特許第6970192号(P6970192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6970192路上走行車のフロントガラスまたはバックミラーを形成するフィルタリングビジョン素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970192
(24)【登録日】2021年11月1日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】路上走行車のフロントガラスまたはバックミラーを形成するフィルタリングビジョン素子
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/04 20060101AFI20211111BHJP
   B60J 3/06 20060101ALI20211111BHJP
   B60R 1/08 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B60R1/04 A
   B60J3/06
   B60R1/08 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-515511(P2019-515511)
(86)(22)【出願日】2017年9月20日
(65)【公表番号】特表2020-501174(P2020-501174A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】FR2017052523
(87)【国際公開番号】WO2018055290
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2020年7月27日
(31)【優先権主張番号】1601369
(32)【優先日】2016年9月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517092787
【氏名又は名称】オネラ(オフィス ナシオナル デチュドゥ エ ドゥ ルシェルシュ アエロスパシアル)
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ハイダー,リアド
(72)【発明者】
【氏名】メヌ,シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン,グレゴリ
(72)【発明者】
【氏名】プリモ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ラショー,エルヴェ
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−041443(JP,A)
【文献】 特開2002−075029(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/101712(WO,A2)
【文献】 米国特許第3026763(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/060985(US,A1)
【文献】 特開2011−230621(JP,A)
【文献】 特開平08−165866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00−1/12
B60J 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上走行車両(10)に取り付けられ、フロントガラスまたはバックミラーを形成するフィルタリングビジョン素子(1)であって、該素子は、該車両に対して固定されているフィルタリング方向に平行な放射線であって、該車両の外側および該視覚面に到達する前に直線偏光を有する放射線を、該車両の外側で該フィルタリング方向に垂直な面に含まれる直線偏光を有する別の放射線と比較して、より低い減衰で、フィルタリング部分と呼ばれる該素子の視覚面の少なくとも一部において、車両の運転者に向けて透過または反射させるように適合され、
該視覚面は、下部領域(11)、および、該車両および該車両の該フィルタリングビジョン素子の取り付け位置に対して該下部領域よりも高い位置にある上部領域(12)を備えており、該フィルタリング部分は、該下部領域または該上部領域のいずれかに対応しており、
該フィルタリング部分に対応していない該下部領域および上部領域のうちのもう一方が、該車両の外側で該フィルタリング方向にそれぞれ平行な直線偏光を有する放射線および該車両の外側で該フィルタリング方向に垂直な面に含まれる直線偏光を有する放射線の両方を該運転者に向けて透過または反射させるように適合されることにより、該両方の直線偏光間の減衰の差が下部領域と上部領域で異なる値を有しており、
該視覚面の下部領域(11)は、車両(10)の外側および視覚面に到達する前に水平な直線偏光を有する放射線を、該車両の外側で該車両および該車両における該フィルタリングビジョン素子の取り付け位置に対して垂直な面に含まれる直線偏光を有する放射線と比較して、より大きく減衰させて、該運転者に対して透過または反射させるように適合され、
さらに、該視覚面の上部領域(12)は、車両(10)の外側および該視覚面に到達する前に水平直線偏光を有する放射線を、該車両の外側で該垂直面に含まれる該直線偏光を有する放射線と比較して、より少ない減衰で、該運転者に向けて透過または反射するように適合されることを特徴とするフィルタリングビジョン素子。
【請求項2】
路上走行車両(10)に取り付けられ、フロントガラスまたはバックミラーを形成するフィルタリングビジョン素子(1)であって、該素子は、該車両に対して固定されているフィルタリング方向に平行な放射線であって、該車両の外側および該視覚面に到達する前に直線偏光を有する放射線を、該車両の外側で該フィルタリング方向に垂直な面に含まれる直線偏光を有する別の放射線と比較して、より低い減衰で、フィルタリング部分と呼ばれる該視覚面の少なくとも一部において車両の運転者に向けて透過または反射させるように適合され、
該視覚面は、下部領域(11)、および、該車両および該車両の該フィルタリングビジョン素子の取り付け位置に対して該下部領域よりも高い位置にある上部領域(12)を備えており、該フィルタリング部分は、該下部領域または該上部領域のいずれかに対応しており、
該フィルタリング部分に対応していない該下部領域および上部領域のうちのもう一方が、該車両の外側で該フィルタリング方向にそれぞれ平行な直線偏光を有する放射線および該車両の外側で該フィルタリング方向に垂直な面に含まれる直線偏光を有する放射線の両方を、該運転者に向けて透過または反射させるように適合されることにより、該両方の直線偏光間の減衰の差が下部領域と上部領域で異なる値を有しており、
該視覚面の下部領域(11)は、車両(10)の外側および視覚面に到達する前に水平な直線偏光を有する放射線を、該車両の外側で該車両および該車両における該フィルタリングビジョン素子の取り付け位置に対して垂直な面に含まれる直線偏光を有する放射線と比較して、より少ない減衰で、該運転者に対して透過または反射させるように適合され、
さらに、該視覚面の上部領域(12)は、車両(10)の外側および該視覚面に到達する前に水平直線偏光を有する放射線を、該車両の外側で該垂直面に含まれる該直線偏光を有する放射線と比較して、より大きく減衰させて、該運転者に向けて透過または反射するように適合されることを特徴とするフィルタリングビジョン素子。
【請求項3】
前記視覚面の下部領域(11)または上部領域(12)について、前記直線偏光間の減衰に差分値をもたせるために、該下部領域および該上部領域のうちの1つにおいて効果的な、少なくとも1つの線形偏光子を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のフィルタリングビジョン素子。
【請求項4】
前記視覚面の下部領域(11)と上部領域(12)との間の境界(13)、または該上部領域と該下部領域間の中間領域は、前記車両(10)および該車両における該フィルタリングビジョン素子(1)の取り付け位置に対して垂直な面において、該視覚面の寸法の10分の1から2分の1の間に位置しており、該10分の1および2分の1の寸法は、該視覚面の下縁から測定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルタリングビジョン素子。
【請求項5】
路上走行車両(10)が請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルタリングビジョン素子(1)を備えていることを特徴とする、路上走行車両の運転者の視覚を向上させるための方法。
【請求項6】
前記フィルタリングビジョン素子(1)の高さまたは傾きは、前記車両(10)および該車両における該フィルタリングビジョン素子の取り付け位置に対して調整されており、前記視覚面の下部領域(11)と上部領域(12)との間の境界(13)または該下部領域と該上部領域との間の中間領域は、運転者から見たときに、該車両の位置する舗道(100)と、同じ舗道上に位置しているが該車両の前方または後方に位置する外部車両(101)の車輪との間の見かけの接触平面に仰角で重なるように調整されており、
該仰角の差(α)は、該車両と該外部車両とが互いに40m離れている場合、絶対値10°以下であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルタリングビジョン部材(1)が取り付けられている車両の外部にある車両(101)が、2つより多くの車輪を備えている場合には垂直面に含まれる直線偏光を有する光を生成し、2つの車輪を備えている場合には水平または自然の直線偏光を有する光を生成する照明アセンブリおよび信号灯アセンブリをそれぞれ備えていることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、路上走行車用のフロントガラスまたはバックミラーを形成するフィルタリングビジョン素子、ならびに車両の運転者の視覚を向上させる方法に関する。
【0002】
フィルタリングビジョン素子を用いてこの素子が取り付けられる路上走行車のフロントガラスまたはバックミラーを形成することは、公知である(特に国際公開第2006/101712号パンフレット)。次いで、この素子は、車両の運転者の視覚に寄与する入射放射線を、この放射線の直線偏光の配向に基づいてフィルタリングするように適合される。
【0003】
本明細書において、放射線の偏光方向は、その放射線の電界が向けられる方向である。さらに、固定されたフィルタリング方向に対する放射線の配向に基づいた放射線のフィルタリングは、その偏光方向がフィルタリング方向に平行であるこの放射線の構成要素を選択することを意味すると理解され、この構成要素を視覚認識または検出するためにフィルタリングを使用することを意図する。偏光の方向がフィルタリング方向に対して垂直であるこの放射線の相補的構成要素は、完全に除去されるかまたは選択された構成要素の減衰よりも大きく減衰される。
【0004】
屈折面または吸収面による放射線の反射が、この放射線の偏光を変化させることもまた知られている。反射の間に、反射面に対して垂直な面に含まれる直線偏光を有する放射線構成要素と比較して、反射面に対して平行な直線偏光を有する放射線構成要素の相対強度が増加する。その反射面が2つの透明な媒体間の界面である場合、その反射によって、その面上への放射線の入射角のブルースター値の合計である偏光フィルタリングがもたらされ、その反射された放射線は反射面に対して平行に完全に偏光される。この偏光効果は、反射面が吸収もしている場合、および放射線の入射角がブルースター角と異なる場合には、より少ない程度ではあるが、有意な程度には存在している。
【0005】
これらの理由から、車両のヘッドライトまたは信号灯によって生成され、道路または舗道の表面で反射される光は、主に直線的かつ水平に偏光される。さらに、道路によって反射されるこの光は、道路が濡れているときにより強力である。
【0006】
実際には、道路上を走行する車両のヘッドライトからの照明の仰角は、この光が別の車両の運転者の目を直接照らさないように調節される。この場合、運転者は、他の車両のヘッドライトによって発せられる直接光により目がくらむことはない。しかし、道路表面に向けて発せられ、この表面により運転者の目に向けて反射された光の一部は、特に夜間の運転条件や雨天時に、運転者の目をくらませたり、運転者を悩ませることがある。この眩惑または視覚的不快感は、道路の粗さによって運転者が知覚する反射スポットが広げられる場合により一層顕著となる。
【0007】
これらの状況において、本発明の目的は、運転者の視覚、特に運転者の視覚の快適さに関する視覚を改善し、眩惑のリスクを低減することである。一般的には、本発明は、運転者の視覚に関する運転安全性を向上させることを目的とする。
【0008】
この目的または他の目的を達成するために、本発明は、フィルタリングビジョン素子が取り付けられる路上走行車用のフロントガラスまたはバックミラーを形成する、新規のフィルタリングビジョン素子を提供する。該素子は、該車両に対して固定されているフィルタリング方向に平行な放射線であって、該車両の外側および該視覚面に到達する前に直線偏光を有する放射線を、該車両の外側で該フィルタリング方向に垂直な面に含まれる直線偏光を有する別の放射線と比較して、より低い減衰で、フィルタリング部分と呼ばれる該素子の視覚面の少なくとも一部において、車両の運転者に向けて透過または反射させる。
【0009】
本発明の第1の特徴によれば、該視覚面は、下部領域、および該車両および該車両の該フィルタリングビジョン素子の取り付け位置に対して該下部領域よりも高い位置にある上部領域を備えており、該フィルタリング部分は、該下部領域または該上部領域のいずれかに対応する。
【0010】
本発明の第2の特徴によれば、該フィルタリング部分に対応していない該下部領域および上部領域のうちのもう一方が、該車両の外側および該視覚面に到達する前に該フィルタリング方向に平行な直線偏光を有する放射線、ならびに該車両の外側および該視覚面に到達する前に該フィルタリング方向に垂直な面に含まれる直線偏光を有する放射線の両方を該運転者に向けて透過または反射させるように適合されることにより、該両方の直線偏光間の減衰の差が下部領域と上部領域で異なる値を有する。
【0011】
該視覚面の下部領域および上部領域で異なるように該放射線をフィルタリングするその能力によって、本発明のビジョン素子は、該下部領域および上部領域で異なるように最適化された方法で運転者の視覚快適性を向上させることが可能である。
【0012】
本発明の第1の実施形態において、該視覚面の下部領域は、車両の外側および該視覚面に到達する前に水平な直線偏光を有する放射線を、該車両の外側で垂直な面に含まれる直線偏光を有する放射線と比較して、より大きく減衰させて、該運転者に対して透過または反射させるように適合され得る。該水平方向および垂直方向は、該車両および該車両における該フィルタリングビジョン素子の取り付け位置に対して同定される。従って、該ビジョン素子は、その下部領域において、運転者の目に対する、道路によって反射される他の車両のヘッドライトの光を減衰させる。このようにして道路によって反射されるこの光が引き起こし得る眩惑および視覚的不快感が排除または低減される。
【0013】
さらに、これらの第1の実施形態において、該視覚面の上部領域は、該車両の外側および該視覚面に到達する前に該水平直線偏光を有する放射線を、車両の外側で該垂直面に含まれる該直線偏光を有する放射線と比較して、より少ない減衰で、該運転者に向けて透過または反射するように適合され得る。従って、該上部領域において、該下部領域でもたらされる減衰と同一の減衰によって妨害されないかまたは不必要に低減されない視覚を維持することが可能である。
【0014】
本発明の第2の実施形態において、該視覚面の下部領域は、該車両の外側および視覚面に到達する前に水平な直線偏光を有する放射線を、車両の外側で該垂直な面に含まれる直線偏光を有する放射線と比較して、より少ない減衰で、該運転者に対して透過または反射させるように適合され得る。このことにより該フィルタリングビジョン素子は、ヘッドライトまたは信号灯が垂直に偏光される第2の外部車両に対して、ヘッドライトまたは信号灯が水平に偏光される構成要素を含む第1の外部車両の視認性を高める。実際、該視覚面の下部領域は、該運転者が該第1の車両によって生成され、その後該道路によって反射される光を視認することを可能にするが、該道路は該第2の車両によって生成される光をより少ない程度で反射する。
【0015】
さらに、これらの第2の実施形態について、該視覚面の上部領域は、該車両の外側および該視覚面に到達する前に該水平直線偏光を有する放射線を、該車両の外側で該垂直面に含まれる該直線偏光を有する放射線と比較して、より大きく減衰させて、該運転者に向けて透過または反射するように適合され得る。これにより、該視覚面の上部領域はまた、該第1の外部車両と該第2の外部車両との間の視覚的な認識の差を増強することにも寄与する。
【0016】
一般的には、本発明に従うフィルタリングビジョン素子は、該視覚面の該下部領域および該上部領域のうちの1つについて、2種類の直線偏光間に差分値をもたせるために、この領域において効果的な、少なくとも1つの線形偏光子を備え得る。
【0017】
また、一般的には、該視覚面の下部領域と上部領域との間の境界、または該上部領域と該下部領域間の中間領域は、該車両および該車両における該フィルタリングビジョン素子の取り付け位置に対して垂直な面において、該視覚面の寸法の10分の1から2分の1の間に位置付けられ得る。この目的のために、該10分の1および2分の1の寸法は、該視覚面の下縁から測定される。好ましくは、該視覚面の下部領域と上部領域との間の境界または該中間領域は、下縁から、該垂直面において該視覚面の寸法の3分の1より下に位置付けられ得る。
【0018】
本発明はまた、路上走行車の運転者の視覚を向上させる方法を提供し、該車両が上述のフィルタリングビジョン素子を備えることを特徴とする。
【0019】
有利には、該フィルタリングビジョン素子の高さまたは傾きは、該車両および該車両における該フィルタリングビジョン素子の取り付け位置に対して調整されており、前記視覚面の下部領域と上部領域との間の境界または該下部領域と該上部領域との間の中間領域は、運転者から見たときに、該車両の位置する舗道と、同じ舗道上であるが該車両の前方または後方に位置する外部車両の車輪との間の見かけの接触平面に、仰角で重なるように調整されており、該仰角の差(α)は、該車両と該外部車両とが互いに40m離れている場合、絶対値10°以下であることを特徴とする。
【0020】
本発明の方法は、フィルタリングビジョン素子が取り付けられている車両の外部にある車両が、二輪より多くの車輪を備えている場合には垂直面に含まれる直線偏光を有する光を生成し、二輪車である場合には水平または自然の直線偏光を有する光を生成する照明アセンブリおよび信号灯アセンブリをそれぞれ備えていることをさらに含む場合に特に有利であり得る。ここで外部車両は、その外部車両が二輪車であるか、二輪より多くの車輪を有しているかによって、夜間運転条件において運転者には異なって見える。特に、二輪車のトータルの光強度は、該フィルタリングビジョン素子の視覚面上で運転者にはより強く見える場合がある。
【0021】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、いくつかの非限定的な例示的実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0022】
図1aおよび1bは、本発明による2つのフィルタリングビジョン素子を示している。
【0023】
図2は、2台の路上走行車の相対位置を示しており、そのうちの一方は、図1aに従うフィルタリングビジョン素子を備えている。
【0024】
図3は、本発明による第1のフィルタリングビジョン素子の働きを示している。
【0025】
図4aおよび4bは、本発明による第2のフィルタリングビジョン素子について、図3と対応している。
【0026】
図5は、本発明によるフィルタリングビジョン素子のさらなる利点を示している。
【0027】
明確にするために、これらの図に示される要素の寸法は、実際の寸法または実際の寸法比に対応していない。さらに、異なる図面に示される同一の参照符号は、同一の要素または同一の機能を有する要素を示している。
【0028】
図1aおよび1bによれば、全体を1で示している路上走行車用のビジョン素子は、フロントガラス(図1a)またはバックミラー(図1b)であり得る。図1bに示されるバックミラーの形状は、車内バックミラーに対応している、換言すれば、該車両の車室の内側に取り付けられることを企図されているが、代替的に該車両の車体右側または左側に取り付けられる外部バックミラーであってもよい。該ビジョン素子1は、該車両の運転手が該車両の外部環境の一部を見ることのできる視覚面を有している。フロントガラス1aについて、該視覚面は、スクリーン印刷された部分または内部バックミラーを取り付けるために用いられる部分を除いて、通常ガラスシート全体に対応している。バックミラーについては、該視覚面は、通常該ミラーの全体面に対応している。すべての場合において、該視覚素子は、該車両に対して取り付け方向を有しており、それにより該垂直方向Vを、該ビジョン素子1と関連させることができる。典型的には、方向Vは、該ビジョン素子1が取り付けられている車両が走行している道路の表面100に対して垂直である。
【0029】
方向Hは、該視覚素子1に関係して、該視覚素子1に平行な高さ方向の向きであり、該素子1の視覚面が、該車両に対して垂直に配向された面と交差する向きとして定義される。該道路上での該車両の通常位置においては、方向Hは上方を向いている。
【0030】
図2〜5において、参照符号10は、本発明による視覚素子1が取り付けられる車両を示している。
【0031】
本発明について、該素子1の視覚面は、方向Hに沿って重ね合わせられる少なくとも2つの部分(下部領域11および上部領域12)に分割される。該2つの領域は、実質的に水平である共通の中間境界13と隣接し得る。あるいは、中間領域(図示せず)が、例えば、実質的に水平である中間帯状部の形態で領域11と12との間に挿入され得る。
【0032】
該境界13の高さは、車両10の運転者が、該道路100と、車両10と同じ道路100上を走行する別の車両101のタイヤとの間に境界13が実質的に確認できるように該視覚面に位置合わせされる。フロントガラスの場合(図1a)、方向Vに沿った境界13の高さは、ISO4513規格によって定義される運転者の標準位置に対して決定され得る。バックミラーの場合(図1b)、車両10の後方に位置する車両101の境界13に対する見かけの高さは、水平軸を中心としてミラーの傾きを変化させることによって調整することができる。一般的には、図2に示されるように、車両101が車両10の前方または後方40m(メートル)に位置している場合、該境界13は、車両10の運転者から見て、車両101のタイヤと道路100との接点に向かうラインに対して、垂直面における角度ギャップαが10°(度)より小さくなるように有利に位置決めされる。好ましくは、該角度ギャップαは、5°未満であり得る。該境界13のこのような位置は、高さ方向Hに沿って該視覚面の寸法の10分の1から2分の1の間の寸法であり得、この寸法は該素子1の下縁から測定される。
【0033】
本発明によれば、領域11および12は、両方とも異なる偏光力を提供する。この目的のために、該素子1は、該領域11および12の各々に1つずつ、2つの偏光構造を備えることができ、それにより各領域は、2種類の直交する直線偏光間で変更された分布強度で、該車両10の運転者の目に入射光の一部を到達させる。本発明の単純な実施形態において、このような偏光構造は、該素子1の視覚面の関係領域を覆う偏光フィルムであってもよい。このような偏光フィルムは、該フィルム自体に平行な所定の方向に配向される二色性分子から既知の方法で形成することができる。例えば、該フィルムは、ヨウ素分子などの二色性分子のマトリックスを形成するポリビニルアルコールすなわちPVAをベースとすることができる。該フィルムは、該二色性分子を配向させるように一軸的に伸張され、その後該素子1の視覚面の所望の領域(下部領域11または上部領域12)に適用される。次いで、該視覚面に平行な該フィルムの配向が、該偏光フィルムの伸張方向と該素子の視覚面内の高さ方向Hとの間の角度によって定義される。以下では、該素子1によって、その偏光を変化させることなく、最大の再送達効率で運転者の目に向けて透過される入射放射線の直線偏光の方向を、該偏光構造の偏光方向と呼ぶ。従って、このように定義される偏光方向は、該放射線自体の偏光が伝播方向の周囲で徐々に変化する場合、該偏光構造によって最大比率で吸収される放射線の直線偏光に対して垂直である。該素子1がフロントガラスである場合、該放射線はその伝播方向において顕著な変化なしに透明性によって再送達される。あるいは、該素子1がミラーである場合、該放射線は反射によって再送達される。
【0034】
図3によれば、車両10および101の両方が、例えば夜間条件下で道路100上を互いに対向して走行している。車両101のヘッドライトは点灯しており、車両101の前方の道路100の表面に向けて光線102の光を投射している。該道路100の表面は、該光線102を車両10に向けて部分的に反射させる。参照符号Rは、光線102内の光の線を表しており、該光線はこのようにして該車両10の運転者の目に向けて反射される。既知のように、光線102は、道路100上での反射後、該道路表面に対して主に平行に配向された直線偏光を有している。この偏光配向は、図3において中心に点のある円で記号化され、PRと示されている。該道路100の表面のこの偏光効果は、ブルースター効果に部分的に対応する。該道路が濡れている場合、この効果が強調される。この反射に起因して、車両10の運転者は、車両101の前方の道路100上の光のスポット103を認識し、眩惑される場合がある。この反射された光のスポット103は、光だまりと呼ばれることもある。該道路表面がより粗い場合またはより粒状である場合、光のスポット103は、道路100上でさらに広くなる。
【0035】
本発明の目的は、このように引き起こされる車両10の運転者の眩惑を排除または低減することである。この目的のために、本発明の第1の実施形態によれば、フロントガラス1は、その下部領域11に、フロントガラス1の下部領域の隣にて双方向矢印で示されてP1と付されているように高さ方向Hに平行な偏光方向の偏光フィルムを備えて提供され得る。この様式において、該偏光フィルムは、該車両10の運転者に向けて反射される光線102の一部を吸収し、それにより該運転者は、もはや車両101の前方に光だまり103を見ることはない。
【0036】
同時に、再び図3を参照すると、上部領域12は、偏光方向が水平である偏光フィルムを備えて提供され得、それにより領域11と領域12とが自然偏光される放射線の光透過係数について同じ値を有する。この場合、境界13は、光線102の外側では見えない。自然偏光される放射線は、互いに直交する2種類の偏光方向間でエネルギーが均等に分布している放射線、特に水平偏光と垂直面に含まれる偏光との間のエネルギー分布が均等である放射線を意味すると理解される。
【0037】
図4aは、図3の走行状況を車両10と車両101の両方と共に再び使用する。車両10は、本発明の第2の実施形態に従うフロントガラス1を有している。
【0038】
本発明の別の観点によると、車両101のヘッドライトによって生成された光は、車両101が二輪より多くの車輪を備えている場合(例えば、該車両が四輪の車両または四輪より多くの車輪を有するトラックである場合)には、垂直面で直線偏光される。図4a中でPPと付されている双方向矢印は、この偏光を示している。このような偏光は、車両101のヘッドライトの光学系の出力部に配置された偏光子によって生成され得るか、または、そのような光は、該ヘッドライトの光源によってこのような直線偏光を伴って直接的に生成され得る。次いで、車両101のヘッドライトの光線は、道路100の表面によって反射されないかまたは低い強度で反射される。従って、車両10の運転者は、車両101の前方に光だまりを見ることがないか、または低い強度の光のスポットを見る。
【0039】
図4bは、車両101が二輪車である、特に自動二輪車である場合の図4aに対応する。この場合、車両101のヘッドライト(単数または複数)によって生成される光は、水平偏光されるかまたは自然偏光され得る。両方の場合において、自動二輪車からの光線102の光は、図3の状況と同じように、道路100の表面上で反射した後に水平に偏光される。
【0040】
本発明の第2の実施形態について、車両10のフロントガラス1の下部領域11は、偏光方向が水平である偏光フィルムを備えて提供され得る。P2は、フロントガラス1の下部領域11に組み込まれた偏光子の水平偏光方向を示している。この場合、車両10の運転者は、車両101が二輪より多くの車輪を有するタイプの場合(図4a)は光だまりを認識しないが、車両101が二輪車である場合には(図4b)光だまり103を認識する。従って、後者の場合、運転者の視覚的注意がより強く引かれる。
【0041】
同時に、図4aおよび4bを再び参照すると、上部領域12は、高さ方向Hに平行な偏光方向である偏光フィルムを備えて提供され得る。この偏光方向は、P3で示される。この場合にも、領域11と領域12との間の境界13は、運転者の目の方向に自然偏光された光を放射または反射する車両10の外部の物体に関して見えなくてもよい。
【0042】
図5は、車両10および101の両方が道路100上を同じ方向に走行しており、車両101は、車両10の前方を走行している状態を示している。車両101の後部に配置された信号灯、特にブレーキランプと通常呼ばれるそのブレーキ信号灯は、光線104を生成する。この光線104は、道路100の表面上での反射後に運転者10の目に到達する光線を含むが、該運転者の目に直接到達する光線も含む。参照記号R1およびR2は、これら2つのタイプの光線を示している。車両101の後方信号光によって生成される光が自然偏光または水平偏光される場合、車両10の運転者は、以下のように光を認識する:
第1の実施形態について(図3):車両10の運転者は、光だまり105を見ることなくフロントガラス1の上部領域12を通して直接光(光線R2)のみを認識し;
第2の実施形態について(図4aおよび4b):車両10の運転者は、フロントガラス1の下部領域11を通して光だまり105(光線R1)を見て、光線104が自然偏光で生成される場合にのみ上部領域12を通して直接光を認識する。
【0043】
本発明の両方の実施形態は、図2図3図4aおよび図4bを参照して、フロントガラスを形成するビジョン素子の場合について説明してきたが、当業者は、本発明が車両の内側または外側のバックミラーに同様に適用されることを理解する。上述のいくつかの実施形態の詳細な説明は、車両101が道路100上で車両10に追従している状況に容易に置き換えることができる。
【0044】
最後に、本発明の実施の詳細は、開示された利益のいくらかを少なくとも部分的に維持しながら、上述の説明に適用されるかまたは上述の説明から変更され得ることが理解される。特には以下の通りである:
使用される各偏光構造は、単純な直線偏光フィルムとは異なる構成を有し得る;
各偏光構造は、車両の外側で直線偏光の方向が該偏光構造の偏光方向に垂直である放射線を排除するのに部分的にのみ効果的であり得る。換言すれば、偏光構造の偏光方向に対して垂直に偏光される放射線の強度は、完全に相殺されることなく低減され得る。この場合、このフィルタリングビジョン素子はまた本発明に従うものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1a図1aは、本発明による2つのフィルタリングビジョン素子を示している。
図1b図1bは、本発明による2つのフィルタリングビジョン素子を示している。
図2図2は、2台の路上走行車の相対位置を示しており、そのうちの一方は、図1aに従うフィルタリングビジョン素子を備えている。
図3図3は、本発明による第1のフィルタリングビジョン素子の働きを示している。
図4a図4aは、本発明による第2のフィルタリングビジョン素子について、図3と対応している。
図4b図4bは、本発明による第2のフィルタリングビジョン素子について、図3と対応している。
図5図5は、本発明によるフィルタリングビジョン素子のさらなる利点を示している。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図5