特許第6970113号(P6970113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • 6970113-DC過電流保護装置 図000002
  • 6970113-DC過電流保護装置 図000003
  • 6970113-DC過電流保護装置 図000004
  • 6970113-DC過電流保護装置 図000005
  • 6970113-DC過電流保護装置 図000006
  • 6970113-DC過電流保護装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970113
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】DC過電流保護装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20211111BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20211111BHJP
   H02H 3/08 20060101ALI20211111BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B60L3/00 J
   G01R19/165 L
   H02H3/08 T
   H02H7/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-548906(P2018-548906)
(86)(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公表番号】特表2019-517232(P2019-517232A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(86)【国際出願番号】EP2017055130
(87)【国際公開番号】WO2017157704
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2020年2月3日
(31)【優先権主張番号】102016204287.4
(32)【優先日】2016年3月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーク・ヴラディスラフ
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−038818(JP,A)
【文献】 特開2011−030377(JP,A)
【文献】 特表2010−517212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
G01R 19/165
H02H 3/08
H02H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)と、高電流経路(4)内で点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)と電気的に直列に接続されている過電流検知ユニット(1)と、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)を制御するための制御接触子(11,11A−11F)であって、互いに電気的に接続可能に設けられている制御接触子と、を含むDC過電流保護装置(100)であって、
過電流検知ユニット(1)は、高電流経路(4)内に所定の電流値以上の値を有する過電流が流れるとき、過電流によって生じさせられた電磁力に起因して制御接触子(11,11A−11F)が電気的に互いに接続され、それにより点火電流(15)が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)に伝送され、それにより点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)が遮断状態(16)に制御されるように形成され
過電流検知ユニット(1)は保持要素(5)を含み、保持要素は過電流検知ユニット(1)の壁部分と、当該壁部分に対して可動式である永久磁石(4)との間に設けられており、永久磁石は保持要素(5)の保持力により壁部分の方向に保持され、永久磁石には第一の制御接触子(11A)が固定されており、高電流経路(4)は永久磁石(8)の周囲に巻かれており、過電流検知ユニット(1)は、高電流経路(4)内に過電流が流れるとき、永久磁石(8)が保持要素(5)の保持力に抗して移動し、それにより第一の制御接触子(11A)が、壁部分に対して位置不変の第二の制御接触子(11B)に接触するように形成されており、これにより第一の制御接触子(11A)は、第二の制御接触子(11B)に短絡させられ、それにより第二の制御接触子(11B)に接続されたエネルギー源(3)を介して、点火電流が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)に伝送される、DC過電流保護装置。
【請求項2】
高電流経路(4)は、少なくとも一つのループ(12)を含む誘電部を含む、請求項に記載のDC過電流保護装置(100)。
【請求項3】
点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)と、高電流経路(4)内で点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)と電気的に直列に接続されている過電流検知ユニット(1)と、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)を制御するための制御接触子(11,11A−11F)であって、互いに電気的に接続可能に設けられている制御接触子と、を含むDC過電流保護装置(100)であって、
過電流検知ユニット(1)は、高電流経路(4)内に所定の電流値以上の値を有する過電流が流れるとき、過電流によって生じさせられた電磁力に起因して制御接触子(11,11A−11F)が電気的に互いに接続され、それにより点火電流(15)が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)に伝送され、それにより点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)が遮断状態(16)に制御されるように形成され、
過電流検知ユニット(1)は保持要素(5A)を含み、保持要素は過電流検知ユニット(1)の壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部(6)との間に設けられており、弓形部には第一の制御接触子(11A)が固定されており、弓形部(6)は保持要素(5A)の保持力により壁部分の方向に保持され、それにより高電流経路(4)内の電流の流れは弓形部(6)を介して導かれ、弓形部(6)は高電流経路(4)の一部を形成し、過電流検知ユニット(1)は、高電流経路(4)内に過電流が流れるとき、弓形部(6)が保持要素(5A)の保持力に抗して移動し、それにより第一の制御接触子(11A)は、壁部分に対して位置不変の第二の制御接触子(11B)に接触するように形成され、これにより第一の制御接触子(11A)は、第二の制御接触子(11B)に短絡させられ、それにより第二の制御接触子(11B)に接続されたエネルギー源(3)を介して、点火電流が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)に伝送される、DC過電流保護装置。
【請求項4】
点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)と、高電流経路(4)内で点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)と電気的に直列に接続されている過電流検知ユニット(1)と、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)を制御するための制御接触子(11,11A−11F)であって、互いに電気的に接続可能に設けられている制御接触子と、を含むDC過電流保護装置(100)であって、
過電流検知ユニット(1)は、高電流経路(4)内に所定の電流値以上の値を有する過電流が流れるとき、過電流によって生じさせられた電磁力に起因して制御接触子(11,11A−11F)が電気的に互いに接続され、それにより点火電流(15)が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)に伝送され、それにより点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)が遮断状態(16)に制御されるように形成され、
過電流検知ユニット(1)は保持要素(5B)を含み、保持要素は過電流検知ユニット(1)の壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部(6)との間に設けられており、弓形部(6)は保持要素(5B)の保持力により壁部分の方向に保持され、それにより高電流経路(4)内の電流の流れは弓形部(6)を介して導かれ、弓形部(6)は高電流経路(4)の一部を形成し、高電流経路(4)の電流の流れの一方向において、第一の制御接触子(11C)は、弓形部(6)によって形成される高電流経路(4)の部分の前で、第二の制御接触子(11D)は弓形部(6)によって形成される高電流経路(4)の部分の後で、それぞれ高電流経路(4)に接続されており、過電流検知ユニット(1)は、高電流経路(4)内に過電流が流れるとき、弓形部(6)が保持要素(5B)の保持力に抗して、弓形部によって形成されていない高電流経路(4)の部分から遠ざかるように形成され、それにより弓形部(6)と、弓形部によって形成されていない高電流経路(4)の部分との間の少なくとも一つの高電流接触箇所において、アークが形成され、アークは、第一および第二の制御接触子(11C,11D)にわたる電圧降下をもたらす抵抗を有し、電圧と抵抗は、点火電流が、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)に伝送される作用をする、DC過電流保護装置。
【請求項5】
保持要素(5A,5B)は固定式ホルダとして形成されており、固定式ホルダは、過電流によって生じさせられる電磁力が所定の値を上回ると破断する、請求項またはに記載のDC過電流保護装置(100)。
【請求項6】
点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)と、高電流経路(4)内で点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)と電気的に直列に接続されている過電流検知ユニット(1)と、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)を制御するための制御接触子(11,11A−11F)であって、互いに電気的に接続可能に設けられている制御接触子と、を含むDC過電流保護装置(100)であって、
過電流検知ユニット(1)は、高電流経路(4)内に所定の電流値以上の値を有する過電流が流れるとき、過電流によって生じさせられた電磁力に起因して制御接触子(11,11A−11F)が電気的に互いに接続され、それにより点火電流(15)が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)に伝送され、それにより点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)が遮断状態(16)に制御されるように形成され、
過電流検知ユニット(1)は保持要素(5C)を含み、保持要素は過電流検知ユニット(1)の壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部(6)との間に設けられており、弓形部(6)は保持要素(5C)の保持力により、壁部分の方向に保持され、永久磁石(18)は弓形部(6)に固定されるとともに巻き線(22)内に導かれており、それにより、電圧源(20)の制御電圧が巻き線(22)に供給されないとき、高電流経路(4)内で弓形部(6)を通過する電流の流れは回避され、弓形部(6)は高電流経路(4)の部分を形成せず、電圧源(20)の制御電圧が巻き線(22)に供給され、所定の電流よりも小さい電流が高電流経路(4)内を流れるとき、弓形部(6)は保持要素(5C)の保持力に抗して移動し、それにより高電流経路(4)内の電流の流れは弓形部(6)を介して導かれ、弓形部(6)は高電流経路(4)の一部を形成し、高電流経路(4)の電流の流れの一方向において、第一の制御接触子(11E)は弓形部(6)によって形成される高電流経路(4)の部分の前で、第二の制御接触子(11F)は弓形部(6)によって形成される高電流経路(4)の部分の後で、それぞれ高電流経路(4)に接続されており、第一および第二の制御接触子(11E,11F)の少なくとも一つと、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)との間に、電圧源(20)に接続されている接触器(21)が接続されており、それにより電圧源(20)の制御電圧が巻き線(22)および接触器(21)に供給されず、弓形部(6)が高電流経路(4)の部分を形成しないとき、第一および第二の制御接触子(11E,11F)を介して供給される開回路電圧は、点火電流を点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)へと伝送させず、過電流検知ユニット(1)は、高電流経路(4)内に過電流が流れるとき、弓形部(6)が、電圧源(20)の制御電圧が巻き線(22)および接触器(21)に供給されているにもかかわらず、保持要素(5C)の保持力の方向に、弓形部によって形成されていない高電流経路(4)の部分から遠ざかるように形成され、それにより弓形部(6)と、弓形部によって形成されていない高電流経路(4)の部分との間の少なくとも一つの高電流接触箇所において、アークが形成され、アークは、第一および第二の制御接触子(11E,11F)にわたる電圧降下をもたらす抵抗を有し、電圧と抵抗は、点火電流が、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素(2)に伝送される作用をする、DC過電流保護装置。
【請求項7】
保持要素(5,5A,5B,5C)はバネとして形成されている、請求項から、および請求項のいずれか一項に記載のDC過電流保護装置(100)。
【請求項8】
DC過電流保護装置(100)は、ハウジング内に組み込まれている、請求項1からのいずれか一項に記載のDC過電流保護装置(100)。
【請求項9】
請求項1から8に記載のDC過電流保護装置(100)は、車両ための高電圧車載用電気系統に組み込まれている、請求項1から8のいずれか一項に記載のDC過電流保護装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素と、過電流検知ユニットと、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素を制御するための制御接触子とを含むDC過電流保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過負荷あるいは短絡が生じた場合、過電流に対して素子を保護するために、DC電流とも称される直流を最大値に制限しなければならない応用事例は数多く存在する。一例として、電気車両またはハイブリッド車両における高電圧車載用電気系統がある。この例では通常、二つの接触器と一つのヒューズが高電圧貯蔵部に組み込まれる。接触器は通常動作時および比較的小さな過負荷電流の場合、高電圧貯蔵部を車両内の他の素子から切断する。ヒューズは大きな過負荷電流および短絡電流の場合に、切断を行うことを担っている。従来のヒューズの欠点は、従来のヒューズが熱による原理にしたがって機能し、それにより電流の流れを切断するために、電流に依存する長い時間を必要とすることである。これにより従来のヒューズは、電流が高すぎない場合は、車両内の素子を過負荷から保護するために、十分に迅速でないこともある。
【0003】
そのために、従来のスイッチ素子(接触器、ヒューズ)に加えて、火工式遮断要素を用いる発想がすでに存在している。火工式遮断要素の点火要素(点火ピルとしても知られている)は、電流信号によって点火され、高電流経路の切断を生じさせる。高電圧ネットワーク内の電流が最大許容値を超えると、監視対象の高電流を測定し、点火信号を生じさせる監視用電子機器によって点火信号が生成される。
【0004】
火工式遮断要素のこの種の調節は、以下の欠点を有する:
すなわち、電流測定回路は妨害を受けることがあり、この妨害は誤起動を生じさせかねず、あるいは逆に過電流時に起動しないこともあり得る。点火用電子機器を備える電流測定回路は、複雑な構成を有することがあるとともに高い故障率を有し得る。電流測定回路は、機能するために常にエネルギーを必要とし、それにより完全に非作動化されていないと、電流消費を増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の上記の欠点を低減すること、または回避することを課題とする。特に誤起動を回避するために妨害、特に電磁妨害に対して影響を受け難く、持続的な電流消費を生じさせず、故障率が小さく、過電流に迅速に反応するDC過電流保護装置が提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は本発明により、独立請求項に記載の特徴によって解決される。有利な実施形態は従属請求項の対象となっている。
【0007】
本発明に係るDC過電流保護装置は、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素と、高電流経路内で点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素と電気的に直列に接続されている過電流検知ユニットと、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素を制御するための制御接触子であって、互いに電気的に接続可能に設けられている制御接触子と、を含む。過電流検知ユニットは、高電流経路内に所定の電流値以上の値を有する過電流が流れるとき、当該過電流によって生じさせられる電磁力に起因して制御接触子が電気的に互いに接続され、それにより点火電流が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送され、それにより点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素が遮断状態に制御されるように形成されている。
【0008】
本発明の一実施形態において、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素は、火工式遮断要素である。以下において通常電流とは、およそ1000アンペア(以下においてAと略記する)からおよそ1500Aまでの領域内の値を有する電流である。およそ1500A以上でおよそ3000Aより小さい電流は、接触器により可逆的に開閉することができる。高電流経路とは、およそ1500A以上でおよそ3000Aより小さい値を有する高電流を導く電気経路である。一実施形態においてこのような電流は、車両、特に電気車両、ハイブリッド車両、または燃料電池車両の高電圧車載用電気系統であって、およそ400ボルトとおよそ800ボルトの間の電圧を導く高電圧車載用電気系統において生じ得る。およそ3000Aを上回ると過電流が存在するとしてよく、それにより一実施形態において、高電流経路における所定の電流値はおよそ3000Aであり、特に3000Aである。
【0009】
過電流によって生じさせられる電磁力は例えばローレンツ力であってよい。電磁力とは、或る電流の流れにおいて、高電流経路内のあらゆる接触部で、少なくとも部分的に対向し、かつ接触する所定の接触部の高電流接触要素が、電流の流れのせいで互いに反発することを生じさせる力でもある。この反発力が生じるのは、電流が両方の接触要素の一方において、この接触要素の接触面を横断する一方向に流れ、両方の接触要素の他方において、この他方の接触要素の接触面を横断する他方向に流れるときである。接触部を通過して流れる電流の部分流であって、部分的または完全に互いに逆向きであり、しかしながら少なくとも方向を変えられた部分流は、所定の接触部の高電流接触要素の接触面において反発力を生じさせる。DC接触子におけるこの効果は電磁浮上とも称される。
【0010】
本発明に係る装置は、電流測定を妨げる可能性のある妨害、特に電磁妨害であるものの、制御接触子を互いに電気的に接続させるのに十分な大きさと期間の電磁力を生成するにはエネルギーが不十分である妨害に対して敏感に反応しない。これにより、このような電磁妨害による不可逆的高電流遮断要素の誤起動は防止される。
【0011】
過電流を下回る高電流において互いに分離された、すなわち開放された制御接触子は、過電流によって生じさせられる電磁力によって互いに電気的に接続され、すなわち短絡され、あるいは点火電流を生じさせるためのエネルギー源と接続され、それにより点火電流を点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送する。したがって点火電流の伝送の開始のために必要な電気エネルギーは、過電流が生じているときにのみ、高電流経路から取り出される。したがって本発明に係る装置は、持続的に電流を消費しない。以下の図に関連して説明される実施形態であって、制御接触子を互いに電気的に接続させるために、過電流によって生じさせられる電磁力を生じさせるための実施形態は、電子的構成素子を用いずに実現され、それにより装置の故障率は非常に小さく、従来型の装置に比べて低減されている。点火電流を不可逆的高電流遮断要素に伝送するために過電流を用いるための本発明に係る装置が簡単な構造であるために、当該装置は非常に迅速に反応し、従来型の装置に比べてより迅速に反応する。
【0012】
本発明の一実施形態において、過電流検知ユニットは保持要素を含み、保持要素は過電流検知ユニットの壁部分と、当該壁部分に対して可動式である永久磁石との間に設けられており、永久磁石は保持要素の保持力により壁部分の方向に保持され、永久磁石には第一の制御接触子が固定されている。高電流経路は永久磁石の周囲に巻かれており、過電流検知ユニットは、高電流経路内に過電流が流れるとき、永久磁石が保持要素の保持力に抗して移動し、それにより第一の制御接触子が、壁部分に対して位置不変の第二の制御接触子に接触するように形成されている。これにより第一の制御接触子は、第二の制御接触子に短絡させられ、それにより第二の制御接触子に接続されたエネルギー源を介して、点火電流が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送される。
【0013】
制御接触子を短絡させるための構成は非常に簡単であり、高電流経路の巻き線と、永久磁石と、保持要素のみを含む。したがって本発明に係るこのDC過電流保護装置は、極めてフェイルセーフで、信頼性があり、過電流時に迅速に起動する。過電流が生じているときにのみ、高電流経路からエネルギーが取り出されるので、装置が消費する電流は少ない。この実施形態において過電流検知ユニットは完全に可逆的であり、すなわち一の過電流が生じた後に、変更を加えることなく再利用することができ、したがって信頼性があってメンテナンスの手間がかからない。
【0014】
点火電流を生じさせるためのエネルギー源の自己放電のみを、時々補償すればよいだけである。エネルギー源として、コンデンサ、二重層コンデンサ、バッテリー、過電流から保護すべき車載用電気系統に供給を行う高電圧バッテリー自体、あるいは類似のものを用いることができる。場合により、充電回路を実装することができ、充電回路は周期的に、あるいはエネルギー源の作動を維持するために必要である最小エネルギー値に降下した場合に、エネルギー源を再充電し、それにより自己放電を補償する。
【0015】
この実施形態において制御接触子は、過電流検知ユニットに含まれている。しかしながら、永久磁石が過電流検知ユニットのハウジングから外にガイドされており、第一および/または第二の制御接触子が過電流検知ユニットの外部に設けられている実施形態も想定可能である。
【0016】
巻き線は、高電流経路が、少なくとも一つのループを含む誘電部を含むように実施されていてよい。
【0017】
本発明のさらなる実施形態において過電流検知ユニットは保持要素を含み、保持要素は過電流検知ユニットの壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部との間に設けられており、弓形部には第一の制御接触子が固定されている。弓形部は保持要素の保持力により壁部分の方向に保持され、それにより高電流経路内の電流の流れは弓形部を介して導かれ、弓形部は高電流経路の一部を形成する。過電流検知ユニットは、高電流経路内に過電流が流れるとき、弓形部が保持要素の保持力に抗して移動し、それにより第一の制御接触子が、壁部分に対して位置不変の第二の制御接触子に接触するように形成され、これにより第一の制御接触子は、第二の制御接触子に短絡させられる。短絡により第二の制御接触子に接続されたエネルギー源を介して、点火電流が点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送される。
【0018】
第一の制御接触子は、絶縁層の形式の絶縁要素により、弓形部から分離されていてよい。絶縁要素はプラスチック、または他の非導電材料から製造されていてよい。第一の制御接触子は、保持要素が固定されている弓形部の面に対向する、弓形部の面に取り付けられていてよい。
【0019】
弓形部が高電流経路の一部を形成しているので、制御接触子を短絡させるための構成は、先行する実施形態の場合よりもさらに簡単に行われ、弓形部を形成するために二つの接触箇所を高電流経路内に挿入することと、保持要素を弓形部に取り付けることのみが必要である。この実施形態において制御接触子は、過電流検知ユニットに含まれている。他の実施形態において、第一および/または第二の制御接触子は過電流検知ユニットの外部に設けられていてよい。
【0020】
本発明の一の特別な実施形態において過電流検知ユニットは保持要素を含み、保持要素は過電流検知ユニットの壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部との間に設けられている。弓形部は保持要素の保持力により壁部分の方向に保持され、それにより高電流経路内の電流の流れは弓形部を介して導かれ、弓形部は高電流経路の一部を形成する。高電流経路の電流の流れの一方向において、第一の制御接触子は弓形部によって形成される高電流経路の部分の前で、第二の制御接触子は弓形部によって形成される高電流経路の部分の後で、それぞれ高電流経路に接続されている。過電流検知ユニットは、高電流経路内に過電流が流れるとき、弓形部が保持要素の保持力に抗して、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分から遠ざかるように形成され、それにより弓形部と、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分との間の少なくとも一つの高電流接触箇所において、アークが形成され、アークは、第一および第二の制御接触子にわたる電圧降下をもたらす抵抗を有している。電圧と抵抗は、点火電流が、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送される作用をする。
【0021】
この実施形態において、過電流時に、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分から弓形部が離れるとき発生するアークは、点火電流を作り出すためのエネルギー源として用いられる。アークは弓形部の各端部に生じ得る。代替的に弓形部の一の端部は、回転可能かつ導電性を有して、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分と接続されていてよい。したがって上記の実施形態に対して、制御接触子は短絡されず、アークによって形成される抵抗を介して互いに電気的に接続される。弓形部によって形成されていない高電流経路の部分に接続された制御接触子は、弓形部が制御接触子同士の間に接続されているように、設けられていてよい。したがって複数の制御接触子を、または両方の制御接触子のうちの一つを過電流検知ユニットの内部または外部に設けることが可能である。
【0022】
弓形部を備える本発明の上記の実施形態において、保持要素は固定式ホルダとして形成されていてよく、固定式ホルダは、過電流によって生じさせられる電磁力が所定の値を上回ると破断する。保持要素はこのように簡単かつ廉価なやり方で、提供することができる。
【0023】
本発明に係るDC過電流保護装置のさらなる実施形態において、過電流検知ユニットは保持要素を含み、保持要素は過電流検知ユニットの壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部との間に設けられている。弓形部は保持要素の保持力により、壁部分の方向に保持され、永久磁石は弓形部に固定されるとともに巻き線内に導かれており、それにより、電圧源の制御電圧が巻き線に供給されないとき、高電流経路内で弓形部を通過する電流の流れは回避され、弓形部は高電流経路の部分を形成しない。電圧源の制御電圧が巻き線に供給され、所定の電流よりも小さい電流が高電流経路内を流れるとき、弓形部は保持要素の保持力に抗して移動し、それにより高電流経路内の電流の流れは弓形部を介して導かれ、弓形部は高電流経路の一部を形成する。高電流経路の電流の流れの一方向において、第一の制御接触子は弓形部によって形成される高電流経路の部分の前で、第二の制御接触子は弓形部によって形成される高電流経路の部分の後で、それぞれ高電流経路に接続されている。第一および第二の制御接触子の少なくとも一つと、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素との間に、電圧源に接続されている接触器が接続されており、それにより電圧源の制御電圧が巻き線および接触器に供給されず、弓形部が高電流経路の部分を形成しないとき、第一および第二の制御接触子を介して供給される開回路電圧は、点火電流を点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素へと伝送させない。このとき過電流検知ユニットは、高電流経路内に過電流が流れるとき、電圧源の制御電圧が巻き線および接触器に供給されているにもかかわらず、弓形部が保持要素の保持力の方向に、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分から遠ざかるように形成され、それにより弓形部と、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分との間の少なくとも一つの高電流接触箇所において、アークが形成される。アークは、第一および第二の制御接触子にわたる電圧降下をもたらす抵抗を有している。電圧と抵抗は、点火電流が、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素に伝送される作用をする。
【0024】
この実施形態において、過電流検知ユニットは高電流保護部を形成し、接触器によって、高電流保護部の開放時に弓形部を介して供給される開回路電圧が、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素への点火電流の伝送を生じさせることが防止される。したがってこの遮断要素は、高電流経路内の電流の流れに対して高電流保護部が閉じられていて、過電流が生じることで、弓形部と弓形部によって形成されていない高電流経路の部分との間に、不可逆的高電流遮断要素が高電流経路内の電流の流れを遮断するのに十分なアークが形成されるときだけ、起動する。過電流を下回る電流の場合、あるいは電流の流れが生じていない場合、過電流検知ユニットは可逆的に、高電流経路を切断または閉じることができる。
【0025】
本発明による上記の全てのDC過電流保護装置において有利には、保持要素はバネとして形成されていてよい。
【0026】
一の有利な実施形態において、本発明に係るDC過電流保護装置は、ハウジング内に、および/または構成部材として組み込まれていてよい。
【0027】
加えて、本発明に係るDC過電流保護装置は、車両、好ましくは電気車両またはハイブリッド車両のための高電圧車載用電気系統に組み込まれていてよい。
【0028】
以下において本発明の実施形態を、図に基づいてより詳しく説明する。図中では見やすくするために、縮尺または比率に忠実な表示は行われていない。図において異なる記載がない限り、同一の参照番号は、同一の意味を有する同一の部材を表している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素と、この遮断要素に対して直列に接続されている過電流検知ユニットと、過電流検知ユニットに含まれる制御接触子と、制御接触子と遮断要素との間に接続されたエネルギー源とを備える、第一実施形態における本発明に係るDC過電流保護装置の概略的な構成を示す図である。
図2】可逆的な過電流検知ユニットを備える第二の実施形態における本発明に係るDC過電流保護装置の構成を、図1に示す概略的な構成に応じて示す図である。
図3A】通常の高電流時の不可逆的な過電流検知ユニットを備える第三の実施形態における本発明に係るDC過電流保護装置の構成を、図1に示す概略的な構成に応じて示す図である。
図3B】過電流時の、図3Aに示す本発明に係るDC過電流保護装置の構成を、図1に示す概略的な構成に応じて示す図である。
図4】過電流時の、制御接触子同士の間に接続された弓形部を備える第四の実施形態における本発明に係るDC過電流保護装置の構成を示す図である。
図5】過電流時の、制御接触子同士の間に接続された弓形部と、過電流を下回る際に可逆的に切断を行う過電流検知ユニットとを備える、第五の実施形態における本発明に係るDC過電流保護装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素であって、高電流経路4内で過電流検知ユニット1に対して電気的に直列に接続されている点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素2を備える、本発明に係るDC過電流保護装置100の概略的な構成を示している。点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素2は火工式遮断要素として実施されており、第一の点火電流伝送ケーブル13と電気的に接続されている。エネルギー源3、例えば過電流から保護すべき高電圧車載用電気系統の高電圧バッテリー、バッテリー、コンデンサまたは二重層コンデンサが、点火電流伝送ケーブル13を介して火工式遮断要素に接続されている。高電流経路4内に過電流が生じたとき、過電流検知ユニット1に含まれている制御接触子11を短絡させることにより、エネルギー源3を火工式遮断要素2に接続することができ、それにより点火電流はエネルギー源3から火工式遮断要素に伝送され、それにより火工式遮断要素2を遮断状態に制御する。遮断状態が生じるとただちに、高電流経路4内の電流の流れは、火工式遮断要素2により停止される。
【0031】
火工式遮断要素2を遮断状態に制御することは、不可逆的であり、それによりDC過電流保護装置が引き続き機能するように、火工式遮断要素2は遮断後に交換されなければならない。DC過電流保護装置の機能は、高電流経路4内で、およそ1500A以上でおよそ3000Aより小さい通常電流を通過させ、およそ3000Aの過電流以降は、高電流経路4内の電流の流れを停止することである。本発明によれば過電流検知ユニット1は、高電流経路4内に過電流が流れるとき、過電流によって生じさせられた電磁力に起因して制御接触子11が短絡され、それにより点火電流がエネルギー源3から、点火電流制御式の不可逆的高電流遮断要素2に伝送され、それにより遮断要素2が遮断状態に制御されるように形成されている。
【0032】
図2は、さらなる実施形態における本発明に係るDC過電流保護装置100の構成を示し、このDC過電流保護装置100は、高電流経路4内に過電流が生じた後にいかなる変更も加えずに再利用できる完全に可逆的な過電流検知ユニット1を備えている。過電流検知ユニット1は、誘電部としての巻き線を含み、誘電部は最も簡単な場合、図2に示されるように高電流経路4の導体ループ12として形成される。導体ループ12は永久磁石8の周りに導かれており、この永久磁石が一の端部において保持バネ形式の保持要素5を介して過電流検知ユニット1のハウジングの壁部分に接続されている。永久磁石8は、保持要素5の保持力により壁部分の方向に保持され(図2の矢印Ff参照)、一の端部と反対側の他の端部において、第一の制御接触子11Aを有し、この第一の制御接触子が、高電流経路4内に過電流を下回る通常の高電流時に、壁部分に対して位置不変に設けられている第二の制御接触子11Bに向き合うとともに、第一の制御ケーブル13Aを介して、火工式遮断要素2と電気的に接続されている。
【0033】
高電流経路4を電流が流れるとき、導体ループ12によって形成される磁界は永久磁石8に作用し、永久磁石8を移動させることができる。高電流経路4内の電流が過電流の値に到達するか、あるいは過電流の値を超えるやいなや、すなわち通常の高電流から過電流になるやいなや、導体ループ12によって形成される磁界をもたらす過電流が存在し、この磁界が十分に大きいことで、永久磁石8が保持要素5の保持力に抗して移動し(図2における矢印Fi参照)、可動式の第一の制御接触子11Aが位置不変の第二の制御接触子11Bに接触し、これにより第一および第二の制御接触子11A,11Bが短絡される。第一および第二の制御接触子11A,11Bの短絡により、第二の制御ケーブル13Bを介して第二の制御接触子11Bに接続されたエネルギー源3は、第二の点火電流伝送ケーブル13Cを介して火工式遮断要素2に接続され、それにより点火電流が火工式遮断要素2に伝送され、それにより火工式遮断要素2を遮断し、その結果、高電流経路4内の電流の流れを中断させる。
【0034】
図3Aは、過電流を下回る通常の高電流時の、不可逆的な過電流検知ユニット1を備える、さらなる実施形態における本発明に係るDC過電流保護装置100の構成を、図1に示す概略的な構成に応じて示している。過電流検知ユニット1は保持要素5Aを含み、保持要素は過電流検知ユニット1のハウジングの壁部分と、壁部分に対して可動式であるとともに高電流を導く経路弓形部6との間に設けられており、経路弓形部に第一の制御接触子11Aが固定されている。第一の制御接触子11Aは、絶縁層7により電気的に絶縁された状態で、弓形部6から分離されている。弓形部6が保持要素5Aの保持力によって壁部分の方向に保持される(図3Aの矢印Ff参照)ことで、過電流を下回る通常の高電流時には、高電流経路4内の電流の流れが弓形部6を介して導かれるようになるので、弓形部6が高電流経路4の一部を形成するようになる。
【0035】
弓形部6の端部は、弓形部6によって形成されていない高電流経路4の部分のセクション4A,4Bと共に高電流接点を形成する。弓形部6は、保持バネの形式の保持要素5Aによって高電流接点に押し付けられ、それにより過電流の値よりも小さい値を有する電流が高電流経路4を通過するとき、当該電流は高電流経路4の一部としての弓形部6を介して導かれる。図2に示すDC過電流保護装置に対応して、図3Aに示すDC過電流保護装置においても、第一の制御接触子11Aは、高電流経路4内に通常の高電流時に、壁部分に対して位置不変に設けられている第二の制御接触子11Bに、離間しながら向き合い、第一の制御接触子11Aは、第一の制御ケーブル13Aを介して、火工式遮断要素2と電気的に接続されている。第二の制御ケーブル13Bを介して第二の接触子11Bに接続されたエネルギー源3は、第二の点火電流伝送ケーブル13Cを介して火工式遮断要素2に接続されている。或る電流になると、高電流経路4内のそれぞれの高電流接点において電磁力が生じ、電磁力は高電流接点を互いに引き離そうとする(図3Aの矢印Fi参照)。
【0036】
図3Bは、図3Aに示す本発明に係るDC過電流保護装置100の過電流時の構成を示している。高電流経路4内に過電流が流れるとき、弓形部6は保持要素の保持力に抗して(図3Bの矢印Fi参照)移動させられ、それにより第一の制御接触子11Aは、位置不変の第二の制御接触子11Bに接触し、これにより第一の制御接触子11Aと第二の制御接触子11Bとは短絡させられ、それによりエネルギー源3は、火工式遮断要素2を遮断するために必要な点火電流15を火工式遮断要素2に伝送し、それにより高電流経路4の切断16が生じる。
【0037】
高電流経路4内の電流が過電流に対する所定の値を上回ると、高電流経路4のセクション4A,4Bにおける高電流接点は互いに引き離され、弓形部6は保持要素5Aの保持力に抗して移動し、第一および第二の制御接触子11A,11Bを短絡させる。高電流接点が互いに引き離されるとき、高電流接点のそれぞれに、アーク14が形成される。アークは好適に高い抵抗を有し、当該抵抗は高電流経路4内を流れる電流を低下させる。これにより高電流経路4内の電流/電流の流れを、火工式遮断要素2によって切断する/停止させることが容易になる。火工式遮断要素2による遮断を容易にするための抵抗としてアーク14を用いることは、特に高電流経路4内の短絡電流が非常に高いときに有利である。ただし、場合によっては火花発生を伴うアーク14によって過電流検知ユニット1が不利な損傷を受けるので、過電流の発生後、過電流検知ユニット1は、損傷を受けた高電流経路4のセクション4A,4Bおよび弓形部6を修理しなければ、機能的に使用を続けることができない。
【0038】
図3Aおよび図3Bに示すDC過電流保護装置100では、保持バネの形式の保持要素5Aに代えて、固定式のホルダを用いることができる。固定式のホルダは、電磁力が過電流に対する所定の値を上回ると、破損する。
【0039】
図4は、制御接触子11C,11Dの間に接続された弓形部6を備える、さらなる実施形態における本発明に係るDC過電流保護装置100の、過電流時の構成を示している。高電流接点は弓形部6の端部と、高電流経路4のセクション4A,4Bとによって形成される。過電流検知ユニット1は保持要素5Bを含み、保持要素は過電流検知ユニット1のハウジングの壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部6との間に設けられている。弓形部6は保持要素5Bの保持力(図4の矢印Ff参照)によって、壁部分の方向に保持され、それにより高電流経路4内の電流の流れは、過電流を下回る電流によって、弓形部6を介して導かれ、弓形部6は高電流経路4の一部を形成する。この意味で図4に示される過電流検知ユニット1の構成は、図3A,3Bに示されている過電流検知ユニット1の構成に対応する。
【0040】
図3A,3Bに示す過電流検知ユニット1とは異なり、第一の制御接触子11Cは、高電流経路4の電流の流れの一方向(高電流経路4内部の矢印で、過電流検知ユニット1から火工式遮断要素2へと向かう矢印参照)において、弓形部によって形成される高電流経路4の部分の前で、高電流経路4のセクション4Aに接続されている。高電流経路4の電流の流れの上記方向において、第二の制御接触子11Dは、弓形部6によって形成される高電流経路4の部分の後で、高電流経路4のセクション4Bに接続されている。
【0041】
高電流経路4内に過電流が流れるとき、弓形部6は保持要素5Bの保持力に抗して、弓形部によって形成されていない、セクション4A,4Bによる高電流経路4の部分から遠ざかり(図4の矢印Fi参照)、それにより弓形部6と、高電流経路4のセクション4A,4Bとの間の高電流接触箇所に、それぞれアーク14が形成され、このアークが抵抗を有していて、これが第一および第二の制御接触子11C,11Dにわたる電圧降下をもたらす。アーク14の抵抗とこの電圧とが、点火電流15を生じさせ、点火電流は、高電流経路4の切断16を実施するために火工式遮断要素2に伝送される。
【0042】
図4に示すDC過電流保護装置100では、図3A,3Bに示すDC過電流保護装置100とは異なり、第二の制御ケーブル13Bおよび第二の点火電流伝送ケーブル13Cに接続されているエネルギー源3はない。その代わりに弓形部6は、第一および第二の制御接触子11C,11Dの間に接続されており、それにより過電流時に弓形部6の端部と高電流経路4のセクション4A,4Bとに生じるアーク14は、高電流経路4を切断するのに必要な点火電流15を作り出し、かつ火工式遮断要素2に伝送するのに十分な電圧と抵抗とを生じさせる。図4に示す実施形態では、図3A,3Bに示すDC過電流保護装置とは異なり、互いに近づくように移動する制御接触子であって、過電流時に短絡され、それによりエネルギー源3が点火電流を火工式遮断要素2に伝送するのを可能にする制御接触子はない。その代わりに第一および第二の制御接触子11C,11Dは、別の実施形態では代替的に間接的な接続が可能であるが、第三および第四の制御ケーブル13D,13Eを介して直接的に、火工式遮断要素2と電気的に接続されているとともに、互いに位置不変に高電流経路4に接続されており、それにより弓形部6の端部の高電流接点におけるアーク14、つまりはアーク14によって形成される電圧が、火工式遮断要素2に点火を行うためのエネルギー源を形成する。
【0043】
過電流を下回る電流時の通常の動作において、高電流接点は閉じられており、これらの高電流接点を介する電圧降下は小さく、火工式遮断要素2に点火を行うのに十分ではない。しかしながら過電流時、弓形部6の少なくとも一つの端部にアーク14が形成されると、この弓形部6を介して大きな電圧降下が生じ、この電圧降下が大きい。それはアークが高い抵抗を有するためである。この電圧は、火工式遮断要素2に点火を行うとともに、高電流経路の切断16を起動するのに十分である。
【0044】
図5は、第一および第二の制御接触子11E,11Fの間に接続された弓形部6と、過電流を下回る際に可逆的に切断を行う過電流検知ユニット1とを備える、本発明に係るDC過電流保護装置100のさらなる実施形態の、過電流時の構成を示している。過電流検知ユニット1は保持要素5Cを含み、保持要素は過電流検知ユニット1のハウジングの壁部分と、当該壁部分に対して可動式であり、かつ高電流を導く弓形部6との間に設けられている。弓形部は保持要素5Cの保持力によって、壁部分の方向に保持され、永久磁石18は弓形部6に固定されるとともに巻き線22内に導かれており、それにより電圧源20の制御電圧が巻き線22に供給されないとき、弓形部6を通過する高電流経路4の電流の流れは回避され、弓形部6は高電流経路4の部分を形成しない。電圧源20の制御電圧が巻き線22に供給され、過電流よりも小さい電流が高電流経路4内を流れるとき、弓形部6は保持要素5Cの保持力に抗して移動させられ、それにより高電流経路4の電流の流れは弓形部6を介して導かれ、弓形部6は高電流経路4の一部を形成する。
【0045】
高電流接点は弓形部6の端部と、高電流経路4のセクション4A,4Bとによって形成される。図4に示す過電流検知ユニット1に対応して、高電流経路4の電流の流れの一方向において、第一の制御接触子11Eは、弓形部によって形成される高電流経路4の部分の前で、高電流経路4のセクション4Aに接続されている。高電流経路4の電流の流れの上記方向において、第二の制御接触子11Fは、弓形部6によって形成される高電流経路4の部分の後で、高電流経路4のセクション4Bに接続されている。図4に示すDC過電流保護装置とは異なり、図5に示す本発明に係る装置では、第一および第二の制御接触子11E,11Fは過電流検知ユニット1に含まれておらず、過電流検知ユニット1の外部で高電流経路4のセクション4A,4Bに接続されている。
【0046】
第一の制御接触子11Eは、第三の制御ケーブル13Dを介して火工式遮断要素2に接続されている。第二の制御接触子11Fと火工式遮断要素2との間に、第五の制御ケーブル13Fおよび第六の制御ケーブル13Gを介して、接触器21が接続されており、接触器自身は電圧源20に接続されている。電圧源20および/または過電流検知ユニット1のためのエネルギーは、例えば車両、特に電気車両、ハイブリッド車両、または燃料電池車両の、12Vまたは48Vの電圧を有する車載用電気系統から取り出すことができる。電圧源20の制御電圧が巻き線22および接触器21に供給されず、弓形部6が高電流経路4の部分を形成しないとき、第一および第二の制御接触子11E,11Fを介して降下する電圧(開回路電圧とも称される電圧)が、火工式遮断要素2への点火電流15の伝送を生じさせないことが、接触器21によって保証される。
【0047】
高電流経路4内に過電流が流れるとき、電圧源20の制御電圧が巻き線22および接触器21に供給されているにもかかわらず、弓形部6は保持要素5Cの保持力の方向に、弓形部によって形成されていない高電流経路の部分から遠ざかり、それにより弓形部6と、弓形部6によって形成されていない高電流経路4のセクション4A,4Bとの間の高電流接触箇所において、それぞれアーク14が形成され、アークは、第一および第二の制御接触子11E,11Fにわたる電圧降下をもたらす抵抗を有している。アーク14の抵抗と電圧とは、火工式遮断要素2への点火電流15の伝送を生じさせ、それにより火工式遮断要素2による高電流経路4の切断が行われる。
【0048】
過電流検知ユニット1の弓形部6、高電流経路4のセクション4A,4B、保持要素5C、永久磁石18、および巻き線22は、図5に示す実施形態において高電流保護部を形成する。高電流保護部は、電圧源20の制御電圧が供給されないとき、開放されており、それにより高電流経路4内の電流の流れは中断されている。この状態は、点火部のスイッチが切られた停車中の車両で生じ得る。高電流保護部が開放された状態で、高電流保護部は大きな抵抗を示しており、それにより、この抵抗を介して降下する電圧、もしくは高電流保護部に供給される電圧が、火工式遮断要素2を点火してしまわないように保証しなければならない。この目的のために、高電流保護部よりも小さな電流を開閉できる必要がある接触器21が、第三、第五、および第六の制御ケーブル13D,13F,13Gを含む点火回路内に設けられている。接触器21は有利には、高電流保護部の場合と同一の電圧源20から制御電圧の供給を受ける。この構成において点火回路内に点火電流が流れるのは、高電流保護部に制御電圧が供給され、したがって高電流保護部がもともと閉じた状態にあり、それにより電流が高電流経路4を通過して流れることができる一方、高電流保護部内で高電流経路4を通過して流れる電流が、弓形部6の端部における高電流接点が引き離されることでアーク14が形成される大きさであるとき、しかもそのアークが、高電流経路4を切断するために必要な点火電流を火工式遮断要素2に提供する電圧を生じさせるときのみである。
【0049】
図5に示す本発明に係るDC過電流保護装置100の実施形態はこのように、過電流を下回る流れの時は、過電流検知ユニット1の高電流保護部に制御された状態で、高電流経路4を切断するとともに、過電流時は、火工式遮断要素2に点火することにより、高電流経路4の切断を生じさせる。
【0050】
上記の全ての実施形態は、本発明に係るDC過電流保護装置を、ハウジングもしくは構成部材に組み込むことを可能にする。加えて本発明に係るDC過電流保護装置の全ての実施形態は、火工式遮断要素2の点火/起動/遮断を行うために電磁力を用いる。
【0051】
電流測定に基づく遮断装置を用いて、火工式遮断要素を遮断することに対して、本発明により、以下の長所が生じる:
すなわち、本発明に係るDC過電流保護装置は、電流測定を妨げる可能性のある妨害、特に電磁妨害であるものの、バネのような保持要素に抗して移動を行うのに十分な大きさと期間の電磁力を生成するにはエネルギーが不十分である妨害に対して敏感に反応しない。このようなやり方で、このような電磁妨害の際の火工式遮断要素の誤起動は防止される。本発明に係るDC過電流保護装置は、動作のために持続的な電流を必要とせず、したがって持続的な電流消費を有さない。図1図2図3A、および図3bに示す本発明の実施形態に応じて、場合により設けられるエネルギー源3の自己放電だけが、かなりの長さの時間のうちに補償されればよい。エネルギー源3として、保護すべき高電圧車載用電気系統の高電圧バッテリー、バッテリー、コンデンサ、二重層コンデンサ、あるいは類似のものを用いることができる。場合により、本発明に係るDC過電流保護装置内に充電回路を補完することができ、充電回路は周期的に、あるいはエネルギー源の動作のための最小エネルギー値に降下した場合に、電圧源20を再充電し、それにより自己放電を補償する。制御接触子11,11A−11Fを電気的に互いに接続させるために電磁力を用いる際、電子的構成部材が使用されないために、本発明に係る装置の故障率は非常に小さい。加えて本発明に係る装置は、特に図4および図5に関連して説明されている実施形態において、過電流に対して非常に迅速に反応する。
【0052】
表示された実施形態に関連して説明される本発明の特徴、例えば図5に示されるように、第一の制御接触子11Eを過電流検知ユニット1の外部に配置することは、異なる記載が行われている場合、あるいは技術的な理由から自ずと禁止される場合を除いて、例えば図4に示されるように、第二の制御接触子11Dを過電流検知ユニット1の内部に配置する場合など、本発明の他の実施形態においても存在してよい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5