【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人 科学技術振興機構「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」「無充電で長期間使用できる究極のエコIT機器の実現」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図1に示すように、実施形態に係る磁気記憶装置110は、導電部材21、第1素子部EP1、及び、制御部70を含む。
【0009】
導電部材21は、第1部分21a、第2部分21b及び第3部分21cを含む。第3部分21cは、第1部分21aと第2部分21bとの間にある。
【0010】
第1素子部EP1は、第1素子SB1、第1配線BL1及び第1回路31を含む。
【0011】
第1素子SB1は、第1磁性層11、第1対向磁性層11c及び第1非磁性層11nを含む。第1対向磁性層11cは、第3部分21cと第1磁性層11との間に設けられる。第1非磁性層11nは、第1対向磁性層11cと第1磁性層11との間に設けられる。
【0012】
例えば、第1部分21aから第2部分21bへの方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0013】
第3部分21cから第1磁性層11への方向は、例えば、Z軸方向に沿う。
【0014】
第1配線BL1は、第1磁性層11と電気的に接続される。第1配線BL1は、例えばビット線である。この例では、第1配線BL1と第1磁性層11を含む電流経路に、スイッチSw1(例えばトランジスタなど)が設けられている。
【0015】
第1回路31は、第1配線BL1と電気的に接続される。第1回路31の少なくとも一部は、例えば、読み出し回路として機能する。
【0016】
制御部70は、例えば、第1部分21a、第2部分21b及び第1回路31と電気的に接続される。例えば、制御部70は、駆動回路75を含む。駆動回路75と導電部材21との間の電流経路にスイッチ(例えばトランジスタなど)などが設けられても良い。この例では、第1部分21aと駆動回路75との間の電流経路にスイッチSw21が設けられている。スイッチSw21は、第2部分21bと駆動回路75との間の電流経路に設けられても良い。
【0017】
制御部70は、導電部材21に電流を供給可能である。例えば、1つの動作において、制御部70は、第1部分21aから第2部分21bへの向きの第1電流i1を導電部材21供給する。例えば、別の動作において、制御部70は、第2部分21bから第1部分21aへの向きの第2電流i2を導電部材21供給する。
【0018】
第1素子SB1の電気抵抗は、導電部材21に流れる電流の向きにより制御できる。例えば、第1電流i1が供給されたときに、第1素子SB1の電気抵抗は、第1電気抵抗になる。例えば、第2電流i2が供給されたときに、第1素子SB1の電気抵抗は、第2電気抵抗になる。第2電気抵抗は、第1電気抵抗とは異なる。電気抵抗の差は、導電部材21に流れる電流によるスピンホール効果により生じると考えられる。
【0019】
例えば、第1電流i1により、第1対向磁性層11cの磁化が、1つの方向に向く。第2電流i2により、第1対向磁性層11cの磁化が、別の方向に向く。一方、第1磁性層11の磁化は、実質的に変化しない。第1電流i1が供給されたときの第1対向磁性層11cの磁化と第1磁性層11の磁化との間の角度は、第2電流i2が供給されたときの第1対向磁性層11cの磁化と第1磁性層11の磁化との間の角度とは、異なる。角度の違いが電気抵抗の違いとなる。これは、例えば、磁気抵抗効果に基づく。
【0020】
複数の電気抵抗が、記憶される情報と対応づけられる。例えば、高抵抗状態が「0」に対応する。例えば、低抵抗状態が「1」に対応する。第1素子SB1は、このような複数の電気抵抗の状態を保持可能である。第1素子SB1は、1つのメモリセルに対応する。
【0021】
以下の説明では、導電部材21に上記の第1電流i1が流れたときに第1素子SB1は、低抵抗状態になり、導電部材21に上記の第2電流i2が流れたときに第1素子SB1は、高抵抗状態になる、とする。低抵抗状態と高抵抗状態とが互いに入れ替わっても良い。
【0022】
さらに、これらの電流が流れるときにおいて、導電部材21の電位を基準にしたときの第1磁性層11の電位により、第1対向磁性層11cの磁化の変化のし易さが変化する。例えば、導電部材21の電位を基準にしたときの第1磁性層11の電位Va1が正及び負の一方の第1極性のときに、第1対向磁性層11cの磁化が変化し易い。第1磁性層11の電位Va1が正及び負の他方の第2極性のときに、第1対向磁性層11cの磁化が変化し難い。例えば、電位Va1が負極性の第1印加電位ときの第1対向磁性層11cの磁化は、電位Va1が正極性の第2印加電位ときの第1対向磁性層11cの磁化に比べて、変化し易い。第1印加電位は、例えば、「選択電位」である。第2印加電位は、例えば「非選択電位」である。このような磁化の変化のし易さの変化は、例えば、第1対向磁性層11cの磁気特性が電位によって変化することに基づく。以下の説明では、「選択電位」は負極性で、「非選択電位」は正極性とする。実施形態において、これらの極性は逆でも良い。
【0023】
上記のような動作により、第1素子SB1に情報が書き込まれる。上記の動作は、例えば、制御部70により行われる。
【0024】
第1回路31は、第1素子SB1に記憶された情報(電気抵抗の状態)を検出する機能を有する。第1回路31は、例えば、読み出し回路の機能を有する。
【0025】
図1に示すように、第1回路31は、第1スイッチSS10、第1容量素子CS10、第1並列スイッチSP10及び第1並列容量素子CP10を含む。
【0026】
第1スイッチSS10の一端SS11は、第1配線BL1と電気的に接続される。第1スイッチSS10の他端SS12は、第1容量素子CS10の一端CS11と電気的に接続される。例えば、第1容量素子CS10の一端CS11は、第1回路配線BLaにより、第1スイッチSS10の他端SS12と電気的に接続されている。
【0027】
第1並列スイッチSP10の一端SP11は、第1配線BL1と電気的に接続される。第1並列スイッチSP10の他端SP12は、第1並列容量素子CP10の一端CP11と電気的に接続される。例えば、第1並列容量素子CP10の一端CP11は、第2回路配線BLbにより、第1並列スイッチSP10の他端SP12と電気的に接続されている。
【0028】
第1並列容量素子CP10の他端CP12は、第1容量素子CS10の他端CS12と電気的に接続される。この例では、他端CP12は、他端CS12とグランドを介して電気的に接続される。
【0029】
例えば、第1スイッチSS10のゲートには、第1スイッチ信号IS1が入力される。第1並列スイッチSP10のゲートには、第1並列スイッチ信号IP1が入力される。
【0030】
この例では、第1回路31は、第1検出回路SA1を含む。第1検出回路SA1は、第1容量素子CS10の一端CS11、及び、第1並列容量素子CP10の一端CP11と電気的に接続される。
【0031】
この例では、第1検出回路SA1は、ラッチ型センスアンプの構成を有する。第1検出回路SA1は、直列に接続された第1p型トランジスタ及び第1n型トランジスタの組みと、直列に接続された第2p型トランジスタ及び第2n型トランジスタの組みと、を含む。これらの組みは並列に接続される。第1p型トランジスタのゲート及び第2n型トランジスタのゲートが、第1回路配線BLa及び第2回路配線BLbの一方と、電気的に接続される。第1n型トランジスタのゲート及び第2p型トランジスタのゲートが、第1回路配線BLa及び第2回路配線BLbの他方と、電気的に接続される。
【0032】
第1検出回路SA1により、第1素子SB1を含む電流経路に流れる電流を検出可能である。第1検出回路SA1は、第1回路配線BLaまたは第2回路配線BLbの電位を出出力する。
【0033】
この例では、第1配線BL1に、プリチャージ回路PCが電気的に接続される。プリチャージ回路PCにより、第1配線BL1に電荷が供給され第1配線BL1の電位が制御できる。
【0034】
以下、第1回路31の動作の例について説明する。第1回路31は、例えば、読み出し動作を行う。1つの例において、第1回路31は、リストア動作をさらに実施しても良い。リストア動作は、読み出し動作の後に行われる。リストア動作において、読み出し動作により変化した記憶状態を読み出し動作の前の状態に戻す。
【0035】
リストア動作は、後述する第1電流供給動作を含む。第1電流供給動作により、読み出し動作により変化した記憶状態を読み出し動作の前の状態になる。
【0036】
読み出し動作は、例えば、後述する第1検出動作、第2電流供給動作、及び、第2検出動作を含む。
【0037】
以下、これらの動作の例について説明する。
【0038】
図2〜
図5は、第1実施形態に係る磁気記憶装置の動作を例示する模式図である。
図2は、第1検出動作RO1を例示している。
図3は、第2電流供給動作CO2を例示している。
図4は、第2検出動作RO2を例示している。
図5は、第1電流供給動作CO1を例示している。以下の説明において、スイッチSw1は導通状態である。以下の説明では、まず、読み出し動作の前において、第1素子SB1は低抵抗状態である。
【0039】
図2に示すように、第1検出動作RO1において、制御部70は、第1スイッチSS10を導通状態CNにし、第1並列スイッチSP10を非導通状態DCにする。
【0040】
これにより、例えば、第1容量素子CS10の一端CS11(第1回路配線BLa)の電位は、その時の第1素子SB1の電気抵抗に応じた電位となる。第1素子SB1が例えば低電気抵抗状態(例えば磁化が「平行状態P」の状態)のとき、第1回路配線BLaは低電圧LV(例えば0.1V)である。
【0041】
図3に示すように、第2電流供給動作CO2において、制御部70は、第2部分21bから第1部分21aへの第2電流i2を導電部材21に供給する。このとき、制御部70は、例えば、第1スイッチSS10及び第1並列スイッチSP10非導通状態DCにする。これにより、第1素子SB1は、高抵抗状態になる。
【0042】
図4に示すように、第2検出動作RO2において、制御部70は、第1並列スイッチSP10を導通状態CNにし、第1スイッチSS10を非導通状態DCにする。
【0043】
これにより、例えば、第1容量素子CS10の一端CS11(第1回路配線BLa)の電位は、その時の第1素子SB1の電気抵抗に応じた電位となる。第1素子SB1が例えば高電気抵抗状態(例えば磁化が「反平行状態AP」の状態)のとき、第2回路配線BLbは高電圧HV(例えば0.3V)である。
【0044】
第1検出回路SA1は、例えば、第1検出動作RO1において第1配線BL1に流れる電流と、第2検出動作RO2において第1配線BL1に流れる電流と、の差に応じた信号を出力可能である。第1検出回路SA1から出力される信号は、第1素子SB1の状態に応じて変化する。第1検出回路SA1は、例えば、第1検出動作RO1後の第1容量素子CS10の一端CS11の電位と、第2検出動作RO2後の第1並列容量素子CP10の一端SP11の電位と、の差に応じた信号を出力可能である。例えば、第1容量素子CS10の一端CS11(第1回路配線BLa)の電位が高い場合、第1検出回路SA1の端子SAEに電圧Vddを入力されると、第2回路配線BLbの電位は、電圧Vddにクランプされ、第1回路配線BLaの電位は、0Vにクランプされる。
【0045】
このような読み出し動作を行うことで、第1素子SB1の複数の状態の電気抵抗(電気抵抗に応じた電流)に基づいて、第1素子SB1の記憶状態を決定できる。例えば、自己参照読み出しが行われる。これにより、第1素子SB1の記憶状態をより正確に検出することができる。
【0046】
例えば、読み出し時において、定められた抵抗(または定められた電流)を用いて記憶状態を決定する参考例がある。この場合、例えば、製造工程の変動などに起因して、第1素子SB1の特性が変動したときに、誤った読み出しの可能性がある。または、誤った読み出しを抑制するために、記憶密度の向上が不十分になる可能性がある。
【0047】
これに対して、実施形態においては、上記のような自己参照読み出しが行われる。これにより、安定した読み出し動作が可能になる。例えば、記憶密度を向上し易くできる。実施形態によれば、安定した動作が得られる磁気記憶装置を提供できる。
【0048】
上記の読み出し動作の後に、以下のリストア動作(第1電流供給動作)をさらに実施しても良い。
【0049】
図5に示すように、制御部70は、第1電流供給動作CO1を実施する。第1スイッチSS10を導通状態にして、第1部分21aから第2部分21bへの第1電流i1を導電部材21に供給する。第1スイッチSS10が導通状態であるため、第1配線BL1は、低電圧LV(例えば0V)となる。例えば、第1部分21aの電位は、やや高い電圧(例えば、0.8V)であり、第2部分21bの電圧はやや低い電圧(例えば、0.6V)である。第1配線BL1の電位(第1磁性層11の電位)は負極性の電位(選択電位)である。このため、第1電流i1により、第1素子SB1は第1電流i1の向きに応じた状態(例えば低抵抗状態)になる。これにより、第1素子SB1は、読み出し動作の前の状態に戻る。このようなリストア動作により、安定した記憶状態が得られる。
【0050】
以下、読み出し動作の前において、第1素子SB1が高抵抗状態である場合について説明する。
【0051】
この場合も、上記と同様の第1検出動作RO1が行われる。第1回路配線BLaは高電圧HV(例えば0.3V)になる。この後、上記の第2電流供給動作CO2が行われ、第1素子SB1は、高抵抗状態を維持する。この後、上記と同様の第2検出動作RO2が行われる。第1回路配線BLbは高電圧HV(例えば0.3V)である。第1検出回路SA1からの出力は、例えば、第1検出動作RO1後の第1容量素子CS10の一端CS11の電位と、第2検出動作RO2後の第1並列容量素子CP10の一端CP11の電位と、の差に応じて変化する。第1容量素子CS10の一端CS11の電位が、第1並列容量素子CP10の一端CP11の電位に近い場合に、第1検出回路SA1の端子SAEに高電圧Vddを入力すると、第2回路配線BLbの電位は0Vにクランプされ、第1回路配線BLaの電位は高電圧Vddにクランプされる。このような動作が得られるように、第1検出回路SA1のトランジスタパラメータが設定される。これにより、初期のデータ(読み出し動作の前の状態)が”0”か”1”かを判別することができる。
【0052】
このような方法の他、第1容量素子CS10の容量と、第1並列容量素子CP10の容量と、を互いに異ならせることで、初期のデータを判別しても良い。
【0053】
上記のような自己参照読み出しにより、安定した読み出し動作が可能になる。例えば、記憶密度を向上し易くできる。安定した動作が得られる磁気記憶装置を提供できる。
【0054】
この場合も、第1電流供給動作CO1において、制御部70は、第1スイッチSS10を導通状態にして、第1電流i1を導電部材21に供給する。この場合は、第1配線BL1の電位(第1磁性層11の電位)は正極性の電位(非選択電位)であるため、第1電流i1が流れても、第1素子SB1は、第2電流供給動作CO2の後の状態を維持する。すなわち、第1素子SB1は、読み出し動作前の高抵抗状態になる。このようなリストア動作により、安定した記憶状態が得られる。上記のリストア動作は、簡単な回路により実施できる。例えば、高い記憶密度を得やすくできる。
【0055】
実施形態において、第1電流供給動作CO1は必要に応じて実施され、実施されてなくても良い。例えば、磁気記憶装置110がログメモリとして使用される場合、記憶された情報を読み出した後に、その情報は失われても良い。このような場合には、上記の読み出し動作が行われた後に第1電流供給動作CO1は行われなくても良い。
【0056】
上記のように、読み出し動作の前において第1素子SB1が高抵抗状態である場合、第1容量素子CS10の一端CS11の電位と、第1並列容量素子CP10の一端CP11の電位と、は、互いに異なる。読み出し動作の前において第1素子SB1が低抵抗状態である場合、第1容量素子CS10の一端CS11の電位と、第1並列容量素子CP10の一端CP11の電位と、は、互いに実質的に同じである。上記のように第1容量素子CS10の容量と、第1並列容量素子CP10の容量と、を異ならせる場合は、容量の差に応じた信号が得られ、その信号に基づいて、初期のデータを判別できる。
【0057】
実施形態において、第1検出動作RO1の前において、第1素子SB1は、第1記憶状態及び第2記憶状態の一方である。第1記憶状態は、高抵抗状態及び低抵抗状態の一方である。第2記憶状態は、高抵抗状態及び低抵抗状態の他方である。高抵抗状態における第1素子SB1の電気抵抗は、低抵抗状態における第1素子SB1の電気抵抗よりも高い。
【0058】
1つの例において、第1検出動作RO1の前において、第1素子SB1は、低抵抗状態である。第1電流供給動作CO1の後において、第1素子SB1は、第1記憶状態及び第2記憶状態の上記の一方(低抵抗状態)である。このとき、第2電流供給動作CO2の後において、第1素子SB1は、第1記憶状態及び第2記憶状態の他方(高抵抗状態)である。
【0059】
別の例において、第1検出動作RO1の前において、第1素子SB1は、高抵抗状態である。第1電流供給動作CO1の後において、第1素子SB1は、第1記憶状態及び前記第2記憶状態の一方(例えば、高抵抗状態)である。このとき、第2電流供給動作CO2の後において、第1素子SB1は、第1記憶状態及び第2記憶状態の一方(高抵抗状態)である。
【0060】
第2電流供給動作CO2において、制御部70は、第2電流i2を導電部材21に供給しつつ、第1配線BL1を第1電位にする。第1電位は、導電部材21の電位を基準にしたときに、正及び負の一方(例えば負)である。1つの例において、第1容量素子CS10の一端CS11の電位は、導電部材21の電位を基準にしたときに、正及び負の上記の一方(例えば負)である。第1並列容量素子CP10の一端CP11の電位は、導電部材21の電位を基準にしたときに、正及び負の他方(例えば正)である。
【0061】
以下、
図1〜
図5に例示した第1回路31の動作の例について説明する。
【0062】
図6は、第1実施形態に係る磁気記憶装置の動作を例示するタイミングチャート図である。
図6の横軸は時間である。
図6に示すように、読み出し動作RDは、第1検出動作RO1、第2電流供給動作CO2、及び、第2検出動作RO2を含む。第2電流供給動作CO2は、第1検出動作RO1の後に行われる。第2検出動作RO2は、第2電流供給動作CO2の後で、第1電流供給動作CO1の前に行われる。第2検出動作RO2の後に、リストア動作RSとして、第1電流供給動作CO1が行われる。
【0063】
この例では、第2検出動作RO2と第1電流供給動作CO1との間に、「SA_enable期間」が設けられている。この期間において、例えば、第1検出回路SA1の検出結果が出力可能である。
【0064】
上記の「SA_enable期間」において、例えば、第1検出動作RO1後の第1容量素子CS10の一端CS11の電位と、第2検出動作RO2後の第1並列容量素子CP10の一端SP11の電位と、の差に応じた信号SA_OUTが出力される。この後、必要に応じて、上記の第1電流供給動作CO1が行われる。
【0065】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
図7に示すように、実施形態に係る磁気記憶装置111は、導電部材21、第1素子部EP1及び制御部70に加えて、第2素子部EP2をさらに含む。第2素子部EP2は、第2素子SB2、第2配線BL2及び第2回路32を含む。
【0066】
第2素子SB2は、第2磁性層12、第2対向磁性層12c及び第2非磁性層12nを含む。第2対向磁性層12cは、第3部分21cの別の部分と、第2磁性層12と、の間に設けられる。第2非磁性層12nは、第2対向磁性層12cと第2磁性層12との間に設けられる。
【0067】
第2配線BL2は、第2磁性層12と電気的に接続される。第2回路32は、第2配線BL2と電気的に接続される。
【0068】
第2回路32は、例えば、第2スイッチSS20、第2容量素子CS20、第2並列スイッチSP20及び第2並列容量素子CP20を含む。
【0069】
第2スイッチSS20の一端SS21は、第2配線BL2と電気的に接続される。
【0070】
第2スイッチSS20の他端SS22は、第2容量素子CS20の一端CS21と電気的に接続される。
【0071】
第2並列スイッチSP20の一端SP21は、第2配線BL2と電気的に接続される。
【0072】
第2並列スイッチSP20の他端SP22は、第2並列容量素子CP20の一端CP21と電気的に接続される。
【0073】
第2並列容量素子CP20の他端CP22は、第2容量素子CS20の他端CS22と電気的に接続される。この例では、他端CP22は、他端CS22とグランドを介して電気的に接続される。
【0074】
例えば、第2スイッチSS20のゲートには、第2スイッチ信号IS2が入力される。第2並列スイッチSP20のゲートには、第2並列スイッチ信号IP2が入力される。
【0075】
第2回路32は、第2検出回路SA2を含む。第2検出回路SA2は、第2容量素子CS20の一端CS21、及び、第1並列容量素子CP20の一端CP21と電気的に接続される。
【0076】
この例においても、第2配線BL2に、プリチャージ回路PCが電気的に接続される。プリチャージ回路PCにより、第2配線BL2に電荷が供給され第2配線BL2の電位が制御できる。
【0077】
磁気記憶装置111においても、第1素子部EP1について上記の第1検出動作RO1、第2電流供給動作CO2、第2検出動作RO2及び第1電流供給動作CO1などが実施される。磁気記憶装置111において、第2素子部EP2に上記の第1検出動作RO1、第2電流供給動作CO2、第2検出動作RO2及び第1電流供給動作CO1などが実施されても良い。
【0078】
図8(a)〜
図8(c)、及び、
図9は、第2実施形態に係る磁気記憶装置の動作を例示する模式図である。
例えば、制御部70は、第2素子SB2に関して、第1検出動作と、その第1検出動作RO2の後の電流供給動作と、電流供給動作の後の第2検出動作と、を実施する。第2素子SB2に関するこれらの動作は、例えば、第1素子SB1における動作と同様である。
【0079】
第1検出動作RO1(
図8(a)参照)において、制御部70は、第2スイッチSS20を導通状態CNにし、第2並列スイッチSP20を非導通状態DCにする(
図7参照)。
【0080】
電流供給動作(第2電流供給動作CO2:
図8(b)参照)において、制御部70は、第2部分21bから第1部分21aへの電流(第2電流i2)を導電部材21に供給する。
【0081】
第2検出動作RO2(
図8(c)参照)において、制御部70は、第2並列スイッチSP20を導通状態CNにし、第1スイッチSS20を非導通状態DCにする(
図7参照)。
【0082】
第2検出回路SA2(
図7参照)は、第1検出動作RO1後の第2容量素子CS20の一端CS21の電位と、第2検出動作RO2後の第1並列容量素子CP20の一端CP21の電位と、の差に応じた信号を出力可能である。
【0083】
このようにして、第2素子SB2に関して、例えば、自己参照読み出しが行われる。安定した読み出し動作が可能になる。例えば、記憶密度を向上し易くできる。
【0084】
上記の第2電流供給動作CO2は、第1素子SB1及び第2素子SB2について同時に実施されても良い。これにより、第2電流供給動作CO2の時間が短くできる。
【0085】
制御部70は、少なくとも別の第1電流供給動作CO1を実施しても良い(
図9参照)。この別の第1電流供給動作CO1において、制御部70は、第2スイッチSS20を導通状態CNにして、第1電流i1を導電部材21に供給する。これにより、第2素子SB2は、読み出し動作RDの前(第1検出動作RO1の前)の第2素子SB2の状態に戻る。このようなリストア動作により、安定した記憶状態が得られる。
【0086】
例えば、第1電流供給動作CO1は、第1素子部EP1及び第2素子部EP2について、一括して実施されても良い。
【0087】
第2素子SB2に関する第1電流供給動作CO1も必要に応じて実施され、省略されても良い。
【0088】
このような動作が、複数のメモリセルに関して実施されても良い。
例えば、
図7に示すように、実施形態に係る磁気記憶装置111は、導電部材21、複数の素子部EP0、及び、制御部70を含んでも良い。複数の素子部EP0は、第1素子部EP1及び第2素子部EP2などを含む。
【0089】
複数の素子部EP0の1つ(例えば、第1素子部EP1)は、第1素子SB1、第1配線BL1及び第1回路31を含む。複数の素子部EP0の別の1つ(例えば、第2素子部EP2)は、第2素子SB2、第2配線BL2及び第2回路32を含む。複数の素子部EP0の第1素子SB1は、第1部分21aから第2部分21bへの方向(例えば、X軸方向)に沿って並ぶ。
【0090】
制御部70は、複数の素子部EP0の少なくとも2以上について、第1検出動作RO1、電流供給動作(例えば第2電流供給動作CO2)、及び、第2検出動作RO2を含む読み出し動作RDを実施する。例えば、電流供給動作(例えば第2電流供給動作CO2)は、複数の素子部EP0について、一括して行われても良い。
【0091】
制御部70は、複数の素子部EP0の少なくとも2以上について、第1電流供給動作CO1を実施しても良い。第1電流供給動作CO1において、制御部70は、第1スイッチSS10を導通状態にして、第1電流i1を導電部材21に供給する。第1電流供給動作CO1は、複数の素子部EP0について、一括して実施されても良い。
【0092】
図7に示すように、読み出し動作RDの前において、第1素子SB1は、「平行状態P」であり、例えば、低抵抗状態であり、第2素子SB2は、「反平行状態AP」であり、例えば、高抵抗状態である。複数の素子SB0は、「平行状態P」または「反平行状態AP」である。
図8(b)に示すように、第2電流供給動作CO2において、複数の素子SB0は、例えば、「反平行状態AP」になる。
図9に示すように、第1電流供給動作CO1において、複数の素子SB0は、元の状態(
図7の状態)に戻る。
【0093】
実施形態において、第1検出動作RO1及び第2検出動作RO2の少なくともいずれかにおいて、第3部分21cから第1部分21aへの向きの電流と、第3部分21cから第2部分21bへの向きの電流と、が、導電部材21を流れも良い。この場合、例えば、第1素子SB1から第1部分21aへの向きの電流、及び、第1素子SB1から第2部分21bへの向きの電流が流れる。第1磁性層11の電位は、導電部材21の電位よりも高い。第1磁性層11は、例えば、「非選択電位」である。これにより、検出動作における電流により、電気抵抗が変化することが抑制される。
【0094】
実施形態において、第1検出動作RO1及び第2検出動作RO2の少なくともいずれかにおいて、第1部分21aから第3部分21cへの向きの電流と、第2部分21bから第3部分21cへの向きの電流と、が、導電部材21を流れても良い。この場合、第3部分21cにおいて電流によるスピンホール効果が小さくなり、検出動作における電流により、電気抵抗が変化することが抑制される。
【0095】
実施形態において、第1検出動作RO1及び第2検出動作RO2の少なくともいずれかにおいて、電流が、第1部分21aから第3部分21cへ、及び、第3部分21cから第2部分21bへ流れても良い。例えば、スピンホール効果とスピントランスファ効果とが互いに弱めある。検出動作における電流により、電気抵抗が変化することが抑制される。
【0096】
実施形態において、第1検出動作RO1及び第2検出動作RO2の少なくともいずれかにおいて、電流が、第2部分21bから第3部分21cへ、及び、第3部分21cから第1部分21aへ流れても良い。例えば、スピンホール効果とスピントランスファ効果とが互いに弱めある。検出動作における電流により、電気抵抗が変化することが抑制される。
【0097】
実施形態において、磁気記憶装置は、第1素子部EP1は、第1素子SB1を含む。制御部70は、第1検出動作RO1と、第1検出動作RO1の後の電流供給動作(第2電流供給動作CO2)と、電流供給動作の後の第2検出動作RO2と、を少なくとも実施しする。電流供給動作において、制御部70は、導電部材21の第2部分21bから第1部分21aへの電流を導電部材21に供給する。制御部70は、第1検出動作RO1において第1素子部EP1を流れる電流と、第2検出動作RO2において第1素子部EP1を流れる電流と、の差に応じた信号を出力可能である。
【0098】
制御部70は、第2検出動作RO2の後の別の電流供給動作(第1電流供給動作CO1)をさらに実施可能でも良い。制御部70は、例えば、第1検出動作RO1において第1素子部EP1を流れる電流と、第2検出動作RO2において第1素子部EP1を流れる電流と、を記憶可能である。別の電流供給動作(第1電流供給動作CO1)において、制御部70は、第1部分21aから第2部分21bへの電流を導電部材21に供給しつつ、電圧を第1素子SB1に印加する。この電圧は、第1検出動作RO1において第1素子部EP1を流れる電流の記憶された値と、第2検出動作RO2において第1素子部EP2を流れる電流の記憶された値と、の少なくともいずれかに基づく電圧である。
【0099】
第1検出動作RO1の前において、第1素子SB1は、第1記憶状態及び第2記憶状態の一方である。上記の別の電流供給動作(第1電流供給動作CO1)の後において、第1素子SB1は、第1記憶状態及び前記第2記憶状態の上記の一方である。1つの例において、上記の電流供給動作(第2電流供給動作CO2)の後において、第1素子SB1は、第1記憶状態及び第2記憶状態の他方である。別の例において、上記の電流供給動作(第2電流供給動作CO2)の後において、第1素子SB1は、第1記憶状態及び前記第2記憶状態の上記の一方である。
【0100】
実施形態において、導電部材21は、例えば、Ta、W、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0101】
第1磁性層11及び第1対向磁性層11cは、例えば、強磁性層である。第1磁性層11及び第1対向磁性層11cは、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0102】
第1非磁性層11nは、例えば、第1元素及び第2元素を含む。第1元素は、例えば、Mg、Ca、Sr、Ti、V、Nb、Al、Si、Cr、Zn、Ga、Ge、Se、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Cd、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Ir、Bi、Cs、St、La及びCeよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2元素は、酸素及び窒素よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1非磁性層11nは、例えば、MgOを含む。第1非磁性層11nは、例えば、トンネルバリア層である。
【0103】
1つの例において、第1非磁性層11nと第1対向磁性層11cとは、互いに接する。第1非磁性層11nと第1対向磁性層11cとの間に別の層が設けられても良い。1つの例において、第1磁性層11と第1非磁性層11nとは、互いに接する。第1磁性層11と第1非磁性層11nとの間に別の層が設けられても良い。
【0104】
1つの例において、導電部材21と、第1対向磁性層11cと、は、互いに接する。導電部材21と第1対向磁性層11cとの間に別の層が設けられても良い。
【0105】
第2磁性層12、第2対向磁性層12c及び第2非磁性層12nは、例えば、第1磁性層11、第1対向磁性層11c及び第1非磁性層11nの構成をそれぞれ有する。
【0106】
実施形態は、例えば、以下の構成(例えば技術案)を含む。
(構成1)
第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含む導電部材と、
第1素子部であって、前記第1素子部は、第1素子、第1配線及び第1回路を含み、前記第1素子は、第1磁性層と、前記第3部分と前記第1磁性層との間に設けられた第1対向磁性層と、前記第1対向磁性層と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含み、前記第1配線は、前記第1磁性層と電気的に接続され、前記第1回路は、前記第1配線と電気的に接続された、前記第1素子部と、
制御部と、
を備え、
前記第1回路は、第1スイッチ、第1容量素子、第1並列スイッチ及び第1並列容量素子を含み、
前記第1スイッチの一端は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1スイッチの他端は、前記第1容量素子の一端と電気的に接続され、
前記第1並列スイッチの一端は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1並列スイッチの他端は、前記第1並列容量素子の一端と電気的に接続され、
前記制御部は、少なくとも第1電流供給動作を実施し、
前記第1電流供給動作において、前記制御部は、前記第1スイッチを導通状態にして、前記第1部分から前記第2部分への第1電流を前記導電部材に供給する、磁気記憶装置。
【0107】
(構成2)
前記第1回路は、前記第1容量素子の前記一端、及び、前記第1並列容量素子の前記一端と電気的に接続された第1検出回路をさらに含み、
前記制御部は、第1検出動作と、前記第1検出動作の後の第2電流供給動作と、前記第2電流供給動作の後で前記第1電流供給動作の前の第2検出動作を少なくともさらに実施し、
前記第1検出動作において、前記制御部は、前記第1スイッチを前記導通状態にし、前記第1並列スイッチを非導通状態にし、
前記第2電流供給動作において、前記制御部は、前記第2部分から前記第1部分への第2電流を前記導電部材に供給し、
前記第2検出動作において、前記制御部は、前記第1並列スイッチを前記導通状態にし、前記第1スイッチを前記非導通状態にし、
前記第1検出回路は、前記第1検出動作後の前記第1容量素子の前記一端の電位と、前記第2検出動作後の前記第1並列容量素子の前記一端の電位と、の差に応じた信号を出力可能である、構成1記載の磁気記憶装置。
【0108】
(構成3)
前記第1検出動作の前において、前記第1素子は、第1記憶状態及び第2記憶状態の一方であり、
前記第1電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の前記一方である、構成2記載の磁気記憶装置。
【0109】
(構成4)
前記第2電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の他方である、構成3記載の磁気記憶装置。
【0110】
(構成5)
前記第2電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の前記一方である、構成3記載の磁気記憶装置。
【0111】
(構成6)
前記第2電流供給動作において、前記制御部は、前記第2電流を前記導電部材に供給しつつ、前記第1配線を第1電位にし、
前記第1電位は、前記導電部材の電位を基準にしたときに、正及び負の一方であり、
前記第1容量素子の前記一端の前記電位は、前記導電部材の前記電位を前記基準にしたときに、正及び負の前記一方であり、
前記第1並列容量素子の前記一端の前記電位は、前記導電部材の前記電位を前記基準にしたときに、正及び負の他方である、構成2〜5のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
【0112】
(構成7)
第2素子部をさらに備え、
前記第2素子部は、第2素子、第2配線及び第2回路を含み、
前記第2素子は、第2磁性層と、前記第3部分の別の部分と前記第2磁性層との間に設けられた第2対向磁性層と、前記第2対向磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、を含み、
前記第2配線は、前記第2磁性層と電気的に接続され、
前記第2回路は、前記第2配線と電気的に接続され、
前記第2回路は、第2スイッチ、第2容量素子、第2並列スイッチ及び第2並列容量素子を含み、
前記第2スイッチの一端は、前記第2配線と電気的に接続され、
前記第2スイッチの他端は、前記第2容量素子の一端と電気的に接続され、
前記第2並列スイッチの一端は、前記第2配線と電気的に接続され、
前記第2並列スイッチの他端は、前記第2並列容量素子の一端と電気的に接続され、
前記制御部は、少なくとも別の第1電流供給動作を実施し、
前記別の第1電流供給動作において、前記制御部は、前記第2スイッチを導通状態にして、前記第1電流を前記導電部材に供給する、構成1〜6のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
【0113】
(構成8)
第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含む導電部材と、
第1素子部であって、前記第1素子部は、第1素子、第1配線及び第1回路を含み、前記第1素子は、第1磁性層と、前記第3部分と前記第1磁性層との間に設けられた第1対向磁性層と、前記第1対向磁性層と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含み、前記第1配線は、前記第1磁性層と電気的に接続され、前記第1回路は、前記第1配線と電気的に接続された、前記第1素子部と、
制御部と、
を備え、
前記第1回路は、第1スイッチ、第1容量素子、第1並列スイッチ、第1並列容量素子及び第1検出回路をさらに含み、を含み、
前記第1スイッチの一端は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1スイッチの他端は、前記第1容量素子の一端と電気的に接続され、
前記第1並列スイッチの一端は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1並列スイッチの他端は、前記第1並列容量素子の一端と電気的に接続され、
前記第1検出回路は、前記第1容量素子の前記一端、及び、前記第1並列容量素子の前記一端と電気的に接続され、
前記制御部は、第1検出動作と、前記第1検出動作の後の電流供給動作と、前記電流供給動作の後の第2検出動作と、を少なくとも実施し、
前記第1検出動作において、前記制御部は、前記第1スイッチを前記導通状態にし、前記第1並列スイッチを非導通状態にし、
前記電流供給動作において、前記制御部は、前記第2部分から前記第1部分への電流を前記導電部材に供給し、
前記第2検出動作において、前記制御部は、前記第1並列スイッチを前記導通状態にし、前記第1スイッチを前記非導通状態にし、
前記第1検出回路は、前記第1検出動作後の前記第1容量素子の前記一端の電位と、前記第2検出動作後の前記第1並列容量素子の前記一端の電位と、の差に応じた信号を出力可能である、磁気記憶装置。
【0114】
(構成9)
前記第1検出動作の前において、前記第1素子は、第1記憶状態及び第2記憶状態の一方であり、
前記第1電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の前記一方である、構成8記載の磁気記憶装置。
【0115】
(構成10)
前記電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の他方である、構成9記載の磁気記憶装置。
【0116】
(構成11)
前記電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の前記一方である、構成9記載の磁気記憶装置。
【0117】
(構成12)
前記電流供給動作において、前記制御部は、前記電流を前記導電部材に供給しつつ、前記第1配線を第1電位にし、
前記第1電位は、前記導電部材の電位を基準にしたときに、正及び負の一方であり、
前記第2検出動作の後において前記第1容量素子の前記一端の前記電位は、前記導電部材の前記電位を前記基準にしたときに、正及び負の前記一方であり、
前記第2検出動作の後において前記第1並列容量素子の前記一端の前記電位は、前記導電部材の前記電位を前記基準にしたときに、正及び負の他方である、構成9〜11のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
【0118】
(構成13)
第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含む導電部材と、
複数の素子部と、
制御部と、
を備え、
前記複数の素子部の1つは、第1素子、第1配線及び第1回路を含み、
前記第1素子は、
第1磁性層と、
前記第3部分と前記第1磁性層との間に設けられた第1対向磁性層と、
前記第1対向磁性層と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
を含み、
前記複数の素子部の前記第1素子は、前記第1部分から前記第2部分への方向に沿って並び、
前記第1配線は、前記第1磁性層と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1回路は、第1スイッチ、第1容量素子、第1並列スイッチ及び第1並列容量素子を含み、
前記第1スイッチの一端は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1スイッチの他端は、前記第1容量素子の一端と電気的に接続され、
前記第1並列スイッチの一端は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1並列スイッチの他端は、前記第1並列容量素子の一端と電気的に接続され、
前記制御部は、少なくとも第1電流供給動作を実施し、
前記第1電流供給動作において、前記制御部は、前記第1スイッチを導通状態にして、前記第1部分から前記第2部分への第1電流を前記導電部材に供給する、磁気記憶装置。
【0119】
(構成14)
前記第1回路は、前記第1容量素子の前記一端、及び、前記第1並列容量素子の前記一端と電気的に接続された第1検出回路をさらに含み、
前記制御部は、第1検出動作と、前記第1検出動作の後の第2電流供給動作と、前記第2電流供給動作の後で前記第1電流供給動作の前の第2検出動作を少なくともさらに実施し、
前記第1検出動作において、前記制御部は、前記第1スイッチを前記導通状態にし、前記第1並列スイッチを非導通状態にし、
前記第2電流供給動作において、前記制御部は、前記第2部分から前記第1部分への第2電流を前記導電部材に供給し、
前記第2検出動作において、前記制御部は、前記第1並列スイッチを前記導通状態にし、前記第1スイッチを前記非導通状態にし、
前記第1検出回路は、前記第1検出動作後の前記第1容量素子の前記一端の電位と、前記第2検出動作後の前記第1並列容量素子の前記一端の電位と、の差に応じた信号を出力可能である、構成13記載の磁気記憶装置。
【0120】
(構成15)
前記制御部は、前記第2電流供給動作を、前記複数の素子部の前記第1素子の2以上に関して実施する、構成14記載の磁気記憶装置。
【0121】
(構成16)
第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含む導電部材と、
複数の素子部と、
制御部と、
を備え、
前記複数の素子部の1つは、第1素子、第1配線及び第1回路を含み、
前記第1素子は、
第1磁性層と、
前記第3部分と前記第1磁性層との間に設けられた第1対向磁性層と、
前記第1対向磁性層と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
を含み、
前記複数の素子部の前記第1素子は、前記第1部分から前記第2部分への方向に沿って並び、
前記第1配線は、前記第1磁性層と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1回路は、第1スイッチ、第1容量素子、第1並列スイッチ、第1並列容量素子及び第1検出回路をさらに含み、
前記第1スイッチの一端は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1スイッチの他端は、前記第1容量素子の一端と電気的に接続され、
前記第1並列スイッチの一端は、前記第1配線と電気的に接続され、
前記第1並列スイッチの他端は、前記第1並列容量素子の一端と電気的に接続され、
前記第1検出回路は、前記第1容量素子の前記一端、及び、前記第1並列容量素子の前記一端と電気的に接続され、
前記制御部は、第1検出動作と、前記第1検出動作の後の電流供給動作と、前記電流供給動作の後の第2検出動作を少なくとも実施し、
前記第1検出動作において、前記制御部は、前記第1スイッチを前記導通状態にし、前記第1並列スイッチを非導通状態にし、
前記電流供給動作において、前記制御部は、前記第2部分から前記第1部分への電流を前記導電部材に供給し、
前記第2検出動作において、前記制御部は、前記第1並列スイッチを前記導通状態にし、前記第1スイッチを前記非導通状態にし、
前記第1検出回路は、前記第1検出動作後の前記第1容量素子の前記一端の電位と、前記第2検出動作後の前記第1並列容量素子の前記一端の電位と、の差に応じた信号を出力可能である、磁気記憶装置。
【0122】
(構成17)
前記第1検出動作の前において、前記第1素子は、第1記憶状態及び第2記憶状態の一方であり、
前記第1電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の前記一方である、構成16記載の磁気記憶装置。
【0123】
(構成18)
前記電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の他方である、構成16記載の磁気記憶装置。
【0124】
(構成19)
前記電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の前記一方である、構成16記載の磁気記憶装置。
【0125】
(構成20)
前記電流供給動作において、前記制御部は、前記電流を前記導電部材に供給しつつ、前記第1配線を第1電位にし、
前記第1電位は、前記導電部材の電位を基準にしたときに、正及び負の一方であり、
前記第2検出動作の後において前記第1容量素子の前記一端の前記電位は、前記導電部材の前記電位を前記基準にしたときに、正及び負の前記一方であり、
前記第2検出動作の後において前記第1並列容量素子の前記一端の前記電位は、前記導電部材の前記電位を前記基準にしたときに、正及び負の他方である、構成16〜19のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
【0126】
(構成21)
前記第1検出動作及び前記第2検出動作の少なくともいずれかにおいて、前記第3部分から前記第1部分への向きの電流と、前記第3部分から前記第2部分への向きの電流と、が、前記導電部材を流れる、構成2〜6、8〜12、14、15、16〜20のいずれか1に記載の磁気記憶装置。
【0127】
(構成22)
前記第1検出動作及び前記第2検出動作の少なくともいずれかにおいて、前記第1部分から前記第3部分への向きの電流と、前記第2部分から前記第3部分への向きの電流と、が、前記導電部材を流れる、構成2〜6、8〜12、14、15、16〜20のいずれか1に記載の磁気記憶装置。
【0128】
(構成23)
前記第1検出動作及び前記第2検出動作の少なくともいずれかにおいて、電流が、前記第1部分から前記第3部分へ、及び、前記第3部分から前記第2部分へ流れる、構成2〜6、8〜12、14、15、16〜20のいずれか1に記載の磁気記憶装置。
【0129】
(構成24)
前記第1検出動作及び前記第2検出動作の少なくともいずれかにおいて、電流が、前記第2部分から前記第3部分へ、及び、前記第3部分から前記第1部分へ流れる、構成2〜6、8〜12、14、15、16〜20のいずれか1に記載の磁気記憶装置。
【0130】
(構成25)
第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含む導電部材と、
第1素子部であって、前記第1素子部は、第1素子及び第1配線を含み、前記第1素子は、第1磁性層と、前記第3部分と前記第1磁性層との間に設けられた第1対向磁性層と、前記第1対向磁性層と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、を含む、前記第1素子部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1検出動作と、前記第1検出動作の後の電流供給動作と、前記電流供給動作の後の第2検出動作と、を少なくとも実施し、
前記電流供給動作において、前記制御部は、前記第2部分から前記第1部分への電流を前記導電部材に供給し、
前記制御部は、前記第1検出動作において前記第1素子部を流れる電流と、前記第2検出動作において前記第1素子部を流れる電流と、の差に応じた信号を出力可能である、磁気記憶装置。
【0131】
(構成26)
前記制御部は、前記第2検出動作の後の別の電流供給動作をさらに実施可能であり、
前記制御部は、前記第1検出動作において前記第1素子部を流れる電流と、前記第2検出動作において前記第1素子部を流れる電流と、を記憶可能であり、
前記別の電流供給動作において、前記制御部は、前記第1部分から前記第2部分への電流を前記導電部材に供給しつつ、前記第1検出動作において前記第1素子部を流れる前記電流の記憶された値と、前記第2検出動作において前記第1素子部を流れる前記電流の記憶された値と、の少なくともいずれかに基づく電圧を前記第1素子に印加する、構成25記載の磁気記憶装置。
【0132】
(構成27)
前記第1検出動作の前において、前記第1素子は、第1記憶状態及び第2記憶状態の一方であり、
前記別の電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の前記一方である、構成25記載の磁気記憶装置。
【0133】
(構成28)
前記電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の他方である、構成27記載の磁気記憶装置。
【0134】
(構成29)
前記電流供給動作の後において、前記第1素子は、前記第1記憶状態及び前記第2記憶状態の前記一方である、構成27記載の磁気記憶装置。
【0135】
実施形態によれば、より安定した動作が得られる磁気記憶装置が提供できる。
【0136】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、電気的な素子(トランジスタなどのスイッチなど)が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を形成可能な状態を含む。
【0137】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0138】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気記憶装置に含まれる導電部材、磁性層、非磁性層、回路及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0139】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0140】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気記憶装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気記憶装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0141】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。