特許第6970129号(P6970129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970129
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】自己触媒性ポリオール
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/26 20060101AFI20211111BHJP
   C08G 18/50 20060101ALI20211111BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20211111BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   C08G65/26
   C08G18/50 054
   C08G18/00 F
   C08G101:00
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-564890(P2018-564890)
(86)(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公表番号】特表2019-517621(P2019-517621A)
(43)【公表日】2019年6月24日
(86)【国際出願番号】US2017036264
(87)【国際公開番号】WO2017218254
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2020年5月26日
(31)【優先権主張番号】102016000060467
(32)【優先日】2016年6月13日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ティー・マランガ
(72)【発明者】
【氏名】サブリナ・フレグニ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ジェイ・フルィツェク
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ダブリュ・キング
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ポール・マシー
(72)【発明者】
【氏名】サデカ・オナム
【審査官】 佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−097429(JP,A)
【文献】 特表2015−503669(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0232776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00−65/48
C08G 18/00−18/87
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーポリオール組成物であって、
(i)以下の構造によって表される化合物の1つ以上を含むアミノエチルピペラジン(AEP)の重合の反応生成物(複数可)であるポリアミン開始剤組成物と、
【化1】

(式中、nは1〜10である)
【化2】

式中、nは0〜10であり、oは1〜10であるが、但し、n+oは10以下である)
【化3】

(ii)構造VIを有する少なくとも1つのエポキシド化合物、
【化4】

もしくは
構造VIIを有する少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、
【化5】

またはそれらの組み合わせ
(式中、Rは、水素、フェニル、シクロヘキシル、またはC−C18直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり、
は、水素、フェニル、C−C直鎖もしくは分枝鎖アルキル置換フェニル、またはC−C18直鎖もしくは分枝鎖アルキルである)との反応生成物(複数可)を含む、ポリマーポリオール組成物。
【請求項2】
前記エポキシド化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはそれらの混合物である、請求項1に記載のポリマーポリオール組成物。
【請求項3】
以下の構造を有するポリマーポリオールを含み、
【化6】

式中、Rはエチレンであり、Rはプロピレンであり、RはH、エチル、またはプロピルであり、nは1〜10であり、
k、l、m、p、rおよびsは、独立して0〜100であり、
kおよびlの両方が1以上であり、かつ/またはmおよびpの両方が1以上であり、かつ/またはrおよびsの両方が1以上である、請求項2に記載のポリマーポリオール組成物。
【請求項4】
チレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含む各コポリマー構造はブロックまたはランダムである、請求項3に記載のポリマーポリオール組成物。
【請求項5】
ポリウレタンポリマーを作製するためのプロセスであって、
(A)請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマーポリオール組成物を含むポリマーポリオール配合物と、
(B)少なくとも1つの有機イソシアネートと、
(C)任意選択的に、発泡剤と、
(D)任意選択的に、ポリウレタンポリマーの製造のためのそれ自体が既知である添加剤または助剤と、を含む混合物の反応によってポリウレタンポリマーを作製するためのプロセス。
【請求項6】
前記反応が発泡剤の存在下で起こり、前記ポリウレタンポリマーがポリウレタンフォームの形態で製造される、請求項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンポリマー、特にポリウレタンフォームを作製するのに有用な、新規第三級アミン組成物、それから作製される開始剤、およびそれから作製されるポリマーポリオール組成物に関し、該ポリウレタンポリマーフォームは、機械的特性、物理的特性、および少ない揮発性有機化合物排出量の良好なバランスを示す。
【背景技術】
【0002】
アルキレンオキシドの重合に基づくポリエーテルポリオール、および/またはポリエステルポリオールは、イソシアネートとともにポリウレタン系の主な構成成分である。ポリオールはまた、SAN(スチレン/アクリロニトリル)、PIPA(ポリイソシアネート重付加)またはPHD(ポリ尿素)ポリオール等の充填ポリオールであってもよい。これらの系は、通常、例えば、発泡剤、架橋剤、鎖延長剤、界面活性剤、気泡調整剤、安定剤、酸化防止剤、難燃添加剤、最後に充填剤、ならびに、典型的には第三級アミンおよび/または有機金属塩等の触媒等の追加の構成成分を含有する。
【0003】
第三級アミン触媒は、通常、強い臭気を有し、それらの低分子量に起因して多くは高度に揮発性である。フォーム加工中の第三級アミンの放出は、安全性および毒性の懸念を提起する可能性があり、顧客による取り扱い中の残留アミンの放出は望ましくない。ポリウレタン製品中の第三級アミン触媒蒸気の放出は、それに曝露されるビニルフィルムおよびポリカーボネートシートに有害であることも報告されている。揮散性アミンはまた、曇りの問題、すなわち自動車のフロントガラス上の固体または液膜の堆積にも関連している。
【0004】
このアミン成分の揮発性を制限すること、またはポリウレタン配合物におけるその使用量を減少することが望ましい。揮発性有機化合物(VOC)の削減に加えて、揮発性を低下させること、またはアミン使用量を削減することにより、労働者の曝露を低減し、安全性を向上させ、品質の問題に対処することができる。
【0005】
第三級アミン基を有する化合物は、ウレタン反応に有用な触媒であることが知られている。時に自己触媒性ポリオールと称されるある特定のポリオールは、ウレタン反応系の反応性を依然として維持しながら、ポリウレタン用の配合物中の典型的な第三級アミン触媒の必要性を低減または排除することができる第三級アミン基を含有する。さらに、そのようなポリオール化合物中の複数の第三級アミン基の存在は、例えば、ポリウレタンゲル反応または発泡架橋反応の間に、それが化学的に結合することを可能にする。得られる生成物は、揮発性アミン排出物を実質的に含まないことができる。しかしながら、多くのそのような自己触媒性ポリオールは、単独で使用される場合、最適な発泡:ゲル化の比を提供しないため、それから作製されるポリウレタンポリマーは、不適切な加工性、物理的特性および/または機械的特性を示す可能性がある。例えば、従来の揮散型アミン触媒の添加が特性を改善し得ることを提案する米国特許公開第2009/0227695号を参照されたい。しかしながら、そのようなアプローチは、排出生成物の増加をもたらす。
【0006】
したがって、ウレタン用途、特にポリウレタンフォーム用途には、使用される揮散性第三級アミン触媒の量および揮発性アミン排出量の両方を低減または排除する一方で、良好な発泡:ゲル化の比を提供し、そうすることで、それから製造されるポリウレタンポリマーに良好なポリウレタン加工性、物理的特性、および機械的特性を提供する複数の第三級アミン基を有する組成物からポリマーポリオール化合物を製造することができる必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、(i)以下の構造によって表される化合物の1つ以上を含むアミノエチルピペラジン(AEP)の重合の反応生成物(複数可)であるポリアミン開始剤組成物
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、nは1〜10であり、
【0010】
【化2】
【0011】
式中、nは0〜10であり、oは1〜10であるが、但し、n+mは10以下である)と、
【0012】
【化3】
【0013】
(ii)構造VIを有する少なくとも1つのエポキシド化合物、
【0014】
【化4】
【0015】
または構造VIIを有する少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、
【0016】
【化5】
【0017】
またはそれらの組み合わせ(式中、Rは、水素、フェニル、シクロヘキシル、またはC−C18直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり、Rは、水素、フェニル、C−C直鎖もしくは分枝鎖アルキル置換フェニル、またはC−C18直鎖もしくは分枝鎖アルキルである)との反応生成物を含む、そのようなポリマーポリオール組成物を対象とする。
【0018】
本発明の一実施形態は、(A)本明細書中上記したポリマーポリオール組成物を含むポリマーポリオール配合物と、(B)少なくとも1つの有機イソシアネートと、(C)任意選択的に、発泡剤と、(D)任意選択的に、ポリウレタンポリマーの製造のためのそれ自体が既知である添加剤または助剤と、を含む混合物の反応によってポリウレタンポリマーを作製するためのプロセスである。
【0019】
本発明の別の実施形態は、反応が発泡剤の存在下で起こり、ポリウレタンポリマーがポリウレタンフォームの形態で製造される、本明細書中上記したプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、ポリエーテルポリオールおよびそれから作製されるポリウレタンポリマーの製造のための新規ポリアミン開始剤組成物を開示する。
【0021】
通常、本発明のポリアミン開始剤組成物は、以下のスキーム1に示すように、アミノエチルピペラジン(AEP、I)重合の反応生成物(複数可)である。
【0022】
【化6】
【0023】
AEPの重合の別の反応生成物は、スキーム2に示すように、AEPおよびその二量体、ビス(2−(ピペラジン−1−イル)エチル)アミン(BPEA、IV)を含むポリマーである。
【0024】
【化7】
【0025】
AEP重合の別の反応生成物は、スキーム3に示すように、AEP(V)の三量体である。
【0026】
【化8】
【0027】
ポリアミンを作製する方法は既知であり、例えば、USP9,000,217および米国特許公開第2013/0231476号を参照されたく、各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明のポリアミンは、3つ以上の炭素間隔(C以上の間隔)により互いに分離された少なくとも2つの非第三級アミン基を有するジアミン化合物を、水素/脱水素化触媒の存在下でアミノ基転移反応に供し、1つ以上の窒素原子を有する線状高分子量ポリアミン化合物の混合物を得ることによって作製される(スキーム1)。わずかながら、分岐および/または環状の高分子量ポリアミン化合物も同様に製造することができる。
【0028】
アミノ基転移は、様々な方法で行うことができる。好ましい実施様式によれば、反応物が組み合わされ、アミノ基転移反応を引き起こすのに有効な温度および圧力条件下で、好適な触媒の存在下で、好適な反応器容積で反応させられる。
【0029】
本発明の方法は、任意の好適な反応器で実施することができる。これらには、バッチ反応器、連続固定床反応器、スラリー床反応器、流動床反応器、触媒蒸留反応器、これらの組み合わせ等が含まれる。
【0030】
本発明に用いられる触媒材料は、水素化/脱水素化触媒を含む。有用な触媒は、ニッケル(ラネーニッケルおよび漆原ニッケル等)、レニウム、コバルト、銅、およびそれらの混合物に基づく触媒である。特に有用な触媒は、ニッケル/レニウムおよびニッケル/コバルトを含む。最も好ましい触媒は、ニッケル(Ni)およびレニウム(Re)を含む。不均一系触媒がニッケルおよびレニウムを組み込む好ましい実施形態において、有用な担体はアルミナ−シリカ粒子からなる。そのような触媒、およびそのような担体上にそのような不均一系触媒を作製する方法は、USP8,293,676、8,187,997、および6,534,441に記載されており、各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
触媒は、不均一系、均一系であってもよいか、またはそれらの組み合わせが使用されてもよい。不均一系触媒が好ましい。しばしば、不均一系触媒は、好適な基材上に担持された1つ以上の触媒材料を含む。基材は、例えば、粉末、粒子、ペレット、顆粒、押出物、繊維、シェル、ハニカム、プレート等の種々の形状または組み合わせで使用され得る。粒子は、規則的、不規則的、樹枝状、デンドライトフリー等であってもよい。好ましい担体は、本質的に微粒子であるか、または粉末である。本発明の実施における好適な担体は、炭素質材料、シリカ質材料(シリカ等)、金属酸化物等の金属化合物、これらの組み合わせ等を含む。代表的な金属酸化物として、マグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、鉄、スズ、アンチモン、バリウム、ランタン、ハフニウム、タリウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、および白金のうちの1つ以上の酸化物が挙げられる。
【0032】
アミノ基転移を用いて高分子量ポリアミンを形成する際に使用される触媒の量は、所望の非環式ポリアミンを製造するのに有効な任意の量である。バッチ条件の場合、触媒の量は、所望のトリアミンを形成するための反応物(複数可)100重量部当たり約0.1〜約20重量パーセント、好ましくは1〜15重量パーセントの触媒の範囲内であり得る。連続プロセスにおいて、典型的な戦略は、反応物の流れを不均一系触媒粒子の床に接触させることを含む。そのような場合、生産性および選択性等の因子のバランスをとるために空間速度(通常、gmol/(kg触媒/時間)の単位で表される)を調整することができる。
【0033】
アミノ基転移のための反応混合物は、所望の非環式ポリアミンを生成するための任意の好適な温度(複数可)で触媒と接触させることができる。典型的には、温度は、約350℃未満、好ましくは300℃未満に維持される。好ましい温度は、アミノ基転移の場合、約130℃〜約200℃の範囲内である。好ましい温度範囲よりも低いと、非環式ポリアミンへの転化は、商業規模の生産に実用的であるには遅すぎる可能性がある。好ましい温度範囲よりも高いと、選択性が過度に低下する可能性があり、副生成物の収率が増加する。場合によっては、そのような副生成物は商業的価値を有し、結果として望ましい場合がある。他の例において、副生成物は、実際問題として不純物を構成する。
【0034】
同様に、アミノ基転移のための反応混合物は、所望の高分子量ポリアミンを生成するための反応を促進する任意の好適な圧力(複数可)で触媒と接触させることができる。好ましくは、圧力は、反応が進行するにつれて反応器内容物を液体状態に維持するのに十分である。多くの場合、圧力は反応が進行するにつれて変化する。例えば、アンモニアは、典型的なアミノ基転移プロセスの副生成物である。アンモニアの生成は、圧力密封反応器内で反応が進行するにつれて、通常、圧力を上昇させる。圧力を所望の閾値未満に維持するために、アンモニアおよび/または他の圧力を増大させる生成物を反応器から除去することができる。典型的には、圧力は、少なくとも200psi、好ましくは少なくとも1000psi、好ましくは1500psi未満である。これらのガイドライン内で、圧力は、典型的には、約100psi〜1500psi、好ましくは200psi〜1500psi、より好ましくは300psi〜1000psiの範囲内である。アミノ基転移のためには、400psi〜約1000psiの範囲内の圧力が好ましい。
【0035】
本明細書中上記したポリアミン化合物は、本発明のポリアミン開始剤組成物としての使用に適している。該ポリアミン開始剤組成物は、ポリオール化合物を含むポリマーポリオール組成物を調製するために使用されてもよい。ポリアミン開始剤組成物は、製造されたままで、換言すると、特定の反応生成物のいずれの精製もしくは単離を行わずに、および/または未反応の出発材料もしくは副生成物の回収を行わずに、ポリマーポリオール組成物を調製するために使用されてもよい。あるいは、未反応の出発材料および/もしくは望ましくない副生成物がポリアミン開始剤組成物から除去されてもよく、かつ/または特定の反応生成物が反応生成物混合物から単離されてもよい。特定の反応生成物が所望される場合、それらは、例えば蒸留または抽出によって、単離および/またはさらに精製されてもよい。
【0036】
本発明のポリアミン開始剤組成物は、5,000以下、好ましくは2,500以下、より好ましくは1,000以下、さらにより好ましくは500以下の平均重量平均分子量(Mw)を有するのが好ましい。上記開始剤組成物は、100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上のMwを有するのが好ましい。本開示によるMwデータは、ゲル透過クロマトグラフィーによって決定することができる。
【0037】
上記開始剤組成物は、30以上、好ましくは40以上、より好ましくは50以上、さらにより好ましくは60以上の平均ヒドロキシル価(mg KOH/gとして報告される)を有するのが好ましい。上記開始剤組成物は、90以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下の平均ヒドロキシル価を有するのが好ましい。ヒドロキシル価は、ASTM D4274Dによって測定される。
【0038】
ポリアミン開始剤組成物は、ポリマーポリオール化合物を含む新規ポリマーポリオール組成物を製造するのに有用である。第1の高分子ポリマー組成物は、本明細書中上記した開始剤組成物(II)と、構造VIを有する少なくとも1つのエポキシド化合物、
【0039】
【化9】
【0040】
または
構造VIIを有する少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、
【0041】
【化10】
【0042】
またはそれらの組み合わせとの反応生成物(複数可)であり、
式中、Rは、水素、フェニル、シクロヘキシル、またはC−C18直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり、
は、水素、フェニル、C−C直鎖もしくは分岐鎖アルキル置換フェニル、またはC−C18直鎖もしくは分岐鎖アルキルである。
【0043】
構造VIにおいて、Rは、水素、フェニル、シクロヘキシル、またはC−C18直鎖または分岐鎖アルキルであり得る。本発明の一態様によれば、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、またはオクタデシルである。別の態様において、Rは、水素、フェニル、またはシクロヘキシルであり得る。さらに別の態様において、Rは、水素、メチル、またはフェニルである。この態様において、Rが水素、メチル、ブチル、またはフェニルである場合、構造VIのエポキシド化合物は、それぞれ、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはスチレンオキシドである。
【0044】
構造VIIにおいて、Rは、水素、フェニル、C−C直鎖もしくは分枝鎖アルキル置換フェニル、またはC−C18直鎖もしくは分枝鎖アルキルであり得る。例えば、Rは、本発明の一態様において、水素、フェニル、またはC−C直鎖もしくは分枝鎖アルキル置換フェニルであり得る。Rは、本発明の別の態様において、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、またはオクタデシルである。さらに、Rは、本発明のさらに別の態様において、フェニルまたはブチル置換フェニルであり得る。
【0045】
一実施形態において、本発明のポリマーポリオール組成物は、AEP(II)とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの反応生成物を含み、
【0046】
【化11】
【0047】
式中、Rはエチレンであり、Rはプロピレンであり、RはH、エチル、またはプロピルであり、nは1〜10であり、
k、l、m、p、rおよびsは、独立して0〜100、好ましくは15〜100である。
【0048】
kおよびlの両方が1以上であり、かつ/またはmおよびpの両方が1以上であり、かつ/またはrおよびsの両方が1以上である実施形態において、エチレンオキシドおよびはプロピレンオキシドを含む各コポリマー構造はブロックまたはランダムであってもよい。
【0049】
本発明のポリマーポリオール組成物は、10,000以下、好ましくは8,000以下、さらにより好ましくは6,000以下のMwを有することが好ましい。上記で得られるポリマーポリオール組成物は、500以上、好ましくは2500以上、より好ましくは5,000以上のMwを有することが好ましい。
【0050】
本発明の一態様によれば、本明細書中上記したポリマーポリオール組成物は、90mg KOH/g以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下、好ましくは60以下、さらに好ましくは50mg KOH/g以下のヒドロキシル価を有する。本明細書中上記で開示した得られるポリマーポリオール組成物は、20mg KOH/g以上、好ましくは30以上、より好ましくは40mg KOH/g以上のヒドロキシル価を有する。ヒドロキシル価は、ASTM D 4274に従って決定される。
【0051】
本発明の別の態様において、本明細書の上記ポリマーポリオール組成物は、12以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらにより好ましくは4以下の平均官能価(F)を有する。好ましくは、上記ポリマーポリオール組成物は、1以上、より好ましくは3以上の平均官能価を有する。
【0052】
本発明のポリマーポリオール組成物は、窒素含有量によっても特徴付けることができる。例えば、本明細書中上記で開示したポリマーポリオール組成物のアミン価は、3mg/g KOH/g以下、好ましくは2以下、より好ましくは1以下、より好ましくは0.5mg KOH/g以下である。窒素含有量は、ASTM D 6979に従って決定され、窒素のパーセントとして報告される。
【0053】
ポリマーポリオール組成物を作製することは、当該技術分野において周知であり、上記開始剤IIからポリマーポリオール組成物を作製するための任意の好適なプロセスが許容される。例えば、開始剤IIを触媒と混合し、次いでこの混合物をエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと約100℃〜160℃の範囲内の温度で反応させることができる。この反応に使用され、当業者に既知である従来の触媒はKOHである。Ba(バリウム)またはSr(ストロンチウム)ベースの他のアルカリ水酸化物または水酸化物水和物触媒が、アルコキシル化触媒として用いられ得、従来のKOH触媒を使用して生成されるものよりも不飽和度の低い生成物を生成する。BaまたはSr触媒を用いてポリオールを製造するためのプロセスは、USP5,070,125、5,010,187、および5,114,619に記載されており、それらの開示は、参照によりその全体が組み込まれる。高レベルの不飽和度は、特に高い当量のポリオールを用いると、ポリウレタンフォーム製造において連鎖停止剤として作用し、例えば、圧縮強度が不十分であり、引張強度が不十分であり、反応性が低く、湿潤条件下での老化性能が低いフォームを生じさせる。BaおよびSr触媒はまた、使用されるエチレンオキシドと同じ重量パーセントに対して第一級ヒドロキシルキャッピング効率の改善を提供する。Ba触媒またはSr触媒を使用する場合、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと開始剤との反応中に水を添加することができる。この水の添加は、最終ポリオール生成物中の不飽和の量を減少させることができる。ポリオールを製造するために使用され得る別の触媒は、複金属シアン化物(DMC)触媒であり、KOHを使用して達成されものとは異なるポリマーポリオール組成物の分子量分布を提供し得る。複金属シアン化物触媒の例は、USP5,470,813、5,589,431、および6,008,263に記載されており、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
我々は、本発明のポリアミン開始剤組成物に基づく1つ以上のポリマーポリオール組成物を含むポリマーポリオール組成物が、ポリウレタンポリマー、特に、良好な加工性、良好な機械的特性、良好な物理的性質を有し、かつ少ない排出生成物を有するポリウレタンフォームポリマーを作製するのに特に有用であることを見出した。さらに、我々は、本発明のポリアミン開始剤組成物に基づく1つ以上の第1のポリマーポリオール組成物と、本発明のポリアミン開始剤組成物に基づく第1のポリオール組成物とは異なる、第2の開始剤に基づく1つ以上の追加のポリマーポリオール組成物とを含むポリマーポリオール配合物が、ポリウレタンポリマー、特に、良好な機械的特性、良好な物理的特性を有し、かつ少ない排出生成物を有するポリウレタンフォームポリマーを作製するのに特に有用であることを見出した。
【0055】
ポリオール配合物において、1つより多くのポリマーポリオール組成物が使用される場合、第1のポリマーポリオール組成物と少なくとも1つの第2のポリオールとの重量比は、50:1〜1:5,000の範囲であり得る。他の態様において、ポリオール配合物中の第1のポリマーポリオール組成物と少なくとも1つの第2のポリオールとの重量比は、10:1〜1:1,000、5:1〜1:500、または4:1〜1:250の範囲であり得る。さらに、他の態様において、第1のポリマーポリオール組成物と少なくとも1つの第2のポリオールとの重量比は、3:1〜1:100、または2:1〜1:50の範囲内である。
【0056】
組成物および方法は、種々の構成要素またはステップを「含む」という観点で記載されているが、組成物および方法は、種々の構成要素またはステップ「から本質的になる」または「からなる」こともできる。
【0057】
通常、ポリウレタンフォーム触媒系は、発泡(水−イソシアネート)およびゲル化(ポリオール−イソシアネート)反応の両方を加速させる化合物を含む。許容可能な特性を有する高品質なフォームを製造するために、これらの反応のバランスをとることが有益である。本発明の組成物および配合物は、発泡およびゲル化反応の両方を加速させるが、それらを適当なバランスに保つ単一の化合物を含むことができる。あるいは、本組成物は、発泡反応を主に加速させる少なくとも1つの触媒(発泡触媒)、またはゲル化反応を主に加速させる少なくとも1つの触媒(ゲル化触媒)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書に記載されるように、発泡触媒は、発泡反応を主に加速させる触媒であるが、ある特定の状況下では、程度はより低いものの、ゲル化反応を加速させることもできる。同様に、ゲル化触媒は、ゲル化反応を主に加速させる触媒であるが、ある特定の状況下では、程度はより低いものの、発泡反応を加速させることもできる。驚くべきことに、本発明者らは、本発明のポリアミン開始剤組成物に基づく1つ以上のポリマーポリオール組成物を含むポリマーポリオール配合物が、良好な発泡:ゲル化の比を提供し、そのため、該ポリマーポリオールの混合物から作製されるポリウレタンポリマー、特にポリウレタンフォームポリマーが、非常に良好な機械的特性および物理的特性を有し、低レベルの排出生成物を示すことを見出した。
【0058】
本発明のポリマーポリオール組成物中の複数の第三級アミン基の存在は、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーフォームを配合する際に、従来の揮散性ウレタン触媒を含める必要性を低減または排除することができる。しかしながら、本発明の他の態様において、従来のウレタン触媒が、そのようなポリマーポリオール組成物とともに、組成物または配合物中に用いられ得る。
【0059】
本明細書中上記に開示されるポリマーポリオール組成物に加えて、1つ以上の追加のポリオールが、本発明のポリウレタンポリマーの作製に使用するためのポリマーポリオール配合物中に使用されてもよい。本明細書で使用される場合、ポリオールという用語は、イソシアネートと反応を起こすことができる活性水素原子を含有する少なくとも1つの基を有する材料である。そのような化合物の中で好ましいのは、1分子当たり、少なくとも2つのヒドロキシル、第一級もしくは第二級、または少なくとも2つのアミン、第一級もしくは第二級カルボン酸、またはチオール基を有する材料である。1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基または少なくとも2つのアミン基を有する化合物は、ポリイソシアネートとのそれらの望ましい反応性に起因して特に好ましい。
【0060】
本発明のポリウレタンフォームを製造するために使用され得る好適なポリオールは、当該技術分野において周知であり、本明細書に記載のポリオール、ならびに任意の他の市販のポリオールおよび/またはSAN、PIPAもしくはPHDコポリマーポリオールを含む。そのようなポリオールは、G.Oertel,Hanser publishersによる「Polyurethane Handbook」に記載されている。1つ以上のポリオールおよび/または1つ以上のコポリマーポリオールの混合物もまた、本発明によるポリウレタン製品を製造するために使用され得る。
【0061】
代表的なポリオールとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、ヒドロキシル末端アミン、およびポリアミンが挙げられる。天然油系ポリオールも使用され得る。これらおよび他の好適なイソシアネート反応性材料の例は、USP4,394,491により詳細に記載されている。使用され得る別のポリオールとして、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールおよびポリリン酸系ポリオールが挙げられる。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはそれらの組み合わせ等のアルキレンオキシドを、開始剤または開始剤のブレンドに添加し、最終ポリオールに2〜8個、好ましくは2〜6個の活性、より好ましくは2.1〜4個の活性水素原子を有する公称官能価を付与することによって調製されるポリオールが好ましい。この重合のための触媒作用は、KOH、CsOH、三フッ化ホウ素等の触媒、またはヘキサシアノコバルト酸亜鉛等の複金属シアン化物(DMC)触媒、または四級ホスファゼニウム化合物を用いてアニオン性またはカチオン性のいずれかであり得る。アルカリ触媒の場合、これらは、合体、ケイ酸マグネシウム(マグシル)分離、イオン交換等の適切な仕上げステップによって、またはあまり好ましくはないが酸中和によって、製造終了時にポリオールから除去される。DMC触媒生成ポリオールの場合、仕上げステップは回避され得る。
【0062】
用いられるポリオールまたはそのブレンドは、製造されるポリウレタンフォームの最終用途に依存する。用いられる単数または複数のポリオールのヒドロキシル価および分子量は、それに応じて広範囲にわたって異なり得る。一般に、可撓性または粘弾性フォームの製造に使用するために用いられるポリオールのヒドロキシル価は、15〜300の範囲であり得る。
【0063】
可撓性ポリウレタンフォームの製造において、ポリオールは、好ましくはポリエーテルポリオールおよび/もしくはポリエステルポリオールまたはポリエーテルエステルポリオールである。ポリオールは、通常、2〜5、好ましくは2〜4の範囲の平均官能価、および15〜300mg KOH/g、好ましくは20〜200、より好ましくは20〜70mg KOH/gの範囲の平均ヒドロキシル価を有する。さらなる詳細として、特定のフォーム用途も同様にベースポリオールの選択に影響を及ぼす。一例として、成形フォームの場合、ベースポリオールのヒドロキシル価は、エチレンオキシド(EO)でキャップされて約20〜60であり得、スラブストックフォームの場合、ヒドロキシル価は約25〜75であり得、混合供給EO/PO(プロピレンオキシド)であるか、またはEOでわずかにキャップされているのみであるか、または100%POベースであるかのいずれかである。
【0064】
粘弾性フォームの製造において、可撓性フォームの場合の官能価を有するポリオールが使用され得るが、ポリオールまたはポリオールブレンドは、好ましくは150〜300mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリオールを含有する。半硬質フォームまたは微細セルエラストマーの製造には、30〜80のヒドロキシル価を有する三官能性ポリオールを使用することが好ましい。
【0065】
本発明で使用され得るイソシアネートとして、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族および芳香族イソシアネートが挙げられる。スラブストックフォームの製造には、芳香族イソシアネートが好ましい。
【0066】
好適な芳香族イソシアネートの例として、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’−、2,4’および2,2’−異性体、それらのブレンド、ならびにポリマー性およびモノマー性のMDIブレンドであるトルエン−2,4−および2,6−ジイソシアネート(TDI)、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネートおよびジフェニルエーテルジイソシアネートおよび2,4,6−トリイソシアナトトルエンおよび2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルが挙げられる。
【0067】
市販されているトルエンジイソシアネートの2,4−および2,6−異性体の混合物等のイソシアネートの混合物が使用されてもよい。トルエンジアミンの混合物のホスゲン化によって得られる粗トルエンジイソシアネート、または粗メチレンジフェニルアミンのホスゲン化によって得られる粗ジフェニルメタンジイソシアネート等の粗ポリイソシアネートもまた、本発明の実施に使用され得る。TDI/MDIブレンドもまた、使用され得る。開始剤(I)を含むポリマーポリオール組成物、および/もしくは開始剤(XII)を含むポリマーポリオール組成物、または前述の任意の他のポリオールのいずれかを用いて作製される、MDIまたはTDIベースのプレポリマーも使用することができる。イソシアネート末端プレポリマーは、過剰なポリイソシアネートを、アミノ化ポリオールもしくはそのイミン/エナミン、またはポリアミンを含むポリオールと反応させることによって調製される。
【0068】
脂肪族ポリイソシアネートの例として、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、上記芳香族イソシアネートの飽和類似体およびそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
可撓性フォームの製造の場合、好ましいポリイソシアネートは、トルエン−2,4−および2,6−ジイソシアネート、またはMDI、またはTDI/MDIの組合せ、またはこれらから作製されるプレポリマーである。
【0070】
ポリウレタン系フォームの製造には、通常、発泡剤が必要である。可撓性ポリウレタンフォームの製造において、水が発泡剤として好ましい。水の量は、好ましくはポリオール100重量部に基づいて0.5〜10重量部、より好ましくは2〜7重量部の範囲内であり、さらにより好ましくは、水はポリオール100部当たり2〜5部である。いくつかの用途において、水は、好ましくは3重量部のポリオール中に存在する。いくつかの好ましい実施形態では、水は、ポリオールの6重量部以下で存在する。水が3部未満で存在する場合、その系の反応性を高めるために小さな従来のアミン触媒を使用することができる。そのような配合物に含まれる従来のアミン触媒の量は、通常、ポリオールの0.01〜0.1重量パーセントである。揮発性アミンのレベルをさらに低下させるために、そのような触媒はポリオールの0.05重量パーセント未満として使用される。好ましくはないが、他の発泡剤は、液体または気体の二酸化炭素、塩化メチレン、アセトン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、メチラールまたはジメトキシメタン、炭酸ジメチルであり得る。US5,194,453に開示されているような、人為的に低下もしくは上昇させた大気圧、または起泡の使用も本発明によって企図され得る。
【0071】
上述の重要な構成成分に加えて、ポリウレタンポリマーを調製する際にある特定の他の構成成分を用いることがしばしば望ましい。これらの追加成分の中には、触媒、界面活性剤、防腐剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、補強剤、安定剤および充填剤、再生ポリウレタン粉末がある。
【0072】
ポリオールとポリイソシアネートとの反応のために1つ以上の触媒を使用することができる。第三級アミン化合物、イソシアネート反応器を有するアミン、および有機金属化合物を含む任意の好適なウレタン触媒が使用され得る。好ましくは、反応は、アミンもしくは有機金属触媒の非存在下で、または上記のように減少した量で実施される。例示的な第三級アミン触媒として、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N−ココモルホリン、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン、N、N−ジメチル−N’、N’−ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N、N−ジエチル−3−ジエチルアミノプロピルアミンおよびジメチルベンジルアミンが挙げられる。例示的な有機金属触媒として、有機水銀、有機鉛、有機第二鉄および有機スズ触媒が挙げられ、これらの中では有機スズ触媒が好ましい。好適なスズ触媒として、塩化第一スズ、ジブチルスズジラウレート等のカルボン酸のスズ塩、および米国特許第2,846,408号に開示されているような他の有機金属化合物が挙げられる。アルカリ金属アルコキシド等のポリイソシアヌレートをもたらすポリイソシアネートの三量化のための触媒もまた、本明細書において任意選択的に用いられ得る。アミン触媒の量は、配合物中0.02〜5パーセントと異なってもよいか、または配合物中0.001〜1パーセントの有機金属触媒が使用され得る。
【0073】
本発明の好ましい一実施形態において、フォームは、スズ触媒を含む触媒パッケージを用いて製造される。好ましくは、そのような配合物は、従来のアミン触媒を含有しない。
【0074】
ポリウレタンフォームを作製する際、通常、発泡反応混合物が硬化するまでそれを安定させるために、ある量の界面活性剤を用いることが好ましい。そのような界面活性剤は、有利には、液体または固体の有機シリコーン界面活性剤を含む。他の界面活性剤として、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステルおよびアルキルアリールスルホン酸の第三級アミンまたはアルカノールアミン塩が挙げられる。そのような界面活性剤は、発泡反応混合物を崩壊および大きく不均一な気泡の形成に対して安定させるのに十分な量で用いられる。典型的には、全ポリオール(b)100重量部当たり0.2〜3部の界面活性剤が、このためには十分である。
【0075】
必要に応じて、架橋剤または鎖延長剤が添加されてもよい。架橋剤または鎖延長剤として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、およびグリセリン等の低分子量多価アルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子量アミンポリオール、エチレンジアミン、キシレンジアミン、およびメチレン−ビス(o−クロロアニリン)等のポリアミンが挙げられる。そのような架橋剤または連鎖延長剤の使用は、米国特許第4,863,979号、同第4,883,825号および同第4,963,399号ならびにEP549,120に開示されているように、当該技術分野において既知である。
【0076】
輸送に使用するためのフォームを調製する場合、時に難燃剤が添加剤として含まれる。任意の既知の液体または固体の難燃剤が、本発明の自己触媒性ポリオールとともに使用され得る。通常、そのような難燃剤は、ハロゲン置換ホスフェートおよび無機防炎加工剤である。一般的なハロゲン置換ホスフェートは、トリクレジルホスフェート、トリス(1,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートおよびテトラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェートである。無機難燃剤として、赤リン、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、硫酸アンモニウム、膨張黒鉛、尿素もしくはメラミンシアヌレート、または少なくとも2つの難燃剤の混合物が含まれる。一般に、存在する場合、難燃剤は、存在する全ポリオールの100重量部当たり難燃剤の5〜50重量部、好ましくは5〜25重量部のレベルで添加される。
【0077】
ポリウレタンフォーム形成組成物中に使用される特定のポリオール、ポリオール混合物、およびポリオール量は、所望のポリウレタンフォームの特性および/またはフォーム製品の特定の最終用途等の因子に基づいて選択することができる。分子量またはヒドロキシル価等のポリオールの特性は、低密度、高密度フォーム、従来型、高弾性、高温成形、冷間成形、可撓性、および硬質、ならびにそれらの所望の組み合わせから選択される発泡特徴を提供するように選択することができる。多くの用途または発泡特性の場合、ポリオールのヒドロキシル価は、約15〜約800の範囲内である。
【0078】
可撓性ポリウレタンフォームの製造のための組成物は、典型的には、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールを含む。ポリオールは、通常、2〜5、好ましくは2〜4の範囲の平均官能価、および20〜100mg KOH/g、好ましくは20〜75mg KOH/gの範囲の平均ヒドロキシル価を有する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUSP7,361,695を参照のこと)。
【0079】
成形フォームの場合、ベースポリオールのヒドロキシル価は、エチレンオキシド(EO)でキャップされて約20〜約60の範囲内であり得、スラブストックフォームの場合、ヒドロキシル価は、約25〜約75の範囲内であり得る(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUSP7,361,695を参照のこと)。
【0080】
ポリウレタンフォーム製品を製造するための方法は、当該技術分野において周知である。一般に、ポリウレタン形成反応混合物の構成成分は、例えば、G.Oertel,Hanser publisherによるPolyurethane Handbook等の従来技術に記載される混合機器のいずれかを使用することによって、任意の従来の様式で一緒に混合され得る。
【0081】
ポリウレタン製品は、射出、注入、噴霧、鋳造、カレンダー成形等によって、連続的または不連続的に製造することができる。フォームは、フリーライズもしくは成形条件下で、大気圧、減圧もしくは空気圧で、離型剤を用いてもしくは用いずに、インモールドコーティング、または金型内に入れられた任意のインサートもしくはスキンを用いて、作製することができる。可撓性成形フォームは、単一硬度または二重硬度であり得る。
【0082】
例えば、本発明のポリウレタンポリマーは、開始剤IIを含むポリマーポリオール組成物と、少なくとも1つの有機イソシアネートと、任意選択的に発泡剤と、任意選択的に、ポリウレタンポリマーの製造のためのそれ自体が既知である添加剤または助剤(例えば、触媒、界面活性剤、防腐剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、補強剤、安定剤、充填剤、および再生ポリウレタン粉末)とを含む混合物の反応によって作製されてもよい。
【0083】
スラブストックフォームは、発泡成分を混合し、それらをトラフまたは他の領域内に分配することにより好都合に調製され、そこで反応混合物が反応し、(時にフィルムまたは他の可撓性カバーの下で)大気に対して自由に上昇し、硬化する。一般的な商業規模のスラブストックフォームの製造において、発泡成分(またはそれらの種々の混合物)は、混合ヘッドに独立してポンプ輸送され、それらがそこで混合され、紙またはプラスチックで裏打ちされたコンベヤ上に分配される。コンベヤ上で発泡および硬化が起こり、フォーム塊を形成する。得られるフォームは、典型的には約10kg/m〜最大80kg/mである。好ましい範囲は10kg/m〜70kg/mであり、より好ましくは10kg/m〜60kg/mの密度である。さらにより好ましい実施形態において、スラブストックフォームは40kg/m以下の密度を有する。
【0084】
好ましいスラブストックフォーム配合物は、大気圧で高当量ポリオール100重量部当たり使用される3〜6、好ましくは4〜5重量部の水を含む。低下または上昇した圧力では、標的とする密度を得るようにそれに応じてこれらのレベルが調節される、すなわち、減圧は、通常、密度を減少させる。
【0085】
本発明のポリマーポリオール組成物を使用して製造されるポリウレタンフォームは、本産業で既知の用途に使用することができる。例えば、可撓性、半可撓性のフォームは、シート、サンバイザ、アームレスト、ドアパネル、遮音および断熱部品、ダッシュボード、または計器パネル等の車両用途等の用途に使用される。フォームの例示的な配置は、カーペットの下もしくは車内の他の部分、またはエンジンコンパートメント等の場所を含む。本発明のフォームはまた、靴底、衣料品の芯地、家電製品、家具、および寝具等の多くの家庭用用途にも使用することができる。
【0086】
本発明のポリウレタンフォームは、任意選択的に、限定されないが、密度、押込力のたわみ(IFD)、たるみ係数、回復率、ガイド係数、圧縮荷重たわみ(CLD)、圧縮永久歪み率、引張強度、伸長、老化試験、および引裂強度を含む1つ以上のフォーム特性によって特徴付けられてもよい。
【0087】
密度は、単位体積当たりの重量(重量/体積)であり、典型的にはlbs/ft(pcf)またはg/Lで表される。例示的な密度は、約20g/L〜約80g/Lの範囲内であり、より具体的には約25g/L〜約32g/Lの範囲内である。
【0088】
ISO 3386/1規格によって測定されるような圧縮力たわみ(CFD)は、フォームの圧縮応力/歪み(荷重をある特定の圧縮率での試験片表面積で除したもの)の特徴を測定するように設計された試験規格である。CFDはまた、堅さの尺度でもあり、所与のパーセンテージのたわみで、平方インチ当たりのポンド(psi)で表される。例示的な密度は、約20g/L〜約80g/Lの範囲内であり、より具体的には約25g/L〜約32g/Lの範囲内である。
【0089】
ISO 1856規格によって測定されるような圧縮永久歪み率(CS)は、制御された期間および温度条件の間に2つの金属板の間で圧縮された後のフォームの永久変形の尺度である。標準的な条件は70℃(158°F)で22時間である。例示的な圧縮永久歪み値は、約1〜約20の範囲内であり、またはより具体的には約5〜約7の範囲内である。
【0090】
引張特性は、ISO 1798に従った尺度であり、引張強度は、フォームが引き離されるときにフォームのある領域を破断するのに必要な力の量であり、一般に、1平方インチ当たりのポンド(psi)で表される。フォーム組成物は、所望の引張強度または所望の範囲内の引張強度を有するフォームを提供するように調製することができる。
【0091】
ISO 1798規格によって測定されるような伸長は、フォームが破断する前にフォームが延伸され得る程度の尺度であり、元の長さのパーセンテージとして表される。引張強度が決定されるのと同時に伸長が測定されるため、サンプルサイズは同じである。例示的な伸長値は、約50〜約200の範囲内であり、またはより具体的には約110〜約130の範囲内である。
【0092】
ASTM D3574規格によって測定されるような引裂強度は、分割が開始された後にフォームの引裂を継続させるのに必要な力の尺度であり、リニアインチ当たりのポンド(pli)で表される。例示的な引裂強度は、約50〜約350の範囲内であり、またはより具体的には約195〜約230の範囲内である。
【0093】
排出量測定は、VDA278(Thermal Desorption Analysis of Organic Emissions for the Characterization of Non−Metallic Materials for Automobiles)の公式プロトコル−VOC値:揮発性有機化合物(90℃、30分)に従って行われ、排出限界値は、自動車の製造業者に依存し、例えば、VDA 278試験プロトコルに従うとDaimler社のVOCは≦100μg/gである。
【0094】
以下の実施例は、本発明を説明するために示されるのであって、決して限定的であると解釈されるべきではない。別段の記載がない限り、全ての部およびパーセンテージは重量で示される。
【実施例】
【0095】
オリゴマーアミノエチルピペラジン(AEP)の調製
AEPオリゴマーを作製するための反応は、1インチ連続充填床反応器中で行われる。反応管の長さは10フィートであり、約8フィートが固体触媒で充填される。反応器は直径1.5インチのSwagelokチューブに収容され、そこを通って伝熱流体が標準的な実験用加熱浴を介してポンプ輸送される。これは、反応のほぼ等温での操作を可能にする。反応管の温度監視のために、反応器床の内部には多点熱電対が存在する。温度および圧力は、反応器システム内の種々の点で監視される。AEP供給材料は、2本の500mlシリンジポンプを介して、流量計を通って反応器の底部にポンプ輸送され、ポンプは、連続した途切れのない流れを保証するために充填と空排出のサイクルを交互に繰り返す。水素ガスが反応器底部のAEP流に導入される。反応操作温度は140℃〜180℃の範囲であり、操作圧力は250〜800psigの範囲であった。反応器出口で、背圧調整器を使用して圧力を50〜150psigに下げ、生成物を中間タンクに送る。タイミングを合わせて生成物流からサンプルを採取することを可能にするサンプリングシステムが存在する。採取時間は供給流速に依存するが、通常は40〜60gの液体反応生成物の採取を可能にするために15〜30分の範囲内でサンプルが採取される。サンプリングシステムは、AEP反応混合物を収集するためのステンレスリザーバー、続いて小型のスクラバー、および湿式試験機からなる。これは、サンプリング中の供給流量、アンモニア生成、および水素流量の定量化を可能にする。
【0096】
連続反応器からの粗生成物は、39〜75%(重量基準)のAEP転化率で60〜88%のBPEA選択性(重量/重量)を有していた。この粗反応生成物を5フィートの蒸留塔を使用してさらに精製して44kgの98%BPEAをストリップし、11kgのより重いAEPオリゴマーまたは「重質分」(70〜95%の重質分)と、2kgの形質分除去BPEA(87〜92%のBPEA)とを得る。反応によって形成された生成物および副生成物の定量化および同定のために、ガスクロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィー−質量分析法の両方によって生成物混合物を分析する。この生成物混合物を実施例1および2に使用してポリマーポリオール組成物を製造する。
【0097】
ポリマーポリオールの調製
実施例1
5リットルのステンレススチール反応器中で、282gのAEPオリゴマーの粗反応生成物を140℃で加熱し、204gのプロピレンオキシドを30分以内に添加する。反応器を4時間放置して反応させる。水中29gのKOH溶液(45%)を供給し、1時間30分の間に水のストリッピングを実現する。120℃で、1215gのエチレンオキシドの前に2388gのプロピレンオキシドを徐々に供給する。最終生成物は、48.2mg KOH/gのOH価、25℃で1110cStの粘度および1.31meq/gの塩基価を有する。
【0098】
実施例2
5リットルのステンレススチール反応器中で、ビス(2−(ピペラジン−1−イル)エチル)アミン(BPEA)244gと混合した34gのAEPオリゴマーを140℃で加熱し、200gのプロピレンオキシドを30分以内に添加する。反応器を4時間放置して反応させる。水中29gのKOH溶液(45%)を供給し、2時間の間に水のストリッピングを実現する。120℃で、1215gのエチレンオキシドの前に2810gのプロピレンオキシドを徐々に供給する。最終生成物は、46.1mg KOH/gのOH価、25℃で988cStの粘度および1.29meq/gの塩基価を有する。
【0099】
実施例1および2のポリマーポリオール組成物を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
ポリウレタンフォームの調製
ポリウレタンフォームは、ハンドミキシングによりポリウレタン反応性混合物を分配することにより加工される(Herrington&et.al.,1997)。完全に配合されたポリオールおよびイソシアネート成分は、発泡試験前に25℃の温度で30分間別々にコンディショニングされる。2つの構成成分を、プロペラ羽根を装備した機械的オーバーヘッドスターラーを使用して、1200rpmの速度で12秒間、表2および表3に報告される必要な比で、金属カップ内で一緒に混合する。
【0102】
TDIを使用する実施例3〜8の組成を表2に示すが、別段の指定のない限り、成分は百分率(pph)で示される。次いで、液体混合物を直ちに0.5リットルの紙カップに注ぎ入れ、反応性および成長プロファイルをクリーム時間、ゲル化時間、および上昇時間により測定し、表2に報告する。
【0103】
MDIを使用する実施例9〜14の組成を表3に示すが、別段の指定のない限り、成分は百分率(pph)で示される。次いで、液体混合物を直ちに0.5リットルの紙カップに注ぎ入れ、反応性および成長プロファイルをクリーム時間、ゲル化時間、および上昇時間により測定し、表3に報告する。
【0104】
表2および表3中、
「NC 632」は、The Dow Chemical CompanyからSPECFLEX(商標)NC 632として入手可能な、グリセロールとソルビトールとのブレンドで開始される1,700当量の8つのポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。
「NC 700」は、The Dow Chemical CompanyからSPECFLEX(商標)NC 700として入手可能なTDIおよびMDI配合物のコポリマーポリオール(CPP)20mg/gのOH価を有する49%固形分である。
「SA 2306」は、The Dow Chemical CompanyからSPECFLEX Activ 2306として入手可能な追加の触媒を使用せずにポリウレタンフォームを調製する際に使用するための活性ポリオール添加剤である。
「CP 1421」は、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(商標)CP 1421として入手可能な、1675当量の三官能性PO/EOポリオールである。
「NC 138」は、The Dow Chemical CompanyからVORANOL NC 138として入手可能な、2040当量の15%EOキャップされた三官能性PO/EOポリオールである。
「B 8736」は、Evonikから入手可能な泡安定性のためのTEGOSTAB B 8736 LF2界面活性剤である。
「B 8715」は、Evonikから入手可能な泡安定性のためのTEGOSTAB B 8715 LF2界面活性剤はである。
「グリセリン」は、Aldrich Chemicalから入手可能である。
「DEOA」は、Aldrich Chemicalから入手可能なジエタノールアミンである。
「TDI T80」は、The Dow Chemical CompanyからVORANATE(商標)T−80として入手可能な2,4〜2,6異性体の80:20のTDI混合物である。
「NE396」は、The Dow Chemical CompanyからSPECFLEX NE 396として入手可能な、30%NCO含有量のMDIベースのイソシアネート配合物である。
「粉砕力」および「グリーン硬度」は、どちらも内部容量5リットル(300mm×350mm×75mm)の長方形を有する圧縮機器を使用して測定される。以下の発泡手順に従う。
【0105】
1.正方形の金型内に離型剤を均一に塗布する。
2.天秤上に空のカップを置き、ゼロにリセットする。
3.ポリオール成分の正確な量をカップに計り入れる。
4.天秤をゼロにリセットしてから、イソシアネートの量を迅速かつ正確に計量する。
5.バランスからカップを取り除き、自動ミキサーの台座に配置する。
6.一度混合してから、内容量5リットルの長方形を有する金型に材料を注ぎ入れる。残りの材料が標準手順に示される範囲と一致することを確認する。
7.金型のふたを下げる。
【0106】
サイクル(3〜4分)の終了時に、フォームを粉砕しないように注意を払いながら、内容量5リットルの長方形を有する金型からフォームを取り出す。脱型時間から30秒以内に、ダイナモメータプレート機器(INSTRON 4464)を使用して粉砕力を測定する。機器によって示される「ピーク値」が、「粉砕力」値であると見なされる。
【0107】
次いで、粉砕機ローラーを使用してフォームを完全に粉砕し、フォームを元の厚さの半分に圧縮するダイナモメータプレートを用いて直ちにグリーン硬度を確認し、標的厚さに達してから30秒後に測定された値が「グリーン硬度」である。
【0108】
統計的に有意であるように、各指標において3回または4回測定が繰り返される。低イソシアネート指数(75:100、CE1およびE1)および高イソシアネート指数(95:100、CE3およびE3)でアノーバ分析(分散分析)を行う。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
全てのフォームは、VDA278試験規格によるVolatile Emissions VOC and FOG Testingによって分析されるように、検出不能なレベルのアミンを有する。VDA−278(Verband der Automobilindustrie(VDA 278),2011)のガイドラインは以下の通りである。
【0112】
一般的なVDA−278ガイドライン
全ての分析は、標準的な方法であるVDA−278の「Thermal Desorption Analysis of Organic Emissions for the Characterization of Non−Metallic Materials for Automobiles」(2011年10月更新)に従って行われる。VDA−278によるVOC値は、易揮発性物質から中間的な揮発性物質の合計の尺度であり、VOC規定条件下(下記参照)で得られるn−ペンタコサン(C25)まで(我々の場合は49.4分まで)のGC−MSクロマトグラムの全ピーク面積のトルエン当量として計算される。FOG値は、揮発性の低い物質の合計であり、FOG規定条件下でn−テトラデカン(C14)からn−ドトリアコンタン(C32)まで(我々の場合は11.7分から44.5分まで)の保持時間から溶出される化合物の全GC−MSピーク面積のヘキサデカン当量として計算される。別表には、≧1μg/gの排出値を有する少なくとも全ての物質が示される。
【0113】
サンプル調製
フォームサンプルを室温で7日間(相対湿度約50%)コンディショニングする。スキン付フォーム片を、長さ約1cm、幅数mm、および重量15.0mg±2mgに切断した。分析天秤を用いて正確な重量を記録し、表に記載する。各サンプルについて、2片のフォームを切断し、それぞれを加熱脱着チューブに入れ、それを直ちに閉じて、できるだけ早く分析する。第1のチューブについては、VOC測定のみが行われ、第2のチューブについては、VOC分析の直後にFOG測定も行われる。加熱脱着およびGC−MS分析の分析パラメータを収集する。
【0114】
較正
較正は、VOC分析のためのメタノール中のトルエンの較正溶液(0.5mg/ml)、およびFOG分析のためのメタノール中のヘキサデカン溶液(0.5mg/ml)を用いて行われる。この目的のために、これらの溶液4μlをコンディショニングしたTenax管に負荷し、分析する。これらの標準は、代表的な平均値を得るために三重に分析される。全ての結果は、それぞれVOCおよびFOG分析のトルエンおよびヘキサデカン当量として定量化される。18の異なる化合物からなる対照溶液を定期的に分析して、系の性能をチェックする。
なお、本発明は以下の態様を含みうる。
[1]ポリマーポリオール組成物であって、
(i)以下の構造によって表される化合物の1つ以上を含むアミノエチルピペラジン(AEP)の重合の反応生成物(複数可)であるポリアミン開始剤組成物
【化12-1】

(式中、nは1〜10であり、
【化12-2】

式中、nは0〜10であり、oは1〜10であるが、但し、n+mは10以下である)と、
【化12-3】

(ii)構造VIを有する少なくとも1つのエポキシド化合物、
【化12-4】

または
構造VIIを有する少なくとも1つのグリシジルエーテル化合物、
【化12-5】

またはそれらの組み合わせ
(式中、Rは、水素、フェニル、シクロヘキシル、またはC−C18直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり、
は、水素、フェニル、C−C直鎖もしくは分枝鎖アルキル置換フェニル、またはC−C18直鎖もしくは分枝鎖アルキルである)との反応生成物(複数可)を含む、ポリマーポリオール組成物。
[2]前記エポキシド化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはそれらの混合物である、上記[1]に記載のポリマーポリオール組成物。
[3]以下の構造を有するポリマーポリオールを含み、
【化12-6】

式中、Rはエチレンであり、Rはプロピレンであり、RはH、エチル、またはプロピルであり、nは1〜10であり、
k、l、m、p、rおよびsは、独立して0〜100である、上記[2]に記載のポリマーポリオール組成物。
[4]kおよびlの両方が1以上であり、かつ/またはmおよびpの両方が1以上であり、かつ/またはrおよびsの両方が1以上であり、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを含む各コポリマー構造はブロックまたはランダムである、上記[3]に記載のポリマーポリオール組成物。
[5]ポリウレタンポリマーを作製するためのプロセスであって、
(A)上記[1]に記載のポリマーポリオール組成物を含むポリマーポリオール配合物と、
(B)少なくとも1つの有機イソシアネートと、
(C)任意選択的に、発泡剤と、
(D)任意選択的に、ポリウレタンポリマーの製造のためのそれ自体が既知である添加剤または助剤と、を含む混合物の反応によってポリウレタンポリマーを作製するためのプロセス。
[6]前記反応が発泡剤の存在下で起こり、前記ポリウレタンポリマーがポリウレタンフォームの形態で製造される、上記[3]に記載のプロセス。