(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の開口部の開閉を行う開閉体であって、少なくとも1つ以上のガラス板からなるガラス体と、前記ガラス体の周囲を囲繞するように設けられた複数の框材とを備えた開閉体を構成する押縁であり、前記ガラス体の周縁部分の一部に直接的又は間接的に当接させることで前記ガラス体を支持する押縁の取付構造であって、
前記押縁の側部のうち、前記複数の框材の中で前記押縁が取り付けられる框材である対象框材における見込方向のいずれか一方側の側面全体を覆うように設けられる側部である第1側部を、一部材で形成し、
前記押縁の側部のうち、前記対象框材の内周側見込面と対向する側部である第2側部及び前記対象框材の外周側見込面と対向する第3側部の各々を、前記対象框材に対して固定具によって固定した、
押縁の取付構造。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る押縁の取付構造の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の開口部の開閉を行う開閉体であって、ガラス体と、ガラス体の周囲を囲繞するように設けられた複数の框材とを備えた開閉体を構成する押縁の取付構造に関するものである。
【0029】
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁、天井、床等)において出入口や窓を設置するために形成された開口部である。また、「開閉体」とは、建物の開口部を開閉するためのものである。この開閉体の開閉構造は任意であり、例えば、片開式の開き戸や両開式の開き戸(いわゆる親子扉)等の「開き戸の扉体」や「引き戸の扉体」として構成することができる。また、「押縁」とは、ガラス体の周縁部分の一部に直接的又は間接的に当接させることでガラス体を支持するためのものである。以下、実施の形態では、開閉体が、ビルの如き建物の通路に面する位置に配置された片開式の開き戸の扉体である場合について説明する。
【0030】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0031】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る押縁の取付構造について説明する。この実施の形態1は、後述する第2押縁側部及び後述する第4押縁側部の各々を、框材に対して固定具によって固定する形態である。
【0032】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る押縁の取付構造が適用される開閉装置の構成について説明する。以下の説明では、
図1のX方向を開閉装置の左右方向又は見付方向(−X方向を開閉装置の左方向、+X方向を開閉装置の右方向)、
図2のY方向を開閉装置の前後方向又は見込方向(+Y方向を開閉装置の前方向(部屋の室外側の方向)、−Y方向を開閉装置の後方向(部屋の室内側の方向))、
図1のZ方向を開閉装置の上下方向又は見付方向(+Z方向を開閉装置の上方向、−Z方向を開閉装置の下方向)と称する。開閉装置1は、概略的に、枠体10、開閉体20、押縁60、及びヒンジ部70を備えており、枠体10の内部において開閉体20を左右方向(水平方向)にスライド移動させることで、開閉体20によって部屋の壁2の開口部3を開閉することができる。ただし、開閉装置1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。なお、開閉装置1を構成する各種部材同士の取付方法(又は接続方法)については任意であるが、例えば、取付側の部材又は取付相手側の部材に形成された取付孔(例えば、リベット孔、ネジ孔、ビス孔等)を介して、取付側の部材を取付相手側の部材に対して固定具(例えば、リベット、取付ネジ、ビス等)、溶接、接着剤、両面テープ等によって取り付ける(又は接続する)方法が採用されている。
【0033】
(構成−枠体)
枠体10は、壁2に形成された開口部3の周縁に設置されるものであり、鋼製(一例として、スチール、ステンレス等)の左右一対の縦枠11、12及び上下一対の横枠13、14を備えている。これら縦枠11、12及び横枠13、14は、それぞれ開口部3の周縁における壁2に対して公知の方法で直接的に固定されており、相互に組み合わせられることによって、正面形状が略矩形環状となるように形成されている。以下では、必要に応じて、左右一対の縦枠11、12のうち、開口部3の戸尻側に位置する縦枠11を「戸尻側縦枠11」と称し、開口部3の戸先側に位置する縦枠12を「戸先側縦枠12」と称する。また、上下一対の横枠13、14のうち、開口部3の上方側に位置する横枠13を「上側横枠13」と称し、開口部3の下方側に位置する横枠14を「下側横枠14」と称する。
【0034】
また、この戸先側縦枠12には、デッドボルト受け及びラッチ受けが設けられている(いずれも図示省略)。デッドボルト受けは、開閉体20によって開口部3が閉鎖された状態(以下、「全閉状態」と称する)において、開閉体20に設けられた後述する施錠装置のデッドボルトを受けるためのデッドボルト受容手段であり、後述するデッドボルトと対応する位置に配置されている。ラッチ受けは、開閉体20に設けられた後述するラッチを受けるためのラッチ受容手段であり、ラッチと対応する位置に配置されている。
【0035】
(構成−開閉体)
開閉体20は、開口部3を開閉するための平板状体であり、
図1に示すように、ガラス体30及び框体40を備えている。
【0036】
(構成−開閉体−ガラス体)
ガラス体30は、開閉体20の意匠性や採光性を高めるためのものである。このガラス体30は、少なくとも1つ以上のガラス板(他えば、公知の扉用ガラス板等)からなり(
図1では、正面形状が縦長矩形状である1つのガラス体30からなり)、框体40及び押縁60に対して着脱自在に取り付けられている。
【0037】
(構成−開閉体−框体)
框体40は、開閉体20の剛性を主として担うものである。この框体40は、複数の鋼製(例えば、ステンレス製、スチール製等)の框材41、42、43、44をガラス体30の周囲を囲繞するように設けることで、正面形状が環状(
図1では、矩形環状)となるように形成されている。また、
図1に示すように、これら複数の框材41、42、43、44は、左右一対の縦框材41、42、及び上下一対の横框材43、44から構成されている。このうち、左右一対の縦框材41、42は、長手方向の長さが相互に略同一となるように形成されており、上下方向に略沿うように配置されている。また、上下一対の横框材43、44は、長手方向の長さが相互に略同一となるように形成されており、左右方向に略沿うように配置されている。以下では、必要に応じて、縦框材41、42のうち、戸尻側の縦框材41を「戸尻側框材41」と称し、戸先側の縦框材42を「戸先側框材42」と称する。また、横框材43、44のうち、上側の横框材43を「上側框材43」と称し、下側の横框材44を「下側框材44」と称する。なお、戸尻側框材41、戸先側框材42、上側框材43、及び下側框材44の構成の詳細については、後述する。
【0038】
また、
図1に示すように、戸先側框材42には、ユーザが扉体の開閉操作を行うための把手21と、開閉体20を施錠するための施錠装置であってデッドボルトを備える施錠装置(図示省略)と、施錠装置による施錠の有無に関わらず、全閉状態の位置に開閉体20を維持するためのラッチ(図示省略)とが設けられている。
【0039】
(構成−押縁)
押縁60は、ガラス体30の周縁部分の一部に直接的又は間接的に当接させることでガラス体30を支持するための部材である。この押縁60は、例えば長尺な鋼製の板状体であり、上側框材43(対象框材)に対して着脱自在に取り付けられている。なお、この押縁60の構成の詳細については、後述する。
【0040】
(構成−ヒンジ部)
ヒンジ部70は、開閉体20を上側横枠13及び下側横枠14に対して回動自在に軸支するためのものである。このヒンジ部70は、例えばピボットヒンジ等の公知のヒンジ部材等を用いて構成されており、
図1に示すように、開閉体20の戸尻側における上方及び下方の各々に配置されており、上側横枠13又は下側横枠14及び開閉体20に対して固定具等によって取り付けられている。
【0041】
(構成−戸尻側框材、戸先側框材の構成の詳細)
次に、戸尻側框材41及び戸先側框材42の構成の詳細について説明する。ただし、これら戸尻側框材41及び戸先側框材42は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。また、これら戸尻側框材41及び戸先側框材42の各々の構成はそれぞれ略同一であるので、以下では、戸尻側框材41の構成のみについて説明することとする。この戸尻側框材41は、当該戸尻側框材41の形状を維持できるように、当該戸尻側框材41の断面形状(
図2では、X−Y平面に沿った断面形状)が閉鎖断面で形成されており、
図2に示すように、縦力骨51、52、室外側表面材53、室内側表面材54、シーリング材55a、及びバックアップ材55bを備えている。
【0042】
(構成−戸尻側框材、戸先側框材の構成の詳細−縦力骨)
縦力骨51、52は、戸尻側框材41の剛性を主として担う部材である。これら縦力骨51、52は、
図2に示すように、X−Y平面に沿った断面形状が略コ字状又は略逆コ字状である長尺な鋼製の板状体であり、相互に間隔を隔てて左右方向に略沿って並設されている。以下では、これら縦力骨51、52のうち、左右方向の内側の縦力骨51を「第1縦力骨51」と称し、左右方向の外側の縦力骨52を「第2縦力骨52」と称する。
【0043】
(構成−戸尻側框材、戸先側框材の構成の詳細−室外側表面材)
室外側表面材53は、戸尻側框材41の2つの主側面(戸尻側框材41の側面のうち、面積が最も大きな側面)のいずれか一方を構成する部材であって、少なくとも第1縦力骨51及び第2縦力骨52の各々における見込方向(前後方向)の一方側の側面(
図2では、部屋の室外側の側面)の全体を覆う部材である。この室外側表面材53は、
図2に示すように、第1室外側表面片53a、第2室外側表面片53b、第3室外側表面片53c、及び第4室外側表面片53dを備えている。
【0044】
このうち、第1室外側表面片53aは、戸尻側框材41の主側面を覆うための側片である。この第1室外側表面片53aは、
図2に示すように、当該第1室外側表面片53aの左右方向の長さが第1縦力骨51から第2縦力骨52に至る長さよりも長くなるように形成されており、第1縦力骨51及び第2縦力骨52の各々における見込方向の一方側の側面の全体を覆うと共に、第1縦力骨51よりも左右方向の内側(
図2では、左方側)に突出するように設けられている。また、第2室外側表面片53bは、第1縦力骨51の見込面を覆うための側片である。この第2室外側表面片53bは、
図2に示すように、当該第2室外側表面片53bの前後方向の長さが第1縦力骨51の前後方向の長さよりも短くなるように形成されており、第1室外側表面片53aの左右方向の内側の端部(
図2では、左端部)から前後方向の内側(
図2では、後方側)に向けて突出するように設けられることで、第2室外側表面片53bによって第1縦力骨51の見込面の一部のみが覆われている。また、第3室外側表面片53cは、第1縦力骨51の見込面を覆うための側片であり、且つガラス体30と直接的又は間接的に当接する側片である。この第3室外側表面片53cは、
図2に示すように、第3室外側表面片53cの左右方向の長さが第1室外側表面片53aの突出部分の長さと略同一となるように形成されており、第2室外側表面片53bの前後方向の内側の端部(
図2では、後端部)から左右方向の外側(
図2では、右方側)に向けて突出するように設けられている。また、第4室外側表面片53dは、第2縦力骨52の見込面を覆うための側片である。この第4室外側表面片53dは、
図2に示すように、当該第4室外側表面片53dの前後方向の長さが第2縦力骨52の前後方向の長さよりも短くなるように形成されており、第1室外側表面片53aの左右方向の外側の端部(
図2では、右端部)から前後方向の内側(
図2では、後方側)に向けて突出するように設けられることで、第4室外側表面片53dによって第2縦力骨52の見込面の一部のみが覆われている。
【0045】
また、室外側表面材53の固定方法については任意であるが、例えば、室外側表面材53のうち第1縦力骨51又は第2縦力骨52と当接する部分(例えば、第1室外側表面片53a、第3室外側表面片53c、及び第4室外側表面片53d)を第1縦力骨51又は第2縦力骨52に対して溶接等によって固定している(なお、室内側表面材54の固定方法についても同様とする)。
【0046】
また、室外側表面材53の形成方法については任意であるが、実施の形態1では、スチール材又はステンレス材を曲げ成形することで、第1室外側表面片53a、第2室外側表面片53b、第3室外側表面片53c、及び第4室外側表面片53dを一体形成している(なお、室内側表面材54の形成方法についても同様とする)。これにより、第1室外側表面片53a、第2室外側表面片53b、第3室外側表面片53c、及び第4室外側表面片53dを別体形成する場合に比べて、隣接する側片同士の境界線が外部に露出することを回避でき、開閉体20の意匠性を向上させることができる。
【0047】
(構成−戸尻側框材、戸先側框材の構成の詳細−室内側表面材)
室内側表面材54は、戸尻側框材41の2つの主側面のいずれか他方を構成する部材であって、少なくとも第1縦力骨51及び第2縦力骨52の各々における見込方向の他方側の側面(
図2では、部屋の室内側の側面)の全体を覆う部材であり、
図2に示すように、第1室内側表面片54a、第2室内側表面片54b、第3室内側表面片54c、及び第4室内側表面片54dを備えている。なお、この室内側表面材54は、室外側表面材53と略同一に構成されているので、その詳細な説明を省略する。また、これら室外側表面材53及び室内側表面材54の構成により、第3室外側表面片53c及び第3室内側表面片54cによって直接的又は間接的に当接することができ、ガラス体30が脱落することを回避できる(なお、戸先側框材42の構成、及び下側框材44の構成についても略同様とする)。
【0048】
(構成−戸尻側框材、戸先側框材の構成の詳細−シーリング材、バックアップ材)
シーリング材55aは、ガラス体30と戸尻側框材41との隙間を埋めるための部材である。このシーリング材55aは、例えば公知のシーリング材を用いて構成されており、
図2に示すように、ガラス体30と戸尻側框材41(具体的には、室外側表面材53の第3室外側表面片53c、及び室内側表面材54の第3室内側表面片54c)との相互間において戸尻側框材41の上下方向の略全長にわたって設けられている(なお、後述する下側框材44のシーリング材55aの構成、上側框材43のシーリング材55aの構成についても略同様とする)。また、バックアップ材55bは、ガラス体30と戸尻側框材41との隙間を保持し、且つシーリング材55aの受け台となる部材である。このバックアップ材55bは、例えば公知のバックアップ材を用いて構成されており、
図2に示すように、ガラス体30と戸尻側框材41(具体的には、室外側表面材53の第3室外側表面片53c、及び室内側表面材54の第3室内側表面片54c)との相互間であってシーリング材55aよりも右方の位置において、戸尻側框材41の上下方向の略全長にわたって設けられている(なお、後述する下側框材44のバックアップ材55bの構成、上側框材43のバックアップ材55bの構成についても略同様とする)。
【0049】
(構成−下側框材の構成の詳細)
次に、下側框材44の構成の詳細について説明する。ただし、この下側框材44は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。この下側框材44は、当該下側框材44の形状を維持できるように、当該下側框材44の断面形状(
図3では、Y−Z平面に沿った断面形状)が閉鎖断面で形成されており、
図3に示すように、横力骨56、57、室外側表面材53、室内側表面材54、シーリング材55a、バックアップ材55b、及び支持部材58を備えている。
【0050】
(構成−下側框材の構成の詳細−横力骨)
横力骨56、57は、下側框材44の剛性を主として担う部材である。これら横力骨56、57は、
図3に示すように、Y−Z平面に沿った断面形状が略コ字状又は略逆コ字状である長尺な鋼製の板状体であり、相互に間隔を隔てて上下方向に略沿って並設されている。以下では、これら横力骨56、57のうち、上下方向の内側の横力骨56を「第1横力骨56」と称し、上下方向の外側の横力骨57を「第2横力骨57」と称する。
【0051】
(構成−下側框材の構成の詳細−室外側表面材、室内側表面材)
室外側表面材53は、下側框材44の2つの主側面のいずれか一方を構成するものであって、少なくとも第1横力骨56及び第2横力骨57における見込方向の一方側の側面(
図3では、部屋の室外側の側面)の全体を覆うものであり、
図3に示すように、第1室外側表面片53a、第2室外側表面片53b、第3室外側表面片53c、及び第4室外側表面片53dを備えている。また、室内側表面材54は、下側框材44の2つの主側面のいずれか他方を構成するものであって、少なくとも第1横力骨56及び第2横力骨57における見込方向の他方側の側面(
図3では、部屋の室内側の側面)の全体を覆うものであり、
図3に示すように、第1室内側表面片54a、第2室内側表面片54b、第3室内側表面片54c、及び第4室内側表面片54dを備えている。なお、室外側表面材53は戸尻側框材41の室外側表面材53と略同一に構成されていると共に、室内側表面材54は戸尻側框材41の室内側表面材54と略同一に構成されているので、これらの詳細な説明を省略する。
【0052】
(構成−下側框材の構成の詳細−シーリング材、バックアップ材)
シーリング材55aは、ガラス体30と下側框材44との隙間を埋めるための部材であり、
図3に示すように、ガラス体30と下側框材44(具体的には、室外側表面材53の第3室外側表面片53c、及び室内側表面材54の第3室内側表面片54c)との相互間において下側框材44の左右方向の略全長にわたって設けられている。また、バックアップ材55bは、ガラス体30と下側框材44との隙間を保持し、且つシーリング材55aの受け台となる部材である。
図3に示すように、ガラス体30と下側框材44(具体的には、室外側表面材53の第3室外側表面片53c、及び室内側表面材54の第3室内側表面片54c)との相互間であってシーリング材55aよりも下方の位置において、下側框材44の左右方向の略全長にわたって設けられている。
【0053】
(構成−下側框材の構成の詳細−支持部材)
支持部材58は、ガラス体30を支持するための部材である。この支持部材58は、例えば公知の支持部材(一例として、セッティングブロック)を用いて構成されており、
図3に示すように、ガラス体30(具体的には、ガラス体30の下端部)と第1横力骨56との相互間に設けられ、且つ第1横力骨56に載置されている。
【0054】
(構成−上側框材の構成の詳細)
次に、上側框材43の構成の詳細について説明する。ただし、この上側框材43は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。この上側框材43は、当該上側框材43の形状を維持できるように、断面形状(
図3では、Y−Z平面に沿った断面形状)が閉鎖断面で形成されており、
図3に示すように、第1横力骨56、第2横力骨57、室外側表面材53、室内側表面材54、シーリング材55a、及びバックアップ材55bを備えている。なお、これら第1横力骨56、第2横力骨57、及び室内側表面材54は、下側框材44の第1横力骨56、第2横力骨57、及び室内側表面材54と略同一に構成されているので、以下では、これらの説明を省略する。
【0055】
(構成−上側框材の構成の詳細−室外側表面材)
室外側表面材53は、上側框材43の2つの主側面のいずれか一方を構成するものであって、少なくとも第1横力骨56及び第2横力骨57における見込方向の一方側の側面(
図3では、部屋の室外側の側面)の全体を覆うものであり、
図3に示すように、第1室外側表面片53a及び第2室外側表面片53bを備えている。
【0056】
このうち、第1室外側表面片53aは、上側框材43の主側面を覆うための側片である。この第1室外側表面片53aは、
図3に示すように、当該第1室外側表面片53aの上下方向の長さが第1横力骨56から第2横力骨57に至る長さと略同一になるように形成されており、第1横力骨56及び第2横力骨57の各々における見込方向の一方側の側面(
図3では、部屋の室外側の側面)の全体を覆うように設けられている。また、第2室外側表面片53bは、第1横力骨56の見込面を覆うための側片である。この第2室外側表面片53bは、
図3に示すように、当該第2室外側表面片53bの前後方向の長さが第1横力骨56の前後方向の長さよりも短くなるように形成されており、第1室外側表面片53aにおける上下方向の内側の端部(
図3では、下端部)から前後方向の内側(
図3では、後方側)に向けて突出するように設けられている。
【0057】
また、室外側表面材53の固定方法については任意であるが、例えば、第1室外側表面片53a及び第2室外側表面片53bを第1横力骨56又は第2横力骨57に対して溶接等によって固定している。また、室外側表面材53の形成方法については任意であるが、実施の形態1では、スチール材又はステンレス材を曲げ成形することで、第1室外側表面片53a及び第2室外側表面片53bを一体形成している。
【0058】
(構成−上側框材の構成の詳細−シーリング材、バックアップ材)
シーリング材55aは、ガラス体30と上側框材43及び押縁60の各々との隙間を埋めるための部材であり、
図3に示すように、ガラス体30と上側框材43(具体的には、室内側表面材54の第3室内側表面片54c)との相互間、及びガラス体30と押縁60(具体的には、後述する第3押縁側部63)との相互間において上側框材43の左右方向の略全長にわたって設けられている。また、バックアップ材55bは、ガラス体30と上側框材43及び押縁60の各々との隙間を保持し、且つシーリング材55aの受け台となる部材である。
図3に示すように、ガラス体30と上側框材43(具体的には、室外側表面材53の第3室外側表面片53c、及び室内側表面材54の第3室内側表面片54c)との相互間、及びガラス体30と押縁60(具体的には、後述する第3押縁側部63)との相互間であってシーリング材55aよりも上方の位置において、上側框材43の左右方向の略全長にわたって設けられている。
【0059】
(構成−押縁の構成の詳細)
次に、押縁60の構成の詳細について説明する。ただし、この押縁60は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。この押縁60は、断面形状(具体的には、Y−Z平面に沿った断面形状)が略コ字状である板状体であり、具体的には、
図3に示すように、第1押縁側部61、第2押縁側部62、第3押縁側部63、及び第4押縁側部64を備えている。
【0060】
このうち、第1押縁側部61は、上側框材43における見込方向のいずれか一方側の側面(
図3では、部屋の室外側の側面)を覆うための平坦な側部(第1側部)である。この第1押縁側部61は、
図3に示すように、当該第1押縁側部61の上下方向の長さが第1室外側表面片53aの上下方向の長さよりも長くなるように形成されており、第1室外側表面片53a全体を覆うと共に、第1室外側表面片53aよりも上下方向の内側(
図3では、下方側)に向けて突出するように設けられている。また、第2押縁側部62は、上側框材43の内周側見込面(
図3では、下面)を覆うための平坦な側部(第2側部)である。この第2押縁側部62は、
図3に示すように、当該第2押縁側部62の前後方向の長さが第2室外側表面片53bの前後方向の長さよりも短くなるように形成されており、第1押縁側部61の上下方向の内側の端部(
図3では、下端部)から前後方向の内側(
図3では、後方側)に向けて突出するように設けられることで、第2押縁側部62によって上側框材43の内周側見込面の一部のみが覆われている。また、第3押縁側部63は、上側框材43の内周側見込面を覆うための側部であり、且つガラス体30と直接的又は間接的に当接する平坦な側部である。この第3押縁側部63は、
図3に示すように、当該第3押縁側部63の上下方向の長さが第1押縁側部61の突出部分の長さと略同一になるように形成されており、第2押縁側部62の前後方向の内側の端部(
図3では、後端部)から上下方向の外側(
図3では、上方側)に向けて突出するように設けられている。また、第4押縁側部64は、上側框材43の外周側見込面(
図3では、上面)を覆うための平坦な側部(第3側部)である。この第4押縁側部64は、
図3に示すように、当該第4押縁側部64の前後方向の長さが第2横力骨57の前後方向の長さよりも短くなるように形成されており、第1押縁側部61の上下方向の外側の端部(
図3では、上端部)から前後方向の内側(
図3では、後方側)に向けて突出するように設けられることで、第4押縁側部64によって上側框材43の外周側見込面の一部のみが覆われている。
【0061】
(構成−押縁の取付構造)
次に、押縁60の取付構造について説明する。押縁60を上側框材43(対象框材)に対して取り付けるための取付構造の特徴については、実施の形態1では、以下に示す通りとなる。
【0062】
(構成−押縁の取付構造−第1の特徴)
まず、取付構造の第1の特徴については、
図3に示すように、押縁60の側部のうち、上側框材43における見込方向のいずれか一方側の側面全体を覆うように設けられる側部である第1押縁側部61は、一部材で形成されている。この第1押縁側部61の形成方法については任意であるが、例えば、1つのスチール材又はステンレス材を曲げ成形することで、第1押縁側部61、第2押縁側部62、第3押縁側部63、及び第4押縁側部64を一体形成することにより、第1押縁側部61を一部材で形成してもよい。このような第1の特徴により、一部材の第1押縁側部61によって上側框材43における見込方向のいずれか一方側の側面全体を覆うことができる。よって、従来技術(框材の内周側見込面に押縁60を取り付ける技術)に比べて、押縁60と上側框材43との境界線が外部に露出することを回避でき、開閉体20の意匠性を向上させることが可能となる。
【0063】
(構成−押縁の取付構造−第2の特徴)
次に、取付構造の第2の特徴については、
図3に示すように、押縁60の側部のうち、上側框材43の内周側見込面と対向する側部である第2押縁側部62及び上側框材43の外周側見込面と対向する第4押縁側部64の各々は、上側框材43に対して固定具80(例えば、ビス、ネジ等)によって固定されている。具体的には、第2押縁側部62は、第2押縁側部62、第2室外側表面片53b、及び第1横力骨56の各々に形成された取付孔(図示省略)を介して、第1横力骨56に対して固定具80によって固定されている。また、第4押縁側部64は、第4押縁側部64及び第2横力骨57の各々に形成された取付孔(図示省略)を介して、第2横力骨57に対して固定具80によって固定されている。このような第2の特徴により、押縁60を上側框材43に対して比較的強固に固定でき、ガラス体30が脱落したり、又は押縁60が上側框材43から外れることを回避することが可能となる。
【0064】
(開閉装置の設置方法)
続いて、このように構成された開閉装置1の設置方法について説明する。
【0065】
まず、開閉装置1が設置される現場で、工場(又は当該現場)で組み立てた枠体10を壁2に対して取り付ける。
【0066】
次に、上記現場で開閉体20を組み立てる。具体的には、まず、工場(又は上記現場)で組み立てた開閉体20の框体40に対してガラス体30を取り付ける。次に、押縁60を上側框材43に対して取り付ける。この押縁60の取付方法については任意であるが、実施の形態1では、まず、
図4(b)に示すように、
図4(a)の押縁60の第1押縁側部61が第1室外側表面片53aと当接するまで、押縁60を前後方向に向けてスライド移動させた後に、押縁60の第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を上側框材43に対して固定具80によって固定する(固定工程)。そして、
図4(c)に示すように、戸尻側框材41、戸先側框材42、上側框材43、及び下側框材44の各々にシーリング材55a及びバックアップ材55bを設ける(シーリング材等設置工程)。
【0067】
続いて、上記組み立てた開閉体20をヒンジ部70を介して枠体10に対して取り付ける。これにて、開閉装置1の設置方法が終了する。なお、開閉装置1が設置された後にガラス体30を取り外す方法については任意であるが、例えば、開閉体20を枠体10に対して取り付けた状態で、押縁60を上側框材43から取り外し、その後当該取り外しによって生じた空間を利用してガラス体30を框体40から引き抜くことにより、取り外してもよい。これにより、開閉体20を枠体10から取り外した状態でガラス体30を取り外す場合に比べて、ガラス体30を取り外す作業の手間を軽減でき、当該取り外す作業の効率化を図ることが可能となる。
【0068】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態1によれば、押縁60の側部のうち、複数の框材の中で押縁60が取り付けられる框材である上側框材43における見込方向のいずれか一方側の側面全体を覆うように設けられる側部である第1押縁側部61を、一部材で形成したので、一部材の第1押縁側部61によって上側框材43における見込方向のいずれか一方側の側面全体を覆うことができる。よって、従来技術(框材の内周側見込面に押縁60を取り付ける技術)に比べて、押縁60と上側框材43との境界線が外部に露出することを回避でき、開閉体20の意匠性を向上させることが可能となる。
【0069】
また、上側框材43の断面形状を閉鎖断面としたので、上側框材43の断面形状を開放断面とした場合に比べて、上側框材43の形状を維持しやすくなり、上側框材43の意匠性を維持できる。
【0070】
また、第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を、上側框材43に対して固定具80によって固定したので、押縁60を上側框材43に対して比較的強固に固定でき、ガラス体30が脱落したり、又は押縁60が上側框材43から外れることを回避することが可能となる。
【0071】
〔実施の形態2〕
まず、実施の形態2に係る押縁の取付構造について説明する。この実施の形態2は、第2押縁側部を框材に対して固定具によって固定し、第4押縁側部を框材に設けられた後述する係止部を、後述する被係止部に係止した形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0072】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る開閉装置1の構成について説明する。実施の形態2に係る開閉装置1は、実施の形態1に係る開閉装置1とほぼ同様に構成されている。ただし、上側框材43の構成、押縁60の構成、及び押縁60の取付構造の構成については、下記に示す工夫が施されている。
【0073】
(構成−上側框材)
次に、上側框材43の構成について説明する。実施の形態2に係る上側框材43は、実施の形態1に係る上側框材43とほぼ同様に構成されている。ただし、室外側表面材53の構成、及び室内側表面材54の構成については、下記に示す工夫が施されている。
【0074】
すなわち、室外側表面材53は、
図5(d)に示すように、第1室外側表面片53aのみを備えている。また、室内側表面材54は、第1室内側表面片54a、第2室内側表面片54b、第3室内側表面片54c、及び第4室内側表面片54dを備えている。このうち、第1室内側表面片54aは、
図5(d)に示すように、当該第1室内側表面片54aの上下方向の長さが第1横力骨56から第2横力骨57に至る長さよりも長くなるように形成されている。また、この第1室内側表面片54aは、第1横力骨56及び第2横力骨57の各々における見込方向の他方側の側面(
図5(d)では、部屋の室内側の側面)の全体を覆うと共に、第1横力骨56よりも上下方向の内側(
図5(d)では、下方側)に突出し、且つ第2横力骨57よりも上下方向の外側(
図5(d)では、上方側)に突出するように設けられている。また、第4室内側表面片54dは、
図5(d)に示すように、第1室内側表面片54aの上下方向の外側の端部(
図5(d)では、上端部)から前後方向の内側(
図5(d)では、前方側)に向けて突出し、且つ第2横力骨57と接触しないように設けられている。
【0075】
(構成−押縁)
次に、押縁60の構成について説明する。実施の形態2に係る押縁60は、第1押縁側部61、第2押縁側部62、第3押縁側部63、及び第4押縁側部64を備えている。このうち、第1押縁側部61は、
図5(d)に示すように、当該第1押縁側部61の上下方向の長さが室外側表面材53の上下方向の長さよりも長くなるように形成されており、室外側表面材53及び後述する第2被係止部83の全体を覆うと共に、第1横力骨56よりも上下方向の内側(
図5(d)では、下方側)に突出し、且つ第2横力骨57よりも上下方向の外側(
図5(d)では、上方側)に突出するように設けられている。
【0076】
(構成−押縁の取付構造)
次に、押縁60の取付構造の構成について説明する。実施の形態2に係る押縁60の取付構造の特徴については、以下に示す通りとなる。
【0077】
すなわち、取付構造の特徴については、まず、
図5(d)に示すように、押縁60の側部のうち上側框材43(対象框材)の内周側見込面と対向する側部である第2押縁側部62は、上側框材43に対して固定具80によって固定されている。具体的には、第2押縁側部62は、第2押縁側部62及び第1横力骨56の各々に形成された取付孔(図示省略)を介して、第1横力骨56に対して固定具80によって固定されている。
【0078】
また、押縁60の側部のうち上側框材43の外周側見込面と対向する第4押縁側部64に設けられた係止部81は、上側框材43に設けられた第1被係止部82及び第2被係止部83に係止されている。このうち、係止部81は、第1被係止部82及び第2被係止部83に対して係脱自在に係止するものである。この係止部81は、第4押縁側部64全体が係止手段として機能するように形成されており、具体的には、
図5(d)に示すように、Y−Z平面に沿った断面形状が略V字状であり、押縁60の左右方向の全長(又はそれよりも短い長さ)にわたって形成されている。また、第1被係止部82は、係止部81によって係止されるものであり、
図5(d)に示すように、第4室内側表面片54dの先端部(
図5(d)では、前端部)及びその近傍部分に設けられている。この第1被係止部82は、係止部81と第1被係止部82との係止によって、押縁60の回転移動(具体的には、
図5(b)に示す係止部81と第1被係止部82とを係止した部分84(以下、「係止部分84」と称する)を支点とする回転移動)が抑制可能となるように形成されている。具体的には、
図5(d)に示すように、係止部81の先端部(
図5(d)では、後端部)と当接するように前方に向けて斜め下方に張り出されており、第4室内側表面片54dの左右方向の全長(又はそれよりも短い長さ)にわたって形成されている。また、第2被係止部83は、係止部81によって係止されるものであり、
図5(d)に示すように、室外側表面材53(具体的には、第1室外側表面片53a)の上下方向の外側の端部(
図5(d)では、上端部)に設けられている。この第2被係止部83は、係止部81と第2被係止部83との係止によって、押縁60が前後方向の外側に向けて移動することが抑制可能となるように形成されている。具体的には、
図5(d)に示すように、押縁60が前後方向の外側に向けて移動した際に係止部81の基端部(
図5(d)では、前端部)と当接可能となるように上方に向けて張り出されており、室外側表面材53の左右方向の全長(又はそれよりも短い長さ)にわたって形成されている。これら係止部81、第1被係止部82、及び第2被係止部83の構成により、例えば、係止部81が
図5(d)の部屋の室外側に移動しようとすると、第1被係止部82との当接によって当該移動を制限できる。また、係止部81が
図5(d)の右斜め下方に移動しようとすると、第2被係止部83との当接によって当該移動を制限できる(なお、これに加えて、第1押縁側部61と第1室外側表面片53aとの当接によっても、当該移動が一層制限できる。)
【0079】
また、これら係止部81、第1被係止部82、及び第2被係止部83の形成方法については任意であるが、実施の形態2では、係止部81については、第4押縁側部64を曲げ成形することにより、係止部81を第4押縁側部64と一体に形成している。また、第1被係止部82については、第4室内側表面片54dを曲げ成形することにより、第1被係止部82を第4室内側表面片54dと一体に形成している。また、第2被係止部83については、第2被係止部83を室外側表面材53と一体に形成している。このような形成方法により、係止部81、第1被係止部82、及び第2被係止部83を取り付ける手間を省略でき、開閉体20の設置作業の効率化を図ることが可能となる。
【0080】
このような特徴により、第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を固定具80によって固定する場合に比べて、固定具80による固定作業を軽減でき、押縁60の取付性を向上できる。また、第4押縁側部64を上側框材43に対して固定具80によって固定し、第2押縁側部62に係止部81を設ける場合に比べて、例えば、係止部81と第2被係止部83との係止部分84を支点に押縁60を回転させて取り付ける場合に、ガラス体30によって押縁60の取付が阻害されることを回避しやすくなる。また、係止部81と第1被係止部82との係止によって押縁60の回転移動を抑制でき、ガラス体30が脱落したり、又は押縁60が上側框材43から外れることを回避できる。
【0081】
(開閉装置の設置方法)
続いて、このように構成された開閉装置1の設置方法について説明する。
【0082】
実施の形態2に係る開閉装置1の設置方法は、実施の形態1に係る開閉装置1の設置方法とほぼ同様に実行される。ただし、押縁60の取付方法については、下記に示す工夫が施されている。すなわち、実施の形態2では、まず、
図5(b)に示すように、
図5(a)の押縁60の係止部81を第2被係止部83のみに係止する(係止工程)。次に、
図5(b)、(c)に示すように、係止工程の後に、係止部81と第2被係止部83とを係止した状態で、係止部81と第2被係止部83との係止部分84を支点に押縁60を回転移動させた後(具体的には、第1押縁側部61が室外側表面材53と当接するまで押縁60を時計回りに回転移動させた後)、係止部81を第1被係止部82に係止させると共に、第2押縁側部62を上側框材43に対して固定具80によって固定する(固定工程)。そして、
図5(d)に示すように、戸尻側框材41、戸先側框材42、上側框材43、及び下側框材44の各々にシーリング材55a及びバックアップ材55bを設ける(シーリング材等設置工程)。このような取付方法により、第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を固定具80によって固定する場合に比べて、固定具80による固定作業を軽減でき、押縁60の取付性を向上できる。
【0083】
(構成−その他の構成)
また、この他にも、押縁60の取付構造は、できる限りにおいて任意の構造にて構成可能である。
【0084】
例えば、実施の形態2においては、上側框材43に第1被係止部82及び第2被係止部83が設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、
図6(d)に示すように、第2被係止部83の機能を有する被係止部85が設けられてもよい。この場合において、係止部81の具体的な構成については任意であるが、例えば、
図6(d)に示すように、係止部81の前後方向の長さが実施の形態2に係る第4押縁側部64の前後方向の長さよりも短くなるように形成され、後方に向けて斜め下方に張り出されるように設けられてもよい。また、被係止部85の具体的な構成については任意であるが、例えば、
図6(d)に示すように、室外側表面材53の上下方向の外側の端部(
図6(d)では、上端部)において、上方に向けて張り出すように設けられてもよい。また、係止部81を被係止部85に容易に係止できるように、例えば、
図6(d)に示すように、第4室内側表面片54dの先端部(
図6(d)では、前端部)に設けられたガイド部86であって、係止部81の取り付けをガイドするガイド部86を設けてもよい。また、この押縁60の取付方法については任意であるが、例えば、まず、係止工程において、
図6(b)に示すように、
図6(a)の押縁60の係止部81を被係止部85に係止する。次いで、固定工程において、
図6(b)、(c)に示すように、係止部81と被係止部85とを係止した状態で係止部81と被係止部85との係止部分84を支点に押縁60を回転移動させた後、第2押縁側部62を上側框材43に対して固定具80によって固定する。そして、シーリング材等設置工程において、
図6(d)に示すように、戸尻側框材41、戸先側框材42、上側框材43、及び下側框材44の各々にシーリング材55a及びバックアップ材55bを設ける。
【0085】
このような構成により、例えば、係止部81が
図6(d)の部屋の室外側に移動しようとしたり、又は
図6(d)の下方に移動しようとすると、被係止部85との当接によってこれら移動を制限できる。また、実施の形態2に係る押縁60の取付構造に比べて、押縁60を比較的容易に取り付けることができ、押縁60の取付性を向上できる。
【0086】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態2によれば、第2押縁側部62を上側框材43に対して固定具80によって固定し、第4押縁側部64に設けられた係止部81を上側框材43に設けられた第1被係止部82及び第2被係止部83に係止したので、例えば係止部81を第2被係止部83に係止した状態で押縁60を回転させた後に上側框材43に対して固定具80によって固定することができることから、第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を固定具80によって固定する場合に比べて、固定具80による固定作業を軽減でき、押縁60の取付性を向上できる。
【0087】
また、押縁60の回転移動が抑制可能となるように、係止部81を第1被係止部82及び第2被係止部83に係止したので、係止部81と第1被係止部82及び第2被係止部83との係止によって押縁60の回転移動を抑制でき、ガラス体30が脱落したり、又は押縁60が上側框材43から外れることを回避できる。
【0088】
また、第2押縁側部62を上側框材43に対して固定具80によって固定し、第4押縁側部64に係止部81を設けたので、第4押縁側部64を上側框材43に対して固定具80によって固定し、第2押縁側部62に係止部81を設ける場合に比べて、例えば、係止部81と第2被係止部83との係止部分84を支点に押縁60を回転させて取り付ける場合に、ガラス体30によって押縁60の取付が阻害されることを回避しやすくなる。
【0089】
また、第4押縁側部64に設けられた係止部81を上側框材43に設けられた第2被係止部83に係止する係止工程と、係止工程の後に、係止部81と第2被係止部83とを係止した状態で、係止部分84を支点に押縁60を回転移動させた後に、第2押縁側部62を上側框材43に対して固定具80によって固定する固定工程と、を含むので、第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を固定具80によって固定する場合に比べて、固定具80による固定作業を軽減でき、押縁60の取付性を向上できる。
【0090】
〔実施の形態3〕
まず、実施の形態3に係る押縁の取付構造について説明する。この実施の形態3は、第4押縁側部を框材に対して固定具によって固定し、第2押縁側部を框材に設けられた係止部を、被係止部に係止した形態である。ただし、この実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0091】
(構成)
最初に、実施の形態3に係る開閉装置1の構成について説明する。実施の形態3に係る開閉装置1は、実施の形態1に係る開閉装置1とほぼ同様に構成されている。ただし、上側框材43の構成、押縁60の構成、及び押縁60の取付構造の構成については、下記に示す工夫が施されている。
【0092】
(構成−上側框材)
次に、上側框材43の構成について説明する。実施の形態3に係る上側框材43は、実施の形態1に係る上側框材43とほぼ同様に構成されている。ただし、室外側表面材53の構成については、
図7(d)に示すように、第1室外側表面片53aのみを備えている。
【0093】
(構成−押縁)
次に、押縁60の構成について説明する。実施の形態3に係る押縁60は、第1押縁側部61、第2押縁側部62、第3押縁側部63、及び第4押縁側部64を備えている。このうち、第1押縁側部61は、
図7(d)に示すように、当該第1押縁側部61の上下方向の長さが室外側表面材53の上下方向の長さよりも長くなるように形成されており、室外側表面材53及び後述する被係止部85の全体を覆うように設けられている。
【0094】
(構成−押縁の取付構造)
次に、押縁60の取付構造の構成について説明する。実施の形態3に係る押縁60の取付構造の特徴については、以下に示す通りとなる。
【0095】
すなわち、
図7(d)に示すように、まず、押縁60の側部のうち上側框材43(対象框材)の外周側見込面と対向する側部である第4押縁側部64は、上側框材43に対して固定具80によって固定されている。具体的には、第4押縁側部64は、第4押縁側部64及び第2横力骨57の各々に形成された取付孔(図示省略)を介して、第2横力骨57に対して固定具80によって固定されている。
【0096】
また、押縁60の側部のうち上側框材43の内周側見込面と対向する第2押縁側部62に設けられた係止部81は、上側框材43に設けられた被係止部85に係止されている。このうち、係止部81は、被係止部85に対して係脱自在に係止するものであり、
図7(d)に示すように、第2押縁側部62の上面に設けられている。この係止部81は、
図7(d)に示すように、Y−Z平面に沿った断面形状が屈曲状であり、押縁60の左右方向の全長(又はそれよりも短い長さ)にわたって形成されている。また、被係止部85は、係止部81によって係止されるものであり、
図7(d)に示すように、室外側表面材53(具体的には、第1室外側表面片53a)の上下方向の内側の端部(
図7(d)では、下端部)に設けられている。この被係止部85は、係止部81と被係止部85との係止によって、押縁60の回転移動(具体的には、
図7(b)に示す係止部81と被係止部85との係止部分84を支点とする回転移動)が抑制可能となるように形成されている。具体的には、
図7(d)に示すように、係止部81の先端部と当接するように下方に向けて張り出されており、室外側表面材53の左右方向の全長(又はそれよりも短い長さ)にわたって形成されている。
【0097】
また、これら係止部81及び被係止部85の形成方法については任意であるが、実施の形態3では、係止部81については、係止部81を第2押縁側部62とは別体に形成しており、第2押縁側部62に対して溶接によって接続されている。また、被係止部85については、被係止部85を室外側表面材53と一体に形成している。これにより、係止部81の取付の自由度を高めることができ、状況に応じた係止部81の取付が可能となる。
【0098】
このような特徴により、例えば、係止部81が
図7(d)の部屋の室外側に移動しようとしたり、又は
図7(d)の上方に移動しようとすると、被係止部85との当接によってこれら移動を制限できる。また、第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を固定具80によって固定する場合に比べて、固定具80による固定作業を軽減でき、押縁60の取付性を向上できる。
【0099】
(開閉装置の設置方法)
続いて、このように構成された開閉装置1の設置方法について説明する。
【0100】
実施の形態3に係る開閉装置1の設置方法は、実施の形態1に係る開閉装置1の設置方法とほぼ同様に実行される。ただし、押縁60の取付方法については、下記に示す工夫が施されている。すなわち、実施の形態3では、まず、
図7(b)に示すように、
図7(a)の押縁60の係止部81を被係止部85に係止する(係止工程)。次に、
図7(b)、(c)に示すように、係止工程の後に、係止部81と被係止部85とを係止した状態で、係止部81と被係止部85との係止部分84を支点に押縁60を回転移動させた後(具体的には、第1押縁側部61が室外側表面材53と当接するまで押縁60を反時計回りに回転移動させた後)、第4押縁側部64を上側框材43に対して固定具80によって固定する(固定工程)。そして、
図7(d)に示すように、戸尻側框材41、戸先側框材42、上側框材43、及び下側框材44の各々にシーリング材55a及びバックアップ材55bを設ける(シーリング材等設置工程)。このような取付方法により、第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を固定具80によって固定する場合に比べて、固定具80による固定作業を軽減でき、押縁60の取付性を向上できる。
【0101】
(構成−その他の構成)
また、この他にも、押縁60の取付構造は、できる限りにおいて任意の構造にて構成可能である。
【0102】
例えば、実施の形態3においては、係止部81が押縁60(第2押縁側部62)とは別体に形成されていると説明したが、これに限らない。例えば、係止部81が押縁60と一体に形成されてもよく、一例として、
図8(d)に示すように、第2押縁側部62及び第3押縁側部63を係止部81としてもよい。この場合において、係止部81の具体的な構成については任意であるが、例えば、
図8(d)に示すように、係止部81のうち第3押縁側部63側の部分を後方に向けて斜め上方に張り出されるように設けられてもよい。また、被係止部85の具体的な構成については任意であるが、例えば、
図8(d)に示すように、Y−Z平面に沿った断面形状が、後方に向けて突出した逆L字状に形成されてもよい。また、この押縁60の取付方法については、
図8(a)から
図8(d)に示すように、実施の形態3に係る押縁60の取付方法と略同様に行われる。
【0103】
このような構成により、例えば、係止部81が
図8(d)の部屋の室外側に移動しようとしたり、又は
図8(d)の上方に移動しようとすると、被係止部85との当接(具体的には、係止部81の部分のうち第2押縁側部62と第3押縁側部63との角部と被係止部85の先端部との当接)によってこれら移動を制限できる。また、実施の形態3に係る押縁60の取付構造に比べて、係止部81及び被係止部85を取り付ける手間を省略でき、開閉体20の設置作業の効率化を図ることが可能となる。
【0104】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態3によれば、第4押縁側部64を上側框材43に対して固定具80によって固定し、第2押縁側部62に設けられた係止部81を上側框材43に設けられた被係止部85に係止したので、例えば係止部81を被係止部85に係止した状態で押縁60を回転させた後に上側框材43に対して固定具80によって固定することができることから、第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を固定具80によって固定する場合に比べて、固定具80による固定作業を軽減でき、押縁60の取付性を向上できる。
【0105】
また、第2押縁側部62に設けられた係止部81を上側框材43に設けられた被係止部85に係止する係止工程と、係止工程の後に、係止部81と被係止部85とを係止した状態で、係止部分84を支点に押縁60を回転移動させた後に、第4押縁側部64を上側框材43に対して固定具80によって固定する固定工程と、を含むので、第2押縁側部62及び第4押縁側部64の各々を固定具80によって固定する場合に比べて、固定具80による固定作業を軽減でき、押縁60の取付性を向上できる。
【0106】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0107】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0108】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0109】
(框体について)
上記実施の形態1から3では、框体40の上側框材43の断面形状(具体的には、Y−Z平面に沿った断面形状)が閉鎖断面であると説明したが、これに限らず、例えば、押縁60側の側面が開放された開放断面であってもよい。
【0110】
(押縁について)
上記実施の形態1から3では、押縁60が上側框材43に取り付けられていると説明したが、これに限らず、例えば、押縁60が上側框材43以外の他の框材(一例として、戸尻側框材41、戸先側框材42、下側框材44)に取り付けられてもよい。この場合において、押縁60が取り付けられる上記他の框材は、上記実施の形態1から3のいずれか1つに係る上側框材43の構成と略同一に構成される。
【0111】
また、上記実施の形態1から3では、押縁60が、上側框材43の部屋の室外側のみに設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、押縁60が、上側框材43の部屋の室内側のみに設けられてもよく、あるいは、上側框材43の部屋の室外側及び部屋の室内側の両方に設けられてもよい。
【0112】
また、上記実施の形態1から3では、押縁60の形成方法については、1つのスチール材又はステンレス材を曲げ成形することで、第1押縁側部61、第2押縁側部62、第3押縁側部63、及び第4押縁側部64を一体形成していると説明したが、これに限らない。例えば、第1押縁側部61、第2押縁側部62、第3押縁側部63、及び第4押縁側部64の各々を1つのスチール材又はステンレス材にてそれぞれ別体にて形成し、これら第1押縁側部61、第2押縁側部62、第3押縁側部63、及び第4押縁側部64を溶接等によって接続することにより、形成してもよい。
【0113】
また、上記実施の形態1から3では、上側框材43に1つの押縁60が設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、
図9に示すように、上側框材43に2つの押縁60a、60b(
図9では、第1押縁60a及び第2押縁60b)が設けられてもよい。ここで、第1押縁60aは、ガラス体30を支持するための押縁であり、上側框材43の内周側見込面に設けられ、上側框材43に対して固定具80によって固定されている。第2押縁60bは、開閉体20の意匠性を高めるための押縁であり、一部材で形成されており、第1押縁60a及び上側框材43の各々の側面のうち、見込方向のいずれか一方側の側面全体(
図9では、部屋の室外側の側面)を覆うように設けられている。また、この第2押縁60bの取付構造については任意であるが、例えば、第2押縁60bの側部のうち、第1押縁60aの内周側見込面と対向する側部又は上側框材43の外周側見込面と対向する側部の少なくともいずれか一方は、上側框材43又は第1押縁60aに対して固定具80によって固定される。一例として、
図9に示すように、上記内周側見込面と対向する側部が上側框材43に対して固定具80によって固定され、上記外周側見込面と対向する側部に設けられた係止部81が、上側框材43に設けられた被係止部85に係止されてもよい。この場合において、
図9に示すように、第1押縁60a及び第2押縁60bが共通の固定具80で固定されてもよい。又は、第1押縁60a及び第2押縁60bの各々が別々の固定具80で固定されてもよい(この場合には、第1押縁60aを固定する固定具80は、第2押縁60bによって覆われることで露出を回避してもよい)。あるいは、実施の形態1のように、上記内周側見込面と対向する側部及び上記外周側見込面と対向する側部の各々が、上側框材43又は第1押縁60aに対して固定具80によって固定されてもよい。これにより、例えば第1押縁60aが既設されている場合に、第2押縁60bによって第1押縁60aと上側框材43の境界線が露出することを回避でき、開閉体20の意匠性を一層向上できる。
【0114】
(押縁の取付構造について)
上記実施の形態2、3では、被係止部が、上側框材43と一体に形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、上側框材43とは別体に形成されてもよい。この場合には、被係止部は、係止部81の左右方向の全長(又はそれよりも短い長さ)にわたって形成され、上側框材43の構成要素(具体的には、第1横力骨56、第2横力骨57、室外側表面材53、又は室内側表面材54)に対して固定具(図示省略)又は溶接等によって固定されてもよい。これにより、被係止部を上側框材43と一体に形成する場合に比べて上側框材43の加工の手間を省略でき、上側框材43の製造性を向上させることができる。また、被係止部を上側框材43と一体に形成する場合に比べて被係止部の取付の自由度を高めることができ、例えば既設の開閉体20の押縁に代えて本発明の押縁60及び被係止部を設けることにより、押縁60の取付構造を既設の開閉体20に適用することが可能となる。
【0115】
また、上記実施の形態1、2では、押縁60の側部のうち、固定具80が取り付けられる第2押縁側部62が平坦状に形成されていると説明したが、これに限らない。例えば、
図10(a)、(b)に示すように、実施の形態1に係る第2押縁側部62のうち固定具80に対応する部分に、見付方向の外側(
図10では、上方側)に向けて窪んだ凹部90を形成してもよい。また、凹部90に設けられるカバー材91であって、固定具80が外部に露出することを防止するためのカバー材91(一例として、シーリング材、化粧材等)を備えてもよい(ただし、これに限らず、例えば、カバー材91を省略してもよい)。また、
図10(c)に示すように、実施の形態2に係る第2押縁側部62についても、
図10(a)、(b)の押縁60の構成と略同様に構成されてもよい。このような構成により、第2押縁側部62を上側框材43に対して固定具80によって固定する場合に、固定具80が外部に露出することを回避でき、開閉体20の意匠性を向上させることができる。また、凹部90にカバー材91を設けない場合に比べて、固定具80が外部に露出することを回避でき、開閉体20の意匠性を一層向上させることができる。
【0116】
(押縁の取付方法について)
上記実施の形態1から3では、押縁60の取付方法が、シーリング材等設置工程を含むと説明したが、これに限らず、例えば、シーリング材等設置工程を省略してもよい。
【0117】
(付記)
付記1の押縁の取付構造は、建物の開口部の開閉を行う開閉体であって、少なくとも1つ以上のガラス板からなるガラス体と、前記ガラス体の周囲を囲繞するように設けられた複数の框材とを備えた開閉体を構成する押縁であり、前記ガラス体の周縁部分の一部に直接的又は間接的に当接させることで前記ガラス体を支持する押縁の取付構造であって、前記押縁の側部のうち、前記複数の框材の中で前記押縁が取り付けられる框材である対象框材における見込方向のいずれか一方側の側面全体を覆うように設けられる側部である第1側部を、一部材で形成した。
【0118】
付記2の押縁の取付構造は、付記1に記載の押縁の取付構造において、前記対象框材の断面形状を、閉鎖断面とした。
【0119】
付記3の押縁の取付構造は、付記1又は2に記載の押縁の取付構造において、前記押縁の側部のうち、前記対象框材の内周側見込面と対向する側部である第2側部及び前記対象框材の外周側見込面と対向する第3側部の各々を、前記対象框材に対して固定具によって固定した。
【0120】
付記4の押縁の取付構造は、付記1又は2に記載の押縁の取付構造において、前記押縁の側部のうち、前記対象框材の内周側見込面と対向する側部である第2側部又は前記対象框材の外周側見込面と対向する第3側部のいずれか一方を、前記対象框材に対して固定具によって固定し、前記第2側部又は前記第3側部のいずれか他方に設けられた係止部を、前記対象框材に設けられた被係止部に係止した。
【0121】
付記5の押縁の取付構造は、付記4に記載の押縁の取付構造において、前記押縁の回転移動が抑制可能となるように、前記係止部を前記被係止部に係止した。
【0122】
付記6の押縁の取付構造は、付記4又は5に記載の押縁の取付構造において、前記被係止部を、前記対象框材とは別体に形成した。
【0123】
付記7の押縁の取付構造は、付記4から6のいずれか一項に記載の押縁の取付構造において、前記第2側部を、前記対象框材に対して前記固定具によって固定し、前記第3側部に、前記係止部を設けた。
【0124】
付記8の押縁の取付構造は、付記3又は7に記載の押縁の取付構造において、前記第2側部のうち前記固定具に対応する部分に、見付方向の外側に向けて窪んだ凹部を形成した。
【0125】
付記9の押縁の取付構造は、付記8に記載の押縁の取付構造において、前記凹部に設けられるカバー材であって、前記固定具が外部に露出することを防止するためのカバー材を備えた。
【0126】
付記10の押縁の取付方法は、建物の開口部の開閉を行う開閉体であって、少なくとも1つ以上のガラス板からなるガラス体と、前記ガラス体の周囲を囲繞するように設けられた複数の框材とを備えた開閉体を構成する押縁であり、前記ガラス体の周縁部分の一部に直接的又は間接的に当接させることで前記ガラス体を支持する押縁の取付方法であって、前記複数の框材の中で前記押縁が取り付けられる框材である対象框材における見込方向のいずれか一方側の側面全体を覆うことが可能な前記押縁の側部のうち、前記対象框材の内周側見込面と対向する側部又は前記対象框材の外周側見込面と対向する側部のいずれか一方に設けられた係止部を、前記対象框材に設けられた被係止部に係止する係止工程と、前記係止工程の後に、前記係止部と前記被係止部とを係止した状態で、当該係止した部分を支点に前記押縁を回転移動させた後に、前記内周側見込面と対向する側部又は前記外周側見込面と対向する側部のいずれか他方を、前記対象框材に対して固定具によって固定する固定工程と、を含む。
【0127】
(付記の効果)
付記1に記載の押縁の取付構造によれば、押縁の側部のうち、複数の框材の中で押縁が取り付けられる框材である対象框材における見込方向のいずれか一方側の側面全体を覆うように設けられる側部である第1側部を、一部材で形成したので、一部材の第1側部によって対象框材における見込方向のいずれか一方側の側面全体を覆うことができる。よって、従来技術(框材の内周側見込面に押縁を取り付ける技術)に比べて、押縁と対象框材との境界線が外部に露出することを回避でき、開閉体の意匠性を向上させることが可能となる。
【0128】
付記2に記載の押縁の取付構造によれば、対象框材の断面形状を閉鎖断面としたので、対象框材の断面形状を開放断面とした場合に比べて、対象框材の形状を維持しやすくなり、対象框材の意匠性を維持できる。
【0129】
付記3に記載の押縁の取付構造によれば、第2側部及び第3側部の各々を、対象框材に対して固定具によって固定したので、押縁を対象框材に対して比較的強固に固定でき、ガラス体が脱落したり、又は押縁が対象框材から外れることを回避することが可能となる。
【0130】
付記4に記載の押縁の取付構造によれば、第2側部又は第3側部のいずれか一方を、対象框材に対して固定具によって固定し、第2側部又は第3側部のいずれか他方に設けられた係止部を、対象框材に設けられた被係止部に係止したので、例えば係止部を被係止部に係止した状態で押縁を回転させた後に対象框材に対して固定具によって固定することができることから、第2側部及び第3側部の各々を固定具によって固定する場合に比べて、固定具による固定作業を軽減でき、押縁の取付性を向上できる。
【0131】
付記5に記載の押縁の取付構造によれば、押縁の回転移動が抑制可能となるように、係止部を被係止部に係止したので、係止部と被係止部との係止によって押縁の回転移動を抑制でき、ガラス体が脱落したり、又は押縁が対象框材から外れることを回避できる。
【0132】
付記6に記載の押縁の取付構造によれば、被係止部を対象框材とは別体に形成したので、被係止部を対象框材と一体に形成する場合に比べて対象框材の加工の手間を省略でき、対象框材の製造性を向上させることができる。また、被係止部を対象框材と一体に形成する場合に比べて被係止部の取付の自由度を高めることができ、例えば既設の開閉体の押縁に代えて本発明の押縁及び被係止部を設けることにより、押縁の取付構造を既設の開閉体に適用することが可能となる。
【0133】
付記7に記載の押縁の取付構造によれば、第2側部を対象框材に対して固定具によって固定し、第3側部に係止部を設けたので、第3側部を対象框材に対して固定具によって固定し、第2側部に係止部を設ける場合に比べて、例えば、係止部と被係止部との係止した部分を支点に押縁を回転させて取り付ける場合に、ガラス体によって押縁の取付が阻害されることを回避しやすくなる。
【0134】
付記8に記載の押縁の取付構造によれば、第2側部のうち固定具に対応する部分に、見付方向の外側に向けて窪んだ凹部を形成したので、第2側部を対象框材に対して固定具によって固定する場合に、固定具が外部に露出することを回避でき、開閉体の意匠性を向上させることができる。
【0135】
付記9に記載の押縁の取付構造によれば、凹部に設けられるカバー材を備えたので、凹部にカバー材を設けない場合に比べて、固定具が外部に露出することを回避でき、開閉体の意匠性を一層向上させることができる。
【0136】
付記10に記載の押縁の取付構造によれば、押縁の側部のうち対象框材の内周側見込面と対向する側部又は対象框材の外周側見込面と対向する側部のいずれか一方に設けられた係止部を、対象框材に設けられた被係止部に係止する係止工程と、係止工程の後に、係止部と被係止部とを係止した状態で、当該係止した部分を支点に押縁を回転移動させた後に、上記内周側見込面と対向する側部又は上記外周側見込面と対向する側部のいずれか他方を、対象框材に対して固定具によって固定する固定工程と、を含むので、上記内周側見込面と対向する側部及び上記外周側見込面と対向する側部の各々を固定具によって固定する場合に比べて、固定具による固定作業を軽減でき、押縁の取付性を向上できる。