(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のモノマー液滴の集合体は、1種以上の多官能性ビニルモノマー及び1種以上の一官能性ビニルモノマーを含み、前記第2のモノマー液滴の集合体は、1種以上の多官能性ビニルモノマー及び1種以上の一官能性ビニルモノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限り、以下の用語は、指定された定義を有する。
【0011】
本明細書において、「ポリマー」は、より小さい化学的繰り返し単位の反応生成物からなる比較的大きい分子である。ポリマーは、直鎖状、分岐状、星型、ループ状、超分岐状、架橋状又はこれらの組み合わせである構造を有し得る。ポリマーは、単一種類の繰り返し単位(「ホモポリマー」)を有し得、又は2種類以上の繰り返し単位(「コポリマー」)を有し得る。コポリマーは、ランダムに、連続して、ブロック状に、他の配置に、又はこれらの任意の混合若しくは組み合わせで配置された様々な種類の繰り返し単位を有し得る。
【0014】
を有し、式中、R
1、R
2、R
3及びR
4のそれぞれは、独立して水素、ハロゲン、脂肪族基(例えば、アルキル基等)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、他の置換若しくは無置換有機基又はこれらの任意の組み合わせである。ビニルモノマーは、フリーラジカル重合してポリマーを形成することができる。いくつかのビニルモノマーは、R
1、R
2、R
3及びR
4の1つ以上に組み込まれた1つ以上の重合性炭素−炭素二重結合を有し、そのようなビニルモノマーは、本明細書では多官能性ビニルモノマーとして認識される。厳密に1つの重合性炭素−炭素二重結合を有するビニルモノマーは、本明細書では一官能性ビニルモノマーとして認識される。
【0015】
スチレンモノマーは、ビニルモノマーであって、各R
1、R
2及びR
3が水素であり、−R
4が、次の構造:
【0017】
(式中、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9のそれぞれは、独立して水素、ハロゲン、脂肪族基(例えば、アルキル基又はビニル基等)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、他の置換若しくは無置換有機基又はこれらの任意の組み合わせである)を有するビニルモノマーである。
【0018】
アクリルモノマーは、ビニルモノマーであって、各R
1及びR
2が水素であり、R
3が水素及びメチルのいずれかであり、−R
4が、次の構造:
【0020】
(式中、R
11、R
12及びR
14のそれぞれは、独立して水素、C
1〜C
14アルキル基又は置換C
1〜C
14アルキル基である)の1つを有する、ビニルモノマーである。
【0021】
1種以上のポリマーを形成するためのモノマー間の反応は、本明細書では重合プロセスと呼ばれる。重合プロセスが行われた後のモノマーの残基は、本明細書では、そのモノマーの重合された単位として認識される。
【0022】
ポリマービーズは、独立した粒子であり、それぞれ50重量%以上のポリマーを含む。ビーズは、23℃で固体状態である。ビーズは、1μm以上の体積平均径を有する。粒子が球形ではない場合、粒子の直径は、本明細書では、粒子と同じ体積を有する仮想球の直径とみなされる。粒子が完全な球形にどの程度近いかは、粒子の3つの力学的な主軸、a(最長主軸)、b及びc(最短主軸)を最初に特徴付けることによって評価される。本明細書では、商(b/a)が0.667以上であり、且つ商(c/b)が0.667以上である場合、粒子は、球形又はほぼ球形であるとみなされる。本明細書では、真球度の指標(Ψ)は、次の通りに計算される。
【0024】
本明細書では、化学基は、置換基(すなわち原子又は化学基)が結合している場合、本明細書では「置換されている」とされる。適切な置換基としては、例えば、アルキル基、アルキニル基、アリール基、ハロゲン原子、窒素含有基(アミン基等)、酸素含有基(カルボキシル基等)、硫黄含有基(スルホン酸基等)、ニトリル基及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
液滴は、液体状態の材料の独立した粒子である。液滴は、液体及び気体のいずれかの連続流体媒体中に分散している。液滴は、1μm以上の体積平均径を有する。連続流体媒体が連続流体媒体の重量を基準として50重量%以上の水を含有する場合、連続流体媒体は、「水性媒体」である。溶液中に溶解している物質は、本明細書では連続流体媒体の一部であるとみなされる。連続流体媒体中に分散している粒子として存在する物質は、本明細書では連続流体媒体の一部であるとみなされない。
【0026】
粒子の集合体は、体積基準の直径分布によって特徴付けられる。パラメータDAVは、粒子の集合体の体積平均径である。パラメータD60は、粒子の集合体のちょうど60体積%がD60以下の直径を有するという特性を有する直径の値を意味する。パラメータD10は、粒子の集合体のちょうど10体積%がD10以下の直径を有するという特性を有する直径の値を意味する。パラメータ「均質係数」(略称「UC」)は、UC=D60/D10である。パラメータD80は、粒子の集合体のちょうど80体積%がD80以下の直径を有するという特性を有する直径の値を意味する。
【0027】
粒子の集合体は、調和平均径(HMD)によっても特徴付けられ、これは、次式:
【0030】
2つの数間の差の絶対値が特定の量である場合、2つの数は、本明細書では、その特定の量だけ「異なる」とされる。
【0031】
本明細書では、開始剤は、周囲条件で安定であるが、フリーラジカルを有する1つ以上のフラグメントを特定の条件下で生成することができ、そのフラグメントがモノマーと相互作用してフリーラジカル重合プロセスを開始することができる、分子である。フリーラジカルを有するフラグメントを生成させる条件としては、例えば、高温、酸化還元反応への関与、紫外線及び/若しくは電離放射線への曝露又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
本発明は、ポリマービーズを製造する方法を含む。この方法は、水性媒体中に第1のモノマー液滴の集合体を供給することを含む。水性媒体は、好ましくは、75%以上、より好ましくは85%以上の水を含有する。第1の粒子集合体は、体積平均径DAV1を有する。好ましくは、DAV1は、100μm以上、より好ましくは200μm以上である。好ましくは、DAV1は、1,000μm以下、より好ましくは600μm以下である。第1の粒子集合体は、1.3以下、より好ましくは1.25以下、より好ましくは1.2以下、より好ましくは1.15以下、より好ましくは1.1以下の均質係数(UC)を有する。
【0033】
第1のモノマー液滴の集合体は、モノマーを含む。好ましくは、液滴中のモノマーの量は、液滴の重量を基準として50重量%以上、より好ましくは75重量%以上、より好ましくは85重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。好ましいモノマーは、ビニルモノマーである。好ましくは、第1のモノマー液滴の集合体中のビニルモノマーの量は、全てのモノマーの重量を基準として75重量%以上、より好ましくは85重量%以上、より好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。好ましいモノマーは、スチレンモノマー及びアクリルモノマーである。好ましくは、スチレンモノマーの量とアクリルモノマーの量との合計は、全てのモノマーの重量を基準として75重量%以上、より好ましくは85重量%以上、より好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。スチレンモノマーの中では、スチレン及びジビニルベンゼンが好ましい。アクリルモノマーの中では、アクリロニトリル及びメチルアクリレートが好ましい。
【0034】
第1のモノマー液滴の集合体では、好ましくは、液滴は、1種以上の一官能性ビニルモノマーを含有する。好ましくは、一官能性ビニルモノマーの量は、全てのモノマーの重量を基準として25重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より好ましくは75重量%以上である。好ましくは、一官能性ビニルモノマーの量は、全てのモノマーの重量を基準として99.5重量%以下である。好ましい一官能性ビニルモノマーは、スチレン、エチルベンゼン、メチルアクリレート、アクリロニトリル及びこれらの混合物であり、より好ましくはスチレン、エチルベンゼン及びこれらの混合物である。
【0035】
第1のモノマー液滴の集合体では、好ましくは、液滴は、1種以上の多官能性ビニルモノマーを含有する。好ましくは、多官能性ビニルモノマーの量は、全てのモノマーの重量を基準として1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、より好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。多官能性ビニルモノマーの量は、全てのモノマーの重量を基準として100重量%以下、好ましくは99.5重量%以下、より好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。好ましい多官能性モノマーは、ジビニルベンゼンである。
【0036】
第1のモノマー液滴の集合体では、好ましくは、液滴は、1種以上の開始剤を含有する。好ましい開始剤は、25℃の水100mL中で1グラム以下、より好ましくは0.5グラム以下、より好ましくは0.2グラム以下、より好ましくは0.1グラム以下の溶解度を有する。好ましい開始剤は、過酸素開始剤である。好ましくは、液滴中の開始剤の量は、液滴の重量を基準として0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上である。好ましくは、液滴中の開始剤の量は、液滴の重量を基準として10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0037】
第1のモノマー液滴の集合体において、液滴の組成は、全てのモノマー及び全ての開始剤の量の合計によって特徴付けることができる。好ましくは、全てのモノマー及び全ての開始剤の重量の合計は、液滴の重量を基準として75%以上、より好ましくは85%以上である。好ましくは、全てのモノマー及び全ての開始剤の重量の合計は、100%以下である。
【0038】
好ましくは、第1のモノマー液滴の集合体は、0.7〜1.0、より好ましくは0.8〜1.0、より好ましくは0.9〜1.0の体積平均真球度Ψを有する。
【0039】
第1のモノマー液滴の集合体は、任意の方法によって製造することができる。好ましい方法は、連続水性媒体中に流れるモノマーを含有する液体の層流噴流の振動励起によるものである。そのような方法を行う適切な方法は、米国特許第4,444,961号明細書に記載されている。モノマーを含有する液体のための適切且つ好ましい組成は、モノマー液滴の適切且つ好ましい組成について上に記載したものと同じである。
【0040】
本発明の方法は、第2のモノマー液滴の集合体を形成することも含む。適切且つ好ましい組成、分布(DAV及びUCを含む)及び第2のモノマー液滴の集合体を製造する方法は、第1のモノマー液滴の集合体について上述したものと全て同じである。第2のモノマー液滴の集合体のこれらの特徴は、第1のモノマー液滴の集合体の特徴とは無関係に選択される。第2のモノマー液滴の集合体の組成は、第1のモノマー液滴の集合体の組成と同じであるか又は異なり得、好ましくは、第2のモノマー液滴の集合体の組成は、第1のモノマー液滴の集合体と同じ組成を有する。
【0041】
第2の単量体液滴の集合体は、体積平均径DAV2を有し、これは、DAV1と異なる。DAV1とDAV2との量は、10μm以上だけ異なる。すなわち、(DAV1−DAV2)の絶対値は、10μm以上である。好ましくは、DAV1とDAV2とは、25μm以上、より好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上だけ異なる。DAV2は、DAV1より大きいか又は小さいことができる。
【0042】
本発明の実施において、第2のモノマー液滴の集合体は、条件(I)若しくは条件(II)又は条件(I)及び(II)の組み合わせのいずれかの下で行われる。条件(I)では、第1及び第2のモノマー液滴の集合体が同時に製造される。第1及び第2のモノマー液滴の集合体を同時に(すなわち条件(I)で)製造する1つの方法は、2つの別個の噴射口を通る2つの別個の供給流を使用して、モノマー液滴を同じ水性媒体中に放出する、米国特許第4,444,961号明細書に記載の方法を使用することであろう。1つの噴射口を通る供給流を調節することで、体積平均径DAV1を有し、1.3以下のUCを有するモノマー液滴の集合体を製造することができるであろう。他方の噴射口を通る供給流を調節することで、体積平均径DAV2を有し、1.3以下のUCを有するモノマー液滴の集合を製造することができるであろう。ここで、DAV1とDAV2とは、10μm以上だけ異なる。
【0043】
条件(II)では、第2のモノマー液滴の集合体は、第1のモノマー液滴の集合体の後に製造され、第2のモノマー液滴の集合体は、第1のモノマー液滴の集合体の存在下で形成される。例えば、米国特許第4,444,961号明細書に記載されている方法を使用して、水性媒体中にDAV1を有する水性媒体中のモノマー液滴の集合体を生成することにより、第1のモノマー液滴の集合体を製造することができるであろう。次いで、同じ供給流及び同じ噴射口を使用して噴射条件を変更することで、DAV1と10μm以上だけ異なるDAV2を有するモノマー液滴の集合体を製造することができ、噴射口は、第1のモノマー液滴の集合体が既に中に入っている水性媒体中に第2のモノマー液滴の集合体を放出することができるであろう。
【0044】
条件(I)及び条件(II)の様々な組み合わせが想定される。1つの例として、米国特許第4,444,961号明細書の方法を使用することができ、第1のモノマー液滴の集合体を生成する噴射条件を、第2のモノマー液滴の集合体を生成する噴射条件と交互にすることができるであろう。別の例として、第1のモノマー液滴の集合体の製造を開始し、その後の第1のモノマー液滴の集合体の製造が完了する前に、異なる条件を使用するが、同じ水性媒体中に放出する別個の噴射口を用いた別個の供給を開始することができ、第1及び第2のモノマー液滴の集合体に属するモノマー液滴を同時に製造するための時間にわたって行うことができるであろう。
【0045】
好ましくは、本発明の方法は、1つ以上の追加のモノマー液滴の集合体を形成することも含む。適切且つ好ましい組成、分布及び製造方法は、第1及び第2のモノマー液滴の集合体について上述したものと同じである。追加のモノマー液滴の集合体のそれぞれのこれらの特徴は、他のモノマー液滴の集合体の特徴とは無関係に選択される。様々なモノマー液滴の集合体の組成は、互いに同じであるか又は互いに異なり得る。好ましくは、様々なモノマー液滴の集合体の組成は、全て同じである。
【0046】
好ましくは、追加のモノマー液滴の集合体のそれぞれは、存在する他のモノマー液滴の集合体の1つ以上のDAVと10μm以上だけ異なるDAVを有する。
【0047】
好ましくは、追加のモノマー液滴の集合体のそれぞれは、他のモノマー液滴の集合体の1つ以上と同時に行われるか、或いは他のモノマー液滴の集合体の1つ以上又はそれらの組み合わせの存在下で行われる。条件(I)及び条件(II)に関する上の検討事項は、好ましくは、モノマー液滴の集合体の各対に適用される。1つの実施形態では、例えば、全てのモノマー液滴の集合体が順番に連続して製造される。別の実施形態では、例えば、全てのモノマー液滴の集合体が同時に製造される。
【0048】
モノマー液滴は、水性媒体中に存在する。好ましくは、水性媒体は、1種以上の懸濁剤を含有する。好ましい懸濁剤は、ゼラチン、ポリビニルアルコール、デンプン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸の塩;ケイ酸マグネシウム;セルロースエーテル及びこれらの混合物である。ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及びこれらの混合物がより好ましい。好ましくは、水性媒体中の懸濁剤の量は、水性媒体の重量を基準として0.05重量%以上、より好ましくは0.075重量%以上である。好ましくは、水性媒体中の懸濁剤の量は、水性媒体の重量を基準として5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
【0049】
全てのモノマー液滴の集合体が製造され、全てのモノマー液滴の集合体が同じ水性媒体中に存在する場合、得られる組成物は、本明細書では、「モノマー液滴の最終的な複合集合体」として認識される。好ましくは、全てのモノマー液滴の合計量は、モノマー液滴の最終的な複合集合体の総重量を基準として5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。好ましくは、全てのモノマー液滴の合計量は、モノマー液滴の最終的な複合集合体の総重量を基準として65重量%以下、より好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下である。
【0050】
好ましくは、モノマー液滴の最終的な複合集合体の直径の体積分布は、200μm以上、より好ましくは300μm以上のD10を有する。好ましくは、モノマー液滴の最終的な複合集合体の直径の体積分布は、1,000μm以下、より好ましくは900μm以下、より好ましくは800μm以下のD80を有する。
【0051】
モノマー液滴の最終的な複合集合体は、重合条件下におかれる。重合条件の性質は、使用される開始剤の性質に部分的に依存する。重合条件は、開始剤が重合プロセスを開始するために十分なフリーラジカルを形成する条件を含む。例えば、熱開始剤が使用される場合、重合条件は、開始剤分子のかなりの部分が分解してフリーラジカルを形成するために十分に高い25℃を超える温度にすることを含む。別の例では、光開始剤が使用される場合、重合条件は、開始剤分子のかなりの部分が分解してフリーラジカルを形成するために十分に短い波長及び十分に高い強度の放射に開始剤を曝露することを含む。別の例では、開始剤がレドックス開始剤である場合、重合条件は、かなりの数のフリーラジカルが生成するように十分に高濃度の酸化剤及び還元剤の両方の存在を含む。好ましくは、熱開始剤が使用される。好ましくは、重合条件は、65℃以上、より好ましくは75℃以上の温度を含む。
【0052】
重合プロセスが完了した後、得られた組成物は、好ましくは、周囲温度(約23℃)にされる。好ましくは、水及び水溶性化合物は、重合プロセスにおいて形成されたポリマービーズから分離される。水が除去された後、ポリマービーズは、好ましくは、ポリマービーズの総重量を基準として20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下の量で水を含有する。水が除去された後、ポリマービーズは、好ましくは、ポリマービーズの総重量を基準として1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上の量で水を含有する。
【0053】
好ましくは、非常に小さい粒子及び非常に大きい粒子を除去するために、ポリマービーズの集合体に対してふるい分け工程が行われる。好ましくは、ポリマービーズの集合体は、メッシュ番号14以上、16以上、より好ましくは18以上、より好ましくは20以上のふるいに通される。好ましくは、ポリマービーズの集合体は、メッシュ番号100以下、より好ましくは80以下、より好ましくは70以下、より好ましくは60以下のふるい上に保持される。
【0054】
好ましくは、ふるい分け前のポリマービーズの集合体の重量を基準としたふるい分け工程で失われる材料の量は、25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
【0055】
重合条件は、懸濁重合を促進するように選択される。懸濁重合では、モノマー液滴中のモノマーが重合してポリマービーズを形成する。得られるモノマービーズの集合体は、体積基準でのビーズ直径の分布によって特徴付けることができる。そのような分布の例は、
図1に示されている。
【0056】
本発明の第2の態様は、特定の特徴を有するポリマービーズの集合体を含む。ポリマービーズの集合体は、任意の方法により製造することができる。ポリマービーズの集合体の好ましい製造方法は、本発明の第1の態様の方法による。
【0057】
ビーズ直径の体積分布は、2つ以上のピークを示す。分布は、以下の基準を満たす第1のピークと第2のピークとを有する。第1のピークは、直径の値PD1で生じるPM1の最大値を有する。第1のピークの半値全幅は、75μm以下である。第2のピークは、直径の値PD2で生じるPM2の最大値を有する。第2のピークの半値全幅は、75μm以下である。PD1とPD2とは、25μm以上だけ異なる。ポリマービーズ直径の体積分布は、PD1とPD2との間にある直径の値で生じるVM1の最小値を有する谷を示す。値VM1は、0.25*PM1未満であり、及び値VM1は、0.25*PM2未満でもある。
図1は、粒径の体積分布上の特徴へのPD1、PM1、PD2、PM2及びVM1の帰属を示す。
【0058】
好ましくは、第1のピークの半値全幅は、60μm以下である。好ましくは、第2のピークの半値全幅は、60μm以下である。
【0059】
「第1のピーク」及び「第2のピーク」という表示は、ピーク間に必要とされる谷の存在を含む、上の基準を満たす任意のピークの対に適用することができる。PD1は、PD2より大きいか又は小さいことができる。PM1は、PM2より小さいか又は大きいことができる。必要とされる谷の存在も含めて上の基準が全て満たされる限り、第1のピークと第2のピークとの間に追加のピークが現れ得る。好ましくは、ポリマービーズ直径の体積分布は、3つ以上のピークを含み、3つのピークの各組内において、2つのピークの各対が、上で定義した第1のピーク及び第2のピークとして認められるように3つのピークの1つ以上の組を特定することができる。
【0060】
ピークの対が、上で定義した第1のピーク及び第2のピークとして認められるには、2つのピーク間に上述した谷がなければならない。3つ以上のピークが存在する場合、単一の谷が、2つ以上のピーク対間の必要な谷として認められ得るであろう。これを説明するために
図4を参照する。400μm、510μm及び610μmに位置する3つのピークが存在する。400μm及び510μmにおけるピーク対は、これらの間の450μmにある谷も含めて必要な特徴を有しているため、第1及び第2のピークとして認められる。同様に、400μm及び610μmにおけるピークの対も、それらの間の450μmにある谷も含めて必要な特徴を有しているため、第1及び第2のピークとして認められる。このように、450μmにある谷は、第1及び第2のピークとして認められる2つの異なるピーク対における必要な谷として機能し得る。
【0061】
ポリマービーズの集合体が本発明の第1の態様の方法によって製造される場合、モノマー液滴の各集合体は、ポリマービーズの集合体における直径の体積分布においてピークを形成するポリマービーズになると見込まれる。2つ以上のモノマー液滴の集合体が互いに近い体積平均径を有する場合、それらの2つのモノマー液滴の集合体は、重合後、「第1のピーク」として認められる単一のピーク、又は75μmより大きい半値全幅を有する単一のピークであり得る、ポリマービーズの集合体の直径の体積分布における特徴、又は単一のピークではない特徴に寄与するとも考えられる。ポリマービーズの集合体における直径の体積分布の特徴を形成するためにモノマー液滴の集合体がどのように結び付られるか否かに関わらず、その分布は、場合により他の特徴の中でも上述した第1のピーク及び第2のピークを有する。
【0062】
好ましくは、ポリマービーズの集合体中のポリマービーズは、全て同じ組成を有する。好ましくは、ポリマービーズ中のポリマーの量は、ポリマービーズの重量を基準として80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。好ましくは、ポリマービーズは、モノマー液滴の集合体の成分に好ましいものとして上述した好ましい種類及び量のモノマーと同じモノマーの重合された単位を含む。
【0063】
ポリマービーズ径の体積分布において、D10は、好ましくは、200μm以上、より好ましくは300μm以上である。ポリマービーズ径の体積分布において、D80は、好ましくは、1,000μm以下、より好ましくは900μm以下、より好ましくは800μm以下である。
【0064】
好ましくは、ポリマービーズの集合体は、0.7〜1.0、より好ましくは0.8〜1.0、より好ましくは0.9〜1.0、より好ましくは0.95〜1.0の体積平均真球度Ψを有する。
【0065】
図1は、ポリマー粒子の仮想分布を示す。縦軸は、各直径の粒子の体積による相対量を示す任意目盛である。ピーク及び谷には、パラメータPM1、PD1、PM2、PD2及びVM1がどのように決定されるかを示すために印が付けられている。
【0066】
図2は、4つの別個のモノマー液滴の集合体の確率分布を示す。縦軸は、各直径におけるモノマー液滴の、体積基準での推定量を示す確率分布である。
図3は、
図2に示した4つの分布の合計を示す。
【0067】
図4は、本発明のポリマービーズの集合体の測定された体積分布を示す。このポリマービーズの集合体の詳細は、以下の実施例に示されている。縦軸は、各直径における粒子の体積による相対量を示す任意目盛である。
【実施例】
【0068】
以下は、本発明の実施例である。
【0069】
実施例1:多峰型分布の作製
水性媒体中に懸濁されている液滴の懸濁液は、以降に記載の通りの粒径の集合体を用いて、米国特許第4,444,960号明細書に記載の通りの手順を使用して製造した。
【0070】
83.9重量部のスチレンと、15.8重量部のジビニルベンゼン(63%のジビニルベンゼンと27%のエチルビニルベンゼンとの混合物)と、0.17重量部の過酸素開始剤とを含むモノマー混合物を、下の表に記載されている4つの異なる連続した条件で合計97分間、2つの開口部(下の表で特定されているサイズ)を有するオリフィスプレートの開口を通してモノマーリザーバー中に量り入れた。レイノルド数及びストローハル数は、米国特許第4,444,960号明細書の通りに定義し、使用する。
【0071】
【表1】
【0072】
操作の最初の20分間では、モノマー液滴の集合体「A」を製造した。次いで、ストローハル数のみを変更し、操作を30分間継続してモノマー液滴の集合体「A」と同じ容器中でモノマー液滴の集合体「B」を製造した。次いで、ストローハル数のみを変更し、操作を更に30分間継続してモノマー液滴の集合体「A」及び「B」と同じ容器中でモノマー液滴の集合体「C」を製造した。その後、モノマーの流れを停止し、199μmのオリフィスプレートを234μmのオリフィスプレートと交換し、次いでモノマーの流れを再開し、17分間操作してモノマー液滴の集合体「A」、「B」及び「C」と同じ容器中でモノマー液滴の集合体「D」を製造した。
【0073】
モノマーの噴射流を均一な大きさの液滴に破砕するために、所望の液滴直径に応じて、噴射流を異なるストローハル数で振動励起した。得られた均一な大きさの液滴は、0.05重量%のカルボキシメチルメチルセルロースの同時供給水溶液が入っているカラムを通って上昇した。モノマー液滴を、モノマー及び連続相の体積を基準として約40体積%の未重合モノマー液滴を含有する懸濁液が得られるまで、連続的に攪拌しながらカラムの上端から重合反応器中に流れ込ませた。十分な量の追加のカルボキシメチルメチルセルロースを重合反応器に添加し、懸濁剤の総濃度を懸濁媒体の重量基準で約0.15%にした。十分な量の重クロム酸ナトリウムを重合反応器に添加し、総濃度を懸濁媒体基準で約0.13%にした。その後、液滴の合体又は更なる分散を最小限にする条件で懸濁液を撹拌しながら、反応器を約81℃で約7時間加熱し、引き続き約100℃で更に1.5時間にわたり反応器を加熱することによりモノマーを重合した。この期間の終わりに、従来の濾過技術を使用して、得られたポリマービーズを懸濁媒体なしで回収し、引き続き乾燥した。乾燥したビーズを、メッシュ番号20のふるいに通してメッシュ番号60のふるい上に保持することにより、ふるい分けした。直径の体積分布を測定するために、乾燥したビーズを水と混合してスラリーを形成し、これを、FlowCam
TM(Fluid Imaging Technologies,Inc.)を用いた光学画像分析によって測定した。スラリーは、カメラを通って流れ、カメラは、粒子の画像を記録した。各粒子の直径は、5°間隔で36個のフェレー径の平均をとることによって決定した。74〜1,700μmの多点校正を使用した。結果を
図4に示す。収率は、91%と見積もられた。
【0074】
図2は、4つの仮想上のモノマー液滴の集合体の体積分布に対応する4つのピークを示す。
図3は、
図2の4つのピークの合計を示す。したがって、
図3は、
図2に示されている4つの仮想上のモノマー液滴の集合体が同じ容器内に存在する場合に生じる分布の理論予測である。
【0075】
モノマー液滴の集合体が懸濁重合すると、各モノマー液滴中のモノマーがその液滴中で重合し、その結果、各モノマー液滴がほぼ同じサイズのポリマービーズに変換されると考えられる。したがって、懸濁重合プロセスにより得られるポリマービーズの体積分布は、重合開始前に存在していたモノマー液滴の体積分布と類似しているか又は同じであると考えられる。
【0076】
上述したモノマー液滴の集合体A、B、C及びDのための条件は、
図2に示される4つのピークによってよく説明される4つの実際のモノマー液滴の集合体を形成する試みにおいて選択された。その場合、モノマー液滴の最終的な複合集合体(すなわちモノマー液滴の集合体Dの形成終了時に容器内に存在していたモノマー液滴の集合体)の直径の体積分布は、
図3によってよく説明されると予測された。モノマー液滴の最終的な複合集合体の懸濁重合によって得られたポリマービーズも、
図3によってよく説明されることも予測された。
【0077】
実施例1で製造したポリマービーズの測定された体積分布を
図4に示す。
図3の理論上の分布は、
図4の測定された分布と非常によく一致していることが分かる。
【0078】
実施例2:充填密度の測定
充填密度は、以下の方法により測定した。重量Wの量の「受けとったままの状態」の樹脂を、乾燥した風袋測定したメスシリンダー中に入れた。一定体積Vまで樹脂試料を優しく軽くたたいた。充填密度は、以下の通りに計算した。
充填密度(kg/m
3)=1000×W(g)/V(ml)
【0079】
比較例(比較例2)は、以下の通りであった。ポリマー組成が90重量部のスチレン及び10重量部のジビニルベンゼン(63%のジビニルベンゼンと27%のエチルビニルベンゼンの混合物)である樹脂ビーズ;調和平均径490μm、均質係数1.05。
【0080】
充填密度は、以下の通りであった:
【0081】
【表2】
【0082】
実施例のポリマービーズは、比較例のポリマービーズよりも大きい充填密度を有する。
【0083】
実施例3:別の実施例の分布の作製
水性媒体中に懸濁されている液滴の懸濁液を、米国特許第4,444,960号明細書の記載と類似した手順を使用して製造した。
【0084】
83.9重量部のスチレンと、15.8重量部のジビニルベンゼン(63%のジビニルベンゼンと27%のエチルビニルベンゼンとの混合物)と、0.17重量部の過酸素開始剤とを含むモノマー混合物を、下の表に記載されている5つの異なる連続した条件で合計1007分間、それぞれ直径199μmの2つの開口部を有するオリフィスプレートの開口を通してモノマーリザーバー中に量り入れた。レイノルド数及びストローハル数は、米国特許第4,444,960号明細書の通りに定義し、使用する。5つの条件の全てについて、流量は、6.5ml/分であり、レイノルズ数は、313であった。
【0085】
【表3】
【0086】
各条件を20分間維持し、次いでストローハル数のみを変更し、次の条件を20分間維持することで、その前の全てのモノマー液滴の集合体と同じ容器中に新しいモノマー液滴の集合体を製造した。
【0087】
モノマーの噴射流を均一な大きさの液滴に破砕するために、所望の液滴直径に応じて、噴射流を異なるストローハル数で振動励起した。得られた均一な大きさの液滴は、ポリビニルアルコールの同時供給水溶液が入っているカラムを通って上昇した。モノマー液滴を、モノマー及び連続相の体積を基準として約40体積%の未重合モノマー液滴を含有する懸濁液が得られるまで、連続的に攪拌しながらカラムの上端から重合反応器に流れ込ませた。十分な量の追加のカルボキシメチルメチルセルロースを重合反応器に添加し、懸濁剤の総濃度を懸濁媒体の重量基準で約0.15%にした。十分な量の重クロム酸ナトリウムを重合反応器に添加し、総濃度を懸濁媒体基準で約0.13%にした。その後、液滴の合体又は更なる分散を最小限にする条件で懸濁液を撹拌しながら、反応器を約81℃で約7時間加熱し、引き続き約100℃で更に1.5時間にわたり反応器を加熱することによりモノマーを重合した。この期間の終わりに、従来の濾過技術を使用して得られたポリマービーズを懸濁媒体なしで回収し、引き続き乾燥した。乾燥したビーズを、メッシュ番号20のふるいに通してメッシュ番号60のふるい上に保持することにより、ふるい分けした。直径の体積分布を測定するために、乾燥したビーズを水と混合してスラリーを形成し、これを、FlowCam
TM(Fluid Imaging Technologies,Inc.)を用いた光学画像分析によって測定した。結果を
図6に示す。収率は、91%と見積もられた。
【0088】
図5は、点線として示されている5つの仮想上のモノマー液滴の集合体の体積分布に対応する5つのピークを示す。
図5は、これらの5つのピークの合計も示し、合計は、実線として示されている。したがって、
図5中の実線は、
図5の点線で示されている5つの仮想上のモノマー液滴の集合体が同じ容器内に存在する場合に生じる分布の理論予測である。
【0089】
モノマー液滴の集合体が懸濁重合すると、各モノマー液滴中のモノマーがその液滴中で重合し、その結果、各モノマー液滴がほぼ同じサイズのポリマービーズに変換されると考えられる。したがって、懸濁重合プロセスにより得られるポリマービーズの体積分布は、重合開始前に存在していたモノマー液滴の体積分布と類似しているか又は同じであると考えられる。
【0090】
上述したモノマー液滴の集合体A、B、C、D及びEのための条件は、
図5に示される5つのピークによってよく説明される5つの実際のモノマー液滴の集合体を形成する試みにおいて選択された。その場合、モノマー液滴の最終的な複合集合体(すなわちモノマー液滴の集合体Eの形成終了時に容器内に存在していたモノマー液滴の集合体)の直径の体積分布は、
図5によってよく説明されると予測された。モノマー液滴の最終的な複合集合体の懸濁重合によって得られた重合体ビーズも、
図5によってよく説明されることも予測された。
【0091】
実施例3で製造したポリマービーズの測定された体積分布を
図6に示す。
図5の実線の理論上の分布は、
図6の測定された分布と非常によく一致していることが分かる。