【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は本発明により、独立請求項に記載の特徴によって解決される。有利な実施形態は従属請求項の対象となっている。
【0007】
本発明に係るDC過電流保護装置は、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素と、高電流経路内で点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素と電気的に直列に接続されている過電流検知ユニットと、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素を制御するための制御接触子であって、互いに電気的に接続可能に設けられている制御接触子と、を含む。過電流検知ユニットは、高電流経路内に所定の電流値以上の値を有する過電流が流れるとき、当該過電流によって生じさせられる電磁力に起因して制御接触子が電気的に互いに接続され、それにより点火電流が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送され、それにより点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素が遮断状態に制御されるように形成されている。
【0008】
本発明の一実施形態において、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素は、火工式遮断要素である。以下において通常電流とは、およそ1000アンペア(以下においてAと略記する)からおよそ1500Aまでの領域内の値を有する電流である。およそ1500A以上でおよそ3000Aより小さい電流は、接触器により可逆的に開閉することができる。高電流経路とは、およそ1500A以上でおよそ3000Aより小さい値を有する高電流を導く電気経路である。一実施形態においてこのような電流は、車両、特に電気車両、ハイブリッド車両、または燃料電池車両の高電圧車載用電気系統であって、およそ400ボルトとおよそ800ボルトの間の電圧を導く高電圧車載用電気系統において生じ得る。およそ3000Aを上回ると過電流が存在するとしてよく、それにより一実施形態において、高電流経路における所定の電流値はおよそ3000Aであり、特に3000Aである。
【0009】
過電流によって生じさせられる電磁力は例えばローレンツ力であってよい。電磁力とは、或る電流の流れにおいて、高電流経路内のあらゆる接触部で、少なくとも部分的に対向し、かつ接触する所定の接触部の高電流接触要素が、電流の流れのせいで互いに反発することを生じさせる力でもある。この反発力が生じるのは、電流が両方の接触要素の一方において、この接触要素の接触面を横断する一方向に流れ、両方の接触要素の他方において、この他方の接触要素の接触面を横断する他方向に流れるときである。接触部を通過して流れる電流の部分流であって、部分的または完全に互いに逆向きであり、しかしながら少なくとも方向を変えられた部分流は、所定の接触部の高電流接触要素の接触面において反発力を生じさせる。DC接触子におけるこの効果は電磁浮上とも称される。
【0010】
本発明に係る装置は、電流測定を妨げる可能性のある妨害、特に電磁妨害であるものの、制御接触子を互いに電気的に接続させるのに十分な大きさと期間の電磁力を生成するにはエネルギーが不十分である妨害に対して敏感に反応しない。これにより、このような電磁妨害による不可逆的高電流遮断要素の誤起動は防止される。
【0011】
過電流を下回る高電流において互いに分離された、すなわち開放された制御接触子は、過電流によって生じさせられる電磁力によって互いに電気的に接続され、すなわち短絡され、あるいは点火電流を生じさせるためのエネルギー源と接続され、それにより点火電流を点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送する。したがって点火電流の伝送の開始のために必要な電気エネルギーは、過電流が生じているときにのみ、高電流経路から取り出される。したがって本発明に係る装置は、持続的に電流を消費しない。以下の図に関連して説明される実施形態であって、制御接触子を互いに電気的に接続させるために、過電流によって生じさせられる電磁力を生じさせるための実施形態は、電子的構成素子を用いずに実現され、それにより装置の故障率は非常に小さく、従来型の装置に比べて低減されている。点火電流を不可逆的高電流遮断要素に伝送するために過電流を用いるための本発明に係る装置が簡単な構造であるために、当該装置は非常に迅速に反応し、従来型の装置に比べてより迅速に反応する。
【0012】
本発明の一実施形態において、過電流検知ユニットは保持要素を含み、保持要素は過電流検知ユニットの壁部分と、当該壁部分に対して可動式である永久磁石との間に設けられており、永久磁石は保持要素の保持力により壁部分の方向に保持され、永久磁石には第一の制御接触子が固定されている。高電流経路は永久磁石の周囲に巻かれており、過電流検知ユニットは、高電流経路内に過電流が流れるとき、永久磁石が保持要素の保持力に抗して移動し、それにより第一の制御接触子が、壁部分に対して位置不変の第二の制御接触子に接触するように形成されている。これにより第一の制御接触子は、第二の制御接触子に短絡させられ、それにより第二の制御接触子に接続されたエネルギー源を介して、点火電流が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送される。
【0013】
制御接触子を短絡させるための構成は非常に簡単であり、高電流経路の巻き線と、永久磁石と、保持要素のみを含む。したがって本発明に係るこのDC過電流保護装置は、極めてフェイルセーフで、信頼性があり、過電流時に迅速に起動する。過電流が生じているときにのみ、高電流経路からエネルギーが取り出されるので、装置が消費する電流は少ない。この実施形態において過電流検知ユニットは完全に可逆的であり、すなわち一の過電流が生じた後に、変更を加えることなく再利用することができ、したがって信頼性があってメンテナンスの手間がかからない。
【0014】
点火電流を生じさせるためのエネルギー源の自己放電のみを、時々補償すればよいだけである。エネルギー源として、コンデンサ、二重層コンデンサ、バッテリー、過電流から保護すべき車載用電気系統に供給を行う高電圧バッテリー自体、あるいは類似のものを用いることができる。場合により、充電回路を実装することができ、充電回路は周期的に、あるいはエネルギー源の作動を維持するために必要である最小エネルギー値に降下した場合に、エネルギー源を再充電し、それにより自己放電を補償する。
【0015】
この実施形態において制御接触子は、過電流検知ユニットに含まれている。しかしながら、永久磁石が過電流検知ユニットのハウジングから外にガイドされており、第一および/または第二の制御接触子が過電流検知ユニットの外部に設けられている実施形態も想定可能である。
【0016】
巻き線は、高電流経路が、少なくとも一つのループを含む誘電部を含むように実施されていてよい。
【0017】
本発明のさらなる実施形態において過電流検知ユニットは保持要素を含み、保持要素は過電流検知ユニットの壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部との間に設けられており、弓形部には第一の制御接触子が固定されている。弓形部は保持要素の保持力により壁部分の方向に保持され、それにより高電流経路内の電流の流れは弓形部を介して導かれ、弓形部は高電流経路の一部を形成する。過電流検知ユニットは、高電流経路内に過電流が流れるとき、弓形部が保持要素の保持力に抗して移動し、それにより第一の制御接触子が、壁部分に対して位置不変の第二の制御接触子に接触するように形成され、これにより第一の制御接触子は、第二の制御接触子に短絡させられる。短絡により第二の制御接触子に接続されたエネルギー源を介して、点火電流が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送される。
【0018】
第一の制御接触子は、絶縁層の形式の絶縁要素により、弓形部から分離されていてよい。絶縁要素はプラスチック、または他の非導電材料から製造されていてよい。第一の制御接触子は、保持要素が固定されている弓形部の面に対向する、弓形部の面に取り付けられていてよい。
【0019】
弓形部が高電流経路の一部を形成しているので、制御接触子を短絡させるための構成は、先行する実施形態の場合よりもさらに簡単に行われ、弓形部を形成するために二つの接触箇所を高電流経路内に挿入することと、保持要素を弓形部に取り付けることのみが必要である。この実施形態において制御接触子は、過電流検知ユニットに含まれている。他の実施形態において、第一および/または第二の制御接触子は過電流検知ユニットの外部に設けられていてよい。
【0020】
本発明の一の特別な実施形態において過電流検知ユニットは保持要素を含み、保持要素は過電流検知ユニットの壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部との間に設けられている。弓形部は保持要素の保持力により壁部分の方向に保持され、それにより高電流経路内の電流の流れは弓形部を介して導かれ、弓形部は高電流経路の一部を形成する。高電流経路の電流の流れの一方向において、第一の制御接触子は弓形部によって形成される高電流経路の部分の前で、第二の制御接触子は弓形部によって形成される高電流経路の部分の後で、それぞれ高電流経路に接続されている。過電流検知ユニットは、高電流経路内に過電流が流れるとき、弓形部が保持要素の保持力に抗して、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分から遠ざかるように形成され、それにより弓形部と、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分との間の少なくとも一つの高電流接触箇所において、アークが形成され、アークは、第一および第二の制御接触子にわたる電圧降下をもたらす抵抗を有している。電圧と抵抗は、点火電流が、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送される作用をする。
【0021】
この実施形態において、過電流時に、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分から弓形部が離れるとき発生するアークは、点火電流を作り出すためのエネルギー源として用いられる。アークは弓形部の各端部に生じ得る。代替的に弓形部の一の端部は、回転可能かつ導電性を有して、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分と接続されていてよい。したがって上記の実施形態に対して、制御接触子は短絡されず、アークによって形成される抵抗を介して互いに電気的に接続される。弓形部によって形成されていない高電流経路の部分に接続された制御接触子は、弓形部が制御接触子同士の間に接続されているように、設けられていてよい。したがって複数の制御接触子を、または両方の制御接触子のうちの一つを過電流検知ユニットの内部または外部に設けることが可能である。
【0022】
弓形部を備える本発明の上記の実施形態において、保持要素は固定式ホルダとして形成されていてよく、固定式ホルダは、過電流によって生じさせられる電磁力が所定の値を上回ると破断する。保持要素はこのように簡単かつ廉価なやり方で、提供することができる。
【0023】
本発明に係るDC過電流保護装置のさらなる実施形態において、過電流検知ユニットは保持要素を含み、保持要素は過電流検知ユニットの壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部との間に設けられている。弓形部は保持要素の保持力により、壁部分の方向に保持され、永久磁石は弓形部に固定されるとともに巻き線内に導かれており、それにより、電圧源の制御電圧が巻き線に供給されないとき、高電流経路内で弓形部を通過する電流の流れは回避され、弓形部は高電流経路の部分を形成しない。電圧源の制御電圧が巻き線に供給され、所定の電流よりも小さい電流が高電流経路内を流れるとき、弓形部は保持要素の保持力に抗して移動し、それにより高電流経路内の電流の流れは弓形部を介して導かれ、弓形部は高電流経路の一部を形成する。高電流経路の電流の流れの一方向において、第一の制御接触子は弓形部によって形成される高電流経路の部分の前で、第二の制御接触子は弓形部によって形成される高電流経路の部分の後で、それぞれ高電流経路に接続されている。第一および第二の制御接触子の少なくとも一つと、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素との間に、電圧源に接続されている接触器が接続されており、それにより電圧源の制御電圧が巻き線および接触器に供給されず、弓形部が高電流経路の部分を形成しないとき、第一および第二の制御接触子を介して供給される開回路電圧は、点火電流を点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素へと伝送させない。このとき過電流検知ユニットは、高電流経路内に過電流が流れるとき、電圧源の制御電圧が巻き線および接触器に供給されているにもかかわらず、弓形部が保持要素の保持力の方向に、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分から遠ざかるように形成され、それにより弓形部と、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分との間の少なくとも一つの高電流接触箇所において、アークが形成される。アークは、第一および第二の制御接触子にわたる電圧降下をもたらす抵抗を有している。電圧と抵抗は、点火電流が、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送される作用をする。
【0024】
この実施形態において、過電流検知ユニットは高電流保護部を形成し、接触器によって、高電流保護部の開放時に弓形部を介して供給される開回路電圧が、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素への点火電流の伝送を生じさせることが防止される。したがってこの遮断要素は、高電流経路内の電流の流れに対して高電流保護部が閉じられていて、過電流が生じることで、弓形部と弓形部によって形成されていない高電流経路の部分との間に、不可逆的高電流遮断要素が高電流経路内の電流の流れを遮断するのに十分なアークが形成されるときだけ、起動する。過電流を下回る電流の場合、あるいは電流の流れが生じていない場合、過電流検知ユニットは可逆的に、高電流経路を切断または閉じることができる。
【0025】
本発明による上記の全てのDC過電流保護装置において有利には、保持要素はバネとして形成されていてよい。
【0026】
一の有利な実施形態において、本発明に係るDC過電流保護装置は、ハウジング内に、および/または構成部材として組み込まれていてよい。
【0027】
加えて、本発明に係るDC過電流保護装置は、車両、好ましくは電気車両またはハイブリッド車両のための高電圧車載用電気系統に組み込まれていてよい。
【0028】
以下において本発明の実施形態を、図に基づいてより詳しく説明する。図中では見やすくするために、縮尺または比率に忠実な表示は行われていない。図において異なる記載がない限り、同一の参照番号は、同一の意味を有する同一の部材を表している。