【文献】
MOREHEAD H W、外1名,Optimization of oxidation of glycoproteins: An assay for predicting coupling to hydrazide chromatographic supports,JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY A,1991年12月20日,Vol.587, No.2,Page.171-176, doi:10.1016/0021-9673(91)85153-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、抗体断片、抗体薬物複合体、THIOMAB(商標)、またはTHIOMAB(商標)薬物複合体である、請求項4に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
I.定義
本明細書を解釈する目的において、以下の定義が適用され、適当な場合はいつでも、単数形で使用される用語は複数形も含み、その逆も同様である。以下に記載されるいずれかの定義が、参照により本明細書に援用されるいずれかの文献と矛盾する場合には、以下に記載される定義が優先する。
【0013】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a(1つの)」、「or(または)」、及び「the(その)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書に記載の本発明の態様及び変形は、態様及び変形「からなる」及び/または「本質的にからなる」を含むことが理解される。
【0014】
本明細書で使用される「約」という用語は、当業者に容易に知られているそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」の値またはパラメータに対する言及は、その値またはパラメータ自体に向けられる実施形態を含む(及び説明する)。
【0015】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗体断片、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、抗体薬物複合体、THIOMAB(商標)、及びTHIOMAB(商標)薬物複合体を含むがこれらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。
【0016】
本明細書で使用される「カルボニル化」という用語は、例えば
図1に示すように、ポリペプチド内のアミノ酸残基上のアルデヒド基またはケトン基の形成を指す。本明細書で使用される「総カルボニル化レベル」という用語は、ポリペプチドの単位量(nmolまたはmg)当たりのカルボニル基の量(nmol)を指す。
【0017】
本明細書で使用される「誘導体化」という用語は、アミノ酸またはポリペプチドの化学的性質を変化させるが、アミノ酸またはポリペプチド骨格構造を未変化のままにする化学反応を指す。具体的に、本明細書のLY−CHは、
図2Aに示す化学反応において使用され、アミノ酸またはポリペプチド上のカルボニル基を化学的に修飾し、それによりポリペプチド・色素錯体が形成される(
図2Aに示すシッフ塩基を形成する、ルシファーイエローカルボヒドラジド上のヒドラジド基と、ポリペプチド上のカルボニル基との間の反応によって)。
【0018】
本明細書で使用される「積分吸光度ピーク面積」という用語は、特定の波長において特定の検体について測定されたクロマトグラムにおける曲線下面積を指す。例えば、
図3は、LY−CH由来のmAb試料の280nm(
図3A)及び428nm(
図3B)での吸光度による、サイズ排除クロマトグラムを示す。矢印は、ピーク積分の開始点及び終了点を示す。
図3の積分吸光度ピーク面積は、開始点と終了点との間の曲線下面積である。
【0019】
「線形回帰フィッティング」という用語は、本明細書において、Yan,X.,Gang Su,X.(2009),Linear Regression Analysis:Theory and Computing,World Scientificに記載されるように使用される。
【0020】
本明細書で使用される「ルシファーイエロー」、「ルシファーイエローカルボヒドラジド」、「ルシファーイエローCH」、「LY」、または「LY−CH」という用語は、未結合及び/または結合形態のルシファーイエローを指す。ルシファーイエローは、280nm及び428nmで電磁気照射の強い吸光度を有する水溶性色素である。本明細書で使用される「ポリペプチド・色素錯体」という用語は、ヒドラジド色素と反応し、それによりポリペプチド・色素錯体を形成したポリペプチドを指す。具体的に、本明細書で使用される「ポリペプチド・色素錯体」という用語は、上記のようにLY−CHと反応したポリペプチドを指す。「未結合のヒドラジド色素」という用語は、具体的に、誘導体化試薬として本明細書で使用される、すなわち、ポリペプチド・色素錯体に結合されていないヒドラジド色素を指す。「未結合のLY−CH」という用語は、具体的に、誘導体化試薬として本明細書で使用される、すなわち、ポリペプチド・色素錯体に結合されていないLY−CHを指す。「ルシファーイエロー」、「ルシファーイエローカルボヒドラジド」、「ルシファーイエローCH」、「LY」、または「LY−CH」という用語は、同義に使用され得る。本明細書で使用されるLY−CHは、LY−CHジリチウム塩として使用される。
【0021】
本明細書で使用される「ヒドラジド色素」という用語は、ヒドラジドを官能基として含む色素を指す。ヒドラジド色素の一般構造は、E−N(R)−N(R)
2であり、式中、Rは水素であり得、Eは色素である。「色素」という用語は、例えば、428nmの波長で電磁気照射を吸収する分子または部分を指す。
【0022】
本明細書で使用される「モル比」という用語は、本明細書に記載される誘導体化反応においてポリペプチドの量(モル)を超えて使用されるLY−CHの量(モル)の比を指す。
【0023】
本明細書で使用されるフィルターユニットの「公称分画分子量」という用語は、特定の分子量の溶質の少なくとも90%が維持されるフィルターユニットの孔径を指し、例えば、30kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットは、30kDaの分子量を有する溶質の少なくとも90%を保持する。
【0024】
本明細書で使用される「非イオン性界面活性剤」という用語は、2種の液体間または液体と固体との間の表面張力を低下させる能力を有する非イオン性薬剤を指す。非イオン性界面活性剤の例は、Nonidet P−40、Poloxamer 188、Polysorbate 20、Polysorbate 80、Triton X−100、還元されたTriton X−100、Tween 20、及びTween 80である。本明細書で使用される「還元されたTriton X−100」という用語は、ベンゼン環がシクロヘキサン環に還元されたTriton X−100に関する。ベンゼン環に起因して、還元されていないTriton X−100は、ポリペプチドの吸光度スペクトル(260nm〜280nm)と重複する吸光度スペクトルを有する。Triton X−100及びポリペプチドの吸光度スペクトルの重複が起こらないため、シクロヘキサン環の還元は、Triton X−100をポリペプチドの分析に好適にする。
【0025】
「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書では同義に使用される。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語は、自然に、または介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、もしくは任意の他の操作または修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲーションにより修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸等を含む)の1つ以上の類似体を含有するポリペプチド、及び当該技術分野で既知の他の修飾もこの定義に含まれる。本明細書で使用される「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、具体的に抗体を包含する。
【0026】
II.方法
本記載において、ポリペプチドの総カルボニル化レベルを測定するための、簡略化された、より頑強かつより正確なタンパク質カルボニル化アッセイが提供される。前述のように、タンパク質沈殿及び洗浄による未結合のヒドラジドの除去は、労働集約的プロセスであり、例えば試料損失に起因する、実験的可変性の主な原因を構成する。LY−CHは、比較的高い水溶性(約200mM)を有し、DNPHなどの多くのヒドラジド試薬よりも著しく親水性が高いため、誘導体化試薬として選択された。LY−CHの可溶性かつ親水性の性質は、緩衝液交換濾過プロセスによる未結合のLY−CHの除去を可能にし、優れた試料回収につながる。本記載において、LY−CHの可溶性は、緩衝液調製のために水酸化リチウムを使用することによって更に改善された。改善された緩衝液中のリチウムイオンの存在に基づくLY−CHの改善された可溶性は、従来の緩衝液系と比較して、誘導体化反応に対するより高いLY−CH対ポリペプチドモル比の使用、及び誘導体化後の残留LY−CH試薬のより容易な除去を可能にする。誘導体化試薬として使用されるLY−CHの別の利点は、水溶液中のルシファーイエロー部分の化学安定性である。この特性は、複数の試料の分析が一度に実施される場合でも、分析の時間経過にわたって誘導体化試薬の発色団ならびに結果として生じるヒドラゾンの安定性を確保する。
【0027】
一態様において、本記載は、ポリペプチド上の総カルボニル化レベルを判定するための方法に関し、この方法は、a)溶液中のポリペプチドを、ヒドラジド色素がポリペプチドのアミノ酸残基上に存在するカルボニル基と反応してポリペプチド・色素錯体を形成し得るような条件下で、ヒドラジド色素と接触させるステップと、b)ステップa)からの結果として生じる溶液から未結合のヒドラジド色素を除去するステップと、c)ステップb)からの結果として生じる溶液中の、ポリペプチド・色素錯体において結合されたヒドラジド色素の濃度、及びポリペプチド・色素錯体において結合されたポリペプチドの濃度を判定するステップと、d)ポリペプチド・色素錯体において結合されたポリペプチドの濃度に対するポリペプチド・色素錯体において結合されたヒドラジド色素の濃度の比に基づいて、ポリペプチドの総カルボニル化レベルを判定するステップと、を含む。
【0028】
別の態様において、本記載は、ポリペプチド上の総カルボニル化レベルを判定するための方法に関し、この方法は、a)溶液中のポリペプチドを、ヒドラジド色素がポリペプチドのアミノ酸残基上に存在するカルボニル基と反応してポリペプチド・色素錯体を形成し得るような条件下で、ヒドラジド色素と接触させるステップと、b)ステップa)からの結果として生じる溶液から未結合のヒドラジド色素を除去するステップと、c)ステップb)からの結果として生じる溶液をクロマトグラフィーに適用して、i)第1の積分ピーク面積をもたらす第1の波長でのクロマトグラム、及びii)第2の積分ピーク面積をもたらす第2の波長でのクロマトグラムを生成するステップと、d)各々が第1の積分ピーク面積及び第2の積分ピーク面積に基づいて判定される、ポリペプチド・色素錯体において結合されたポリペプチドの濃度に対するポリペプチド・色素錯体において結合されたヒドラジド色素の濃度の比に基づいて、ポリペプチドの総カルボニル化レベルを判定するステップと、を含む。
【0029】
更に別の態様において、本記載は、ポリペプチド上の総カルボニル化レベルを判定するための方法に関し、この方法は、a)溶液中のポリペプチドを、ヒドラジド色素がポリペプチドのアミノ酸残基上に存在するカルボニル基と反応してポリペプチド・色素錯体を形成し得るような条件下で、ヒドラジド色素と接触させるステップと、b)ステップa)からの結果として生じる溶液から未結合のヒドラジド色素を除去するステップと、c)ステップb)からの結果として生じる溶液をクロマトグラフィーに適用して、i)第1の積分ピーク面積をもたらす第1の波長でのクロマトグラム、及びii)第2の積分ピーク面積をもたらす第2の波長でのクロマトグラムを生成するステップと、d)4つの標準曲線、i)第1の波長でのヒドラジド色素の標準曲線、ii)第2の波長でのヒドラジド色素の標準曲線、iii)第1の波長でのポリペプチドの標準曲線、及びiv)第2の波長でのポリペプチドの標準曲線を生成するステップと、e)4つの標準曲線、第1の積分ピーク面積、及び第2の積分ピーク面積に基づいて、ポリペプチド・色素錯体に結合されたヒドラジド色素の濃度、及びポリペプチド・色素錯体に結合されたポリペプチドの濃度を計算するステップと、f)ポリペプチド・色素錯体に結合されたポリペプチドの濃度に対するポリペプチド・色素錯体に結合されたヒドラジド色素の濃度の比に基づいて、ポリペプチドの総カルボニル化レベルを判定するステップと、を含む。
【0030】
一実施形態において、ヒドラジド色素は、Cy3ヒドラジド、Cy5ヒドラジド、Cy5.5ヒドラジド、Cy7ヒドラジド、Cy7.5ヒドラジド、クマリンヒドラジド、iFluor(商標)色素ヒドラジド、HiLyte(商標)Fluor 647ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)488ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)568ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)633ヒドラジド、及びルシファーイエローヒドラジドからなる群から選択される。一実施形態において、ヒドラジド色素は、LY−CHである。一実施形態において、ヒドラジド色素は、LY−CHジリチウム塩である。
【0031】
一実施形態において、ステップa)は、アルカリ金属イオンの存在下で実施される。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、1〜100mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、10〜90mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、20〜80mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、30〜70mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、40〜60mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、45〜55mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、46〜54mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、47〜53mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、48〜52mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、49〜51mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、約50mMの濃度で存在する。一実施形態において、アルカリ金属イオンは、50mMの濃度で存在する。
【0032】
一実施形態において、ステップa)に存在するアルカリ金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンからなる群から選択される。一実施形態において、ステップa)に存在するアルカリ金属イオンは、リチウムイオンである。一実施形態において、リチウムイオンは、1〜100mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、10〜90mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、20〜80mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、30〜70mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、40〜60mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、45〜55mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、46〜54mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、47〜53mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、48〜52mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、49〜51mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、約50mMの濃度で存在する。一実施形態において、リチウムイオンは、50mMの濃度で存在する。
【0033】
本記載において、428nmでの訂正吸光度を使用して、428nmでのポリペプチド寄与を除算することによって、試料中のカルボニルのモル濃度を計算し、対応して、280nmでの訂正吸光度を使用して、280nmでのLY−CH寄与を除算することによって、ポリペプチド濃度/量を計算する。比較して、他のアッセイは、カルボニル含有量を定量化するためのヒドラジド試薬のそれぞれの吸光度に対する428nmでのポリペプチド寄与を訂正せず、カルボニル化含有量の過大評価につながる。換言すれば、ポリペプチド結合したルシファーイエロー部分及びポリペプチド構成要素の両方が、280nm及び428nmでの測定された吸光度ピーク面積に寄与するため、LY−CHのそれぞれの濃度及びポリペプチドのそれぞれの濃度は、LY−CH標準及び非誘導mAbを(ポリペプチド標準として)用いて生成された標準曲線を使用して計算した。したがって、一実施形態において、ルシファーイエローの吸光度の訂正及びポリペプチドの吸光度の訂正が実施される。
【0034】
一実施形態において、第1の波長は、420〜440nmの範囲である。一実施形態において、第1の波長は、425〜435nmの範囲である。一実施形態において、第1の波長は、426〜430nmの範囲である。一実施形態において、第1の波長は、427〜428nmの範囲である。一実施形態において、第1の波長は、約428nmである。一実施形態において、第1の波長は、428nmである。
【0035】
一実施形態において、第2の波長は、270〜290nmの範囲である。一実施形態において、第2の波長は、275〜285nmの範囲である。一実施形態において、第2の波長は、278〜282nmの範囲である。一実施形態において、第2の波長は、279〜281nmの範囲である。一実施形態において、第2の波長は、約280nmである。一実施形態において、第2の波長は、280nmである。
【0036】
本明細書に記載されるように、カルボニル化は、抗体などのポリペプチドのアミノ酸残基上で起こる。一実施形態において、カルボニル化が起こるアミノ酸残基は、アルギニン、リジン、プロリン、及びトレオニンからなる群から選択される。一実施形態において、カルボニル化は、ポリペプチドのアミノ酸残基のアルデヒド基上で起こる。一実施形態において、カルボニル化は、ポリペプチドのアミノ酸残基のケトン基上で起こる。
【0037】
一実施形態において、ポリペプチドは、ホモ多量体ポリペプチドである。一実施形態において、ポリペプチドは、ホモ二量体またはホモ三量体である。一実施形態において、ポリペプチドは、ヘテロ多量体ポリペプチドである。一実施形態において、ポリペプチドは、生物学的に活性なポリペプチドである。一実施形態において、ポリペプチドは、抗体である。一実施形態において、抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、抗体薬物複合体、THIOMAB(商標)、及びTHIOMAB(商標)薬物複合体からなる群から選択される。一実施形態において、抗体は、クラスGのサブクラスIgG1もしくはサブクラスIgG4またはそれらの変形である。一実施形態において、抗体は、抗体断片である。一実施形態において、抗体断片は、Fv、Fab、Fab′、Fab′−SH、二重特異性抗体、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体から選択される。
【0038】
一実施形態において、ポリペプチド及びヒドラジド色素は、6,000〜10,000の最終モル比で接触される。一実施形態において、ポリペプチド及びヒドラジド色素は、7,000〜9,000の最終モル比で接触される。一実施形態において、ポリペプチド及びヒドラジド色素は、7,500〜8,500の最終モル比で接触される。一実施形態において、ポリペプチド及びヒドラジド色素は、7,800〜8,200の最終モル比で接触される。一実施形態において、ポリペプチド及びヒドラジド色素は、7,900〜8,100の最終モル比で接触される。一実施形態において、ポリペプチド及びヒドラジド色素は、7,950〜8,050の最終モル比で接触される。一実施形態において、ポリペプチド及びヒドラジド色素は、6,000、7,000、8,000、9,000、及び10,000からなる群から選択される最終モル比で接触される。一実施形態において、ポリペプチド及びヒドラジド色素は、約8,000の最終モル比で接触される。一実施形態において、ポリペプチド及びヒドラジド色素は、8,000の最終モル比で接触される。一実施形態において、ヒドラジド色素は、LY−CHである。
【0039】
一実施形態において、ステップa)は、非イオン性界面活性剤の存在下で実施される。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.01%(w/v)〜5%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.1%(w/v)〜5%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.2%(w/v)〜4%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.3%(w/v)〜3%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.4%(w/v)〜2%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.5%(w/v)〜1.5%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.6%(w/v)〜1.4%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.7%(w/v)〜1.3%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.8%(w/v)〜1.2%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、0.9%(w/v)〜1.1%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、1%(w/v)の濃度で存在する。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、約0.05%(w/v)の濃度で存在する。
【0040】
一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、Nonidet P−40、Poloxamer 188、Polysorbate 20、Polysorbate 80、Triton X−100、還元されたTriton X−100、Tween 20、及びTween 80からなる群から選択される。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、還元されたTriton X−100である。
【0041】
一実施形態において、ステップa)は、暗所で実施される。一実施形態において、ステップa)は、一級アミンも二級アミンもいずれも含有しない緩衝液中で実施される。一実施形態において、ステップa)は、pH4〜7の能力を有する緩衝液中で実施される。一実施形態において、ステップa)は、一級アミンまたは二級アミンを含有しない、MES、MOPS、HEPES、及びPIPESからなる群から選択される緩衝液中で実施される。一実施形態において、ステップa)は、MES緩衝液中で実施される。一実施形態において、ステップa)は、リチウムMES緩衝液中で実施される。
【0042】
一実施形態において、ステップa)は、5〜7のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、5.5〜6.5のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、5.6〜6.4のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、5.7〜6.3のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、5.8〜6.2のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、5.9〜6.1のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、約5.9のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、約6.0のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、約6.1のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、5.9のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、6.0のpH値で実行される。一実施形態において、ステップa)は、6.1のpH値で実行される。
【0043】
一実施形態において、ステップa)は、35℃〜39℃の温度で実施される。一実施形態において、ステップa)は、36℃〜38℃の温度で実施される。一実施形態において、ステップa)は、36.5℃〜37.5℃の温度で実施される。一実施形態において、ステップa)は、約37℃の温度で実施される。一実施形態において、ステップa)は、37℃の温度で実施される。
【0044】
一実施形態において、ステップa)は、1〜50時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、5〜40時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、8〜30時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、11〜25時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、12〜20時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、13〜19時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、14〜18時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、15〜17時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、約16時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、16時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、17〜19時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、約18時間にわたって実施される。一実施形態において、ステップa)は、18時間にわたって実施される。
【0045】
一実施形態において、未結合のヒドラジド色素の除去は、濾過、ゲル濾過、及び透析からなる群から選択される方法によって実施される。一実施形態において、未結合のヒドラジド色素の除去は、濾過によって実施される。ヒドラジド色素をポリペプチドから分離することができる、任意のフィルターが使用され得る。一実施形態において、濾過は、5〜50kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、5kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、10kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、15kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、20kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、25kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、30kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、35kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、40kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、45kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、濾過は、50kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される。一実施形態において、未結合のヒドラジド色素の除去は、ゲル濾過によって実施される。一実施形態において、未結合のヒドラジド色素の除去は、透析によって実施される。
【0046】
一実施形態において、濾過は、100〜300mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、110〜290mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、120〜280mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、130〜270mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、140〜260mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、150〜250mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、160〜240mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、170〜230mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、180〜220mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、190〜210mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、195〜205mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、約200mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、200mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。
【0047】
一実施形態において、濾過は、200〜300mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、210〜290mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、220〜280mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、230〜270mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、240〜260mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、245〜255mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、約250mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、250mMの塩化カリウムの存在下で実行される。
【0048】
一実施形態において、濾過は、100〜300mMのリン酸カリウムの存在下、かつ200〜300mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、濾過は、200mMのリン酸カリウムの存在下、かつ250mMの塩化カリウムの存在下で実行される。
【0049】
一実施形態において、濾過は、5.4〜7.0のpH値で実行される。一実施形態において、濾過は、5.5〜6.9のpH値で実行される。一実施形態において、濾過は、5.6〜6.8のpH値で実行される。一実施形態において、濾過は、5.7〜6.7のpH値で実行される。一実施形態において、濾過は、5.8〜6.6のpH値で実行される。一実施形態において、濾過は、5.9〜6.5のpH値で実行される。一実施形態において、濾過は、6.0〜6.4のpH値で実行される。一実施形態において、濾過は、6.1〜6.3のpH値で実行される。一実施形態において、濾過は、約6.2のpH値で実行される。一実施形態において、濾過は、6.2のpH値で実行される。
【0050】
一実施形態において、クロマトグラフィー中に、ポリペプチド・色素錯体は、未結合のヒドラジド色素から分離され、それにより
図3A及び3Bに示すように、ポリペプチド・色素錯体と未結合のヒドラジド色素との間の干渉が起こらないようにする。本明細書で使用される「干渉なし」という用語は、クロマトグラフィー中に、ポリペプチド・色素錯体のベースライン分解ピーク(10〜22分で溶出した)と未結合のヒドラジド色素のベースライン分解ピーク(およそ24分で溶出した)との間の重複がないか、または関連重複がないことを意味する。
【0051】
更に、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を上記のステップc)において用い、未結合のLY−CHをポリペプチド・色素錯体から分離する。SECを使用する利点は、定量化が、下記の実施例に記載される頑強性実験によって実証されるように、試料中に存在する可変量の未結合のLY−CHによって影響を受けないことである。したがって、誘導体化にLY−CH及び定量化にSEC分析を使用することの組み合わせは、最適な方法性能のために未結合のヒドラジド試薬を徹底的かつ再現性よく除去することに依存しない、改善された試料調製手順を提供する。
【0052】
したがって、一実施形態において、クロマトグラフィーは、サイズ排除クロマトグラフィーである。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、0.1〜0.9mL/分のイソクラティック流で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、0.2〜0.8mL/分のイソクラティック流で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、0.3〜0.7mL/分のイソクラティック流で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、0.4〜0.6mL/分のイソクラティック流で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、約0.5mL/分のイソクラティック流で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、0.5mL/分のイソクラティック流で実行される。
【0053】
一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、20℃〜30℃のカラム温度で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、21℃〜29℃のカラム温度で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、22℃〜28℃のカラム温度で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、23℃〜27℃のカラム温度で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、24℃〜26℃のカラム温度で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、約25℃のカラム温度で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、25℃のカラム温度で実行される。
【0054】
一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、100〜300mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、110〜290mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、120〜280mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、130〜270mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、140〜260mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、150〜250mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、160〜240mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、170〜230mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、180〜220mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、190〜210mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、195〜205mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、約200mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、200mMのリン酸カリウムの存在下で実行される。
【0055】
一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、200〜300mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、210〜290mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、220〜280mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、230〜270mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、240〜260mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、245〜255mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、約250mMの塩化カリウムの存在下で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、250mMの塩化カリウムの存在下で実行される。
【0056】
一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、5.4〜7.0のpH値で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、5.5〜6.9のpH値で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、5.6〜6.8のpH値で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、5.7〜6.7のpH値で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、5.8〜6.6のpH値で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、5.9〜6.5のpH値で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、6.0〜6.4のpH値で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、6.1〜6.3のpH値で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、約6.2のpH値で実行される。一実施形態において、サイズ排除クロマトグラフィーは、6.2のpH値で実行される。
【0057】
一実施形態において、4つの標準曲線は、サイズ排除クロマトグラフィーによって生成される。一実施形態において、4つの標準曲線は、以下の等式を使用して生成される。
等式1を使用する第4の標準曲線(280nmでのポリペプチド):y
1=m
1x+b
1
等式2を使用する第3の標準曲線(428nmでのポリペプチド):y
2=m
2x+b
2
等式3を使用する第2の標準曲線(280nmでのルシファーイエロー):y
3=m
3z+b
3
等式4を使用する第1の標準曲線(428nmでのルシファーイエロー):y
4=m
4z+b
4
式中、xは、ポリペプチドの濃度(mg/mL)であり、zは、ルシファーイエローのモル濃度(μM)であり、m
1〜m
4及びb
1〜b
4は、線形回帰フィッティングから得られる定数である。
【0058】
一実施形態において、ポリペプチドのカルボニル化レベルは、2つの可変(x及びz)線形等式を解くことによって、z/x(nmol/mg)として計算される。
等式5:A
280=m
1x+b
1+m
3z+b
3
等式6:A
428=m
2x+b
2+m
4z+b
4
式中、zは、カルボニル基のモル濃度(μM)であり、xは、タンパク質濃度(mg/mL)であり、A
280は、
図3Aに示すように、280nmの吸光度からのLY−CH由来のmAb種の積分ピーク面積であり、A
428は、
図3Bに示すように、428nmの吸光度からのLY−CH由来のmAb種の積分ピーク面積である。
z及びxは、以下に示す線形等式5及び6を解くことによって判定され得る。
x=[m
4*A
280−m
3*A
428−m
4*(b
1+b
3)+m
3*(b
2+b
4)]/(m
4*m
1−m
2*m
3)
z=[m
2*A
280−m
1*A
428−m
2*(b
1+b
3)+m
1*(b
2+b
4)]/(m
2*m
3−m
1*m
4)
次いで、総カルボニル化レベルをz/xとして計算する。
【0059】
III.キット
本明細書において説明される用途で用いるために、製造者のキットまたは物品も提供される。このようなキットは、厳重な管理下で、バイアル、管等の1つ以上の容器手段を受容するように区分化された担体手段を備えてよく、容器手段のそれぞれは、この方法において用いられる別個の要素のうちの1つを含む。一実施形態において、容器手段のうちの1つは、ヒドラジド色素を含み得る。一実施形態において、ヒドラジド色素は、Cy3ヒドラジド、Cy5ヒドラジド、Cy5.5ヒドラジド、Cy7ヒドラジド、Cy7.5ヒドラジド、クマリンヒドラジド、iFluor(商標)色素ヒドラジド、HiLyte(商標)Fluor 647ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)488ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)568ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)633ヒドラジド、及びLY−CHからなる群から選択される。一実施形態において、ヒドラジド色素は、LY−CHである。一実施形態において、ヒドラジド色素は、LY−CHジリチウム塩である。一実施形態において、容器手段のうちの1つは、緩衝液を含む。一実施形態において、容器手段のうちの1つは、リチウムイオンを含む緩衝液を含む。一実施形態において、緩衝液は、一級アミンも二級アミンもいずれも含有しない。一実施形態において、緩衝液は、pH4〜7の能力を有する。一実施形態において、MES、MOPS、HEPES、及びPIPESからなる群から選択される緩衝液は、一級アミンまたは二級アミンを含有しない。一実施形態において、緩衝液は、リチウムMES緩衝液である。一実施形態において、緩衝液は、pH値6.0のリチウムMES緩衝液である。一実施形態において、緩衝液は、pH値6.1のリチウムMES緩衝液である。
【0060】
一実施形態において、容器手段のうちの1つは、非イオン性界面活性剤を含む。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、Nonidet P−40、オクチル−ベータ−グルコシド、Poloxamer 188、Polysorbate 20、Polysorbate 80、Triton X−100、還元されたTriton X−100、Tween 20、及びTween 80からなる群から選択される。一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、還元されたTriton X−100である。
【0061】
一実施形態において、容器手段のうちの1つは、ポリペプチドの標準を含み、容器手段のうちの1つは、ヒドラジド色素の標準を含む。一実施形態において、容器手段のうちの1つは、フィルターユニットを含む。一実施形態において、フィルターユニットは、30kDaフィルターユニットである。一実施形態において、容器手段のうちの1つは、リン酸カリウムを含む。一実施形態において、容器手段のうちの1つは、塩化カリウムを含む。
【0062】
キットは、典型的に、上記の容器と、緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用上の指示を伴う添付文書を含む、商業的及びユーザーの視点から望ましい材料を含む1つ以上の他の容器と、を備える。標識は、組成物が非治療的用途に使用されることを示すために容器上に提示され得、上記のものなどのインビトロ使用に関する指示も示し得る。キットの他の任意の構成要素としては、1つ以上の緩衝液(例えば、誘導体化緩衝液、ブロック緩衝液、洗浄緩衝液、基質緩衝液等)、酵素標識により化学的に変化する基質(例えば、クロモゲン)などの他の試薬、エピトープ抽出溶液、対照試料(正及び/または負の対照)、対照スライド(複数可)等が挙げられる。
【0063】
IV.具体的な実施形態
1.ポリペプチド上の総カルボニル化レベルを判定するための方法であって、
a)溶液中のポリペプチドを、ヒドラジド色素がポリペプチドのアミノ酸残基上に存在するカルボニル基と反応してポリペプチド・色素錯体を形成し得るような条件下で、ヒドラジド色素と接触させるステップと、
b)ステップa)からの結果として生じる溶液から未結合のヒドラジド色素を除去するステップと、
c)ステップb)からの結果として生じる溶液中の、ポリペプチド・色素錯体において結合されたヒドラジド色素の濃度、及びポリペプチド・色素錯体において結合されたポリペプチドの濃度を判定するステップと、
d)ポリペプチド・色素錯体において結合されたポリペプチドの濃度に対するポリペプチド・色素錯体において結合されたヒドラジド色素の濃度の比に基づいて、ポリペプチドの前記総カルボニル化レベルを判定するステップと、を含む、方法。
【0064】
2.ポリペプチド上の総カルボニル化レベルを判定するための方法であって、
a)溶液中のポリペプチドを、ヒドラジド色素がポリペプチドのアミノ酸残基上に存在するカルボニル基と反応してポリペプチド・色素錯体を形成し得るような条件下で、ヒドラジド色素と接触させるステップと、
b)ステップa)からの結果として生じる溶液から未結合のヒドラジド色素を除去するステップと、
c)ステップb)からの結果として生じる溶液をクロマトグラフィーに適用して、i)第1の積分ピーク面積をもたらす第1の波長でのクロマトグラム、及びii)第2の積分ピーク面積をもたらす第2の波長でのクロマトグラムを生成するステップと、
d)各々が第1の積分ピーク面積及び第2の積分ピーク面積に基づいて判定される、ポリペプチド・色素錯体において結合されたポリペプチドの濃度に対するポリペプチド・色素錯体において結合されたヒドラジド色素の濃度の比に基づいて、ポリペプチドの総カルボニル化レベルを判定するステップと、を含む、方法。
【0065】
3.ポリペプチド上の総カルボニル化レベルを判定するための方法であって、
a)溶液中のポリペプチドを、ヒドラジド色素がポリペプチドのアミノ酸残基上に存在するカルボニル基と反応してポリペプチド・色素錯体を形成し得るような条件下で、ヒドラジド色素と接触させるステップと、
b)ステップa)からの結果として生じる溶液から未結合のヒドラジド色素を除去するステップと、
c)ステップb)からの結果として生じる溶液をクロマトグラフィーに適用して、i)第1の積分ピーク面積をもたらす第1の波長でのクロマトグラム、及びii)第2の積分ピーク面積をもたらす第2の波長でのクロマトグラムを生成するステップと、
d)4つの標準曲線、i)第1の波長でのヒドラジド色素の標準曲線、ii)第2の波長でのヒドラジド色素の標準曲線、iii)第1の波長でのポリペプチドの標準曲線、及びiv)第2の波長でのポリペプチドの標準曲線を生成するステップと、
e)4つの標準曲線、第1の積分ピーク面積、及び第2の積分ピーク面積に基づいて、ポリペプチド・色素錯体に結合されたヒドラジド色素の濃度、及びポリペプチド・色素錯体に結合されたポリペプチドの濃度を計算するステップと、
f)ポリペプチド・色素錯体において結合されたポリペプチドの濃度に対するポリペプチド・色素錯体において結合されたヒドラジド色素の濃度の比に基づいて、ポリペプチドの総カルボニル化レベルを判定するステップと、を含む、方法。
【0066】
4.ヒドラジド色素が、Cy3ヒドラジド、Cy5ヒドラジド、Cy5.5ヒドラジド、Cy7ヒドラジド、Cy7.5ヒドラジド、クマリンヒドラジド、iFluor(商標)色素ヒドラジド、HiLyte(商標)Fluor 647ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)488ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)568ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)633ヒドラジド、及びLY−CHからなる群から選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
5.ヒドラジド色素が、LY−CHである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
6.ステップa)が、アルカリ金属イオンの存在下で実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
7.アルカリ金属イオンが、1〜100mMの濃度で存在する、実施形態6に記載の方法。
【0070】
8.アルカリ金属イオンが、50mMの濃度で存在する、実施形態6に記載の方法。
【0071】
9.アルカリ金属イオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンからなる群から選択される、実施形態6〜8のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
10.アルカリ金属イオンが、リチウムイオンである、実施形態6〜8のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
11.ステップa)が、リチウムMES緩衝液中で実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
12.ステップa)における反応が、誘導体化である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
13.第1の波長が、426nm〜430nmの範囲である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
14.第1の波長が、428nmである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
15.第2の波長が、278nm〜282nmの範囲である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
16.第2の波長が、280nmである、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
17.アミノ酸残基が、アルギニン、リジン、プロリン、及びトレオニンからなる群から選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
18.ポリペプチドが、抗体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
19.抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、抗体断片、抗体薬物複合体、THIOMAB(商標)、またはTHIOMAB(商標)薬物複合体である、実施形態18に記載の方法。
【0082】
20.ポリペプチド及びヒドラジド色素が、ステップa)において6,000〜10,000の最終モル比で接触される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
21.ポリペプチド及びヒドラジド色素が、ステップa)において8,000の最終モル比で接触される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
22.ステップa)が、非イオン性界面活性剤の存在下で実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
23.非イオン性界面活性剤が、Nonidet P−40、Poloxamer 188、Polysorbate 20、Polysorbate 80、Triton X−100、還元されたTriton X−100、Tween 20、及びTween 80からなる群から選択される、実施形態22に記載の方法。
【0086】
24.非イオン性界面活性剤が、還元されたTriton X−100である、実施形態22に記載の方法。
【0087】
25.非イオン性界面活性剤が、0.01%(w/v)〜5%(w/v)の濃度で存在する、実施形態22〜24のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
26.非イオン性界面活性剤が、0.05%(w/v)の濃度で存在する、実施形態22〜24のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
27.非イオン性界面活性剤が、1%(w/v)の濃度で存在する、実施形態22〜24のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
28.ステップa)が、暗所で実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
29.ステップa)が、5〜7のpH値で実行される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
30.ステップa)が、6.0のpH値で実行される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
31.ステップa)が、6.1のpH値で実行される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
32.ステップa)が、35℃〜39℃の温度で実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
33.ステップa)が、37℃の温度で実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
34.ステップa)が、10〜20時間にわたって実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
35.ステップa)が、16時間にわたって実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
36.ステップa)が、18時間にわたって実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
37.ステップb)における未結合のヒドラジド色素の除去が、濾過、ゲル濾過、及び透析からなる群から選択される方法によって実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
38.未結合のヒドラジド色素の除去が、濾過によって実施される、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
39.濾過が、5〜50kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される、実施形態35に記載の方法。
【0102】
40.濾過が、30kDaの公称分画分子量を有するフィルターユニットで実行される、実施形態35に記載の方法。
【0103】
41.濾過が、100〜300mMのリン酸カリウムの存在下で実行される、実施形態35〜37のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
42.濾過が、200mMのリン酸カリウムの存在下で実行される、実施形態35〜38のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
43.濾過が、200〜300mMの塩化カリウムの存在下で実行される、実施形態35〜39のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
44.濾過が、250mMの塩化カリウムの存在下で実行される、実施形態35〜40のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
45.濾過が、6〜7のpH値で実行される、実施形態35〜41のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
46.濾過が、6.2のpH値で実行される、実施形態35〜42のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
47.クロマトグラフィー中に、ポリペプチド・色素錯体が、未結合のヒドラジド色素から分離され、それによりポリペプチド・色素錯体と未結合のヒドラジド色素との間の干渉が起こらないようにする、実施形態2〜43のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
48.クロマトグラフィーが、サイズ排除クロマトグラフィーである、実施形態2〜44のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
49.サイズ排除クロマトグラフィーが、0.2〜0.8mL/分のイソクラティック流で実行される、実施形態45に記載の方法。
【0112】
50.サイズ排除クロマトグラフィーが、0.5mL/分のイソクラティック流で実行される、実施形態45のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
51.サイズ排除クロマトグラフィーが、20℃〜30℃のカラム温度で実行される、実施形態45〜47のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
52.サイズ排除クロマトグラフィーが、25℃のカラム温度で実行される、実施形態45〜48のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
53.サイズ排除クロマトグラフィーが、100〜300mMのリン酸カリウムの存在下で実行される、実施形態45〜49のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
54.サイズ排除クロマトグラフィーが、200mMのリン酸カリウムの存在下で実行される、実施形態45〜50のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
55.サイズ排除クロマトグラフィーが、200〜300mMのリン酸カリウムの存在下で実行される、実施形態45〜51のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
56.サイズ排除クロマトグラフィーが、250mMの塩化カリウムの存在下で実行される、実施形態45〜52のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
57.サイズ排除クロマトグラフィーが、6〜7のpHで実行される、実施形態45〜53のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
58.サイズ排除クロマトグラフィーが、6.2のpHで実行される、実施形態45〜54のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
59.4つの標準曲線が、サイズ排除クロマトグラフィーによって生成される、実施形態3〜55のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
60.4つの標準曲線が、以下の等式を使用して生成される、実施形態3〜56のいずれか1つに記載の方法。
等式1を使用する第4の標準曲線(280nmでのポリペプチド):y
1=m
1x+b
1
等式2を使用する第3の標準曲線(428nmでのポリペプチド):y
2=m
2x+b
2
等式3を使用する第2の標準曲線(280nmでのルシファーイエロー):y
3=m
3z+b
3
等式4を使用する第1の標準曲線(428nmでのルシファーイエロー):y
4=m
4z+b
4
式中、xは、ポリペプチドの濃度(mg/mL)であり、zは、ルシファーイエローのモル濃度(μM)であり、m
1〜m
4及びb
1〜b
4は、線形回帰フィッティングから得られる定数である。
【0123】
61.ポリペプチドのカルボニル化レベルが、2変数(x及びz)線形等式を解くことによって、z/x(nmol/mg)として計算される、実施形態3〜57のいずれか1つに記載の方法。
等式5:A
280=m
1x+b
1+m
3z+b
3
等式6:A
428=m
2x+b
2+m
4z+b
4
式中、zは、カルボニル基のモル濃度(μM)であり、xは、タンパク質濃度(mg/mL)であり、A
280は、
図3Aに示すように、280nmの吸光度からのLY−CH由来のmAb種の積分ピーク面積であり、A
428は、
図3Bに示すように、428nmの吸光度からのLY−CH由来のmAb種の積分ピーク面積である。
z及びxは、以下に示す線形等式5及び6を解くことによって判定され得る。
x=[m
4*A
280−m
3*A
428−m
4*(b
1+b
3)+m
3*(b
2+b
4)]/(m
4*m
1−m
2*m
3)
z=[m
2*A
280−m
1*A
428−m
2*(b
1+b
3)+m
1*(b
2+b
4)]/(m
2*m
3−m
1*m
4)
次いで、総カルボニル化レベルをz/xとして計算する。
【0124】
62.ヒドラジド色素及び緩衝液を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の方法を実行するためのキット。
【0125】
63.ヒドラジド色素が、Cy3ヒドラジド、Cy5ヒドラジド、Cy5.5ヒドラジド、Cy7ヒドラジド、Cy7.5ヒドラジド、クマリンヒドラジド、iFluor(商標)色素ヒドラジド、HiLyte(商標)Fluor 647ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)488ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)568ヒドラジド、Alexa Fluor(登録商標)633ヒドラジド、及びLY−CHからなる群から選択される、実施形態59に記載のキット。
【0126】
64.ヒドラジド色素が、LY−CHである、実施形態59に記載のキット。
【0127】
65.緩衝液が、リチウムMES緩衝液である、実施形態59〜61に記載のキット。
【0128】
66.非イオン性界面活性剤を更に含む、実施形態59〜62に記載のキット。
【0129】
67.非イオン性界面活性剤が、Nonidet P−40、Poloxamer 188、Polysorbate 20、Polysorbate 80、Triton X−100、還元されたTriton X−100、Tween 20、及びTween 80からなる群から選択される、実施形態63に記載のキット。
【0130】
68.非イオン性界面活性剤が、還元されたTriton X−100である、実施形態63に記載のキット。
【0131】
69.キットが、ポリペプチドの標準及びヒドラジド色素の標準を更に含む、実施形態59〜65に記載のキット。
【実施例】
【0132】
V.実施例
以下は、本発明に記載の方法の実施例である。上述の概要を考慮すると、様々な他の実施形態が実施され得ることが理解される。
【0133】
前述の発明が明確な理解のために例証及び例により多少詳しく記載されているが、これらの記述及び例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
【0134】
材料
本記載において使用される全てのmAbは、Genentech(South San Francisco,CA)において製造された。LY−CHジリチウム塩、硫酸鉄、過酸化水素溶液(H
2O中30%、w/w)、メチオニン(Met)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、コハク酸ナトリウム、コハク酸、リン酸カリウム(二塩基性及び一塩基性)、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸、水酸化ナトリウム溶液(H
2O中1M)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、水酸化リチウム、還元されたTriton X−100、及びPolysorbate 20は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO,USA)から購入した。TSK G3000 SWXL(7.8×300mm)サイズ排除カラムは、Tosoh Bioscience(King of Prussia,PA,USA)から購入した。OxiSelect(商標)タンパク質カルボニルアッセイキットは、Cell Biolabs(San Diego,CA,USA)から購入した。PNGase F(グリセロール不含)は、New England Biolabs(Ipswich,MA,USA)から購入した。
【0135】
実施例1:酸化mAb試料の調製及びLY−CHによるmAb試料の誘導体化
オキシ標準mAbまたはオキシ標準mAb(II)と称される酸化mAb試料は、フェントン反応を使用して本明細書に記載される方法のために生成した。したがって、抗体試料を、FeSO
4及び過酸化水素と5mg/mL、2mM、及び10mMそれぞれの最終濃度まで、50mMのコハク酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中で混合した。反応混合物を室温で2時間インキュベートし、その後に過剰量のメチオニン及びEDTAを添加することによって停止させた。
【0136】
誘導体化は、MES溶液を1Mの水酸化リチウム溶液でpH6.0まで滴定することによって調製された誘導体化緩衝液(50mMのリチウムMES緩衝液、1%のTriton X−100、pH6.0)中で実行した。最初に、mAb試料を、Amicon Ultra−15 30KDaフィルターユニット(Millipore,Billerica,MA,USA)を使用して、誘導体化緩衝液に緩衝液交換した。その後に、mAb試料(0.2mg/mLの最終濃度)を、LY−CH(8,000の最終LY−CH対mAbモル比)及び還元されたTriton X−100(1%重量/体積の最終濃度)と誘導体化緩衝液中で混合した。誘導体化は、暗所において37℃で16時間実行した。誘導体化後に、500μL分量の誘導体化試料を、15mLのAmicon Ultra−15 30kDaフィルターユニットを使用して、200mMのリン酸カリウム、250mMの塩化カリウム、pH6.2に3回緩衝液交換した。
【0137】
誘導体化は、MES溶液を1Mの水酸化リチウム溶液でpH6.0まで滴定することによって調製された誘導体化緩衝液(50mMのリチウムMES緩衝液、0.05%のTriton X−100、pH6.0)中で実行した。最初に、mAb試料を、Amicon Ultra−15 30KDaフィルターユニット(Millipore,Billerica,MA,USA)を使用して、誘導体化緩衝液に緩衝液交換した。その後に、mAb試料(0.5mg/mLの最終濃度)を、LY−CH(8,000の最終LY−CH対mAbモル比)及び還元されたTriton X−100(0.05%重量/体積の最終濃度)と誘導体化緩衝液中で混合した。誘導体化は、暗所において37℃で18時間実行した。誘導体化後に、500μL分量の誘導体化試料を、15mLのAmicon Ultra−15 30kDaフィルターユニットを使用して、200mMのリン酸カリウム、250mMの塩化カリウム、pH6.2に3回緩衝液交換した。
【0138】
実施例2:mAbのタンパク質カルボニルレベルの判定
CALYの全体ワークフローを
図2Bに示す。mAb試料は、Agilent HPLCシステムによって生成された0.5mL/分のイソクラティック流でTSK G3000 SWXL(7.8×300mm)サイズ排除カラムを使用して、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。移動相は、200mMのリン酸カリウム、250mMの塩化カリウムをpH6.2で含有していた。カラム温度は、25℃で制御し、オートサンプラー温度は、8℃で制御した。各試料について、分析のために25μLのmAb材料(およそ25μg)を注入した。溶出液を、280nm及び428nm両方でのUV吸光度によってモニタリングした。
【0139】
誘導体化及び緩衝液交換後に、mAb試料をサイズ排除クロマトグラフィーによって分析し、試料中の残留LY−CHを誘導mAbから分離した。カルボニル化レベルの定量化は、サイズ排除クロマトグラムの誘導mAb(およそ10〜22分で溶出した)のUV280nm及び428nm吸光度ピーク面積に基づいていた。タンパク質結合したルシファーイエロー部分及びタンパク質構成要素の両方が、測定されたUV280及び428nm吸光度ピーク面積に寄与するため、ルシファーイエロー部分及びタンパク質のそれぞれの濃度を、LY−CH標準及び非誘導mAb(タンパク質標準として)の標準曲線を使用して計算した。
【0140】
mAb標準曲線は、様々なタンパク質濃度(0.25、0.5、1、2、及び3mg/mL)での25μL注入を伴う、対応する非誘導mAb試料のサイズ排除クロマトグラフィー分析によって調製した。LY−CH標準曲線は、25μLのLY−CH標準を様々なモル濃度(1、5、10、15、及び20μM)で注入することによって同様に調製した。mAb及びLY−CH標準それぞれの濃度に対する結果として生じるUV吸光度ピーク面積の線形回帰フィットによって、4つの線形等式を生成した。これらの等式において、xは、mAbタンパク質濃度(mg/mL)であり、zは、LY−CHモル濃度(μM)であり、m
1〜m
4及びb
1〜b
4は、線形回帰フィッティングから得られた定数である。
等式1(mAbのUV280nm応答):y
1=m
1x+b
1
等式2(mAbのUV428nm応答):y
2=m
2x+b
2
等式3(LY−CHのUV280nm応答):y
3=m
3z+b
3
等式4(LY−CHのUV428nm応答):y
4=m
4z+b
4
【0141】
図4A及び4Bに示すように、標準曲線の線形回帰フィット後、m1=4813.9、b1=−125.98、m2=10.085、b2=3.2458、m3=35.507、b3=1.4328、m4=18.735、b4=1.3937である。
【0142】
次いで、mAb試料のカルボニル化レベルを、2つの変数(x及びz)線形等式5及び6を解くことによってz/x(nmol/mg)として計算し、式中、xは、カルボニル基のモル濃度(μM)であり、zは、タンパク質濃度(mg/mL)である。
等式5:A
280=m
1x+b
1+m
3z+b
3
等式6:A
428=m
2x+b
2+m
4z+b
4
【0143】
定量化プロセスを例示するために、誘導オキシ標準mAbの典型的なサイズ排除クロマトグラムを
図3A及び3Bに示す。非誘導オキシ標準mAb及びLY−CHからの4つの標準曲線を
図4A及び4Bに示し、吸光度ピーク面積とmAb及びLY−CH濃度それぞれとの間の線形応答を実証した。データの線形回帰フィッティングからの判定係数(R
2)は、0.99超であった。次いで、各誘導体化条件の総カルボニル化レベルを、誘導オキシ標準mAbからの積分ピーク面積及び標準曲線からの4つの等式に基づいて計算した。例として、A
280及びA
428値を以下のように判定した。ピーク面積4347.7、A
280は、280nmでのmAb及びLY−CHの吸光度寄与の結果であり、SECプロファイルにおいて、およそ10.1分から22.2分までの曲線下面積を積分することによって判定した。したがって、ピーク面積224.0、A
428は、428nmでの吸光度を有するSECプロファイルにおいて、およそ10.1分から22.2分までの曲線下面積を積分することによって判定した。上記等式5及び6と関連して、これは以下の2つの等式をもたらした。
i)4347.7=4813.9
*×−125.98+35.507
*z+1.4328
ii)224.0=10.085
*×+3.2458+18.735
*z+1.3937
【0144】
次いで、2つの変数x及びzを、2つの線形等式i)及びii)(x=0.846mg/mL mAb、z=11.253μM LY−CH)を解くことによって判定し、13.3nmol/mg)のカルボニル化レベルをもたらした。
【0145】
実施例3:誘導体化条件の最適化
最適な緩衝液系及びpH値の特定
CALYの最適な誘導体化条件を確立するために、上記実施例1に記載されるオキシ標準mAb試料を試験試料として使用して、誘導体化緩衝液、LY−CH対mAbモル比、及び誘導体化時間を最適化した。誘導体化試薬としてLY−CHの使用を可能にする最適化緩衝液を特定するために、最初に、誘導体化反応の異なる緩衝液pH値を考慮した。pH5.0以下で、誘導体化反応中にある程度の試料沈殿が観察された。試料沈殿を回避するために、pH5.0より上で沈殿が観察されなかったこと、及びpH7.0以上で誘導体化反応が著しく低速になるという考慮に基づいて、誘導体化pHとしてpH6.0を選択した。対応して、pKa6.13のMESを緩衝液系として選択した。緩衝液は、水酸化リチウムを使用して、50mM MES溶液をpH6.0まで滴定することによって調製した。緩衝液調製のための水酸化リチウムの使用は、LY−CHのリチウム塩がナトリウム塩及びカリウム塩よりも高い可溶性を有するという考慮に基づいていた。緩衝液中にリチウムイオンを有する、結果として生じる可溶性の高いLY−CHは、誘導体化反応に対するより高いLY−CH対mAbモル比の使用を可能にし、かつ誘導体化後の残留LY−CH試薬のより容易な除去を可能にする。最後に、考慮される別の因子は、酸化タンパク質試料が、より高い凝集性向を有する傾向があることであり、これが潜在的に誘導体化反応中の試料沈殿を引き起こし得る。その懸念に対処するために、界面活性剤としての還元されたTriton X−100を、最終濃度0.05%または1%(重量対体積)まで誘導体化緩衝液中に添加した。還元されたTriton X−100は、280nm及び428nmでいかなる著しい吸光度も有しない。最終最適化緩衝液系を用いた場合、全ての後次分析において試料沈殿が観察されなかった。
【0146】
LY−CH対試料モル比及び誘導体化時間の最適化
LY−CH対試料モル比及び誘導体化時間は、様々な誘導体化条件におけるオキシ標準mAbの総カルボニル化レベルを定量化することによって最適化した。最初に、LY−CH対試料モル比を、50、500、1000、1500、2000、4000、6000、8000、及び10,000における様々なモル比での誘導体化の程度を評価することによって最適化した。反応混合物中の最終オキシ標準mAb濃度(0.2mg/mL)、反応温度(37℃)、及び反応時間(18時間)などの全ての他の誘導体化条件は、標的条件において未変化であった。様々なモル比からの対応するカルボニル化レベル(
図5)は、誘導体化反応が8000のモル比で平坦域に至ることを示し、これを超えてカルボニル化レベルの著しい増加は観察されない。したがって、8000のLY−CH対試料モル比を、誘導体化反応の最終条件として選択した。同様に、反応時間を、8000のモル比及び全ての他の誘導体化条件を標的条件で変更せず保持しながら、インキュベーション時間を変えることによって最適化した。結果として生じる総カルボニル化レベル(
図6)は、誘導体化反応が18時間で平坦域に達したことを示した。したがって、誘導体化反応の最終反応時間として18時間を選択した。
【0147】
実施例4:CALYの評価
頑強性評価
CALYの頑強性を、他の方法条件は変更しないで1つの方法条件/パラメータにわずかな変更を適用すること、及びその後にオキシ標準mAbの総カルボニル化結果に対するこれらのわずかな変更の効果を評価することによって評価した。具体的には、誘導体化反応条件の効果、誘導体化後の試料の取り扱い及び分析プロセス、ならびに評価のためのSEC分析中の誘導体化試料の安定性を調査した。誘導体化反応条件について、異なるmAbタンパク質濃度(0.45、0.50、及び0.55mg/mL)、異なるLY対mAbモル比(7000:1、8000:1、及び9000:1)、ならびに誘導体化緩衝液の異なるpH値(5.9、6.0、及び6.1)からのオキシ標準mAbの総カルボニル化レベルを比較した。
図7A〜7Bに示すように、カルボニル化レベルのごくわずかな変動が、反応タンパク質濃度またはLY−CH対mAbモル比について観察された。緩衝液pH頑強性データから、pH6.1からの総カルボニル化レベルは、pH5.9及び6.0からのものよりわずかに低く(
図7C)、これはpH6.1でのわずかに遅い反応速度に起因する可能性があり、誘導体化緩衝液pHの厳格な制御が、最適な方法頑強性に必須であり得ることを示唆する。
【0148】
試料の取り扱いプロセスについて、誘導体化後に、濾過による各緩衝液交換が、試料中に存在する残留LY−CHの量をおよそ50倍低減することに等しいことは述べるに値する。2回、3回、及び4回の緩衝液交換を使用する効果を調査して、様々な量の試料中の残留LY−CHが、カルボニル化結果に影響を及ぼすか否かを理解する。
図7Dに示すように、2回、3回、または4回の緩衝液交換による結果に有意差は観察されず、様々な量の誘導体化試料中の残留LY−CHの存在が、結果にほとんど影響を及ぼさないことを実証する。サイズ排除分析について、誘導体化及び緩衝液交換したオキシ標準mAbの様々な注入体積(20μL〜30μL)を試験した。対応するカルボニル化レベルを
図7Eに示し、この方法が、注入体積/量のわずかな変化に対して頑強であることを実証した。
【0149】
1回、2回、及び3回の冷凍(−80℃)/解凍サイクルに供された誘導体化/緩衝液交換したオキシ標準mAb試料の結果を、新たに調製した試料の結果と比較することによって、複数の冷凍/解凍サイクルでの試料の安定性を評価した。データ(
図7F)は、誘導体化試料が、複数の冷凍/解凍サイクルに対して安定していたことを示した。HPLC分析の誘導体化試料の安定性を、HPLCオートサンプラー(8℃で制御された温度)内で1、3、5、7、9、11、13、及び15時間貯蔵された誘導体化及び緩衝液交換したオキシ標準mAbのカルボニル化レベルを測定することによって評価した。加えて、
図8に示すように、測定したカルボニル化レベルに有意差は観察されず、誘導体化試料が、2〜8℃で少なくとも15時間にわたって安定であることを支持する。
【0150】
全体として、オキシ標準mAbを試験試料として使用して、頑強性評価研究から合計31のデータ点が生成され、13.0nmol/mgの平均総カルボニル化レベルを示し、変化係数(RSD)は2.4%である。これらのデータは、CALYが非常に頑強であることを支持する。
【0151】
特異性評価
特異性は、mAb種以外の全ての試料緩衝液構成要素を有する試料ブランクを、誘導体化、緩衝液交換、及びSEC分析ステップに供することによって調査した。
図3A及び3Bに示すように、関心対象のピーク領域内(10〜22分)でピークが観察されず、緩衝液賦形剤が定量化プロセスを干渉しないこと、及びCALY方法がmAb試料の総タンパク質カルボニル化を測定するために特異的であることを実証した。
【0152】
検出限界及び定量化限界
検出限界(LOD)及び定量化限界(LOQ)を、負の対照のカルボニル化レベルの標準偏差の3倍及び10倍としてそれぞれ計算した。標準偏差は、様々なタンパク質濃度で繰り返し注入することで(合計27データ点)、負の対照としてストレス無負荷かつ非誘導のmAbを分析することによって、表1に示すように0.058nmol/mgであると判定された。次いで、CALYのLOD及びLOQは、それぞれ0.2及び0.6nmol/mgであると判定された。
【0153】
表1.様々な濃度で繰り返し注入することによって、負の対照としてLY−CHによって誘導されないストレス無負荷のmAb試料からのカルボニル化レベル。これらのデータからの標準偏差、0.0581nmol/mgを、LOD及びLOQの判定に使用した。
【0154】
線形性及び精度
方法最適化及び頑強性研究後に、後次評価のためのオキシ標準mAb試料の別のバッチを調製した。第2のバッチの総タンパク質カルボニル化レベルは、CALYによって、第1のバッチのレベルよりもわずかに低い、11.5nmol/mgであると判定された。しかしながら、これは、線形性及び精度に関する後次の方法性能評価に影響を及ぼさない。簡潔性のために、第2のバッチのオキシ標準mAbは、以下でオキシ標準mAb(II)試料と称した。
【0155】
CALYの線形性を評価するために、オキシ標準mAb(II)をストレス無負荷のmAbと、0対100、25対75、50対50、75対25、及び100対0(質量対質量)の比で混合することによって、一連の共混合試料を調製した。その後、共混合試料を、2つの検体によって、2つのHPLC器具上で分析し、各分析者は、2つのサイズ排除カラム及び3つの独立した調製物を異なる3日に用いた。各共混合試料について、合計6回の独立した測定を実施した。
図9に示すように、それぞれの共混合試料中のストレス負荷のmAbのパーセンテージに対する比率で、測定した総タンパク質カルボニル化に対する線形応答を観察し、線形回帰率は0.997であった。このデータは、CALYが優れた線形性を有することを実証した。加えて、共混合試料の各々について、2名の分析者からの日内及び日間分析からの測定値からの変化係数(CV)は15%を下回り、CALYの精度を実証する。
【0156】
実施例5:DNPH比色定量アッセイによるmAbのタンパク質カルボニルレベルの判定
いくつかのmAb試料の総タンパク質カルボニル化レベルもまた、OxiSelect(商標)タンパク質カルボニル分光光度アッセイキット(Cell Biolabs,Inc.,San Diego,CA)を使用することによって定量化した。3つの独立した調製を実施して、各試料の平均タンパク質カルボニル化レベルを報告した。
【0157】
DNPH分光光度アッセイとの比較
DNPH分光光度アッセイは、従来のタンパク質カルボニル化アッセイである。総タンパク質カルボニル化レベルを、オキシ標準mAb(II)、50:50共混合、及びストレス無負荷のmAbについて、DNPH方法及びCALY方法によって測定し、2つの方法による結果がどれほど近いかを判定し、2つの方法の性能を比較した。全体として、
図9及び10に示すように、2つの方法から判定されたそれぞれのカルボニル化レベルは同様であるが、CALY方法は、明らかに、DNPH方法からのものよりも良いアッセイ精度を明確に実証した。
【0158】
実施例6:PNGase F処理したmAbのCALY分析
LY−CHは、以前に、抗体のN−グリカンオリゴ糖残基上の過ヨウ素酸酸化によって形成されたアルデヒド基を定量化するために、誘導体化試薬として使用されていた。アミノ酸残基上のアルデヒド及びケトンとのLY−CHの反応性は、N−グリカンアルデヒドと同じでない場合があるため、LY−CHが、mAbのアミノ酸残基上の金属触媒酸化的カルボニル化を定量化するために好適であるかどうかを評価した。PNGase F処理を伴う場合と伴わない場合の、ストレス無負荷及びフェントンストレス負荷したmAb試料の総タンパク質カルボニル化レベルを、CALYによって測定した。PNGase F処理は、N−グリカンをmAb試料から除去するため、PNGase F処理後に測定したmAb試料の総タンパク質カルボニル化レベルは、mAb上のアミノ酸残基上のカルボニル化に寄与する。
図11に示すように、PNGase F処理を伴う場合と伴わない場合の、オキシ標準mAb(II)試料の総タンパク質カルボニル化レベルは、それぞれ9.9nmol/mg及び11.9nmol/mgであった。これらのデータは、アミノ酸残基上の金属触媒カルボニル化を定量化することに関する、CALYの特定の好適性を確認する。加えて、これらのデータは、本研究において試験したフェントンの酸化条件下で、相当量のN−グリカンアルデヒドがmAb試料上で形成されなかったことを示す。
【0159】
PNGase F処理による脱グリコシル化
脱グリコシル化反応は、250μgのmAb試料を、100mMのHEPES緩衝液(pH8.0)中の12500単位のPNGase Fと、最終量1mLまで混合することによって行った。混合物を、37℃で16時間インキュベートした。
【0160】
実施例7:様々な量のFe(II)及び過酸化水素を使用して酸化したmAbのタンパク質カルボニルレベルの判定
表2に示す様々な最終濃度のFe(II)(4μM、20μM、100μM、及び500μM)ならびに過酸化水素(8μM、40μM、200μM、及び1000μM)の組み合わせを用いて、合計16の条件を使用してmAb試料を調製した。最終mAb濃度は、5mg/mLであった。混合物を、室温で50mMのコハク酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中で2時間インキュベートした。その後、過剰量のメチオニン及びEDTAを添加することによって反応を停止させた。
【0161】
図12A、12B、及び12Cに示すように、総タンパク質カルボニル化レベルに対する様々な量のFe(II)及び過酸化水素の効果は、非常に複雑である。より低いFe(II)濃度(4μM及び20μM)において、ストレス負荷したmAbの総カルボニル化レベルは、広範囲の過酸化水素量(8μM〜1000μM)を用いても、わずかに変化するだけであることが観察された。対照的に、試験した各過酸化水素濃度について、4μM〜500μMの範囲のより高いFe(II)濃度で、より高い総カルボニル化を示す一貫した傾向があった。これらのデータは、これらの指定したストレス条件下で、酸化的カルボニル化の程度が、過酸化水素の場合よりも、金属イオン濃度の変化に対して比較的より敏感であることを示唆すると思われる。したがって、Fe(II)は、これらの条件下でmAb上のタンパク質カルボニル化を生じさせるために、過酸化水素よりも重要な因子であり得る。
表2.様々なFe(II)及びH2O2濃度(最終)での合計16条件、最終mAb濃度は5mg/mLであり、酸化を室温で2時間実行した後、過剰量のEDTA及びメチオニンを添加することによって反応停止させた。
【0162】
実施例8:貯蔵中のPS20製剤及び低レベルのFe(II)を用いたmAbのタンパク質カルボニルレベルの判定
Polysorbate 20(PS20)は、抗体凝集に対処するために抗体製剤中で一般的に使用される界面活性剤であるが、ペルオキシドを含有することも知られている(Jaeger et al.,1994)。mAbの貯蔵中に、PS20からのペルオキシドは、鉄イオンと反応して、抗体カルボニル化を誘導することができる。貯蔵中のmAbカルボニル化に対するPS20及び鉄の効果を調査するために、表3に示すように、様々な最終Fe(II)(0.1μM及び0.8μM)及びPS20(0.02%及び0.16%、w/v)濃度で、50mMのコハク酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中でmAb試料を調製した。PS20濃度は、mAb製剤中の報告されたPS20濃度範囲に基づいている(Hawe et al.,2010)。Fe(II)濃度は、報告された浸出鉄イオンの濃度範囲に基づいている(Zhou et al.,2011)。次いで、これらの試料を、暗所において室温で4、8、及び16週間貯蔵した。各時点において、過剰なメチオニン及びEDTAを試料に添加して、カルボニル化反応を停止させた。その後、これらの試料を、CALYによる更なる分析まで−80℃で貯蔵した。
表3.貯蔵実験のための様々なFe(II)及びPS20濃度(最終)での合計5条件B1は、対照として含めた。
【0163】
図13に示すように、PS20及びFe(II)を含有する4つの試料(B2〜B5)全てについて、貯蔵中にカルボニル化レベルの明らかな増加が観察された。比較すると、対照試料(B1)について、カルボニル化レベルの著しい変化は観察されなかった。これらのデータは、低レベルの鉄イオンが貯蔵中に存在する場合、PS20製剤を含むmAbが、カルボニル化の影響を受けやすいことを示した。興味深いことに、0.16%のPS20(B5及びB3)を含む試料は、鉄濃度にかかわらず、一貫して、4、8、及び16週目に、0.02%のPS20(B4及びB2)を含む試料よりも高いレベルのカルボニル化を有していた。この観察は、PS20が、これらの場合にmAbカルボニル化に対して主要な効果を有していたことを示す。したがって、フリーラジカル源である可能性があるPS20からの過酸化水素は、貯蔵条件下でmAbカルボニル化の程度を制限したより重要な因子になった。したがって、より多くの過酸化水素を含有する0.16%のPS20製剤は、一貫してより高いレベルのタンパク質カルボニル化を有していた。これは更に、低レベルの鉄イオンの存在下で、界面活性剤の過酸化水素含有量が、貯蔵中にmAbカルボニル化に対して著しい影響を有し得ることを示す。別の興味深い観察は、試料B3及びB5のカルボニル化レベルが、8週目〜16週目まで著しく減少したことである。これらの試料のカルボニル化含有量の減少は、脱カルボニル化プロセスが存在し得ることを示す。
【0164】
参考文献
Buss H,Chan TP,Sluis KB,Domigan NM,Winterbourn CC.Protein carbonyl measurement by a sensitive ELISA method.Free radical biology & medicine.1997;23(3):361−366.
Keener CR,Wolfe CA,Hage DS.Optimization of oxidized antibody labeling with Lucifer Yellow CH.Biotechniques.1994;16(5):894−897.
Levine RL,Garland D,Oliver CN,Amici A,Climent I,Lenz AG,Ahn BW,Shaltiel S,Stadtman ER.Determination of Carbonyl Content in Oxidatively Modified Proteins.Methods in Enzymology.Methods Enzymol.1990;186:464−478.
Matthijssens FB,Bart P.;Vanfleteren,Jacques R.Evaluation of Different Methods for Assaying Protein Carbonylation.Current Analytical Chemistry.2007;3(2):93−102.
Mesquita CS,Oliveira R,Bento F,Geraldo D,Rodrigues JV,Marcos JC.Simplified 2,4−dinitrophenylhydrazine spectrophotometric assay for quantification of carbonyls in oxidized proteins.Analytical biochemistry.2014;458:69−71.
Mohanty JG,Bhamidipaty S,Evans MK,Rifkind JM.A fluorimetric semi−microplate format assay of protein carbonyls in blood plasma.Analytical biochemistry.2010;400(2):289−294.
Morehead HW,Talmadge KW,O’Shannessy DJ,Siebert CJ.Optimization of oxidation of glycoproteins:an assay for predicting coupling to hydrazide chromatographic supports.J Chromatogr.1991;587(2):171−176.
Rogowska−Wrzesinska A,Wojdyla K,Nedic O,Baron CP,Griffiths HR.Analysis of protein carbonylation−−pitfalls and promise in commonly used methods.Free Radic Res.2014;48(10):1145−1162.
Uehara H,Rao VA.Metal−mediated protein oxidation:applications of a modified ELISA−based carbonyl detection assay for complex proteins.Pharm Res.2015;32(2):691−701.
Yan LJ,Forster MJ.Chemical probes for analysis of carbonylated proteins:a review.J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci.2011;879(17−18):1308−1315.
Stadtman,E.R..“Metal ion−catalyzed oxidation of proteins:biochemical mechanism and biological consequences.” Free Radic Biol Med.1990;9(4):315−325.
Bai Y,Wu C,Zhao J,Liu YH,Ding W,Ling WL.“Role of iron and sodium citrate in animal protein−free CHO cell culture medium on cell growth and monoclonal antibody production.” Biotechnol Prog.2011;27(1):209−219.
Mallaney M,Wang SH,Sreedhara A.“Effect of ambient light on monoclonal antibody product quality during small−scale mammalian cell culture process in clear glass bioreactors.” Biotechnol Prog.2014;30(3):562−570.
Halliwell B,Clement MV,Ramalingam J,Long LH.“Hydrogen peroxide.Ubiquitous in cell culture and in vivo?” IUBMB Life.2000;50(4−5):251−257.
Jaeger J,Sorensen K,Wolff SP.“Peroxide accumulation in detergents.” J Biochem Biophys Methods.1994;29(1):77−81.
Hawe A,Filipe V,Jiskoot W.“Fluorescent molecular rotors as dyes to characterize polysorbate−containing IgG formulations.” Pharm Res.2010;27(2):314−326.
Zhou S,Schoneich C,Singh SK.“Biologics formulation factors affecting metal leachables from stainless steel.” AAPS PharmSciTech.2011;12(1):411−421.