【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題は、独立請求項に記載の運転者支援システムと、車両を運転する際に運転者を支援するための方法とによって解決される。有利な実施の形態は従属請求項の対象である。請求項に記載された内容は、明示的に詳細な説明の一部となる。
【0016】
本発明の第一の態様は、特に運転者支援システムを用いて車両を運転する際、運転者のルールベース型支援を行うための制御データを作成するための方法に関し、当該方法は好ましくは以下のプロセスステップを有する。すなわち、
車両を運転するための少なくとも一つの制御パラメータおよび/または車両乗員、特に運転者の身体機能を少なくとも部分的に特徴づける身体パラメータの値を検知するステップと、
運転シナリオを少なくとも部分的に特徴づける少なくとも一つの入力パラメータの値を検知するステップと、
前記検知された値に基づき、前記少なくとも一つの入力パラメータに依存して、前記少なくとも一つの制御パラメータを調整するための少なくとも一つの境界条件を設定するステップと、
前記少なくとも一つの境界条件をルールとして考慮する、車両を運転するための制御データを出力するステップと、を有する。
【0017】
本発明の第二の態様は、車両を運転する際、運転者を支援するための運転者支援システムに関し、当該運転者支援システムは好ましくは少なくとも一つのセンサを有し、当該センサは、車両に関する運転状況データおよび/または運転者の身体パラメータデータを、少なくとも部分的に検知するように構成されている。さらに運転者支援システムは好ましくは運転型式セレクタモジュールを有し、当該運転型式セレクタモジュールは、データ記憶装置を有するとともに、前記少なくとも一つのセンサの運転状況データおよび/または身体パラメータデータと、車両を運転するための少なくとも一つの制御パラメータのデータとに、特にCANインターフェースを介してアクセスするために構成されている。運転型式セレクタモジュールは特に、前記少なくとも一つの制御パラメータの値と、センサデータとをデータ記憶装置に格納し、前記少なくとも一つの制御パラメータに関する少なくとも一つの境界条件を、格納されたデータに依存して設定するために構成されている。運転者支援システムはさらに好ましくは、車両を運転するための制御データを出力するためのインターフェースを有し、当該インターフェースは前記少なくとも一つの境界条件をルールとして考慮する。
【0018】
本発明の意味における交通データは、車両に対する他の道路利用者の絶対位置および/または相対位置と、これらの位置に関する文脈情報とに関する。例えばこれらの位置から交通量、およびそれとともに例えば予想される交通渋滞を推測することができる。交通データはさらにまた、他の道路利用者の速度および/または加速と、車両の該当する区間領域内の例えば天気に関する環境データを含んでいてよい。
【0019】
本発明の意味における運転者支援システムは、車両の高度に自動化された運転、または完全に自動化された運転を可能にする。
【0020】
本発明の意味における運転状況は、車両の状態に関する情報、特に長手方向速度、横方向速度、長手方向加速、横方向加速、ステアリング角、スロットル位置、車線、および車両の直接的な環境における道路利用者の状態に関する情報、すなわち、車両の視点から理論的に認識可能、特に可視である道路利用者の状態に関する情報を含む。このとき運転状況は特に、一の時点における状態考察である。したがって本発明では好ましくは異なる時点において、当該異なる時点での車両の周囲の他の道路利用者のコンステレーションが変化しなくても、異なる運転シナリオが存在する。
【0021】
本発明の意味における運転シナリオは、車両とその環境との相互作用を説明する。運転シナリオは特に、運転状況に関する情報を含む。運転シナリオはさらに好ましくは、交通、天気および/または車両の該当する道路区間における道路データに関する情報を有する。運転シナリオは好ましくは、車両の移動に該当する多数のパラメータ、特に全てのパラメータを全体的に考察することである。このとき運転シナリオは特に、一の時点における状態考察である。したがって本発明では好ましくは異なる時点において、当該異なる時点での車両の周囲の他の道路利用者のコンステレーションが変化しなくても、異なる運転シナリオが存在する。
【0022】
本発明の意味における制御パラメータは、走行動作の制御に役立つ、車両における操作変数の調整である。制御パラメータは特に、スロットル位置もしくはアクセルペダル位置、制動圧力もしくは制動信号、ギア選択などである。
【0023】
本発明の意味における道路データは、少なくとも先行する道路区間の地形に関する情報を有する。道路データは好ましくはまた、それぞれの道路区間の道路の進行に関する情報を有する。
【0024】
本発明の意味におけるモジュールは、コンピュータシステムの構成要素である。このときモジュールは特に、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして実施されていてよい。
【0025】
本発明の意味におけるトラジェクトリは、物理的な物体、特に車両または他の道路利用者の移動の時間的経過である。
【0026】
本発明の意味における運転型式は、車両が運転されるやり方である。運転型式は、様々な運転シナリオにおける、車両運転者または車両を運転する運転者支援システムの挙動によって特徴づけられる。
【0027】
これは好ましくは、挙動パターンであって、車両運転者が車両状態に関して変更を行わなければならない運転シナリオ、例えば追い越し過程の開始、車線変更などに関連する挙動パターンである。
【0028】
本発明の意味における制御データは、車両を制御するために用いられ得るデータである。制御データはこのとき、少なくとも一つの割り当て命令、特に関数または表であって、少なくとも一つの境界条件を規定する割り当て命令を含む。
【0029】
境界条件は好ましくは、少なくとも入力パラメータであって、当該入力パラメータに対して、制御パラメータおよび/または身体パラメータの値が割り当てられている入力パラメータの少なくとも一つのコンステレーションに関する。このとき制御パラメータおよび/または身体パラメータの値は、運転シナリオに関する乗員の主観的な認識および/または乗員の蓋然的な挙動パターンについての情報を含んでいる。
【0030】
本発明の意味における運転型式属性は、運転者支援システムの運転型式に関する運転者または運転者グループの主観的認識を特徴づけるのに適している。運転型式属性は特に、運転時間、すなわち運転者支援システムがある区間を走行しようと試みる迅速さ、知覚された、すなわち主観的に認識された安全性、知覚された効率、走行ダイナミクスおよびドライバビリティ、すなわち運転者支援システムによるアクションに対する反応としての車両の走行挙動の主観的認識である。さらなる運転型式属性は好ましくは、運転者において主観的な認識もしくは印象を生じさせないような特性であるが、当該特性の客観的な価値について運転者が関心を持ち得るような特性である。当該特性には例えば、エミッションや実際のエネルギー消費が挙げられる。
【0031】
本発明は特に、車両の自動化された、もしくは完全に自動化された運転の際の運転者支援システムの評価は、将来的に極めて大きな程度で、運転者支援システムの運転アクションにおいて、運転者の主観的な認識がどのように行われるかという点に依存するであろうとの認識に基づいている。したがって、運転者支援システムによる運転目標を設定する際、速度制限、追い越し禁止などの法律的な規定および事故を回避するための安全性の観点のみを考慮するのではなく、車両乗員の運転体験および/または運転者支援システムにより走行された区間の最終的な判断にとって決定的である、一つまたは複数の境界条件も考慮することが有利である。これは本発明では、特に運転型式属性に該当する境界条件を組み込むことにより確保される。
【0032】
本発明に取り入れられているさらなる認識は、運転者支援システムがデジタル情報処理の可能性により、車両のトラジェクトリを計画する際、運転者とは対照的に、実際の運転状況をはるかに超える情報を取り込むことができるというものである。他の車両と(car to car)、またはインフラストラクチャと(car to infrastructure)データ交換することにより、ならびに地形データおよび道路進行データを参照することにより、将来の運転シナリオをシミュレートすることができる。
このとき注意すべき点は、運転者支援システムが一般的に、車両の乗員よりも、特に運転者よりも多くの情報を有することである。地形に関して知ること、または交通量を知ること、あるいは見えない車両の制動に関して知ることにより、車両は、安全性の観点またはエネルギー効率の観点において、先を見越した最適なトラジェクトリを選択することができる。運転者はこうした情報を有しておらず、通常は運転者支援システムに相当する量の並行する情報を処理することもできないため、このように純粋に客観的な基準にしたがって最適化された運転者支援システムの運転の仕方は、運転者を不安にさせたり、もしくは不満を抱かせたりする恐れがある。運転者支援システムのこれらの決断を運転者が理解できないためである。
【0033】
上記の背景のもとで本発明は、運転習慣に関する境界条件および/または乗員の身体データにより特徴づけられる運転者の認識に関する境界条件を設定することを提案し、それにより運転者支援システムによる車両運転時の、客観的基準に応じた理想的なトラジェクトリを、人間による予想に適合させることができる。
【0034】
特に運転者または運転者グループに関する運転型式属性を特徴づける境界条件を考慮することと組み合わせて、運転者支援システムの先を見越した運転の仕方に対して、交通事象を予測するために運転シナリオをダイナミックにシミュレーションすることにより、車両の高度に自動化された、もしくは完全に自動化された運転は、客観的基準に関しても、主観的基準に関しても同時に最適化することができる。
【0035】
本発明に係る方法および装置を用いて、制御データが生成されるある種のトレーニング段階の後で、車両を個々の乗員もしくは運転者に、あるいはまた車両の構成に適応させることが可能である。運転者支援システムはこのようなやり方で、運転者が交代した際、短時間後もしくは短い走行区間の後に、当該運転者が運転者支援システムの運転型式に満足しているか、および場合により、当該運転型式を変更するか、確認することができる。さらに、車両が例えば積載量の変更、タイヤ空気圧の変更などにより、異なる挙動を行うかどうか、確認することができる。本発明によれば、車両構成に関して確認されたこのような変更に基づいて、運転型式の変更を行うこともできる。さらに、本発明に係る方法に基づく調整が、制御回路の型式で常に更新されることが行われてよく、それにより車両パラメータの変更に適応することができる。
【0036】
本発明に係る方法は一の有利な実施の形態において、少なくとも一時的に、制御データに基づいて車両を運転するステップを有する。
【0037】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、前記少なくとも一つの境界条件は、運転者または運転者グループの運転型式をシミュレートする。運転者グループの運転型式は例えば、複数の運転者の運転データの統計的評価により同定することができ、運転者グループは例えば性別、年齢などにより形成することができる。
【0038】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、前記少なくとも一つの境界条件は、運転者または運転者グループの適合させられた運転型式をシミュレートし、当該適合させられた運転型式は、車両の自動運転とマニュアル運転とを、運転者または運転者グループが異なるように知覚することを反映している。異なる乗員もしくは異なる運転者は、リスク親近性および技術への信頼に応じて、運転者支援システムに対して、運転者もしくは乗員の個々の運転型式とは異なる運転の仕方を期待する。したがってリスク親近性を有する運転者もしくは乗員は、例えば運転経験の不足により、自らあえて行うよりも、運転者支援システムが、走行物理的限界をより広げてくれることを期待する。本発明のこの機能は特に、マニュアル運転を介した運転者自身による運転の実践が、将来は大きく減少することが見込まれる事情の下では重要である。
【0039】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、値の受信は少なくとも部分的に、特に運転者支援システムによる車両の自動運転の間に行われる。当該実施の形態において特に、車両乗員の身体パラメータが検知され、それにより運転者支援システムの運転型式に関する主観的知覚を表示することができる。
【0040】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、前記少なくとも一つの制御パラメータは、前記少なくとも一つの入力パラメータに対する当該少なくとも一つの制御パラメータの一のコンステレーションにおいて、運転者が特に運転者支援システムによる車両の自動運転を中断するかどうかを規定する。特に、運転者が自動運転を中断する状況において、当該状況から、自ら主観的に知覚した安全性認識に関して、運転者が運転者支援システムによる運転時の不備を認識したことが推量され得る。したがって運転者支援システムは、対応する運転シナリオに対して、代替的に運転ストラテジーを設計し、それにより運転者により良い運転感覚を与えるべきであると想定される。
【0041】
本発明に係る方法は、さらなる有利な実施の形態においてまた、車両の運転と並行して、少なくとも一つの入力パラメータの値に基づいて、少なくとも一つの将来の運転シナリオをシミュレーションし、当該少なくとも一つの将来の運転シナリオに基づいて、車両の少なくとも一つのトラジェクトリをシミュレーションするプロセスステップを有し、制御データは、当該少なくとも一つのシミュレーションされたトラジェクトリに基づいている。将来の運転シナリオをシミュレーションすることにより、当該将来の運転シナリオは車両の運転時に考慮され得、それにより最適な運転を達成することができる。
【0042】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、シミュレーションはリアルタイムで、特に現在の運転シナリオのリアルタイムデータに基づいて行われる。
【0043】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、予測された複数の可能なトラジェクトリがシミュレーションされ、本発明に係る方法はさらに、複数の可能なトラジェクトリを、少なくとも一つの境界条件に基づいて評価するプロセスステップを有し、制御データは、最も良く評価された、予測されたトラジェクトリを反映している。
【0044】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、前記少なくとも一つの境界条件は、以下のグループ、すなわち運転時間、エミッション、エネルギー消費、安全性、走行ダイナミクス、ドライバビリティ、知覚された効率、知覚された安全性、からの運転型式属性を特徴づける。
【0045】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、シミュレーションは周期的に、好ましくはおよそ1秒からおよそ10分までの周期性を有して、より好ましくはおよそ10秒からおよそ1分までの周期性を有して、最も好ましくはおよそ1秒、およそ10秒、およそ1分または10分の周期性を有して行われる。
【0046】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、シミュレーションは、およそ1秒からおよそ10分までの将来の時間、好ましくはおよそ10秒からおよそ1分までの将来の時間、最も好ましくはおよそ1秒、およそ10秒、またはおよそ1分の将来の時間をカバーする。
【0047】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、複数の境界条件が考慮され、当該複数の境界条件の運転型式属性には異なった重みづけが行われている。これによりいくつかの運転型式属性は最適化の際に、過大に考慮され得、他の運転型式属性は過小に考慮され得る。
【0048】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、前記評価はコスト関数に基づいて行われ、当該コスト関数に前記少なくとも一つの境界条件が受容される。
【0049】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、前記少なくとも一つの境界条件を設定する際、前記少なくとも一つの身体パラメータが、少なくとも一つの設定された限界値を上回らないこと、および/または少なくとも一つの数値範囲内にあることが考慮される。
【0050】
本発明に係る方法のさらなる有利な実施の形態において、運転者は車両を運転する際、少なくとも部分的に、運転シナリオおよび/または将来の運転シナリオに関して認識させられる。このバックグラウンド情報により、運転者は運転者支援システムによる運転をより良く評価することができる。これは特に、運転者が(まだ)認識できない状況に当てはまるが、それは当該状況が運転者の視界にないか、またはシミュレーションされた将来の運転シナリオから生じるためである。
【0051】
上記において、本発明の第一の態様および当該第一の態様の有利な実施の形態に関して説明された特徴および有利点は、本発明の第二の態様にも相応に当てはまる。
【0052】
本発明のさらなる特徴、有利点、および応用可能性は、図に関連した以下の実施の形態の説明に記載されている。図が少なくとも部分的に概略的に示すのは、以下の通りである。