【実施例1】
【0021】
図1は本発明に係る安全管理システムの実施例1を示す概略構成図、
図2は
図1における矢印Aの指示するECUを中心として示す概略構成図、
図3は本発明に係るワイヤハーネスを示す概略構成図、
図4はワイヤハーネスの端末部(コネクタ)とECUの斜視図、
図5は実施例1における安全管理手段を示すブロック図、
図6は安全管理手段における処理を示すフローチャート、
図7は
図6につづき安全管理手段における処理を示すフローチャートである。
【0022】
図1において、引用符号1は、本実施例における安全管理システムを示している。本実施例における安全管理システム1は、車両2に配索され、車両2のエンジンルーム3や車両室内4に配設されるECU5やアクチュエータ6の状態を運転者等の搭乗者(以下、本明細書において「搭乗者」と称する)に対して表示するシステムである。本実施例における安全管理システム1は、本発明に係るワイヤハーネス7を備えている。以下、ECU5及びアクチュエータ6と、ワイヤハーネス7とについて説明する。
【0023】
まず、ECU5及びアクチュエータ6について説明する。
本実施例におけるECU5及びアクチュエータ6は、特許請求の範囲に記載される「自己診断機能を有する機器」に相当するものである。ECU5及びアクチュエータ6は、自己の状態を診断する機能を有するものである。
【0024】
ECU5及びアクチュエータ6は、それぞれの一側面に、コネクタ用被接続部27と、検出手段用被接続部28とが設けられている(
図4参照)。コネクタ用被接続部27は、後述するコネクタ20が電気的に接続可能に形成されている。また、検出手段用被接続部28は、コネクタ20に内蔵される後述する検出手段21が電気的に接続可能に形成されている。
【0025】
ここで、例えば、
図1の矢印Aの指示するECU5(ここでは、「ドアECU5」と称する)は、車両2の図示しないドアにおける各種の動作を制御する制御装置であり、コンピュータを有する電子制御ユニットである。ドアECU5は、例えば、操作スイッチに対する車両2の搭乗者の操作入力や他のECU5から受け取る指令に基づいて、
図2に図示するドアロックユニット9、パワーウィンドウユニット10、及び、ドアミラーユニット11それぞれを制御する。
図2に図示するパワーウィンドウスイッチユニット8は、ドアのパワーウィンドウを開閉させる操作入力がなされるスイッチである。
【0026】
ドアロックユニット9は、ドアを施錠及び解錠する図示しないドアロック機構を有する。ドアロックユニット9は、モータ12、及び、スイッチ13を有する。モータ13は、ドアロック機構を駆動する駆動装置である。モータ12は、ドアロック機構をロック状態及びアンロック状態に切り替える。スイッチ13は、ドアロック機構を施錠及び解錠させる操作入力がなされるスイッチである。ドアロックユニット9は、スイッチ13に対する操作入力に応じて、ドアを施錠及び解錠させる。
【0027】
パワーウィンドウユニット10は、モータ14を有する。モータ14は、ドアの窓を開閉させるアクチュエータである。パワーウィンドウユニット10は、パワーウィンドウスイッチユニット8に対する操作入力に応じて、モータ14が発生する力によってドアの窓を開閉させる。
【0028】
ドアミラーユニット11は、モータ15、ヒータ16、カメラ17、及び、ウィンカー18を有する。モータ15は、ドアミラーの開閉や位置調整を行うアクチュエータである。ヒータ16は、ドアミラーを温める発熱装置である。カメラ17は、車両の周辺を撮像する。ウィンカー18は、ドアミラーに配置された方向指示器である。
【0029】
つぎに、本発明に係るワイヤハーネス7について説明する。
図1に図示するように、ワイヤハーネス7は、車両2に配索されるものである。ワイヤハーネス7は、自己診断機能を有するECU5やアクチュエータ6に接続されるものであり、ECU5やアクチュエータ6とは別個にこれらの機器の状態を検出する機能をもたせたものである。
【0030】
図1及び
図2に図示するワイヤハーネス7は、ハーネス本体19と、コネクタ(接続部)20と、検出手段21と、安全管理ECU22と、警告表示手段23を備えている。なお、引用符号24は、ジャンクションブロック(電気接続箱)を、引用符号25は、リレーボックスを、引用符号26は、センサを、それぞれ示している。ジャンクションブロック24と、リレーボックス25と、センサ26とは、それぞれ、公知のものであるため、詳細な説明は省略する。以下、ワイヤハーネス7の各構成について説明する。
【0031】
まず、ハーネス本体19について説明する。
図1及び
図2に図示するように、ハーネス本体19は、ECU5、アクチュエータ6、安全管理ECU22、警告表示手段23、ジャンクションブロック24等の各種機器間を電気的に接続するものであり、本実施例におけるハーネス本体19は、電源線としての機能と、通信線(所謂、ジカ線)としての機能とを有している。
【0032】
つぎに、コネクタ20について説明する。
図1に図示するコネクタ20は、特許請求の範囲に記載される「接続部」に相当するものである。コネクタ20は、
図1に図示するように、ハーネス本体19の各端末に設けられ各種機器(
図1においては、ECU5、アクチュエータ6、安全管理ECU22、及び、ジャンクションブロック24)に接続される部材である。コネクタ20は、
図4に図示するように、ECU5の一側面に設けられたコネクタ用被接続部27に対して接続可能に形成されている。
【0033】
コネクタ20は、後述するように、各コネクタ20のうち、自己診断機能を有する機器に接続されるものに検出手段21が内蔵されている(
図3及び
図4参照)。
【0034】
つぎに、検出手段21について説明する。
検出手段21は、自己診断機能を有する機器(
図1においては、ECU5及びアクチュエータ6)の状態を、これらの機器とは別個に検出するセンサである。
図3及び
図4に図示するように、検出手段21は、コネクタ20に内蔵されている。検出手段21は、各コネクタ20すべてに備えられるのではなく、上記自己診断機能を有する機器に接続されるコネクタ20(
図1においては、黒色に着色されているコネクタ20)に備えられるものである。
【0035】
検出手段21は、コネクタ20がECU5やアクチュエータ6に接続された際に、これらの機器に接するように配置されるものである。より具体的に説明すると、コネクタ20がコネクタ用被接続部27に接続された際に、検出手段21は、検出手段用被接続部28に接続可能に形成されている。このような検出手段21によれば、ECU5等の間口のところで機器の状態を検出することができる。
【0036】
検出手段21は、この検出手段21による検出の対象となるECU5やアクチュエータ6に関して収集したいデータに合わせたものが採用される。検出手段21は、この検出手段21による検出の対象となるECU5やアクチュエータ6の温度、湿度、振動、消費電力(電流)のうち少なくとも1つを検出するものである(一例であるものとする。その他の用途の検出手段を採用してもよいものとする)。
【0037】
つぎに、安全管理ECU22について説明する。
安全管理ECU22は、ECU5やアクチュエータ6の状態の安全管理において各種の動作を制御する制御装置であり、コンピュータを有する電子制御ユニットである。安全管理ECU22は、安全管理手段29を備えている。
【0038】
安全管理手段29は、検出手段21にて検出されたECU5やアクチュエータ6の状態のデータを取り込むものであり、ECU5やアクチュエータ6の異常状態を検出し且つ異常状態を記憶し且つ車両2の搭乗者に異常状態であることを警告する機能をもたせたものである。安全管理手段29は、
図5に図示するように、入力部30と、演算部31と、記憶部32と、出力部33と、制御部34とを備えている。
【0039】
入力部30は、検出手段21と電気的に接続され、検出手段21にて検出された機器(ECU5等)の状態のデータがワイヤハーネス7を介して入力される部分として設けられている。
【0040】
演算部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、各種演算を行うものである。演算部31は、例えば、入力部30から出力されたデータと記憶部32に記憶された各種データとに基づいて演算を行うものである。演算部31は、演算結果を出力部33に出力するものである。
【0041】
記憶部32は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等から構成されている。記憶部32は、演算部31に接続され、演算部31により各種データ等の読み取りや書き込みが行われるものである。
【0042】
出力部33は、演算部31から出力された演算結果を後述する警告表示手段23に出力するものである。
【0043】
制御部34は、電子制御ユニットであり、入力部30、演算部31、記憶部32、及び、出力部33それぞれの動作を実行するものである。制御部34は、入力部30、演算部31、記憶部32、及び、出力部33として動作するための制御プログラムを予め記憶しているものである。制御部34において、入力部30、演算部31、記憶部32、及び、出力部33は、別々の制御回路であっても、共通の制御回路であってもよいものとする。
【0044】
つぎに、警告表示手段23について説明する。
警告表示手段23は、車両2内の搭乗者に対してメッセージ(警告)を伝達する伝達手段である。警告表示手段23は、例えば、運転席の前方のメータに設けられている。本実施例における警告表示手段23は、例えば、文字や図柄などの視覚情報によって搭乗者に対してメッセージを伝達するものである。
【0045】
警告表示手段23は、上記のような態様に限らず、その他の態様を採用してもよいものとする。例えば、警告表示手段23は、視覚情報に代えて、又は、視覚情報に加えて、音声などの聴覚情報によって搭乗者にメッセージを伝達するものであってもよいものとする。また、警告表示手段23は、振動等によって搭乗者にメッセージを伝達するものであってもよいものとする。
【0046】
つぎに、
図6及び
図7を参照しつつ、本実施例における安全管理システム1の動作について説明する。
図6及び
図7に図示するフローチャートは、安全管理システム1によって繰り返し実行される。
図6及び
図7に図示するフローチャートでは、状態を検出する対象となる機器は、例えば、
図1において矢印Aの指示するECU5であるものとする。
【0047】
まず、
図6に図示するステップS100において、演算部31は、検出手段21にて検出されたECU5の状態のデータを取り込むタイミングとなる時間(以下、「データ取り込みタイミング時間」と称する)を超えたか否かを判定する。具体的には、演算部31は、データ取り込みタイミング時間を予め設定しておく。演算部31が、設定したデータ取り込みタイミング時間を超えたと判定(Yes判定)した場合は、ステップS101に進む。演算部31が、設定したデータ取り込みタイミング時間を超えていないと判定(No判定)した場合は、ステップS100を繰り返す。
【0048】
ステップS101において、演算部31は、安全管理手段29に接続されているECU5をスキャンして、接続されているECU5を確認する。具体的には、演算部31は、各ECU5のうち、検出手段21が内蔵されたコネクタ20が接続されたECU5を確認する。しかる後、ステップS102に進む。
【0049】
ステップS102において、演算部31は、予め記憶部32のROMに記憶されている複数のECU5のうち、データを読み込むECU5を選択する。ここでは、
図1において矢印Aの指示するECU5を、データを読み込むECU5として選択する。しかる後、ステップS103に進む。
【0050】
ステップS103において、演算部31は、予め記憶部32のROMに記憶されている選択されたECU5の現在の状態のデータ(検出手段21にて検出されたECU5の現在の状態のデータ)を読み込む。しかる後、ステップS104に進む。
【0051】
ステップS104において、演算部31は、予め記憶部32のROMに記憶されている選択されたECU5の正常状態を示す正常データ値を示すデータを読み込む。しかる後、ステップS105に進む。
【0052】
ステップS105において、演算部31は、検出手段21にて検出されたデータと、記憶部32のROMに記憶されている選択されているデータとを比較する。しかる後、ステップS106に進む。
【0053】
ステップS106において、演算部31は、検出手段21にて検出されたデータが正常データ値と比較して異常か否かを判定する。演算部31が、異常であると判定(Yes判定)した場合は、ステップS107に進む。演算部31が、異常ではないと判定(No判定)した場合は、ステップS108に進む。
【0054】
ステップS107において、演算部31は、検出手段21にて検出されたデータと、正常データ値との差が予め設定されている許容範囲内であるか否かを判定する。演算部31が、許容範囲内であると判定(Yes判定)した場合は、ステップS109に進む。演算部31が、許容範囲内ではないと判定(No判定)した場合は、ステップS110に進む(
図6及び
図7に図示する記号A参照)。
【0055】
ステップS108において、記憶部32は、検出手段21にて検出されたデータをRAMの当該ECU5のメモリエリアに記憶する。しかる後、ステップS100に戻り、本動作フローを繰り返す(
図6に図示する記号B参照)。
【0056】
ステップS109において、記憶部32は、検出手段21にて検出されたデータと、正常データ値との差のデータをRAMの当該ECU5のメモリエリアに記憶する。しかる後、ステップS110に進む(
図6及び
図7に図示する記号A参照)。
【0057】
図7に図示するステップS110において、演算部31は、検出手段21にて検出されたデータと、正常データ値との差が異常値として処理する値か否かを判定する。演算部31が、異常値として処理する値であると判定(Yes判定)した場合は、ステップS111に進む。演算部31が、異常値として処理する値ではないと判定(No判定)した場合は、ステップS112に進む
【0058】
ステップS111において、出力部33は、ステップS110における演算結果(異常値として処理する値であるとの判定)を警告表示手段23に出力する。しかる後、警告表示手段23は、例えば、文字や図柄などの視覚情報によって搭乗者に対してメッセージ(警告)を発し、本動作フローが終了する。
【0059】
ステップS112において、記憶部32は、検出手段21にて検出されたデータと、正常データ値との差の範囲をRAMの当該ECU5のメモリエリアに記憶する。しかる後、ステップS113に進む。
【0060】
ステップS113において、演算部31は、安全管理手段29に接続されているECU5のすべてのECU5のデータの読み込みを完了したか否かを判定する。演算部31が、読み込みを完了したと判定(Yes判定)した場合は、ステップS114に進む。演算部31が、読み込みを完了していないと判定(No判定)した場合は、ステップS102に戻り、本動作フローを繰り返す(
図6及び
図7に図示する記号C参照)。
【0061】
ステップS114において、演算部31は、安全管理手段29に接続されている各ECUのうち、つぎにデータを読み込むECUを選択する。しかる後、ステップS103に戻り、本動作フローを繰り返す(
図6及び
図7に図示する記号D参照)。
【0062】
以上のような本実施例によれば、検出手段21にて検出されたデータは、アナログ信号やデジタル信号として、ワイヤハーネス7を介して送られ、安全管理手段29で管理分析したり、ECU5等の各機器間で共有するなどの形をとり、活用することができる。
【0063】
本実施例によれば、つぎのような課題に対しても有効である。
すなわち、従来技術では、故障が生じたECU等の電気電子機器に関して、自己診断での故障解析が難しく、その使用環境についてもログデータがある程度そろっていることが求められていた。また、上記データがあれば、さらに一歩進んだ応用の可能性があるが、現状ではそのような仕組みがなかった。
【0064】
本実施例によれば、故障や異常の生じたECU5等の機器の自己診断やステータス情報と合わせて故障や異常の発生前後でどのような環境変化が起きていたのかが分かり、故障や異常の原因解析に役立てることができる。また、故障や異常の原因となる設計の改善を行うだけでなく、当該機器の使用中に再度、故障や異常が生じるような虞のある状況や条件に対しての警告や、上記状況に陥る前に電流値を低減するなどの新しい電源制御ロジック開発の参考とすることができる。
【0065】
本実施例のような仕組みが普及することで、ECU5等の機器の故障や異常発生を低減できるようなり、自動運転車のような高信頼性の求められる車載電気電子機器へのニーズを満たすことができる。
【0066】
つぎに、本実施例の効果について説明する。
以上、
図1−
図7を参照しながら説明してきたように、本実施例によれば、ECU5等の機器の状態をワイヤハーネス7を介して第三者的に監視でき、システム状態把握の信頼性の向上を図ることができる。したがって、コストを抑えつつ機器の状態の監視を二重にし機能安全性の確保を図ることができるという効果を奏する。
【0067】
その他、本実施例によれば、ECU5等の機器による自己診断だけでは難しい劣化、故障等の原因解析をサポートし、設計改善、故障予測、電源制御ロジックの生成などに効果が期待できる。