【文献】
GOTO, Maki et al.,Fibroblasts Show More Potential as Target Cellsthan Keratinocytes in COL7A1 Gene Therapy of Dystrophic Epidermolysis Bullosa,Journal of Investigative Dermatology,2006年,Vol. 126, No. 4,p. 766-772
【文献】
LU, Bo et al,Topical Application of Viral Vectors for Epidermal Gene Transfer,Jounal of Investigative Dermatology,1997年,Vol. 108, No. 5,p. 803-808
【文献】
MIYAGAWA, Yoshitaka et al.,Herpes simplex viral-vector design for efficient transduction of nonneuronal cells without cytotoxicity,PNAS,2015年,E1632-E1641,www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1423556112
【文献】
MARCONI, Peggy et al.,Replication-defective herpes simplex virus vectors for gene transfer in vivo,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1996年,Vol. 93,p. 11319-11320
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記単純ヘルペスウイルス(HSV)が、単純ヘルペス1型ウイルス、単純ヘルペス2型ウイルス、または任意のそれらの誘導体である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
前記組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、1つ以上の有毒なHSV遺伝子の発現を減少させる、または排除するように操作されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記不活性化変異が、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、tk、UL41、及びUL55からなる群から選択される少なくとも1つの単純ヘルペスウイルス遺伝子の中にある、請求項5に記載の医薬組成物。
前記組換え単純ヘルペスウイルスゲノムが、前記ICP4ウイルス遺伝子座のうち1つ以上の中に前記1つ以上の導入遺伝子を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記薬学的に許容される担体が、局所投与、経皮投与、皮下投与、皮内投与、経粘膜投与又はそれらの任意の組み合わせに好適である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
前記コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドが、配列番号:2の配列と少なくとも80%の配列同一性を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、部分的には、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチド、及び/またはそれらのキメラポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、医薬組成物はベクターを含み、ベクターは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチド、及び/またはそれらのキメラポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、対象の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足するのに好適な1つ以上の導入遺伝子を含む。本開示はまた、部分的には、本明細書に記載される医薬組成物を投与すること(例えば、局所的に、または経皮的に投与すること)によって、対象の皮膚における創傷、障害、または疾患(例えば、栄養障害型表皮水疱症)の予防的、待期的、または治療的緩和を提供する方法にも関する。
【0021】
以下の説明は、例示的な方法、パラメータなどについて示す。しかしながら、このような説明は、本開示の範囲に対する限定として意図されるのではなく、むしろ、例示的な実施形態の説明として提供されると認識されるべきである。
【0022】
一般的技術
本明細書で記載または参照される技術及び手順は、当業者により一般によく理解され、従来の方法、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003))、シリーズMethods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993−8)J.Wiley and Sons、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)に記載されていて、広く利用されている方法などを使用して一般的に用いられる。
【0023】
定義
本発明について詳細に記載する前に、本発明は特定の組成物または生物系に限定されず、当然のことながら、これは変更され得ると理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみの記載を目的とし、限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【0024】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a molecule(分子)」への言及は、場合により2つ以上のこのような分子の組合せなどを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者であれば容易に分かる各々の値に対する通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」の値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそれ自体を対象とする実施形態を含む(かつ記載する)。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」、「核酸配列」、「核酸」という用語、及びそれらの変化形は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含有する)に、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含有する)に、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるポリヌクレオチドにおける任意のその他の種類に、ならびにポリマーが、DNA及びRNAに見られるような塩基対形成及び塩基スタッキングを可能にする配置で核酸塩基を含有することを条件として、非ヌクレオチド骨格を含有するその他のポリマーに一般的であることとする。したがって、これらの用語は、既知の種類の核酸配列改変、例えば、天然に存在するヌクレオチドのうち1つ以上と類似体との置換、及びヌクレオチド間改変を含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、核酸は、それが別の核酸配列との機能的関係に置かれている場合、「operatively linked(機能的に連結)」または「operably linked(機能的に連結)」されている。例えば、プロモーターもしくはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合にコード配列に機能的に連結されている、またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置される場合にコード配列に機能的に連結されている。一般に、「機能的に連結される」とは、連結されているDNA配列が連続していることを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、細胞の発現または複製のいずれかを目的として、異種核酸を細胞に導入するために使用される別個の要素を指す。発現ベクターとしては、プロモーター領域などの調節配列と機能的に連結される核酸を発現することができるベクターが挙げられ、調節配列はこのような核酸の発現をもたらすことができる。したがって、発現ベクターは、DNAまたはRNA構築物、例えば、プラスミド、ファージ、組換えウイルスまたは適切な宿主細胞への導入時に、核酸の発現をもたらすその他のベクターなどを指す場合がある。適切な発現ベクターは当業者に周知であり、これらとしては、真核細胞中で複製可能なもの及びエピソームのままであるもの、または宿主細胞ゲノム中に組み込まれるものが挙げられる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、タンパク質またはポリペプチドをコードする核酸、すなわち、DNAまたはRNAのいずれかの連続ストレッチを指す。典型的には、核酸は、翻訳開始シグナルまたは開始コドン、例えば、ATGまたはAUGなど、及び終止コドンを含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、「内部リボソーム進入部位」または「IRES」は、mRNA配列の中間で、例えば、その最初の開始コドン後に翻訳開始が可能になるヌクレオチド配列を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「非翻訳領域」または「UTR」は、オープンリーディングフレームの5’末端及び/または3’末端における非翻訳核酸を指す。ポリヌクレオチド中における1箇所以上のUTRの含有は、ポリヌクレオチドの転写後調節、mRNA安定性、及び/または翻訳に影響を及ぼす場合がある。
【0032】
本明細書で使用される場合、「導入遺伝子」という用語は、細胞中に導入された後、RNAに転写されて、適切な条件下で翻訳かつ/または発現されることができるポリヌクレオチドを指す。いくつかの態様では、導入遺伝子は、それが導入された細胞に所望の特性を付与する、またはさもなければ所望の治療結果もしくは診断結果をもたらす。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」という用語は同じ意味で使用され、2つ以上のアミノ酸のポリマーを指す場合がある。
【0034】
本明細書で使用される場合、「対象」、「宿主」、または「個体」は、ヒト、飼育及び家畜動物、ならびに動物園、スポーツ、またはペットの動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど、加えて研究で使用される動物、例えば、マウス及びラットなどを含む、哺乳動物に分類される任意の動物を指す。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0035】
本明細書で使用される場合、「局所投与」または「局所的に投与すること」は、組成物を含む製剤を、対象の皮膚の全てまたは一部に直接または別の方法で接触させることによる、対象への組成物の送達を指す。用語は、局所的及び経皮的な経路を含むが、これらに限定されないいくつかの投与経路を包含する。局所投与は、対象の表皮もしくは真皮に、またはその特定の層に組成物を送達するための手段として使用される。
【0036】
本明細書で使用される場合、「有効量」は、少なくとも、特定の障害に関する1つ以上の症状の測定可能な改善または予防をもたらすのに必要な最小量である。有効量はまた、処置のあらゆる毒性または有害作用を、治療的に有益な効果が上回る量である。予防的使用について、有益なまたは所望の結果としては、リスクを排除もしくは低減させること、重症度を低下させること、または疾患の発症、疾患の発症中に現れるその合併症及び中間病理学的表現型を遅延させることなどの結果が挙げられる。治療的使用について、有益なまたは所望の結果としては、疾患に起因する1つ以上の症状を減少させること、疾患に罹患している患者の生活の質を向上させること、疾患の進行を遅延させること、及び/または生存を長期化することなどの臨床結果が挙げられる。有効量は、1回以上の投与において投与され得る。
【0037】
医薬組成物
ポリヌクレオチド
一態様では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖(Col7)ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3(LH3)ポリペプチド、ケラチンI型細胞骨格17(KRT17)ポリペプチド、及び/またはそれらのキメラポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、キメラポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はベクターを含み、ベクターは、本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含む1つ以上の導入遺伝子をコードする。いくつかの実施形態では、医薬組成物はベクターを含み、ベクターは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチド、及び/またはそれらのキメラポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、キメラポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子、及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は合成RNAを含み、合成RNAは、本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含む1つ以上の導入遺伝子をコードする。いくつかの実施形態では、医薬組成物は合成RNAを含み、合成RNAは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチド、及び/またはそれらのキメラポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、合成RNAは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、合成RNAは、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、合成RNAは、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、合成RNAは、キメラポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、合成RNAは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、合成RNAは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、合成RNAは、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、合成RNAは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子、及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。
【0040】
コラーゲンアルファ−1(VII)鎖
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの一例は、配列番号:1である。本開示のポリヌクレオチドはまた、配列番号:1の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:1の少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、または少なくとも350、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも2500、少なくとも5000、少なくとも7500であるが、8835未満の連続ヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:2の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、本開示は、H.sapiensコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドのホモログであるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。対象となるポリペプチドのホモログであるポリペプチドを同定する方法は、当業者には周知である。
【0043】
いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:2のアミノ酸配列のN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。N末端切断型、C末端切断型、または断片は、配列番号:2の少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、少なくとも2000、または少なくとも2500であるが、2944未満の連続アミノ酸を含んでよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが対象の1つ以上の標的細胞中に送達される場合に、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチドの機能を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチドの活性を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドの発現は、対象の係留線維形成を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドの発現は、対象の上皮基底膜組織化及び/または上皮基底接着を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドの発現は、対象の表皮真皮境界部の一体性を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。
【0045】
リジルヒドロキシラーゼ3
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの一例は、配列番号:3である。本開示のポリヌクレオチドはまた、配列番号:3の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:3の少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも500、少なくとも750、少なくとも1000、少なくとも1500、または少なくとも2000であるが、2217未満の連続ヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:4のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:4の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、本開示は、H.sapiensリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドのホモログであるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。対象となるポリペプチドのホモログであるポリペプチドを同定する方法は、当業者には周知である。
【0048】
いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:4のアミノ酸配列のN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。N末端切断型、C末端切断型、または断片は、配列番号:4の少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、または少なくとも700であるが、738未満の連続アミノ酸を含んでよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが対象の1つ以上の標的細胞中に送達される場合に、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの機能を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの活性を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの発現は、対象の1つ以上のコラーゲンポリペプチド上においてヒドロキシリジン残基の形成を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの発現は、対象の係留線維形成を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの発現は、対象の上皮基底膜組織化及び/または上皮基底接着を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの発現は、対象の表皮真皮境界部の一体性を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。
【0050】
いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、対象の同じ細胞に送達される。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1鎖(VII)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが対象の同じ細胞中に送達される場合、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、等モル比でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを発現する。
【0051】
ケラチンI型細胞骨格17
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの一例は、配列番号:29である。本開示のポリヌクレオチドはまた、配列番号:29の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:29の少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、または少なくとも350、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも1250であるが、1299未満の連続ヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:30のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:30の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、本開示は、H.sapiensケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのホモログであるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。対象となるポリペプチドのホモログであるポリペプチドを同定する方法は、当業者には周知である。
【0054】
いくつかの実施形態では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:30のアミノ酸配列のN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。N末端切断型、C末端切断型、または断片は、配列番号:30の少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも425であるが、432未満の連続アミノ酸を含んでよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが対象の1つ以上の標的細胞中に送達される場合に、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドの機能を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドの活性を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドの発現は、対象における創傷治癒を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。
【0056】
リンカーを含むキメラポリペプチド
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、切断可能なリンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。切断可能なリンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの例としては、T2A、P2A、E2A、またはF2Aリンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、T2Aリンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、P2Aリンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、E2Aリンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、F2Aリンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0057】
いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、リンカーポリペプチドをコードする。リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの例は、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、及び配列番号:11である。本開示のポリヌクレオチドはまた、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、または配列番号:11の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、リンカーポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。リンカーポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、または配列番号:11の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、または少なくとも60であるが、66未満の連続ヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、または配列番号:12の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0060】
いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、または配列番号:12のアミノ酸配列のN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。N末端切断型、C末端切断型、または断片は、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、または配列番号:12の少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、または少なくとも20であるが、22未満の連続アミノ酸を含んでよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上のフューリン切断部位をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位をコードするポリヌクレオチドは、古典的フューリン切断部位の配列(Arg−X−(Arg/Lys)−Arg)と同じまたは実質的に類似しているアミノ酸配列をコードする。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、リンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、リンカーポリペプチドの下流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、T2Aリンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、T2Aリンカーポリペプチドの下流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、P2Aリンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、P2Aリンカーポリペプチドの下流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、E2Aリンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、E2Aリンカーポリペプチドの下流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、F2Aリンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、F2Aリンカーポリペプチドの下流でコードされる。
【0062】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リンカーポリペプチド、及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、5’から3’に、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、5’から3’に、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及びコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0063】
コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リンカーポリペプチド、及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの例は、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、及び配列番号:27である。本開示のポリヌクレオチドはまた、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、または配列番号:27の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、キメラポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。キメラポリペプチドのN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、または配列番号:27の少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850、少なくとも900、少なくとも950、少なくとも1000、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、少なくとも6000、少なくとも7000、少なくとも8000、少なくとも9000、または少なくとも10000であるが、11121未満の連続ヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リンカーポリペプチド、及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26または配列番号:28のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リンカーポリペプチド、及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26または配列番号:28の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0066】
いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リンカーポリペプチド、及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26または配列番号:28のアミノ酸配列のN末端切断型、C末端切断型、または断片をコードするポリヌクレオチドである。N末端切断型、C末端切断型、または断片は、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26または配列番号:28の少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850、少なくとも900、少なくとも950、少なくとも1000、少なくとも1250、少なくとも1500、少なくとも1750、少なくとも2000、少なくとも2250、少なくとも2500、少なくとも2750、少なくとも3000、少なくとも3250、または少なくとも3500であるが、3706未満の連続アミノ酸を含んでよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドが対象の1つ以上の標的細胞中に送達される場合に、キメラポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、1つ以上の標的細胞中で発現された後に切断される。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、1つ以上の標的細胞中で発現される場合に、リンカーポリペプチド内で切断される。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは2つのポリペプチドに切断され、1つはコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを含み、他方はリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの機能を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドの発現は、1つ以上の標的細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドの活性を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドの発現は、対象の1つ以上のコラーゲンポリペプチド上においてヒドロキシリジン残基の形成を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドの発現は、対象の係留線維形成を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドの発現は、対象の上皮基底膜組織化及び/または上皮基底接着を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドの発現は、対象の表皮真皮境界部の一体性を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。
【0068】
本開示のポリヌクレオチドは、コドン最適化されてよい。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、ヒト細胞のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、マウス細胞のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、ラット細胞のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、ハムスター細胞のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、イヌ細胞のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、酵母細胞のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、細菌細胞のためにコドン最適化される。本開示のポリヌクレオチドは、DNAポリヌクレオチド、RNAポリヌクレオチド、または1つ以上のDNAポリヌクレオチド及び1つ以上のRNAポリヌクレオチドの組合せであってよい。
【0069】
ベクター
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される1種以上のポリヌクレオチドを含有するベクター、好ましくは発現ベクターに関する。いくつかの実施形態では、ベクターはDNAベクターである。一般に、対象中で1種以上のポリペプチドを産生するためにポリヌクレオチドを維持、増殖、または発現させるのに好適なベクターが、使用されてよい。好適なベクターの例としては、プラスミド、コスミド、エピソーム、トランスポゾン、及びウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、シンドビスウイルス、麻疹、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルスベクターなど)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ベクターは、宿主細胞中で自律複製できる。いくつかの実施形態では、ベクターは、宿主細胞中で自律複製できない。いくつかの実施形態では、ベクターは、宿主DNA中に組み込むことができる。対象となる1種以上のポリヌクレオチドを含有するベクターを作製する方法は、当業者には周知である。
【0070】
いくつかの実施形態では、ベクターは、単純ヘルペスウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、単純ヘルペスウイルスベクターは、ヘルペスウイルスアンプリコンベクターである。構造的特徴及びベクターを作製する方法を含む、ヘルペスウイルスアンプリコンベクターが、一般に当該技術分野において既知である(de Silva S.and Bowers W.“Herpes Virus Amplicon Vectors”.Viruses 2009,1,594−629)。いくつかの実施形態では、ベクターはHSV−1アンプリコンである。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV−1ハイブリッドアンプリコンである。HSV−1ハイブリッドアンプリコンの例としては、HSV/AAVハイブリッドアンプリコン、HSV/EBVハイブリッドアンプリコン、HSV/EBV/RVハイブリッドアンプリコン、及びHSV/Sleeping Beautyハイブリッドアンプリコンを挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV/AAVハイブリッドアンプリコンである。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV/EBVハイブリッドアンプリコンである。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV/EBV/RVハイブリッドアンプリコンである。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV/Sleeping Beautyハイブリッドアンプリコンである。
【0071】
いくつかの実施形態では、単純ヘルペスウイルスベクターは、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、1つ以上の有毒な単純ヘルペスウイルス遺伝子の発現を減少させる、または排除するように操作されている。組換え単純ヘルペスウイルスゲノムを操作する方法は、一般にWO2015/009952に記載されている。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、不活性化変異を含む。不活性化変異の例としては、欠失、挿入、点変異、及び再構成を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、tk、UL41及びUL55単純ヘルペスウイルス遺伝子のうち少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、または8つ全てに不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4(1つまたは両方のコピー)遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP22遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP27遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP47遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、UL41遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、UL55遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノム、組換えHSV−2ゲノム、または任意のそれらの誘導体である。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノムである。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−2ゲノムである。
【0072】
いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4(1つまたは両方のコピー)、ICP27、及びUL55遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4(1つまたは両方のコピー)、ICP22、ICP27、ICP47、及びUL55遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、ICP4(1つもしくは両方のコピー)、ICP27、及び/またはUL55遺伝子中の不活性化変異は、ICP4(1つもしくは両方のコピー)、ICP27、及び/またはUL55遺伝子のコード配列の欠失である。いくつかの実施形態では、ICP22及びICP47遺伝子中の不活性化変異は、ICP22及びICP47遺伝子のプロモーター領域における欠失である(例えば、ICP22及びICP47コード配列がインタクトであるが、転写的に活性ではない)。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4(1つまたは両方のコピー)、ICP27、及びUL55遺伝子のコード配列における欠失ならびにICP22及びICP47遺伝子のプロモーター領域における欠失を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、UL41遺伝子中に不活性化変異をさらに含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノム、組換えHSV−2ゲノム、または任意のそれらの誘導体である。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノムである。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−2ゲノムである。
【0073】
いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4(1つまたは両方のコピー)及びICP22遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0及びICP4(1つまたは両方のコピー)遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0、ICP4(1つまたは両方のコピー)、及びICP22遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0、ICP4(1つまたは両方のコピー)、ICP22、及びICP27遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0、ICP4(1つまたは両方のコピー)、ICP22、ICP27及びUL55遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、ICP0、ICP4(1つもしくは両方のコピー)、ICP22、ICP27及び/またはUL55遺伝子中の不活性化変異は、ICP0、ICP4(1つもしくは両方のコピー)、ICP22、ICP27及び/またはUL55遺伝子のコード配列の欠失を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0、ICP4(1つまたは両方のコピー)、ICP22、ICP27、及びUL55遺伝子のコード配列における欠失を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP47遺伝子中に不活性化変異をさらに含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、UL41遺伝子中に不活性化変異をさらに含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP47遺伝子及びUL41遺伝子中に不活性化変異をさらに含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノム、組換えHSV−2ゲノム、または任意のそれらの誘導体である。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノムである。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−2ゲノムである。
【0074】
いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4(1つまたは両方のコピー)、ICP22、及びICP27遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4(1つまたは両方のコピー)、ICP22、ICP27、ICP47、及びUL55遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0、ICP4(1つまたは両方のコピー)、ICP22、及びICP27遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノム、組換えHSV−2ゲノム、または任意のそれらの誘導体である。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノムである。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−2ゲノムである。
【0075】
いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれを超えるウイルス遺伝子座内に本開示の1種以上のポリヌクレオチドを含む。好適なウイルス遺伝子座の例としては、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、tk、UL41及びUL55単純ヘルペスウイルス遺伝子座を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ウイルスICP4遺伝子座のうち1つ以上の中に本開示の1種以上のポリヌクレオチドを含む(例えば、ICP4遺伝子座の一方または両方にCol7をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方にCol7をコードするポリヌクレオチド及び他方のICP4遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方にCol7をコードするポリヌクレオチド及び他方のICP4遺伝子座にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方にLH3をコードするポリヌクレオチド及び他方のICP4遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルスなど)。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ウイルスUL41遺伝子座内に本開示の1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ウイルスICP47遺伝子座内に本開示の1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ウイルスICP4遺伝子座のうち1つ以上の中に本開示の1種以上のポリヌクレオチド、及びウイルスUL41遺伝子座内に本開示の1種以上のポリヌクレオチドを含む(例えば、ICP4遺伝子座の一方または両方にCol7をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にCol7をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にCol7をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にCol7をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にLH3をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にLH3をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にCol7をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にLH3をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にKRT17をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にKRT17をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にCol7をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にKRT17をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルスなど)。
【0076】
ベクターは、宿主細胞中におけるポリヌクレオチドの発現に好適な形態で、本開示のポリヌクレオチドを含んでよい。発現ベクターは、発現されるべきポリヌクレオチドに機能的に連結される1つ以上の調節配列を含んでよい。「調節配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー及びその他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。好適なエンハンサーの例としては、哺乳動物遺伝子からのエンハンサー配列(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、インスリンなど)、及び真核細胞ウイルスからのエンハンサー配列(複製起点の後期側におけるSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側におけるポリオーマエンハンサー、アデノウイルスエンハンサーなど)を挙げてよいが、これらに限定されない。哺乳動物宿主細胞中での転写に好適なプロモーターの例としては、ウイルス(ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、シミアンウイルス40(SV40)など)のゲノムから得られるプロモーター、または異種哺乳動物プロモーター(アクチンプロモーター、免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターからなど)からのものを挙げてよいが、これらに限定されず、このようなプロモーターが宿主細胞と適合することを条件とする。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、1つ以上の異種プロモーターに機能的に連結される。いくつかの実施形態では、1つ以上の異種プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)前初期プロモーター、伸長因子−1(EF1)プロモーター、及び/または任意のそれらの組合せのうち1つ以上である。いくつかの実施形態では、1つ以上の異種プロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、時間的プロモーター、空間的プロモーター、誘導性プロモーター及び抑制性プロモーターのうち1つ以上である。調節配列としては、ヌクレオチド配列、加えて組織特異的調節配列及び/または誘導性配列の構成的発現を指示するものを挙げてよい。発現ベクターの設計は、本開示のポリヌクレオチドと接触させる宿主細胞、所望のタンパク質の発現レベルなどのような因子に依存し得る。本開示の発現ベクターは、宿主細胞中に導入されることにより、本明細書に記載されるようなポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質またはポリペプチド(例えば、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチド、キメラポリペプチドなど)を産生し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、本開示のベクターは、本明細書に記載される1種以上のポリヌクレオチドを含む1つ以上の導入遺伝子を含む。1つ以上の導入遺伝子は、ベクター中において任意の配向で挿入されてよい。ベクターが2つ以上の導入遺伝子(例えば、2つ以上、3つ以上など)を含む場合、導入遺伝子は、お互いに同じ配向または逆配向で挿入されてよい。理論に束縛されることを望むものではないが、アンチセンス配向でベクター中に2つの導入遺伝子を導入すると、リードスルーを回避し、各導入遺伝子の適切な発現の確保を助ける場合がある。いくつかの実施形態では、ベクターは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチド、及び/またはそれらのキメラポリペプチドからなる群から選択されるポリペプチドをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする単一の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、各々がコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする2つの導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、各々がコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする3つの導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする単一の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、各々がリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする2つの導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、各々がリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする3つの導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする単一の導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、各々がケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする2つの導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、各々がケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする3つの導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする単一の導入遺伝子を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、ベクターは、少なくとも2つの導入遺伝子(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれを超える導入遺伝子)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子がリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子がコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子がケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子がコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子がケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子がリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子が、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子が、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子が、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。
【0079】
いくつかの実施形態では、ベクターは、少なくとも3つの導入遺伝子(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれを超える導入遺伝子)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも第1導入遺伝子がコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードし、少なくとも第2導入遺伝子がリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードし、少なくとも第3導入遺伝子がケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。
【0080】
いくつかの実施形態では、ベクターは、ポリシストロン性である導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。
【0081】
いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、ならびに第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、ならびに第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、ならびに第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、第1及び第2ORFは、内部リボソーム進入部位(IRES)によって分離されている。
【0082】
いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、ポリシストロン性導入遺伝子は、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3ORFは、内部リボソーム進入部位(IRES)によって分離されている。
【0083】
好適なIRESの例としては、ウイルス由来のIRES(例えば、ポリオウイルス、ライノウイルス、脳心筋炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、C型肝炎ウイルス、古典的な豚コレラウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、コオロギ麻痺ウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスなどに由来するIRES)ならびに細胞mRNA由来のIRES(例えば、増殖因子mRNA、例えば、線維芽細胞増殖因子2、血小板由来増殖因子B、及び血管内皮増殖因子などに由来するIRES、転写因子mRNA、例えば、アンテナペディア、ウルトラパイソラックスム(ultrapithoraxm)、及びNF−κB抑制因子などに由来するIRES、癌遺伝子mRNA、例えば、c−myc、pim−1、及びプロテインキナーゼp58
PITSLREなどに由来するIRESなど)を挙げてよいが、これらに限定されない。
【0084】
本開示のベクターは、追加のコード配列及び非コード配列をさらにコードしてよい。追加のコード配列及び非コード配列の例としては、追加のポリペプチドタグ、イントロン、5’及び3’UTRなどをコードする配列を挙げてよいが、これらに限定されない。好適なポリペプチドタグの例としては、精製タグ、例えば、hisタグ、flagタグ、マルトース結合タンパク質及びグルタチオン−S−トランスフェラーゼタグなど、検出タグ、例えば、測光的に検出される場合があるタグ(例えば、赤色蛍光タンパク質など)及び検出可能な酵素活性を有するタグ(例えば、アルカリホスファターゼなど)など、分泌配列、リーダー配列、及び/または安定化配列、プロテアーゼ切断部位(例えば、フューリン切断部位、TEV切断部位、トロンビン切断部位)を含有するタグなどの任意の組合せを挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、ポリヌクレオチドの安定性、局在化、及び/または翻訳効率を増加させる。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、1種以上のポリヌクレオチドの安定性、局在化、及び/または翻訳効率を増加させるように改変される。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、タンパク質発現のレベル及び/または持続時間を改善する。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、オフターゲット導入遺伝子発現をブロックする、または低減させる場合がある(例えば、特定の細胞型(例えば、ニューロン細胞)において、細胞周期の特定の時間で、特定の発達段階などで発現を阻害する)エレメント(例えば、1つ以上のmiRNA結合部位など)を含む。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、特定の細胞型で導入遺伝子発現を増強する場合があるエレメント(例えば、1つ以上のmiRNA結合部位など)を含む。
【0085】
合成RNAポリヌクレオチド
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される1種以上のポリヌクレオチドを含有する合成RNA、特に合成mRNAに関する。いくつかの実施形態では、合成mRNAポリヌクレオチドは、5’キャップ構造を含む。5’キャップ構造の例としては、cap−0、cap−1、cap−2、及びcap−3構造、ならびにそれらの誘導体を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、合成mRNAポリヌクレオチドは、3’ポリ(A)尾部を含む。いくつかの実施形態では、合成mRNAポリヌクレオチドは、合成mRNAポリヌクレオチド内に含有される1つ以上のコード配列に隣接する1つ以上の5’及び/または3’UTRを含む。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、合成mRNAポリヌクレオチドの安定性、局在化、及び/または翻訳効率を増加させる。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、合成mRNAポリヌクレオチドの安定性、局在化、及び/または翻訳効率を増加させるように改変される。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、タンパク質発現のレベル及び/または持続時間を改善する。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、タンパク質発現のレベル及び/または持続時間を改善するように改変される。いくつかの実施形態では、5’及び/または3’UTRは、オフターゲット発現を制限する場合がある(例えば、特定の細胞型(例えば、ニューロン細胞)において、細胞周期の特定の時間で、特定の発達段階などで発現を阻害する)エレメント(例えば、miRNA結合部位など)を含む。いくつかの実施形態では、5’UTRは、Kozak配列を含む。いくつかの実施形態では、Kozak配列は、Kozakコンセンサス配列と同じまたは実質的に類似している。対象となる1種以上のポリヌクレオチドを含有する合成mRNAポリヌクレオチドを作製する方法は、当業者には周知である。
【0086】
いくつかの態様では、本開示の合成mRNAポリヌクレオチドは、1種以上の改変リボヌクレオチドを含む。改変リボヌクレオチドの例としては、2−チオウリジン、5−アザウリジン、プソイドウリジン、4−チオウリジン、5−メチルウリジン、5−アミノウリジン、5−ヒドロキシウリジン、5−メチル−5−アザウリジン、5−アミノ−5−アザウリジン、5−ヒドロキシ−5−アザウリジン、5−メチルプソイドウリジン、5−アミノプソイドウリジン、5−ヒドロキシプソイドウリジン、4−チオ−5−アザウリジン、4−チオプソイドウリジン、4−チオ−5−メチルウリジン、4−チオ−5−アミノウリジン、4−チオ−5−ヒドロキシウリジン、4−チオ−5−メチル−5−アザウリジン、4−チオ−5−アミノ−5−アザウリジン、4−チオ−5−ヒドロキシ−5−アザウリジン、4−チオ−5−メチルプソイドウリジン、4−チオ−5−アミノプソイドウリジン、4−チオ−5−ヒドロキシプソイドウリジン、2−チオシチジン、5−アザシチジン、プソイドイソシチジン、N4−メチルシチジン、N4−アミノシチジン、N4−ヒドロキシシチジン、5−メチルシチジン、5−アミノシチジン、5−ヒドロキシシチジン、5−メチル−5−アザシチジン、5−アミノ−5−アザシチジン、5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、5−メチルプソイドイソシチジン、5−アミノプソイドイソシチジン、5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4−メチル−5−アザシチジン、N4−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−5−アザシチジン、2−チオプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチルシチジン、2−チオ−N4−アミノシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシシチジン、2−チオ−5−メチルシチジン、2−チオ−5−アミノシチジン、2−チオ−5−ヒドロキシシチジン、2−チオ−5−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−5−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−5−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−5−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−N4−メチルプソイドイソシチジン、N4−メチル−5−メチルシチジン、N4−メチル−5−アミノシチジン、N4−メチル−5−ヒドロキシシチジン、N4−メチル−5−メチル−5−アザシチジン、N4−メチル−5−アミノ−5−アザシチジン、N4−メチル−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、N4−メチル−5−メチルプソイドイソシチジン、N4−メチル−5−アミノプソイドイソシチジン、N4−メチル−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4−アミノ−5−アザシチジン、N4−アミノプソイドイソシチジン、N4−アミノ−5−メチルシチジン、N4−アミノ−5−アミノシチジン、N4−アミノ−5−ヒドロキシシチジン、N4−アミノ−5−メチル−5−アザシチジン、N4−アミノ−5−アミノ−5−アザシチジン、N4−アミノ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、N4−アミノ−5−メチルプソイドイソシチジン、N4−アミノ−5−アミノプソイドイソシチジン、N4−アミノ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アザシチジン、N4−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N4−ヒドロキシ−5−メチルシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アミノシチジン、N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシシチジン、N4−ヒドロキシ−5−メチル−5−アザシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アミノ−5−アザシチジン、N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、N4−ヒドロキシ−5−メチルプソイドイソシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アミノプソイドイソシチジン、N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−メチルシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−アミノシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−ヒドロキシシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−メチル−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−メチルシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−アミノシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−ヒドロキシシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−アミノ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−メチルシチジン、N4−ヒドロキシ−5−アミノシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−メチル−5−アザシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−アミノ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシ−5−アザシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−メチルプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−アミノプソイドイソシチジン、2−チオ−N4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシプソイドイソシチジン、N6−メチルアデノシン、N6−アミノアデノシン、N6−ヒドロキシアデノシン、7−デアザアデノシン、8−アザアデノシン、N6−メチル−7−デアザアデノシン、N6−メチル−8−アザアデノシン、7−デアザ−8−アザアデノシン、N6−メチル−7−デアザ−8−アザアデノシン、N6−アミノ−7−デアザアデノシン、N6−アミノ−8−アザアデノシン、N6−アミノ−7−デアザ−8−アザアデノシン、N6−ヒドロキシアデノシン、N6−ヒドロキシ−7−デアザアデノシン、N6−ヒドロキシ−8−アザアデノシン、N6−ヒドロキシ−7−デアザ−8−アザアデノシン、6−チオグアノシン、7−デアザグアノシン、8−アザグアノシン、6−チオ−7−デアザグアノシン、6−チオ−8−アザグアノシン、7−デアザ−8−アザグアノシン、及び6−チオ−7−デアザ−8−アザグアノシンを挙げてよいが、これらに限定されない。
【0087】
いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、2つの別個の合成mRNAポリヌクレオチド内に含有される。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、2つの別個の合成mRNAポリヌクレオチド内に含有される。いくつかの実施形態では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、2つの別個の合成mRNAポリヌクレオチド内に含有される。いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及びケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、3つの別個の合成mRNAポリヌクレオチド内に含有される。
【0088】
いくつかの実施形態では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、単一の合成mRNAポリヌクレオチド内に含有される単一の連続ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格ポリペプチドを、及び第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、ならびに第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、ならびに第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、ならびに第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、2つのORFは、IRESによって分離されている。
【0089】
いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、単一の連続ポリヌクレオチドは、単一の合成mRNA中において、第1オープンリーディングフレーム(ORF)上でケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを、第2オープンリーディングフレーム(ORF)上でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを、及び第3オープンリーディングフレーム(ORF)上でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3ORFは、内部リボソーム進入部位(IRES)によって分離されている。
【0090】
好適なIRESの例としては、ウイルス由来のIRES(例えば、ポリオウイルス、ライノウイルス、脳心筋炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、C型肝炎ウイルス、古典的な豚コレラウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、コオロギ麻痺ウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスなどに由来するIRES)ならびに細胞mRNA由来のIRES(例えば、増殖因子mRNA、例えば、線維芽細胞増殖因子2、血小板由来増殖因子B、及び血管内皮増殖因子などに由来するIRES、転写因子mRNA、例えば、アンテナペディア、ウルトラパイソラックスム(ultrapithoraxm)、及びNF−κB抑制因子などに由来するIRES、癌遺伝子mRNA、例えば、c−myc、pim−1、及びプロテインキナーゼp58
PITSLREなどに由来するIRESなど)を挙げてよいが、これらに限定されない。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド、及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含むキメラポリペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドは、合成mRNAポリヌクレオチド内における単一のORF上でコードされる。
【0092】
本開示の合成mRNAポリヌクレオチドは、追加のコード配列をさらにコードしてよい。追加のコード配列の例としては、追加のポリペプチドタグをコードする配列を挙げてよいが、これに限定されない。好適なポリペプチドタグの例としては、精製タグ、例えば、hisタグ、flagタグ、マルトース結合タンパク質及びグルタチオン−S−トランスフェラーゼタグなど、検出タグ、例えば、測光的に検出される場合があるタグ(例えば、赤色蛍光タンパク質など)及び検出可能な酵素活性を有するタグ(例えば、アルカリホスファターゼなど)など、分泌配列、リーダー配列、及び/または安定化配列、プロテアーゼ切断部位(フューリン切断部位など)を含有するタグなどの任意の組合せを挙げてよいが、これらに限定されない。
【0093】
送達ビヒクル
本開示の特定の態様は、本明細書に記載される1種以上のポリヌクレオチドを含む送達ビヒクルを含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、1つ以上の標的細胞中に1種以上のポリヌクレオチドを送達するのに好適である。
【0094】
いくつかの実施形態では、送達ビヒクルはウイルスである。ウイルス送達ビヒクルの例としては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、センダイウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、または任意のそれらのハイブリッドウイルスを挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ウイルスは複製欠損性である。いくつかの実施形態では、ウイルスは複製可能である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、非改変野生型ウイルスの組織向性と比較して、その組織向性を変化させるように改変されている。1種以上のポリヌクレオチドを含むウイルスを作製する方法は、当業者には周知である。
【0095】
いくつかの実施形態では、ウイルス送達ビヒクルは、単純ヘルペスウイルスである。単純ヘルペスウイルス送達ビヒクルは、例えば、WO2015/009952に開示されるプロセスによって作製されてよい。いくつかの実施形態では、単純ヘルペスウイルスは、改変エンベロープを含む。いくつかの実施形態では、改変エンベロープは、1種以上の(例えば、1種、2種、3種、4種またはそれを超える)変異体単純ヘルペスウイルス糖タンパク質を含む。単純ヘルペスウイルス糖タンパク質の例としては、糖タンパク質gB、gD、gH、及びgLを挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、改変エンベロープは、野生型単純ヘルペスウイルスと比較して単純ヘルペスウイルスの組織向性を変化させる。いくつかの実施形態では、単純ヘルペスウイルスは、単純ヘルペス1型ウイルス、単純ヘルペス2型ウイルス、または任意のそれらの誘導体である。いくつかの実施形態では、ウイルスは、単純ヘルペス1型ウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、単純ヘルペス2型ウイルスである。
【0096】
いくつかの実施形態では、送達ビヒクルは、非ウイルス送達ビヒクルである。いくつかの実施形態では、非ウイルス送達ビヒクルは、化学系送達ビヒクル(化学系送達試薬)である。化学系送達ビヒクルの例としては、リン酸カルシウム、デンドリマー、リポソーム(カチオン性リポソーム、非カチオン性リポソーム、及び混合物)、エキソソーム、荷電脂質、ならびにカチオン性ポリマー(DEAE−デキストラン、ポリエチレンイミンなど)を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、非ウイルス送達ビヒクルは、非化学的送達ビヒクルである。非化学的送達ビヒクルの例としては、エレクトロポレーション、nucleofection、ソノポレーション、光学的トランスフェクション、及び粒子に基づくビヒクル(遺伝子銃、磁性補助トランスフェクション、インペールフェクション、粒子衝撃など)を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、非ウイルス送達ビヒクルは、デンドリマー、リポソーム、エキソソーム、荷電脂質またはカチオン性ポリマーである。いくつかの実施形態では、非ウイルス送達ビヒクルはデンドリマーである。いくつかの実施形態では、非ウイルス送達ビヒクルはリポソームである。いくつかの実施形態では、非ウイルス送達ビヒクルはエキソソームである。いくつかの実施形態では、非ウイルス送達ビヒクルは荷電脂質である。いくつかの実施形態では、非ウイルス送達ビヒクルはカチオン性ポリマーである。非ウイルス送達ビヒクルとの複合体で、対象となる1種以上のポリヌクレオチドを作製する方法は、当業者には周知である。
【0097】
薬学的に許容される担体
本開示の特定の態様は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、局所及び/または経皮投与/適用に十分な担体である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、皮下及び/または皮内投与/適用に十分な担体である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、最小侵襲的または非侵襲的である。薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投与量及び濃度でレシピエントにとって非毒性であり、この担体としては、緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及びその他の有機酸など、アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤、防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベンなど、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、及びm−クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど、親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンなど、アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなど、グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、及びその他の炭水化物、キレート剤、例えば、EDTAなど、糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなど、ポリオール、例えば、グリセロールなど(例えば、10%グリセロールを含む製剤)、塩形成対イオン、例えば、ナトリウムなど、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体)、ならびに/または非イオン界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などを挙げてよいが、これらに限定されない。薬学的に許容される担体の徹底した考察は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Mack Pub.Co.,N.J.1991)で利用可能である。
【0098】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、局所または経皮適用/投与に好適である。局所または経皮適用/投与での使用に好適な担体の例としては、軟膏、ペースト、クリーム、懸濁液、エマルジョン、脂肪軟膏、ゲル、粉末、ローション、溶液、噴霧剤、パッチ、マイクロニードルアレイ、及び吸入剤を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、軟膏、ペースト、クリーム、懸濁液、エマルジョン、脂肪軟膏、ゲル、粉末、ローション、溶液、噴霧剤、及び吸入剤のうち1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は軟膏を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体はペーストを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体はクリームを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は懸濁液を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体はエマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体はゲルを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は粉末を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体はローションを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は溶液を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は噴霧剤を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は吸入剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬担体は、パッチ(例えば、皮膚に接着するパッチ)を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体はマイクロニードルアレイを含む。医薬組成物送達に好適なマイクロニードルアレイを作製する方法及び使用する方法は、一般に当該技術分野において既知である(Kim Y.et al.“Microneedles for drug and vaccine delivery”.Advanced Drug Delivery Reviews 2012,64(14):1547−68)。
【0099】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、局所または経皮適用/投与に好適な、2種、3種、4種、5種またはそれを超える異なる薬学的に許容される担体の組合せを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、1種以上の追加成分をさらに含む。追加成分の例としては、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、充填剤(例えば、ラクトース及びその他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレートまたはリン酸水素カルシウムなど)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、硬化植物油、トウモロコシデンプン、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど)、崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、食塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、甘味料、香味料、芳香剤、着色剤、保湿剤、日焼け止め、抗菌剤、ポリヌクレオチドを安定させる、またはそれらの分解を防止することができる剤などを挙げてよいが、これらに限定されない。
【0101】
本明細書に記載されるような医薬組成物及び製剤は、本明細書に記載される1種以上のポリヌクレオチドを含む送達ビヒクルを、1種以上の薬学的に許容される担体と混合することによって調製されてよい。インビボ投与に使用される製剤は、一般に無菌である。無菌性は、例えば、滅菌濾過膜に通して濾過することにより、容易に達成されてよい。
【0102】
処置方法
本開示は、部分的には、対象の皮膚における創傷、障害、または疾患の予防的、待期的、または治療的緩和を提供するための医薬組成物及び使用方法に関する。皮膚の疾患または障害の例としては、表皮水疱症、皮膚癌、乾癬、扁平苔癬、ループス、酒さ、湿疹、皮膚カンジダ症、蜂巣炎、膿痂疹、褥瘡性潰瘍、丹毒、尋常性魚鱗癬、皮膚筋炎、肢端皮膚炎、うっ血性皮膚炎、ネザートン症候群、単純型表皮水疱症(LAMB3遺伝子)、常染色体劣性先天性魚鱗癬、色素性乾皮症、及び類天疱瘡を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、皮膚の疾患または障害は、表皮水疱症である。いくつかの実施形態では、対象は、表皮水疱症の1つ以上の症状を有する、またはそれを発症するリスクがある。
【0103】
本明細書に記載されるポリヌクレオチド及び医薬組成物は、表皮水疱症(例えば、劣性栄養障害型表皮水疱症、優性栄養障害型表皮水疱症など)の1つ以上の症状に対する処置を含む、対象の皮膚における創傷、障害、または疾患の予防的、待期的、または治療的緩和を提供するのに有用である。本開示の医薬組成物は、当該技術分野において既知の任意の好適な方法によって、例えば、経口投与、舌下投与、頬側投与、局所投与、直腸投与、吸入によって、経皮投与、皮下注射、皮内注射、静脈内(IV)注射、動脈内注射、筋肉内注射、心臓内注射、骨内注射、腹腔内注射、経粘膜投与、膣内投与、硝子体内投与、関節内投与、関節周囲投与、局部投与、皮膚上投与、または任意のそれらの組合せを含むが、これらに限定されない方法によって投与されてよい。医薬組成物は、様々な経路、例えば、皮下、皮内、局所、経皮、及び経粘膜投与を含むが、これらに限定されない経路によって個体に送達されてよい。したがって、本開示はまた、本明細書に記載されるポリヌクレオチドまたは医薬組成物のいずれかを、個体(表皮水疱症を有する、またはそれを発症するリスクがある個体など)に送達する方法を包含する。
【0104】
いくつかの実施形態では、対象の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足することができる、有効量の医薬組成物を投与することを含む、対象の皮膚における創傷、障害、または疾患の予防的、待期的、または治療的緩和が提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、皮内に、及び/または皮下に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、局所的に、及び/または経皮的に投与される。いくつかの実施形態では、対象の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足することができる、有効量の医薬組成物を局所的に投与することを含む、対象の皮膚における創傷、障害、または疾患の予防的、待期的、または治療的緩和が提供される。医薬組成物は、本明細書に記載される任意の医薬組成物であってよい。いくつかの実施形態では、個体は、表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、個体は、栄養障害型表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、個体は、優性栄養障害型表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、個体は、劣性栄養障害型表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日当たり1回、2回、3回、4回、5回またはそれを超える回数で投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、個体の1箇所以上の患部に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、個体の1箇所以上の非患部に投与される。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、表皮水疱症の1つ以上の症状を処置または軽減するために使用されてよい。表皮水疱症(例えば、劣性栄養障害型表皮水疱症、優性栄養障害型表皮水疱症など)の症状としては、皮膚上の水疱(特に手、足、膝、及び肘上の水疱)、粘膜上の水疱、皮膚の瘢痕化、粘膜の瘢痕化、皮膚びらん、指の爪及び/または足の爪の変形、指の爪及び/または足の爪の喪失、内部水疱形成(声帯、食道、及び上気道上を含む)、皮膚の肥厚(特に、手掌及び足底上の皮膚の肥厚)、頭皮の水疱形成、頭皮の瘢痕化、脱毛(瘢痕性脱毛症)、薄く見える皮膚、萎縮性瘢痕化、稗粒腫、歯の状態(虫歯及び形成不全のエナメルなど)、関節変形、手指及び足指の融合、ならびに嚥下障害を挙げてよいが、これらに限定されない。
【0106】
いくつかの実施形態では、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足することができる、有効量の医薬組成物を投与することを含む、表皮水疱症に罹患している個体を治療的に処置する方法が提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、皮内に、及び/または皮下に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、局所的に、及び/または経皮的に投与される。いくつかの実施形態では、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足することができる、有効量の医薬組成物を局所的に投与することを含む、表皮水疱症に罹患している個体を治療的に処置する方法が提供される。医薬組成物は、本明細書に記載される任意の医薬組成物であってよい。いくつかの実施形態では、個体は、栄養障害型表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、個体は、優性栄養障害型表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、個体は、劣性栄養障害型表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日当たり1回、2回、3回、4回、5回またはそれを超える回数で投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、個体の1箇所以上の患部に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、個体の1箇所以上の非患部に投与される。
【0107】
いくつかの実施形態では、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足することができる、有効量の医薬組成物を投与することを含む、表皮水疱症に罹患している個体を予防的に処置する方法が提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、皮内に、及び/または皮下に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、局所的に、及び/または経皮的に投与される。いくつかの実施形態では、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足することができる、有効量の医薬組成物を局所的に投与することを含む、表皮水疱症に罹患している個体を予防的に処置する方法が提供される。医薬組成物は、本明細書に記載される任意の医薬組成物であってよい。いくつかの実施形態では、個体は、栄養障害型表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、個体は、優性栄養障害型表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、個体は、劣性栄養障害型表皮水疱症に罹患している。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日当たり1回、2回、3回、4回、5回またはそれを超える回数で投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、個体の1箇所以上の患部に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、個体の1箇所以上の非患部に投与される。
【0108】
いくつかの実施形態では、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足することができる、有効量の医薬組成物を投与することを含む、表皮水疱症を発症するリスクがある個体を予防的に処置する方法が提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、皮内に、及び/または皮下に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、局所的に、及び/または経皮的に投与される。いくつかの実施形態では、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足することができる、有効量の医薬組成物を局所的に投与することを含む、表皮水疱症を発症するリスクがある個体を予防的に処置する方法が提供される。医薬組成物は、本明細書に記載される任意の医薬組成物であってよい。いくつかの実施形態では、個体は、栄養障害型表皮水疱症を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、個体は、優性栄養障害型表皮水疱症を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、個体は、劣性栄養障害型表皮水疱症を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1日当たり1回、2回、3回、4回、5回またはそれを超える回数で投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、個体の1箇所以上の患部に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、個体の1箇所以上の非患部に投与される。
【0109】
いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載される医薬組成物のいずれかを個体に投与すると、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドのレベルを増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載される医薬組成物のいずれかを個体に投与すると、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドの機能を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載される医薬組成物のいずれかを個体に投与すると、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1鎖ポリペプチド及び/またはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチド及び/またはケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドの活性を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。
【0110】
いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載される医薬組成物のいずれかを個体に投与すると、個体の係留線維形成を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載される医薬組成物のいずれかを個体に投与すると、個体の上皮基底膜組織化を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載される医薬組成物のいずれかを個体に投与すると、個体の上皮基底接着を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載される医薬組成物のいずれかを個体に投与すると、個体の表皮真皮境界部の一体性を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。いくつかの実施形態では、有効量の本明細書に記載される医薬組成物のいずれかを個体に投与すると、個体の創傷治癒を増強する、増加させる、増大させる、かつ/または補足する。理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載される医薬組成物のうち1種以上を投与することによって、個体の1つ以上の細胞中でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドのレベルを増加させる、増大させる、かつ/または補足することは、個体における機能的なコラーゲンアルファ−1(VII)鎖タンパク質の産生及び分泌の増加を可能にすることになると考えられている。理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載される医薬組成物のうち1種以上を投与することによって、個体の1つ以上の細胞中でリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドのレベルを増加させる、増大させる、かつ/または補足することは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドの翻訳後修飾を増加させて、個体における機能的なコラーゲンアルファ−1(VII)鎖タンパク質の産生及び/または分泌を増強することになると考えられている。理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載される医薬組成物のうち1種以上を投与する(細胞を、ポリペプチドを発現する2つの別個のポリヌクレオチドと接触させることにより、細胞を、2つのポリペプチドを別個に発現する単一の連続ポリヌクレオチドと接触させることにより、または細胞を、キメラポリペプチドを発現する単一の連続ポリヌクレオチドと接触させることにより投与する)ことによって、個体の同じ細胞中でコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドのレベルを増加させる、増大させる、かつ/または補足することは、機能的なコラーゲンアルファ−1(VII)鎖タンパク質の産生及び分泌を増強することに対して相加効果を有することになるとさらに考えられている。理論に束縛されることを望むものではないが、機能的なコラーゲンアルファ−1(VII)鎖タンパク質の産生及び分泌の増加は、係留線維形成の改善を可能にし、個体の上皮基底膜の接着を組織化する、安定化させる、かつ支援するのを助けることになると考えられている。理論に束縛されることを望むものではないが、最終的にこのことは、表皮水疱症に罹患している患者の真皮−表皮安定性の増加をもたらし、既存の創傷を処置して、処置部における創傷の再形成を防止または遅延させることになると考えられている。
【0111】
単離ポリヌクレオチド及びポリペプチド
本開示の特定の態様は、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドに関する。本開示のその他の態様は、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドに関する。本開示のその他の態様は、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0112】
本開示のその他の態様は、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドによって分離されている、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離ポリヌクレオチドに関する。いくつかの実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リンカーポリペプチド、及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードする。
【0113】
いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、1つ以上のフューリン切断部位をコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、リンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、リンカーポリペプチドの下流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、T2Aリンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、T2Aリンカーポリペプチドの下流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、P2Aリンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、P2Aリンカーポリペプチドの下流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、E2Aリンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、E2Aリンカーポリペプチドの下流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、F2Aリンカーポリペプチドの上流でコードされる。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、F2Aリンカーポリペプチドの下流でコードされる。
【0114】
コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの一例は、配列番号:1である。コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、配列番号:1の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0115】
リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの一例は、配列番号:3である。リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、配列番号:3の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0116】
ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの一例は、配列番号:29である。ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、配列番号:29の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0117】
リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの例は、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、及び配列番号:11である。リンカーポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、または配列番号:11の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0118】
コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、リンカーポリペプチド、及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含むキメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの例は、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、及び配列番号:27である。キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはまた、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、または配列番号:27の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するポリヌクレオチドも含む。
【0119】
本開示のさらなる態様は、ベクター内に含有される、本明細書に記載される1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上など)の単離ポリヌクレオチドに関する。いくつかの実施形態では、ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、または任意のそれらのハイブリッドウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、単純ヘルペスウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、1つ以上(例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上など)の導入遺伝子を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、単純ヘルペスウイルスベクターは、ヘルペスウイルスアンプリコンベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターはHSV−1アンプリコンである。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV−1ハイブリッドアンプリコンである。HSV−1ハイブリッドアンプリコンの例としては、HSV/AAVハイブリッドアンプリコン、HSV/EBVハイブリッドアンプリコン、HSV/EBV/RVハイブリッドアンプリコン、及びHSV/Sleeping Beautyハイブリッドアンプリコンを挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV/AAVハイブリッドアンプリコンである。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV/EBVハイブリッドアンプリコンである。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV/EBV/RVハイブリッドアンプリコンである。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV/Sleeping Beautyハイブリッドアンプリコンである。本開示のさらなる態様は、本明細書に記載される1種以上のポリヌクレオチドを含有するウイルス送達ビヒクルを作製する方法に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、宿主細胞を、本明細書に記載される1種以上の単離ポリヌクレオチドを含有する1種以上のウイルスベクターと接触させること、及び宿主細胞によって生成されたウイルス送達ビヒクルを収集することを含む。細胞を培養する方法及び対象となる1種以上のウイルスベクターと細胞を接触させる方法(例えば、形質導入またはトランスフェクションによる)は、当業者には周知である。
【0121】
いくつかの実施形態では、単純ヘルペスウイルスベクターは、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムである。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、1つ以上の有毒な単純ヘルペスウイルス遺伝子の発現を減少させる、または排除するように操作されている。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、不活性化変異を含む。不活性化変異の例としては、欠失(例えば、遺伝子のコード配列の欠失または遺伝子の転写調節エレメントのうち1つ以上の欠失)、挿入、点変異、及び再構成を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、1つ以上の前初期遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、tk、UL41及びUL55単純ヘルペスウイルス遺伝子のうち少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、または8つ全てに不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0遺伝子中にある不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4遺伝子中にある不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP22遺伝子中にある不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP27遺伝子中にある不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4、ICP22、及びICP27遺伝子中にある不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4、ICP27、及びUL55遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、及びUL55遺伝子中に不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ICP0、ICP4、ICP22、及びICP27遺伝子中にある不活性化変異を含む。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノム、組換えHSV−2ゲノム、または任意のそれらの誘導体である。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−1ゲノムである。いくつかの実施形態では、組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、組換えHSV−2ゲノムである。
【0122】
いくつかの実施形態では、単離組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれを超えるウイルス遺伝子座内に本開示の1種以上(例えば、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上など)のポリヌクレオチド(例えば、導入遺伝子)を含む。好適なウイルス遺伝子座の例としては、ICP0、ICP4、ICP22、ICP27、ICP47、tk、UL41及びUL55単純ヘルペスウイルス遺伝子座を挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、単離組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ウイルスICP4遺伝子座のうち1つ以上の中に本開示の1種以上のポリヌクレオチドを含む(例えば、ICP4遺伝子座の一方または両方にCol7をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方にCol7をコードするポリヌクレオチド及び他方のICP4遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方にCol7をコードするポリヌクレオチド及び他方のICP4遺伝子座にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方にLH3をコードするポリヌクレオチド及び他方のICP4遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルスなど)。いくつかの実施形態では、単離組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ウイルスUL41遺伝子座内に本開示の1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、単離組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ウイルスICP47遺伝子座内に本開示の1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、単離組換え単純ヘルペスウイルスゲノムは、ウイルスICP4遺伝子座のうち1つ以上の中に本開示の1種以上のポリヌクレオチド、及びウイルスUL41遺伝子座内に本開示の1種以上のポリヌクレオチドを含む(例えば、ICP4遺伝子座の一方または両方にCol7をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にCol7をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にCol7をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にCol7をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にLH3をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にLH3をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にCol7をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にLH3をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にKRT17をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にLH3をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にKRT17をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にCol7をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルス、ICP4遺伝子座の一方または両方にKRT17をコードするポリヌクレオチド及びUL41遺伝子座にKRT17をコードするポリヌクレオチドを持つ組換えウイルスなど)。
【0123】
いくつかの態様では、本明細書に記載される単離ポリヌクレオチドは、合成mRNA内に含有される。いくつかの実施形態では、合成mRNAは、1種以上の改変リボヌクレオチドを含む。
【0124】
本開示の特定の態様は、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを含む単離ポリペプチドに関する。本開示のその他の態様は、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含む単離ポリペプチドに関する。本開示のその他の態様は、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含む単離ポリペプチドに関する。
【0125】
本開示のその他の態様は、リンカーポリペプチドによって分離されている、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含む単離キメラポリペプチドに関する。
【0126】
いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、1つ以上のフューリン切断部位をさらに含む。いくつかの実施形態では、フューリン切断部位のアミノ酸配列は、古典的フューリン切断部位の配列(Arg−X−(Arg/Lys)−Arg)と同じまたは実質的に類似している。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、リンカーポリペプチドのN末端にある。いくつかの実施形態では、1つ以上のフューリン切断部位は、リンカーポリペプチドのC末端にある。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、N末端からC末端までに、1つ以上のフューリン切断部位及びT2Aリンカーポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、N末端からC末端までに、T2Aリンカーポリペプチド及び1つ以上のフューリン切断部位を含む。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、N末端からC末端までに、1つ以上のフューリン切断部位及びP2Aリンカーポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、N末端からC末端までに、P2Aリンカーポリペプチド及び1つ以上のフューリン切断部位を含む。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、N末端からC末端までに、1つ以上のフューリン切断部位及びE2Aリンカーポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、N末端からC末端までに、E2Aリンカーポリペプチド及び1つ以上のフューリン切断部位を含む。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、N末端からC末端までに、1つ以上のフューリン切断部位及びF2Aリンカーポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、リンカーポリペプチドは、N末端からC末端までに、F2Aリンカーポリペプチド及び1つ以上のフューリン切断部位を含む。
【0127】
いくつかの態様では、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを含む単離ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸配列を含む。単離ポリペプチドはまた、配列番号:2の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含有するコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドも含んでよい。
【0128】
いくつかの態様では、リジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含む単離ポリペプチドは、配列番号:4のアミノ酸配列を含む。単離ポリペプチドはまた、配列番号:4の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含有するリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドも含んでよい。
【0129】
いくつかの態様では、ケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドを含む単離ポリペプチドは、配列番号:30のアミノ酸配列を含む。単離ポリペプチドはまた、配列番号:30の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含有するケラチンI型細胞骨格17ポリペプチドも含んでよい。
【0130】
いくつかの態様では、キメラポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸配列を含有するコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを含む。キメラポリペプチドはまた、配列番号:2の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含有するコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドも含んでよい。
【0131】
いくつかの態様では、キメラポリペプチドは、配列番号:4のアミノ酸配列を含有するリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含む。キメラポリペプチドはまた、配列番号:4の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含有するリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドも含んでよい。
【0132】
いくつかの態様では、キメラポリペプチドは、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12のアミノ酸配列を含有するリンカーポリペプチドを含む。キメラポリペプチドはまた、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10または配列番号:12の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含有するリンカーポリペプチドも含んでよい。
【0133】
いくつかの態様では、キメラポリペプチドは、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26または配列番号:28のアミノ酸配列である。キメラポリペプチドはまた、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26または配列番号:28の配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。
【0134】
宿主細胞
本開示の特定の態様は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含むベクターを含む1種以上の宿主細胞に関する。いくつかの実施形態では、ベクターは、本明細書に記載される単離組換え単純ヘルペスウイルスベクターのいずれかである。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、細菌細胞(例えば、E.coli細胞など)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真菌細胞(例えば、S.cerevisiae細胞など)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、昆虫細胞(例えば、S2細胞など)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、細胞株からの細胞である。好適な宿主細胞または細胞株の例としては、293、HeLa、SH−Sy5y、Hep G2、CACO−2、A549、L929、3T3、K562、CHO−K1、MDCK、HUVEC、Vero、N20、COS−7、PSN1、VCaP、CHO細胞などを挙げてよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、または任意のそれらのハイブリッドウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、単純ヘルペスウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、HSV−1アンプリコンまたはHSV−1ハイブリッドアンプリコンである。いくつかの実施形態では、宿主細胞はヘルパーウイルスを含む。いくつかの実施形態では、ヘルパーウイルスを含む宿主細胞を、本明細書に記載されるベクターと接触させる。いくつかの実施形態では、ヘルパーウイルスを含む宿主細胞を、本明細書に記載されるHSV−1アンプリコンまたはHSV−1ハイブリッドアンプリコンと接触させることにより、本明細書に記載される1種以上のベクターを含むウイルスの作製がもたらされる。いくつかの実施形態では、ウイルスは、接触させた宿主細胞の上清から収集される。ヘルパーウイルスを含む宿主細胞を、HSV−1アンプリコンまたはHSV−1/ハイブリッドアンプリコンと接触させることによってウイルスを生成する方法は、当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は補完宿主細胞である。いくつかの実施形態では、補完宿主細胞は、本明細書に記載されるウイルスベクターのいずれにおいても不活性化されている1つ以上の遺伝子を発現する。いくつかの実施形態では、補完宿主細胞を、本明細書に記載される組換え単純ヘルペスウイルスゲノムと接触させる。いくつかの実施形態では、補完宿主細胞を、本明細書に記載される組換え単純ヘルペスウイルスゲノムと接触させることにより、本明細書に記載される1種以上のベクターを含むウイルスの作製がもたらされる。いくつかの実施形態では、ウイルスは、接触させた宿主細胞の上清から収集される。補完宿主細胞を、組換え単純ヘルペスウイルスと接触させることによってウイルスを生成する方法は、一般にWO2015/009952に記載されている。
【0135】
製品またはキット
本開示の特定の態様は、本明細書に記載される医薬組成物を含む製品またはキットに関する。いくつかの実施形態では、製品またはキットは、対象の皮膚における創傷、障害、または疾患の予防的、待期的、または治療的緩和を提供する医薬組成物を投与するための説明書を含む添付文書を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1種以上のポリヌクレオチドを含む送達ビヒクル及び薬学的に許容される担体は、同じ容器または別個の容器内にある。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、バッグ及びシリンジが挙げられる。容器は、様々な材料、例えば、ガラス、プラスチック(ポリ塩化ビニルもしくはポリオレフィンなど)、または合金(ステンレス鋼もしくはハステロイなど)などから形成されてよい。いくつかの実施形態では、容器は、容器上に、または容器と関連するラベルを含み、ラベルは使用のための指示を示す。製品またはキットは、その他の緩衝液、希釈剤、フィルターなどを含む、商業的及び使用者の観点から望ましいその他の材料をさらに含んでよい。
【0137】
本明細書は、当業者が本発明を実施できるのに十分であると考えられる。本明細書に示される、かつ記載されるものに加えて、本発明の様々な修正が前述の記載から当業者には明らかとなり、それは添付の特許請求の範囲内であることになる。
【実施例】
【0138】
本開示は、以下の実施例の参照によってより完全に理解されることになる。しかしながら、その実施例が、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本明細書に記載される実施例及び実施形態は例示目的のためだけにすぎず、それらを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆されることになり、本出願の趣旨及び範囲内ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであると理解される。
【0139】
実施例1:改変単純ヘルペスウイルスベクターの生成、及びベクターを含有するウイルスの作製/単離
標的哺乳動物細胞中で1つ以上の導入遺伝子を発現することができる改変単純ヘルペスウイルスゲノムベクターを作製するために、単純ヘルペスウイルスゲノム(
図1A)を、前初期遺伝子ICP0、ICP4、及びICP27を不活性化するように改変する一方で、前初期遺伝子ICP22を、異種誘導性プロモーターを含むように改変する。これにより、哺乳動物細胞中のゲノムの毒性が減少する。次に、カセットを、制限クローニングによって改変ヘルペスウイルスゲノム中に挿入する。カセットは、標的哺乳動物細胞中で導入遺伝子を発現することができる異種プロモーターを含有する。プロモーターを、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、加えて下流調節エレメント(
図1B)をコードする核酸配列に機能的に連結し、mRNAの適切な産生を確保する。あるいは、カセットは2つの導入遺伝子を含み、その各々が、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドまたはリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドのいずれかをコードする核酸に機能的に連結されたそれ自体の異種プロモーターを有する。導入遺伝子は、DNAの同じ鎖上で(
図1C)、またはDNAの逆向きの鎖上においてアンチセンス配向で(
図1D)のいずれかでコードされる。各導入遺伝子と、それ自体のプロモーター及び調節エレメントとの連結によって、別個のmRNA転写物上で各コード配列の独立した発現が可能になる。異なるプロモーターから導入遺伝子を発現させることは、コード配列を異なるプロモーター型に機能的に連結させる能力を可能にし、これにより、異なるレベルで、細胞周期の異なる時間で、異なる細胞型で、または異なるインデューサーもしくはリプレッサーの制御下において導入遺伝子の発現が亢進され得る。
【0140】
改変ヘルペスウイルスゲノムを、内部リボソーム進入部位によって分離されたコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドをコードする単一mRNAを発現するカセットを含むようにも構築する(
図1E)。これにより、標的細胞中で発現される場合に、各ポリペプチドのおよそ等モル産生が可能になる。最後に、改変ヘルペスウイルスゲノムを、キメラポリペプチドを発現するカセットを含むように構築する。このキメラポリペプチドは、N末端からC末端までに、コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチド、切断可能なペプチドリンカー、及びリジルヒドロキシラーゼ3ポリペプチドを含む(
図1F)。
【0141】
追加の改変ヘルペスウイルスゲノムを、各々がコラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドを発現する2つのカセットを含むように構築し、各カセットを、野生型単純ヘルペスウイルスゲノム(
図2A)のICP4遺伝子座のコピー中に挿入する(
図2B〜
図2G)。これらの追加の組換えヘルペスウイルスゲノムを、様々な組合せのヘルペスウイルス遺伝子欠失/改変を用いて構築する。
【0142】
両方のICP4遺伝子コピーのコード配列の欠失、加えてICP27及びUL55遺伝子のコード配列の欠失を含有する組換えヘルペスウイルスゲノムを構築する。これらの組換えウイルスを、ICP22及びICP47遺伝子が正常な動態では発現されないように、ICP22及びICP47遺伝子のプロモーター領域中に不活性化変異を含有するようにさらに改変する(
図2B)。
【0143】
コラーゲンアルファ−1(VII)鎖ポリペプチドの発現カセットを、ヘルペスICP4遺伝子の両方の遺伝子座に組み込むように、組換え単純ヘルペスウイルスをさらに構築する。これらの組換えウイルスとしては、ICP22遺伝子及び両方のICP4遺伝子コピーのコード配列の欠失(
図2C)、ICP0遺伝子及び両方のICP4遺伝子コピーのコード配列の欠失(
図2D)、ICP0及びICP22遺伝子、ならびに両方のICP4遺伝子コピーのコード配列の欠失(
図2E)、ICP0、ICP22、及びICP27遺伝子、ならびに両方のICP4遺伝子コピーのコード配列の欠失(
図2F)、ならびにICP0、ICP22、ICP27、及びUL55遺伝子、ならびに両方のICP4遺伝子コピーのコード配列の欠失(
図2G)を含有するウイルスが挙げられる。
図2C〜
図2Gに示したベクターに基づいて、ICP0及び/またはUL41遺伝子座中に1つ以上の追加のエフェクター(例えば、LH3、KRT17)をコードする1つ以上の導入遺伝子をさらに含む、追加のベクターを構築する。
【0144】
これらの改変単純ヘルペスウイルスゲノムベクターを、ヘルペスウイルス遺伝子を発現するように改変した操作Vero細胞にトランスフェクトする。これらの操作Vero細胞は、ウイルス内にパッケージングされた改変ゲノムを有する複製欠損単純ヘルペスウイルスを上清中に分泌する。次いで、上清を収集して濃縮し、5μmのフィルターに通して滅菌濾過する。
【0145】
実施例2:複製欠損HSV−1を用いたCol7発現の回復
以下の実施例は、ヒトCOL7A1遺伝子を発現するように改変した複製欠損単純ヘルペス1型ウイルスの構築、及びRDEB患者から単離した細胞中で観察されるいくつかの欠損を回復させるための、このようなウイルスベクターの使用について記載している。
【0146】
方法
細胞及び細胞培養物
正常及びRDEBヒト皮膚線維芽細胞及びケラチノサイトを、以前に記載されているように単離した(NG,Y.Z.et al.(2012)Cancer Res.72:3522−3534、Rheinwald,J.G.and Green,H.(1975)Cell 6:331−42)。細胞を、標準的な技術に従って培養した。
【0147】
KB103の構築
KB103ベクターを、D3GFP、すなわち、ウイルスICP4の代わりにGFPを持つ複製欠損HSV−1ベクター骨格から生成した。D3GFP中のGFPの配列を、トランスファープラスミドを使用して、COL7A1をICP4組換えプラスミドpSASB3のEcoRI部位にクローニングすることによって、ヒトCOL7A1のコード配列と置き換えた。COL7A1含有トランスファープラスミド及びD3GFPベクターの混合トランスフェクション/感染を、VeroD細胞に対して実施した。GFPを発現しなかった得られたプラークを単離し、Col7タンパク質発現についてウェスタンブロットによって試験した。
【0148】
ウイルス精製
KB103ウイルスを、標準的な技術に従って精製した(Diefenbach,R.and Fraefel,C.Herpes Simplex Virus.New York:Humana Press,2014を参照のこと)。
【0149】
ウイルス感染
細胞を、ウイルス感染の1日前に、およそ50%コンフルエントの状態で6ウェルプレート中に2連または3連で播種した。細胞計数及びMOI決定のため、追加のウェルに並行して播種した。細胞播種から24時間後、1つのウェルからの細胞をトリプシン処理し、計数してMOIを算出し、ウイルスストックを解凍して、所望のMOIを達成するために細胞培養培地中で希釈した。培養培地を、感染させる各ウェルから吸引し、500μLのKB103含有培地(または対照培地)を各ウェルに添加した。プレートを、15〜20分ごとに断続的に振盪しながら、37℃で5〜7.5%CO
2を用いて1.5〜2時間インキュベートし、次いで、1.5〜2mLの完全細胞培養培地を各ウェルに添加して、プレートを37℃で24〜72時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞及び上清を採取して分析のために処理した。
【0150】
mRNA定量化
Col7転写物を、製造業者のプロトコールに従ってSYBR PCRアッセイ(Sybr Select Master Mix、Life Technologies)を使用して、感染後に初代RDEBケラチノサイトから単離したRNAから増幅した。Col7転写レベルを、β−アクチン転写レベルを基準として正規化した。
【0151】
ウェスタンブロット分析
細胞溶解物を感染から48時間後に細胞から生成し、ウェスタンブロットを、以下の抗体を使用して標準的な技術に従って実施した:ウサギ抗ヒトCol7ポリクローナル抗体(Sigma、カタログ番号HPA042420)、マウス抗ヒトGAPDH抗体(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号sc−365062)、ウサギ抗LH3抗体(Protein Tech、カタログ番号11027−1−AP)、及びマウス抗TSP1抗体(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号sc−59887)。
【0152】
免疫蛍光法
細胞を感染前にカバーガラス上に播種し、感染後48時間固定して、一次ウサギ抗ヒトCol7ポリクローナル抗体(Sigma、カタログ番号HPA042420)で染色し、洗浄してから、蛍光標識抗ウサギ二次抗体(Invitrogen、カタログ3 A11012)でさらに染色した。細胞核を、標準的な技術を使用してDAPIで染色した。
【0153】
細胞接着
96ウェルプレートを、100μLの反応容量で10、20、または50μg/mLのラット尾部コラーゲン1(Marathon Laboratory Supply)またはヒトフィブロネクチン(Sigma−Aldrich)を用いて4℃で一晩コーティングし、次いで、PBSで洗浄して、PBS+0.1%BSAを用いて37℃で1時間ブロックした。Mock(対照)感染またはKB103感染RDEBケラチノサイト(100μLのDMEM/HamF12+0.1%BSA中に2.4×10
4細胞)をプレートに添加し、37℃で40〜90分間インキュベートした。ウェルをPBSで3回洗浄して非結合細胞を全て除去し、接着細胞をPFEで20分間固定した。次いで、固定細胞を70%エタノールで処理し、クリスタルバイオレットで染色して100%エタノール中に溶解し、630nmで吸光度を測定することによって定量化した。
【0154】
皮膚等価物(SE)器官型培養物
RDEB線維芽細胞及びケラチノサイトで構成した皮膚等価物器官型培養物を使用して、基底膜領域(BMZ)におけるCol7の発現を評価した。簡潔に述べると、RDEB線維芽細胞(1ウェル当たり2×10
5細胞)を、6ウェルプレート中のフィブリンゲルマトリックス内に包埋し、DMEM+アスコルビン酸及びアプロチニンを含有する10%血清中において、37℃及び5%CO
2で24時間インキュベートした。次いで、RDEBケラチノサイト(1ウェル当たり1×10
6細胞)をマトリックス上に播種し、50mg/mLのアスコルビン酸を含有するDMEM/F−12ケラチノサイト培地中でコンフルエントになるまで増殖させると、気液界面で上昇した。上昇から2日後、KB103ウイルスを培養物に(3のMOIで)添加し、1.5時間インキュベートした。インキュベーション後、培養物を洗浄し、5〜14日間インキュベートして層化及び上皮への分化を促した。皮膚等価物(SE)をプレートから手作業で剥がし、最適切削温度化合物内に包埋して液体窒素中で凍結し、モノクローナル抗Col7抗体を用いた免疫蛍光染色のために、6mmの切片に切断した。
【0155】
結果
正常細胞及びRDEB細胞におけるKB103薬理学
Col7欠損を治すために、ヒトCOL7A1遺伝子をRDEB患者から単離した初代細胞に送達するという多数のエクスビボ手法が行われてきた(Ortiz−Urda,S.et al.(2003)J.Clin.Invest.111(2)251−5、Woodley,D.T.et al.(2003)J.Invest.Dematol.121(5)1021−8)。主要な疾患の特徴に関する永続的な収集の達成は成功しているが、表皮水疱症を処置するためのエクスビボ遺伝子送達戦略は、高コスト、不十分な生着、外科的創面切除、複合包帯及び創傷ケア、ならびに術後感染の高い可能性を含む、多数の主要な欠点を有する。遺伝子治療の魅力的な代替経路は、遺伝子産物を送達するためのウイルスまたは非ウイルスベクターの使用である。しかしながら、プラスミドDNAを使用する非ウイルスベクターは、注射または局所的に投与した場合、非常に低い遺伝子導入効率に悩まされ、一方でヒト遺伝子治療試験において最も広く使用されているウイルスベクター(レトロウイルスベクター)は、非分裂細胞に感染しない。このことは、レトロウイルス遺伝子治療には適切な分裂細胞集団を作製するための組織の操作(創傷など)が必要となるため、皮膚への遺伝子送達にとって問題である。大容量のアデノウイルスベクターは、ゲノムサイズの転写単位を送達し、長時間にわたって形質導入細胞中で生存し得るが、アデノウイルス粒子の毒性及び免疫原性、加えてベクター作製中におけるヘルパーウイルスの必要性が、ヒト遺伝子治療戦略におけるそれらの使用にとって大きなハードルとして残る。複製欠損HSVベクターが多数の前臨床試験で送達ビヒクルとして用いられてきたが、表皮水疱症またはその他の皮膚科用途のための、HSVに基づくウイルスベクターの使用を支持する前臨床的証拠は、一切報告されていない。
【0156】
この目的のために、ヒトCOL7A1遺伝子をコードする複製欠損単純ヘルペス1型ウイルス(HSV−1)を、DEB患者の遺伝子治療処置に有用な新規ベクターとして開発した。HSV−1ウイルスを、ウイルスICP4、ICP27、及びUL55遺伝子の完全な欠失を有するように改変すると、ICP4欠失は、前初期ウイルス遺伝子ICP22及びICP47の転写を亢進する上流プロモーター配列の除去をもたらした。ウイルスを、欠失したICP4遺伝子座の両方のコピー内でコードされるヒトサイトメガロウイルス(HCMV)前初期プロモーター駆動ヒトCOL7A1発現カセットを含むようにさらに改変すると、ヒトCOL7A1を標的細胞に送達するのに好適な、KB103と称される複製欠損HSV−1ベクターをもたらした(
図3)。
【0157】
ヒト細胞中でCol7を送達かつ発現するKB103の能力を試験するために、及びRDEB患者のCol7欠損を回復するために、患者由来のヒト皮膚線維芽細胞及びケラチノサイトを、健康な個体、加えてRDEBに罹患している個体から単離し、これらの初代細胞を様々なMOIでKB103に感染させた。感染から24〜72時間後、COL7A1遺伝子発現を、形質導入細胞におけるリアルタイムPCRによって測定した一方で、並行してCol7タンパク質発現を、ウェスタンブロット及び免疫蛍光分析の両方によって分析した。
【0158】
COL7A1遺伝子発現の用量依存的増加を、KB103に感染させたRDEBケラチノサイト(
図4A)及び線維芽細胞(
図4B)で観察した。KB103感染によって、0.3、1、及び3のMOIで感染させたRDEBケラチノサイトのCOL7A1遺伝子発現は、それぞれおよそ7.5倍、12.5倍、及び25倍増加した(
図4A)。驚くべきことに、COL7A1遺伝子発現のさらに大きな劇的変化を、感染RDEB線維芽細胞で観察した。0.1及び0.3のMOIでの感染がCOL7A1遺伝子発現の中程度の増加を示した一方で、COL7A1遺伝子発現のおよそ30倍の増加を、1のMOIで感染させたRDEB線維芽細胞で測定したが、3のMOIで感染させたこの細胞型では60倍の増加を観察した。このデータは、COL7A1遺伝子発現が、KB103での感染後、RDEB初代細胞中で大幅に上方制御されたことを示した。
【0159】
結果として、強力なCol7タンパク質発現も、KB103に感染させた細胞中で観察した。Col7タンパク質発現を、0.3、1、及び3のMOIにおけるKB103での感染から48時間後、正常及びRDEBケラチノサイト(
図5A)及び線維芽細胞(
図5B)の両方で検出し、Col7タンパク質発現の明らかな用量依存的増加を、より高いウイルス力価で観察した。Col7の発現を、感染細胞からの上清及び細胞溶解物の両方で観察した。驚くべきことに、0.3のMOIで感染させたRDEB線維芽細胞は、非感染正常線維芽細胞で観察したものよりも高レベルのCol7を示し(
図5B)、このことは、低ウイルス力価であっても、KB103を使用したRDEB線維芽細胞におけるCol7発現の完全な回復を示唆した。高ウイルス用量(3のMOI)を使用した細胞形態に対する明らかな効果は、一切観察されなかった。さらに、高用量のKB103を使用した線維芽細胞またはケラチノサイト細胞増殖に対する負の影響は、GAPDH発現によって決定したように、これらの実験では一切示されなかった。
【0160】
上記の実験と一致して、Col7タンパク質発現の強力かつ用量依存的増加を、Col7タンパク質発現の免疫蛍光検出によって実証した通り、KB103に感染させた正常及びRDEB細胞で確認した(
図6)。予想通り、Col7タンパク質は、非感染RDEBヒト皮膚線維芽細胞またはケラチノサイトでは一切検出せず、限られたCol7タンパク質を、非感染正常ケラチノサイト及び線維芽細胞で検出した。しかしながら、KB103での感染は、非感染正常細胞で観察したレベル以上に、RDEB線維芽細胞及びケラチノサイトのCol7タンパク質発現を回復させることができた。さらに、KB103の感染効率(3のMOIで)は、各感染複製物の3つ以上の独立したパネルにおける評価に基づいて≧95%であると算出され、このことは、KB103がCOL7A1発現カセットを効率的に送達かつ発現したことを示した。総合すると、このデータは、KB103が、正常及びRDEB初代細胞中でCOL7A1を送達かつ発現することができ、さらにKB103が、ヒト皮膚線維芽細胞及びケラチノサイトの両方で十分に忍容されたことを示唆した。
【0161】
RDEB細胞中におけるKB103の機能評価
次に、KB103から発現したヒトCol7タンパク質の機能性を、ヒト皮膚線維芽細胞及びケラチノサイトにおいて調査した。最初に、リジルヒドロキシラーゼ3のレベルに対するCol7発現の効果を、KB103感染細胞で試験した。LH3は、細胞外マトリックスの沈着及び組織化に必要であり、LH3レベルはRDEB皮膚中で低減すると報告されている(Watt,S.A.et al.(2015)PLoS One 10(9):p.e0137639)。LH3は、先行研究と一致して、正常なケラチノサイトと比較して非感染RDEBケラチノサイトでは、ほとんどまたは全く観察されなかった(
図7、レーン1対5)。しかしながら、予想外にも、LH3レベルの用量依存的増加を、Col7タンパク質発現の増加に付随して、KB103に感染させたRDEBケラチノサイトで観察し(
図7)、このことは、KB103がRDEB細胞中でCol7タンパク質発現だけでなく、LH3発現も回復させることができたことを示唆した。
【0162】
次に、TSP−1レベルに対するCol7発現の効果を試験した。TSP−1は、血管新生の負の制御因子であり、これはRDEB線維芽細胞中で増加すると報告されている(Ng,Y.Z.et al.(2012)Cancer Res.72(14):p.3522−34)。先行研究と一致して、より高レベルのTSP−1を、正常ヒト皮膚線維芽細胞に対して非感染RDEBヒト皮膚線維芽細胞で観察した(
図8、レーン1及び4)。驚くべきことに、TSP−1タンパク質発現は、KB103に感染させる正常またはRDEB線維芽細胞のいずれかの感染時に強力に阻害された(
図8)。このデータは、KB103が、感染細胞中でCol7及びLH3レベルを増加させるだけでなく、負の制御因子TSP−1を阻害することによって血管新生を促進する可能性があることも示唆した。
【0163】
最後に、コラーゲン1またはフィブロネクチンのいずれかに対するRDEBケラチノサイトの細胞接着を増加させるKB103の能力を試験した。コラーゲン1及びフィブロネクチンの両方に対する細胞接着の用量依存的増加を、様々なMOIでKB103に感染させたRDEBケラチノサイト中で観察した(
図9A及び
図9B)。試験した全てのMOIにおけるRDEBケラチノサイトの感染は、非感染(対照)細胞と比較して、全ての濃度の両基質で処理したウェルに対する接着性がより高いことを示した。総合すると、このデータは、KB103から発現したヒトCol7タンパク質が形質導入細胞中で機能的であったことを示した。このタンパク質の機能性は、LH3タンパク質レベルを増加させるその能力、TSP−1タンパク質レベルを減少させるその能力、ならびにmock感染試料と比較してコラーゲン1及びフィブロネクチンの両方への細胞接着を改善するその能力によって示された。
【0164】
RDEB器官型培養物におけるKB103薬理学及び毒性
RDEB線維芽細胞及びケラチノサイトで構成した皮膚等価物(SE)器官型培養物を使用して、基底膜領域(BMZ)におけるKB103から発現したCol7タンパク質の発現を評価した。RDEB線維芽細胞及びケラチノサイトをmock感染または3のMOIでKB103に感染させて、5日間インキュベートして層化及び上皮への分化を促した。得られた皮膚等価物(SE)を単離して切断し、Col7タンパク質発現を検出する免疫蛍光法のために染色した。Col7発現を、KB103に感染させた細胞からのこれらの器官型培養物中で検出し、BMZにおけるCol7タンパク質沈着の開始を、mock感染対照物と比較して観察した(
図10)。このデータは、KB103がCOL7A1を送達し、Col7タンパク質を効率的に発現することができただけでなく、Col7タンパク質が、Col7タンパク質についてインビボで予測した組織化のパターンと同様に、器官型培養物中で組織化し始めたことを示唆した。
【0165】
総じて、これらの実験は、複製欠損HSV−1ベクターが、表皮水疱症患者から単離した初代細胞中にCOL7A1発現カセットを送達するためのビヒクルとして用いられる可能性があることを初めて明らかにした。さらに、これらのデータは、Col7タンパク質が、健康な個体、加えて皮膚科障害に罹患している個体からの2種類の異なるヒト細胞型において、この発現カセットから高レベルで発現され得たことを明らかにした。最後に、Col7タンパク質は、それがLH3の発現を増加させ、TSP−1の発現を減少させ、コラーゲン1及びフィブロネクチンへの細胞接着を増加させることができ、Col7のインビボ組織化と同様のパターンで器官型培養物中において組織化し得たことから、機能的であることが分かった。理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に提示したデータは、KB103及びその他のHSV−1ベクターが、表皮水疱症及び/またはその他の皮膚科用途に対する新規のインビボ処置戦略として有用である可能性があることを示唆している。
【0166】
実施例3:複製欠損HSV−1を使用したインビボCol7発現
以下の実施例は、ヒトCol7タンパク質をインビボで発現するための送達ビヒクルとしての、複製欠損単純ヘルペス1型ウイルス(ヒトCOL7A1導入遺伝子を含有するように改変した)の使用について記載している。
【0167】
方法
KB103の構築及び精製
KB103ウイルスを、上記の実施例2に記載の通りに構築かつ精製した。
【0168】
ウイルス感染
KB103ウイルスを、以下の通りに皮内注射によって野生型Balb/cまたはskh1エリートマウスに送達した:各動物に、ウイルス/部位の1×10
8プラーク形成単位(PFU)での50μLの容量で、動物の隣接領域内の2〜4部位に1回注射した。動物を、KB103投与から48時間後に犠牲死させ、注射部位を採取してリアルタイムqPCRまたは免疫蛍光分析のいずれかのために処理した。
【0169】
qPCR分析のために、皮膚組織を、6mmのパンチ生検器具を使用して筋膜に至るまで切離した。生検材料を2つの試験片に二分し、各試験片を、液体窒素を使用して急速凍結した。全RNA及びDNAを、Qiagen AllPrep DNA/RNAキットを使用して生検材料の半分から単離した。
【0170】
免疫蛍光分析のために、直径およそ1cmの円形部を注射部位の皮膚から切除し、半分に切断して、円形部の中心部分が上向きとなるようにOCTに載せた。調製した試料を液体窒素冷却イソペンタン中で急速凍結し、−80℃で保存した。
【0171】
mRNA定量化
Col7転写物を、2ステッププロトコールを使用してKB103注射後にマウス皮膚組織から単離したRNAから増幅した:製造業者のプロトコールに従って、1)cDNA合成を、superscript III First Strand Synthesisキット(Thermofisher、カタログ番号18−080−051)を使用して実施し、2)qPCR増幅を、Quantitect Probe PCRキット(Qiagen、カタログ番号204345)を使用して実施した。100ngのcDNAを各反応に使用した。Col7転写レベルを、GAPDH転写レベルを基準として正規化した。
【0172】
ゲノムコピー定量化
KB103注射マウスにおけるKB103ウイルスゲノムのコピー数を、Quantitect Probe PCRキット(Qiagenカタログ番号204345)を使用してqPCR増幅により定量化した。100ngのマウスゲノムDNAを各反応に使用し、マウスゲノムGAPDHを対照として使用した。
【0173】
免疫蛍光法
KB103を注射したマウスからの組織切片を固定し、続いて一次ウサギ抗ヒトCol7ポリクローナル抗体(Sigma、カタログ番号HPA042420)で染色し、洗浄してから蛍光標識抗ウサギ二次抗体(Invitrogen、カタログ3 A11012)でさらに染色した。細胞核を、標準的な技術を使用してDAPIで染色した。
【0174】
結果
ヒトCol7タンパク質のインビボ送達及び発現を成功させるKB103の能力を試験するために、マウスにKB103ウイルスを皮内投与した。感染マウス組織のウイルスゲノムコピー数を評価し、高レベル(>1,000,000ウイルスゲノムコピー/100ngのマウスDNA)のKB103ウイルスゲノム送達をマウス中で観察した(
図11)。次に、ヒトCol7をインビボで発現するウイルスの能力の能力を検査した。KB103感染マウスにおけるヒトCol7転写物の定量を測定し、対照マウスハウスキーピング遺伝子の発現と比較して評価した。高レベルのヒトCol7転写物を感染マウス組織中で観察し(
図11)、このことは、送達されたウイルスゲノムが、それらのヒト遺伝子カーゴの発現を成功させることができたことを示唆した。最後に、Col7タンパク質を発現するKB103の能力を感染マウスで試験した。マウス皮膚組織を感染後にマウスから切除し、Col7タンパク質発現を、マウス組織の免疫組織化学染色法によって評価した。高レベルのヒトCol7タンパク質を、組織染色後に検出した(
図12)。驚くべきことに、ヒトCol7タンパク質がマウス真皮においてKB103ウイルスから発現されただけでなく、KB103感染マウスの基底膜領域におけるヒトCol7沈着の開始も観察した(
図12)。理論に束縛されることを望むものではないが、このデータは、以下を示唆している:1)KB103ウイルスが関連組織へのインビボ感染を成功させ、多数のゲノムコピーをこれらの組織に送達することができ、2)関連組織へのKB103ウイルスの送達が、このウイルス上でコードされたヒト遺伝子の有意な発現をもたらし、3)KB103が、ヒトCol7タンパク質のインビボ発現を成功させるだけでなく、このタンパク質は(例えば、基底膜領域において)組織化を開始することができ、ある意味、罹患した個体において内因性Col7欠損を回復させるその能力を示唆している。