(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準位置は、前記走行車線の車幅方向の中心位置、前記所定の挙動を示す前の前記先行車の車幅方向の位置、および前記所定の挙動を示す前の前記車両の車幅方向の位置のいずれかに設定されている、ことを特徴とする請求項9に記載の車両制御装置。
前記制御手段は、前記第1モードから前記第2モードに変更した後、前記先行車が前記所定の挙動を示す前の状態に戻った場合に、前記第2モードから前記第1モードに変更して前記車両の操舵制御を行う、ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の車両制御装置。
前記制御手段は、前記第1モードから前記第2モードに変更した後、前記検知手段により前記先行車が区画線を超えたことを検知した場合に、前記第2モードから前記第1モードに変更して前記車両の操舵制御を行う、ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制御装置のブロック図である。
図1に示す車両制御装置は、車両1の自動運転を制御する装置であり、
図1において、車両1はその概略が平面図と側面図とで示されている。車両1は、一例として、セダンタイプの四輪の乗用車である。
【0011】
図1の制御装置は、制御ユニット2を含む。制御ユニット2は、車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU20〜29を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスには、プロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUは、プロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。
【0012】
以下、各ECU20〜29が担当する機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは統合したりすることが可能である。
【0013】
ECU20は、車両1の自動運転に関わる制御を実行する。自動運転においては、車両1の操舵および加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。後述する制御例では、操舵と加減速との双方を自動制御する。
【0014】
ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は、操舵操作をアシストしたり、あるいは前輪を自動操舵したりするための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU21は、ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。
【0015】
ECU22および23は、車両1の周囲状況を検知する検知ユニット41〜43の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット41は、車両1の前方を撮影するカメラであり(以下、カメラ41と表記する場合がある)、本実施形態の場合、車両1のルーフ前部に2つ設けられている。カメラ41が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)などを抽出可能であり、それにより、ECU22および23は、前方の歩行者、前方車両の種別(大型車または普通車等)、道路情報(歩道、路肩、走行路など)、道路上の障害物を認識することができる。
【0016】
検知ユニット42は、ライダ(LIDAR:Light Detection and Ranging、以下、ライダ42と表記することがある)であり、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測定したりする。本実施形態の場合、ライダ42は5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。検知ユニット43は、ミリ波レーダであり(以下、レーダ43と表記することがある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測定したりする。本実施形態の場合、レーダ43は5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0017】
ECU22は、一方のカメラ41と、各ライダ42の制御および検知結果の情報処理を行う。ECU23は、他方のカメラ41と、各レーダ43の制御および検知結果の情報処理を行う。車両1の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラ、ライダ、レーダといった種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。また、ECU22およびECU23はそれぞれ、ライダ42およびレーダ43により測定された車両1の周囲の物標との距離に基づいて車両1と当該物標との相対速度を検知したり、車両1の絶対速度情報に更に基づいて車両1の周囲の物標の絶対速度を検知したりすることもできる。
【0018】
ECU24は、ジャイロセンサ5、GPSセンサ24b、通信装置24cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は車両1の回転運動を検知する。ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。GPSセンサ24bは、車両1の現在位置を検知する。通信装置24cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。ECU24は、記憶デバイスに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、ECU24は現在地から目的地へのルート探索等を行う。また、ECU24は、車車間通信用の通信装置24dを備える。通信装置24dは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。
【0019】
ECU25は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は、車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ECU25は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7aにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御したり、車速センサ7cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替えたりする。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU25は、ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0020】
ECU26は、方向指示器8(ウィンカ)を含む灯火器(ヘッドライト、テールライト等)を制御する。
図1の例の場合、方向指示器8は、車両1の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。
【0021】
ECU27は、車内の状況を検知する検知ユニット9の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット9としては、車内を撮影するカメラ9aと、車内の乗員からの情報の入力を受け付ける入力装置9bとが設けられる。カメラ9aは、本実施形態の場合、車両1のルーフ前部に設けられており、車内の乗員(例えば運転者)を撮影する。入力装置9bは、車内の乗員が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群である。
【0022】
ECU28は、出力装置10の制御を行う。出力装置10は、運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。音声出力装置10aは、運転者に対して音声により情報を報知する。表示装置10bは、運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置10bは、例えば運転席表面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが、振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。
【0023】
ECU29は、ブレーキ装置11やパーキングブレーキ(不図示)を制御する。ブレーキ装置11は、例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速あるいは停止させる。ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7bにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置11の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置11を自動制御し、車両1の減速および停止を制御する。ブレーキ装置11やパーキングブレーキは、車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、これを車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0024】
このように構成された車両1では、ECU20は、自動運転の際、車線維持モードと先行車追従モードとを含む複数のモードのいずれかによって車両1の操舵制御を行う。車線維持モード(第1モード)とは、検知ユニット41〜43(特に、検知ユニット41)で検知された区画線に基づいて、車線に沿って車両1の操舵制御を行うモードである。車線維持モードでは、例えば、可能な限り車線の中央(車幅方向)を走行するように車両1の操舵制御が行われうる。また、先行車追従モード(第2モード)とは、検知ユニット41〜43で検知された先行車に基づいて、該先行車に追従するように、即ち、該先行車の走行軌跡をトレースするように車両1の操舵制御を行うモードである。
【0025】
ところで、先行車追従モードで車両1の操舵制御を行う場合では、先行車のふらつき等にも追従しうる。そのため、通常の自動運転時には、乗り心地などに直結する走行時の安定性の観点から、車線維持モードで車両1の操舵制御を行うことが好ましい。一方、例えば
図2に示すように、走行車線100a上に障害物OB(例えば、落し物や停止車両、工事現場など)がある場合では、先行車PVが車幅方向に移動して該障害物を回避するまでは、先行車PVの死角により検知ユニット41〜43で該障害物を検知できないことがある。この場合、先行車追従モードを適用し、先行車PVにおける障害物OBの回避行動に従って車両1の操舵制御を行えば、車両1も障害物OBを回避するように走行することができる。
【0026】
そこで、本実施形態のECU20は、車線維持モードでの操舵制御中に、先行車PVが車幅方向に所定の挙動を示したと判定した場合、車線維持モードから先行車追従モードに変更して車両1の操舵制御を行う。先行車PVが車幅方向に所定の挙動を示した場合、先行車PVにおいて走行車線上の障害物の回避行動を行っている可能性が高いため、車線維持モードから先行車追従モードに変更して、先行車PVに追従するように車両1の操舵制御を行うことにより、先行車と同様に、車両1も該障害物を回避することができる。
【0027】
以下に、本実施形態のECU20が実行する車両1の制御例について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、例えば車両1の運転者が自動運転を指示している場合に実行される車両1の制御例を示すフローチャートである。
図3のフローチャートにおいて、自動運転の指示を開始したときの操舵制御モードは、車線維持モードに設定されているものとする。また、ECU20は、車両1の制御装置として機能する。
【0028】
S11では、ECU20は、車線維持モードで車両1の操舵制御を行う。例えば、ECU20は、
図2に示すように、検知ユニット41〜43で検知された走行車線100aの左右の区画線(白線)101L、101Rに基づいて、可能な限り走行車線100aの中央(車幅方向)を走行するように車両1の操舵制御を行う。このとき、ECU20は、検知ユニット41〜43で検知された先行車PVとの車間距離が所定距離で維持されるように、車両1の走行制御を行うこともできる。
【0029】
S12では、ECU20は、検知ユニット41〜43での検知結果に基づいて、先行車PVが車幅方向に所定の挙動を示したか否かを判定する。先行車PVが所定の挙動を示したと判定した場合にはS13に進み、先行車PVが所定の挙動を示していないと判定した場合にはS12を繰り返し行う。なお、先行車PVがいない場合にはS12を繰り返し行う。
【0030】
所定の挙動とは、車幅方向へ移動する動作を含み、例えば、ECU20は、
図4に示すように、所定の挙動の判断基準として、車幅方向における先行車PVの移動量Aが閾値TH
1(第1閾値)を超えたか否かを判定することができる。つまり、ECU20は、車幅方向における先行車PVの移動量Aが閾値TH
1を超えたときに、先行車PVが所定の挙動を示したと判定することができる。
【0031】
ここで、進行方向における車両1または先行車PVの速度(以下、走行速度と呼ぶことがある)が大きくなると障害物OBに達するまでの時間が短くなるため、ECU20は、先行車PVの所定の挙動を瞬時に判断することが望まれる。そのため、本実施形態のECU20は、走行速度に応じて閾値TH
1を変更してもよい。具体的には、ECU20は、
図5に示すような走行速度と閾値TH
1との関係を示す情報を予め取得しておき、該情報に基づいて、現在の走行速度に対して使用する閾値TH
1を決定するとよい。
図5に示す該情報の例では、走行速度が大きくなるにつれて閾値TH
1が小さくなるように設定されている。
【0032】
また、例えば、障害物OBを回避するために先行車PVが急に車幅方向に移動した場合においても、車両1が該障害物OBを回避することができるように、先行車PVの所定の挙動を瞬時に判断することが望まれる。この場合、先行車PVは、車幅方向の移動速度が大きくなるため、ECU20は、先行車PVの車幅方向の移動速度が大きくなるにつれて閾値TH
1が小さくなるように、先行車PVの車幅方向の移動速度に応じて閾値TH
1を変更してもよい。
【0033】
所定の挙動の判断方法の例としては、以下の方法も挙げられる。例えば、ECU20は、所定の挙動の判断基準として、車幅方向における先行車PVの移動速度が閾値TH
2(第2閾値)を超えたか否かを判定してもよい。この場合、ECU20は、車幅方向における先行車PVの移動速度が閾値TH
2を超えたときに、先行車が所定の挙動を示したと判定することができる。ここで、ECU20は、上述の先行車PVの移動量についての閾値TH
1と同様に、走行速度に応じて閾値TH
2を変更してもよい。具体的には、ECU20は、走行速度が大きくなるにつれて閾値TH
2が小さくなるように、閾値TH
2を変更しうる。
【0034】
更に、ECU20は、所定の挙動の判断基準として、先行車PVが車幅方向に移動して走行車線100a内の基準位置と先行車PVとの距離Lが閾値TH
3(第3閾値)を超えたか否かを判定してもよい。この場合、ECU20は、該距離Lが閾値TH
3を超えたときに、先行車PVが所定の挙動を示したと判定することができる。基準位置とは、例えば、走行車線100aの車幅方向の中心位置、所定の挙動を示す前に先行車PVが所定距離を走行した車幅方向の位置、および、所定の挙動を示す前の車両1の車幅方向の位置のいずれかに設定されうる。基準位置が走行車線100aの車幅方向の中心位置に設定されている場合、ECU20は、
図6に示すように、先行車PVと該中心位置との距離Lが閾値TH
3を超えたときに、先行車PVが所定の挙動を示したと判定することができる。
【0035】
S13では、ECU20は、先行車PVが車線変更するか否かを推定する。S12において先行車PVが所定の挙動を示したと判定しても、その所定の挙動が、走行車線100a上の障害物を回避するための動作ではなく、隣接する走行車線100b(隣接車線)に車線変更をするための動作である場合がある。この場合に、操舵制御モードを車線維持モードから先行車追従モードに変更してしまうと、先行車PVに追従して車線変更を行うように車両1の操舵制御が行われてしまう。そのため、ECU20は、S13において先行車PVが車線変更するか否かを推定し、先行車PVの車線変更が推定された場合にはS12に戻り、先行車追従モードへの変更を中止する。例えば、ECU20は、検知ユニット41〜43により先行車PVの方向指示器(ウィンカ)の作動を検知した場合に、先行車PVが車線変更すると推定することができる。また、ECU20は、検知ユニット41〜43により、先行車PVが区画線を超えた(跨いだ)ことを検知した場合に、先行車PVの車線変更を推定することができる。一方、先行車PVの車線変更が推定されなかった場合にはS14に進む。
【0036】
S14では、ECU20は、車両1の操舵制御モードを車線維持モードから先行車追従モードに変更し、先行車追従モードで車両1の操舵制御を行う。これにより、先行車PVにおける障害物の回避動作に追従して、即ち、該回避動作を行っている先行車の走行軌跡をトレースするように走行し、該障害物を回避することができる。
【0037】
ここで、ECU20は、S12で先行車PVの所定の挙動の判断に用いられる閾値TH
1、閾値TH
2、閾値TH
3をそれぞれ、複数段階に設定してもよい。例えば、先行車PVの所定の挙動の判断に閾値TH
1を用いる例において、2段階の閾値TH
1を設定する場合を想定する。この場合、先行車の挙動(車幅方向の移動量A)が1段階目の閾値TH
1を超えたときには、S14において、ECU20は、車両1の操舵制御モードを車線維持モードから先行車追従モードに変更し、先行車追従モードで車両1の操舵制御を行う。そして、1段階目の閾値TH
1より大きい2段階目の閾値TH
1を超えたときには、ECU20は、先行車追従モードでの車両1の操舵制御に加えて、運転者に「ハンズオン(ハンドル保持)要求」や「運転交代の要求」を表示装置10を介して更に行いうる。
【0038】
また、ECU20は、S12で先行車PVの所定の挙動の判断に用いられる閾値TH
1、閾値TH
2、閾値TH
3をそれぞれ、車両1の走行車線100aに隣接する隣接区域の種類に応じて変更してもよい。例えば、先行車PVの所定の挙動の判断に閾値TH
1を用いる例では、ECU20は、隣接区域が走行車線(例えば追越車線)なのか、路肩なのか、もしくは反対車線なのかに応じて閾値TH
1を変更することができる。具体的には、
図2に示すように、走行車線100aの一方の隣接区域が走行車線100bであり、他方の隣接区域が路肩である場合、ECU20は、走行車線100bの方向より危険度が大きい路肩の方向の閾値TH
1を大きく設定する。これにより、障害物OBの回避において、路肩の方向よりも、走行車線100bの方向の方が先行車PVに追従し易くすることができる。同様に、走行車線100aの一方の隣接区域が反対車線であり、他方の隣接区域が路肩である場合、ECU20は、路肩の方向より危険度が大きい反対車線の方向の閾値TH
1を大きく設定する。これにより、障害物OBの回避において、反対車線の方向よりも、路肩の方向の方が先行車PVに追従し易くすることができる。つまり、ECU20は、走行車線<路肩<反対車線を満たすように閾値TH
1を設定しうる。なお、ECU20は、隣接区域の種類を、例えばGPSセンサ24bで検出された車両1の現在位置や、通信装置24cで取得された地図情報などから決定することができる。
【0039】
S15では、ECU20は、検知ユニット41〜43により、先行車PVが区画線を超えた(跨いだ)ことを検知したか否かを判定する。先行車PVが区画線を超えた場合、先行車PVは、車線変更をする可能性が高く、先行車追従モードで車両1の操舵制御をそのまま行ってしまうと、先行車PVに追従して車両1も車線変更をすることとなる。そのため、ECU20は、先行車PVが区画線を超えたと判定した場合にはS18に進み、車両1の操舵制御モードを先行車追従モードから車線維持モードに変更し、車線維持モードで車両1の操舵制御を行う。このとき、ECU20は、検知ユニット41〜43により走行車線100a上の障害物OBが検知されたときには、走行車線100aの中央ではなく、該障害物OBを回避するように車両1の操舵制御を行うとよい。一方、先行車PVが区画線を超えていないと判定した場合にはS16に進む。
【0040】
S16では、ECU20は、検知ユニット41〜43での検知結果に基づいて、所定の挙動を示す前の状態(以下、「前状態」と呼ぶことがある)に先行車PVが戻ったか否かを判定する。例えば、ECU20は、検知ユニット41〜43により、上述した基準位置を含む車幅方向の所定範囲内(即ち、走行車線100a上に設定された所定範囲内)に先行車が戻ったことを検知したときに、先行車PVが前状態に戻ったと判定することができる。先行車PVが前状態に戻ったと判定した場合にはS18に進み、車両1の操舵制御モードを先行車追従モードから車線維持モードに変更し、車線維持モードで車両1の操舵制御を行う。一方、先行車PVが前状態に戻っていないと判定した場合にはS17に進む。
【0041】
S17では、ECU20は、検知ユニット41〜43により障害物が検知されておらず、且つ先行車追従モードに変更してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過した場合にはS18に進み、車線維持モードで車両1の操舵制御を行う。一方、所定時間が経過していない場合にはS16に戻り、先行車が前状態に戻ったか否かを判定する。なお、S18の工程が終了した後は、S11に戻り、
図3のフローチャートの各工程を繰り返し行ってもよい。
【0042】
上述したように、本実施形態では、先行車PVが所定の挙動を示したと判定した場合に、車両1の操舵制御モードを車線維持モードから先行車追従モードに変更し、先行車追従モードで車両1の操舵制御を行う。これにより、先行車PVに追従して走行車線100a上の障害物OBの回避行動を行うことが可能となる。
【0043】
ここで、本実施形態では、ECU20は、S12において、先行車PVが所定の挙動を示したか否かを判定したが、例えば、先行車PVの前を走行する先々行車が所定の挙動を示したか否かを更に判定してもよい。この場合、ECU20は、先々行車が所定の挙動を示したと判定すると、車両1の操舵制御モードを先行車追従モードに変更し、先行車PVに追従するように先行車追従モードで車両1の操舵制御を行いうる。このように、先々行車における所定の挙動を判定することにより、より早期に先行車追従モードに変更し、より安全に障害物OBの回避を行うことができる。
【0044】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態の車両制御装置は、
車両(例えば1)の走行制御を行う車両制御装置であって、
前記車両の周囲状況を検知可能な検知手段(例えば41〜43)と、
前記検知手段での検知結果に基づいて、先行車(例えばPV)が車幅方向に所定の挙動を示したか否かを判定する判定手段(例えば20、22、23)と、
前記車両の操舵制御を行う制御手段(例えば20)と、
を備え、
前記制御手段は、前記車両の操舵制御モードとして、前記検知手段で検知された区画線に基づいて前記車両の操舵制御を行う第1モードと、前記検知手段で検知された先行車に基づいて前記車両の操舵制御を行う第2モードとを有し、
前記制御手段は、前記第1モードでの操舵制御中に前記判定手段により前記先行車が前記所定の挙動を示したと判定された場合、前記第1モードから前記第2モードに変更して前記車両の操舵制御を行う。
【0045】
この実施形態によれば、通常走行時では、走行安定性が比較的高い第1モード(車線維持モード)で操舵制御を行う一方、先行車が所定の挙動を示した場合には、第2モード(先行車追従モード)に変更して操舵制御を行うことにより、走行車線上の障害物を、先行車に追従して回避することが可能となる。
【0046】
2.上記実施形態では、
前記判定手段は、前記所定の挙動の判定基準として、車幅方向における前記先行車の移動量が第1閾値を超えたか否かを判定する。
【0047】
この実施形態によれば、先行車が所定の挙動を示したか否かを適切に判定することが可能となる。
【0048】
3.上記実施形態では、
前記判定手段は、進行方向における前記車両または前記先行車の速度に応じて前記第1閾値を変更する。
【0049】
この実施形態によれば、進行方向における車両または先行車の速度が大きくなっても、先行車の所定の挙動を瞬時に判定することが可能となる。
【0050】
4.上記実施形態では、
前記判定手段は、車幅方向における前記先行車の速度に応じて前記第1閾値を変更する。
【0051】
この実施形態によれば、車幅方向に先行車が急に移動した場合においても、先行車の所定の挙動を瞬時に判定することが可能となる。
【0052】
5.上記実施形態では、
前記判定手段は、前記所定の挙動の判定基準として、車幅方向における前記先行車の移動速度が第2閾値を超えたか否かを判定する。
【0053】
この実施形態によれば、先行車が所定の挙動を示したか否かを適切に判定することが可能となる。
【0054】
6.上記実施形態では、
前記判定手段は、進行方向における前記車両または前記先行車の速度に応じて前記第2閾値を変更する。
【0055】
この実施形態によれば、進行方向における車両または先行車の速度が大きくなっても、先行車の所定の挙動を瞬時に判定することが可能となる。
【0056】
7.上記実施形態では、
前記判定手段は、前記所定の挙動の判定基準として、前記先行車が車幅方向に移動して走行車線内の基準位置と前記先行車との距離が第3閾値を超えたか否かを判定する。
【0057】
この実施形態によれば、先行車が所定の挙動を示したか否かを適切に判定することが可能となる。
【0058】
8.上記実施形態では、
前記基準位置は、前記走行車線の車幅方向の中心位置、前記所定の挙動を示す前の前記先行車の車幅方向の位置、および前記所定の挙動を示す前の前記車両の車幅方向の位置のいずれかに設定されている。
【0059】
この実施形態によれば、先行車が所定の挙動を示したか否かをより適切に判定することが可能となる。
【0060】
9.上記実施形態では、
前記判定手段は、前記所定の挙動の判定基準に用いる閾値を、前記車両が走行する走行車線の隣接区域の種類に応じて変更する。
【0061】
この実施形態によれば、走行車線の隣接区域の種類に応じて、先行車への追従し易さを変更することが可能となる。
【0062】
10.上記実施形態では、
前記先行車の車線変更を推定する推定手段(例えば20)を更に備え、
前記制御手段は、前記推定手段で前記先行車の車線変更が推定された場合には、前記第1モードから前記第2モードへの変更を中止する。
【0063】
この実施形態によれば、先行車に追従して車線変更を行ってしまうことを回避することが可能となる。
【0064】
11.上記実施形態では、
前記推定手段は、前記検知手段により前記先行車の方向指示器の作動を検知した場合に、前記先行車が車線変更すると推定する。
【0065】
この実施形態によれば、先行車の車線変更を適切に推定することが可能となる。
【0066】
12.上記実施形態では、
前記推定手段は、前記検知手段により前記先行車が区画線を超えたことを検知した場合に、前記先行車が車線変更すると推定する。
【0067】
この実施形態によれば、先行車の車線変更を適切に推定することが可能となる。
【0068】
13.上記実施形態では、
前記制御手段は、前記第1モードから前記第2モードに変更した後、前記先行車が前記所定の挙動を示す前の状態に戻った場合に、前記第2モードから前記第1モードに変更して前記車両の操舵制御を行う。
【0069】
この実施形態によれば、走行車線上の障害物を回避した後において、走行安定性が比較的高い第1モード(車線維持モード)で操舵制御を行うことが可能となる。
【0070】
14.上記実施形態では、
前記制御手段は、前記第1モードから前記第2モードに変更した後、前記検知手段により前記先行車が区画線を超えたことを検知した場合に、前記第2モードから前記第1モードに変更して前記車両の操舵制御を行う。
【0071】
この実施形態によれば、先行車に追従して車線変更を行ってしまうことを回避することが可能となる。
【0072】
15.上記実施形態では、
前記判定手段は、前記検知手段での検知結果に基づいて、前記先行車の前を走行する先々行車が車幅方向に前記所定の挙動を示したか否かを更に判定し、
前記制御手段は、前記第1モードでの操舵制御中に前記判定手段により前記先々行車が前記所定の挙動を示したと判定された場合、前記第1モードから前記第2モードに変更して前記車両の操舵制御を行う。
【0073】
この実施形態によれば、先々行車における所定の挙動を判定することにより、より早期に第2モード(先行車追従モード)に変更し、より安全に走行車線上の障害物の回避を行うことができる。
【0074】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。