【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年11月30日掲載のhttp://fishing.shimano.co.jp/、http://fishing.shimano.co.jp/product/newinfo、http://fishing.shimano.co.jp/info?year−=2017&cat=2及びhttp://fishing.shimano.co.jp/product/rod/5206 平成29年11月30日株式会社芸文社頒布のGijie特別編集サクラマス2018第1頁〜2頁及び第104頁〜105頁 平成29年12月21日株式会社内外出版社頒布のルアーマガジン・リバー2018年2月号第64頁 平成29年12月4日から販売
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内側湾曲部と支持脚部の下端部との間の区間は、正面視において、内側湾曲部から途中の変曲点まで徐々に前記直線から左右方向外側に離れていく上部傾斜部と、変曲点から支持脚部の下端部まで徐々に前記直線に近づいて行く下部傾斜部とから構成され、変曲点は支持脚部の下端部寄りの位置に形成されている請求項1記載の釣糸ガイド。
ガイドリングの外周面に周溝が形成され、該周溝にガイドフレームの枠部が係合しており、枠部によって保持されていないガイドリングの非保持領域における周溝を埋めるスペーサを備えている請求項1又は2記載の釣糸ガイド。
スペーサはガイドリングに接着固定されており、ガイドリングの周溝に係合しているスペーサの係合部のうち、前部と後部はガイドリングの周溝に当接し、前後方向中間部はガイドリングの周溝から離間していて、ガイドリングの周溝の溝底部とスペーサの係合部の前後方向中間部との間には接着溜まりが形成されている請求項4記載の釣糸ガイド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、軽量化と糸絡みの発生抑制とガイドリングの保持力の向上を図ることができる釣糸ガイドとそれを備えた釣竿を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る釣糸ガイドは、釣糸を案内するためのガイドリングと、該ガイドリングを保持するためのガイドフレームとを備えた釣糸ガイドであって、ガイドフレームは、ガイドリングの外周面全周のうち所定角度領域に当接する枠部と、竿体に取り付けるための取付部と、枠部の周方向の両端部と取付部とを連結する左右一対の支持脚部とを備え、ガイドフレームの少なくとも枠部と左右両支持脚部の上部は一本の金属線材から構成されており、ガイドフレームの枠部と両支持脚部との左右両境界部にはそれぞれ左右方向内側に湾曲した形状の内側湾曲部が形成され、前側から見た正面視において、ガイドフレームの内側湾曲部と支持脚部の下端部との間の区間は、内側湾曲部と支持脚部の下端部とを結ぶ直線に対して、左右方向外側に膨らんだ形状となっていることを特徴とする。尚、竿先側を前側、竿尻側を後側とする。また、取付部側を下側、ガイドリング側を上側とし、前側から見たときにおいて、上下方向と直交する方向を左右方向とする。
【0007】
該構成の釣糸ガイドにおけるガイドフレームの枠部と両支持脚部との左右両境界部には、それぞれ左右方向内側に湾曲した形状の内側湾曲部が形成されている。即ち、ガイドフレームの枠部がガイドリングから離れる箇所において、ガイドフレームが左右方向内側に括れた形状となっている。このようにガイドリングの下側の位置においてガイドフレームに括れ部が形成されていることで、ガイドフレームの枠部によってガイドリングをしっかりと保持することができる。そして、ガイドフレームの内側湾曲部と支持脚部の下端部との間の区間において左右方向外側に膨らむ形状とすることで、内側湾曲部から支持脚部の下端部に向けて一直線状に延びる形状に比して、釣糸が支持脚部に絡みにくくなる。
【0008】
特に、内側湾曲部と支持脚部の下端部との間の区間は、正面視において、内側湾曲部から途中の変曲点まで徐々に前記直線から左右方向外側に離れていく上部傾斜部と、変曲点から支持脚部の下端部まで徐々に前記直線に近づいて行く下部傾斜部とから構成され、変曲点は支持脚部の下端部寄りの位置に形成されていることが好ましい。膨出形状の変曲点を支持脚部の下端部寄りの位置に形成することによって、釣糸をより一層スムーズに左右方向外側に導くことができて糸絡みが発生しにくくなる。
【0009】
また、ガイドリングの外周面に周溝が形成され、該周溝にガイドフレームの枠部が係合しており、枠部によって保持されていないガイドリングの非保持領域における周溝を埋めるスペーサを備えていることが好ましい。ガイドリングの外周面に周溝が形成されていてその周溝とガイドフレームの枠部とが係合している構成とすると、ガイドフレームの枠部によるガイドリングの保持力を大きくすることができる。一方、ガイドリングの非保持領域においてはガイドリングの周溝が露出することになるので、その周溝をスペーサで埋めることで、ガイドリングの非保持領域の外周面と釣糸との接触抵抗を減少させることができる。
【0010】
更に、スペーサの周方向の両端部は、ガイドフレームの左右の内側湾曲部の内側に接近し且つ離間していることが好ましい。このようにスペーサの周方向の両端部がガイドフレームの左右の内側湾曲部の内側に接近した構成とすることで、ガイドリングの非保持領域における周溝の周方向の略全体をスペーサで埋めることができる。そして、スペーサの周方向の両端部がガイドフレームの左右の内側湾曲部に当接せずに離間した構成とすることで、スペーサが左右の内側湾曲部を内側から突っ張るようにして外側に向けて押すということがない。従って、ガイドフレームによってガイドリングをしっかりと保持することができる。
【0011】
更に、スペーサはガイドリングに接着固定されており、ガイドリングの周溝に係合しているスペーサの係合部のうち、前部と後部はガイドリングの周溝に当接し、前後方向中間部はガイドリングの周溝から離間していて、ガイドリングの周溝とスペーサの係合部の前後方向中間部との間には接着溜まりが形成されていることが好ましい。上述のようにスペーサとガイドフレームの左右の内側湾曲部とが当接されていない構成ではスペーサをガイドリングにしっかりと接着固定する必要がある一方で、接着剤のはみ出しは防ぐ必要がある。そのため、ガイドリングの周溝とスペーサの係合部の前後方向中間部との間に接着溜まりを形成することで、スペーサをガイドリングに強固に接着することができ、接着剤のはみ出しも防止できる。
【0012】
また、本発明に係る釣竿は、このような釣糸ガイドを備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、ガイドフレームの枠部と支持脚部の境界部に内側湾曲部が形成され、且つ、その内側湾曲部と支持脚部の下端部との間の区間が外側に膨らんだ形状とされているので、釣糸ガイドを軽量化でき、糸絡みの発生を抑制できて、ガイドリングの保持力を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る釣糸ガイドについて
図1〜
図11を参酌しつつ説明する。本実施形態における釣糸ガイドは、
図1〜
図7のように、釣糸を直接案内するためのガイドリング2と、該ガイドリング2を保持すると共にガイドリング2と竿体5とを繋ぐためのガイドフレーム3と、該ガイドリング2の周溝を埋めるためのスペーサ4とを備えている。
【0016】
図中、竿体5の軸線方向を前後方向と称すると共に、竿先側(前側)を符号X1で示し、竿尻側(後側)を符号X2で示す。また、竿体5の軸線方向と直交する方向であってガイドリング2の中心線50を通る平面上の方向を上下方向とし、竿体5から離れる方向を上側として符号Z1で示し、竿体5に近づく方向を下側として符号Z2で示す。尚、上側は釣糸ガイドの先端側であり、下側は釣糸ガイドの基端側である。また、上側から見た平面視において竿体5の軸線方向と直交する方向を左右方向とし、それを符号Yで示す。尚、竿体5の軸線方向(前後方向)は竿体5の中心線の方向であって、後述するガイドフレーム3の取付部32の長手方向であり、左右方向は取付部32の短手方向(幅方向)である。
【0017】
<ガイドリング2>
ガイドリング2は、
図1に示すように円形の環状であるが、楕円形や長円形等であってもよい。ガイドリング2は耐摩耗性に優れた、種々の硬質材料からなり、例えばSiC(シリコンカーバイト)に代表されるセラミックであっても無論よいが、本実施形態ではチタンからなる。チタンとしてはチタン合金が好ましい。チタン合金は、α相とβ相が混在しているものであって、主としてα相であって一部にβ相が残留したニアα型(少量のβ安定化元素を添加したα合金)、α+β型、β型が好適である。特にβ型のチタン合金であることが好ましく、冷間加工性が良く、部材の強度も容易に確保できる。ニアα型としては、例えば、Ti−8Al−1Mo−1VやTi−6Al−2Nb−1Ta−0.8Mo等である。α+β型は、ニアα型よりも多量のβ相が残留しており、例えば、Ti−3Al−2.5VやTi−6Al−4V等である。β型は、準安定β型とも称されるものであって、α+β型に比してβ安定化元素が多く、α安定化元素が少ない。β型では、残留β相中に微細な粒でα相が分散して生成しており、従って、β型においてもその表面にはα相とβ相とがまだら模様となって存在している。β型としては、例えば、Ti−15V−3Cr−3Sn−3Alや、Ti−3Al−8V−6Cr−4Zr−4Moや、Ti−10V−2Fe−3Al等があるが、特に、冷間加工性に優れていることからTi−15V−3Cr−3Sn−3Alが好ましい。
【0018】
ガイドリング2は、釣糸が挿通する糸挿通孔を有しており、ガイドリング2の内周面2aを釣糸が摺動することで釣糸を直接案内する。
図6、
図7及び
図9(b)に示しているように、ガイドリング2の内周面2aは、断面視において、内側凸(中心側凸)となるように前後方向に湾曲した曲面である、また、ガイドリング2の外周面2bも断面視において内側凸(中心側凸)となるように前後方向に湾曲した曲面である。即ち、ガイドリング2は、中心線50の方向に切断した断面視において、中心側凸となるように弧状に湾曲した凸状の内周面2aと、中心側凸となるように弧状に湾曲した凹状の外周面2bとを有している。ガイドリング2の内周面2aと外周面2bは互いに対応した形状となっている。また、ガイドリング2は曲げ加工された薄肉の金属板からなり、その金属板の表面と裏面がそれぞれ内周面2aと外周面2bになっている。
【0019】
詳細には、ガイドリング2は、薄肉の金属板が中心側凸となるように弧状に湾曲していることから、その中心線50の方向の両端部22,23、即ち、前後両端部22,23がそれぞれ径方向外側に環状に突出している。そのため、ガイドリング2の外周面2bには、前後両端部22,23間に断面視円弧状の周溝20が全周に亘って形成されている。前後両端部22,23の直径は何れもガイドフレーム3の枠部30の内径(枠部30の内周面のうち最も小径の部分である頂点における直径)よりも大きい。前後両端部22,23の直径は互いに同一であってもよいが、一方の直径が他方の直径よりも小さいことが好ましく、本実施形態では、前端部22の直径が後端部23の直径よりも小さい。
【0020】
後述するように、ガイドリング2の外周面2bの周溝20にはガイドフレーム3の枠部30とスペーサ4が係合する。ガイドフレーム3は断面円形の金属線材からなり、その円形断面の全周のうち180度を越える角度範囲がガイドリング2の外周面2bの周溝20に係合する。尚、
図9(b)のように、ガイドリング2の径方向の厚さG1は、ガイドリング2の中心線50の方向に沿った寸法G2(長さ)よりも小さい。
【0021】
ガイドリング2は、金属板を所定形状にプレス加工することにより形成されている。
図8のように例えばチタン合金からなる金属板をドーナツ状に打ち抜き、この打ち抜いたドーナツ状の金属板21を
図9(a)のように表面と裏面のうち一方の面側から矢印で示すようにプレス加工して筒状に変形させると共に、筒状となった金属板21の一端部を径方向外側に鍔状に湾曲させて端部23を形成する。次に、
図9(b)のように反対側である他方の面側から矢印で示すように筒状の金属板21を更にプレス加工してその他端部も一端部と同様に径方向外側に鍔状に湾曲させて端部22を形成し、筒状の金属板21の断面形状を全体として中心側凸に湾曲した断面視弧状の断面形状としてガイドリング2を形成する。
【0022】
尚、金属板21の他端部の湾曲の大きさは一端部のそれに比して小さく、即ち、ガイドリング2の他端部の湾曲の大きさは一端部のそれよりも小さい。従って、ガイドリング2の外径は他端部よりも一端部の方が大きい。このようにして形成されたガイドリング2の両端部22,23はそれぞれ径方向外側に突出した環状の端部となり、その両端部22,23の間が周溝20となって、その周溝20にガイドフレーム3やスペーサ4が係合する。
【0023】
尚、ガイドリング2の外周面2bとガイドフレーム3の枠部30とは径方向に切断した断面視において面接触してもよいが、点接触してもよい。ガイドフレーム3は円形断面を有する金属線材であるが、ガイドリング2の外周面2bとガイドフレーム3とが点接触する場合、一点ではなく前後(金属線材の円形断面の周方向)に間隔をあけて複数点で接触する構成とすることが好ましく、二点あるいは三点で接触することがより好ましい。
【0024】
<ガイドフレーム3>
ガイドフレーム3は、竿体5の外周面に取り付けるための取付部32と、該取付部32の前端部から上側に向かって即ち竿体5から径方向外側に離れるように立ち上がって、竿体5から所定距離離れた位置でガイドリング2を保持するフレーム本体部とを備えている。フレーム本体部は、上側の枠部30と下側の支持脚部31とからなり、枠部30はガイドリング2を保持し、支持脚部31は枠部30と取付部32とを連結する。
【0025】
ガイドフレーム3は、少なくとも枠部30と支持脚部31の上部が金属線材から構成され、枠部30と支持脚部31の上部は一本の金属線材から構成されている。本実施形態では、ガイドフレーム3の全体が金属線材から構成されている。ガイドフレーム3は中空部と中実部とから構成されている。ガイドフレーム3は二つの部材から構成されており、中空状の金属線材からなる中空体34と中実状の金属線材からなる中実体35とが接合一体化されて構成されている。即ち、ガイドフレーム3は、中空体34と中実体35とが互いに接合されて一体化されたハイブリッド構成となっている。中空体34は一本の中空状の金属線材から構成され、中実体35は一本の中実状の金属線材から構成されている。中空状の金属線材の両端部34aと中実状の金属線材の両端部35aとがそれぞれ所定長さに亘って接合されて一体化されてガイドフレーム3が構成されている。従って、ガイドフレーム3は、二本の金属線材から構成されていて、全体として無端状となっている。
【0026】
ガイドフレーム3は、二本の金属線材の両端部34a,35a同士がそれぞれ接合されており、左右二箇所の線材接合部36を有している。中実状の金属線材は中空状の金属線材の内径に対応した外径を有しており、中実状の金属線材の両端部35aが中空状の金属線材の両端部34aに挿入されて接合されている。接合方法は接着であってもよいし溶接であってもよい。線材接合部36は、取付部32とフレーム本体部との境界部33よりも上側に位置しており、従って、線材接合部36は取付部32と支持脚部31の境界部33よりも上側に位置している。線材接合部36は支持脚部31のうちの特に下部に設けられるが、本実施形態では線材接合部36は支持脚部31の最下部に位置している。中空状の金属線材の両端部34aの内側に中実状の金属線材の両端部35aが所定の長さに亘って挿入されることにより、所定長さの線材接合部36が形成されている。
【0027】
図6のように、フレーム本体部は取付部32に対して上側に所定角度で立ち上がっている。ガイドリング2の中心線50は、竿体5の中心線と平行であってもよいし、竿体5の中心線と平行ではなく前側に傾倒していてもよい。従って、フレーム本体部は取付部32に対して上側に直角に立ち上がっていてもよいし、前傾姿勢で立ち上がっていてもよい。本実施形態ではガイドリング2の中心線50は竿体5の中心線と平行ではなく前側に若干傾倒しており、従って、フレーム本体部は若干前傾姿勢となるように立ち上がっている。尚、
図3、
図4及び
図10は、ガイドリング2の中心線50の方向から見ている。
【0028】
ガイドフレーム3のうち、取付部32の全体と、取付部32とフレーム本体部との境界部33は中実体35のみから構成されている。フレーム本体部のうち最下部を除く大部分が中空体34のみから構成されており、フレーム本体部の最下部は中実体35と中空体34とにより形成された線材接合部36から構成されている。中空体34の単体を
図10に示している。中空体34は、枠部30と左右一対の支持脚部31の略全体を構成すべく、一本の中空状の金属線材がU字状に曲げられて形成されており、中空状の金属線材の両端部34aが左右に並んでいて互いに当接あるいは近接した状態となっている。左右の支持脚部31はその下端部において互いに左右方向に最も接近していてその箇所が最接近点となっている。本実施形態では支持脚部31の下端部同士は当接あるいは僅かな隙間を介して近接している。
図10の符号Pは、左右の支持脚部31の下端部同士が当接あるいは近接した点であり、少なくとも最接近した点であって、この点Pを以下単に最接近点Pと称する。尚、中実体35の詳細については後述する。
【0029】
金属線材は、例えばチタン合金やステンレス、アルミニウム合金からなる。その中でも特に軽量化の観点からはチタン合金が好ましい。チタン合金の詳細についてはガイドリング2と同様であり、冷間加工性が良く、部材の強度も容易に確保できることから、β型のチタン合金が好ましい。尚、中空状の金属線材と中実状の金属線材とは、互いに異なる材質であってもよいし、同じ材質であってもよく、一例としては、何れもβ型のチタン合金として軽量化を図ることができる。金属線材は、円形の断面形状を有している。中空状の金属線材の外径、即ち、金属線材の線径は例えば0.3〜6mm、好ましくは1〜3mmである。中実状の金属線材の外径は、上述したように中空状の金属線材の内径に対応したものが好ましい。
【0030】
<枠部30>
枠部30は、その内側にガイドリング2を保持するための部分であってフレーム本体部の先端側の領域を構成しており、所定の中心角θを有する円弧状に形成されている。枠部30は、中空状の金属線材をガイドリング2の外周面に沿って曲げ加工することによって下側に開口したC字状に形成されており、従って、枠部30は、その全体が中空状である。枠部30はガイドリング2に対応したサイズ、形状となっている。枠部30は、ガイドリング2の全周のうち所定角度範囲のみに当接して、その所定角度範囲のみでガイドリング2の外周面を支持する。枠部30はガイドリング2の所定角度範囲を周回して保持するがその中心角θは180度を越えている。
【0031】
図10に、枠部30の内周面を延長した仮想円52を二点鎖線で示している。この仮想円52は、枠部30の内周面を周方向に360度まで延長し、その360度の内周面をガイドリング2の中心線50の方向に見たときの円である。この仮想円52の直径が枠部30の内径(枠部30の内周面のうち最も小径の部分である頂点における直径)である。正面から見て、支持脚部31の下端部同士が当接した最接近点Pから仮想円52に向けて接線を左右それぞれ引いたとき、二本の接線が仮想円52と接する接点を符号54で示している。枠部30の中心角θは、接点54間の上側の中心角αよりも大きい。最接近点Pにおいて当接していない場合には左右に離間した左右それぞれの最接近点Pから接線を引く。
【0032】
<支持脚部31>
支持脚部31は、枠部30と取付部32との間に位置して枠部30と取付部32とを連結している。支持脚部31は、正面視において左右に二本並んだ二本足の構成であって左右対称形状とされており、枠部30の両端部から下方に向けてそれぞれ延びている。左右の支持脚部31はその下端部において互いに最接近していて本実施形態では当接しており、その最接近点Pから枠部30の両端部に向けて徐々に左右に広がりながら離間していく。従って、左右の支持脚部31は正面視において全体としてはV字状となっている。左右一対の支持脚部31の上端部における左右方向の離間距離は、仮想円52の直径よりも小さい。
【0033】
枠部30の両端部と左右の支持脚部31との間にはそれぞれ左右方向内側に向けて湾曲した内側湾曲部37が形成されている。そして、前側から見た正面視において、ガイドフレーム3の内側湾曲部37から支持脚部31の下端部までの区間は、左右方向外側に膨らんだ形状となっている。
図10に、内側湾曲部37の内面頂部と支持脚部31の下端部の最接近点Pとを結ぶ仮想直線53を左右それぞれ二点鎖線で示している。ガイドフレーム3の内側湾曲部37から支持脚部31の下端部までの区間は、この仮想直線53に対して左右方向外側に向けて膨出した形状となっている。最接近点Pにおいて当接していない場合には左右に離間した左右それぞれの最接近点Pと内側湾曲部37の内面頂部とを結ぶ仮想直線53とする。
【0034】
詳細には、内側湾曲部37から支持脚部31の下端部までの区間は、正面視において、内側湾曲部37から途中の変曲点38まで徐々に仮想直線53から左右方向外側に離れていき、その後、変曲点38から支持脚部31の下端部まで徐々に仮想直線53に近づいて行く。従って、内側湾曲部37から支持脚部31の下端部までの区間は、内側湾曲部37から変曲点38までの上部傾斜部39aと、変曲点38から支持脚部31の下端部までの下部傾斜部39bとから構成されている。変曲点38の近傍は左右方向外側に湾曲した形状である。正面視において上部傾斜部39aは直線状に延びている。また、下部傾斜部39bも正面視において直線状に延びている。変曲点38は支持脚部31の下端部寄りの位置にある。即ち、変曲点38は、内側湾曲部37から支持脚部31の下端部までの区間のうち、下側半分の区間に位置している。正面視において、ガイドフレーム3の上下方向に延びる中心線に対する上部傾斜部39aの傾斜角度は、ガイドフレーム3の上下方向に延びる中心線に対する下部傾斜部39bの傾斜角度よりも小さい。従って、左右の支持脚部31の左右の広がりの程度は、下部傾斜部39bの区間において相対的に急であり、上部傾斜部39aの区間において相対的に緩やかである。
【0035】
<取付部32>
中実体35は、一本の中実状の金属線材から構成されている。一本の中実状の金属線材は中間地点において左右に二つ折りに折り返されていて、その折り返し部が後端部に位置し、中実状の金属線材の両端部35aは前側且つ上側を向いている。従って、中実体35は二つ折り状態の左右一対の線状部からなる。一本の中実状の金属線材は取付部32の後端部において左右に二つ折りに折り返されている。取付部32において左右一対の線状部は左右平行に並んでいて、本実施形態では互いに当接している。但し、取付部32において左右一対の線状部が互いに僅かに左右に離間していてもよい。左右一対の線状部は、フレーム本体部と取付部32との境界部33から左右にV字状に開きながら上側且つ前側に傾斜しつつ所定長さ延びている。即ち、中実体35は、左右一対の線状部が並列状態とされた並列部と、該並列部の前端部から上側にV字状に開きつつ延びる上方延伸部とから構成されており、並列部が取付部32となり、上方延伸部の少なくとも上部が中空体34の両端部34aに挿入されて線材接合部36を形成するための左右一対の接合用挿入部となっている。尚、本実施形態では上方延伸部の略全体が左右一対の接合用挿入部となっていて中空体34の両端部34aに挿入される。尚、取付部32の下面の略全長には、竿体5の外周面に沿うように左右方向に沿って上側凸に湾曲した図示しない凹面部が形成されていることが好ましい。
【0036】
<スペーサ4>
上述のように、枠部30は下方に開口したC字状である。枠部30は、ガイドリング2の外周面2bの全周のうち上側の所定角度領域のみに当接して支持している。従って、ガイドリング2の外周面2bのうち下側の所定角度領域はガイドフレーム3には当接していない。この下側の所定角度領域が、ガイドリング2が枠部30によって保持されていない非保持領域であり、ガイドリング2の全周のうちガイドフレーム3の枠部30が周回していない非周回部分である。非保持領域にスペーサ4が設けられている。
【0037】
スペーサ4の単体の状態を
図11に示している。
図11(a)のように、スペーサ4の内面40は、ガイドリング2の外周面2bに対応した半径を有し、非保持領域に対応した中心角を有する円弧状の棒状体である。
図11(b)のように、スペーサ4の内面40はガイドリング2の中心線50の方向に沿っていて、スペーサ4の外面41もガイドリング2の中心線50の方向に沿っており、内面40と外面41は互いに平行である。スペーサ4の前後の側面42は前側及び後側に膨出湾曲している。
【0038】
図7のように、スペーサ4は、ガイドリング2の非保持領域の周溝20を埋めるように、ガイドリング2の非保持領域の周溝20に係合している。また、スペーサ4はガイドリング2に接着されている。尚、スペーサ4はガイドリング2の前後両端部22,23よりも径方向外側に僅かにはみ出す。そのはみ出し量は、
図3のように前側において相対的に大きく、
図4のように後側において相対的に小さい。ガイドリング2の非保持領域の周溝20に係合しているスペーサ4の部分が係合部である。スペーサ4の係合部は、前部と後部と前後方向中間部とから構成されており、前部と後部は断面円弧状であり、前後方向中間部は断面直線状である。スペーサ4の内面40が係合部の前後方向中間部を構成し、スペーサ4の前後両側面42のうちの内側部分が係合部の前部と後部を構成している。スペーサ4の前後両側面42のうちの内側部分はガイドリング2の周溝20に当接している。スペーサ4の内面40はガイドリング2の周溝20から径方向外側に離間しており、ガイドリング2の周溝20とスペーサ4の内面40との間には周方向に延びる筋状の空隙である接着溜まり43が形成されている。接着溜まり43は、スペーサ4の周方向の全長に亘って形成される。この接着溜まり43に、スペーサ4をガイドリング2に接着するための接着剤を溜めることができる。
【0039】
図11(a)のように、スペーサ4のの周方向両端部4aの前後両側面42にはそれぞれ切欠部44が形成されており、該切欠部44も接着溜まりとなる。スペーサ4の周方向両端部4aは、ガイドフレーム3の左右の内側湾曲部37には当接しておらず僅かに離間するように近接している。スペーサ4の周方向両端部4aとガイドフレーム3の左右の内側湾曲部37との間の離間距離は僅かであってそれぞれ好ましくは1mm以下、より好ましくはそれぞれ0.5mm以下とされる。
【0040】
スペーサ4の材質は、比重の小さいものが好ましく、例えば、硬質樹脂や繊維強化樹脂とすることができ、射出成形により形成できる。繊維強化樹脂とする場合、特にカーボン繊維を強化繊維とすることが好ましい。尚、スペーサ4を、ガイドフレーム3やガイドリング2と同様にチタン合金等の金属製としてもよい。
【0041】
以上のように構成された釣糸ガイドは、ガイドリング2にスペーサ4を接着し、そのスペーサ4付きのガイドリング2をガイドフレーム3に後側から前側に向けて押し込むように装着して製造される。そして、釣糸ガイドは、釣竿の竿体5の外周面に取り付けられる。竿体5の上に釣糸ガイドの取付部32を載置し、取付部32と竿体5とに亘って図示しない巻糸を巻き付けて釣糸ガイドを竿体5に緊縛する。更に、接着性のある合成樹脂(接着剤)を巻糸の巻き付け部分に塗布して固める。
【0042】
以上のように構成された釣糸ガイドにあっては、ガイドフレーム3の枠部30と支持脚部31の境界部に内側湾曲部37が形成されているので、ガイドフレーム3の枠部30でガイドリング2をしっかりと保持することができる。特に、枠部30の中心角が180度を越えているので、大きな保持力が得られ、ガイドリング2のガイドフレーム3からの抜け落ちを防止できる。また、内側湾曲部37と支持脚部31の下端部との間の区間が外側に膨らんだ形状となっているので、ガイドフレーム3の支持脚部31に釣糸が絡む糸絡みの発生を防止することができる。特に、外側に膨出した変曲点38が支持脚部31の下端部寄りに位置しているので、ガイドフレーム3の支持脚部31の下部外面に接触する釣糸をスムーズに左右方向外側に導きつつ上側に逃がすことができて、糸絡みが発生しにくくなる。
【0043】
更に、左右に内側湾曲部37を形成することでガイドリング2の非保持領域を小さくすることができ、スペーサ4を使用する構成であってもそのスペーサ4の中心角を小さくすることができ、スペーサ4を小型軽量化できる。従って、釣糸ガイドを全体として軽量化することができる。
【0044】
また、スペーサ4がガイドリング2の非保持領域における周溝20を埋めているので、ガイドリング2の外周面2bの露出部分を減少させることができる。そして、ガイドリング2の非保持領域の周溝20がスペーサ4によって埋められることで、ガイドリング2の非保持領域の外周面2bと釣糸との接触抵抗を減少させることができる。特に、スペーサ4がガイドリング2よりも径方向外側にはみ出しているので、釣糸がガイドリング2の前後両端部22,23に接触しにくくなる。また、スペーサ4がガイドリング2よりも径方向外側にはみ出していても、そのはみ出し量は少なく周方向に筋状に延びる程度である。従って、釣糸ガイドを前側あるいは後側から見たとき、スペーサ4の露出部分は非常に少なく、スペーサ4が目立たない。そのため、ガイドリング2のみが存在しているような外観が得られる。
【0045】
また、スペーサ4が左右の支持脚部31を連結する構成ではなく、スペーサ4の周方向の両端部4aはガイドフレーム3の左右の内側湾曲部37の内側に接近しているものの離間している。スペーサ4の周方向の両端部4aがガイドフレーム3の左右の内側湾曲部37の内側に接近しているので、ガイドリング2の非保持領域における周溝20の周方向の略全体をスペーサ4で埋めることができる。一方、スペーサ4の周方向の両端部4aがガイドフレーム3の左右の内側湾曲部37から内側に僅かに離間しているので、スペーサ4が左右の内側湾曲部37を内側から突っ張るように外側に向けて押すということがない。従って、ガイドフレーム3の枠部30によってガイドリング2を左右から狭持するようにして確実に保持することができる。
【0046】
一方、ガイドリング2の周溝20とスペーサ4の内面40との間に、スペーサ4の周方向の全長に亘って延びる筋状の接着溜まり43が形成されているので、その接着溜まり43によってスペーサ4をガイドリング2に強固に接着することができる。また、接着剤のはみ出しも防止できる。尚、スペーサ4の周方向両端部4aにも切欠部44が形成されていてその切欠部44を接着溜まりとして使用することができるので、スペーサ4の周方向両端部4aをガイドリング2あるいは枠部30に確実に接着固定でき、スペーサ4の周方向両端部4aにおける接着剤のはみ出しも防止できる。
【0047】
尚、本実施形態ではスペーサ4を用いたが、スペーサ4を使用しなくてもよい。例えば、ガイドリング2の非保持領域における周溝20を充填材で埋めてもよい。充填材として樹脂を用いてそれを周溝20に流し入れて硬化させてもよい。
【0048】
また、ガイドフレーム3が中空体34と中実体35とからなるハイブリッド構成であったが、ガイドフレーム3が中空体34のみからなる構成であったり、ガイドフレーム3が中実体35のみからなる構成であったりしてもよい。即ち、ガイドフレーム3の全体が中空状の金属線材から構成されていてもよいし、ガイドフレーム3の全体が中実状の金属線材から構成されていてもよい。また、ガイドフレーム3の一部が金属線材以外の構成であってもよい。