(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱加圧ヘッドによる圧着対象物の熱圧着時に前記圧着対象物と前記熱加圧ヘッドとの間に配置されて、前記圧着対象物と前記熱加圧ヘッドとの固着を防ぐための耐熱離型シートであって、
300℃における表面硬さが、式:A300(%)=(d300/t0)×100により与えられる押込み度A300により表示して、9.5%以下である耐熱離型シート。
ただし、t0は、常温(20℃)における前記耐熱離型シートの厚さである。d300は、以下の測定条件に基づく熱機械分析(TMA)により評価した、前記耐熱離型シートに対する300℃での針入プローブの押込み量である。
[測定条件]
・測定モード:針入モード、昇温測定
・針入プローブの形状及び先端径:円柱状及び1mmφ
・印加圧力:1MPa
・昇温開始温度及び昇温速度:20℃及び10℃/分
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
[耐熱離型シート]
本発明の耐熱離型シートの一例を
図1に示す。
図1に示す耐熱離型シート1は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と記載)シート2から構成される。
図1の耐熱離型シート1は、PTFEシート2の単層構造を有している。耐熱離型シート1は、シート2に含まれるPTFEに由来する高い耐熱性及び離型性を有している。
【0013】
耐熱離型シート1の300℃における表面硬さは、式:A
300(%)=(d
300/t
0)×100により与えられる押込み度A
300により表示して、15%以下である。ここで、t
0は、常温(20℃)における耐熱離型シート1の厚さである。d
300は、以下の測定条件に基づくTMAにより評価した、耐熱離型シート1に対する300℃での針入プローブの押込み量である。
[測定条件]
・測定モード:針入モード、昇温測定
・針入プローブの形状及び先端径:円柱状及び1mmφ
・印加圧力:1MPa
・昇温開始温度及び昇温速度:20℃及び10℃/分
【0014】
押込み度A
300は、14.5%以下、14%以下、13.5%以下、13%以下、12.5%以下、12%以下、11.5%以下、11%以下、10.5%以下、10%以下、9.5%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、5%以下、4.5%以下、さらには4%以下であってもよい。押込み度A
300の下限は、例えば−5%以上であり、−4%以上、−3%以上、−2%以上、さらには−1%以上であってもよい。なお、耐熱離型シート1の熱膨張に起因して、押込み度A
300は負の値をとることがある。
【0015】
図1の耐熱離型シート1はPTFEシート2から構成される。ただし、300℃における表面硬さが押込み度A
300により表示して15%以下である限り、本発明の耐熱離型シート1に含まれる樹脂は、PTFEに限定されない。耐熱離型シート1の耐熱性を考慮すると、耐熱離型シート1に含まれる樹脂は、310℃以上の融点及び/又は210℃以上のガラス転移温度を有することが好ましい。融点は、310℃超、315℃以上、320℃以上、さらには325℃以上であってもよい。融点の上限は、例えば400℃以下である。ガラス転移温度は、220℃以上、230℃以上、240℃以上、さらには250℃以上であってもよい。ガラス転移温度は、例えば300℃以下である。なお、本明細書における「樹脂の融点」とは、示差走査熱量測定(以下、「DSC」と記載)において一定の昇温速度、例えば10℃/分、で樹脂を昇温した場合に測定される「結晶融解に基づく吸熱ピーク」のピーク温度を意味する。また、本明細書における「樹脂のガラス転移温度」とは、DSCにおいて一定の昇温速度、例えば10℃/分、で樹脂を昇温した場合に測定される「ガラス転移に基づく吸熱ピーク」のピーク温度を意味する。
【0016】
本発明の耐熱離型シート1に含まれうる樹脂は、例えば、PTFE、変性PTFE、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から選ばれる少なくとも1種であり、PTFE、変性PTFE、ポリアミドイミド及びPEEKから選ばれる少なくとも1種であってもよく、PTFE及び/又は変性PTFEであってもよい。耐熱離型シート1は、PTFEシート、変性PTFEシート、ポリイミドシート、ポリアミドイミドシート又はPEEKシートを含んでいてもよく、PTFEシート、変性PTFEシート、ポリアミドイミドシート又はPEEKシートを含んでいてもよく、PTFEシート又は変性PTFEシートを含んでいてもよい。
【0017】
変性PTFEは、TFEと変性コモノマーとの共重合体である。変性PTFEとして分類されるためには、共重合体におけるテトラフルオロエチレン(TFE)単位の含有率は99質量%以上が必要とされている。変性PTFEは、例えば、TFEと、エチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル及びヘキサフルオロプロピレンから選ばれる少なくとも1種の変性コモノマーとの共重合体である。
【0018】
耐熱離型シート1における少なくとも一方の主面(主面3A及び/又は主面3B)に対して、当該主面における上記表面硬さを高める改質処理、言い換えると、押込み度A
300を低下させる改質処理、が施されていてもよい。当該改質処理が施された耐熱離型シート1では、熱圧着温度のさらなる上昇に対してさらに確実な対応が可能となる。改質処理は、耐熱離型シートに含まれるものとは異なる樹脂及び/又は化合物から構成される新たな層及び/又は被膜を上記少なくとも一方の主面に対して形成することのない処理が好ましい。当該処理の例は、上記少なくとも一方の主面を変性する処理である。当該処理によれば、例えば、耐熱離型シート1としての熱伝導性を保持できる。また、形成した新たな層及び/又は被膜が熱圧着時の高温により分解して生じた分解物による熱加圧ヘッド及び/又は圧着対象物の汚染を防止できる。
【0019】
熱加圧ヘッドによる熱圧着では、耐熱離型シート1における熱加圧ヘッドに接する主面の方が、圧着対象物に接する主面に比べて高い温度に晒されることになる。このため、一方の主面に対して上記改質処理が施された耐熱離型シート1は、当該一方の主面が熱加圧ヘッドに接するように使用されることが好ましい。
【0020】
耐熱離型シート1がPTFEシート又は変性PTFEシートを含む場合、改質処理は、例えば、上記一方の主面に対する化学的な処理である。化学的な処理の例は、金属ナトリウム処理である。ただし、改質処理は、この例に限定されない。PTFEシート及び変性PTFEシートに対する金属ナトリウム処理では、当該シートの処理面においてフッ素原子の引き抜きと炭素化(carbonization)とが進行し、これにより、処理面の表面硬さが向上すると推定される。金属ナトリウム処理は、例えば、処理対象であるPTFEシート又は変性PTFEシートにおける上記少なくとも一方の主面に対して金属ナトリウムを含む処理液を塗布したり、処理対象であるPTFEシート又は変性PTFEシートを当該処理液に浸漬して実施できる。なお、浸漬する方法によれば、PTFEシート又は変性PTFEシートの双方の主面に対して改質処理を実施することも可能である。
【0021】
金属ナトリウム処理に使用する処理液は、例えば、金属ナトリウムのアンモニア溶液、金属ナトリウム・ナフタレン錯体のテトラヒドロフラン溶液である。処理液として、市販の処理液(例えば、テクノス製フロロボンダー(登録商標))を使用してもよい。
【0022】
なお、PTFEシートに対する金属ナトリウム処理によって処理面の被接着性が向上することが知られている。耐熱離型シートとして使用する場合に、とりわけ、熱圧着温度をさらに上昇させたときに離型性を向上できる作用は、本発明者らによって初めて見出されたものである。
【0023】
PTFEシート2は、好ましくは、焼成を経たPTFEを含む焼成PTFEシートである。なお、本明細書においてPTFEの焼成とは、重合により得たPTFEをその融点(327℃)以上の温度、例えば340〜380℃、に加熱することを意味する。
【0024】
耐熱離型シート1の厚さは、例えば1〜50μmであり、5〜40μm、10〜35μm、20〜35μm、さらには25〜35μmであってもよい。
【0025】
耐熱離型シート1の引張強度は、耐熱離型シート1に含まれる樹脂の種類によっても異なるが、例えば30MPa以上であり、33MPa以上、35MPa以上、40MPa以上、45MPa以上、50MPa以上、55MPa以上、60MPa以上、80MPa以上、100MPa以上、150MPa以上、200MPa以上、220MPa以上、240MPa以上、さらには260MPa以上であってもよい。引張強度の上限は、例えば500MPa以下である。これらの範囲の引張強度を有する耐熱離型シート1によれば、熱加圧ヘッドと圧着対象物との間への搬送による供給をより確実かつ安定して実施できる。
【0026】
耐熱離型シート1の最大引張伸びは、耐熱離型シート1に含まれる樹脂の種類によっても異なるが、例えば380%以下であり、360%以下、340%以下、300%以下、280%以下、250%以下、200%以下、180%以下、150%以下、130%以下、120%以下、100%以下、50%以下、40%以下、さらには35%以下であってもよい。最大引張伸びの下限は、例えば5%以上である。これらの範囲の最大引張伸びを有する耐熱離型シート1、特に300%以下の最大引張伸びを有する耐熱離型シート1、によれば、熱加圧ヘッドと圧着対象物との間への搬送による耐熱離型シート1の供給時に、熱加圧ヘッド及び/又は圧着対象物と耐熱離型シート1との間に部分的に接合が生じたときにも、伸びによってシート1がこれらの部材に追従することを抑制できる。言い換えると、熱加圧ヘッド及び/又は圧着対象物に対する耐熱離型シート1の離型性をさらに向上できる。
【0027】
耐熱離型シート1の引張強度及び最大引張伸びは、引張試験機を用いた引張試験により求めることができる。引張試験における引張方向は、例えば、耐熱離型シート1の長手方向(MD方向)である。試験片の形状は、例えば、日本工業規格(JIS)K6251:1993に定められたダンベル1号形である。上記試験片を使用する場合の測定条件は、例えば、試験片の標線間距離40mm、チャック間距離70mm及び引張速度200mm/分である。最大引張伸びは、試験前の上記標線間距離と、破断時の標線間距離とから算出できる。測定温度は、例えば、25±10℃である。
【0028】
耐熱離型シート1では、主面3A及び/又は主面3B上に他の層が配置されていてもよい。しかし、耐熱離型シート1としての良好な熱伝導性を確保するためには、耐熱離型シート1の主面上には他の層が配置されていないことが好ましい。言い換えると、耐熱離型シート1は単層であることが好ましい。
【0029】
耐熱離型シート1は、好ましくは、非多孔質シートである。耐熱離型シート1は、シート1に含まれる材料、例えばPTFE、の有する高い撥液性(撥水性及び撥油性)に基づいて、水等の流体(fluid)を厚さ方向に透過しない不透性シートであってもよい。また、耐熱離型シート1は、当該シート1に含まれる材料、例えばPTFE、の有する高い絶縁性に基づいて、絶縁性シート(非導電シート)であってもよい。
【0030】
耐熱離型シート1の形状は、例えば、正方形及び長方形を含む多角形、円形、楕円形、並びに帯状である。多角形の角は丸められていてもよい。ただし、耐熱離型シート1の形状は、これらの例に限定されない。多角形、円形及び楕円形の耐熱離型シート1は枚葉としての流通が、帯状の耐熱離型シート1は、巻芯に巻回した巻回体(ロール)としての流通が、それぞれ可能である。帯状である耐熱離型シート1の幅、及び、帯状である耐熱離型シート1を巻回した巻回体の幅は、自由に設定できる。
【0031】
[耐熱離型シートの製造方法]
耐熱離型シート1の製造方法の一例を、PTFEシート2又は変性PTFEシートから構成される耐熱離型シート1を例として、以下に説明する。ただし、耐熱離型シート1の製造方法は、以下に示す例に限定されない。
【0032】
最初に、PTFE粉末(モールディングパウダー)を金型に導入し、金型内の粉末に対して所定の圧力を所定の時間加えて予備成形する。予備成形は常温で実施できる。金型の内部空間の形状は、後述の切削旋盤による切削を可能とするために円柱状であることが好ましい。この場合、円柱状の予備成形品及びPTFEブロックを得ることができる。次に、得られた予備成形品を金型から取り出し、PTFEの融点(327℃)以上の温度で所定の時間焼成して、PTFEブロックを得る。次に、得られたPTFEブロックを所定の厚さに切削することで、切削シート(スカイブシート)であるPTFEシート2が得られる。得られたPTFEシート2は、そのまま耐熱離型シート1として使用しても、所定の処理や他の層の積層等を経た後に耐熱離型シート1として使用してもよい。処理の例は、上記表面硬さを高める改質処理である。改質処理の例は、金属ナトリウム処理である。耐熱離型シート1の引張強度を高めたり、最大引張伸びを抑制するために、PTFEシート2を延伸及び/又は圧延してもよい。PTFEブロックが円柱状である場合には、ブロックを回転させながら連続的に表面を切削する切削旋盤の利用が可能となり、PTFEシート2及び耐熱離型シート1を効率的に形成できる。また、切削旋盤によれば、形成するPTFEシート2及び耐熱離型シート1の厚さの制御が比較的容易であり、帯状のPTFEシート2及び耐熱離型シート1も形成できる。また、PTFE粉末に代わって変性PTFE粉末を用いることで、上記方法により、変性PTFEシートを形成できる。
【0033】
耐熱離型シート1は、以下の方法により製造してもよい。
【0034】
最初に、PTFE分散液を表面に塗布する基材シートを準備する。基材シートは、例えば、樹脂、金属、紙及びこれらの複合材料から構成される。基材シートにおけるPTFE分散液を塗布する表面には、基材シートからのPTFEシート2の剥離を容易にするための剥離処理が施されていてもよい。剥離処理には公知の方法を適用できる。次に、基材シートの表面にPTFE分散液の塗布膜を形成する。PTFE分散液の塗布には、公知の各種のコーターを使用できる。基材シートをPTFE分散液に浸漬することにより、基材シートの表面にPTFE分散液を塗布してもよい。次に、基材シートの表面に形成したPTFE分散液の塗布膜から、乾燥及び焼成によってPTFEシートを形成する。次に、形成したPTFEシートを基材シートから剥離して、キャストシートであるPTFEシート2を得る。得られたPTFEシート2は、そのまま耐熱離型シート1として使用しても、所定の処理や他の層の積層等を経た後に耐熱離型シート1として使用してもよい。処理の例は、上述のとおりである。耐熱離型シート1の引張強度を高めたり、最大引張伸びを抑制するために、PTTFEシート2を延伸及び/又は圧延してもよい。この方法では、基材シートに対するPTFE分散液の塗布厚み及び/又は塗布回数によって、形成するPTFEシート2及び耐熱離型シート1の厚さを制御できる。また、PTFE分散液に代わって変性PTFE分散液を用いることで、上記方法により、変性PTFEシートを形成できる。
【0035】
[耐熱離型シートの使用]
図2に示すように、耐熱離型シート1は、熱加圧ヘッド21による圧着対象物22の熱圧着時に熱加圧ヘッド21と圧着対象物22との間に配置して両者の固着を防ぐ耐熱離型シートとして使用できる。耐熱離型シート1は離型性に優れている。耐熱離型シート1によれば、熱圧着時の熱による、熱加圧ヘッド21及び/又は圧着対象物22に対する当該シート1の固着(熱固着)を防ぐことができる。
【0036】
耐熱離型シート1は、熱加圧ヘッド21と圧着対象物22との間に搬送により供給及び配置してもよい。搬送により供給及び配置される耐熱離型シート1は、例えば、帯状である。
【0037】
圧着対象物22は、例えば、半導体チップ、PCB、電子部品である。耐熱離型シート1は、例えば、熱圧着による半導体チップの製造及びフリップチップ実装、PCBの製造、並びに電子部品の接続等に使用できる。
【0038】
熱圧着時における熱加圧ヘッド21の加熱設定温度、言い換えると、耐熱離型シート1の使用温度は、例えば300℃以上とすることができる。使用温度は、310℃以上、320℃以上、330℃以上、さらには340℃以上であってもよい。ただし、耐熱離型シート1の使用温度は、これらの範囲に限定されない。上記例示より低い使用温度での耐熱離型シート1の使用も可能である。
【0039】
[熱圧着方法]
本発明の耐熱離型シート1を用いて圧着対象物22を熱圧着できる。当該熱圧着方法は、熱加圧ヘッド21による圧着対象物22の熱圧着方法であって、熱加圧ヘッド21と圧着対象物22との間に耐熱離型シート1を配置した状態で、熱加圧ヘッド21により圧着対象物22を熱圧着する。耐熱離型シート1は、例えば搬送により、熱加圧ヘッド21と圧着対象物22との間に供給及び配置できる。
【0040】
[熱圧着物の製造方法]
本発明の耐熱離型シート1を用いて熱圧着物を製造できる。当該熱圧着物の製造方法は、熱加圧ヘッド21と圧着対象物22との間に耐熱離型シート1を配置した状態で熱加圧ヘッド21を用いた圧着対象物22の熱圧着を実施して、圧着対象物22の熱圧着体である熱圧着物を得る工程、を含む。熱圧着物の例は、PCB及び電子部品である。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0042】
最初に、本実施例において作製した耐熱離型シートの評価方法を示す。
【0043】
[表面硬さ(押込み度A
300)]
300℃における表面硬さとして、押込み度A
300を上述の方法により評価した。具体的には、次のとおりである。最初に、評価対象である耐熱離型シートを7mm×7mmの正方形に切り出して試験片を得た。次に、厚さt
0として、試験片の厚さをマイクロメーター(ミツトヨ製)により測定した。次に、TMA測定装置(BRUKER製、TMA4000S)の評価台上に試験片を戴置し、径1mmの円柱状の針入プローブを使用して、試験片に対する300℃での針入プローブの押込み量d
300を測定した。測定モードは、針入モード及び昇温測定とした。なお、試験片に加える印加圧力は1MPaの一定圧力とし、昇温開始温度を20℃、昇温速度を10℃/分とした。測定された厚さt
0及び押込み量d
300から、式:A
300(%)=(d
300/t
0)×100により押込み度A
300を求めた。
【0044】
[熱圧着時の離型性]
熱圧着時の離型性(熱加圧ヘッドに対する離型性)を以下のように評価した。
【0045】
熱加圧ヘッドとステージとを備える熱圧着装置(東レエンジニアリング製、フリップチップボンダーFC−3000W)のステージ上に、サイズ20mm×100mmの長方形に裁断した評価対象の耐熱離型シートを配置した。耐熱離型シートは、熱圧着試験に耐えられるだけの耐熱性を有する粘着テープ(日東電工製No.360UL、厚さ60μm、幅19mm、ポリイミド基材を有する)を用いて、ステージに貼り付けて固定した。具体的には、ステージ上に戴置した耐熱離型シートの各短辺に対して、耐熱離型シートに対する接着幅10mm及びステージに対する接着幅9mmで上記粘着テープを貼りつけて固定した。使用した粘着テープの長さは50mmとし、粘着テープにおける長さ方向の中央部が耐熱離型シートに接するようにした。ステージの設定温度は120℃とした。次に、20Nの加圧圧力に達するように熱加圧ヘッドを下降させた後、当該ヘッドを330℃に昇温して加圧時間10秒の熱圧着試験を実施して、熱加圧ヘッドに対する耐熱離型シートの熱固着が生じるかを評価した。熱圧着試験後に熱加圧ヘッドを上昇させたときに、ステージからの粘着テープの剥がれが生じることなく耐熱離型シートが熱加圧ヘッドから剥離した場合を離型性良(○)、耐熱離型シートが剥離しなかった場合、又は耐熱離型シートは剥離したが粘着テープにステージからの剥がれが生じた場合を離型性不可(×)と判断した。
【0046】
[引張強度及び最大引張伸び]
引張強度(引張破断強度)及び最大引張伸びは、引張試験機(島津製作所製、AG−I)を用いた引張試験により求めた。引張方向は、耐熱離型シートの長手方向(MD方向)とした。試験片の形状は、JIS K6251:1993に定められたダンベル1号形とした。測定条件は、測定温度25℃、試験片の標線間距離40mm、チャック間距離70mm及び引張速度200mm/分とした。最大引張伸びは、試験前の上記標線間距離と、破断時の標線間距離とから算出した。
【0047】
(実施例1)
PTFE粉末(ダイキン工業製、ポリフロン PTFE M−18)を円筒状の金型に導入し、温度23℃、圧力8.5MPa及び圧力印加時間1時間の条件で予備成形した。次に、形成された予備成形品を金型から取り出し、370℃で24時間焼成して、高さ300mm、外径470mmの円柱状であるPTFEブロックを得た。次に、得られたPTFEブロックを切削旋盤により切削して、厚さ50μmのPTFE切削フィルムを得た。次に、得られた切削フィルムを、170℃に保持した一対の金属ロールを備えるロール圧延装置により圧延して、厚さ30μmのPTFEシートである実施例1の耐熱離型シートを得た。実施例1の耐熱離型シートの押込み度A
300は0.3%、引張強度は66.2MPa、最大引張伸びは120%、離型性の評価結果は良(○)であった。なお、実施例1の耐熱離型シートを構成するPTFEの融点は327℃以上であった。
【0048】
(実施例2)
実施例1で作製した耐熱離型シートを金属ナトリウムを含む処理液(テクノス製フロロボンダー(登録商標))に浸漬した後に引き上げ、アセトンにより洗浄した。次に、純水に浸漬して洗浄した後、100℃で1分間乾燥させることで、双方の主面を金属ナトリウム処理した実施例2の耐熱離型シートを得た。処理液への浸漬時間は30秒とした。実施例2の耐熱離型シートの押込み度A
300は0.1%、引張強度は59.9MPa、最大引張伸びは118%、離型性の評価結果は良(○)であった。なお、実施例2の耐熱離型シートを構成するPTFEの融点は327℃以上であった。
【0049】
(実施例3)
実施例1で作製したPTFEブロックを切削旋盤により切削して、厚さ30μmのPTFE切削フィルムを得た。これを、実施例3の耐熱離型シートとした。実施例3の耐熱離型シートの押込み度A
300は11%、引張強度は34.6MPa、最大引張伸びは177%、離型性の評価結果は良(〇)であった。なお、実施例3の耐熱離型シートを構成するPTFEの融点は327℃以上であった。
【0050】
(実施例4)
実施例3で作製した耐熱離型シートに対して、実施例2と同様の金属ナトリウム処理を実施した。処理後のシートを実施例4の耐熱離型シートとした。実施例4の耐熱離型シートの押込み度A
300は0.1%、引張強度は33.1MPa、最大引張伸びは180%、離型性の評価結果は良(○)であった。なお、実施例4の耐熱離型シートを構成するPTFEの融点は327℃以上であった。
【0051】
(実施例5)
PTFE粉末の代わりに変性PTFE粉末(3M製、ダイニオンTFM 変性PTFE TFM1700、TFE単位の含有率99質量%以上)を使用した以外は実施例1と同様にして、変性PTFEブロックを得た。得られた変性PTFEブロックを切削旋盤により切削して、厚さ30μmの変性PTFE切削フィルムを得た。これを、実施例5の耐熱離型シートとした。実施例5の耐熱離型シートの押込み度A
300は10%、引張強度は42.1MPa、最大引張伸びは278%、離型性の評価結果は良(〇)であった。なお、実施例5の耐熱離型シートを構成する変性PTFEの融点は327℃以上であった。
【0052】
(実施例6)
実施例5で作製した耐熱離型シートに対して、実施例2と同様の金属ナトリウム処理を実施した。処理後のシートを実施例6の耐熱離型シートとした。実施例6の耐熱離型シートの押込み度A
300は0.2%、引張強度は43.1MPa、最大引張伸びは270%、離型性の評価結果は良(○)であった。なお、実施例6の耐熱離型シートを構成するPTFEの融点は327℃以上であった。
【0053】
評価結果を以下の表1にまとめる。
【0054】
【表1】