特許第6969995号(P6969995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6969995
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスの導通検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/54 20200101AFI20211111BHJP
【FI】
   G01R31/54
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-234507(P2017-234507)
(22)【出願日】2017年12月6日
(65)【公開番号】特開2019-100953(P2019-100953A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅宏
【審査官】 青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−039964(JP,A)
【文献】 特開平11−038071(JP,A)
【文献】 特開平04−335170(JP,A)
【文献】 特開平11−017206(JP,A)
【文献】 特開昭60−020155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50−31/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、前記第1端子が一端に接続されると共に前記第1端子との接続箇所が絶縁部材によって覆われた第1電線と、第2端子と、前記第2端子が一端に接続されると共に前記第2端子との接続箇所が露出した第2電線と、を有するワイヤハーネスに対して導通検査を行う、導通検査装置であって、
前記第1端子及び前記第2端子の双方を保持可能な形状を有する保持部と、
前記保持部に前記第1電線が保持された場合には前記絶縁部材が接触点となり、且つ、前記保持部に前記第2電線が保持された場合には露出した前記接続箇所が接触点となる位置、に設けられた検査接点部と、
前記検査接点部と、前記第1電線の他端及び前記第2電線の他端と、の間が導通しているか否かを判定可能な検査部と、を備えた、
ワイヤハーネスの導通検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の導通検査装置において、
前記第1端子及び前記第2端子は、アース端子である、
ワイヤハーネスの導通検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の導通検査装置において、
前記保持部は、
前記接触点と前記検査接点部とが接触した状態を維持するように前記接触点と前記検査接点部との間の相対的移動を抑制する、ように構成された、
ワイヤハーネスの導通検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスを構成する電線等が導通しているか否かを判定するための導通検査装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等に用いられるワイヤハーネスは、電線を所定長さに切断してその端末に端子を圧着した後、コネクタへの端子の挿入、複数の電線の結束、並びに、防水用グロメット及びプロテクタ等の取り付け等の処理を行ってサブハーネスを形成し、複数のサブハーネスを一纏めに組み付けることによって製造される。更に、このように製造されたワイヤハーネスに対し、電線の導通検査などの各種の検査が行われる。
【0003】
例えば、従来のワイヤハーネスの検査装置の一つは、ワイヤハーネスを製造するための作業台(いわゆる治具板)上にある製造途中のワイヤハーネスに対し、電線の導通検査用コネクタを直接接続し、電線の導通検査を行うようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−001221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイヤハーネスには、端子(例えば、アース端子)が端末部に取り付けられた電線が含まれる場合がある。更に、この種の電線には、取り付けられている端子の外観が類似している又は同一である一方で、端子と電線との接続箇所が露出しているか又は防水等を目的とした絶縁材料(例えば、熱収縮チューブ)によって覆われているかの点で異なる電線が、含まれる場合がある。このように端子の外観が類似または同一の電線を複数用いてワイヤハーネスを製造する際、外観上で電線の区別が多少難しいことから、所定箇所に本来組み付けるべき電線(例えば、接続箇所が露出している電線)とは異なる電線(例えば、接続箇所が覆われている電線)が、その所定箇所に誤って組み付けられる可能性がある。
【0006】
ところが、仮にそのように誤った組み付けがなされた場合であっても、双方の電線の相違点は絶縁材料(熱収縮チューブ)の有無のみであり、電線の導通には相違がないため、通常の導通検査では組み付けの誤りを検出することが困難である。しかし、電線の組付けの誤りをより精度良く検出してワイヤハーネスの品質を向上させる等の観点から、外観上の区別が多少難しい電線を用いる場合であっても、導通検査を通じて組み付けの誤りを出来る限り確実に検出できることが望ましい。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外観上の区別が多少難しい電線を用いる場合であってもワイヤハーネスへの誤った組み付けを検出することが可能なワイヤハーネスの導通検査装置、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスの導通検査装置は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1)
第1端子と、前記第1端子が一端に接続されると共に前記第1端子との接続箇所が絶縁部材によって覆われた第1電線と、第2端子と、前記第2端子が一端に接続されると共に前記第2端子との接続箇所が露出した第2電線と、を有するワイヤハーネスに対して導通検査を行う、導通検査装置であって、
前記第1端子及び前記第2端子の双方を保持可能な形状を有する保持部と、
前記保持部に前記第1電線が保持された場合には前記絶縁部材が接触点となり、且つ、前記保持部に前記第2電線が保持された場合には露出した前記接続箇所が接触点となる位置、に設けられた検査接点部と、
前記検査接点部と、前記第1電線の他端及び前記第2電線の他端と、の間が導通しているか否かを判定可能な検査部と、を備えた、
ワイヤハーネスの導通検査装置であること。
(2)
上記(1)に記載の導通検査装置において、
前記第1端子及び前記第2端子は、アース端子である、
ワイヤハーネスの導通検査装置であること。
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載の導通検査装置において、
前記保持部は、
前記接触点と前記検査接点部とが接触した状態を維持するように前記接触点と前記検査接点部との間の相対的移動を抑制する、ように構成された、
ワイヤハーネスの導通検査装置であること。
【0009】
上記(1)の構成の導通検査装置によれば、仮に第1端子および第2端子の外観が類似または同一であり、且つ、双方の電線の相違点が端子と電線との接続箇所を覆う絶縁部材の有無のみであっても、導通検査装置の検査接点部がこの接続箇所に対応する部分(接触点)に限って接触する位置に設けられているため、組み付けの誤りを検出することができる。具体的には、例えば、本来は接続箇所が露出している電線(設計通りの電線)が組み付けられるべき場所に接続箇所が絶縁部材に覆われた電線(設計とは異なる電線)が組み付けられた場合、絶縁部材が接触点となるために正常な導通がなされず(導通不可となり)、導通検査において組み付けの誤りを検出できることになる。
【0010】
したがって、本構成の導通検査装置によれば、外観上の区別が多少難しい電線を用いる場合であってもワイヤハーネスへの誤った組み付けを検出することが可能である。
【0011】
上記(2)の構成の導通検査装置によれば、ワイヤハーネスに用いられる各種の端子の中でも特に外観が類似する傾向があるアース端子(例えば、一般に用いられるメガネ端子)が取り付けられた電線に対し、導通検査において組み付けの誤りを検出できる。
【0012】
上記(3)の構成の導通検査装置によれば、導通検査の際、端子の接触点と検査接点部とが接触した状態を維持するように、保持部が双方の相対的移動を抑制する。具体的には、例えば、端子を収容可能な溝を保持部に設け、この溝に端子を嵌め込むことにより、接触点と検査接点部との相対的移動を抑制する。これにより、導通検査の際に端子の接触点と検査接点部とが意図せず離れる(意図せず導通不可となる)ことによる誤検出を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外観上の区別が多少難しい電線であってもワイヤハーネスへの組み付けの誤りを検出することが可能なワイヤハーネスの導通検査装置、を提供できる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係るワイヤハーネスの導通検査装置によって導通検査が行われるワイヤハーネスの模式図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るワイヤハーネスの導通検査装置の模式図であり、図2(a)は、アース端子と電線との接続箇所が露出している電線についてその導通検査装置を用いて導通検査を行う場合を示し、図2(b)は、アース端子と電線との接続箇所が絶縁性チューブによって覆われている電線についてその導通検査装置を用いて導通検査を行う場合を示す。
図3図3は、本発明の他の実施形態に係るワイヤハーネスの導通検査装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る導通検査装置1について説明する。
【0017】
図1は、この導通検査装置1によって導通検査が行われるワイヤハーネスWHの一例を示す。図1に示すワイヤハーネスWHは、複数本の電線wが束ねられると共にコルゲートチューブCTが組み付けられた電線束である。本例では、各電線wの各端部には、コネクタC、アース端子10A、又は、アース端子10Bが接続されている。複数のコネクタCの形態は、同一であっても異なっていてもよい。以下、説明の便宜上、アース端子10Aが一端に接続される電線wを特に「電線wa」と呼び、アース端子10Bが一端に接続される電線wを特に「電線wb」と呼ぶこともある。
【0018】
図2(a)及び図2(b)に示すように、金属製のアース端子10A,10Bの各々は、環状の平板部11と、平板部11に設けられた貫通孔12と、電線wの一端部に対して電気的に接続されるように加締め固定される接続箇所13と、平板部11及び接続箇所13を繋ぐ連結部14と、を共通して備える。接続箇所13は、典型的には、電線wを覆うように加締められた一対の加締め片である。
【0019】
よって、アース端子10A,10Bの外観そのものは同一である。ただし、図2(a)に示すように、アース端子10Aが一端に接続される電線waの接続箇所13は、外部に露出しており、一方、図2(b)に示すように、アース端子10Bが一端に接続される電線wbの接続箇所13は、防水等を目的とした絶縁性チューブ15によって覆われている。絶縁性チューブ15としては、典型的には、熱収縮チューブが採用され得る。
【0020】
即ち、電線wa,wbの相違点は、絶縁性チューブ15の有無のみである。よって、電線wa,wbは、外観上での区別が比較的困難であるので、両者が誤って組み付けられる可能性がある。このように、導通検査装置1によって導通検査が行われるワイヤハーネスWHには、取り付けられている端子の外観が同一である一方で端子と電線との接続箇所における絶縁性チューブの有無のみが異なる、外観上での区別が比較的困難な複数の電線が含まれている。なお、外観上での区別が比較的困難である限りにおいて、取り付けられている端子の外観が同一ではなく類似している複数の電線がワイヤハーネスWHに含まれていてもよい。
【0021】
導通検査装置1は、図1に示すワイヤハーネスWHについて、ワイヤハーネスWHを構成する複数の電線wのうちの電線wa,wb(即ち、端子と電線との接続箇所における絶縁性チューブの有無が異なる、外観上での区別が比較的困難な複数の電線)が導通しているか否かを判定する。以下、アース端子10A,10Bを区別する必要がない限りにおいて、アース端子10A,10Bを単に「アース端子10」と呼ぶこともある。
【0022】
図2に示すように、導通検査装置1は、導通検査用治具20と、検査器30と、を備える。導通検査用治具20は、電線wが接続されたアース端子10を載せ置くための樹脂製の治具板21を有する。本例では、治具板21は直方体状の形状を有している。治具板21の上面(平面)は、載せ置いたアース端子10A,10Bを保持可能な大きさを有している。
【0023】
治具板21の上面の第1所定位置には、樹脂製のピン22が、上方に突出するように設けられている。ピン22にアース端子10の貫通孔12が挿入されることで、治具板21上に載置されているアース端子10の位置ずれが抑制され得る。
【0024】
治具板21の上面におけるピン22が設けられた第1所定位置とは異なる第2所定位置には、金属製の検査接点部23が設けられている。本例では、検査接点部23は、矩形状の金属板である。検査接点部23は、治具板21の上面上に固定されていても、上方に露出するように治具板21の上部に埋め込まれていてもよい。
【0025】
検査接点部23は、電線wが接続されたアース端子10の貫通孔12がピン22に挿入されてアース端子10が治具板21の上面に所定の向きに載置された状態において、アース端子10Aが載置された場合には露出している接続箇所13が接触点となり、アース端子10Bが載置された場合には接続箇所13を覆う絶縁性チューブ15が接触点となる位置、に設けられている。
【0026】
本例では、アース端子10A,10Bの何れが治具板21の上面に載置された場合であっても、上記「接触点」以外の箇所は、検査接点部23に接触しないようになっている。換言すれば、電線waが接続されたアース端子10Aが治具板21の上面に載置された場合、接触点である接続箇所13のみが検査接点部23に接触し、電線wbが接続されたアース端子10Bが治具板21の上面に載置された場合、接触点である絶縁性チューブ15のみが検査接点部23に接触するようになっている。
【0027】
検査器30は、治具板21上に載置されたアース端子10が一端に接続された電線wの導通検査を行う機器である。検査器30は、検査接点部23と導通接続されて治具板21(導通検査用治具20)から延出する配線w1、及び、電線wの他端(アース端子10が接続された端とは逆の端)と導通接続されて電線wの他端から延出する配線w2、と電気的に接続されている。このため、検査器30は、検査接点部23と、治具板21上に載置されたアース端子10が一端に接続された電線wの他端と、の間の導通の有無を判定できるようになっている。なお、検査器30としては、導通検査機能を備えた一般の機器を用いればよく、その内部の具体的な構成については説明を省略する。
【0028】
以上の構成を有する導通検査装置1では、導通検査を通じてワイヤハーネスWHにおける電線wa,wbの組み付けの誤りを検出することができる。以下、この点について説明する。
【0029】
まず、ワイヤハーネスWHにおいて電線waが本来組み付けられるべき場所に実際に組み付けられている電線wに対して、その電線wに接続されているアース端子10を治具板21上に載置して、導通検査装置1によってその電線wについての導通検査を行う場合について説明する。
【0030】
電線waが本来組み付けられるべき場所に実際に組み付けられている電線wが電線waである場合(組み付けの誤りが無い場合)、アース端子10Aが治具板21上に載置された状態で、検査接点部23には、接続箇所13のみが接触する。即ち、検査接点部23と接続箇所13とが導通接続される。よって、検査器30は、検査接点部23と、治具板21上に載置されたアース端子10に接続された電線w(即ち、電線wa)の他端と、の間の導通「有」と判定する。
【0031】
これに対し、本来は電線waが組み付けられるべき場所に実際に組み付けられている電線wが電線wbである場合(組み付けの誤りが有る場合)、アース端子10Bが治具板21上に載置された状態で、検査接点部23には、接続箇所13を覆う絶縁製チューブ15のみが接触する。即ち、検査接点部23と絶縁性チューブ15とは導通接続されない。よって、検査器30は、検査接点部23と、治具板21上に載置されたアース端子10に接続された電線w(即ち、電線wb)の他端と、の間の導通「無」と判定する。
【0032】
以上のことから、電線waが本来組み付けられるべき場所に実際に組み付けられている電線wに対して導通検査装置1によって導通検査を行うことで、導通「有」の場合には組み付けの誤り「無」と判定し、導通「無」の場合には組み付けの誤り「有」と判定することができる。
【0033】
次いで、ワイヤハーネスWHにおいて電線wbが本来組み付けられるべき場所に実際に組み付けられている電線wに対して、その電線wに接続されているアース端子10を治具板21上に載置して、導通検査装置1によってその電線wについての導通検査を行う場合について説明する。
【0034】
電線wbが本来組み付けられるべき場所に実際に組み付けられている電線wが電線wbである場合(組み付けの誤りが無い場合)、検査器30は、検査接点部23と、治具板21上に載置されたアース端子10に接続された電線w(即ち、電線wb)の他端と、の間の導通「無」と判定する。
【0035】
一方、本来は電線wbが組み付けられるべき場所に実際に組み付けられている電線wが電線waである場合(組み付けの誤りが有る場合)、検査器30は、検査接点部23と、治具板21上に載置されたアース端子10に接続された電線w(即ち、電線wa)の他端と、の間の導通「有」と判定する。
【0036】
以上のことから、電線wbが本来組み付けられるべき場所に実際に組み付けられている電線wに対して導通検査装置1によって導通検査を行うことで、導通「有」の場合には組み付けの誤り「有」と判定し、導通「無」の場合には組み付けの誤り「無」と判定することができる。
【0037】
以上のように、導通検査装置1では、導通検査を通じてワイヤハーネスWHにおける電線wa,wbの組み付けの誤りを検出することができる。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態に係る導通検査装置1によれば、ワイヤハーネスWHに含まれる電線wa,wbについて、接続されているアース端子10の外観が類似または同一であり、両者の相違がアース端子10と電線wとの接続箇所13を覆う絶縁性チューブ15の有無のみであっても、導通検査装置1の検査接点部23がこの接続箇所13に限って接触する位置に設けられているため、電線wa,wbについての誤った組み付けを検出することができる。
【0039】
具体的には、本来は接続箇所13が露出している電線wa(設計通りの電線)が組み付けられるべき場所に接続箇所13が絶縁性チューブ15に覆われた電線wb(設計とは異なる電線)が組み付けられた場合、絶縁性チューブ15のために正常に導通がなされず、導通検査において組み付けの誤りを検出することができる。
【0040】
したがって、本構成の導通検査装置1によれば、外観上の区別が難しい電線wa,wbであってもワイヤハーネスWHへの組み付けの誤りを検出することが可能である。
【0041】
<他の態様>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0042】
例えば、上記実施形態では、治具板21の平面である上面からピン22が突出すると共にこの上面に検査接点部23が設けられ、この上面にアース端子10が載置されるように構成されている(図2を参照)。これに対し、図3に示すように、治具板21の上面に、アース端子10の輪郭形状に対応する輪郭形状を有する溝24が凹設され、溝24の底面におけるアース端子10の貫通孔12に対応する位置からピン22が突出され、且つ、溝24の底面におけるアース端子10の接続箇所13に対応する位置に検査接点部23が設けられていてもよい。
【0043】
図3に示す治具板21が採用される場合、導通検査の際、アース端子10が溝24に嵌め込まれ、アース端子10が溝24の底面に載置された状態で、上述した導通検査が行われる。このため、上記実施形態と比べ、導通検査の際、アース端子10の接触点(具体的には、接続箇所13又は絶縁性チューブ15)と検査接点部23とが接触した状態を維持するように、溝24の側面がアース端子10の接触点と検査接点部23との相対的移動が抑制される。これにより、導通検査の際、アース端子10の接触点と検査接点部23とが離れることによる誤検出を抑制できる。
【0044】
更に、上記実施形態では、治具板21上のピン22にアース端子10の貫通孔12が挿入されることで、治具板21上に載置されている端子の位置ずれが抑制されるように構成されている。これに対し、図示は省略するが、治具板21に設けられた第1係止部とアース端子10に設けられた第2係止部とが互いに係止されることで、治具板21上に載置されているアース端子10の位置ずれが抑制されるように構成されてもよい。本構成の場合、貫通孔12を有するアース端子10(いわゆるメガネ端子)ではなく、貫通孔を有さない他の端子が採用されてもよい。
【0045】
ここで、上述した本発明に係る導通検査装置1の実施形態の特徴を以下(1)〜(3)に簡潔に纏めて列記する。
(1)
第1端子(10B)と、前記第1端子(10B)が一端に接続されると共に前記第1端子(10B)との接続箇所(13)が絶縁部材(15)によって覆われた第1電線(wb)と、第2端子(10A)と、前記第2端子(10A)が一端に接続されると共に前記第2端子(10A)との接続箇所(13)が露出した第2電線(wa)とを有するワイヤハーネス(WH)に対して導通検査を行う、導通検査装置(1)であって、
前記第1端子(10B)及び前記第2端子(10A)の双方を保持可能な形状を有する保持部(21)と、
前記保持部(21)に前記第1電線(wb)が保持された場合には前記絶縁部材(15)が接触点となり、且つ、前記保持部(21)に前記第2電線(wa)が保持された場合には露出した前記接続箇所(13)が接触点となる位置、に設けられた検査接点部(23)と、
前記検査接点部(23)と、前記第1電線(wb)の他端及び前記第2電線(wa)の他端と、の間が導通しているか否かを判定可能な検査部(30)と、を備えた、
ワイヤハーネスの導通検査装置。
(2)
上記(1)に記載の導通検査装置(1)において、
前記第1端子(10B)及び前記第2端子(10A)は、アース端子である、
ワイヤハーネスの導通検査装置。
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載の導通検査装置(1)において、
前記保持部(21)は、
前記接触点(15,13)と前記検査接点部(23)とが接触した状態を維持するように前記接触点(15,13)と前記検査接点部(23)との間の相対的移動を抑制する、ように構成された、
ワイヤハーネスの導通検査装置。
【符号の説明】
【0046】
1 導通検査装置
10A アース端子(第2端子)
10B アース端子(第1端子)
13 接続箇所
15 絶縁性チューブ(絶縁部材)
21 治具板(保持部)
23 検査接点部
30 検査器(検査部)
WH ワイヤハーネス
wa 電線(第2電線)
wb 電線(第1電線)
図1
図2
図3