(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トグル対称性評価部は、前記バランス変化計測部の計測結果に基づき、一の前記リンク群における前記第1リンクと前記第2リンクとのなす角と、他の一の前記リンク群における前記第1リンクと前記第2リンクとのなす角との大小関係を判定する、請求項1または2に記載の射出成形機。
屈伸可能に連結される第1リンクおよび第2リンクを含むリンク群を一対有するダブルトグル機構と、前記ダブルトグル機構を作動させることによって生じる型締力に応じて型開閉方向に伸びる複数本のタイバーとを有する型締装置によって金型装置の型閉、型締および型開を行い、型締状態の前記金型装置の内部に成形材料を充填して成形品を製造する、射出成形方法であって、
型締によって生じる複数本の前記タイバーの歪を計測することにより、複数本の前記タイバーのバランスを計測することと、
型締力を変更したときの前記バランスの変化を計測することにより、前記ダブルトグル機構の対称性を評価することとを行う、射出成形方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0012】
(射出成形機)
図1は、一実施形態による射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
図2は、一実施形態による射出成形機の型締時の状態を示す図である。
図1〜
図2において、X方向、Y方向およびZ方向は互いに垂直な方向である。X方向およびY方向は水平方向を表し、Z方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X方向は型開閉方向であり、Y方向は射出成形機の幅方向である。
図1〜
図2に示すように、射出成形機は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、制御装置700と、フレームFrとを有する。以下、射出成形機の各構成要素について説明する。
【0013】
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(
図1および
図2中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(
図1および
図2中左方向)を後方として説明する。
【0014】
型締装置100は、金型装置10の型閉、型締、型開を行う。型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、および型厚調整機構180を有する。
【0015】
固定プラテン110は、フレームFrに対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型11が取付けられる。
【0016】
可動プラテン120は、フレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされる。フレームFr上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型12が取付けられる。
【0017】
固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型11と可動金型12とで金型装置10が構成される。
【0018】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて連結され、フレームFr上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、フレームFr上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
【0019】
尚、本実施形態では、固定プラテン110がフレームFrに対し固定され、トグルサポート130がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート130がフレームFrに対し固定され、固定プラテン110がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
【0020】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。各タイバー140は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0021】
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0022】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配設され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。各リンク群は、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152および第2リンク153を有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152および第2リンク153が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0023】
尚、トグル機構150の構成は、
図1および
図2に示す構成に限定されない。例えば
図1および
図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0024】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152および第2リンク153を屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0025】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0026】
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程などを行う。
【0027】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型12を固定金型11にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の速度を検出するクロスヘッド速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の速度を検出する可動プラテン速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0028】
型締工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型12と固定金型11との間にキャビティ空間14(
図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間14に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間14の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
【0029】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型12を固定金型11から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型12から成形品を突き出す。
【0030】
型閉工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および型締工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、型開工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型締位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0031】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0032】
金型装置10の交換や金型装置10の温度変化などにより金型装置10の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型12が固定金型11にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0033】
型締装置100は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0034】
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転は、回転伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0035】
回転伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0036】
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させることで、ねじナット182を回転自在に保持するトグルサポート130の固定プラテン110に対する位置を調整し、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0037】
尚、本実施形態では、ねじナット182がトグルサポート130に対し回転自在に保持され、ねじ軸181が形成されるタイバー140が固定プラテン110に対し固定されるが、本発明はこれに限定されない。
【0038】
例えば、ねじナット182が固定プラテン110に対し回転自在に保持され、タイバー140がトグルサポート130に対し固定されてもよい。この場合、ねじナット182を回転させることで、間隔Lを調整できる。
【0039】
また、ねじナット182がトグルサポート130に対し固定され、タイバー140が固定プラテン110に対し回転自在に保持されてもよい。この場合、タイバー140を回転させることで、間隔Lを調整できる。
【0040】
さらにまた、ねじナット182が固定プラテン110に対し固定され、タイバー140がトグルサポート130に対し回転自在に保持されてもよい。この場合、タイバー140を回転させることで間隔Lを調整できる。
【0041】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0042】
型厚調整機構180は、互いに螺合するねじ軸181とねじナット182の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構180が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ183が用いられてもよい。
【0043】
尚、本実施形態の型厚調整機構180は、間隔Lを調整するため、タイバー140に形成されるねじ軸181とねじ軸181に螺合されるねじナット182とを有するが、本発明はこれに限定されない。
【0044】
例えば、型厚調整機構180は、タイバー140の温度を調節するタイバー温調器を有してもよい。タイバー温調器は、各タイバー140に取付けられ、複数本のタイバー140の温度を連携して調整する。タイバー140の温度が高いほど、タイバー140は熱膨張によって長くなり、間隔Lが大きくなる。複数本のタイバー140の温度は独立に調整することも可能である。
【0045】
タイバー温調器は、例えばヒータなどの加熱器を含み、加熱によってタイバー140の温度を調節する。タイバー温調器は、水冷ジャケットなどの冷却器を含み、冷却によってタイバー140の温度を調節してもよい。タイバー温調器は、加熱器と冷却器の両方を含んでもよい。
【0046】
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。竪型の型締装置は、下プラテン、上プラテン、トグルサポート、タイバー、トグル機構、および型締モータなどを有する。下プラテンと上プラテンのうち、いずれか一方が固定プラテン、残りの一方が可動プラテンとして用いられる。下プラテンには下金型が取付けられ、上プラテンには上金型が取付けられる。下金型と上金型とで金型装置が構成される。下金型は、ロータリーテーブルを介して下プラテンに取付けられてもよい。トグルサポートは、下プラテンの下方に配設され、タイバーを介して上プラテンと連結される。タイバーは、上プラテンとトグルサポートとを型開閉方向に間隔をおいて連結する。トグル機構は、トグルサポートと下プラテンとの間に配設され、可動プラテンを昇降させる。型締モータは、トグル機構を作動させる。型締装置が竪型である場合、タイバーの本数は通常3本である。尚、タイバーの本数は特に限定されない。
【0047】
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0048】
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(
図1および
図2中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(
図1および
図2中左方向)を後方として説明する。
【0049】
エジェクタ装置200は、金型装置10から成形品を突き出す。エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210、運動変換機構220、およびエジェクタロッド230などを有する。
【0050】
エジェクタモータ210は、可動プラテン120に取付けられる。エジェクタモータ210は、運動変換機構220に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構220に連結されてもよい。
【0051】
運動変換機構220は、エジェクタモータ210の回転運動をエジェクタロッド230の直線運動に変換する。運動変換機構220は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0052】
エジェクタロッド230は、可動プラテン120の貫通穴において進退自在とされる。エジェクタロッド230の前端部は、可動金型12の内部に進退自在に配設される可動部材15と接触する。エジェクタロッド230の前端部は、可動部材15と連結されていても、連結されていなくてもよい。
【0053】
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。
【0054】
突き出し工程では、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材15を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で後退させ、可動部材15を元の待機位置まで後退させる。エジェクタロッド230の位置や速度は、例えばエジェクタモータエンコーダ211を用いて検出する。エジェクタモータエンコーダ211は、エジェクタモータ210の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド230の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド230の速度を検出するエジェクタロッド速度検出器は、エジェクタモータエンコーダ211に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0055】
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(
図1および
図2中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(
図1および
図2中右方向)を後方として説明する。
【0056】
射出装置300は、フレームFrに対し進退自在なスライドベース301に設置され、金型装置10に対し進退自在とされる。射出装置300は、金型装置10にタッチされ、金型装置10内のキャビティ空間14に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360などを有する。
【0057】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0058】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(
図1および
図2中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0059】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置10に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
【0060】
スクリュ330は、シリンダ310内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置10内に充填される。
【0061】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0062】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(
図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0063】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(
図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0064】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
【0065】
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0066】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
【0067】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
【0068】
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
【0069】
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0070】
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。
【0071】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転数で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転数は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転数を検出するスクリュ回転数検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0072】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0073】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置10内のキャビティ空間14に充填させる。スクリュ330の位置や速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
【0074】
尚、充填工程においてスクリュ330の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の速度を検出するスクリュ速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0075】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置10に向けて押す。金型装置10内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。
【0076】
保圧工程では金型装置10内のキャビティ空間14の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間14の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間14からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間14内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0077】
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0078】
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0079】
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(
図1および
図2中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(
図1および
図2中右方向)を後方として説明する。
【0080】
移動装置400は、金型装置10に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置10に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
【0081】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切り替えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
【0082】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0083】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0084】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型11に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0085】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型11から離間される。
【0086】
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0087】
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、
図1〜
図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
【0088】
制御装置700は、型閉工程や型締工程、型開工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。また、制御装置700は、型締工程の間に、計量工程や充填工程、保圧工程などを行う。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、および突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の開始から型締工程の終了までの間に行われる。型締工程の終了は型開工程の開始と一致する。尚、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
【0089】
制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。操作装置750は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた操作画面を表示する。
【0090】
操作画面は、射出成形機の設定などに用いられる。操作画面は、複数用意され、切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760で表示される操作画面を見ながら、操作装置750を操作することにより射出成形機の設定(設定値の入力を含む)などを行う。
【0091】
操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。
【0092】
(トグル機構の対称性の評価)
制御装置700は、型締によって生じる複数本のタイバー140の歪を計測することにより、複数本のタイバー140のバランスを計測するタイバーバランス計測装置としての機能を有する。タイバー140の歪は、タイバー歪検出器141によって検出する。タイバー歪検出器141は、各タイバー140に取付けられており、各タイバー140の歪を検出する。
【0093】
図3は、一実施形態による射出成形機に備えられる複数本のタイバーの位置関係を示す図であって、可動プラテン側から固定プラテンを見た図である。型締装置100は、タイバー140を例えば4本有する。
図3において、X方向、Y方向およびZ方向は互いに垂直な方向である。型開閉方向はX方向である。型締装置100が横型である場合、X方向およびY方向が水平方向、Z方向が鉛直方向である。トグル機構150は、Z方向に間隔をおいて一対のリンク群を有するダブルトグル機構である。
【0094】
4本のタイバー140は、型開閉方向視において、水平線L1を中心に上下対称に配設され、且つ、鉛直線L2を中心に左右対称に配設される。水平線L1および鉛直線L2は、型開閉方向視において、トグル機構150の中心線CLを通るものである。
【0095】
4本のタイバー140は、それぞれ、型締によって伸びる。複数本のタイバー140の歪(例えば伸び)を計測することで、複数本のタイバー140のバランスを計測できる。複数本のタイバー140のバランスのことを、「タイバーバランス」とも呼ぶ。
【0096】
タイバーバランスは、複数本のタイバー140の歪のばらつきで表される。歪のばらつきは、例えば歪の差で表される。型締力が大きいほど歪が大きくなるため、型締力の大きさが歪の大きさに与える影響を除去すべく、歪の差は歪の平均値に対する割合で表されてもよい。その割合は、百分率(%)で表されてもよい。
【0097】
タイバーバランスは、例えば型締時に固定金型11と可動金型12との面圧が目標の分布になるように設定される。目標の分布は、均一分布、不均一分布のいずれでもよく、状況に応じて設定される。成形不良を低減することができる。
【0098】
目標の分布はデフォルトでは均一分布であってよく、型締力が成形品の製造時に使用される目標型締力であるときに歪のばらつきがゼロになるように各タイバー140の有効長TLが調整されてよい。ここで、各タイバー140の有効長TLとは、各タイバー140におけるトグルサポート130との締結部位と固定プラテン110との締結部位との間の長さのことであり、各タイバー140に沿って計測される。各タイバー140の有効長TLは、型開状態で計測される。
【0099】
尚、型締装置が竪型である場合、各タイバー140の有効長TLとは、各タイバー140におけるトグルサポートとの締結部位と上プラテンとの締結部位との間の長さのことであり、各タイバー140に沿って計測される。
【0100】
図4は、一実施形態による制御装置の構成要素を機能ブロックで示す図である。
図4に図示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0101】
制御装置700は、例えば、型締によって生じる複数本のタイバー140の歪を計測するタイバー歪計測部711と、タイバー歪計測部711の計測結果に基づき複数本のタイバー140のバランスを計測するバランス計測部712とを有する。また、制御装置700は、バランス計測部712によって型締力を変更したときのタイバーバランスの変化を計測するバランス変化計測部713と、バランス変化計測部713の計測結果に基づいてトグル機構150の対称性を評価するトグル対称性評価部714とを有する。また、制御装置700は、トグル対称性評価部714の評価結果を出力する評価結果出力部715を有してもよい。
【0102】
尚、タイバーバランス計測装置は、制御装置700とは別に設けられてもよい。その場合、タイバーバランス計測装置は、型締装置100を作動させることができるように、制御装置700とLAN(Local Area Network)またはインターネット回線などのネットワークを介して接続されてよい。その接続は、有線接続、無線接続のいずれでもよい。
【0103】
バランス変化計測部713は、例えば型厚調整によって型締力を変更したときのタイバーバランスの変化を計測する。型締力の変更を、クロスヘッド151の型締位置の変更により行うのではなく、型厚調整により行う。そのため、型締力の変更の前後で、クロスヘッド151の型締位置が変化せず、型締時におけるリンク角度θが実質的に変化しない。よって、型締時におけるリンク角度θを維持しながら、つまり、型締時におけるトグル機構150の姿勢を維持しながら、型締力を変更したときのタイバーバランスの変化を観測できる。尚、型締力の変更の前後で型締時におけるリンク角度θが実質的に変化しないように、型締力の変更の前後での複数本のタイバー140のそれぞれの有効長TLの変化は同じとされる。つまり、型締力の変更の前後で、複数本のタイバー140のそれぞれの有効長TLは、同じ程度伸びたり、同じ程度縮んだりする。
【0104】
トグル機構150は第1リンク152と第2リンク153とを含むリンク群を一対有し、一対のリンク群は上下方向に間隔をおいて配設される。そこで、トグル機構150の対称性の評価に用いるタイバーバランスとしては、例えば、上側2本のタイバー140の歪の平均値(D1)と下側2本のタイバー140の歪の平均値(D2)との差分の、4本のタイバー140の歪の平均値に対する割合(RD)が用いられる。割合(RD)は、百分率で表される場合、下記式から求められる。
【0105】
【数1】
割合(RD)が正であることは、上側2本のタイバー140の歪の平均値(D1)が下側2本のタイバー140の歪の平均値(D2)よりも大きいことを意味する。一方、割合(RD)が負であることは、下側2本のタイバー140の歪の平均値(D2)が上側2本のタイバー140の歪の平均値(D1)よりも大きいことを意味する。4本全てのタイバー140の歪を用いてトグル機構150の対称性の評価を行うため、評価の精度を向上できる。
【0106】
尚、上側2本のタイバー140の歪の平均値(D1)の代わりに、上側2本のタイバー140の歪の和が用いられると共に、下側2本のタイバー140の歪の平均値(D2)の代わりに、下側2本のタイバー140の歪の和が用いられてもよい。
【0107】
また、トグル機構150の対称性の評価に用いるタイバーバランスとしては、上側1本のタイバー140の歪と下側1本のタイバー140の歪との差分の、これら2本のタイバー140の歪の平均値に対する割合が用いられてもよい。タイバー歪検出器141の数を減らすことができる。
【0108】
図5は、一実施形態によるバランス変化計測部の3通りの計測結果を示す図である。
図5では、型締力が射出成形時の目標型締力P0であるときに割合(RD)が略ゼロになるように、4本のタイバー140の有効長TLが調整されている。その状態で、型締力を目標型締力P0よりも小さくすると、
図5に実線で示すように割合(RD)がほとんど変化しない場合と、
図5に一点鎖線で示すように割合(RD)が大きくなる場合と、
図5に二点鎖線で示すように割合(RD)が小さくなる場合とがある。
【0109】
図5に実線で示すように型締力の変化によって割合(RD)がほとんど変化しない場合、型締時にトグル機構150の対称性が良好であると推定される。型締時にトグル機構150の対称が良好であるため、例えば型締力が目標型締力P0であるときに割合(RD)が略ゼロになっていれば、型締力が目標型締力P0以外のときにも、割合(RD)が略ゼロに保たれる。
【0110】
一方、
図5に一点鎖線や二点鎖線で示すように型締力の変化によって割合(RD)が変化する場合、型締時にトグル機構150の対称性が不良であると推定される。型締時にトグル機構150の対称が崩れているため、例えば型締力が目標型締力P0であるときに割合(RD)が略ゼロになっていても、型締力が目標型締力P0以外のときには、割合(RD)が略ゼロではなくなる。
【0111】
トグル対称性評価部714は、
図5に示すようなバランス変化計測部713の計測結果に基づき、トグル機構150の対称性を評価する。例えば、トグル対称性評価部714は、型締力を基準値P1から基準値とは別の値P2に変更したときの割合(RD)の変化量(ΔRD)を計測し、その計測結果に基づいてトグル機構150の対称性を評価する。変化量(ΔRD)が許容範囲に収まる場合、トグル機構150の対称性が良好であるとの評価がなされる。一方、変化量(ΔRD)が許容範囲から外れる場合、トグル機構150の対称性が不良であるとの評価がなされる。許容範囲は、予め設定された閾値で規定される。許容範囲を規定する閾値は、上限値および下限値のいずれか一方でもよいし、両方でもよい。
【0112】
尚、本実施形態のトグル対称性評価部714は、トグル機構150の対称性を、「良好」と「不良」の2段階で評価するが、3段階以上で評価してもよい。また、
図5では、基準値P1として、目標型締力P0が用いられるが、目標型締力P0とは異なる値が用いられてもよい。さらに、基準値P1とは別の値P2は、基準値P1よりも大きくてもよいし小さくてもよい。また、トグル機構150の対称性の評価には、P1とP2の間の値(例えばP3)が用いられてもよく、変化のプロファイルが用いられてもよい。
【0113】
尚、本実施形態では、トグル機構150の対称性の評価の前に、型締力が目標型締力P0であるときの割合(RD)が略ゼロになるように4本のタイバー140の有効長TLが調整されるが、本発明はこれに限定されない。トグル機構150の対称性の評価に用いられるのは、型締力を変更したときのタイバーバランスの変化(相対値)であって、タイバーバランスそのもの(絶対値)ではないからである。従って、トグル機構150の対称性の評価の後に、型締力が目標型締力P0であるときの割合(RD)が略ゼロになるように4本のタイバー140の有効長TLが調整されてもよい。尚、4本のタイバー140の有効長TLを調整すると、
図5に実線や一点鎖線、二点鎖線で示すプロファイルは図中上下方向に平行移動する傾向にある。
【0114】
トグル対称性評価部714は、
図5に示すようなバランス変化計測部713の計測結果に基づき、型締時における一のリンク角度θ1と他の一のリンク角度θ2との大小関係を判定してもよい。型締時における2つのリンク角度θ1、θ2のどちらが大きいか分かれば、トグル機構150の対称性の崩れの原因を絞り込むことができる。
【0115】
図6は、型締時における2つのリンク角度の大小関係を示す図である。
図6(a)は上側のリンク角度θ1が下側のリンク角度θ2よりも小さいときの状態を示し、
図6(b)は下側のリンク角度θ2が上側のリンク角度θ1よりも小さいときの状態を示す。
【0116】
図5に一点鎖線で示すように型締力を小さくすると割合(RD)が大きくなる場合、
図6(a)に示すように型締時における上側のリンク角度θ1が下側のリンク角度θ2よりも小さい傾向にある。つまり、この場合、型締時に、上側のリンク群は下側のリンク群よりも屈曲する傾向にあり、クロスヘッド151が前傾する傾向にある。
【0117】
一方、
図5に二点鎖線で示すように型締力を小さくすると割合(RD)が小さくなる場合、
図6(b)に示すように型締時における下側のリンク角度θ2が上側のリンク角度θ1よりも小さい傾向にある。つまり、この場合、型締時に、下側のリンク群は上側のリンク群よりも屈曲する傾向にあり、クロスヘッド151が後傾する傾向にある。
【0118】
トグル対称性評価部714は、型締力を小さく変更したときに、割合(RD)が大きくなるか小さくなるかを判定することで、型締時における一のリンク角度θ1と他の一のリンク角度θ2との大小関係を判定できる。尚、トグル対称性評価部714は、型締力を大きく変更したときに、割合(RD)が大きくなるか小さくなるかを判定することで、型締時における一のリンク角度θ1と他の一のリンク角度θ2との大小関係を判定してもよい。
【0119】
評価結果出力部715は、トグル対称性評価部714の評価結果を出力してよい。つまり、評価結果出力部715は、トグル対称性評価部714の評価結果を報知してよい。その出力(報知)は画像や音などの形態で行われ、その出力装置としては表示装置760、警告灯、ブザーなどが用いられる。ユーザの利便性を向上できる。
【0120】
例えば、評価結果出力部715は、トグル機構150の対称性が不良であると評価された場合に、警報を出力してもよい。警報の出力によってユーザの注意を喚起できる。警報の種類は評価に応じて複数種類用意されてもよい。例えば、射出成形時における目標型締力P0を変更する度にタイバーバランスの調整が必要である旨の警報と、射出成形機の動作を中断させる旨の警報とが用意されてよい。前者の場合には適当な時期で射出成形機の修理が行われ、後者の場合には可及的速やかに射出成形機の修理が行われる。
【0121】
射出成形機の修理では、例えば、トグル機構150の摺動部品の交換やクリアランスの調整、クロスヘッド151を前後方向に案内するガイドの交換や位置調整などが行われる。
【0122】
射出成形機の修理後、制御装置700は、再び、型締力を変更したときのタイバーバランスの変化を計測することにより、トグル機構150の対称性を評価してもよい。これにより、射出成形機の修理の的確性を評価できる。トグル機構150の対称性の評価と射出成形機の修理とは、トグル機構150の対称性が良好であると評価されるまで、繰り返し行われてもよい。
【0123】
(変形および改良)
以上、射出成形機および射出成形方法の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0124】
上記実施形態の制御装置は、上下一対のリンク群を有するダブルトグル機構の上下対称性を評価するが、左右対称性を評価してもよい。左右対称性の評価に用いるタイバーバランスとしては、例えば、Y方向片側(
図3において左側)2本のタイバー140の歪の平均値と、Y方向反対側(
図3において右側)2本のタイバー140の歪の平均値との差分の、4本のタイバー140の歪の平均値に対する割合が用いられてもよい。左側2本のタイバー140の歪の平均値の代わりに、左側2本のタイバー140の歪の和が用いられると共に、右側2本のタイバー140の歪の平均値の代わりに、右側2本のタイバー140の歪の和が用いられてもよい。左右対称性の評価に用いるタイバーバランスとしては、Y方向片側1本のタイバー140の歪とY方向反対側1本のタイバー140の歪との差分の、これら2本のタイバー140の歪の平均値に対する割合を用いてもよい。タイバー歪検出器141の数を減らすことができる。
【0125】
本出願は、2017年2月28日に日本国特許庁に出願した特願2017−037773号に基づく優先権を主張するものであり、特願2017−037773号の全内容を本出願に援用する。