曲耐久性試験前の円筒部材10の回転軸11の軸方向Gと直交する径方向における円筒部材10の中心から羽根部材20の先端までの長さL11と、屈曲耐久性試験後の円筒部材10の回転軸11の軸方向と直交する径方向における円筒部材10の中心から羽根部材20の先端までの見かけ長さL12を計測する。そして、L11とL12の長さの差の比率を羽根部材の長さの減少の比率として測定した。そして、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の長さの減少がない場合は、塑性変形は無と判定した。紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の長さの減少が2%未満であり、塑性変形の状態が屈曲である場合は、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の塑性変形の程度をAと判定した。紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の長さの減少が2%未満であり、塑性変形の状態が屈折である場合は、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の塑性変形の程度をBと判定した。紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の長さの減少が2%以上であり、塑性変形の状態が屈曲または屈折である場合は、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の塑性変形の程度をCと判定した。そして、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の屈曲耐久性に対する総合評価を次のように判定した。紙葉類搬送用羽根車の羽根部材が破損および塑性変形していない場合は、◎とした。紙葉類搬送用羽根車の羽根部材が破損していないが、僅かに塑性変形がある場合は、○とした。紙葉類搬送用羽根車の羽根部材が破損しているが、実用上使用に問題ない程度である場合は、△とした。紙葉類搬送用羽根車の羽根部材が破損しており、実用上使用できない破損である場合は、×とした。
【0071】
表1、2に示す通り、本体の材質と芯線の材質の組み合わせが、「ポリウレタン+ポリエステル」の組み合わせである参考例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は、総合評価が◎、○、△であった。また、本体の材質と芯線の材質の組み合わせが、「ポリウレタン+ポリエステル」以外の組み合わせである参考比較例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120は、総合評価が×であった。つまり、本体の材質と芯線の材質の組み合わせが、「ポリウレタン+ポリエステル」の組み合わせである参考例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は、その他の組み合わせである参考比較例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材120と比較して、屈曲耐久性に優れることが確認できた。
【0072】
また、参考例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20の中で、芯線の繊度を変量して優劣を比較した。芯線の繊度を変量した参考例1、2、3、6、7の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20を比べると、繊度が100〜300デニールの範囲にある参考例1、2、3の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20の総合評価が◎か○であり、参考例6、7の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20より屈曲耐久性に優れていることが確認できた。参考例6の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は、芯線が繊度90デニールで極細となるため、羽根部材20の剛性を保てず、破損しやすくなり、若干の先端割れが生じたものと考えられる。参考例7の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は、芯線が繊度450デニールで太いため、屈曲時の芯線内部の変形力が大きく芯線の座屈が生じたものと考えられる。尚、参考例7の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は、芯線が太く、芯線を0.3mm周期で配置できないため、芯線を0.5mm周期とした。つまり、羽根部材の芯線の繊度を小さくすると、さらに破損、塑性変形が抑制されることが確認できた。
【0073】
また、参考例1〜9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20の中で、芯線の周期を変量して優劣を比較した。芯線の周期を変量した参考例1、4、5、8、9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20を比べると、周期が0.25〜0.50mmの範囲にある参考例1、4、5の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20の総合評価が◎か○であり、参考例8、9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20より屈曲耐久性に優れていることが確認できた。参考例8の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は、芯線の周期が0.2mmと密になり、羽根部材の屈曲性が低減したため、芯線の座屈が生じたものと考えられる。参考例9の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は、芯線の周期が0.7mmと広がったため、羽根部材の剛性を保てず、破損しやすくなり、若干の先端割れが生じたものと考えられる。つまり、羽根部材の芯線の周期を小さくすると、さらに破損、塑性変形が抑制されることが確認できた。
【0074】
復元性試験では、可塑剤の添加量を変量して、復元性の違いを確認した。復元性試験は、参考例1、2、3、5、10、11、実施例12〜15それぞれの紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20に対して行った。復元性試験では、図5(a)に示すような試験装置40を用いた。復元性試験の試験装置40は、モータ(図示せず)を有するように構成されている。復元性試験の試験装置40は、モータに回転可能に取り付けられた円筒部材10に、参考例1及び参考例3の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20が4枚装着される。復元性試験では、参考例1、2、3、5、10、11、実施例12〜15それぞれの紙葉類搬送用羽根車1を1000rpmで回転させ、参考例1、2、3、5、10、11、実施例12〜15それぞれの紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20を普通紙41に連続して接触させた。図5(b)は、復元性試験前の羽根部材20の形状を示す模式図であり、図5(c)は、復元性試験後の羽根部材20の形状を示す模式図である。復元性試験では、復元性試験前の円筒部材10の回転軸11の軸方向Gと直交する径方向における円筒部材10の中心から羽根部材20の先端までの長さL1と、復元性試験後の円筒部材10の回転軸11の軸方向と直交する径方向における円筒部材10の中心から羽根部材20の先端までの見かけ長さL2を計測する。そして、L1とL2の長さの差の比率を羽根部材の先端の減少率(以下、「羽根部材先端減少率」と称する)として測定した。参考例1、2、3、5、10、11、実施例12〜15についてそれぞれ行った復元性試験での羽根部材先端減少率を表3に示す。尚、表3では、屈曲耐久性試験および復元性試験の試験結果を示している。
【0075】
【表3】
【0076】
また、参考例1および実施例12の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20についての復元性試験の試験結果を図6に示す。ここで、図6に示すパス数とは、羽根部材20が普通紙に接触する回数である。図6では、羽根部材4枚の平均値を羽根部材先端減少率としてプロットした。図6に示す通り、パス数が増すに従い、羽根部材先端減少率は大きくなっていく。これは、羽根部材20の先端の摩耗により、最初まっすぐであった羽根部材20が一方向に曲がってアーチ状に塑性変形(屈曲変形)し、その屈曲変形が徐々に大きくなっていくことからである。ここで、復元力の向上とは、屈曲変形した後に元のまっすぐな形状に戻ろうとする力が大きくなることである。つまり、復元性試験前と試験後の羽根部材20の長さの差が小さくなることである。よって、図6に示す復元性試験の試験結果から、実施例12の可塑剤を添加していない羽根部材20の方が、参考例1の可塑剤を添加した羽根部材20の先端減少率が小さくなっていることが分かる。以上から、実施例12の可塑剤を添加していない羽根部材20の方が参考例1の羽根部材20よりも復元力が向上したということが確認できた。
【0077】
表3に示すように、測定した各実施例の5000万回パス時の羽根部材先端減少率は、参考例1の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は2.3%であるのに対し、参考例10の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は1.9%、参考例11の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は1.7%、実施例12の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20は1.4%であった。これにより、可塑剤を減量するにつれ、先端減少率が低下し、屈曲耐久性を維持したまま、復元性が向上することがわかる。同様に、芯線の繊度や周期が異なる参考例2、3、5の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20に対して、それぞれ可塑剤を含まない実施例13、14、15の紙葉類搬送用羽根車の羽根部材20を比較すると、いずれも先端減少率が低下し、復元性が向上することがわかる。
【0078】
以上から、本発明の参考例及び参考比較例によれば、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の羽根部材本体は、水素化ニトリルゴム(H-NBR)より熱硬化性ポリウレタンエラストマーの方が、塑性変形しにくく、屈曲耐久性を高めることができることが分かった。また、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材の羽根部材本体が熱硬化性ポリウレタンエラストマーからなる場合、以下のことがわかった。羽根部材の芯線は、ナイロン繊維やアラミド繊維ではなく、ポリエステル繊維であれば、屈曲耐久性を高めることができることがわかった。また、羽根部材の芯線の周期は、0.2mmまたは0.7mmより、0.25mm、0.3mmまたは0.5mmの方が、塑性変形しにくく、屈曲耐久性を高めることができることが分かった。更に、羽根部材の芯線の周期は、0.5mmより0.25mmまたは0.3mmの方が、塑性変形しにくく、屈曲耐久性を高めることができることが分かった。また、羽根部材の芯線の繊度は、90デニールまたは450デニールより、100デニール、150デニール、300デニールの方が、塑性変形しにくく、屈曲耐久性を高めることができることが分かった。更に、羽根部材の芯線の繊度は、100デニールまたは300デニールより、150デニールの方が、塑性変形しにくく、屈曲耐久性を高めることができることが分かった。また、羽根部材本体は、熱硬化性ポリウレタンエラストマーに可塑剤を含んでいてもよいが、その上限値は、熱硬化性ポリウレタンエラストマー100重量部に対して、20質量部が好ましいことがわかった。更に、羽根部材本体は、熱硬化性ポリウレタンエラストマーに可塑剤を含まない方が、復元力が向上することがわかった。
【0079】
従って、表1,2の参考例と参考比較例との対比により、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、羽根部材本体が可塑剤を20重量部含む熱硬化性ポリウレタンエラストマーであり、羽根部材の芯線がポリエステル繊維であれば、塑性変形を抑制して、屈曲耐久性を高めることができることがわかった。さらに、参考例1〜5と参考例6〜9との対比に、より屈曲耐久性を高めるためには、芯線の繊度が100〜300デニールの範囲(より好ましくは120〜180デニールの範囲)であり、芯線の周期が0.25〜0.50mmの範囲(より好ましくは0.25〜0.30mmの範囲)であればよいことがわかった。
つぎに、表3の参考例1(可塑剤20重量部)、参考例10(可塑剤10重量部)、参考例11(可塑剤5重量部)、実施例12(可塑剤含まず)のように可塑剤を減量するにつれ、屈曲耐久性を維持したまま、先端減少率が低下し、復元性が向上することがわかる。
結局、紙葉類搬送用羽根車の羽根部材は、羽根部材本体が可塑剤を含まない熱硬化性ポリウレタンエラストマーであり、羽根部材の芯線がポリエステル繊維であり、芯線の繊度が100〜300デニールの範囲であり、芯線の周期が0.25〜0.50mmの範囲であれば、優れた屈曲耐久性を維持したまま、復元性を最大値まで高めることができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明を利用すれば、塑性変形を抑制して屈曲耐久性を高めた紙葉類搬送用羽根車の羽根部材を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 紙葉類搬送用羽根車
10 筒部材
11 回転軸
20 羽根部材
21 羽根部材本体
25 芯線
G 筒部材の回転軸の軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6