(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各前記漏出バリアが、前記少なくとも幾分かの血液が、前記少なくとも幾分かの血液の粘着力に基づいて、前記混合チャンバ134内に漏出することを阻止するように構成されている、請求項3に記載の血液カートリッジ装置。
前記構造705が、オーバーモールド、成形、フォトエッチング、フォトリソグラフィ、レーザ彫刻又は3D印刷のうちの1つ又は複数を用いて、前記混合チャンバ134の壁750、775に形成されている、請求項2に記載の血液カートリッジ装置。
前記1つ又は複数の可溶性試薬ビーズ720、725が、ポリブレン、サイトカラシンD、トラネキサム酸及びアプロチニンから構成される群から選択された1種又は複数種の試薬を含む、請求項11に記載の血液カートリッジ装置。
前記1つ又は複数の可溶性試薬ビーズ720、725が、塩化カルシウム、ポリブレン、ヘパリナーゼ、サイトカラシンD、トラネキサム酸、組織因子及びエラグ酸/リン脂質から構成される群から選択された1種又は複数種の試薬を含む、請求項13に記載の血液カートリッジ装置。
前記血液の流れが、前記混合チャンバ134内で第2タイプのビーズ725と接触する前に前記1つ又は複数の可溶性試薬ビーズ720、725の第1タイプのビーズ720と接触するように、前記血液ガイド710が、前記漏出バリアの下流に位置する前記1つ又は複数の可溶性試薬ビーズ720、725に、前記血液の流れを仕向けるように構成されている、請求項13に記載の血液カートリッジ装置。
前記取り外し可能なカバー126、128は、前記本体124内に1つ又は複数のピン138を機械的に保持するためのタブ129を備える、請求項16に記載の血液カートリッジ装置。
前記取り外し可能なカバー126、128は、前記本体124内に1つ又は複数のピン138を機械的に保持するためのタブ129を備える、請求項19に記載の血液カートリッジ装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0032] さまざまな図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0023】
[0033]
図1A〜
図3を参照すると、血液検査システム100のいくつかの実施形態は、分析器コンソール140と、分析器コンソール140と解除可能に嵌合するように構成された1つ又は複数のカートリッジ120とを含む。この実施形態では、血液検査システム100は、カートリッジ120内に投入された血液サンプルの複数の血液凝固特性を求めるように構成されているトロンボエラストメトリシステムである。例えば、カートリッジ120は、血液サンプルリザーバ10(例えば、Franklin Lakes, NJのBecton, Dickinson & Companyによって供給されるバキュテイナ(vacutainer)サンプルチューブ、又は別の血液リザーバ構造体)と嵌合する血液サンプル受け122を含む単回使用カートリッジとして構成することができる。場合により、他のタイプの血液サンプルリザーバ10をカートリッジ120に結合するために、アダプタを使用することができる(例えば、管を使用することができ、それを通して、カートリッジ120等に血液を注入することができる)。トロンボエラストメトリシステム100は、ポイント・オブ・ケア現場において(例えば、患者が手術を受けているか又は手術の準備がなされている間の手術場面等において)特に有利である全血凝固分析システムとして使用することができる。さらに、トロンボエラストメトリシステム100は、臨床環境における全血凝固分析システムとして使用することができる。
【0024】
[0034] 分析器コンソール140は、ユーザインタフェース142(この実施形態では、タッチスクリーンディスプレイを備える)と主シャシ144とを含む。ユーザインタフェースディスプレイ142は、カートリッジ120及びコンソール140を介して実施される血液検査アッセイから1つ又は複数のグラフィック結果143(例えば、時にTEMogramと呼ばれるもの等、1つ又は複数のプロット、数値データ若しくは測定値、又はそれらの組合せ)を出力するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェースディスプレイ142は、分析器コンソール140に堅く取り付けられている。特定の実施形態では、ユーザインタフェースディスプレイ142は、枢動可能であり、及び/又は他の方法で主シャシ144に対して位置的に調整可能である。主シャシ144の好都合であるが保護された位置に、主電源スイッチ148を配置することができる。
【0025】
[0035] 図示する実施形態では、タッチスクリーンディスプレイ142は、ユーザ入力を受け取るように、且つユーザに出力情報を表示するように構成されている。例えば、ユーザは、検査プロセスの開始、中間、終了の間の時点においてタッチスクリーンディスプレイ142に表示され得るさまざまなソフトボタンの選択を行うことにより、トロンボエラストメトリシステム100に情報を入力することができる。いくつかの実施形態では、タッチスクリーンディスプレイ142を介して、限定されないが、ソフトキーボード入力等の他の選択肢を提供することができる。いくつかの実施形態では、データ入力は、さらに又は別法として、音声入力により実施することができる。他の実施形態では、ユーザインタフェースは、トロンボエラストメトリシステム100の一部として含めることができる他の周辺デバイス(例えば、マウス、キーボード、追加のディスプレイデバイス等)を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータデータネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、LAN等)を使用して、リモートデバイスがシステム100から情報を受信し及び/又は入力するのを可能にすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ネットワーク接続を介して、1つ又は複数のリモートディスプレイを利用することができる。また、図示する実施形態では、トロンボエラストメトリシステム100は、外部バーコードリーダ146も含む。外部バーコードリーダ146は、限定されないが、血液サンプルデータ、ユーザ識別、患者識別、正常値等のデータの好都合な1次元又は2次元のバーコード入力を促進することができる。別法として又はさらに、トロンボエラストメトリシステム100に、近距離無線通信タグ又はRFIDタグ等を読み取るように構成されたリーダを備えることができる。
【0026】
[0036] 図示する実施形態では、主シャシ144は、(さらに後述するような)さまざまな内部サブシステムを収容し、さまざまな電子接続レセプタクル(図示せず)を含み、カートリッジポート150を含む。さまざまな電子接続レセプタクルは、限定されないが、1つ又は複数のUSBポート、イーサネットポート(例えば、RJ45)、VGAコネクタ、Sub−D9コネクタ(RS232)等、ネットワーク及びデバイスコネクタを含むことができる。こうした接続レセプタクルは、主シャシ144の背面に、又は主シャシ144上の他の好都合な位置に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、主シャシ144の正面に又はその近くに、1つ又は複数のUSBポートを配置することができる。そのように配置されたUSBポートは、例えばメモリスティックにデータを記録するためのユーザ利便性を提供することができる。いくつかの実施形態では、トロンボエラストメトリシステム100は、限定されないが、Wi-fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC、RF、IR等、無線通信モダリティを使用して動作するように構成されている。
【0027】
[0037] さらに
図1A〜
図3を参照すると、主シャシ144の容易にアクセス可能な位置に、カートリッジポート150を配置することができる。図示する実施形態では、カートリッジポート150は、ポイント・オブ・ケア現場でユーザが好都合にアクセス可能であるように、主シャシ144の正面に配置されている。カートリッジポート150は、単回使用カートリッジ120の他の寸法に対して相補的な形状である開口部及び内部空間を画定している。単回使用カートリッジ120をカートリッジポート150に挿入するために、ユーザは、血液サンプル受け122を含むカートリッジ120の端部を把持し、反対側の端部(先端部)をカートリッジポート150内に摺動させることができる。摺動挿入は、完全挿入位置を画定するハードストップに達するまで継続することができる。完全挿入位置では、単回使用カートリッジ120の(この実施形態では血液サンプル受け122を含む)後端部分は、主シャシ144の外部に残る。カートリッジポート150に受け入れられるカートリッジ120の部分は、(
図1Bに示す後端部分のテーパ状角度等)外面特徴を含むことができ、それは、コンソール140の内側の少なくとも1つの内部インタフェース要素と嵌合してカートリッジ120の正確な位置決めを確実にする。従って、少なくとも血液サンプル受け122は、血液サンプル検査の時間を通して主シャシ144の外部に残る。この構成では、血液サンプル受け122は、血液サンプルウェルとしての役割を果たし、血液サンプルウェルは、単回使用カートリッジ120が完全挿入位置でコンソール140と嵌合している間に、血液サンプルリザーバ10を受け122内に挿入することができるように、アクセス可能である。いくつかの実施形態では、カートリッジポート150及び主シャシ144は、カートリッジ120の露出部分が不注意の接触から保護されるように構成されている。さらに後述するように、内部センサ(例えば、マイクロスイッチ、光学センサ等)が、単回使用カートリッジ120が主シャシ144内に完全に挿入されたときを検出することができる。
【0028】
[0038] 分析器コンソール140は、カートリッジ120が完全に挿入されたことを検出すると、いくつかの実施形態では、以下の動作のうちの1つ又は複数を開始する。単回使用カートリッジ120を正確に位置決めし、完全挿入位置に解除可能に保持するために、位置決めピンを含む内部カートリッジ締付機構を作動させることができる。カートリッジ120を温めるために、1つ又は複数のカートリッジ加熱素子を作動させることができる。カートリッジ120の温度をモニタリングすることができる。カートリッジ120の先端部のバーコードを読み取ることができ、バーコードデータは、分析器コンソール140のメモリに格納することができる。1つ又は複数の血液検出センサが、(この時点では存在すべきではない)血液が存在するかカートリッジ120を検査することができる。回転トロンボエラストメトリ測定サブシステムが、カートリッジ120と係合することができ、任意選択的に、回転式トロンボエラストメトリ測定サブシステムの回転が(血液の存在なしに)開始することができる。カートリッジ120は、分析器コンソール140によって送達される真空又は空気圧力を用いて漏れ試験を行うことができる。例えば、圧力/真空低下試験を実施することができる。いくつかの実施形態では、さらに又は別法として、カートリッジ120が完全に挿入されたことを分析器コンソール140が検出すると、他の動作を作動させることができる。こうした動作の完了後、いくつかの実施形態では、タッチスクリーンディスプレイ142に動作の結果の指標(例えば、合格又は不合格)を表示することができる。動作が正常に完了したと分析器コンソール140が判断すると、トロンボエラストメトリシステム100が血液サンプルリザーバ10を受け入れる用意ができていることをユーザに通知するプロンプトを、タッチスクリーンディスプレイ142に提供することができる。
【0029】
[0039] 簡単に言えば、いくつかの実施形態では、ユーザは、以下のように、図示するトロンボエラストメトリシステム100実施形態を操作することができる。第1に、ユーザは、単回使用カートリッジ120をカートリッジポート150の中に、カートリッジ120が完全挿入位置に配置されるように挿入することができる。後述するように、そのステップの完了により、トロンボエラストメトリシステム100による一連の動作が自動的に開始する。こうした動作が正常に完了すると、採血管10をサンプルウェル122の中に挿入することができるという通知が、タッチスクリーンディスプレイ142に表示される。ユーザは、サンプルウェル122内に採血管10を嵌合させた後、タッチスクリーンディスプレイ142上の「開始」ボタン(等)を押すことにより検査を開始する。少なくとも血液測定、試薬混合及びトロンボエラストメトリ検査が、その後、(例えば、この実施形態では、ユーザからの手動の介入を必要とすることなく)システム100によって自動的に実施される。検査が完了すると、結果は、(例えば、
図1Aに示すように)定性的なグラフィック表現及び定量的なパラメータの形態で、タッチスクリーンディスプレイ142に表示される。また、検査が完了すると、コンソール140からカートリッジ120を取り除き、廃棄することができる(例えば、こうした実施形態では、(後述する)試薬ビーズがカートリッジ内に存在しなくなり、測定チャンバが凝固した血液サンプル部分を収容するという点で、カートリッジ120は再使用可能ではない)。
【0030】
[0040] 別法として、いくつかの実施形態では、カートリッジ120をカートリッジポート150内に挿入する前、カートリッジ120のサンプルウェル122内に採血管10を挿入することができる。こうした状況では、採血管10からの血液は、(この場合もまた、後述するように)コンソール140がカートリッジ120に作用する後まで、血液カートリッジ120の測定チャンバ(後述する)に進むことができない。次いで、採血管10がカートリッジ120と事前に結合された状態で、カートリッジポート150内に、採血管10とカートリッジ120との組合せを挿入することができる。
【0031】
[0041] ここで
図4及び
図5を参照すると、単回使用カートリッジ120の図示する実施形態は、本体124、右カバー126、左カバー128、並びに5つのピン138a、138b、138c、138d及び138eを含む。右カバー126は、本体124の右側に取り付けられており、左カバー128は、本体124の左側に取り付けられている。従って、右カバー126及び左カバー128は、さらに後述するように、本体124の空洞及び流れチャネルを囲んで、血液流路を画定している。上述したサンプルウェル122は、本体124の一部である。しかしながら、単回使用カートリッジ120の他の構造も想定される。
【0032】
[0042] いくつかの実施形態では、本体124、右カバー126、左カバー128、並びにピン138a、138b、138c、138d及び138eは、射出成形によって作製される。成形後、限定されないが、超音波溶接、レーザ溶接、溶媒結合、接着剤結合、UV硬化型接着剤結合等を含む、さまざまな技法を使用して、本体124に右カバー126及び左カバー128を取り付けることができる。本体124、右カバー126、左カバー128及びピン138a〜138eを構成するために、さまざまなポリマー材料を使用することができる。例えば、こうしたポリマー材料は、限定されないが、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン、ポリプロピレン等、及びそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、本体124、右カバー126、左カバー128及びピン138a〜138eを構成するために使用される材料は、アクリル系マルチポリマー化合物を含む。いくつかの実施形態では、本体124、右カバー126及び左カバー128は、本質的に透明であるか、又は、少なくとも半透明である。従って、
図4では、右カバー126が本体124に取り付けられても、本体124の特徴は可視である。
【0033】
[0043] いくつかの実施形態では、インサート成形技法又はマルチショット成形技法等によるオーバーモールドを使用して、本体124、右カバー126及び/又は左カバー128(すなわち、装置構成要素)のいくつかの態様を構成することができる。例えば、左カバー128内に、(さらに後述するような)エラストマー弁要素をオーバーモールドすることができる。オーバーモールドによって弁を生成するために、第1マスクを使用して、弁なしで装置構成要素が生成される。マスクは、装置構成要素の形状の逆のものであり、装置構成要素は、後の弁の挿入のための開放空間を含む。第1マスク内にポリマーが注ぎ込まれ、硬質プラスチック装置構成要素が形成される。そして、弁を備えた装置構成要素の形状の逆の形状を有する第2マスクが提供される。硬化したプラスチック装置構成要素が、マスク内に配置され、エラストマー材料が、第1マスクによって装置構成要素内に形成された開放空間の中へ注入され、それにより、装置構成要素内にエラストマー弁が形成される。いくつかの実施形態では、装置構成要素は、本体124、右カバー126及び/又は左カバー128である。
図8に、オーバーモールドによって形成された左カバー128における例示的な弁160a〜160e、168及び170を示す。いくつかの実施形態では、弁は、圧力が印加されると変形可能な、エラストマー材料を含む。外部圧力を印加することによる弁の変形により、エラストマー材料はダクトの中へ押し込まれ、それにより、ダクトは流体密封されて、ダクトを通るサンプル液体の流れが阻止される。
【0034】
[0044] さらに、いくつかの実施形態では、カートリッジ120に対して二次加工を実施することができる。例えば、二次加工を使用して、採血管を穿孔するための1つ又は複数の針123a〜123b(
図6を参照)をサンプルウェル122内に設置することができる。
【0035】
[0045] 単回使用カートリッジ120はまた、5つのピン138a、138b、138c、138d及び138eも含む。ピン138a〜138eは、本体124の開口部内に(例えば、
図8A〜
図10Bに関連してさらに後述するように、検査チャンバ136a〜136e(「カップ」と呼ぶ場合もある)内に)保持されている、個々の構成部品(例えば、
図10B参照)である。右カバー126及び左カバー128に配置されているタブ129が、本体124内にピン138a〜138eを機械的に保持する。しかしながら、ピン138a〜138eは、限られた程度まで本体124の範囲内で自由に移動することができる。例えば、ピン139a〜139eは、本体124内で制約されずに自由に回転することができ、また、数ミリメートルだけ垂直方向に自由に並進することができる。カートリッジ120の他の構成要素に対するピン138a〜138eのこの構成は、以下のように生成することができる。右カバー126及び左カバー128を本体124に取り付ける前に、ピン138a〜138eは、
図5に示すように本体124内でそれらのそれぞれの場所の中に配置することができる。そして、ピン138a〜138eが本体124内に配置されている状態で、本体124に右カバー126及び左カバー128を取り付けることができる。右カバー126及び左カバー128が本体に取り付けられ、ピン138a〜138eが本体124内に配置されている状態で、ピンは、ピン138a〜138eの頂部の上でタブ129によって垂直方向に適所に固定されており、それにより、ピンは、右カバー126及び左カバー128を本体124から取り除くことなしには、カップ136a〜136eから抜け落ちるか又は取り外すことができない。タブ129は、ピン138a〜138eの自由回転移動とともに、ピン138a〜138eが流体サンプルと相互作用することを可能にするのに十分な垂直運動を可能にして、カップ136a〜136e内の流体サンプルの粘弾性特性の測定を実施する(例えば、回転トロンボエラストメトリ)。さらに、タブ129は、
図10Cに示すように、シャフト310bがピン138bと結合するための開口部を提供する。一例では、右カバー126及び左カバー128が本体124に取り付けられ、その後、ピン138a〜138eがタブ129を越えて本体122内に押し込まれる。右カバー126及び左カバー128のタブ129は、カートリッジ120が上下逆さまになった場合でも、ピン138a〜138eが本体122から脱落するのを阻止する。いくつかの実施形態では、ピン及びタブは、カートリッジ120が上下逆さまになった場合でも、検査チャンバ内の半凝固した流体サンプルが検査チャンバから漏れるのを防止するように位置決めされている。
【0036】
[0046] いくつかの実施形態では、本体124は、バーコード位置125を含む。バーコード位置125は、バーコードラベルを付着させるか、又は、バーコードを印刷するための位置として使用することができる。バーコード位置125は、(
図1〜
図3に示すように、分析器コンソール140内へのカートリッジ120の挿入の方向に対して)カートリッジ120の先端部にある。
【0037】
[0047] 図示する実施形態では、右カバー126は、血液検出位置127a及び127bを含む。さらに後述するように、血液検出位置127a及び127bは、分析器コンソール140のセンサがカートリッジ120とインタフェースする、カートリッジ120における指定された位置である。センサは、血液検出位置127a及び127bにおいて、カートリッジ120内に血液が存在するか検査する。いくつかの実施形態では、センサは、光学センサ(例えば、赤外線センサ)であり、血液検出位置127a及び127bは、強化された透明度及び光学的な透明性を有する研磨された領域である。従って、右カバー126は、分析器コンソール140の光学センサが、血液検出位置127a及び127bにおいて血液の存在又は不在を容易に検出することができるように構成されている。
【0038】
[0048] ここで
図4、
図5及び
図6を参照すると、大まかに言えば、単回使用カートリッジ120は、(i)採血管(例えば、
図1〜
図3の採血管10)から血液を抽出し、抽出した血液の正確な容量を測定し、(ii)正確な量の血液を試薬と混合し、(iii)トロンボエラストメトリ検査が実施されるカートリッジ120の複数のカップ及びピンの位置に混合物を送達するように構成されている。これらのステップについて、より詳細に後述する。
【0039】
[0049] 図示する実施形態では、単回使用カートリッジ120は、5つの個々の血液流れチャネル130a、130b、130c、130d及び130eを含む。別法として、いくつかの実施形態では、カートリッジは、単一の個々の血液流れチャネル、又は、2つの個々の血液流れチャネル、又は、3つの個々の血液流れチャネル、又は、4つの個々の血液流れチャネル、又は、6つの個々の血液流れチャネル、又は、7つ以上の個々の血液流れチャネルを含む。各チャネル130a〜130eは、(i)測定チャンバ、(ii)試薬及び混合要素を収容する混合チャンバ、並びに、(iii)血液凝固検査チャンバ(例えば、この実施形態では、内部に可動プローブ/ピンを有するカップ)を含む。例えば、チャネル130aは、測定チャンバ132a、混合チャンバ134a及び検査チャンバ136a(
図9A〜
図9Dに詳細に示す検査チャンバの例を参照)を含む。同様に、チャネル130bは、測定チャンバ132b、混合チャンバ134b及び検査チャンバ136bを含み、チャネル130cは、測定チャンバ132c、混合チャンバ134c及び検査チャンバ136aを含み、チャネル130dは、測定チャンバ132d、混合チャンバ134d及び検査チャンバ136dを含み、チャネル130eは、測定チャンバ132e、混合チャンバ134e及び検査チャンバ136eを含む。
【0040】
[0050] いくつかの実施形態では、サンプルウェル122は、針123a及び123bを含み、それらは、採血管がサンプルウェル122内に挿入されるときに、採血管の隔壁を穿孔するように構成されている。針123aは、チャネル130a〜130eと流体連通しており、一方、針123bは、採血管からの血液の迅速な流れを促進する通気孔である。
【0041】
[0051] 図示する実施形態では、針123aからチャネル130a〜130eへの流体流路は、以下の通りである。針123aは、測定チャンバ132aと合流する。測定チャンバ132aは、測定チャンバ132bと合流する。測定チャンバ132bは、測定チャンバ132cと合流する。測定チャンバ132cは、測定チャンバ132dと合流する。測定チャンバ132dは、測定チャンバ132eと合流する。従って、血液は、採血管から針123aを通って測定チャンバ132aに、測定チャンバ132aから測定チャンバ132bに、測定チャンバ132bから測定チャンバ132cに、測定チャンバ132cから測定チャンバ132dに、測定チャンバ132dから測定チャンバ132eに流れることができる。また、測定チャンバ132a〜132eは、計量チャンバ132a〜132eと呼ぶことができる。各測定チャンバ132a〜132eは、入口ポート及び出口ポートを有する。入口ポートは、測定チャンバ132a〜132eの頂部の近くに配置されている。例えば、測定チャンバ入口ポート132aiは、測定チャンバ132aの頂部の近くに配置されている。血液が気泡を含有する場合、この構成は有利である可能性があり、それは、血液が測定チャンバ132a〜132eに入る際に、こうしたガスが血液から逃げることができるためである。さらに、この構成により、有利に、血液が測定チャンバ132a〜132e内に流れ込む際に、流体流の乱れを最小限にすることができ、それにより、血液細胞に損傷を与える可能性が低減する。
【0042】
[0052] 測定チャンバ132a〜132eから混合チャンバ134a〜134eに血液を移送するための出口ポート134ao〜134eoは、測定チャンバの底部に配置されている。例えば、測定チャンバ出口ポート132aoは、測定チャンバ132aの底部に配置されている。いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの底部は、出口ポート132aoに向けて下向きに角度が付けられている。いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの底部は、カートリッジ120の底部又は頂部に対して平行な平面から、2°〜15°の角度をなしている。いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの底部は、出口ポート132aoを通して血液サンプルを移動させるために加えられる力の方向に対して直交する平面から、2°〜15°の角度をなしている。一実施形態では、上述した角度は、おおよそ2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°又は15°である。好ましい実施形態では、上述した角度は5°であるが、他の角度も有効となる。この構成は、測定チャンバ132a〜132eを血液によって完全に充填するのを促進するのに役立つことができる。それはまた、出口ポート132ao内への泡の移送も最小限にすることができ、それは、測定チャンバ132a内に収容されている(泡を含む可能性がある)血液の体積の表面が出口ポート132aoに接触する前に、より多くの血液が出口ポート132aoに移送されるためである。従って、測定チャンバ132a〜132eの中に、正確な容量の血液が収容される。
【0043】
[0053] いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの頂部は、空気が、測定チャンバ132aの、入口ポート132aiとは反対側の測定チャンバの頂部に配置された移送ポートから逃げるように、角度が付けられている。移送ポートは、測定チャンバ132aから出て別の測定チャンバ(例えば、132b)内に、又はオーバーフローチャンバ139内に、空気及び流体を移送するために使用される。この実施形態では、測定チャンバ132aの頂部は、入口ポート132aiの上方の低い箇所から移送ポートの上方のより高い箇所に、上向きに角度が付けられている。測定チャンバの頂部の角度は、装置の底部又は頂部に対して平行な平面と比較した場合、又は、測定チャンバ132a内にある間の血液サンプルに加えられる主要な重力場に対して直交する平面と比較して、2°〜15°である。一実施形態では、上述した角度は、約2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°又は15°である。好ましい実施形態では、上述した角度は5°であるが、他の角度も有効となる。測定チャンバ132aの角度付きの頂部を含む装置では、空気及び泡は、血液の前に測定チャンバ132aから出て移送され、測定された血液サンプルに提供される空気の量が低減する。こうした空気は、血液の測定の精度に影響を与える可能性があるとともに、他の下流の用途に干渉する可能性がある。いくつかの実施形態では、測定チャンバ132aの上部及び底部の両方に、上述したように角度を付けられている。
【0044】
[0054] 針123aから測定チャンバ132a〜132eへの流体流路の上述した説明から、且つ、測定チャンバ出口ポートの位置の上述した説明から、測定チャンバ132a〜132eは連続的に血液で充填されることが理解されるべきである。すなわち、第1測定チャンバ132aが血液で充填され、次いで、測定チャンバ132aからの血液が測定チャンバ132bに流れ、次いで、測定チャンバ132bが血液で充填され、次いで、測定チャンバ132bからの血液が測定チャンバ132cに流れ、次いで、測定チャンバ132cが血液で充填され、次いで、測定チャンバ132cからの血液が測定チャンバ132dに流れ、次いで、測定チャンバ132dが血液で充填され、次いで、測定チャンバ132dからの血液が測定チャンバ132eに流れ、次いで、測定チャンバ132eが血液で充填される。
【0045】
[0055] 測定チャンバ132eが血液で充填された後、次いで、測定チャンバ132eからの血液は、オーバーフローチャンバ139に流れる。測定チャンバ132eから流れる血液は、オーバーフローチャンバ入口ポート139iにおいてオーバーフローチャンバ139に入る。さらに後述するように、オーバーフローチャンバ139は、測定チャンバ132eが完全に満たされることを確実にする一方で、血液がカートリッジ120を出ること、及び、上述したように測定チャンバ132a〜132e内に血液を引き込むために使用される真空源内に流れ込むことを、防止する役割を果たす。真空源は、オーバーフローチャンバ出口ポート139oにおいてオーバーフローチャンバ139に流体接続されている。オーバーフローチャンバ出口ポート139oにおいて、真空源からの(周囲圧力に対する)負圧が印加されると、針123aに結合されている採血管からの血液は、すべての測定チャンバ132a〜132eを充填するようにカートリッジ120内に流れ込む。幾分かの血液はまた、測定チャンバ132eから出て、オーバーフローチャンバ139に向かって流れる。
【0046】
[0056] さらに後述するように、さまざまな弁及び通気孔が流体流路内に散在しており、それにより、事前定義された方式に従って、分析器コンソールにより血液の流れを制御することができる。さらに、上述した血液検出位置127a及び127b(
図5参照)は、分析器コンソール140のセンサがカートリッジ120とインタフェースするカートリッジ120における指定された位置である。センサは、血液検出位置127a及び127bにおいてカートリッジ120内に血液が存在するかを検査する。血液センサ位置127aは、針123aと測定チャンバ132aとの間の流体流路にある。分析器コンソール140は、血液センサ位置127aにおいて血液を検出すると、血液がカートリッジ120内に引き込まれたと判断する。血液センサ位置127bは、測定チャンバ132eとオーバーフローチャンバ139との間の流体流路にある。分析器コンソール140は、血液センサ位置127bにおいて血液を検出すると、血液がすべての測定チャンバ132a〜132eの中へ引き込まれてそれらを充填したと判断する。さらに、分析器コンソール140は、血液センサ位置127bにおいて血液を検出すると、オーバーフローチャンバ出口ポート139oにおける負圧のさらなる印加を終了することができる。言い換えれば、血液センサ位置127bにおいて血液を検出することにより、分析器コンソール140は、真空の印加によりすべての測定チャンバ132a〜132eが正常に充填され、真空の印加を終了することができると判断することができる。任意選択的に、カートリッジ120は、血液センサ位置127bの位置において又はその近くにおいて、血液サンプルが所定の目標温度にあることを確認するように、血液温度センサを備えることができる。
【0047】
[0057] 上述したように、各個々のチャネル130a〜130eは、それぞれ測定チャンバ132a〜130eを有する。いくつかの実施形態では、個々のチャネル130a〜130e内の流体流路は以下の通りである。測定チャンバ132a〜132eから、血液は、それぞれの混合チャンバ134a〜134eに流れることができる。例えば、測定チャンバ132aからの血液は混合チャンバ134aに流れることができる。同様に、測定チャンバ132bからの血液は混合チャンバ134bに流れることができ、測定チャンバ132cからの血液は混合チャンバ134cに流れることができ、測定チャンバ132dからの血液は混合チャンバ134dに流れることができ、測定チャンバ132eからの血液は混合チャンバ134eに流れることができる。混合チャンバ132a〜132eから(混合が完了した後に)、血液はそれぞれの検査チャンバ136a〜136e(内部に対応するプローブ/ピン138a〜138eを有する。後に
図10A及び10bを参照)に流れることができる。例えば、混合チャンバ134aからの血液は検査チャンバ136aに流れることができる。同様に、混合チャンバ134bからの血液は検査チャンバ136bに流れることができ、混合チャンバ134cからの血液は検査チャンバ136cに流れることができ、混合チャンバ134dからの血液は検査チャンバ136dに流れることができ、混合チャンバ134eからの血液は検査チャンバ136eに流れることができる。分析器コンソール140によって制御可能であるさまざまな弁及び通気孔が、個々のチャネル130a〜130eの流体流路内に散在している。こうした弁及び通気孔を使用して、事前定義された方式に従って、分析器コンソール140により個々のチャネル130a〜130e内の血液の流れを制御することができる。
【0048】
[0058]
図6及び
図7A〜
図7Eは、いくつかの実施形態による、特に血液カートリッジ装置の混合チャンバ134a〜134eに関連する追加の特徴を示す。混合チャンバ134a〜134eの幾つかの実施形態は、(i)1つ又は複数の可溶性試薬ビーズ180(
図6を参照)、(ii)複数の保持要素182、及び(iii)混合要素184を含む。さらに、混合チャンバ134a〜134eのいくつかの実施形態はまた、漏出バリア705(
図7Aを参照)及び1つ又は複数の血液ガイド710(
図7Cを参照)も含むことができる。さまざまな実施形態において、漏出バリア705及び1つ又は複数の血液ガイド710は、右カバー126が血液カートリッジ装置の本体124と組み立てられるとき、漏出バリア705及び1つ又は複数の血液ガイドが、それぞれ
図7A及び
図7Cに示すように混合チャンバ134a〜134e内に配置されるように、右カバー126の壁に形成されている。従って、
図7A及び
図7Cは、右カバー126が本体124と組み立てられている状態の血液カートリッジ装置の混合チャンバ134a〜134eの図を示す。他の実施形態では、漏出バリア705及び1つ又は複数の血液ガイド710は、混合チャンバ134a〜134eの壁に形成されている。
【0049】
[0059] 混合チャンバ134a〜134eの各々に対してダクト715が存在し、ダクト715は、各混合チャンバ134a〜134eを対応する測定チャンバ132a〜132eに接続し、それにより、血液が、測定チャンバ132a〜132eからダクト715を通って混合チャンバ134a〜134eまで流れることができる。
【0050】
[0060]
図6に示すように、1つ又は複数の可溶性試薬ビーズ180は、複数の保持要素182の境界内に配置され且つそこで保持されている。
図7A、
図7C及び
図7Eは、各々、第1タイプの試薬ビーズ720及び第2タイプの試薬ビーズ725を含む2つの異なるタイプの試薬ビーズを含む実施形態を示す。以降参照する「可溶性試薬ビーズ180」又は「試薬ビーズ」という用語は、第1タイプの試薬ビーズ720及び第2タイプの試薬ビーズ725両方を含む。
【0051】
[0061] 混合要素184は、混合チャンバ134a〜134eの底部分に配置されており、混合チャンバ134a〜134eの底部分を横切って水平方向に自由に移動することができる。複数の保持要素182は、混合要素184から試薬ビーズ180を分離し、混合要素184が混合チャンバ134a〜134eの底部分から離れるように上向きに移動するのを防止する。従って、複数の保持要素182は、混合要素184の混合チャンバ134a〜134e内の試薬ビーズ180との直接的な接触を防止する。実施形態では、保持要素182は、混合チャンバ内の試薬ビーズ180の各々の所定の垂直方向の位置(例えば、混合チャンバ134a〜134e内に渡される血液部分の高さより下方の垂直方向の位置)を維持するように、各混合チャンバ134a〜134e内に延在し、それにより、所定量の血液がそれぞれの混合チャンバ134a〜134e内に仕向けられるとき、ビーズ180の各々が沈降するのを確実にする。実施形態では、測定チャンバ132a〜132eから混合チャンバ134a〜134eを充填する液体の高さ(すなわち、充填レベル)は、混合チャンバ内の保持要素182より上方にある。いくつかの実施形態では、保持要素182は、混合チャンバの充填レベルの高さより上方にある。これらの実施形態では、保持要素は、流体の経路内の試薬を、混合チャンバ内に液体が入ると試薬が液体により溶解させるように、位置決めするように構成されている。いくつかの実施形態では、流路は、ダクト715から入った後のチャンバ自体の中等、液体が1つのチャンバから別のチャンバに行くように移動する経路として定義される。
【0052】
[0062] また、いくつかの実施形態では、各混合チャンバ134a〜134e内の複数の保持要素182は、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の試薬ビーズ180の各々を互いから分離して維持する。こうした実施形態では、試薬ビーズ180の各々に、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の他のビーズ180は接触せず、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の混合要素184は接触せず、試薬ビーズ180の各々は、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内に輸送される血液部分の高さを下回る、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の垂直方向の高さに維持される。
【0053】
[0063] 保持要素182は、試薬ビーズ180の位置を制御することになるいくつかの一意の構成の形態をとることができる。いくつかの実施形態では、保持要素182はまた、異なる試薬ビーズ180間の接触、試薬ビーズ180の混合要素184との接触、及び/又は、試薬ビーズ180の混合チャンバ134a〜134e内の他の表面若しくは構成要素との接触も防止する。いくつかの実施形態では、保持要素182は、混合チャンバ134a〜134e内の試薬ビーズ180の移動を制限するように構成され、且つ、サンプル液体又は血液サンプルが試薬ビーズ180を溶解させるのを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、保持要素182はバリアを含む。保持要素182はまた、混合チャンバ134a〜134eの壁内に、又は、右カバー126若しくは左カバー128の表面に、又は、装置の他の表面に、内向きの突出部又は外向きの突出部も含むことができる。いくつかの実施形態では、保持要素182は、チャネル、垂直若しくは水平トラック、ポスト、又はくぼみ(divot)を含む。保持要素182は、ポストのアレイ、又は、くぼみのアレイを含むことができる。例えば、
図7A、
図7C及び
図7Eは各々、混合チャンバ134a〜134e内に均一に間隔を空けて配置されたポストのアレイ(例えば、保持要素182)を示す。いくつかの実施形態では、ポストのアレイは、直径の異なる試薬ビーズを保持するために直径の異なるポストを含む。さらに、ポストのアレイは、互いに対して等距離に間隔を空けて配置される必要はない。いくつかの実施形態では、保持要素182は、試薬ビーズを保持するための1つのコンパートメント又は一連のコンパートメントを含む。保持要素182はまた、混合チャンバ134a〜134e内の試薬ビーズの移動を制限するように、且つ、血液が試薬ビーズ180と接触して試薬ビーズ180を溶解させるように流れるのを可能にするように構成することができる。いくつかの実施形態では、保持要素182は、混合チャンバ134a〜134eを通る血液サンプルの流れを可能にするように構成されている。
【0054】
[0064] 保持要素182は、さらに、混合チャンバ134a〜134e内の所定の血液サンプル充填レベルの下方に、試薬ビーズ180を固定することができる。この充填レベルは、測定チャンバ132a〜132eによって提供される血液の容量によって、且つ、混合チャンバ134a〜134eの寸法、及び充填時の混合チャンバ134a〜134e内の構成要素又は試薬の体積によって決まる。この充填レベルは、上記要素に基づいて事前に決定することができる。従って、保持要素182は、具体的には、この所定の充填レベルの下方に試薬ビーズ180の位置を維持するように設計されている。
【0055】
[0065] さらに、保持要素182は、混合チャンバ134a〜134e内の混合要素184の移動を制限することができる。いくつかの実施形態では、混合チャンバ134a〜134e内の混合要素184の移動を制限するために使用される静止要素182は、ポストのアレイ又はコンパートメントを含み、ポストのアレイ又はコンパートメントは、混合チャンバ134a〜134e内のサンプル流体又は血液サンプルが混合要素184に接触するのを可能にし、それにより、サンプル流体又は血液サンプルが撹拌されて、混合チャンバ134a〜134e内の試薬を溶解させるのを促進する。
【0056】
[0066] 図示する実施形態では、1つ又は複数の可溶性試薬ビーズ180は、球形であり、2つの異なるサイズ(例えば、約2mm径及び約3mm径)のものである。
図7A、
図7C及び
図7Eに、試薬ビーズ720及び725として、2つの異なるサイズの試薬ビーズを示す。しかしながら、試薬ビーズ180の他の形状及び/又はサイズの使用も容易に想定することができる。いくつかの実施形態では、試薬ビーズ180は、凍結乾燥された材料であるが、他の形態の材料も想定することができる。試薬ビーズ180は、限定されないが、CaCl
2、エラグ酸/リン脂質、組織因子、ヘパリナーゼ、ポリブレン、サイトカラシンD、トラネキサム酸等、及びそれらの組合せ等の材料を含むことができる。試薬ビーズ180は、血液中で可溶性である。例えば、この特定の実施形態では、5つの混合チャンバ134a〜134eの各々は、5つの異なるアッセイを実施する目的で、(それぞれの測定チャンバ132a〜132eによって画定されるような)所定容量の血液を(その中の1つ又は複数の試薬ビーズ180からの)異なる試薬組成物と混合するように構成されている。この例では、第1混合チャンバ134eは、(対応する測定チャンバ132eからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2及びエラグ酸/リン脂質等の複数の試薬ビーズ180を含むことができ、それにより、第1タイプのアッセイにおいて第1サンプル部分を使用することができる。この例ではまた、第2混合チャンバ134dは、(対応する測定チャンバ132dからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2、エラグ酸/リン脂質及びヘパリナーゼを提供する複数の試薬ビーズ180を含むことができ、それにより、第2タイプのアッセイにおいて第2サンプル部分を使用することができる。さらに、この例では、第3混合チャンバ134cは、(対応する測定チャンバ132cからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2、組織因子及びポリブレンを提供する複数の試薬ビーズ180を含むことができ、それにより、第3タイプのアッセイにおいて第3サンプル部分を使用することができる。また、この例では、第4混合チャンバ134bは、(対応する測定チャンバ132bからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2、組織因子、ポリブレン及びサイトカラシンDを提供する複数の試薬ビーズ180を含むことができ、それにより、第4タイプのアッセイにおいて第4サンプル部分を使用することができる。最後に、この例では、第5混合チャンバ134aは、(対応する測定チャンバ132aからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2、組織因子、ポリブレン及びトラネキサム酸を提供する複数の試薬ビーズ180を含むことができ、それにより、第5タイプのアッセイにおいて第5サンプル部分を使用することができる。
【0057】
[0067] いくつかの実施形態では、最初に混合を可能にし、次いでクエン酸塩添加血液サンプルの活性化/凝血を可能にするように、CaCl
2試薬を担持する試薬ビーズ180は、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内のビーズ180の残りから分離される。CaCl
2試薬を担持する試薬ビーズ180のこうした分離は、(上述したように)保持要素182を使用して達成することができる。別法として、こうした分離は、CaCl
2試薬を担持する試薬ビーズ180を、それぞれのチャンバ134a〜134e内の他のビーズ180から分離されている別個のチャネル又は別個の混合チャンバ内に保持することによって達成することができる(それにより、血液部分は、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の他のビーズ180と混合した後に、血液部分は、CaCl
2試薬に達する)。別法として、こうした分離は、CaCl
2試薬液体又は乾燥フィルムCaCl
2試薬を混合チャンバ134a〜134e内の異なる位置に位置決めすることによって達成することができ、それにより、血液部分は、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の他のビーズ180と混合した後にCaCl
2試薬に達する。具体的な例として、CaCl
2を担持する試薬ビーズは、血液が混合チャンバ134a〜134e内に入るダクト715から離れた、混合チャンバ134a〜134eの右側に位置することができる。別法として、CaCl
2試薬を担持する試薬ビーズ180は、追加の層によってコーティングする(次いで、上述したように、保持要素182によって保持する)ことができ、それにより、血液部分は、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の他のビーズ180と予め混合した後に、CaCl
2試薬を担持する試薬ビーズ180の溶解を開始する。
【0058】
[0068] 血液サンプルに試薬を提供するための他の構成もまた使用することができる。いくつかの実施形態では、試薬は、混合チャンバ134a〜134eの壁にコーティングされる。いくつかの実施形態では、試薬は、右カバー126又は左カバー128の壁にコーティングされ、それは、右カバー126又は左カバー128が血液カートリッジ装置の本体124と組み立てられるとき、試薬が少なくとも部分的に又は全体的に混合チャンバ134a〜134e内に収容されるように行われる。いくつかの実施形態では、試薬は、それが混合チャンバ134a〜134eの充填レベル(一部には、測定チャンバ内で測定されるような所定容量の血液によって決まるような、混合チャンバ内の血液の高さに関連する充填レベル)の下のままであるようにコーティングされる。いくつかの実施形態では、コーティングされる試薬は、フィルム層、すなわち、試薬フィルムである。試薬フィルムは、表面に又はその近くにコーティングされた試薬の層である。試薬フィルムは、液体であり得るか、又は、乾燥させることができる。液体試薬は、液体試薬の上に配置された材料の可溶性層により、フィルム層として保持することができる。液体試薬層はまた、表面に塗布し、その後、乾燥させることができる。事前に乾燥させた又は固体のフィルム試薬を表面に塗布して、フィルム層を形成することも可能である。いくつかの実施形態では、フィルム層は、可溶性フィルムストリップの形態である。いくつかの実施形態では、特定の試薬は、試薬ビーズ180とは対照的に試薬フィルムで送達されることが好ましい。例えば、試薬ビーズ180で凍結乾燥することが困難な特定の試薬は、代わりに、装置における表面に又はその近くに、フィルム層として塗布することができる。
【0059】
[0069] いくつかの実施形態では、コーティングされる試薬は試薬ビーズ180の形態である。試薬ビーズは、保持要素182を使用して、チャンバの壁に、又はカバーに固定することができる。保持要素182は、一続きのコンパートメント、ポスト、くぼみ、内向きの突出部若しくは外向きの突出部、又は、上記のうちの任意のもののアレイを含むことができる。カバーに、チャンバの壁に、又はチャンバ間の流体通路内にコーティングするか又は固定することができる他の形状又は構成の試薬も想定される。いくつかの実施形態では、試薬ビーズ180及び試薬フィルムの両方が装置の1つ又は複数の表面に、例えば、混合チャンバ134a〜134e内の表面にコーティングされる。
【0060】
[0070] 試薬フィルムはまた、混合チャンバ134a〜134e内の血液サンプル中で溶解するようにも提供することができる。試薬フィルムは血液中で可溶性である。混合チャンバ134a〜134e内の表面に試薬フィルムを接着させる。いくつかの実施形態では、混合チャンバ134a〜134eの壁部の上に試薬フィルムを堆積させる。いくつかの実施形態では、混合チャンバ134a〜134eの壁を少なくとも部分的にカバーするか又は形成する領域において、右カバー126又は左カバー128の上に試薬フィルムを堆積させる。試薬フィルムは、単独で、又は混合チャンバ134a〜134e内に配置された1つ若しくは複数の試薬ビーズ180に加えて、使用することができる。従って、混合チャンバ134a〜134e内の1つ又は複数の試薬フィルムの使用により、血液中に溶解するように混合チャンバ134a〜134e内に試薬を導入する、追加のメカニズムが提供される。
【0061】
[0071] いくつかの実施形態では、試薬フィルムは、凍結乾燥された材料を含むが、他の形態の材料も想定される。試薬フィルムは、限定されないが、CaCl
2、エラグ酸/リン脂質、組織因子、ヘパリナーゼ、ポリブレン、サイトカラシンD、トラネキサム酸等、及びそれらの組合せ等の材料を含むことができる。1つの特定の例では、5つの混合チャンバ134a〜134eの各々は、(それぞれの測定チャンバ132a〜132eによって画定されるような)所定容量の血液を(その中の1つ若しくは複数の試薬ビーズ180及び/又は1つ若しくは複数の試薬フィルムからの)異なる試薬組成物と混合するように構成されている。この例では、第1混合チャンバ134eは、(対応する測定チャンバ132eからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2及びエラグ酸/リン脂質を提供するように、複数の試薬ビーズ180及び少なくとも1つの試薬フィルムを含むことができ、それにより、第1タイプのアッセイにおいて第1サンプル部分を使用することができる。この例ではまた、第2混合チャンバ134dは、(対応する測定チャンバ132dからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2、エラグ酸/リン脂質及びヘパリナーゼを提供するように、複数の試薬ビーズ180及び少なくとも1つの試薬フィルムを含むことができ、それにより、第2タイプのアッセイにおいて第2サンプル部分を使用することができる。さらに、この例では、第3混合チャンバ134cは、(対応する測定チャンバ132cからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2、組織因子及びポリブレンを提供するように、複数の試薬ビーズ180及び少なくとも1つの試薬フィルムを含むことができ、それにより、第3タイプのアッセイにおいて第3サンプル部分を使用することができる。また、この例では、第4混合チャンバ134bは、(対応する測定チャンバ132bからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2、組織因子、ポリブレン及びサイトカラシンDを提供するように、複数の試薬ビーズ180及び少なくとも1つの試薬フィルムを含むことができ、それにより、第4タイプのアッセイにおいて第4サンプル部分を使用することができる。最後に、この例では、第5混合チャンバ134aは、(対応する測定チャンバ132aからの)所定容量の血液と混合するためにCaCl
2、組織因子、ポリブレン及びトラネキサム酸を提供するように、複数の試薬ビーズ180及び少なくとも1つの試薬フィルムを含むことができ、それにより、第5のタイプのアッセイにおいて第5のサンプル部分を使用することができる。
【0062】
[0072] さらに、試薬フィルムを、混合チャンバから上流又は下流の表面に堆積させて、混合チャンバの前又は後で血液サンプルと混合することができる。いくつかの実施形態では、CaCl
2試薬を担持する試薬フィルムは、それぞれのチャンバ134a〜134e内の他の試薬ビーズ180又は試薬フィルムから分離されている、別個のチャネル又は別個の混合チャンバ内に配置されている(例えば、それにより、血液部分は、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の他の試薬ビーズ180及び/又は試薬フィルムと混合した後に、CaCl
2試薬フィルムに達する)。別法として、CaCl
2試薬フィルムを、混合チャンバ134a〜134e内に堆積させ、追加の可溶性フィルム層によってコーティングすることができ、それにより、血液部分は、先にそれぞれの混合チャンバ134a〜134e内の他の試薬ビーズ180又は試薬フィルムと混合した後に、CaCl
2試薬を担持する他の試薬フィルムの溶解を開始する。
【0063】
[0073] いくつかの実施形態では、試薬ビーズ180又は試薬フィルムは、好ましい順序で異なる試薬と混合するのを可能にするように、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の試薬ビーズ180又は試薬フィルムの残りから分離されている。一実施形態では、試薬ビーズ180のこうした分離は、(上述したように)保持要素182を使用して達成することができる。別法として、こうした分離は、試薬ビーズ180又は試薬フィルムを、それぞれのチャンバ134a〜134e内の他のビーズ180又は試薬フィルムから分離されている別々のチャネル又は別々の混合チャンバ内に保持することによって達成することができる(それにより、血液部分は、好ましい順序で、装填された試薬に達しそれと混合する)。一実施形態では、こうした分離は、試薬液体、試薬ビーズ180、又は乾燥フィルム試薬を別々のチャネル内に位置決めすることによって達成することができ、それにより、血液部分は、それぞれの混合チャンバ134a〜134e内の他の試薬ビーズ180又は試薬フィルムと混合する前又は後に、試薬に達する。いくつかの実施形態では、試薬ビーズ180又は試薬フィルムは、混合チャンバ134a〜134eと検査チャンバ136a〜136eとを流体接続するダクト715に沿って配置される。別法として、試薬ビーズ180又は試薬フィルムは、追加の層によってコーティングする(その後、上述したように、保持要素182により保持する)ことができ、それにより、血液部分は、先にそれぞれの混合チャンバ134a〜134e内の他の試薬ビーズ180又は試薬フィルムと混合した後に、試薬ビーズ180又は追加的な可溶性層を含む試薬フィルム中の試薬の溶解を開始する。いくつかの実施形態では、コーティングされる試薬層は、ポリマー組成物及び試薬を含む基材から製造された可溶性フィルム層である。ポリマー組成物は、装置内の表面に又はその近くに試薬のコーティングを維持するように、可溶性バリアを形成する。血液サンプルと接触すると、ポリマー組成物が溶解して、血液サンプルが試薬と混合するのを可能にする。
【0064】
[0074]
図7A、
図7C及び
図7Eに示すように、混合チャンバ134a〜134eは混合要素184を含み、混合要素184は、限定されないが、ニッケル、コバルト、クロム(IV)酸化物、ガドリニウム、パーマロイ及びアルニコ(アルミニウム−ニッケル−コバルト合金)等、並びにそれらの組合せを含む、強磁性材料を含む。図示する実施形態では、混合要素184は、球形であり、且つ中実である。他の実施形態では、混合要素184は、限定されないが、立方体、円錐形、円筒形、扇形、細長い、角柱形等の形状とともに、不規則な形状を有することができる。いくつかの実施形態では、混合要素184は、突出部、くぼみ部又は孔等、1つ又は複数の表面特徴を有することができる。
【0065】
[0075] 混合要素184は、混合要素184が磁気結合する磁石の移動に応じて、混合チャンバ134a〜134e内で移動可能である。混合要素184が磁気結合する磁石は、分析器コンソール140内に収容されている。混合要素184の移動により、試薬ビーズ180が、混合チャンバ134a〜134e内に収容された血液に溶解するように促進される。
【0066】
[0076]
図7Aを参照すると、混合チャンバ134a〜134eは、混合チャンバ134a〜134e内の血液の流れを制御する役割を担う設計構成をさらに含むことができる。
図7Bをさらに参照する。
図7Bは、漏出バリア705の断面A−Aと呼ぶ、回転側面図を示す。断面A−Aは、
図7Aにおける点線矢印に沿って右から左に漏出バリア705を示す。
【0067】
[0077] 例えば、
図7Aは、測定チャンバ132a〜132eと混合チャンバ134a〜134eとを流体接続するダクト715の真下に位置する漏出バリア705を示す。測定チャンバ132a〜132eが血液で充填されると、漏出血液が、重力によりダクト715から混合チャンバ134a〜134eに入る可能性がある。より具体的には、ダクト715は、混合チャンバ134a〜134eの入口760内に排出する。混合チャンバ134a〜134eに入る漏出血液は、可溶性試薬ビーズ180に接触するのが早まる可能性があり、それにより、可溶性試薬ビーズ180が結晶化し、血液検査アッセイにおいて十分に機能しない。従って、漏出バリア705は、漏出血液による可溶性試薬ビーズ180の早まった接触を防止するために、測定チャンバ132a〜132eから漏出する可能性がある血液を阻止するように構成されている。さまざまな実施形態において、漏出バリア705は、混合チャンバ134a〜134e又は右カバー126のいずれかの壁におけるくぼみ部である。他の実施形態では、漏出バリア705は、混合チャンバ134a〜134eの壁又は右カバー126の壁から外向きに延在する高くなった隆起部であり得る。以下使用する「血液カートリッジ装置の壁」という表現は、混合チャンバ134a〜134eの壁又は右カバー126の壁を参照するために使用し、より具体的には、右カバー126が本体124と組み立てられると、右カバー126の壁は、混合チャンバ134a〜134eを閉鎖する。
【0068】
[0078] さまざまな実施形態において、漏出血液は、混合チャンバ134a〜134eの入口760から下向きに流れ、漏出バリア705の上縁部745(
図7Bを参照)に接触する。漏出バリア705は、右カバー126のくぼみ部である。漏出バリア705は、漏出血液を完全に阻止することができ、又は、漏出バリア705は、混合チャンバ134a〜134eの側部780の方に血液を仕向けることができる。混合チャンバの側部780は、混合チャンバ134a〜134eの壁から上向きに延在し、右カバー126が血液カートリッジ装置の本体124と組み立てられると右カバー126の壁と接触する。さまざまな実施形態において、混合チャンバ134a〜134eの側部780の高くなった面は、混合チャンバ134a〜134eの側部780の高くなった面と右カバー126又は左カバー128の壁との間に裂け目を含む。従って、漏出バリア705は、混合チャンバ134a〜134eの側部780と右カバー126の壁との接触面に位置する裂け目に、漏出血液を仕向ける。これにより、漏出血液が混合チャンバ134a〜134eの下方部分に進むのが防止される。
【0069】
[0079]
図7Bを参照すると、漏出バリア705の上縁部745において、少量の漏出血液795が集まり、下向き方向への移動を停止することができる。複数の要因により、漏出血液795は、漏出バリア705により停止するか、又は混合チャンバ134a〜134eの側部780に仕向けられる。例えば、血液の固有の高い粘性は、血液の固有の高い表面張力と組み合わさって、漏出血液の凝集性に寄与する。漏出血液は、その凝集力により、漏出バリア705の上縁部745に残り、それにより、漏出血液が混合チャンバ134a〜134e内にさらに下向きに移動するのが防止される。
【0070】
[0080] 漏出血液795はまた、粘着力又は毛管作用(例えば、毛管力)も受ける可能性がある。いくつかの実施形態では、接着力は、漏出血液795の右カバー126の壁750と混合チャンバ134a〜134eの壁775との両方への粘着による。他の実施形態では、粘着力は、漏出血液795の右カバー126の壁750のみへの粘着による。
【0071】
[0081] 粘着力により、漏出血液は、好ましくは、右カバー126の壁750に沿って水平方向に(漏出バリア705の上とは対照的に)流れて、混合チャンバ134a〜134eの側部780に位置する裂け目に達することができる。少なくとも、血液の高い粘性、血液の高い表面張力及び粘着力は、結合して、漏出バリア705が漏出血液795を阻止し、及び/又は漏出血液795を混合チャンバ134a〜134eの側部780の方に仕向けるのを可能にする。
【0072】
[0082] 他の実施形態では、漏出血液は、漏出バリア705に接触すると、漏出バリア705内に入り、血液の固有の要因により、漏出バリア705内で保持され得る。例えば、血液の固有の高い粘性により、漏出血液は、漏出バリア705から出て混合チャンバ134a〜134e内に下向きにさらに移動するのが防止される。さらに、漏出血液が漏出バリア705内に存在すると、血液の固有の表面張力が重力に抵抗し、それにより、いかなる血液もくぼみ部705から出るのが防止される。第3に、漏出血液は、漏出バリア705の壁による毛管作用(例えば、毛管力)を受け、それにより、混合チャンバ134a〜134e内へのさらなる血液の流れが防止される。
【0073】
[0083] さまざまな実施形態において、漏出バリア705を、漏出バリア705による漏出血液の捕捉を促進する物質でさらにコーティングすることができる。例えば、漏出バリア705の上縁部745に隣接する表面を、親水性物質でコーティングして、漏出血液が漏出バリア705内に入るのを促進することができる。漏出バリア705の底縁部、すなわち、ダクト715から最も遠い漏出バリア705の縁部を、漏出血液が漏出バリア705から出るのを妨げる疎水性物質でコーティングすることができる。
【0074】
[0084] 混合チャンバ134a〜134eを充填することが望まれるとき、それぞれの通気孔166a〜166e(
図8を参照)が開放されて、ダクトを通る血液の流れが可能になる。このシナリオでは、血液は、混合チャンバ134a〜134e内にその全容量が入っているとすると、漏出バリア705を乗り越え、可溶性試薬ビーズ180が存在する混合チャンバ134a〜134eの底部に流れ込む。言い換えれば、漏出バリア705は、少量(例えば、液滴)の血液を阻止するように設計されているが、混合チャンバ134a〜134e内の大量の血液の流れは止めない。漏出バリア705が、血液の流れが混合チャンバ134a〜134eに流れ込むのを可能にする前に保持することができる血液の量は、血液の粘性と、血液の表面張力とによって決まる。例えば、血液の粘性が高いほど、血液の流れが低速であるため、漏出バリア705によって保持することができる血液の高い閾値容量に対応する。別法として、粘性の低い血液ほど、より迅速に流れるため、漏出バリア705を乗り越えるために必要な閾値容量が低い。同様に、表面張力の高い血液ほど、高い血液の閾値容量に対応する。血液の表面張力が環境温度によって決まるとすると、表面張力を制御するように、従って、漏出バリア705を乗り越えるために必要な閾値体積を制御するように、環境温度を変更することができる。
【0075】
[0085] さまざまな実施形態では、漏出バリア705は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0mmの深さ、血液カートリッジの壁の下に又は中にくぼみを付けることができる。一実施形態では、漏出バリア705は、血液カートリッジの壁の下に又は中に0.5mmの深さを有する。さまざまな実施形態において、漏出バリア705の幅は、0.5mm〜2.5mmであり得る。一実施形態では、漏出バリア705の幅は1.5mmである。
【0076】
[0086] さまざまな実施形態において、漏出バリア705の正確な位置は変更することができる。一実施形態では、漏出バリア705は、ダクト715内部に存在することができ、それにより、漏出血液をダクト715内に直接収集し収容する。他の実施形態では、漏出バリア705は、混合チャンバ134a〜134e内に存在する。例えば、漏出バリア705から混合チャンバ134a〜134eの入口760(例えば、ダクト715の出口)までの距離は、1.0mm〜6.0mmである。
図7Aに示すように、漏出バリア705は、入口760から5.0mmに位置している。漏出バリア705は、各混合チャンバ134a〜134e内に位置する試薬ビーズ180の上方に十分離れて配置されており、それにより、試薬ビーズ180は、血液と直接接触することによって活性化されることがなく、血液流体から発生する蒸気による湿潤を介して活性化されることもない。
【0077】
[0087] 幾つかの実施形態では、漏出バリア705は、混合チャンバ134a〜134eの左側から延在し、2.0mm〜10.0mmの長さを有する。一実施形態では、漏出バリア705の長さは5.0mmである。これにより、ダクト715から下向きに漏出する望ましくない血液の液滴が、混合チャンバ134a〜134eの底部に位置する試薬ビーズ180に達する前に漏出バリア705により阻止されるか又はそらされることが確実になる。他の実施形態では、漏出バリア705は、混合チャンバ134a〜134eの左側から混合チャンバ134a〜134eの右側までの全距離にわたる。さらに、漏出バリア705は、
図7Aに示すような単一の水平方向に向けられた構造に限定される必要はない。例えば、漏出バリア705は、混合チャンバ内で斜方向に向けることができ、又は、2つ以上の漏出バリアがある場合もあり、追加の漏出バリアは、漏出血液が混合チャンバ134a〜134e内に漏れないことを確実にする保護手段として含まれる。
【0078】
[0088] さらなる実施形態では、漏出バリア705は、混合チャンバ134a〜134eの壁内にくぼみが付けられるのではなく、代わりに、混合チャンバ134a〜134eの壁から外向きに延在して、チャンバ内に小さい棚状部を形成し、その上に、漏出血液の液滴が載って、混合チャンバ134a〜134e内への早まった進入を防止することができる。血液は、測定チャンバ132a〜132eから放出されると、棚状部の頂部の上を及び/又は側部の周囲を流れて、混合チャンバ134a〜134eの底部に到達することができる。さまざまな実施形態では、漏出バリア705は、血液カートリッジの壁の上方の0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0mmの高さで高くすることができる。一実施形態では、漏出バリア705は、血液カートリッジの壁の上方の0.5の高さを有する。
【0079】
[0089] 漏出バリア705は、限定されないが、オーバーモールド、成形、フォトエッチング、フォトリソグラフィ、レーザ彫刻又は3D印刷を含む種々の技法を使用して生成することができる。一例として、漏出バリア705は、右カバー126を形成するためにポリマーを第1マスク内に注ぎ込むことを通じて、右カバー126の壁に成形することができる。別の例として、本体124内に漏出バリア705をオーバーモールドすることができる。漏出バリアの形状の逆の形状(例えば、突出部)を有する第1マスク内に、ポリマーが注ぎ込まれる。ポリマーは、各混合チャンバ134a〜134e内に漏出バリア705を含む硬質プラスチックの本体124を形成する。
【0080】
[0090]
図7Aに戻ると、さまざまな実施形態において、第1タイプの試薬ビーズ720が、混合チャンバ134a〜134eの左側に位置し、第2タイプの試薬ビーズ725が、混合チャンバ134a〜134eの右側に位置している。上述したように、それぞれのビーズ720及び725は、複数の保持要素182によりそれらの位置に保持される。一実施形態では、第1タイプの試薬ビーズ720及び第2タイプの試薬ビーズ725の向きは、外因系トロンボエラストメトリ(extrinsically activated thromboelastometry)(EXTEM)アッセイ又は内因系トロンボエラストメトリ(intrinsically activated thromboelastometry)(INTEM)アッセイを行うために重要である。
【0081】
[0091] 例えば、EXTEMアッセイの場合、チャンバの左側の第1タイプの試薬ビーズ720は、ヘパリン中和剤(例えば、ポリブレン)、血小板阻害剤(例えば、サイトカラシンD)、抗フィブリン溶解薬(例えば、トラネキサム酸又はアプロチニン)又はこれらの組合せであり得る。これらの試薬は、血液にさらされると最初に溶解しなければならない。チャンバの右側に位置する第2タイプの試薬ビーズ725は、活性化因子(例えば、組織因子)又は再石灰化剤(例えば、CaCl
2)試薬を含む。従って、血液は、測定チャンバ132a〜132eから混合チャンバ134a〜134eに入ることができるようになると、混合チャンバ134a〜134eの左側に位置するダクト715から入り、第1タイプの試薬ビーズ720、例えば、ポリブレンが、第2タイプの試薬ビーズ725、例えば、CaCl
2より前に血液にさらされる。血液は、漏出バリア705を通過し、漏出バリア705は、血液を混合チャンバの左側に沿って、漏出バリア705の真下に位置する所定の可溶性試薬ビーズ(例えば、第1タイプの試薬ビーズ720)まで誘導するのに役立つ。
【0082】
[0092]
図7Cは、混合チャンバ134a〜134eの代替実施形態を示し、この混合チャンバ134a〜134eは、漏出バリア705と、混合チャンバ134a〜134e内で血液の流れを仕向ける血液ガイド710とを備えている。
図7Dに関してさらに参照し、
図7Dは、右カバー126の壁750から外向きに延在する血液ガイド710の、断面B−Bと呼ぶ側面図を示す。断面B−Bは、
図7Cにおいて点線矢印によって示すように、上から下に血液ガイド710を示す。
【0083】
[0093] さまざまな実施形態において、血液ガイド710は、右カバー126の壁に成形される。
図7Dを参照すると、血液ガイド710は、細長い隆起部であり、右カバー126の壁750から外向きに延在し、混合チャンバ134a〜134eの壁775に接触する。さまざまな実施形態において、血液ガイド710の表面740は、血液が血液ガイド710を越えるのを防止するように、混合チャンバ134a〜134eの壁775により封止されている。他の実施形態では、血液ガイド710は、混合チャンバ134a〜134eの壁に位置し、混合チャンバ134a〜134eの壁から外向きに延在する細長い隆起部である。いくつかの実施形態では、血液ガイド710は、高くなった細長い隆起部とは対照的に、血液カートリッジの壁におけるくぼみ部であり得る。
【0084】
[0094] さまざまな実施形態において、血液ガイド710の表面740は、対向する壁により封止されない場合もある。従って、血液ガイドは、0.5mm〜1.5mmの高さを有する。例えば、血液ガイド710は、1.0mmの高さを有することができる。さまざまな実施形態において、血液ガイド710は、血液カートリッジ装置の壁から0.5mm下にくぼみが付けられている。さまざまな実施形態において、血液ガイド710は、0.5mm〜2.5mmの幅を有する。例えば、血液ガイド710は、1.5mmの幅を有する。
【0085】
[0095] 混合チャンバ134a〜134eに入る血液が希釈される状況で、漏出バリア705及び血液ガイド710の組合せを採用することができる。希釈された血液は、著しく低い粘性を有し、従って、混合チャンバ134a〜134eを通して迅速に分配することができる。希釈血液が第2タイプの試薬ビーズ725に達するのが早まるのを防止するために、この実施形態は、ダクト715に隣接する位置で混合チャンバ134a〜134eの上側から延在する血液ガイド710を採用する。一実施形態では、血液ガイド710は、保持要素182のアレイの左上位置に配置された保持要素182まで延在し、そこで終端する。従って、混合チャンバ134a〜134e内への血液の流れを可能にするように通気孔166a〜166eが開放されると、血液は、漏出バリア705を通過し、血液ガイド710により混合チャンバ134a〜134eの左側に誘導され、最初に、混合チャンバ134a〜134eの左側に位置する試薬ビーズ720(例えば、ポリブレン)を溶解させる。血液は、血液ガイド710の下方を流れると、混合チャンバ134a〜134eの右側まで流れることができ、混合チャンバ134a〜134eの右側に位置する第2タイプの試薬ビーズ725(例えば、CaAl
2)を溶解させる。
【0086】
[0096] いくつかの実施形態では、混合チャンバ134a〜134eの右側に位置する試薬ビーズ725は、保持要素182により閾値高さより上方で保持される。従って、左側に位置する試薬ビーズ720を溶解させるように混合チャンバ134a〜134e内への血液の流れを可能にするように、通気孔166a〜166eを開放することができる。血液が混合チャンバ134a〜134eの右側に位置する試薬ビーズを溶解させるように閾値高さに達することができる前に、血液の流れを一時的に停止するように、通気孔166a〜166eを閉鎖することができる。所定の長さの時間が経過した後、通気孔166a〜166eを開放して、混合チャンバ134a〜134eの右側に位置する試薬ビーズを溶解させるように、混合チャンバ134a〜134e内への血液の流れを継続することができる。
【0087】
[0097]
図7Cは、垂直方向に向けられているものとして血液ガイド710を示すが、当業者であれば、チャンバの左側に血液の流れを向ける目的を達成する代替的な向きを構想することができる。一例として、血液ガイド710は、混合チャンバ134a〜134eの右上側から下向きに延在することができる。血液ガイド710は、保持要素182及び可溶性試薬ビーズ180の上方の位置を起点とし、保持要素182のアレイにおける左上保持要素182まで延在する。従って、閾値高さを越えて混合チャンバ134a〜134eに入るいかなる血液も、チャンバの左側に向かって向き直される。血液ガイド710の他のさまざまな実施形態も想定することができる。
【0088】
[0098] さまざまな実施形態において、血液ガイド710は、限定されないが、オーバーモールド、成形、フォトエッチング、フォトリソグラフィ、レーザ彫刻又は3D印刷を含む種々の技法を使用して生成することができる。例えば、右カバー126に血液ガイド710を成形することができる。別の例では、本体124の混合チャンバ134a〜134eにおいて、血液ガイドをオーバーモールドすることができる。血液ガイド710の形状の逆の形状を有する第1マスク内に、ポリマーが注ぎ込まれる。ポリマーは、各混合チャンバ134a〜134e内に血液ガイド710を含む硬質プラスチックの本体124を形成する。
【0089】
[0099]
図7Eに示す代替実施形態では、混合チャンバ134a〜134eは、混合チャンバ134a〜134eの右側に血液の流れを仕向ける2つ以上の血液ガイド710を組み込むことができる。別法として、この実施形態は、
図7A及び
図7Cに示す漏出バリア705なしに構成することができる。さまざまな実施形態において、1つ又は複数の血液ガイド710は、血液の流れを混合チャンバ134a〜134eの任意の部分に仕向けることができるトラックとしての役割を果たす。従って、最初に血液にさらされる必要がある所定の可溶性試薬ビーズ180は、2つ以上の血液ガイド710が血液の流れを最初に所定の可溶性試薬ビーズ180に仕向けるように、任意の位置で混合チャンバ内に配置することができる。
【0090】
[0100]
図8に、カートリッジ120及び個々のチャネル130a〜130eの左側面図を提供する。この図では、検査チャンバ136a〜136eそれぞれに対する検査チャンバ入口ポート136ai、136bi、136ci、136di及び136eiが見える。入口ポート136ai〜136eiは検査チャンバ136a〜136eの頂部の近くに、例えば、チャンバ136a〜136eの側壁に沿って位置している。この構成は、血液が気泡を含む場合に有利である可能性があり、それは、血液がカップ136a〜136e内に入るときに、こうしたガスが血液から逃げることができるためである。粘性溶液において、溶液が底部を通って入る場合、泡はカップ136a〜136eの底部に保持される可能性があり、カップ136a〜136e内におけるトロンボエラストメトリ測定に悪影響を与える。さらに、この構成は、有利には、血液が検査チャンバ136a〜136e内に流れ込む際に流体流の乱れを最小限にすることができる。
【0091】
[0101]
図8の図示する実施形態では、カートリッジ120は、2つの位置決めピン受け140a及び140bを含む。位置決めピン受け140a及び140bは、(さらに後述するように)分析器コンソール140の位置決めピンと嵌合するために使用される。このように、カートリッジ120は、分析器コンソール140に対して正確に位置決めすることができる。
【0092】
[0102] カートリッジ120はまた、真空印加ポート162も含む。真空印加ポート162において真空源が適用されると、且つ、カートリッジ120の通気孔及び弁が適切な構成にあるとき、上述したように、且つさらに後述するように、測定チャンバ132a〜132e内に血液を引き込むことができる。
【0093】
[0103] カートリッジ120はまた、圧力印加ポート164も含む。圧力印加ポート164において圧力供給源が適用されると、且つ、カートリッジ120の通気孔及び弁が適切な構成にあるとき、上述したように、且つさらに後述するように、測定チャンバ132a〜132eから混合チャンバ134a〜134e内に、その後、混合チャンバ134a〜134eから検査チャンバ136a〜136eに、血液が強制的に流れるようにすることができる。
【0094】
[0104] 図示する実施形態では、カートリッジ120はまた、通気孔166a、166b、166c、166d及び166eも含む。他のカートリッジ実施形態は、より少ないか又はより多い通気孔を含むことができる。通気孔166a〜166eは、それぞれ、混合チャンバ134a〜134eと合流する。従って、通気孔166a〜166eが、空気流を可能にするように開放しているとき、血液が混合チャンバ134a〜134e内に流れ込む際、混合チャンバ134a〜134eからの空気は、混合チャンバ134a〜134eから容易に移動することができる。逆に、通気孔166a〜166eが、空気流を阻止するように閉鎖されているとき、混合チャンバ134a〜134e内の空気はそこから移動することができないため、血液は、混合チャンバ134a〜134e内に流れ込むことが阻止される。通気孔166a〜166eは、さらに後述するように、所定の方式に従って、分析器コンソール140により個々に開閉することができる。従って、混合チャンバ134a〜134e内への血液の流れは、所望の通りに制御することができる。
【0095】
[0105] 図示する実施形態では、カートリッジ120はまた、弁168、170、160a、160b、160c、160d及び160eも含む。他のカートリッジの実施形態は、より少ないか又はより多い弁を含むことができる。弁168、170及び160a〜160eは、カートリッジ120の流体流路内に位置している。従って、弁168、170及び160a〜160eは、弁168、170及び160a〜160eがそれぞれ位置する流体流路を通る流体流を可能にするか又は阻止するように、分析器コンソール140によって作動させる(開放するか又は閉鎖する)ことができる。例えば、弁168は、針123aと測定チャンバ132aとの間の流体流路内に位置する。従って、弁168が開放しているとき、血液は、針123aから測定チャンバ132aに流れることができ、弁168が閉鎖されているとき、血液は、針123aから測定チャンバ132aに流れることができない。
【0096】
[0106] 弁170は、測定チャンバ132eとオーバーフローチャンバ139との間の流体流路内に位置している。従って、弁170が開放しているとき、血液は、測定チャンバ132eからオーバーフローチャンバ139に流れることができ、弁170が閉鎖されているとき、血液は、測定チャンバ132eからオーバーフローチャンバ139に流れることができない。
【0097】
[0107] 弁160a〜160eは、それぞれ混合チャンバ134a〜134eと検査チャンバ136a〜136eとの間の流体流路内に位置している。従って、弁160a〜160eが開放しているとき、血液は、それぞれ混合チャンバ134a〜134eから検査チャンバ136a〜136eに流れることができ、弁160a〜eが閉鎖されているとき、血液は混合チャンバ134a〜134eから検査チャンバ136a〜136eに流れることはできない。
【0098】
[0108] いくつかの実施形態では、弁160a〜160eはピンによって個々に作動させることができ、ピンは、弁160a〜160eに向かって、且つ弁160a〜160eから離れるように並進する。弁160a〜160eを閉鎖するために、ピンは、弁160a〜160eのエラストマー部材と係合しそれを広げることができ、それにより、エラストマー部材は、弁160a〜160eの弁座と接触する。こうしたピンが、弁160a〜160eのエラストマー部材から離れるように後退すると、エラストマー部材は、広げられなくなるように反発し、その後、弁は開放される。ピンは、いくつかの実施形態ではソレノイドにより並進させることができる。
【0099】
[0109] ここで、本明細書に提供するトロンボエラストメトリシステムとともに使用することができる例としての流体制御プロセス200を概略的に示す、
図9A〜
図9Dを参照すると。プロセス200は、血液が採血管10内のみに収容された状態で開始し、血液/試薬混合物が回転式トロンボエラストメトリのために構成されているカップ136a〜136e内に収容された状態で終了する。いくつかの実施形態では、流体制御プロセス200を実施するために使用されるカートリッジ120(
図1〜
図7参照)が、内部にいかなる血液も有する前に(例えば、約37℃まで)加熱されることが理解されるべきである。
【0100】
[0110]
図9Aを参照すると、例としての流体制御プロセス200は、採血管10、測定チャンバ132a〜132e、混合チャンバ134a〜134e、及びカップ136a〜136e、オーバーフローチャンバ139、血液検出位置127a及び127b、真空印加ポート162、圧力印加ポート164、通気孔166a〜166e、弁168、170及び160a〜160eを含む。図示する構成では、弁168は閉鎖されており、それにより、採血管10内に実質的に血液が保持されている。
【0101】
[0111] 例としての流体制御プロセス200は、5つの血液流れチャネル(各々、測定チャンバ132a〜132e、混合チャンバ134a〜134e及びカップ136a〜136eをそれぞれ含む)を含むが、5つの血液流れチャネルを有することは、すべての実施形態において必須ではないことが理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、単一の血液流れチャネルのみが含まれている。別法として、2つの血液流れチャネルが含まれるか、又は、3つの血液流れチャネルが含まれるか、又は、4つの血液流れチャネルが含まれるか、又は、6つの血液流れチャネルが含まれるか、又は、7つ以上の血液流れチャネルが含まれる。
図9Bを参照すると、測定チャンバ132a〜132eは、血液で充填されており、少量の血液が、オーバーフローチャンバ139内に収容されている。この状態に達するために、(
図8Aと比較して)以下の変更が行われ、及び/又は、以下の条件が存在した。(i)弁168及び170は開放され、(ii)弁160a〜160eは閉鎖され、(iii)通気孔166a〜166eは閉鎖され、(iv)真空印加ポート162に負圧が印加され、(v)圧力印加ポート164は加圧されなかった。従って、血液は、(i)採血管10から出て、(ii)弁168を通り、(iii)血液検出位置127aを通り、(iv)測定チャンバ132a内に且つ測定チャンバ132aを充填するように、(v)測定チャンバ132b内に且つ測定チャンバ132bを充填するように、(vi)測定チャンバ132c内に且つ測定チャンバ132cを充填するように、(vii)測定チャンバ132d内に且つ測定チャンバ132dを充填するように、(viii)測定チャンバ132e内に且つ測定チャンバ132eを充填するように、(ix)血液検出位置127bを通り、(x)弁170を通り、(xi)オーバーフローチャンバ139内に流れ込んだ。血液が血液検出位置127b内で検出されたとき、負圧の印加が中止され、それにより、さらなる血液の流れが停止した。
【0102】
[0112] いくつかの実施形態では、例としての流体制御プロセス200は、測定チャンバ132a〜132eのうちの1つ、いくつか又は各々と混合チャンバ134a〜134eとの間に、漏出バリア705(図示せず)を含む。漏出バリア705は、外部制御装置への接続なしに、血液漏出を阻止するメカニズムを提供する。それぞれの通気孔166a〜166eを開放することによる負圧の印加により、混合チャンバ側に圧力差をもたらし、それにより、膨大な容量の血液の流れを通して漏出バリア705が乗り越えられる。
【0103】
[0113] いくつかの実施形態では、例としての流体制御プロセス200は、測定チャンバ132a〜132eのうちの1つ、いくつか又は各々と混合チャンバ134a〜134eとの間の漏出バリア705の代わりに、又は、それに加えて、ストップ弁を含む。いくつかの実施形態では、ストップ弁は、設定圧力に到達するとスナップ式に開放するスナップ作動式弁であるか、又は、圧力差に比例して開放する調節弁である。他のカートリッジ実施形態は、他の流体経路内に圧力制御式弁を含むことができる。
【0104】
[0114] いくつかの実施形態では、ストップ弁は、
図8A〜
図8Hにおいて反応システム内に示されている弁によって提供されるものと同じメカニズムにより、開閉することができる。いくつかの実施形態では、ストップ弁は、血液への圧力印加以外のメカニズムを通して、開閉することができる。いくつかの実施形態では、ストップ弁は、ストップ弁に接続されている制御装置からのリモートコマンド時に開放される。いくつかの実施形態では、ストップ弁は、測定チャンバ132a〜132eから混合チャンバ134a〜134eへの流体経路を通る流体の流れを可能にするか又は阻止するように、分析器コンソール140により作動させることができる。
【0105】
[0115]
図9Cを参照すると、測定チャンバ132a〜132dは、依然として血液で充填されているが、測定チャンバ132eからの血液は混合チャンバ134eに移送されている。この状態に達するために(
図9Bと比較して)以下の変更が行われ、及び/又は、以下の条件が存在した。(i)弁168及び170は閉鎖され、(ii)弁160a〜160eは閉鎖されたままであり、(iii)通気孔166a〜166dは閉鎖されたままであり、(iv)通気孔166eは開放され、(v)空気圧源が圧力印加ポート164に適用された。従って、血液は、(i)測定チャンバ132eから出て、(ii)混合チャンバ134e内に流れ込んだ。通気孔166a〜166d及び弁160a〜160dは閉鎖されたままであったため、測定チャンバ132a〜132d内の血液は、混合チャンバ134a〜134d内に流れ込まなかった。いくつかの実施形態では、
図9Cに示す流体制御プロセス200は、混合チャンバ134e内の血液の流れを仕向ける、混合チャンバ134e内に位置する血液ガイド710(図示せず)を含む。混合チャンバ134e内に血液がある状態で、混合チャンバ134e内の混合要素は、移動して、血液を撹拌し、血液中の試薬ビーズの溶解を促進することができる。
【0106】
[0116]
図9Dを参照すると、測定チャンバ132a〜132dは、依然として血液で充填されており、混合チャンバ134e内にあった血液/試薬混合物(
図9C参照)はカップ136eに移送されている。この状態に達するために、(
図9Cと比較して)以下の変更が行われ、及び/又は、以下の条件が存在した。(i)弁168及び170は閉鎖されたままであり、(ii)弁160eは開放され、(iii)弁160a〜160dは閉鎖されたままであり、(iv)通気孔166eは閉鎖され、(v)通気孔166a〜166dは閉鎖されたままであり、(vi)空気圧源が圧力印加ポート164に適用された。従って、血液/試薬混合物は、(i)混合チャンバ134eから出て、(ii)カップ136e内に流れ込んだ。通気孔166a〜166d及び弁160a〜160dは閉鎖されたままであったため、血液は、測定チャンバ132a〜132dから混合チャンバ134a〜134dに向けて流れなかった。血液/試薬混合物がカップ136e内に配置されている状態で、カップ136e内で回転式トロンボエラストメトリを開始することができる。
【0107】
[0117] カップ136a〜136dに対して、カップ136eを充填するために列挙したプロセスを繰り返すことができる。完了すると、カップ136a〜136eは、各々、血液/試薬混合物を収容し、カップ136a〜136e内のサンプルを用いて、回転式トロンボエラストメトリを行うことができる。回転式トロンボエラストメトリを実施することは、全体が参照により本明細書に援用される、2015年12月3日に出願された米国特許出願第14/958,876号にさらに記載されている。
【0108】
[0118] 本明細書を通して、「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語又はそれらの他の任意の変形は、非排他的包含を範囲に含むように意図されている。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品又は装置は、必ずしも、それらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていないか、又はこうしたプロセス、方法、物品若しくは装置に固有の他の要素を含むことができる。
【0109】
[0119] さらに、「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、本明細書における実施形態の要素及び構成要素を説明するために採用されている。これは、単に便宜上、本発明の全体的な意味を与えるためにのみ行われている。この説明は、1つ又は少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、他の意味であることが明白でない限り、単数形は複数形も含む。
【0110】
[0120] 最後に、本明細書で用いる「一実施形態」若しくは「実施形態」又は「さまざまな実施形態」に対するいかなる参照も、その実施形態に関連して記載する特定の要素、特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書のさまざまな場所において「一実施形態において」という表現が現れる場合、それは、必ずしもすべて同じ実施形態を指すとは限らない。
【0111】
[0121] 当業者であれば、本開示を読むと、本明細書における原理から開示されているようなスマートフレームに対するさらなる代替構造及び機能的設計がさらに理解されよう。従って、特定の実施形態及び応用について例示し記載したが、開示した実施形態は、本明細書に開示した厳密な構造及び構成要素に限定されないことが理解されるべきである。添付の特許請求の範囲において定義される趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示する方法及び装置の構成、動作及び詳細において、当業者であれば明らかとなるさまざまな改変、変更及び変形を行うことができる。