【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、請求項1による導電性及び/又は分極性粒子を検出する、特に、煤粒子を検出する本発明によるセンサによって達成される。センサシステムに関して、目的は、請求項12の特徴によって達成される。本発明のセンサを作動させる方法に関して、目的は、請求項13の特徴によって達成される。センサの使用に関して、目的は、請求項15の特徴によって達成される。
【0007】
本発明によるセンサ、本発明によるセンサを作動させる方法及び本発明によるセンサの使用の有利かつ適切な改良は、従属項で特定される。
【0008】
本発明に内在する概念は、導電性及び/又は分極性粒子を検出する、特に、煤粒子を検出するセンサであって、基板を備えるセンサにおいて、少なくとも一つの構造化された電極層及び/又は一つの構造化された絶縁体に、検出される粒子が到達できる少なくとも一つの開口が形成されるように、第1のレベルの第1の構造化された絶縁体、第2のレベルの第1の構造化された電極層、第3のレベルの第2の構造化された絶縁体及び第4のレベルの第2の構造化された電極層が基板の少なくとも一方の側に直接的又は間接的に配置され、電極層がそれぞれ、少なくとも二つの電極、少なくとも二つの
配線又は少なくとも一つの電極と少なくとも一つの
配線の組合せを有することを特徴とするセンサを特定することである。
【0009】
換言すれば、少なくとも一つの第1の構造化された電極層及び一つの第2の構造化された電極層を水平方向に配置するとともに少なくとも一つの構造化された絶縁体を二つの構造化された電極層の間に配置したセンサを設ける。少なくとも一つの第1の構造化された絶縁体は、基板と第2のレベルの第1の構造化された電極層の間に配置される。
【0010】
一般的には、基板は、他の表面より著しく大きい少なくとも二つの表面を有するような平面形状となるように設計される。しかしながら、他の形状も可能であり、例えば、全ての表面が略同一サイズ(立方体、4面体等)である又は一つの表面のみが他の表面より大きい(例えば、円柱又は半球)。電極層又は絶縁層は、表面の少なくとも一つに設けられるが、複数の表面を被覆することもできる。基板の厚さは、数mmであってもよく、好適には、0.2mmから0.5mmまでの範囲であり、特に好適には、0.3mmから0.4mmまでの範囲である。
【0011】
基板を絶縁材料、導電材料又は半導体材料で構成することができる。例えば、金属酸化物、ガラス、セラミックス及び/又はガラスセラミックスを絶縁材料として用いることができる。用いられる材料は、好適には、Al
2O
3、ZrO
2又はMgOである。用いられる導電材料は、動作温度より高い融点を有する金属、合金又は導電性セラミックスである。ニッケル又はニッケル−鉄合金、アルミニウム、アルミニウム−クロム合金は、導電材料として好適に用いられる。ケイ素又は炭化ケイ素のような材料は、半導体として適している。
【0012】
金属又は半導体を基板として用いる場合、一つの電極層を省略することができ、センサの全体の厚さを低減することができる。これは、追加の層を基板の両側に設けるときに特に有利である。金属基板を
配線として実現することができるとともに金属基板を加熱導体又は温度センサとして用いることができる。このために、好適には絶縁層の製造中に
配線の間のスペースに絶縁層を充填するとともに
配線部を互いに絶縁する。
【0013】
センサは、基板が他の構造化された電極層及び他の構造化された絶縁体を有することができるように五つ以上のレベルを有することができる。換言すれば、奇数番号のレベルが構造化された絶縁体を有し、偶数番号のレベルが構造化された電極層を有する。三つ以上の構造化された電極層を形成する場合、センサは、好適には、一つの構造化された絶縁体が二つの構造化された電極層の間に常に形成されるように常に設計される。レベルの番号を基板又は基板の一つの側から数える。
【0014】
構造化された電極層は、重なり合うように配置され、特に、重なり合うように堆積され、構造化された電極層は、少なくとも一つの構造化された絶縁体によってその都度互いに離間される。
【0015】
本発明によるセンサは、例えば、少なくとも三つの構造化された電極層と、少なくとも三つの構造化された絶縁体と、を備えることができ、一つの絶縁体は、常に、二つの構造化された電極層の間に形成される。第1の構造化された絶縁体は、好適には、基板の一つの側に形成される。
【0016】
構造化された絶縁体を、並んで及び/又は重なり合って配置することができる二つ以上の副層によって構成することができる。構造化された絶縁体の二つ以上の副層を、異なる材料から構成することができる及び/又は異なる材料を含むことができる。
【0017】
構造化された電極層を、少なくとも二つの電極、少なくとも二つの
配線又は少なくとも一つの電極と少なくとも一つの
配線との組合せによって構成することができる。したがって、電極層は、三つの電極層、三つの
配線又は二つの電極と一つの
配線の組合せを有することもできる。さらに、種々の電極層を異なるようにそれぞれ構成することができる。換言すれば、少なくとも二つの電極層を、異なる数の電極及び/又は
配線から形成することができる。
【0018】
少なくとも一つの電極層は、好適には、少なくとも二つの交互に配置された電極、少なくとも一部の領域において交互に配置された若しくは互いに平行に延在する少なくとも二つの
配線又は交互に配置された若しくは織り交ぜられた少なくとも一つの電極と少なくとも一つの
配線の組合せを有する。したがって、「交互に配置された」は、「互いに織り交ぜられた」、「互いに入れ子にされた」、「互いにつながりを持たせた」又は「互いに組み合わされた」と言うこともできる。
【0019】
用いられる個別の電極層は、異なる構造を有することができる。
【0020】
電極層を、互いに越えるように形成することもできる。
【0021】
換言すれば、本発明によるセンサは、少なくとも二つの絶縁体及び少なくとも二つの構造化された電極層を備える層複合物を有することができる。
【0022】
さらに、検出される粒子が到達できる少なくとも二つのレベルの重複する開口を、電極及び/又は
配線の間に形成することができる。換言すれば、基板の複数の層、特に、複数の構造化された電極層及び/又は複数の構造化された絶縁体は、互いに重なり合って配置された開口を有し、粒子は、更に下に配置された構造化された電極層の開口を通過することができる。開口は、基板も貫通するとともに他の側の他の電極及び絶縁層(レベル)の開口に併合することができる。開口は、一般的には、複数のレベルに亘って延在する通路が製造されるように互いに重なり合って配置される。しかしながら、開口を、部分的に重なり合うように又は全く重なり合わないようにセンサの少なくとも一部に配置することもできる。
【0023】
好適には、少なくとも一つの電極層の開口は、この電極層の縁領域から離間され、少なくとも一つの絶縁体の開口は、絶縁体の縁領域から離間される。したがって、開口は、好適には、境界層又は関連の層の外側縁に形成されない。
【0024】
第1の構造化された電極層及び第2の構造化された電極層は、その間に配置された第2の構造化された絶縁体によって互いに絶縁される。そのような設計の結果、従来のセンサに比べて外形寸法が小さい非常に感度の高いセンサを形成することができる。
【0025】
本発明の別の実施の形態において、第3の構造化された絶縁体を第5のレベルで形成することができる。
【0026】
さらに、第3の構造化された絶縁体を第5のレベルで形成するとともに少なくとも二つの電極、少なくとも二つの
配線又は少なくとも一つの電極と少なくとも一つの
配線の組合せを有する第3の構造化された電極層を第6のレベルで形成することができる。
【0027】
第5のレベル及び/又は第6のレベルの構造に加えて、他の構造化された絶縁体及び他の構造化された電極層を他のレベルで形成することができ、電極層はそれぞれ、少なくとも二つの電極、少なくとも二つの
配線又は少なくとも一つの電極と少なくとも一つの
配線の組合せを有することができる。
【0028】
構造化された絶縁体は、少なくとも一部の区域の上に配置される構造化された電極層、特に、少なくとも一部の区域の上に配置される電極及び/又は
配線の構造を有することができる。さらに、構造化された絶縁体は、少なくとも一部の区域の下に配置される構造化された電極層、特に、少なくとも一部の区域の下に配置される電極及び/又は
配線の構造を有することができる。
【0029】
特に開口のエリアの基板を被覆する導電層、特に、平面金属層を、基板と第1の構造化された絶縁体の間又は基板と第1の構造化された絶縁体の第1のレベルの間に構成することができる。平面形状であるが好適には開口又は通路を有しない金属層を構成することができる。
【0030】
少なくとも一つの構造化された絶縁体は、0.1μmから50μmまでの厚さ、特に、1.0μmから40μmまでの厚さ、特に、5.0μmから30μmまでの厚さ、特に、7.5μmから20μmまでの厚さ、特に、8μmから12μmまでの厚さを有することができる。構造化された絶縁体の厚さを変えることによって、第1の電極層から他の電極層までの距離を調整することができる。センサの感度を、重なり合って配置される構造化された電極層の間隔を減少させることによって上げることができる。設計される絶縁体の厚さが小さくなるに従ってセンサの感度が上がる。
【0031】
さらに、一つ以上の電極層の厚さ及び/又は一つ以上の絶縁体の厚さを変えることができる。
【0032】
絶縁体は異なる層厚を有することができる。したがって、電極層の間の距離を変えることができる。異なる層厚の絶縁体を用いることによって、検出される粒子のサイズを測定することができる。さらに、検出される粒子の粒径分布を絶縁体の異なる層厚に基づいて推論することができる。
【0033】
少なくとも一つの構造化された絶縁体を、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、ガラス、セラミック、ガラスセラミックス、金属酸化物又はその任意の混合物から形成することができる。
【0034】
少なくとも一つの構造化された絶縁体は、その下に配置される少なくとも一つの構造化された電極層を側面に沿って包囲することができる。換言すれば、この絶縁体は、電極層が側面に沿って絶縁されるようにこの電極層の側面を被覆することができる。
【0035】
少なくとも一つの
配線を、加熱導体として基板と第1の構造化された絶縁体の間に及び/又は基板の他の側に及び/又は偶数番号のレベルで形成することができる。
【0036】
少なくとも一つの電極及び/又は少なくとも一つの
配線を、導電材料、特に、金属又は合金、特に、高温耐熱金属又は高温耐熱合金、特に好適には、白金族元素の群からなる金属又は白金族元素の群からなる金属の合金から構成することができる。白金族元素は、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)及びイリジウム(Ir)である。ニッケル(Ni)のような卑金属又はニッケル/クロム又はニッケル/鉄のような卑金属合金を用いることもできる。
【0037】
さらに、少なくとも一つの電極及び/又は少なくとも一つの
配線を、導電性セラミック又は金属とセラミックの混合物によって形成することができる。例えば、少なくとも一つの電極層をプラチナ(Pt)粒子と酸化アルミニウム(Al
2O
3)本体の混合物から形成することができる。少なくとも一つの実際の電極及び/又は少なくとも一つの
配線は炭化ケイ素(SiC)を含んでもよい又は炭化ケイ素(SiC)から構成されてもよい。上述した材料及び金属又はこれらの金属の合金は、特に高い耐熱性を有し、したがって、内燃機関の排気ガス流の煤粒子の検出に用いることができるセンサ素子を構成するのに適している。
【0038】
電極又は
配線の厚さを広範囲に亘って変えることができ、10nmから1000μmまでの範囲の厚さを用いることができる。好適には、100nmから100μmまでの範囲の厚さ、特に好適には、0.6μmから1.2μmまでの範囲の厚さ、一層好適には、0.8μmから0.9μmまでの範囲の厚さを用いる。
【0039】
電極又は
配線の幅を広範囲に亘って変えることができ、10μmから10mmまでの範囲の幅を用いることができる。好適には、30μmから300μmまでの範囲の幅、特に好適には、30μmから100μmまでの範囲の幅、一層好適には、30μmから40μmまでの範囲の幅を用いる。
【0040】
特にセラミック及び/又はガラス及び/又は金属酸化物又はその組合せから形成されている少なくとも一つの被覆層を、第1の構造化された絶縁体から見て外方に向く最上部の構造化された電極層の側に形成する。換言すれば、少なくとも一つの被覆層を、第1の構造化された絶縁体の反対側に形成した最上部の電極層の側に構成する。被覆層は、拡散障害としての役割を果たすことができ、電極層、最上部の電極層又は最も大きい偶数番号のレベルの電極層の蒸発を更に減少させる。これは、700℃を超える高温で特に重要である。排気ガス流において、例えば、850℃以上の温度に到達することがある。
【0041】
本発明の他の実施の形態において、被覆層は、最上部の絶縁体及び/又は他の電極層を側面に沿って包囲することができる。換言すれば、最上部の電極層の側面及び下に存在する絶縁体の側面の両方を少なくとも一つの被覆層によって被覆することができる。したがって、被覆層の側面に沿って包囲する部分又は側面に沿って包囲する領域は、最上部の電極層から最下位の電極層まで延在することができる。これは、一つ以上の電極層及び/又は一つ以上の絶縁体の側面に沿った絶縁を提供する。
【0042】
少なくとも一つの被覆層が最上部の電極層を完全に被覆しないようにすることができる。換言すれば、少なくとも一つの被覆層が最上部の電極層の一部の区域のみを被覆することができる。
【0043】
最上部の電極層を加熱層として設計した場合、加熱ループ/加熱コイルの区域のみを少なくとも一つの被覆層によって被覆することができる。最上部の電極層は、基板から最も離間して配置される電極層として規定される。最下位の電極層は、基板に最も近接して配置される電極層として規定される。最上部の絶縁体は、基板から最も離間して配置される絶縁体として規定される。最下位の絶縁体は、基板に最も近接して配置される絶縁体として規定される。
【0044】
多孔質フィルタ層を最上部の電極層の上及び/又は被覆層の上に形成することができる。そのような多孔質フィルタ層を用いることによって、大きい粒子片を電極層及び絶縁体の配置に近づけないようにすることができる。フィルタ層の複数の孔の少なくとも一つは、適切なサイズの粒子がフィルタ層を通過できるのを保証するように設計される。フィルタ層の細孔径を、例えば、1μmより大きくすることができる。多孔質フィルタ層を、規定した寸法の開口が存在する又は形成されたマイクロ構造層とすることもできる。
【0045】
特に好適には、細孔径を20μmから30μmまでの範囲に設計する。多孔質フィルタ層を、例えば、セラミック材料から形成することができる。多孔質フィルタ層を酸化アルミニウムフォームから構成することも考えられる。センサの一つ以上の開口も被覆するフィルタ層によって、測定を妨害する大きい粒子、特に、煤粒子を少なくとも一つの通路に近づけないようにすることができ、したがって、そのような粒子によって短絡が生じないようにすることができる。
【0046】
センサは、少なくとも一つの開口を有する。センサの少なくとも一つの開口を止まり穴として設計することができ、第1の絶縁体の区域、第1の構造化された電極層の区域又は付加的な平面形状の金属層の区域は、止まり穴の底部として形成される。センサが被覆層を有する場合、開口はこの被覆層にも延在する。換言すれば、電極層、絶縁層及び被覆層はそれぞれ開口を有し、これらの開口は、通路、特に、止まり穴又は長手方向の窪みを形成するように重なり合って配置され、その底部は、最下位の電極層の区域、最下位の絶縁体の区域又は平面形状の金属層の区域によって形成される。開口、特に、止まり穴又は長手方向の窪みの底部を、第1の絶縁体に対向する第1の電極層の上側に形成することができる。さらに、第1の電極層が止まり穴又は長手方向の窪みの底部を形成する窪みを有することも考えられる。
【0047】
センサの少なくとも一つの開口は、線形形状、曲折形状、格子形状又は螺旋形状を有することができる。
【0048】
少なくとも一つの開口、特に、少なくとも一つの長手方向の窪みは、少なくとも一部の区域においてV形状及び/又はU形状断面及び/又は半円及び/又は台形断面を有することができる。
【0049】
例えば、止まり穴の開口の断面を、円形、正方形、矩形、長円形状、ハチの巣形状、多角形、三角形又は六角形とすることができる。異なるタイプの形態、特に、自由形状も考えられる。
【0050】
例えば、止まり穴は3×3μm
2から150×150μm
2までの面積、特に、10×10μm
2から100×100μm
2までの面積、特に、15×15μm
2から50×50μm
2までの面積、特に、20×20μm
2の面積の正方形断面を有する。
【0051】
本発明の更なる拡張において、センサは、複数の通路又は開口、特に、複数の止まり穴及び/又は長手方向の窪みを有し、これらの止まり穴及び/又は長手方向の窪みを、上述したように設計することができる。さらに、少なくとも二つの通路、特に、二つの止まり穴及び/又は長手方向の窪みは、異なる断面、特に、異なるサイズの断面を有し、異なるサイズの止まり穴断面及び/又は異なるサイズの窪み断面を有する複数の測定セルを用いることができる複数の領域を有するセンサアレイを形成できるようにする。導電性及び/又は分極性粒子、特に、煤粒子の並列検出によって、粒子のサイズ又は粒子のサイズの分布についての追加情報を取得することができる。
【0052】
センサは、例えば、長手方向の窪みの形状の複数の通路を備え、通路は、グリッド状に配置される。
【0053】
少なくとも一つの通路、特に、長手方向の窪みは、少なくとも一部の区域においてV形状及び/又はU形状断面及び/又は半円及び/又は台形断面を有することができる。
【0054】
そのような断面又は断面形状は、円形粒子の測定を向上させる。さらに、これらのタイプの断面又は断面形状を用いることによってゴルフボール効果を回避することができる。
【0055】
長手方向の窪みを、トレンチ及び/又は溝及び/又はチャネルと称することもできる。
【0056】
本発明の他の実施の形態において、センサは、円形、正方形、矩形、長円形状、ハチの巣形状、多角形、三角形又は六角形である止まり穴の形状の少なくとも一つの通路と、特に線形形状、曲折形状、格子形状又は螺旋形状を有する長手方向の窪みの形状の少なくとも一つの通路と、を備えることができる。
【0057】
窪みの最上部の縁における長手方向の窪みの幅を、0.1μmから500μmまでの範囲、好適には、1μmから200μmまでの範囲、特に好適には、4μmから100μmまでの範囲にすることができる。第1の電極層の付近の長手方向の窪みの幅を、0.1μmから200μmまでの範囲、好適には、0.1μmから100μmまでの範囲、特に好適には、1μmから50μmまでの範囲にすることができる。長手方向の窪みの幅を変えることができ、センサの種々の区域の幅を変えることができる。これによって、測定される粒子のサイズを導き出すことができる。その理由は、例えば、大きい粒子が狭い窪みに入り込むことができないからである。
【0058】
開口又は通路の深さは、レベルの数及び層の厚さに依存する。厚さは、100nmから10mmまでの範囲、好適には、30μmから300μmまでの範囲、特に好適には、30μmから100μmまでの範囲である。開口及び通路の深さは、一般的には、センサの全ての開口に対して同一であるが、変えることもでき、センサの種々のエリアにおいて異なってもよい。
【0059】
長手方向の窪みの形状の複数の通路をセンサに形成する場合、複数の通路を、一つ以上の選択方向に向くように設計することができる。
【0060】
本発明の一実施の形態において、絶縁体の少なくとも一つの開口はアンダーカット又は凹部を形成することができる。換言すれば、絶縁体を、絶縁体の上に配置される電極層及び絶縁体の下に配置される電極層に対して後方にオフセットする又はへこませることができる。絶縁体の開口の外側凹部を、円形及び/又はV形状に設計することもできる。アンダーカット又は凹部がある絶縁体を経路に形成することによって、丸い粒子の測定を向上させる。本発明のそのような実施の形態において、粒子、特に、丸い粒子は、良好な電気的な接触を行うことができるように電極層、特に、電極及び/又は
配線に供給される。換言すれば、少なくとも一つの絶縁体の開口を、絶縁体の上に配置される電極層及び絶縁体の下に配置される電極層の開口より大きくすることができる。
【0061】
少なくとも一つの構造化された電極層は、構造化された電極層の上に配置されるセンサ層のない電気接触表面を有することができ、電子接触表面は、端子パッドである又は端子パッドに接続させることができる。電極層を、電極層を互いに絶縁させるように端子パッドとする又は端子パッドに接続することができる。好適には、各電極層又は電極層の各電極及び/又は各
配線に対して、電気接触を行うことができるようにするために端子パッドのエリアに露出した少なくとも一つの電気接触表面を形成する。最下位の電極層、すなわち、最下位の電極及び/又は最下位の
配線の電気接触表面は、被覆層がなく、絶縁体がなく、他の電極層がなく、適切な場合には、多孔質フィルタ層がない。換言すれば、絶縁体の区域及び電極層の区域は、最下位の電極層すなわち最下位の電極及び/又は最下位の
配線の電気接触表面の上に配置されない。
【0062】
第1の電極層に接続する接触表面に関する説明は、その上に配置される電極層にも適用され、これらの接触面は、関連する各電極層の上に配置されるセンサ層がない。
【0063】
本発明の他の実施の形態において、少なくとも第1の構造化された電極層及び/又は第2の構造化された電極層は、少なくとも第1の構造化された電極層及び/又は第2の構造化された電極層が加熱コイル及び/又は温度検知層及び/又はスクリーン電極として設計されるような
配線ループを有する。一つの電極層、特に、電極層の電極及び/又は
配線は、二つの電気接触表面を有することができる。これらのタイプの電極層を、加熱コイル、温度検知層及びスクリーン電極として用いることができる。電気接触表面の適切な電気接触によって、関連の電極層を、加熱のために又は温度検知層若しくはスクリーン電極として用いることができる。一つ以上の電極層のそのような設計によりコンパクトなセンサを提供することができる。その理由は、電極層、少なくとも二つの電極、少なくとも二つの
配線又は関連の電極層の少なくとも一つの電極と少なくとも一つの
配線の組合せが複数の機能を実行することができるからである。したがって、別個の加熱コイル層及び/又は温度検知層及び/又はスクリーニング電極層は必要でない。
【0064】
少なくとも一つの電極層を加熱するとき、測定される粒子及び/又はセンサ開口に存在する粒子を焼き払うことができる又は焼き尽くすことができる。
【0065】
要約すると、本発明による設計によって非常に正確な測定を行うセンサを提供することができるといえる。一つ以上の薄い絶縁層を構成することによって、センサの感度を十分に上げることができる。
【0066】
さらに、本発明によるセンサの構造を既知のセンサの構造より著しく小さくすることができる。センサを3次元空間内で設計することによって、複数の電極層及び/又は複数の絶縁体を組み合わせて小型のセンサとすることができる。さらに、センサの製造中に、著しく多いユニットをウェハの基板の上に構成することができる。
【0067】
本発明によるセンサを、気体中の粒子の検出に用いることができる。本発明によるセンサを、液体中の粒子の検出に用いることができる。本発明によるセンサを、気体中、液体中及び/又は気液混合物中の粒子の検出に用いることができる。液体中の粒子の検出のためにセンサを用いる際に、粒子の焼き尽くし又は焼き払いが常に可能でないことが確認された。しかしながら、粒子を焼き尽くすために液体を除去するとともにその後に再度の測定のためにセンサを液体に触れさせることができる。
【0068】
本発明の他の態様によれば、本発明は、センサと、センサを測定モード及び/又はクリーニングモード及び/又は監視モードで動作できるように設計された少なくとも一つの回路、特に、少なくとも一つの制御回路と、を備えるセンサシステムに関する。
【0069】
本発明によるセンサ及び/又は本発明によるセンサシステムは、少なくとも一つの補助電極を有することができる。測定される粒子がセンサ及び/又はセンサシステムによって電気的に引き付けられる又は吸い寄せられるように、補助電極と構造化された電極層の間に及び/又は補助電極とセンサシステムの構成要素、特に、センサハウジングの間に電位を付与する。好適には、そのような電圧は、粒子、特に、煤粒子がセンサの少なくとも一つの開口に「吸い寄せられる」ように少なくとも一つの補助電極及び少なくとも一つの構造化された電極層に印加される。
【0070】
本発明によるセンサは、好適には、センサハウジングに配置される。センサハウジングは、例えば、細長い菅形状を有することができる。したがって、本発明によるセンサシステムもセンサハウジングを備えることができる。
【0071】
センサ及び/又はセンサハウジングのセンサ及び/又はセンサハウジングは、センサ、特に、センサの最上部の(電極)層又は基板から最も離れた層が液体の流れ方向に対して傾斜するように設計及び/又は配置される。したがって、流れは、電極層の面に直角にならない。好適には、最上部の電極の面の法線と粒子の流れ方向の間の角度αは、少なくとも1°、好適には、少なくとも10°、特に好適には、少なくとも30°である。さらに、センサの向きは、粒子の流れ方向と電極又はループの選択軸の間の角度βが好適には20°と90°の間となる向きである。本実施の形態において、検出される粒子は、センサの開口、特に、止まり穴又は流れ方向の窪みに容易に入ることができ、これによって、感度が上がる。
【0072】
回路、特に、制御回路は、好適には、構造化された電極層及び/又は対応する電極及び/又は
配線が相互接続されるように設計される。センサを測定モード及び/又はクリーニングモード及び/又は監視モードで動作させることができるように種々の電圧を電極層及び/又は個別の電極層に印加することができる。
【0073】
付随する態様によれば、本発明は、本発明によるセンサ及び/又は本発明によるセンサシステムを制御する方法に関する。
【0074】
本発明による方法の結果として、センサを測定モード及び/又はクリーニングモード及び/又は監視モードで動作させることができる。
【0075】
測定モードにおいて、電極層の間及び/又はセンサの電極層の電極及び/又は
配線の間の電気抵抗の変化及び/又は電極層の容量の変化を測定することができる。
【0076】
換言すれば、測定モードにおいて、センサの一つのレベルの電極及び/又は
配線の間の電気抵抗の変化及び/又はセンサの一つのレベルの電極及び/又は
配線の容量の変化を測定する。
【0077】
測定モードにおいて、センサの少なくとも二つのレベルの電極又は
配線の間の電気抵抗の変化及び/又はセンサの少なくとも二つのレベルの電極又は
配線の容量の変化を測定することができる。
【0078】
本発明による方法によって、粒子を、電極層の間及び/又は一つの電極層及び複数の電極層の電極及び/又は
配線の間の測定された抵抗の変化に基づいて検出及び測定することができる。代替的に又は追加的に、粒子を、測定されたインピーダンスの変化に基づいて、及び/又は、電極層及び/又は一つ以上の電極層の一つ以上の電極及び/又は一つ以上の
配線の容量を測定することによって、検出又は測定することができる。好適には、電極層の間の抵抗の変化を測定する。
【0079】
測定モードにおいて、電気抵抗測定すなわち抵抗原理による測定を行うことができる。この方法において、二つの電極層の間の電気抵抗が測定され、電気抵抗は、導体として機能する粒子、特に、煤粒子が少なくとも二つの電極層及び/又は少なくとも二つの電極及び/又は少なくとも二つの配線の間を橋絡するときに減少する。
【0080】
測定モードにおいて適用される基本原理は、種々の電圧を電極層及び/又は電極及び/又は
配線に印加することによって測定される粒子、特に、煤粒子の種々の特性を検出できることである。例えば、粒子の粒径及び/又は粒子径及び/又は電荷及び/又は分極率を決定することができる。
【0081】
少なくとも一つの電極層、少なくとも一つの電極又は少なくとも一つの
配線を加熱コイル若しくは加熱層として用いる又は加熱コイル若しくは加熱層に接続できる場合、加熱コイル又は加熱層のアクティブ化時間を決定するために電気抵抗測定を追加的に用いることができる。加熱コイル又は加熱層のアクティブ化は、実行されるクリーニングモードに対応する。
【0082】
好適には、少なくとも二つの電極層の間及び/又は少なくとも二つの電極の間及び/又は少なくとも二つの
配線の間及び/又は電極と
配線の組合せの間の電気抵抗の減少は、粒子、特に、煤粒子が電極層及び/又は電極及び/又は
配線の上又は間に堆積したことを表す。電気抵抗が下限しきい値に到達すると、加熱コイル又は加熱層がアクティブ化される。換言すれば、粒子を焼き尽くす。電気抵抗は、焼き尽くされる粒子の数又は焼き尽くされる粒子の量が増大するに従って増大する。焼き尽くしを、好適には、上限抵抗値が測定されるのに十分長い時間行う。上限抵抗値に到達すると、これは、再生された又はクリーニングされたセンサを表す。その後、新たな測定サイクルが開始される又は実行される。
【0083】
代替的に又は付加的に、電極層及び/又は電極及び/又は
配線及び/又は少なくとも一つの電極と少なくとも一つの
配線の組合せの容量の変化を測定することができる。粒子、特に、煤粒子による負荷の増大によって、電極層及び/又は電極及び/又は
配線の容量が増大する。粒子がセンサを占拠することによって、電荷の移動又は誘電率(ε)の変化が生じ、これによって、容量(C)が増大する。基本的関係は、C=(ε×A)/dとなり、この場合、Aは、電極層及び/又は電極及び/又は
配線の電極有効面積を表し、dは、二つの電極層及び/又は電極及び/又は
配線の間の距離を表す。
【0084】
容量の測定を、例えば、
定電流に対する電圧の増加率を決定すること、及び/又は、
電圧を印加するとともに充電電流を決定すること、及び/又は、
交流電圧を印加するとともに電流波形を測定すること、及び/又は、
LC共振回路によって共振周波数を決定することによって行うことができる。
【0085】
電極層の容量の変化の上述した測定を、実行される監視モードと共に用いることもできる。
【0086】
OBD(車載診断)規則によれば、全ての排気関連パーツ及び部品を、正確に機能するために点検する必要がある。機能点検を、例えば、動力車を始動させた直後に行う必要がある。
【0087】
例えば、電極有効表面積Aの減少に関連する少なくとも一つの電極層の損傷が生じることがある。電極有効表面積Aが容量Cに正比例するので、損傷した電極層、損傷した電極又は損傷した
配線の測定される容量Cは減少する。
【0088】
監視モードにおいて、代替的又は付加的に、電極層及び/又は電極及び/又は
配線を導体回路として設計することができる。導体回路を、例えば、必要な場合にスイッチによって閉じることができる開閉導体回路として設計することができる。
【0089】
さらに、少なくとも一つの導体回路を形成するために電極層又は電極及び/又は
配線を少なくとも一つのスイッチを用いて閉じることができ、監視モードにおいて、試験電流が少なくとも一つの導体回路を流れるか否かを決定するための点検を行う。電極層、特に、電極又は配線がクラックを有する、損傷を被っている又は破壊されている場合、試験電流が流れない又は非常に小さい試験電流しか流れない。
【0090】
本発明の他の態様によれば、本発明によるセンサの複数の使用が特に好ましい。従属的な請求項15によれば、本発明によるセンサの使用は、導電性及び/又は分極性粒子、特に、煤粒子の検出に関する。
【0091】
本発明の他の態様は、導電性及び/又は分極性粒子を検出する、特に、煤粒子を検出する本発明によるセンサの使用であって、粒子の流れ方向は、構造化された電極層の面に直角にならない本発明によるセンサの使用に関する。
【0092】
本発明の他の態様は、導電性及び/又は分極性粒子を検出する、特に、煤粒子を検出する本発明によるセンサの使用であって、最上部の構造化された電極層の面の法線と粒子の流れ方向の間の角度は、少なくとも1°、好適には、少なくとも10°、特に好適には、少なくとも30°である本発明によるセンサの使用に関する。
【0093】
本発明の他の態様は、導電性及び/又は分極性粒子を検出する、特に、煤粒子を検出する本発明によるセンサの使用であって、粒子の流れ方向と電極又は
配線の選択方向の間の角度は、20°と30°の間である本発明によるセンサの使用に関する。電極及び/又は
配線及び/又はループの選択方向は、電極及び/又は
配線及び/又はループが主として延在する軸を意味するものと理解されたい。したがって、
配線ループ及び/又は電極は、主要な選択方向を有する。以下、本発明を、例示的な実施の形態に基づく詳細において添付図面を参照しながら説明する。