(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970120
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】一体化されたバッフルによるタンク強化
(51)【国際特許分類】
B60K 15/03 20060101AFI20211111BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20211111BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20211111BHJP
B65D 25/02 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
B60K15/03 B
F02M37/00 301J
B29C45/00
B65D25/02 B
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-556435(P2018-556435)
(86)(22)【出願日】2017年4月20日
(65)【公表番号】特表2019-515836(P2019-515836A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】EP2017059365
(87)【国際公開番号】WO2017186559
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2020年4月20日
(31)【優先権主張番号】16305492.7
(32)【優先日】2016年4月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515269659
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・アドヴァンスド・イノベーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン−ギュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】セ−ヒョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン−マン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・デューズ
【審査官】
中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−305651(JP,A)
【文献】
特開2010−018159(JP,A)
【文献】
特開2012−245974(JP,A)
【文献】
実開昭56−087926(JP,U)
【文献】
特表2012−501265(JP,A)
【文献】
特表2012−524691(JP,A)
【文献】
特表2016−506331(JP,A)
【文献】
特表2014−516327(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0102634(US,A1)
【文献】
米国特許第06138859(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
F02M 37/00
B29C 45/00
B65D 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスティック製車両用タンク(10)用のプラスティック材料から成る強化構造体(1)であって、該強化構造体(1)は、
−少なくとも1つの弱い区画(4)及び少なくとも1つの強い区画(5)を備える第1部分(2)であって、前記第1部分(2)が機械的応力下にあるときに、前記弱い区画が前記強い区画の前に破壊するように設計されている、第1部分(2)と、
−スロッシングノイズを低減するように設計された少なくとも1つの第2部分(3)であって、前記第2部分(3)が前記強い区画(2)から延びる、少なくとも1つの第2部分(3)と、
を備え、
前記第1部分(2)及び前記第2部分(3)は、一部品に作られ、
前記強化構造体(1)は、前記プラスティック製車両用タンク(1)の上部ベース(12)及び下部ベース(13)に溶着されるように設計されている、強化構造体(1)。
【請求項2】
前記弱い区画(4)は、前記強い区画(5)より薄いことを特徴とする請求項1に記載の強化構造体(1)。
【請求項3】
前記弱い区画(4)は、前記第2部分(3)がそこから延びる前記強い区画(5)の最も近接する点から最小距離だけ離間されている少なくとも1つの破壊点(41)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の強化構造体(1)。
【請求項4】
前記最小距離は、少なくとも10mmであることを特徴とする請求項3に記載の強化構造体(1)。
【請求項5】
前記強化構造体(1)は回転の軸(A)を有し、前記第2部分(3)は前記強い区画(5)から半径方向に延びることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の強化構造体(1)。
【請求項6】
前記第2部分(3)は、少なくとも2500mm2の座面を提供することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の強化構造体(1)。
【請求項7】
前記第2部分(3)は、前記強い区画(5)に備えられた凹部の内部に結合される少なくとも1つの結合手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の強化構造体(1)。
【請求項8】
すべての前記強化構造体(1)が、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、又は繊維強化ポリマを含む熱可塑性ポリマのような、熱可塑性材料から成ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の強化構造体(1)。
【請求項9】
前記第1部分(2)が、少なくとも1つのアクティブ構成要素の支持を確実にするための支持手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の強化構造体(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアクティブ構成要素が、前記第1部分(2)の前記強い区画(5)に溶着されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の強化構造体(1)。
【請求項11】
プラスティック製車両用タンク(10)及び請求項1〜10のいずれか一項に記載の強
化構造体(1)から成るアセンブリであって、
前記強化構造体(1)が前記プラスティック製車両用タンク(10)の上部ベース(12)及び下部ベース(13)に溶着されていることを特徴とする、アセンブリ。
【請求項12】
前記プラスティック製車両用タンク(10)は、車両用液体タンクであることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記プラスティック製車両用タンク(10)は、燃料タンク又はNOxの選択的触媒還元のための添加剤タンクであることを特徴とする請求項12に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスティック製車両用タンクの分野に関する。より詳細には、本発明は、そのようなプラスティック製車両用タンクのための強化構造体に関する。また、本発明は、そのような強化構造体を一体化するプラスティック製車両用タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスティック製車両用タンクのための強化構造体は既知であり、その製造中にタンクの内部で特定の位置に配置することができる。そのような強化構造体は、燃料タンクの一例では、明白な理由のために回避される必要がある燃料漏れをもたらすタンクの障害を回避するために、自動車のクラッシュ中に変形するか、又は壊れることが可能である特徴を有するタンクの重大な変形を制限するために設けられる。
【0003】
強化構造体の様々な形状が、タンクが衝撃中に耐える力を相殺するために存在する。強化構造体の一例は、本願出願人名による特許文献1に記載されており、そこでは強化要素は、都合の良い破断を確保するために、その端部における断面直径と、その1つの中間部における断面直径との間に特定の比率を有する中空のピラーである。複合強化構造体もまた、参照によって組み込まれる本願出願人名による特許文献2に記載されており、そこでは構造体の中央部分が中央凹所を有する壁部の形態をとり、この中央凹部は慣性を改善するが、また、タンクの内部に占められた空間を増加させる。
【0004】
それに加えて、特にハイブリッド車の出現に伴い、車両用タンクには液体のスロッシングによるノイズを低減するための「アンチスロッシュバッフル(anti−slosh baffles)」とも称されるバッフルを設けることが必要とされている。実際には、そのような液体のスロッシングは、車両が電気的エンジンのみを使用する電気モードにある場合にはかなりのものであり、乗客に対して不快な可聴騒音公害を作る。
【0005】
そのようなスロッシングノイズ低減バッフルは、参照によって組み込まれる本願出願人名による特許文献3に記載されているように、これもまたタンクの内部の特定の場所に配置されることを必要とする、嵩張る要素である場合がある。
【0006】
タンクの形状によっては、強化要素と、バッフルと、に必要とされる上記特定の場所が同じであるか、又は互いに非常に接近していることが頻繁に生じる。そのような場合、製造者は、タンクの変形の制限とスロッシング低減性能との間で選択することを強いられる。
【0007】
そのような問題を克服するために、特許文献4には一方が他方に固定された(locked)2つのセグメント間に1つのバッフルをクランプ固定し、これらセグメントが、セグメント化された強化構造体を形成することを既に提案している。しかし、そのような提案されたシステムでは、2つのセグメント間に固定される必要があるバッフルは、構造の高さの全長にほとんど沿って延び、構造全体の剛性を増加させる。そのようなバッフルの延長は、上記構造全体の機械的特性への不利な効果を有する場合があり、衝撃中の構造の適正な破壊に支障をきたす可能性がある。さらに、そのような提案は、複数のセグメント及び固定手段の要求によって上記構造の複雑性を増加させるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際出願第2012/139962号
【特許文献2】国際出願第2015/059249号
【特許文献3】仏国特許出願公開第2996175号明細書
【特許文献4】国際出願第2014/131686号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、構造体の機械的特性に影響を与えること無く、スロッシングノイズを低減することができ、タンクの変形を制限することができ、製造が容易であるとともにタンクの内部への位置付けが容易である、強化構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、プラスティック製車両用タンクのためのプラスティック材料から成る強化構造体に関し、この強化構造体は、少なくとも1つの弱い区画及び少なくとも1つの強い区画を備える第1部分を備え、これら少なくとも1つの弱い区画及び少なくとも1つの強い区画は、第1部分が機械的応力下にあるときに弱い区画が強い区画の前に破壊するように設計され、強化構造体もまたスロッシングノイズを低減するように設計された少なくとも1つの第2部分を備え、この第2部分は強い区画から延びる。
【0011】
すなわち、本発明の強化構造体の第1部分は、2つの異なる区画である弱い区画と強い区画とに分割することができ、強い区画は第2部分に接触することを予定されており、弱い区画は、タンクに衝撃がかけられ、非常に大きな機械的応力が強化構造体に引き起こされたときに破壊するように設計されており、それによってタンクの変形を制限し、タンクの断裂を回避する。弱い区画は、構造体に高すぎる機械的応力がかけられる際に、破壊が弱い区画で生じるべきまさにその場所に対応する少なくとも1つの破壊点を備えることができる。この弱い区画、より具体的には破壊点は、適正な破壊に対する弱い区画の適当な機械的特性を維持するために、第2部分がそこから延びる強い区画の場所から最小距離だけ分離される必要がある。発明者らは、第1部分の形状に依存して、破壊点と、そこから第2部分が延びる強い区画の最も近接する点と、の間の10mmの最小距離が、適正な破壊のための弱い区画の機械的特性を維持することを可能にすることを見出した。
【0012】
本発明による弱い区画は、機械的応力が強化構造体に生じるときに、第1部分の強い区画の前に破壊するための特定の機械的特性を有する、本発明の構造体の第1部分の区画として理解されなければならない。例えば、この機械的応力は、その内部に強化構造体が配置されたタンクによってかけられた衝撃である可能性がある。そうすることによって、タンクによってかけられた応力を相殺することが可能であり、タンクの壁は断裂することを回避することができる。そのような特定の機械的特性は、弱い区画が強い区画より低い機械的強度を有するように設計されるという事実の結果である。例えば、弱い区画は、第1部分の製造中に強い区画より薄く製造することができ、それによってその機械的強度を低減し、まず弱い区画で破壊が生じることを保証する。
【0013】
「機械的応力下」とは、それらに限られるわけではないが、引張応力、曲げ応力又はせん断応力などの本発明の構造が受けることができる全ての種類の応力を意味するものと理解されなければならない。
【0014】
本発明の一の特定の実施形態では、本発明による強化構造体は少なくとも2つの部分、すなわち一部品に作られる第1部分及び第2部分を備えることができる。本発明によれば、「一部品に作られる」部品は、一緒に、一部品に作られる1つの単一の構成要素を提供する部品として理解されるべきである。
【0015】
強化構造体は、プラスティック材料が成形されるすべての既知のプロセスによって得られ得る。そのようなプロセスの例は、それらに限られるわけではないが、ブロー成形プロセス、射出成形プロセス、又は熱成形プロセスである。特に良好な結果は、熱可塑性材料の射出成型によって得られる。
【0016】
用語「熱可塑性物質」は、熱可塑性エラストマを含むすべての熱可塑性ポリマ並びにその混合物を意味する。用語「ポリマ」は、ホモポリマ及びコポリマ(特に、二元共重合体又は三元共重合体)の両方を意味する。そのようなコポリマの例は、それらに限定されるわけではないが、ランダムコポリマ、リニアブロックコポリマ、他のブロックコポリマ、及びグラフトコポリマである。使用されることが多い1つのポリマはポリエチレンである。優れた結果が、高密度ポリエチレン(HDPE)及び繊維強化ポリマによって得られた。
【0017】
本発明の別の特定の一実施形態では、衝撃中にタンクの変形の制限を確実にする第1部分は、適正な破壊を可能にするすべての幾何学的形状を有する単純なピラーとすることができる。有利には、この第1部分は、その強い区画での断面の直径と、その弱い区画での断面の直径と、の間に特定の比率を有することができる中空ピラーである。
【0018】
この実施形態の有利な特徴によれば、第1部分は1つの弱い区画及びそれぞれがこの弱い区画の一端に配置された2つの強い区画を備える。そのような配置は、少なくとも1つの破壊点を第1部分の中間定置に配置することによって、本発明の構造体の破壊挙動をより精密に制御することを可能にする。
【0019】
本発明のまた別の特定の一実施形態では、第1部分は、1つ以上の単純なピラーを備えることができる複合要素である。例えば第1部分は、この第1部分の2つの端部を結合する4つの単純なピラーを有する中空の円形状構造とすることができる。4つのピラーのそれぞれは、それから少なくとも1つの第2部分が延びる少なくとも1つの強い区画と、それから1つの第2部分が延びる強い区画の最も近接した点から最小距離だけ分離された1つ以上の破壊点を有する少なくとも1つの弱い区画と、を備えることができる。そのような、中空の円形状本体を形成する、設計された第1部分は、タンクの少なくとも1つのアクティブ構成要素に対する支持部として使用することができる。表現「アクティブ構成要素」は、燃料システム又はSCRシステムに存在する流体との相互作用を有する構成要素を意味する。本発明によるアクティブ構成要素は、ポンプ、フィルタ、レベルゲージ、ヒータ、一般的センサ(例えば、温度センサ、品質センサ、圧力センサ、等)、圧力調整器、ベンチュリ菅、又はベンチュリ弁からなる群から選択することができる。この実施形態による強化構造体、及び特に第1部分は、1つ以上のアクティブ構成要素の支持を確実にするために支持手段と一体化することができ、これはタンク内部容積の空間の大きな節約を示す。当業者によって知られたすべてのプロセスを、この支持手段へのアクティブ構成要素の固定を得るために使用することができる。代替的に、アクティブ構成要素は、支持手段を使用すること無く、例えば第1部分の強い区画へのアクティブ構成要素の直接溶着によって、強化構造体に直接固定することができる。
【0020】
本発明のまた別の一実施形態では、第1部分の2つの端部のうちの一方は、液体トラップと一体化することができる。有利には、そのような液体トラップは、第1部分の端部と一部品に成形することができる。そのような液体トラップもまた、ここで記載されたアクティブ構成要素の支持に適しているとともに、いずれかの形状の、それ自体上に閉止される周囲を有する。そのような本発明の強化構造体の内部に一体化された液体トラップによる支持は、タンクの内部容積における節約された空間をさらに増加させる。
【0021】
また別の一実施形態では、この強化構造体は回転の軸と、強い区画から半径方向に延びる第2部分と、を有する。言い換えると、この強化構造体は、回転の軸を有する、円形状の形状を有する第1部分を備え、第2部分は回転の軸を含む平面方向に延びるパネルを形成する。
【0022】
また別の一実施形態では、第2部分は、スロッシングノイズを低減することを可能にするいずれかの好適な形状を有する。有利には、この第2部分は少なくとも2500mm
2の座面を提供する。実際に、そのような最小の座面は、スロッシングノイズの低減において、特に良好な結果を可能にする。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、第1部分及び少なくとも1つの第2部分は、2つの独立した部品であり、一部品には作られておらず、第1部分及び少なくとも1つの第2部分は、本発明の強化構造体を形成するように、すべての既知の手段によって組み立てることができる。この第1部分と少なくとも1つの第2部分とは結合することができ、第2部分は少なくとも1つの結合手段を備え、この結合手段は、第1部分の強い区画に備えられた凹部の内部に結合させることができる。
【0024】
相補的な凹部中に固定することができる、当業者によって知られたいずれかの結合手段を、その結合が弱い区画の機械的特性に影響を与えないという条件の下で、第2部分と、強い区画と、の間の結合を得るように使用することができる。結合手段の使用に対して代替的に、第2部分もまた強い区画に溶着することができる。そのような代替形態は、第1部分及び第2部分が両方とも適合性を有する溶着材料によって作ることができることを必要とする。本発明による1つの強化構造体がいくつかの第2部分を備え、それらのいくつかが、強い区画の相補的な凹部の内部に固定された結合手段と結合され、一方で第2部分の残りが強い区画に溶着されることが完全に想到可能である。第2部分の結合又は溶着のすべての可能性のある組み合わせにおいて、ここに記載された最小距離の前提条件が順守されることに注意すべきである。
【0025】
本発明はまた、プラスティック製車両用タンク及び本発明による強化構造体から成るアセンブリに関し、この強化構造体は、プラスティック製車両用タンクの上部ベース及び下部ベースのうちの少なくとも一方に接触している。本発明の好ましい実施形態では、強化構造体はプラスティック製車両用タンクの上部ベース及び下部ベースの少なくとも一方に溶着されており、好ましくは、強化構造体は両方のベースに溶着されている。そうするために、第1部分の端部のうちの少なくとも一方は、タンクの内壁の材料と溶着可能な適合性を有する材料から作られた溶着領域を備える。代替的に、上述の第1部分の端部のうちの一方は、タンクの内壁の材料と適合性がある溶着材料である材料によってオーバーモールドされ、それによって、第1部分の弱い区画の機械的特性に影響を与えない、構造体とタンクとの間の適正な溶着を確実にする。また別の一の代替形態では、タンクの内壁に、第1部分の少なくとも一方の端部と、タンクと、の間を結合することを可能にする手段が設けられる。
【0026】
本発明の特定の一の実施形態では、プラスティック製車両用タンクは車両用の液体タンク、より好ましくは燃料タンク又はNOxの選択的触媒還元のための添加剤タンクである。
【0027】
本発明は、本発明の所定の実践的な特徴を図示する以下の図面を通じてよりよく理解されるであろう。図面は例示としてのみ示されており、本発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施形態による強化構造体を示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による強化構造体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の第1の実施形態による強化構造体1を示す。このような強化構造体1は、第1部分2及び4つの第2部分3を備える。第1部分1は、タンク(図示されず)が衝撃中に耐える力を相殺するように設計される。そうするために、第1部分2は、第1部分2が機械的応力下にあるときに、強い区画5の前に破壊するように設計された、4つの弱い区画4(2つのみが
図1に見ることができる)を備える。この第1の実施形態では、弱い区画4は強い区画5の間に配置され、弱い区画4は、弱い区画4の周りに配置された強い区画5より薄く、それによって、上記強化構造体が機械的応力下にあるときに、強化構造体の上記弱い区画4における適正な破壊を確実とする。機械的応力の例は、回転軸Aにおける圧縮である。スロッシングノイズを低減させるように設計された4つの第2部分3は、強化構造体1の回転軸Aに垂直な略半径方向に延び、第2部分3のそれぞれは、少なくとも最小距離Xに対応する、最も近い弱い区画4の破壊点41からの十分な距離を有する1つの強い区画5から延びる。そこから第2部分3が延在する強い区画5に最も近い点51と、最も近い弱い区画4の破壊点41と、の間の少なくとも10mmに等しい上記最小距離Xは、上記強化要素1が機械的応力下にあるときに、1つの強い区画5の破壊の前の弱い区画4の適正な破壊のための上記弱い区画4の適切な機械的特性を維持する。4つの第2部分3は、この例ではスロッシングノイズを低減するための、1つ又は2つのオリフィスを有する2種類の形状を有するが、それらのすべては少なくとも2500mm
2の座面(bearing surface)を提供する。第2部分3の形状のこの違いは、タンク中のそれらの位置及びタンクの形状の結果である。
【0030】
図1では、上記第1部分2及び第2部分3は、プラスティック材料の射出成型によって一部品に作成され、このプラスティック材料はタンクの内壁の材料と適合して溶着されており、このことはそのような構造体1及びタンク中へのその統合をもまた容易化する。有利な一実施形態(図示せず)では、強化構造体、より具体的には第1部分2及びその強い区画5を、タンクのアクティブな構成要素のための支持部として使用することができ、本発明の構造体によって占められる空間を最適化することを可能にする。この実施形態では、第1部分2の2つの端部のうちの一方が、少量の液体を捕捉することができる液体トラップ(図示せず)と一体化するか、又は形成することができ、それによってそれを構造体によって支持されるか又は支持されないポンプのような、他のアクティブな構成要素のために使用することができる。
【0031】
図2は、本発明の第2の実施形態による強化構造体1である。このような強化構造体1は、ディアボロ形状を有する中空ピラーである第1部分2と、2つの第2部分3と、を備える。この実施形態では、第1部分2は2つの強い区画5A、5B間に配置された1つの弱い区画4を備える。第1部分の端部21の上側における強い区画5Aは、そこから2つの第2部分3が延びる強い区画である。上記2つの第2部分3の両方は、弱い区画4と、そこから第2部分3が延びる、上記破壊点41の最も近接する点51との間に最小距離Xを有する強い区画5Aから延び、ここでXはすくなくとも10mmに等しい。
【0032】
図3は、
図2の強化構造体1の代替形態であり、2つのさらなる第2部分3が、
図2の第2部分3Aの延長部に対して上述されたのと同じ最小距離の要件を有する強い区画5Bから延びる。
図2及び
図3の両方において、第2部分3A及び3Bは同じ形状を有するが、第2部分3A及び3Bが、タンクの形状及びタンク内部の強化構造体1の位置に応じて異なる形状を有するものもまた、本願の一実施形態である。
【0033】
図4は、とりわけ、プラスティック製車両用タンク10及び2つの本発明による強化構造体1から成るアセンブリである。これら2つの強化構造体1は、それぞれ1つの第1部分2及び4つの第2部分3を備え、これらがプラスティック材料から一部品に作成される。このようなプラスティック材料は、タンク10の内壁の材料と溶着適合性を有する。上記強化構造体は、タンク10の内壁11の上部12及び下部13に、第1部分2の端部21、22によって溶着される。2つの強化構造体1はタンク10の内部で、タンクの変形の制限及びスロッシングの低減に関する性能が必要とされる特定の位置に配置される。したがって、本発明によるそのような強化構造体は同時に、タンク10によってかけられる応力を相殺し、タンクの壁が避けるのを回避し、スロッシングノイズを低減し、タンク10の内部の空間を節約する。
【0034】
さらに、本発明によるこれら2つの強化構造体1及び第2部分を有しない2つの他の強化要素を、互いに対して配置することができ、収容容積を一緒に形成することができる。このような収容容積は、ポンプのようなアクティブな構成要素に対する操作のために使用することができる。
【0035】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の実施形態が存在し、当業者には明瞭に理解される。
【符号の説明】
【0036】
1 強化構造体
2 第1部分
3 第2部分
4 弱い区画
5 強い区画
10 プラスティック製車両用タンク
12 上部ベース
13 下部ベース
41 破壊点
A 回転の軸