特許第6970009号(P6970009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6970009冗長電源システム、電力供給装置、試験実行装置、試験方法、及び試験プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970009
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】冗長電源システム、電力供給装置、試験実行装置、試験方法、及び試験プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   H02M3/00 W
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-251550(P2017-251550)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-118205(P2019-118205A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2020年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】内川 偉史
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−254082(JP,A)
【文献】 特開2011−030367(JP,A)
【文献】 特開平07−046837(JP,A)
【文献】 特開2015−154552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び
前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置に前記電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した前記電圧低下試験の開始信号に応じた前記電圧低下試験の結果信号を、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置から受信し、
受信した前記電圧低下試験の結果信号に基づいて前記電圧低下試験の結果を出力する
試験実行装置
を備えた冗長電源システム。
【請求項2】
前記冗長電源システムが前記負荷及び前記電力供給装置に関してn+m冗長構成(n及びmは自然数)を成す場合に、前記試験実行装置は、前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の台数を前記nにする
請求項1に記載の冗長電源システム。
【請求項3】
前記試験制御手段は、前記入力電力を遮断するか、又は前記出力電圧値の絶対値を、前記負荷を動作させることが不可能な電圧の絶対値に比べて十分低い電圧値にする出力停止試験を実行可能な
請求項1又は2に記載の冗長電源システム。
【請求項4】
前記試験実行装置は、前記警報信号が出力されなかった場合に、前記出力停止試験を実行する
請求項3に記載の冗長電源システム。
【請求項5】
前記試験制御手段は、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を、前記電圧低下制御を中止した場合であっても、前記電圧低下制御の中止が実際に効果を発揮するまでの間に前記負荷が正常に動作可能な範囲内で徐々に低下させる
請求項1乃至4の何れか1項に記載の冗長電源システム。
【請求項6】
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御手段と
を備えた電力供給装置。
【請求項7】
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から徐々に 低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置に接続され、
前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置に前記電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した前記電圧低下試験の開始信号に応じた前記電圧低下試験の結果信号を、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置から受信し、
受信した前記電圧低下試験の結果信号に基づいて前記電圧低下試験の結果を出力する
試験実行装置。
【請求項8】
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び
試験実行装置
を備えた冗長電源システムにおける前記電力供給装置の試験方法であって、
前記電力供給装置によって、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御手順と、
前記試験実行装置によって、
前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置に前記電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した前記電圧低下試験の開始信号に応じた前記電圧低下試験の結果信号を、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置から受信し、
受信した前記電圧低下試験の結果信号に基づいて前記電圧低下試験の結果を出力する手順と
を行う、電力供給装置の試験方法。
【請求項9】
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び
試験実行装置
を備えた冗長電源システムにおける前記電力供給装置が備えるコンピュータに、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御処理を実行させる
電力供給装置の試験プログラム。
【請求項10】
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び
試験実行装置
を備えた冗長電源システムにおける前記試験実行装置が備えるコンピュータに、
前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置に電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した前記電圧低下試験の開始信号に応じた前記電圧低下試験の結果信号を、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置から受信し、
受信した前記電圧低下試験の結果信号に基づいて前記電圧低下試験の結果を出力する
処理を実行させる
試験実行装置の試験プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置へ電力を供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、負荷(1台以上の電気装置の全体)に、複数台の電力供給装置(電力供給ユニット)によって電力を供給する電源を「集中電源」と称することとする。
【0003】
集中電源には、個々の電気装置に対して個別の電源を用意する場合に比べて、電力平準化によって電力供給装置の台数を減らしたり、入力電力に対する出力電力の変換効率を高めたりすることができるという効果がある。
【0004】
集中電源では、個々の電力供給装置における故障に対する耐故障性を高めるために、「n+m冗長電源」(以下、単に「冗長電源」とも称す)の構成をとることが多い。本明細書において、n+m冗長電源とは、負荷の動作に少なくともn台(n:自然数)の電力供給装置が必要である場合に、通常時にはn+m台(m:自然数)の電力供給装置によって負荷を動作させ、n+m台の電力供給装置のうち1乃至m台の電力供給装置が故障した場合に、n+m台の電力供給装置のうち故障していない電力供給装置によって、負荷を動作させることとする。尚、n+m冗長電源を慣習的に「n+n冗長電源」と称することがあるが、本明細書ではn+m冗長電源と称する。
【0005】
集中電源又は冗長電源では、複数台の電力供給装置が互いに並列に接続されるので、各電力供給装置は、他の電力供給装置からの電流の流入を防止する機構(以下、「逆流防止機構」と称す)を有することが多い。
【0006】
逆流防止機構を有する電源技術の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の電源冗長回路は、負荷に対して複数の電源部を並列接続した電源冗長回路である。各電源部は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、比較判定回路と、制御回路とを含む。MOSトランジスタは、電源(DC(Direct Current)−DCコンバータ)から負荷への電源供給経路に挿入される。比較判定回路は、MOSトランジスタの負荷側の端子電圧とMOSトランジスタの電源側の端子電圧の大小関係を比較判定する。制御回路は、比較判定回路による比較判定結果に基づいて、MOSトランジスタのオン/オフを制御する。上記構成の結果、特許文献1の電源冗長回路は、並列接続された他の電源からの回り込み電流を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−220304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の電源冗長回路によって、例えば、1+1冗長電源を構成した場合について説明する。特許文献1の電源冗長回路は、最初に2台の電源部の何れも故障していなければ、一方の電源部が故障しても、故障していない電源部が故障した電源部によって供給されていた電力分だけ供給電力を増加することによって、故障発生前と同じ電力を供給する。即ち、特許文献1の電源冗長回路では、2台の電源部のうち一方の電源部が故障しても、負荷を正常に動作させることができる。しかしながら、特許文献1の電源冗長回路は、最初に2台の電源部のうち一方のみが故障していれば、途中で他方の電源部が故障すると、他方の電源部における故障発生前と同じ電力を供給することができない。即ち、特許文献1の電源冗長回路では、2台の電源部の両方が故障すると、負荷を正常に動作させることができない。
【0009】
各電源部が、最初に完全には故障しておらず、一見正常に動作していても、特許文献1の電源冗長回路が、途中で負荷を正常に動作させることができなくなる場合がある。例えば、最初に、2台の電源部のうち一方が、負荷の動作に必要な電力の50%以下の電力を供給可能であるが、負荷の動作に必要な電力の50%を超える電力を供給不可能である故障(部分故障)を有することとする。又、他方の電源部は、最初に、故障を有していないこととする。この場合、最初に、各電源部は、負荷の動作に必要な電力の50%の電力を供給できるので、電源冗長回路は負荷を正常に動作させることができる。しかしながら、途中で、最初に故障を有していなかった電源部が故障すると、部分故障を有する電源部は負荷の動作に必要な電力の100%の電力を供給できないので、電源冗長回路は負荷を正常に動作させることができない。
【0010】
通常、このような部分故障を、電源部の動作時に診断することは困難である。従って、特許文献1の電源冗長回路では、各電源部が故障を電源部の非動作時に検査する必要がある。非動作時における電源部(電力供給装置)の検査を適切な頻度で行うことは、サービス利用性の低下や、保守工数の増大を引き起こすという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、冗長電源システムの動作時に冗長電源システムに含まれる電力供給装置における故障を検査することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様において、冗長電源システムは、入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、逆流防止部の負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、電圧低下試験の開始信号を受信した際に、安定化電源部に出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、コンパレータによって警報信号が出力された際、又は出力電圧値の絶対値が、負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、電圧低下制御を中止することと、電圧低下制御の最中に警報信号が出力されたか否かを表す電圧低下試験の結果信号を送信することとを行う試験制御手段とを含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び負荷を動作させるために最低限必要な電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、各組合せに含まれない全ての電力供給装置に電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した電圧低下試験の開始信号に応じた電圧低下試験の結果信号を、各組合せに含まれない全ての電力供給装置から受信し、受信した電圧低下試験の結果信号に基づいて電圧低下試験の結果を出力する試験実行装置を備える。
【0013】
本発明の一態様において、電力供給装置は、入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、逆流防止部の負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、電圧低下試験の開始信号を受信した際に、安定化電源部に出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、コンパレータによって警報信号が出力された際、又は出力電圧値の絶対値が、負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、電圧低下制御を中止することと、電圧低下制御の最中に警報信号が出力されたか否かを表す電圧低下試験の結果信号を送信することとを行う試験制御手段とを備える。
【0014】
本発明の一態様において、試験実行装置は、入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、逆流防止部の負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、電圧低下試験の開始信号を受信した際に、安定化電源部に出力電圧値の絶対値を現在の電圧から徐々に 低下させる電圧低下制御を開始することと、コンパレータによって警報信号が出力された際、又は出力電圧値の絶対値が、負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、電圧低下制御を中止することと、電圧低下制御の最中に警報信号が出力されたか否かを表す電圧低下試験の結果信号を送信することとを行う試験制御手段とを含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置に接続され、負荷を動作させるために最低限必要な電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、各組合せに含まれない全ての電力供給装置に電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した電圧低下試験の開始信号に応じた電圧低下試験の結果信号を、各組合せに含まれない全ての電力供給装置から受信し、受信した電圧低下試験の結果信号に基づいて電圧低下試験の結果を出力する。
【0015】
本発明の一態様において、電力供給装置の試験方法は、入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、逆流防止部の負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、試験制御手段とを含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び試験実行装置を備えた冗長電源システムにおける電力供給装置の試験方法であって、電力供給装置によって、電圧低下試験の開始信号を受信した際に、安定化電源部に出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、コンパレータによって警報信号が出力された際、又は出力電圧値の絶対値が、負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、電圧低下制御を中止することと、電圧低下制御の最中に警報信号が出力されたか否かを表す電圧低下試験の結果信号を送信することとを行う試験制御手順と、試験実行装置によって、負荷を動作させるために最低限必要な電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、各組合せに含まれない全ての電力供給装置に電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した電圧低下試験の開始信号に応じた電圧低下試験の結果信号を、各組合せに含まれない全ての電力供給装置から受信し、受信した電圧低下試験の結果信号に基づいて電圧低下試験の結果を出力する。
【0016】
本発明の一態様において、電力供給装置の試験プログラム又は、係る試験プログラムが格納された非一時的な記憶媒体は、入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、逆流防止部の負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、試験制御手段とを含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び試験実行装置を備えた冗長電源システムにおける電力供給装置が備えるコンピュータに、電圧低下試験の開始信号を受信した際に、安定化電源部に出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、コンパレータによって警報信号が出力された際、又は出力電圧値の絶対値が、負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、電圧低下制御を中止することと、電圧低下制御の最中に警報信号が出力されたか否かを表す電圧低下試験の結果信号を送信することとを行う試験制御処理を実行させる。
【0017】
本発明の一態様において、試験実行装置の試験プログラム又は、係る試験プログラムが格納された非一時的な記憶媒体は、入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、逆流防止部の負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、試験制御手段とを含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び試験実行装置を備えた冗長電源システムにおける試験実行装置が備えるコンピュータに、負荷を動作させるために最低限必要な電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、各組合せに含まれない全ての電力供給装置に電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した電圧低下試験の開始信号に応じた電圧低下試験の結果信号を、各組合せに含まれない全ての電力供給装置から受信し、受信した電圧低下試験の結果信号に基づいて電圧低下試験の結果を出力する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、冗長電源システムの動作時に冗長電源システムに含まれる電力供給装置における故障を検査できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態における冗長電源システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態における電力供給装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態における電力供給装置の動作を示すフローチャートである。
図4】電力供給装置における電圧低下試験時に、他の電力供給装置によって負荷側電圧値が維持される場合の動作を説明するグラフである。
図5】電力供給装置における電圧低下試験時に、他の電力供給装置によって負荷側電圧値が維持されない場合の動作を説明するグラフである。
図6】本発明の第1の実施形態における試験実行装置の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施形態における冗長電源システムの第1の動作例について説明する表である。
図8】本発明の第1の実施形態における冗長電源システムの第2の動作例について説明する表である。
図9】本発明の第1の実施形態における冗長電源システムの第3の動作例について説明する表である。
図10】本発明の第2の実施形態における冗長電源システムの構成の一例を示すブロック図である。
図11】本発明の第2の実施形態における電力供給装置の構成の一例を示すブロック図である。
図12】本発明の第2の実施形態における電力供給装置の第1の構成例を示すブロック図である。
図13】本発明の第2の実施形態における電力供給装置の第2の構成例を示すブロック図である。
図14】本発明の各実施形態における電力供給装置、試験実行装置、サーバ、又はBMCを実現可能なハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、すべての図面において、同等の構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
本発明の各実施形態の基本である、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0021】
本実施形態における構成について説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態における冗長電源システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
本実施形態の冗長電源システム600は、複数台の電力供給装置100と、負荷300と、試験実行装置510とを含む。
【0024】
複数台の電力供給装置100は、負荷300に対して互いに並列に接続される。複数台の電力供給装置100は、負荷300に対して冗長構成を成す集中電源である。電力供給装置100は、例えば、A/D(AC/DC:Alternating Current to Direct Current)コンバータ、又はD/D(DC/DC:Direct Current to Direct Current)コンバータである。
【0025】
負荷300は、複数台の電力供給装置100により動作可能な、1台以上の任意の電気装置である。電気装置は、例えば、サーバ、周辺装置、又はBMC(Baseboard Management Controller)である。
【0026】
試験実行装置510は、電力供給装置100に電圧低下試験(後述)を実行させる。試験実行装置510は、試験実行部500を含む。試験実行装置510は、複数台の電力供給装置100の何れか1台であってもよい。試験実行装置510は、負荷300に含まれてもよい。
【0027】
図2は、本発明の第1の実施形態における電力供給装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
電力供給装置100は、安定化電源部110と、逆流防止部120と、コンパレータ140と、試験制御部150とを含む。但し、電力供給装置100自身(特に、逆流防止部120、参照電圧値130、試験制御部150)は、電力供給装置100による出力の有無とは独立に動作することとする。
【0029】
安定化電源部110は、入力電力200を、出力電圧値Vrを有する直流電力に変換する。
【0030】
逆流防止部120は、安定化電源部110によって変換された直流電力を負荷300へ供給すると共に、電力供給装置100の負荷300側における直流電力の逆流を防止する。
【0031】
コンパレータ140は、逆流防止部120の負荷300側における負荷側電圧値Voutの絶対値が、所定の参照電圧値130(Vref)の絶対値以下である場合に警報信号Valarmを出力する。参照電圧値Vrefは、負荷300を動作させるための定格電圧より絶対値が低く、且つ負荷300を動作させることが可能な電圧である。ここで、参照電圧値Vrefは、負荷300を動作させることが可能な最低電圧値に所定のマージンが加算された電圧値であってよい。
【0032】
試験制御部150は、試験実行装置510からの試験制御信号、及びコンパレータ140からの警報信号Valarmに基づいて、安定化電源部110を制御する。試験制御部150は、
I)電圧低下試験の開始信号を受信した際に、安定化電源部110に出力電圧値Vrの絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、
II)コンパレータ140によって警報信号Valarmが出力された際、又は出力電圧値Vrの絶対値が、負荷300を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、電圧低下制御を中止することと、
III)電圧低下制御の最中に警報信号Valarmが出力された(電圧低下試験が失敗した)か否かを表す電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う。尚、上記I)において、出力電圧値Vrの絶対値は、上記II)において電圧低下制御が中止された場合であっても、電圧低下制御の中止が実際に効果を発揮するまでの間に負荷300が正常に動作可能な範囲内で徐々に低下させられることとする。
【0033】
試験実行部500は、
IV)負荷300を動作させるために最低限必要な電力供給装置100の全ての組合せにおける各組合せについて、
i)各組合せに含まれない全ての電力供給装置100に電圧低下試験の開始信号を送信し、
ii)送信した電圧低下試験の開始信号に応じた電圧低下試験の結果信号を、各組合せに含まれない全ての電力供給装置100から受信し、
V)受信した電圧低下試験の結果信号に基づいて電圧低下試験の結果を出力する。
【0034】
本実施形態における動作について説明する。
【0035】
図3は、本発明の第1の実施形態における電力供給装置の動作を示すフローチャートである。尚、図3に示すフローチャート及び以下の説明は一例であり、適宜求める処理に応じて、処理順等を入れ替えたり、処理を戻したり、処理を繰り返したり、又は途中で処理を中止してもよい。
【0036】
まず、電力供給装置100は、電圧低下試験の開始信号を受信する(ステップS110)。
【0037】
次に、電力供給装置100は、安定化電源部110に対して出力電圧値Vrの絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始する(ステップS120)。
【0038】
続いて、電力供給装置100は、コンパレータ140によって警報信号Valarmが出力されたか否かを判定する(ステップS130)。電力供給装置100は、コンパレータ140によって警報信号Valarmが出力されていれば(ステップS130:Yes)、ステップS150へ処理を進める。電力供給装置100は、コンパレータ140によって警報信号Valarmが出力されていなければ(ステップS130:No)、ステップS140へ処理を進める。
【0039】
続いて、電力供給装置100は、出力電圧値Vrの絶対値が、負荷300を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做されるか否かを判定する(ステップS140)。電力供給装置100は、出力電圧値Vrの絶対値が、負荷300を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做されるならば(ステップS140:Yes)、ステップS150へ処理を進める。電力供給装置100は、出力電圧値Vrの絶対値が、負荷300を動作させることが不可能な電圧に到達していないと見做されるならば(ステップS140:No)、ステップS130へ処理を戻す。
【0040】
続いて、電力供給装置100は、電圧低下制御を中止する(ステップS150)。その結果、出力電圧値Vrは電圧低下試験の開始前の電圧値に回復する。
【0041】
続いて、電力供給装置100は、電圧低下制御の最中に警報信号Valarmが出力された(電圧低下試験が失敗した)か否かを表す電圧低下試験の結果信号を、試験実行装置510へ送信する。
【0042】
図4は、電力供給装置における電圧低下試験時に、他の電力供給装置によって負荷側電圧値が維持される場合の動作を説明するグラフである。
【0043】
図4に示すように、ある電力供給装置100は、時刻t1において、電圧低下試験を開始しているので、出力電圧値Vrが徐々に低下している。
【0044】
図4に示すように、当該電力供給装置100における電圧低下試験時に、他の電力供給装置100によって負荷側電圧値Voutが維持されるので、時刻t2を経過しても、警報信号Valarmは出力されない。
【0045】
図4に示すように、当該電力供給装置100における電圧低下試験時に、他の電力供給装置100によって負荷側電圧値Voutが維持されるので、出力電圧値Vrがほぼ0になることが想定される時刻t3においても、警報信号Valarmは出力されない。
【0046】
図5は、電力供給装置における電圧低下試験時に、他の電力供給装置によって負荷側電圧値が維持されない場合の動作を説明するグラフである。
【0047】
図5に示すように、ある電力供給装置100は、時刻t1において、電圧低下試験を開始しているので、負荷側電圧値Voutと出力電圧値Vrとは共に、徐々に低下している。
【0048】
図5に示すように、当該電力供給装置100における電圧低下試験時に、他の電力供給装置100によって負荷側電圧値Voutが維持されないので、時刻t2において負荷側電圧値Voutが参照電圧値Vref超えて、警報信号Valarmが出力される。
【0049】
図5に示すように、警報信号Valarmが出力されると、電圧低下試験が中止されるので、時刻t4において、負荷側電圧値Voutと出力電圧値Vrとは共に、電圧低下試験前の電圧に戻る。ここで、警報信号Valarmが出力されてから電圧低下試験が中止されるまでに要する時間が無視できない場合には、参照電圧値Vrefを所定のマージンを含む電圧値に設定すればよい。
【0050】
図6は、本発明の第1の実施形態における試験実行装置の動作を示すフローチャートである。尚、図6に示すフローチャート及び以下の説明は一例であり、適宜求める処理に応じて、処理順等を入れ替えたり、処理を戻したり、処理を繰り返したり、又は途中で処理を中止してもよい。
【0051】
まず、試験実行装置510は、電力供給装置100の冗長構成に関する情報を取得する(ステップS210)。ここで、冗長構成に関する情報は、例えば、冗長電源システム600において電力供給装置100がn+m冗長電源を構成することとn+m冗長電源におけるパラメータ(n及びm)、各電力供給装置100へ電圧低下試験の開始信号等を送信する際の宛先(アドレス)等を含む。尚、各電力供給装置100は、供給可能電力が互いに異なってもよい。
【0052】
次に、試験実行装置510は、負荷300を動作させるために最低限必要な電力供給装置100に関する各組合せについて、以下のステップS250の直前までの手順を実行する(ステップS220)。ここで、各組合せとは、例えば、冗長電源システム600において電力供給装置100がn+m冗長電源を構成する場合における、n台の電力供給装置100に関する全ての組合せのうちの何れかである。
【0053】
続いて、試験実行装置510は、当該各組合せに含まれない全ての電力供給装置100に電圧低下試験の開始信号を送信する(ステップS230)。
【0054】
続いて、試験実行装置510は、当該各組合せに含まれない全ての電力供給装置100から電圧低下試験の結果信号を受信する(ステップS240)。ここで、結果信号は、当該電圧低下試験において、警報信号Valarmが出力された場合には失敗(NG)、警報信号Valarmが出力されなかった場合には成功(OK)であることとする。
【0055】
ステップS220における全ての組合せについて、ステップS220乃至ステップS250の直前までの手順が終了すると、試験実行装置510は、受信した電圧低下試験の結果信号に基づいて、電圧低下試験の結果を出力する。ここで、電圧低下試験の結果は、何れかの電圧低下試験において警報信号Valarmが出力された場合には失敗(NG)、何れの電圧低下試験においても警報信号Valarmが出力されなかった場合には成功(OK)であることとする。又、電圧低下試験の結果は、正常な(故障していない)電力供給装置100を識別する情報を含んでもよい。
【0056】
以上説明したように、冗長電源システム600は、負荷300を動作させるために最低限必要な電力供給装置100の全ての組合せにおける各組合せについて、各組合せに含まれない全ての電力供給装置100において出力電圧値Vrの絶対値を現在の電圧から徐々に低下させる電圧低下試験を開始する。そして、冗長電源システム600は、負荷側電圧値Voutの絶対値が所定の参照電圧値Vrefの絶対値以下になった場合には、開始された電圧低下試験を中止する。ここで、参照電圧値Vrefは、負荷300を動作させるための定格電圧より絶対値が低く、且つ負荷300を動作させることが可能な電圧であるので、負荷300は動作を継続できる。そして、負荷側電圧値Voutの絶対値が所定の参照電圧値Vrefの絶対値以下になった場合には、冗長電源システム600は、その電圧低下試験において出力電圧値Vrの絶対値が低下させられた何れかの電力供給装置100が故障していることを判定する。ここで、検出可能な故障は、上述した部分故障を含み得る。一方、負荷側電圧値Voutの絶対値が所定の参照電圧値Vrefの絶対値以下にならなかった場合には、冗長電源システム600は、その電圧低下試験において出力電圧値Vrの絶対値が低下させられなかった電力供給装置100が故障していないことを判定する。
【0057】
続いて、冗長電源システム600の第1の動作例について説明する。
【0058】
図7は、本発明の第1の実施形態における冗長電源システムの第1の動作例について説明する表である。ここで、冗長電源システム600は4台の電力供給装置100(P1、P2、P3、P4)を含み、電力供給装置100は3+1冗長電源を構成することとする。図7において、第1列は各電圧低下試験が実行されるタイミングを、第2列乃至第5列は各電圧低下試験において各電力供給装置100(P1、P2、P3、P4)が電圧降下させられる(Yes)か否(No)かを示す。又、図7において、第6列は一連の電圧低下試験が失敗(NG)したか否かを、第7列は電圧低下試験の結果、正常であることが確認された電力供給装置100を示す。
【0059】
電力供給装置100は3+1冗長電源を構成するので、負荷300を動作させるために最低限必要な電力供給装置100に関する組合せは、任意の3台の組合せである。
【0060】
タイミングT1では、電力供給装置P1が電圧降下させられ、他の電力供給装置P2、P3、P4は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmは出力されなかった。従って、電力供給装置P2、P3、P4は正常である。
【0061】
タイミングT2では、電力供給装置P2が電圧降下させられ、他の電力供給装置P1、P3、P4は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P1、P3、P4の何れかが故障している。
【0062】
タイミングT3では、電力供給装置P3が電圧降下させられ、他の電力供給装置P1、P2、P4は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P1、P2、P4の何れかが故障している。
【0063】
タイミングT4では、電力供給装置P4が電圧降下させられ、他の電力供給装置P1、P2、P3は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P1、P2、P3の何れかが故障している。
【0064】
タイミングT1乃至T4の電圧降下試験の結果、電力供給装置P1が故障しており、電力供給装置P2、P3、P4は正常であることが出力される。
【0065】
続いて、冗長電源システム600の第2の動作例について説明する。
【0066】
図8は、本発明の第1の実施形態における冗長電源システムの第2の動作例について説明する表である。ここで、冗長電源システム600は4台の電力供給装置100(P1、P2、P3、P4)を含み、電力供給装置100は2+2冗長電源を構成することとする。図8において、第1列は各電圧低下試験が実行されるタイミングを、第2列乃至第5列は各電圧低下試験において各電力供給装置100(P1、P2、P3、P4)が電圧降下させられる(Yes)か否(No)かを示す。又、図8において、第6列は一連の電圧低下試験が失敗(NG)したか否かを、第7列は電圧低下試験の結果、正常であることが確認された電力供給装置100を示す。
【0067】
電力供給装置100は2+2冗長電源を構成するので、負荷300を動作させるために最低限必要な電力供給装置100に関する組合せは、任意の2台の組合せである。
【0068】
タイミングT1では、電力供給装置P1、P2が電圧降下させられ、他の電力供給装置P3、P4は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmは出力されなかった。従って、電力供給装置P3、P4は正常である。
【0069】
タイミングT2では、電力供給装置P2、P3が電圧降下させられ、他の電力供給装置P1、P4は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P1、P4の何れかが故障している。
【0070】
タイミングT3では、電力供給装置P3、P4が電圧降下させられ、他の電力供給装置P1、P2は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P1、P2の何れかが故障している。
【0071】
タイミングT4では、電力供給装置P1、P4が電圧降下させられ、他の電力供給装置P2、P3は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P2、P3の何れかが故障している。
【0072】
タイミングT5では、電力供給装置P2、P4が電圧降下させられ、他の電力供給装置P1、P3は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P1、P3の何れかが故障している。
【0073】
タイミングT6では、電力供給装置P1、P3が電圧降下させられ、他の電力供給装置P2、P4は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P2、P4の何れかが故障している。
【0074】
タイミングT1乃至T6の電圧降下試験の結果、電力供給装置P1、P2が故障しており、電力供給装置P3、P4は正常であることが出力される。
【0075】
続いて、冗長電源システム600の第3の動作例について説明する。
【0076】
図9は、本発明の第1の実施形態における冗長電源システムの第3の動作例について説明する表である。ここで、冗長電源システム600は4台の電力供給装置100(P1、P2、P3、P4)を含み、電力供給装置100は2+2冗長電源を構成することとする。図9において、第1列は各電圧低下試験が実行されるタイミングを、第2列乃至第5列は各電圧低下試験において各電力供給装置100(P1、P2、P3、P4)が電圧降下させられる(Yes)か否(No)かを示す。又、図9において、第6列は一連の電圧低下試験が失敗(NG)したか否かを、第7列は電圧低下試験の結果、正常であることが確認された電力供給装置100を示す。
【0077】
電力供給装置100は2+2冗長電源を構成するので、負荷300を動作させるために最低限必要な電力供給装置100に関する組合せは、任意の2台の組合せである。
【0078】
タイミングT1では、電力供給装置P1、P2が電圧降下させられ、他の電力供給装置P3、P4は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmは出力されなかった。従って、電力供給装置P3、P4は正常である。
【0079】
タイミングT2では、電力供給装置P2、P3が電圧降下させられ、他の電力供給装置P1、P4は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P1、P4の何れかが故障している。
【0080】
タイミングT3では、電力供給装置P3、P4が電圧降下させられ、他の電力供給装置P1、P2は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P1、P2の何れかが故障している。
【0081】
タイミングT4では、電力供給装置P1、P4が電圧降下させられ、他の電力供給装置P2、P3は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力されなかった。従って、電力供給装置P2、P3は正常である。
【0082】
タイミングT5では、電力供給装置P2、P4が電圧降下させられ、他の電力供給装置P1、P3は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力された。従って、電力供給装置P1、P3の何れかが故障している。
【0083】
タイミングT6では、電力供給装置P1、P3が電圧降下させられ、他の電力供給装置P2、P4は電圧降下させられない。このとき、警報信号Valarmが出力されなかった。従って、電力供給装置P2、P4は正常である。
【0084】
タイミングT1乃至T6の電圧降下試験の結果、電力供給装置P1が故障しており、電力供給装置P2、P3、P4は正常であることが出力される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の冗長電源システム600は、負荷300を動作させるために最低限必要な電力供給装置100の全ての組合せにおける各組合せについて、各組合せに含まれない全ての電力供給装置100において出力電圧値Vrの絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下試験を開始する。そして、冗長電源システム600は、負荷側電圧値Voutの絶対値が所定の参照電圧値Vrefの絶対値以下になった場合には、開始された電圧低下試験を中止する。ここで、参照電圧値Vrefは、負荷300を動作させるための定格電圧より絶対値が低く、且つ負荷300を動作させることが可能な電圧であるので、負荷300は動作を継続できる。そして、負荷側電圧値Voutの絶対値が所定の参照電圧値Vrefの絶対値以下になった場合には、冗長電源システム600は、その電圧低下試験において出力電圧値Vrの絶対値が低下させられた何れかの電力供給装置100が故障していることを判定する。一方、負荷側電圧値Voutの絶対値が所定の参照電圧値Vrefの絶対値以下にならなかった場合には、冗長電源システム600は、その電圧低下試験において出力電圧値Vrの絶対値が低下させられなかった電力供給装置100が故障していないことを判定する。従って、本実施形態の冗長電源システム600には、冗長電源システムの動作時に冗長電源システムに含まれる電力供給装置における故障を検査できるという効果がある。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態を基本とする、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態における冗長電源システムでは、電圧低下試験に加えて、出力停止試験も実行される。又、試験実行装置はBMCであり、負荷はBMCとサーバを含み、入力電力は交流である。又、本実施形態では電力供給装置の内部構成及び動作についてより詳細に述べる。
【0086】
本実施形態における構成について説明する。
【0087】
図10は、本発明の第2の実施形態における冗長電源システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0088】
本実施形態の冗長電源システム605は、複数台の電力供給装置105と、負荷305とを含む。
【0089】
複数台の電力供給装置105は、負荷305に対して互いに並列に接続される。複数台の電力供給装置105は、負荷305に対して冗長構成(例えば、n+m冗長構成)を成す集中電源である。
【0090】
負荷305は、複数台の電力供給装置105により動作可能な、1台のBMC515と、1台以上のサーバ410とを含む。
【0091】
BMC515は、電力供給装置105に電圧低下試験を実行させる。電力供給装置105と、BMC515と、サーバ410とは、IPMI規格(Intelligent Platform Management Interface規格)に準拠して互いに接続されている。ここで、IPMI規格は、電圧低下試験の開始信号、及び電圧低下試験の結果信号等を送受信可能に拡張されている。
【0092】
BMC515は、試験実行部505を含む。
【0093】
試験実行部505は、例えば、ある電力供給装置105のアドレスAを指定して、電圧低下試験の開始コマンド“D0h”(16進数表記)を表す制御信号を送信する。そして、試験実行部505は、その電力供給装置105のアドレスAを指定して、電圧低下試験の結果取得コマンド“D1h”(16進数表記)を表す制御信号を送信する。そして、その電力供給装置105は、試験実行部505へ、電圧低下試験が成功したことを表す応答“0b”(2進数表記)又は電圧低下試験が失敗したことを表す応答“1b”(2進数表記)を送信する。
【0094】
図11は、本発明の第2の実施形態における電力供給装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0095】
電力供給装置105は、A/D変換部115と、Oring−FET125と、Oring制御部126と、コンパレータ140と、MCU(Micro Controller Unit)156とを含む。
【0096】
A/D変換部115は、入力電力200(ここでは、交流電力)を、出力電圧値Vrを有する直流電力に変換する。
【0097】
Oring−FET125と、Oring制御部126とは、A/D変換部115によって変換された直流電力を負荷305へ供給すると共に、電力供給装置105の負荷305側における直流電力の逆流を防止する。
【0098】
MCU156は、試験制御部155を含む。MCU156は、例えば、マイクロプロセッサである。尚、MCU156は、複数のマイクロプロセッサを含んでもよい。
【0099】
試験制御部155は、BMC515からの試験制御信号、及びコンパレータ140からの警報信号Valarmに基づいて、A/D変換部115を制御する。
【0100】
試験制御部155は、本発明の第1の実施形態における試験制御部150の機能を含む。
【0101】
試験制御部155は、入力電力200を遮断するか、又は出力電圧値Vrの絶対値を、負荷305を動作させることが不可能な電圧の絶対値に比べて十分低い電圧値にする出力停止試験も実行可能である。
【0102】
試験実行部505は、本発明の第1の実施形態における試験実行部500の機能を含む。
【0103】
試験実行部505は、電圧低下試験が成功した場合に、出力停止試験を実行する。ここで、試験実行部505は、各電圧低下試験の成功後に、当該各電圧低下試験に対応する出力停止試験を実行する。又は、試験実行部505は、全ての電圧低下試験の実行後に、成功した各電圧低下試験に対応する出力停止試験をまとめて実行してもよい。試験実行部505の一部の機能は、サーバ410上の試験ツール400として実装されてもよい。
【0104】
本実施形態におけるその他の構成は、本発明の第1の実施形態における構成と同じである。
【0105】
本実施形態における電力供給装置の構成例について説明する。
【0106】
図12は、本発明の第2の実施形態における電力供給装置の第1の構成例を示すブロック図である。
【0107】
本構成例における電力供給装置107では、A/D変換部115は、ACスイッチ190と、EMIフィルタ(Electro Magnetic Interferenceフィルタ)180と、ブリッジダイオード170と、PFC部(Power Factor Correction部)160と、D/D変換部117とを含む。
【0108】
ACスイッチ190は、電力供給装置107に対する入力電力200の入力の有無を切り替える。
【0109】
EMIフィルタ180は、電磁妨害を解消するためのフィルタ回路である。
【0110】
ブリッジダイオード170は、電流を正か負のどちらか一方にのみ流れるようにする整流回路(ダイオードブリッジ)である。
【0111】
PFC部160は、電源の力率を1に近づけるための回路(力率改善回路)である。
【0112】
D/D変換部117は、入力された直流電力を所定の電圧を有する直流電力に変換する。尚、D/D変換部117の後段には、平滑回路(Rectifier)が挿入されてもよい。
【0113】
電力供給装置107では、MCU156は、1次MCU157と、2次MCU158とを含む。1次MCU157と、2次MCU158とは、電力供給装置107の入力側と出力側とを電気的に絶縁するために分離されており、光信号を用いて互いに通信を行う。ここでは、2次MCU158が、コンパレータ140からの警報信号Valarmを受信し、1次MCU157に伝達することとする。そして、他のMCU156を機能は、1次MCU157が有することとする。但し、本機能分担は一例に過ぎず、他の機能分担が成されてもよい。
【0114】
1次MCU157は、電圧低下試験の際に出力電圧値Vrの絶対値を低下させるようにD/D変換部117を制御する(Slow_down信号)。又、1次MCU157は、出力停止試験の際に入力電力200を遮断させるようにACスイッチ190を制御する(AC_ON/OFF信号)。
【0115】
図13は、本発明の第2の実施形態における電力供給装置の第2の構成例を示すブロック図である。
【0116】
本構成例における電力供給装置109では、A/D変換部115は、EMIフィルタ180と、ブリッジダイオード170と、PFC制御部168と、PFC−FET169と、リアクタンス165と、ダイオード166と、コンデンサ167と、D/D変換部117とを含む。
【0117】
PFC制御部168と、PFC−FET169とは、力率改善回路である。
【0118】
リアクタンス165と、ダイオード166と、コンデンサ167とは、昇圧回路を構成し、可変である入力電圧(例えば、100乃至240ボルト)を、入力電圧によらず一定の電圧(例えば、400ボルト)に昇圧する。
【0119】
電力供給装置109では、MCU156は、1次MCU159と、2次MCU158とを含む。
【0120】
1次MCU159は、電圧低下試験の際に出力電圧値Vrの絶対値を低下させるようにD/D変換部117を制御する(Feedback信号)。又、1次MCU157は、出力停止試験の際に、PFC制御部168の動作を停止させる(出力電圧値Vrの絶対値を、負荷305を動作させることが不可能な電圧の絶対値に比べて十分低い電圧値にする)ようにPFC制御部168を制御する(PFC_ON/OFF信号)。ここで、PFC制御部168の多くの実装において、PFC制御部168を停止することは、出力電圧値Vrの絶対値を、負荷305を動作させることが不可能な電圧の絶対値に比べて十分低い電圧値にすることを引き起こす。
【0121】
本構成例は、ハードウェア上の理由により、電力供給装置105にACスイッチ190を追加することが困難な場合であっても、電力供給装置107に相当する機能をソフトウェアにより実現できる。
【0122】
本構成例におけるその他の構成は、第1の構成例と同じである。
【0123】
本実施形態における動作について説明する。
【0124】
電圧低下試験に関し、本実施形態に動作は、本発明の第1の実施形態における動作と同じである。
【0125】
冗長電源システム605は、電圧低下試験が成功した場合に、出力停止試験を実行する。出力停止試験において、試験対象である電力供給装置105は、電気的に完全に停止するか、又は電気的にほぼ完全に停止する。そして、出力停止試験が終了すれば、試験対象である電力供給装置105は、再び動作する。つまり、出力停止試験は、物理的な挿抜を除いて電力供給装置105の活線挿抜に相当する。
【0126】
本実施形態におけるその他の動作は、本発明の第1の実施形態における動作と同じである。
【0127】
以上説明したように、本実施形態の冗長電源システム605は、負荷305を動作させるために最低限必要な電力供給装置105の全ての組合せにおける各組合せについて、各組合せに含まれない全ての電力供給装置105において出力電圧値Vrの絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下試験を開始する。そして、冗長電源システム605は、負荷側電圧値Voutの絶対値が所定の参照電圧値Vrefの絶対値以下になった場合には、開始された電圧低下試験を中止する。ここで、参照電圧値Vrefは、負荷305を動作させるための定格電圧より絶対値が低く、且つ負荷305を動作させることが可能な電圧であるので、負荷305は動作を継続できる。そして、負荷側電圧値Voutの絶対値が所定の参照電圧値Vrefの絶対値以下になった場合には、冗長電源システム605は、その電圧低下試験において出力電圧値Vrの絶対値が低下させられた何れかの電力供給装置105が故障していることを判定する。一方、負荷側電圧値Voutの絶対値が所定の参照電圧値Vrefの絶対値以下にならなかった場合には、冗長電源システム605は、その電圧低下試験において出力電圧値Vrの絶対値が低下させられなかった電力供給装置105が故障していないことを判定する。従って、本実施形態の冗長電源システム605には、冗長電源システムの動作時に冗長電源システムに含まれる電力供給装置における故障を検査できるという効果がある。
【0128】
又、本実施形態の冗長電源システム605は、電圧低下試験が成功した場合に、出力停止試験を実行する。そして、出力停止試験は、物理的な挿抜を除いて電力供給装置105の活線挿抜に相当する。従って、本実施形態の冗長電源システム605には、冗長電源システムの動作時に、物理的な挿抜を除いて冗長電源システムに含まれる電力供給装置の活線挿抜に相当する検査を実行できるという効果がある。
【0129】
図14は、本発明の各実施形態における電力供給装置、試験実行装置、サーバ、又はBMCを実現可能なハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0130】
電力供給装置(、試験実行装置、サーバ、又はBMC)907は、記憶装置902と、CPU(Central Processing Unit)903と、キーボード904と、モニタ905と、I/O(Input/Output)装置908とを備え、これらが内部バス906によって接続されている。記憶装置902は、試験制御部150、155、試験実行部500、505、試験ツール400等のCPU903の動作プログラムを格納する。CPU903は、電力供給装置(、試験実行装置、サーバ、又はBMC)907の全体を制御し、記憶装置902に格納された動作プログラムを実行し、I/O装置908によって試験制御部150、155、試験実行部500、505、試験ツール400等のプログラムの実行やデータの送受信を行なう。尚、上記の電力供給装置(、試験実行装置、サーバ、又はBMC)907の内部構成は一例である。電力供給装置(、試験実行装置、サーバ、又はBMC)907は、必要に応じて、キーボード904、モニタ905を接続する装置構成であってもよい。
【0131】
上述した本発明の各実施形態における電力供給装置(、試験実行装置、サーバ、又はBMC)907は、専用の装置によって実現してもよいが、I/O装置908が外部との通信を実行するハードウェアの動作以外は、コンピュータ(情報処理装置)によっても実現可能である。本発明の各実施形態において、I/O装置908は、例えば、電力供給装置(、試験実行装置、サーバ、又はBMC)907等との入出力部である。この場合、係るコンピュータは、記憶装置902に格納されたソフトウェア・プログラムをCPU903に読み出し、読み出したソフトウェア・プログラムをCPU903において実行する。上述した各実施形態の場合、係るソフトウェア・プログラムには、上述したところの、図1図2図10、及び図11に示した、電力供給装置907又は試験実行装置907の各部の機能を実現可能な記述がなされていればよい。但し、これらの各部には、適宜ハードウェアを含むことも想定される。そして、このような場合、係るソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム)は、本発明を構成すると捉えることができる。更に、係るソフトウェア・プログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体も、本発明を構成すると捉えることができる。
【0132】
以上、本発明を、上述した各実施形態およびその変形例によって例示的に説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態およびその変形例に記載した範囲に限定されない。当業者には、係る実施形態に対して多様な変更又は改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更又は改良を加えた新たな実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得る。そしてこのことは、特許請求の範囲に記載した事項から明らかである。
【0133】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び
前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置に前記電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した前記電圧低下試験の開始信号に応じた前記電圧低下試験の結果信号を、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置から受信し、
受信した前記電圧低下試験の結果信号に基づいて前記電圧低下試験の結果を出力する
試験実行装置
を備えた冗長電源システム。
(付記2)
前記冗長電源システムが前記負荷及び前記電力供給装置に関してn+m冗長構成(n及びmは自然数)を成す場合に、前記試験実行装置は、前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の台数を前記nにする
付記1に記載の冗長電源システム。
(付記3)
前記試験制御手段は、前記入力電力を遮断するか、又は前記出力電圧値の絶対値を、前記負荷を動作させることが不可能な電圧の絶対値に比べて十分低い電圧値にする出力停止試験を実行可能な
付記1又は2に記載の冗長電源システム。
(付記4)
前記試験実行装置は、前記警報信号が出力されなかった場合に、前記出力停止試験を実行する
付記3に記載の冗長電源システム。
(付記5)
前記試験制御手段は、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を、前記電圧低下制御を中止した場合であっても、前記電圧低下制御の中止が実際に効果を発揮するまでの間に前記負荷が正常に動作可能な範囲内で徐々に低下させる
付記1乃至4の何れか1項に記載の冗長電源システム。
(付記6)
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御手段と
を備えた電力供給装置。
(付記7)
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から徐々に 低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置に接続され、
前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置に前記電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した前記電圧低下試験の開始信号に応じた前記電圧低下試験の結果信号を、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置から受信し、
受信した前記電圧低下試験の結果信号に基づいて前記電圧低下試験の結果を出力する
試験実行装置。
(付記8)
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び
試験実行装置
を備えた冗長電源システムにおける前記電力供給装置の試験方法であって、
前記電力供給装置によって、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御手順と、
前記試験実行装置によって、
前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置に前記電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した前記電圧低下試験の開始信号に応じた前記電圧低下試験の結果信号を、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置から受信し、
受信した前記電圧低下試験の結果信号に基づいて前記電圧低下試験の結果を出力する手順と
を行う、電力供給装置の試験方法。
(付記9)
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び
試験実行装置
を備えた冗長電源システムにおける前記電力供給装置が備えるコンピュータに、
電圧低下試験の開始信号を受信した際に、前記安定化電源部に前記出力電圧値の絶対値を現在の電圧から低下させる電圧低下制御を開始することと、
前記コンパレータによって前記警報信号が出力された際、又は前記出力電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させることが不可能な電圧に到達したと見做された際に、前記電圧低下制御を中止することと、
前記電圧低下制御の最中に前記警報信号が出力されたか否かを表す前記電圧低下試験の結果信号を送信することと
を行う試験制御処理を実行させる
電力供給装置の試験プログラム。
(付記10)
入力電力を、出力電圧値を有する直流電力に変換する安定化電源部と、
前記安定化電源部によって変換された直流電力を負荷へ供給すると共に、前記負荷の側における直流電力の逆流を防止する逆流防止部と、
前記逆流防止部の前記負荷の側における負荷側電圧値の絶対値が、前記負荷を動作させるための定格電圧より絶対値が低く且つ前記負荷を動作させることが可能な所定の参照電圧値の絶対値以下である場合に警報信号を出力するコンパレータと、
試験制御手段と
を含み、互いに並列に接続された複数台の電力供給装置、及び
試験実行装置
を備えた冗長電源システムにおける前記試験実行装置が備えるコンピュータに、
前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の全ての組合せにおける各組合せについて、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置に電圧低下試験の開始信号を送信し、送信した前記電圧低下試験の開始信号に応じた前記電圧低下試験の結果信号を、前記各組合せに含まれない全ての前記電力供給装置から受信し、
受信した前記電圧低下試験の結果信号に基づいて前記電圧低下試験の結果を出力する
処理を実行させる
試験実行装置の試験プログラム。
(付記11)
前記試験実行装置は、前記複数台の電力供給装置の何れか1台である
付記1乃至5の何れか1項に記載の冗長電源システム。
(付記12)
前記試験実行装置は、前記負荷に含まれる
付記1乃至5の何れか1項に記載の冗長電源システム。
(付記13)
前記試験実行装置は、BMC(Baseboard Management Controller)であり、
前記電力供給装置と、前記試験実行装置とは、IPMI規格(Intelligent Platform Management Interface規格)に準拠して互いに接続され、
前記IPMI規格は、前記電圧低下試験の開始信号と、前記電圧低下試験の結果信号とを送受信可能に拡張されている
付記1乃至5の何れか1項に記載の冗長電源システム。
(付記14)
前記冗長電源システムは、前記電圧低下試験における前記全ての組合せのうち、ある組合せについて、
前記警報信号が出力された場合には、該電圧低下試験において前記出力電圧値の絶対値が低下させられた何れかの前記電力供給装置が故障していることを判定する一方、
前記警報信号が出力されなかった場合には、該電圧低下試験において前記出力電圧値の絶対値が低下させられなかった前記電力供給装置が故障していないことを判定する
付記1乃至5の何れか1項に記載の冗長電源システム。
(付記15)
前記冗長電源システムが前記負荷及び前記電力供給装置に関してn+m冗長構成(n及びmは自然数)を成す場合に、前記負荷を動作させるために最低限必要な前記電力供給装置の台数を前記nにする
付記8に記載の電力供給装置の試験方法。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、電気装置へ電力を供給する用途において利用できる。
【符号の説明】
【0135】
100、105、107、109 電力供給装置
110 安定化電源部
115 A/D変換部
117 D/D変換部
120 逆流防止部
125 Oring−FET
126 Oring制御部
130 参照電圧値
140 コンパレータ
150、155 試験制御部
156 MCU
157、159 1次MCU
158 2次MCU
160 PFC部
165 リアクタンス
166 ダイオード
167 コンデンサ
168 PFC制御部
169 PFC−FET
170 ブリッジダイオード
180 EMIフィルタ
190 ACスイッチ
200 入力電力
300、305 負荷
400 試験ツール
410 サーバ
500、505 試験実行部
515 BMC
510 試験実行装置
600、605 冗長電源システム
902 記憶装置
903 CPU
904 キーボード
905 モニタ
906 内部バス
907 電力供給装置、試験実行装置、サーバ、BMC
908 I/O装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14