特許第6970111号(P6970111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6970111製造プロセスのシミュレーションチェーンにおいて、モデル化された構築システムの新しいFEメッシュジオメトリ上にFEシミュレーション結果の応力状態(応力テンソル)を伝送するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970111
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】製造プロセスのシミュレーションチェーンにおいて、モデル化された構築システムの新しいFEメッシュジオメトリ上にFEシミュレーション結果の応力状態(応力テンソル)を伝送するための方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/23 20200101AFI20211111BHJP
   B21D 22/00 20060101ALI20211111BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20211111BHJP
   G06F 113/22 20200101ALN20211111BHJP
【FI】
   G06F30/23
   B21D22/00
   B05C11/00
   G06F113:22
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-548090(P2018-548090)
(86)(22)【出願日】2017年3月2日
(65)【公表番号】特表2019-513263(P2019-513263A)
(43)【公表日】2019年5月23日
(86)【国際出願番号】DE2017000054
(87)【国際公開番号】WO2017157363
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2019年12月17日
(31)【優先権主張番号】102016003017.8
(32)【優先日】2016年3月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516305813
【氏名又は名称】インプロ イノヴェーションズゲゼルシャフト フューア フォルトゲシュリッテネ プロドゥクツィオーンスズュステーム イン デーア ファールツォイクインドゥストリー エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ニッチェ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッセルス,ヘリベルト
【審査官】 松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/146279(WO,A1)
【文献】 特開2007−313533(JP,A)
【文献】 NAJAFI, A. et al.,Sequential coupled process-performance simulation and multi-objective optimization of thin-walled tubes,Materials and Design,2012年,Vol. 41,pp. 89-98
【文献】 MAKER, B.N.,Input Parameters for Springback Simulation using LS-DYNA [online],2001年06月,pp. 1-11,http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.579.7870&rep=rep1&type=pdf,[検索日 2021.03.09],インターネット
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 −30/28
B21D 22/00 −22/08
B05C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、製造プロセスのシミュレーションチェーンにおいて、3D形状を有する車両構成部品のようなシミュレーションれた構築システムの新しいFEメッシュジオメトリにFEシミュレーション結果の応力状態を示す応力テンソル1を伝送するための方法であって、
前記コンピュータが、
a)第1の製造プロセスの構築システム又は構成部品(1)のFEシミュレーション(FE−N1)の前記応力状態を使って前記FEシミュレーション結果を記述する第1のデータレコード(D1)を用意する工程と、
b)前記シミュレーションした構築システム又は構成部品(1)の、第2の製造プロセスに割り当てられている前記新しいFEメッシュジオメトリ(FE−N2)を作成する工程と、
c)用意した前記第1のデータレコード(D1)の前記応力状態を、前記構築システム又は構成部品(1)の前記新しいFEメッシュジオメトリ(FE−N2)に伝達する工程と、
d)前記FEメッシュジオメトリ(FE−N2)における前記応力テンソル(S1)を使用して平衡計算(R)を実施し、この時、前記構築システム又は構成部品(1)に変形が生じ、該変形は、前記FEメッシュ(FE−N1)における前記変形とは、変形量u>許容値εの分だけ異なっている工程と、
e)前記構築システム又は構成部品(1)の前記新しいFEメッシュジオメトリ(FE−N2おいて、循環する平衡反復として、前記平衡計算(R)を反復的に繰り返し、この時、各サイクルにおいて、それぞれ新しい応力状態を前記構築システム又は構成部品(1)の前記FEメッシュジオメトリ(FE−N2)に適用するが、望ましくない変形量uを引き起こす応力部分については、変位基準/中止基準である変形量u<許容値εに達するまでカットされる工程と、
f)満たされた条件u<εを表示する工程
を実行することを含む方法。
【請求項2】
前記コンピュータが、満たされた前記条件u<εの達成及び/又は表示後、前記変位基準/中止基準の変形量u<許容値εに達した前記FEメッシュジオメトリ(FE−N2)による前記構築システム又は構成部品(1)の前記応力状態を記述する第2のデータレコード(D2)を用意することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータが、さらに、用意された前記第2のデータレコード(D2)に基づく前記構築システム又は構成部品の模擬ブランク検出することを含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピュータが、前記構築システム又は構成部品の前記模擬ブランク模擬形成することを含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記コンピュータが、前記第2の製造プロセスにおいて、前記模擬ブランクと一致する実際の前記構築システム又は構成部品製造用ブランク実際製造することを含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータが、前記第1のデータレコードを用意するため、前記構築システム又は構成部品のモデルのスキャン及び/又は読み取りを行うことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の製造プロセスは、前記構築システム又は構成部品の材料のプレス加工及び/又は深絞り加工であることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2の製造プロセスは、前記構築システム又は構成部品の塗装プロセスであることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
コンピュータの内蔵メモリに直接ロードでき、前記コンピュータに、請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法を実させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータと、
前記コンピュータに、請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法を実行させるためのソフトウェアを格納したメモリと、を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造プロセスのシミュレーションチェーンにおいて、3D形状を有する車両構成部品のようなモデル化された構築システムの新しいFEメッシュジオメトリ上にFEシミュレーション結果の応力状態(応力テンソル)を伝送するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102012006965A1号から、3D形状と異方性層を有する複合部品の成形プロセスのシミュレーションが知られている。この成形プロセスは、市販のソフトウェアソリューション及び/又は個々のソフトウェアソリューションを使ってシミュレーション可能なプレス加工及び深絞り加工などであってよい。特に、LS DYNA又はPAM−FORMの商品名で、一般に入手可能なソフトウェアソリューションが知られている。成形プロセスをシミュレーションするため、プログラムにはブランクを識別する材料が与えられる。さらに、成形ツール及び/又は同類のものに該当するその他のパラメータをシミュレーションの前に準備してもよい。
【0003】
独国特許出願公開第102012006965A1号から知られている3D形状及び異方性層を有する車両用複合部品の成形プロセスのシミュレーション方法では、以下の工程が行われる。
I)3D形状を記述するデータレコードを準備し、
II)複合部品の平坦な模擬半製品を3D形状の上に模擬ドレープし、
III)ドレープに応じて、複合部品の平坦な半製品の模擬ブランクを検出する。
【0004】
この場合、工程II)とIII)との間に工程Zを入れ、模擬ドレープ中に材料の過剰応力が発生しないように、工程II)による模擬ドレープが品質基準を満たしているかどうか点検することができる。工程IV)において、品質基準が守られていないこと、ならびに材料の過剰応力が存在することが確認された場合、工程V)において、模擬ドレープ中に材料の応力ができるだけ生じないように、3次元形状及び/又はそれを記述するデータレコードを調整する。工程V)で得られた結果は、工程I)に従ってデータレコードに供給される。工程I)、II)、IV)、V)からなるループは、工程IV)で品質基準が満たされるまで、何度も反復的に実施してよい。引き続き、工程II)で最後に行った繰り返しに基づいて模擬ブランクを実行する工程III)を行う。
【0005】
「Dubbel−Taschenbuch fur den Maschinenbau」第20版、Springer−Verlag、2001年C48〜C50から分かるように、変形シミュレーションは、特にFEMとも呼ばれる有限要素法に従って実施することができる。有限要素を使うことにより、例えば応力分布や安定性など、あらゆる種類の強度の問題が数値によって解決される。例えば、弾性のある物体からなるシステムが外部荷重によってどのように変形して曲がり、物体がどのように相互にずれるかを調査する。すなわち、調査するシステムの構造がコンピュータで使用可能な形で得られる。この構造では、特定の量のいわゆるノードが決定され、これらのノードを使って、有限要素(FE)とも呼ばれる面積要素又は体積要素のコーナーが形成される。例えば車両ボディのパネルなど、ほぼ面として扱われる湾曲した面又は物体は、この場合、しばしばシェル要素に分解される。
【0006】
ノードは構造の中でメッシュを形成するが、この時、ノードの決定及びFEの生成を構造のメッシュ化と呼ぶ。課題に応じて、これらノードの変位又はこれらFEにおける応力は未知数として導入される。FEの範囲内で変位、回転又は応力を近似的に説明する方程式を立てる。その他の方程式は、異なるFE間の依存関係、例えばノードにおける平衡が満たされており、計算された変位は不変であり、基本条件を満たしていなければならないことから結果的に導かれるため、すき間及び貫通は生じない。
【0007】
この種のシミュレーションは、特にスチールパネルなどの均質な材料に使用することができる。
【0008】
構築システムのさまざまな物体は、しばしば互いに独立してネットワーク化される。例えば、このシステムは、製造する自動車のボディの業種横断的な部品であってよい。この場合、物体は、ネットワークの相互調整が行われずに、異なる供給業者で同時に製造される部品システムである。物体は互いに独立してネットワーク化されているため、ノードは互いに隣接する物体の表面に積み重なっているわけではなく、空間のさまざまなサイズ及びさまざまな方向の有限要素に属している。互いに隣接する物体のこのようなネットワークを、非適合ネットワークと呼ぶ。
【0009】
実際に近い有限要素シミュレーションは、互いに隣接する表面によって引き起こされる異なる物体間の相互作用及び依存性を考慮しなければならない。
【0010】
例えば業者横断的な仮想製造プロセスチェーンでは、FEシミュレーション結果から新しい目標FEメッシュに応力状態(応力テンソル)を伝達した後、その結果を次のFEシミュレーションに使用すると、望ましくない変形が生じる。この変形は、ネットワーク密度、FEの要素タイプ、材料モデルが異なっていることに起因していると考えられる。
【0011】
冒頭に述べたような従来の方法では、シミュレーションチェーン内での応力伝達の結果、望ましくない変形が生じることから、従来の応力伝達は有効ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012006965A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明は、シミュレーションチェーンにおいて、FEシミュレーション結果から新しい目標FEメッシュに応力状態(応力テンソル)を伝達した後、その結果を次のFEシミュレーションに適用した場合に望ましくない変形が生じないような、冒頭に述べた種類の方法を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、本発明に基づいて、
a)第1の製造プロセスの構築システム又は構成部品のFEシミュレーションFE−N1の応力状態(応力テンソルS1)を使ってFEシミュレーション結果を記述する第1のデータレコードD1を用意する工程と、
b)シミュレーションした構築システム又は構成部品の新しいFEメッシュジオメトリFE−N2(新しいFE目標メッシュ)を作成する工程と、
c)工程a)で用意した第1のデータレコードD1の応力状態(応力テンソルS1)を、工程b)で作成した構築システム又は構成部品の新しいFEメッシュジオメトリFE−N2に伝達する工程と、
d)工程c)のFEメッシュジオメトリFE−N2における応力テンソルS1を使用して平衡計算を実施し、この時、構築システム又は構成部品に変形が生じ、この変形は、工程a)によるFEメッシュFE−N1における変形とは、変形量u>許容値εの分だけ異なっている工程と、
e)構築システム又は構成部品の新しいFEメッシュジオメトリFE−N2(新しい目標FEメッシュ)において、循環する平衡反復として、工程d)による平衡計算を反復的に繰り返し、この時、各サイクルにおいて、それぞれ新しい応力状態(応力テンソルS3、S4 ...Sn)を構築システム又は構成部品の新しいFEメッシュジオメトリFE−N2に適用するが、望ましくない変形量uを引き起こす応力部分については、工程f)において変位基準/中止基準である変形量u<許容値εが達成され、表示されるまでカットする工程
を含む冒頭に述べた種類の方法によって解決される。
【0015】
有利には、工程f)において変位基準/中止基準である変形量u<εが表示された後、工程g)において第2のデータレコードD2を準備する。このデータレコードは、変位基準/中止基準の変形量u<許容値εが達成される工程d)で最後に繰り返された平衡計算のFEメッシュジオメトリFE−N2の応力状態(応力テンソルSn)を記述するものである。
【0016】
有利には工程h)を設け、構築システム又は構成部品の模擬ブランクを、工程g)に基づいて検出してもよい。
【0017】
有利には引き続き工程i)を設け、構築システム又は構成部品の模擬ブランクの模擬形成を行ってもよい。
【0018】
さらに有利には、工程j)では、第2の製造プロセスにおいて、模擬ブランクと一致する実際の構築システム又は構成部品製造用ブランクを実際に製造してもよい。
【0019】
好ましくは、工程a)による第1のデータレコードD1を用意するため、構築システム又は構成部品のモデルのスキャン及び/又は読み取りを実施する。
【0020】
第1の製造プロセスは、構築システム又は構成部品の材料のプレス加工及び/又は深絞り加工であってよく、第2の製造プロセスは構築システム又は構成部品の塗装加工であってもよい。
【0021】
さらに本発明は、コンピュータの内蔵メモリに直接ロードでき、コンピュータ上で作動させると請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法を実施するソフトウェア部分を含むプログラムにも関する。
【0022】
さらに本発明は、コンピュータに請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法を実施させるのに適したプログラムにも関する。
【0023】
最後に、本発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法を実行するためのソフトウェアと一緒に設置、設計、構築及び/又は装備されている装置にも関する。
【0024】
本発明に基づく方法により、望ましくない変形を発生させることなく、シミュレーションチェーンの中で応力を伝達することが可能になる。というのも、その応力の大部分は維持されたまま残るが、望ましくない作用を引き起こす応力部分についてはカットするように、複数の反復サイクルの中で応力の補正を行うからである。このために、新しい目標FEシステムにおいて、循環的に実施される平衡反復では、各サイクルにおいて、必要なFEメッシュジオメトリFE−N2に新しい応力状態が適用される。反復サイクルの終了は、変位基準/中止基準であるu<εによって評価され、この時、uは変形量を示し、εは許容値を示す。
【0025】
従って、本発明に基づく方法により、製造プロセスチェーンの一連のシミュレーションにおいて、モデル化及びFEソルバーが異なっていても応力を利用することが可能になり、構成部品の特性評価及び製造プロセスの評価を大幅に改善できる。
【0026】
有利には、周知のツール及び/又はソフトウェアソリューションを、製造プロセス段階のシミュレーション、特にシートメタル部品及び/又はアルミニウム部品の成形に用いることが可能である。
【0027】
次に、図を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態の少なくとも1つに基づく製造プロセスのシミュレーションチェーンにおいて、新たにシミュレーションする、モデル化された構築システム又は構成部品の新しいFEメッシュジオメトリFE−N2に、FEシミュレーション結果FE−N1の応力状態(応力テンソル)を伝送する方法のブロックダイヤグラムである。
図2】本発明の実施形態の少なくとも1つに基づく、図1による方法の有利な発展形態から生じるブロックダイヤグラムである。
図3図1による方法の工程d)〜f)に基づく、望ましくない変形を生じない応力伝達の模式図である。
図4図1による方法の工程c)〜f)を使った応力伝達(強化された応力マッピング)のもう1つの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の実施形態の少なくとも1つに基づく製造プロセスのシミュレーションチェーンにおいて、構築システム又は構成部品1の新たに適用するFEメッシュジオメトリFE−N2に、モデル化された構築システム又は構成部品1のFEシミュレーション結果FE−N1の応力状態(応力テンソル)S1を伝送する方法のブロックダイヤグラムを示している。
【0030】
この場合、工程a)において第1のデータレコードD1が用意され、このデータレコードは、構築システム又は構成部品1の初期FEメッシュFE−N1によるFEシミュレーションの応力状態を備えるFEシミュレーション結果を記述している。
【0031】
工程b)において、第2の製造プロセスに割り当てられている新しいFEメッシュジオメトリFE−N2(新しいFE目標メッシュ)を構築システム又は構成部品1に適用する。
【0032】
引き続き、工程c)において、工程a)で用意した第1のデータレコードD1の応力状態(応力テンソルS1)を、工程b)で作成した構築システム又は構成部品1の新しいFEメッシュジオメトリFE−N2に伝達する。
【0033】
これに基づいて、工程d)では、FEメッシュジオメトリFE−N2の応力テンソルS1を使用して平衡計算Rを実施する。
【0034】
この場合、次の工程e)では、FEメッシュFE−N1の変形とは異なる変形が構築システム又は構成部品1に生じる。この変形量uが許容値εよりも大きい、すなわちu>εである場合、応力テンソルを変更する必要がある。
【0035】
従って、図1に示されているように、平衡計算Rを繰り返すために、反復ループZは工程e)からまず工程d)へ戻る。この時、新しい応力状態(応力テンソルS2)が、構築システム又は構成部品1のFEメッシュジオメトリFE−N2に適用されるため、望ましくない変形量uを引き起こす応力部分は縮小する。引き続き、反復ループは工程e)に戻る。
【0036】
工程e)における平衡計算Rから、さらに望ましくない変形量u>εが生じる場合(表示JA)、このループは反復的に何度も実施されるため、工程d)による平衡計算Rの反復的繰り返しは、循環する平衡反復として、構築システム又は構成部品1のFEメッシュジオメトリFE−N2(新しい目標FEメッシュ)の応力テンソルS3、S4、...、Snを使って行われる。
【0037】
従って、各サイクルでは、それぞれ新しい応力状態(応力テンソルS2、S3、S4、Sn)が、構築システム又は構成部品1の新しいFEメッシュジオメトリFE−N2に適用される。同時に、望ましくない変形量uを引き起こす応力部分は、工程e)において変位基準/中止基準の変形量u<許容値εに達し、そのことが次の工程f)で表示されるまで、引き続きカットされる。
【0038】
この変位基準/中止基準は、シミュレーションされた構築システム又は構成部品1の、第2の製造プロセスに割り当てられているFEメッシュジオメトリFE−N2において、望ましくない変形量を引き起こす応力部分がカットされている応力状態(応力テンソルSn)を示している。
【0039】
図2図1に相応するブロックダイヤグラムであるが、図1による方法の有利な発展形態を図式化したものである。
【0040】
図2で明らかなように、工程f)において変位基準/中止基準の変形量u<許容値εに達した結果として、変位基準/中止基準の変形量u<許容値εが工程f)で表示されると、工程g)において、工程d)の最後に繰り返された平衡計算のFEメッシュジオメトリFE−N2の応力状態(応力テンソルSn)を記述する第2のデータレコードD2の準備を行うことができる。
【0041】
図2に示されているように、有利には、第2のデータレコードD2をベースにして構築システム又は構成部品の模擬ブランクを検出する工程h)と、それに続いて、構築システム又は構成部品1の模擬ブランクの模擬形成を行う工程i)を設けてもよい。
【0042】
さらに、第2の製造プロセスにおいて、模擬ブランクと一致する実際の構築システム又は構成部品製造1の用ブランクを実際に製造する工程j)を設けてもよい。
【0043】
図3は、工程d)〜f)及び図1による工程手順における平衡計算Rを反復的に繰り返すためのループzに従った、望ましくない変形を生じない応力伝達(強化された応力マッピング)の模式図である。図3の左下は伝達された応力状態S1の段階にある工程d)の模擬構成部品1を示している。変形及びスプリングバックはあらかじめシミュレーションされており、この場合、平衡計算は初期FEメッシュFE−N1で反復して行われている。
【0044】
その結果、10倍に拡大されて図3の右下に示されている工程e)の構成部品1の状態が生じ、ここでは、応力状態の不均衡によって望ましくない変形量u>許容値εを伴っている。平衡計算Rの反復的繰り返し及び構成部品1のFEメッシュジオメトリFE−N2での望ましくない変形量uを引き起こす応力部分の段階的カット(応力状態のアップデート)を行う、矢印2、3、4で示されたループzを何度も実施すると、図3の右上にあるループzの四角形に示されているように、変位基準/中止基準の変形量u<許容値εに達し、工程f)の条件を満たしたことが表示される。
【0045】
図4は、図1による方法の工程c)〜f)を使った応力伝達(強化された応力マッピング)を模式化した図である。
【0046】
ここで図4の左上に示されている長方形は、有限要素7を変形する、閉じられたツール内にある有限要素7を示しており、図1による方法の工程c)を体現している。この工程c)では、工程a)で用意した第1のデータレコードD1の応力状態(応力テンソルS1)を、工程b)で作成した構築システム又は構成部品1の新しいFEメッシュジオメトリFE−N2に伝達する。この時、伝達された押圧応力の不均衡はプラス記号で、伝達された引張応力の不均衡はマイナス記号で示されている。
【0047】
矢印5で示されているように、引き続き、本方法の工程d)において、工程c)のFEメッシュジオメトリFE−N2の応力テンソルS1を使用して平衡計算Rを行う。このFEメッシュジオメトリFE−N2は、図4に図示されている工程e)において構築システム又は構成部品1の変形を発生させ、この変形は、工程a)におけるFEメッシュFE−N1の変形とは、不均衡による望ましくない変形量u>許容値εの分だけ異なっている。
【0048】
矢印zで示され、工程d)とe)を含むループにより、続いて、図4の右上に示されているように、構築システム又は構成部品1のFEメッシュジオメトリFE−N2の循環する平衡反復として、工程d)の平衡計算Rの反復的繰り返しにより応力状態が変更(アップデート)され、この時、各サイクルにおいては、それぞれ新しい応力状態(応力テンソルS3、S4...Sn)が構築システム又は構成部品1の新しいFEメッシュジオメトリFE−N2に適用され、望ましくない変形量uを引き起こす応力部分は、図4の右下から分かるように、必要な条件、すなわち変位基準/中止基準の変形量u<許容値εが達成され、工程f)で表示されるようになるまでカットされる。
【0049】
図4に示されているように、応力テンソルは、初期FEメッシュFE−N1の応力テンソルS1を目標FEメッシュFE−N2に伝達することによって生じる変形量uが規定の許容値εを下回るまで反復的に変化してよい。目標FEメッシュFE−N2における応力テンソルSnによる構築システム又は構成部品1の変形は、初期FEメッシュFE−N1の応力テンソルSnによる構築システム又は構成部品1の変形にほぼ一致する。
【0050】
本発明の実施形態は、ここに開示されている特殊な構造、方法工程又は材料に限定されず、関連領域の一般的な当業者には明らかなように、それらと同等のものにまで拡大可能であることは自明である。
【0051】
さらに、当然ながら、ここで使用されている用語は、特定の実施形態を説明するためだけに用いているのであって、制限するものと見なしてはならない。説明されている特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態の中でそれぞれ適切な形で組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 構築システム、構成部品
2 矢印
3 矢印
4 矢印
5 矢印
6 矢印
7 有限要素
a 工程
b 工程
c 工程
d 工程
e 工程
f 工程
g 工程
h 工程
i 工程
j 工程
z 反復ループ
1 第1のデータレコード
2 第2のデータレコード
FE−N1 工程a)によるFEメッシュ
FE−N2 工程c)で作成されるFEメッシュジオメトリ
R 平衡計算
1、S2、S3、S4...Sn 応力テンソル
u 変形量
ε 許容値
図1
図2
図3
図4