【文献】
YAO LU,HIGH-THROUGHPUT SECRETOMIC ANALYSIS OF SINGLE CELLS TO ASSESS FUNCTIONAL CELLULAR HETEROGENEITY,ANALYTICAL CHEMISTRY,米国,2013年02月19日,VOL:85, NR:4,PAGE(S):2548 - 2556,http://dx.doi.org/10.1021/ac400082e
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0050】
(詳細な説明)
生物学的な系または試料の状態もしくは能力を特徴付ける努力は、バルク分析法によって混乱することも不明瞭になることもある。このことは、通常の量または媒体で分析される多くの細胞を含む試料が分析物をマスクまたは希釈するように作用し得る、免疫学的調査などの細胞分析において明らかである。したがって、多くの事例において、非常に少量および単一の細胞試料分析能力を提供することが望ましい。単一または少数の細胞を含むような小試料量では、複数の試料を個別の反応領域または区域に隔離することがさらに望ましく、したがって、これらを並行分析にかけることができる。このような方法では、試料を均一かつ個別に処置する能力を提供しながら、試料間クロストークおよび汚染を回避する必要があり得る。正確で感度の良いデータをスケーラブルな、かつ多重化されたフォーマットで、最小限のユーザ介入によって収集することもまた重要である。
【0051】
個別細胞分析を特に適用できる生化学的分析の特定の例は、個々の細胞からの、または細胞間相互作用により生じる分泌タンパク質に基づく機能的状態の評価に関する。免疫細胞分析を含むモデルシステムでは、細胞タンパク質または化学的分泌プロファイルを単一細胞レベルで免疫応答の質と相関させ得る。例えば、複数のサイトカインにより、CD4およびCD8の両方の細胞集団で、分化ステージを定義または区別することができる。さらに、中央メモリー細胞およびメモリー/エフェクター細胞は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)、インターロイキン2(IL2)、および/またはインターフェロンガンマ(IFN−γ)などの特定のサイトカインを分泌する増加する可能性と関連付けることができる。対照的に、主にIFN−γを産生および分泌する細胞は、プログラム細胞死(例えばアポトーシス)関連する末期分化型エフェクターをより示しやすい可能性がある。
【0052】
CD4細胞において実証されるものなどの、複数の潜在的な機能的表現型のスクリーニングを容易にするため、ならびに細胞免疫応答と関連付けられるものなどの多機能性の測定を可能にするために、複数の分析物を同時に分析することが望ましい。このような分析では、個々の、または少数の細胞から実質的に同時に複数の分析物を検出することを可能にすることがさらに望ましく、この場合、何百、何千、何百万の、またはそれ超の個別の細胞、試料、および/または個別の細胞相互作用が多数の分析物について評価される。さらに、細胞または試料集団ごとにスクリーニングされる分析物の数は、各試料について、比較的少ない(例えば、約1個から5個の間の分析物)またはより多い(例えば、約5個から100個の間の分析物)数と、おそらくはさらに多い(例えば、100個より多い分析物)数との間であり得る。
【0053】
多くの個別試料を多くの異なる分析物について望ましくは評価できる高度に多重化されたシステムでは、関連データを迅速かつ正確に取得すること、および高品質分析を行うことに関して、特別な困難性が生じる。このようなシステムによって同時に分析されるべき個別試料が小スケールおよび多数であることにより、これらの分析を高度の自動化および/またはユーザに依存しないコンピュータによる分析を用いずに適切に行うことを実施不能にし得る。このことは特に、何百、何千、またはそれ超の個別試料を評価することが意図された単一細胞技術および細胞分析システムを開発することでは明らかである。
【0054】
例示的な単一細胞分析技術は、最近、例えば、「High-Throughput Secretomic Analysis of Single Cells to Assess Functional Cellular Heterogeneity」、Analytical Chemistry、2013年、85巻、2548〜2556頁、「Microfluidics-Based Single-Cell Functional Proteomics for Fundamental and Applied Biomedical Applications」、Annual Review of Analytical Chemistry、2014年、7巻、275〜95頁、および「Single-cell technologies for monitoring immune systems」、Nature Immunology、2014年、15巻、2号、128〜135頁に記載されており、分泌タンパク質を細胞ごとのベースで測定することができる。加えて、単一細胞分析および少数細胞分析のための例示的な装置およびプラットフォームが、PCT出願第PCT/US2013/056454号(PCT特許出願WO2014031997)、米国特許出願第12/174,601号(米国特許出願公開第2009/0036324号)、米国特許出願第12/174,598号(米国特許出願公開第2009/0053732号)、米国特許出願第12/857510号(米国特許第8,865,479号)、および米国特許出願第13/132858号(米国特許出願公開第2012/0015824号)に開示されている。
【0055】
本明細書において以下でより詳細に記載するように、前述の単一細胞分析および少数細胞分析プラットフォームなどのシステムおよび技術は、スループット、精度、推論発見、および結果信頼度を改善する本教示の自動化および半自動化分析法から利益を得るように適合させることができる。さらに、本教示の装置、方法、およびソフトウェアは、複数の分析物が、各試料について検出、識別、および定量されるものを含む、多重化された化学的分析、生化学的分析、または細胞分泌物分析を行うときに、非常に多数の個別試料の分析を容易にすることができる。
【0056】
様々な実施形態によれば、開示された検出法は、例えば、生物学的な系(例えば、免疫細胞)に関連する生化学的物質、細胞分泌物、および/または発現タンパク質を含む、多種多様な化合物を多重化した手法で分析するのに使用することができる。加えて、(細胞間相互作用を含む)単一または少数の細胞と関連する複数の異なるタンパク質および/または化合物を検出および分析して、被験体または試料についての例示的な細胞集団、細胞サブ集団、または単一細胞の応答または状態を反映する細胞分泌物または発現プロファイルを生成することができる。
【0057】
免疫学的分析の状況において、免疫細胞の表現型および機能性の不均一性と、免疫細胞分化の柔軟性とにより、バルクで細胞を分析する従来の方法では、がんなどの疾患および病原体などの感染因子に対抗する免疫防御の相互関係を定義または識別することにおいて、困難が生じる。免疫防御に関連する分泌プロファイルおよび発現プロファイルは、個人の免疫を予知する潜在的に有用で測定可能なものである。このようなプロファイルは、病原体、疾患、または処置に対する反応を評価および定量するのに使用することができ、臨床的分析に役立つツールになる。
【0058】
防御免疫の相関物(例えばT細胞と会合している)は、防御の程度が既知の細胞表現型および/または細胞の表面マーカーと明確に一致しないか、または類似性がないかも知れないので、少なくとも部分的に識別することが免疫学者にとっては特に困難性であった。さらに、TH1細胞(I型ヘルパーT細胞)の機能プロファイルは、ネイティブなCD4 T細胞から分化した主要な機能サブセットの1つであり、それらの多様なサイトカインプロファイルによって反映される顕著な不均一性を示した。フローサイトメトリーに基づく従来の方法を使用して、エフェクターT細胞の機能分析により細胞の機能的サブセットの区別を試みた。これらの細胞のグループ分け、またはクラスのそれぞれが、細菌感染によって誘発されるものなどの免疫応答の中で、サイトカインの異なる組合せを産生および放出できることが示された。
【0059】
様々な実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、(免疫細胞または免疫応答に結び付いた関連するような)細胞分泌物および/または細胞シグナルを測定する新規の方法を提供する。分析は、(細胞間相互作用を含む)単一または少数の細胞レベルで行うことができ、複数のサイトカインのエフェクターレベルを細胞あたり比較的多数の細胞にわたって並行して評価することができる。
【0060】
本明細書で以下でより詳細に記載するように、開示された方法は、細胞保持領域または区域を区別すること、細胞/粒子状物質を識別および分類すること、系統的誤差に対処すること、および分析ワークフローを自動化することに関連した特定の問題に対処する分析プラットフォームの性能を強化および改善して、何百、何千、何百万の、またはそれ超の個別細胞または試料を並行して分析するのに必要な、スループット感度が高く、かつ正確なアセスメントを可能にする。このような方法は、既存の分析プラットフォームおよび技術を改善するように有利に使用して、免疫応答に含まれ、かつ相関するような、多くの異なるタイプの細胞多機能性を理解し調査するために使用できる、有用な発見ツールおよびスクリーニングツールを創製し得る。
【0061】
図1A/1Bは、試料分析を行うための例示的な高レベルワークフロー100を示す。この分析には、1つまたは複数の選択された試料供給源(例えば、疾患、病原体、または治療処置に化学的に応答する、選択された生物学的症状を表す個体または培養から得られた細胞)から回収または収集された細胞、ビーズ、または他の粒子106の集団もしくは分布を含む1つまたは複数の試料102、104の評価が含まれ得る。分析されるべき選択された、または所望の試料を含む細胞、ビーズもしくは粒子の1つまたは複数の集団が参照される本開示によれば、検出および評価されるべき分析物に関連した他のタイプの粒子状物質もまた、試料を含むことができる。さらに、試料は、集合して分析されるべき材料の1つまたは複数の混合集団を形成する細胞、ビーズ、または他の粒子の様々な別個の、または異なる集団を含むことができる。「細胞」または「ビーズ」への参照は、付随する分析物について分析できる粒子の例示的なクラスとして意図されていることを理解されたい。すなわち、本教示は、粒子状物質106の多種多様な異なるタイプおよび組成物に、本教示の範囲から逸脱することなく適用することができる。
【0062】
上記で言及されたように、試料102、104の細胞/粒子状物質106は、複数の分析物108と会合した、またはそれを含む成分について評価される。本開示による分析物108は多くの形態を取ることができる。例えば、分析物108は、細胞/粒子状物質106に会合するか、分泌されるか、または放出される、水性媒体(例えば、細胞培養培地)または流体/半流体キャリア中で壊れやすいか、分散するか、拡散するか、または溶解する化学物質、化合物または材料を含み得る。分析物108はさらに、核酸、ペプチド、ペプチド断片、細胞表面受容体、核酸、ホルモン、抗原、増殖因子、タンパク質、抗体、サイトカイン、ケモカイン、または他の分子などの生体分子もしくは有機分子を含み得る。分析物108はさらに、細胞/粒子状物質106と会合し、分泌され、または放出されるイオンまたは無機化学物質などの、他のタイプの材料または化合物を含み得る。
【0063】
様々な実施形態によれば、本開示の装置および方法は、試料102、104に含まれるか、またはそれを含む個別の単一または少数の細胞に会合した、低濃度の分析物108の分析に特によく適している。このような分析物108は、望ましくは高度に多重化した手法で並行して分析される細胞試料102、104によって分泌または放出される、例えば細胞膜に会合するタンパク質、サイトカイン、ケモカインまたは他の生化学的物質を含み得る。試料集団またはその細胞成分はさらに、第2の試験、異常/疾患の、または処理された細胞集団と比較された第1の対照、正常または未処理の細胞集団から生じ得るような、分析物存在、発現、または豊富さの類似性および/または相違について比較することができる。
【0064】
図1A/1Bによれば、分析されるべき細胞/粒子状物質106を含む1つまたは複数の試料102、104は、ステップ110で回収または収集される。細胞/粒子状物質106は次に、ステップ120で個別の位置に分配および保持される。試料分配は、保持領域124を含む複数の個別のチャンバ、ウェル、窪み、チャネルまたは他の特徴/区域を有する試料アレイ122を含む、基材を使用して実現される。保持領域124はさらに、細胞/粒子状物質106の少なくとも一部分を含有、保持、または隔離するように適切に構成される。様々な実施形態では、細胞/粒子状物質106を分配するのに使用されるアレイ122は、細胞/粒子状物質106の寸法に基づいて適切なサイズにされている試料アレイ122の中に形成されたウェル、窪み、空洞、またはへこみなどの複数の保持領域124を含む。ステップ120で細胞/粒子状物質を分配することは、選択された流体量の試料を、所望の数の細胞/粒子状物質が1つまたは複数の保持領域に、その領域の容積と、そこに位置特定、配置または置かれるべき流体含有試料の量とに基づいて配置されることが予想されるように、分散することを含み得る。
【0065】
様々な実施形態では、試料アレイ122は、所望の数の細胞/粒子状物質を保持または位置付けするようにそれぞれ構成可能な、複数の個別の保持領域を含み得る。本教示による試料アレイ122は、多数の保持領域124を含み得る。例えば、何百、何千、または何百万の個別の保持領域124を試料アレイ122内に形成することができる。例示的な一実施形態では、試料アレイ122は、長さおよび/または幅が約1〜10cmの間の構造体を含むことができ、その中に約1,000〜100,000個の間の個別の保持領域が形成される。
【0066】
様々な実施形態では、試料保持領域124は、長さが約0.01〜5ミリメートル、深さが約0.5〜100マイクロメートルの寸法を有するマイクロチャンバ/マイクロウェルを含む。他の実施形態では、マイクロチャンバ/マイクロウェルはおおむね長方形のプロファイルを有し、長さが約0.1〜2000マイクロメートル、幅が約0.1〜100マイクロメートル、および深さが約1〜100マイクロメートルである。このサイズおよび形状のマイクロチャンバ/マイクロウェルは、様々な用途および細胞/粒子状物質型に対して構成することができる。例えば、大きい細胞/粒子状物質を収容するには、相応の大きいマイクロウェルが望ましくは使用され得る。加えて、各マイクロチャンバ/マイクロウェル内で評価されるべき、単一よりも多い細胞/粒子状物質を含む実験では、マイクロチャンバ/マイクロウェルのサイズおよび/または寸法は、それに応じて構成することができる。加えて、試料アレイ122の密度は、例えば、1cm
2当たり約100〜50,000個の間のマイクロチャンバ/マイクロウェルで柔軟に構成することができる。
【0067】
ポアソン統計に基づくものなどの希釈法を使用すると、細胞/粒子状物質106の予想分配を得ることができ、少数の細胞/粒子状物質、または様々な実施形態では単一細胞/粒子状物質106、を受け入れる保持領域124の少なくとも一部分が結果として得られる。試料希釈/分配のこの手法によれば、いくつかの保持領域124は、細胞/粒子状物質106を何も受け入れることができない一方で、他のものは、所望の量よりも多い(例えば、1つまたはいくつかの細胞よりも多い)細胞/粒子状物質106を受け入れることができる。様々な実施形態では、少数の細胞/粒子状物質106、より詳細には単一細胞/粒子状物質106の試料集団に付随する分析物108の分析には、それぞれの保持領域124内に細胞/粒子状物質106が存在すること、およびその数が多いことを識別することが含まれる。以下で記載するように、本開示のシステムおよび方法では、様々な保持領域について所望の細胞/粒子状物質分配を効果的に画像化および区別して、所望の量または数の細胞/粒子状物質を含むものを識別することができる。
【0068】
試料分配に続いて、状態130で、細胞/粒子状物質106がそれぞれの保持領域内で、選択された期間または持続時間インキュベートされる。選択された基準またはプロトコルに従ってインキュベートすると、保持された細胞/粒子状物質106は、分析物108を個別の保持領域124内で取り囲む容積132(例えば、個別の単一またはいくつかの細胞/粒子状物質を含む培地が保持されている容積)の中に放出する。試料アレイ122の構成により、試料102、104の細胞/粒子状物質106が分析物108を容積132の中に分泌/放出することが可能になる。インキュベーション期間中、分析物濃度は、保持領域124の容積132の中で増加および/または拡散し得る。
【0069】
保持領域124の容積132の中に、例えば保持領域の少なくとも一部分全体にわたる分散または拡散によって放出された分析物108はさらに、ステップ140で、分析物検出基材134の選択された位置のまわりに配置または位置特定された、1つまたは複数の検出成分135と会合するか、または反応することができる。検出成分135は、1つまたは複数の選択された分析物108に対して選択的に反応、カップリング、認識、または別様に区別するか、そして/またはその存在を検出する、抗体、核酸、タンパク質、または他の化学/生化学構成物を含むことができる。一般に、保持領域124のサイズおよび構成は、分析物108が分析物検出基材134の選択された部分または領域(例えば、検出成分135が位置付けまたは配置される分析物検出領域136)と会合するか、またはそのまわりへの位置付けによって検出成分135で個別に検出され得るような様式で分析物が分散することを可能にするに十分な容積/面積を与える。
【0070】
様々な実施形態では、個別の保持領域124に保持された、分配された細胞/粒子状物質106に付随する分泌物、生化学的物質、サイトカイン、ケモカイン、タンパク質、ペプチド、ペプチド断片、細胞表面受容体、核酸、ホルモン、抗原、増殖因子、または発現タンパク質が、容積132の中で拡散および分配され、検出可能または識別可能なパターン、フィンガープリント、またはバーコード142を形成する分析物検出基材134に付随する分析物検出領域136に配置または位置付けされた、1つまたは複数の検出成分135と選択的に会合し、それによって捕捉され、または保持される。これらのパターン、フィンガープリント、またはバーコードは、状態150で検出されたときに、占有された保持領域124の中に含まれたそれぞれの細胞/粒子状物質106に付随する分析物108の存在および組成の表示を形成する。
【0071】
様々な実施形態では、分析物検出基材134は、多数の分析物108(例えば、約10〜1000個の間の異なるタイプの分析物)を検出および区別できる複数の分析物捕捉または検出成分135で構成される。分析物検出基材134上の分析物検出領域136における分析物検出成分135の位置付けまたは会合は、分析物108の存在および/または豊富さを同時に決定することが、パターン、フィンガープリント、またはバーコード142に基づいて、高度に多重化した様式で決定され得るようにして行われる。様々な実施形態では、分析物検出基材134上の分析物検出領域136に配置または位置付けされた分析物検出成分135の配置または位置付けにより、分泌および/または放出されたサイトカイン、ケモカイン、タンパク質、または他の細胞成分が、分析物108の種類および存在に基づいて容易に、かつ個々に分類されることが可能になる。
【0072】
分析物検出基材134は、目的の化合物、化学物質または生化学的物質を個別に、または特異的にそれぞれが認識する、複数の捕捉剤または検出成分135から構成することができる。分析物検出成分135はさらに、分析物検出基材134のまわりに別個の、または位置的に個別の特徴(例えば、分析物検出領域136)を配置して、様々な分析物検出成分135の間の空間分離を提供することができる。分析物検出成分135のこのような空間分離配置は、分析物検出領域136の中またはまわりにおいて、検出された分析物108を空間符号化またはパターニングすることを可能にし、これらは、分析物検出基材134に付随する分析物検出領域136の中またはまわりにおける、分析物検出成分135の既知の分配に基づいて解像することができる。様々な実施形態では、分析物検出基材134は、分析物検出領域136に複数の線、点もしくは他の個別の形状、または形状の組合せとして配置された分析物検出成分135を含むことができる。
【0073】
各分析物検出領域136はさらに、1つまたは複数のタイプの分析物検出成分135から構成することができ、これらは、異なるマーカー、標識、色素、または、例えば異なる光学特性または波長を画像化する間に使用する画像化際し識別できる別個のシグナル、もしくはスペクトルで分離可能な他の特性を生成する他の手段の使用によって、互いに区別されることが可能である。様々な実施形態では、分析物検出基材134は、1つまたは複数の重複した、冗長な、または繰り返しの分析物検出成分135または分析物検出領域136を含み、これらは例えば、分析物存在が、対応する分析物検出領域136について得られたシグナル、読み出し情報、またはパターンを使用して識別および比較されるための、多数の機会を提供するために使用することができる。
【0074】
複数の分析物108が望ましくは、それぞれの試料保持領域124に会合する細胞/粒子状物質106について、識別可能および/または定量可能である。様々な実施形態では、分析物検出基材134は、約5〜1000個、またはそれ超の異なる分析物108を、対応する分析物検出成分135/分析物検出領域136を使用して検出および解像する能力を提供する。分析物検出基材134上に配置または位置特定された分析物検出成分135/分析物検出領域136は、代表的には、試料アレイ122の試料保持領域124に対応するか、また相補的である様式で、順序付けられるか、またはパターン化される。したがって、それぞれの分析物検出領域136の長さおよび幅、ならびに分析物検出領域136の全体のサイズおよび/またはグループ分けは、試料保持領域124によって決定される対応する、または利用可能な面積に基づいて、可変であるように構成することができる。
【0075】
本明細書において以下でより詳細に記載するように、分析物108と、分析物検出領域136に会合した対応する分析物検出成分135とのカップリングまたは会合から得られるシグナルは画像化されて、シグナルフィンガープリント、バーコード、または他の識別可能なパターンを形成することができ、これらは、試料アレイ122のそれぞれの試料保持領域124に存在する分析物108を決定するために分析および解像することができる。これらの分析物108はさらに、それぞれの試料保持領域124に存在すると決定された細胞/粒子状物質と相関させることができる。
【0076】
検出された分析物パターンは、分析物検出成分135/分析物検出領域136についての空間分離、スペクトル分離、または空間分離とスペクトル分離の両方の組合せに基づいて、個別の分析物の存在または量について解像することができる。本発明の装置および方法は、目的の分析物の2つまたはそれ超、3つまたはそれ超、4つまたはそれ超、5つまたはそれ超、10個またはそれ超、20個またはそれ超、40個またはそれ超、50個またはそれ超、100個またはそれ超、1000個またはそれ超の多重化検出によって複数の分析物108の存在を解像するのに使用することができる。したがって、本開示の画像分析装置および方法は、多数の個別の単一細胞/粒子状物質または個別の少数の細胞/粒子状物質(対応する試料保持領域124に同時位置付け、または同時位置付けされている)について、多数の異なる分析物を並行して検出する能力を提供する。
【0077】
ステップ150の分析物検出は、分析物検出基材134を画像化(直接、または試料アレイ122からの分離後に)することであって、分析物検出成分135にカップリングし、または会合した分析物108の存在を表すシグナルまたはマーカー(例えば、蛍光およびまたは放射活性)を識別することを含み得る。様々な実施形態では、分析物検出成分135は、発光マーカー、エネルギー発生マーカー、色素、または他の標識136を含み、分析物検出のための抗体捕捉およびELISA分析などの技法を利用することができる。
【0078】
細胞/粒子状物質106およびそれらの対応する分析物108は、ステップ160で、検出または識別されたパターン、フィンガープリント、シグナル読み出し情報、またはバーコード142をそれぞれの保持領域124と関連付けることによって特徴付けられる。この処理は、分析物検出基材134に対し、対応する区域に付随する個別の保持領域124を識別および区別することを含む。本明細書において以下でより詳細に記載するように、このプロセスは、対応する細胞/粒子状物質106、保持領域124、および検出または識別されたパターン、フィンガープリント、またはバーコード142の位置および/または配向を高度に多重化した様式で決定する、いくつかの操作を含み得る。この分析はさらに、個々の、または少数の細胞について、分泌物、生化学的物質、および/または発現タンパク質を高度に並行である様式で識別するための基礎を提供し、表現型の特徴付けなどの他の分析が、分析物の定量、発現パターンの決定、試料のクラスへのカテゴリー分類またはグループ分け、およびその他の分析機能を含む個々の試料を特徴付けるために、検出された分析物の得られたパターンから実施されることを可能にする。
【0079】
高スループット単一細胞分析における特別な困難性は、実質的に並行する様式で迅速かつ正確にアセスメントされなければならない多数の非常に小さい特徴から生じる。このような装置および方法は、個別の領域中に単一細胞を分離および保持できなければならないだけでなく、多数の個別の少ない存在量の分析物を高い信頼度で正確に識別するべきである。試料および基材特徴は、代表的には、サイズが小さく、必然的に高解像度かつ慎重な画像化が要求する(例えば、高解像度機器および/または顕微鏡を使用して)。様々な実施形態では、潜在的に複雑な分析物検出パターン、フィンガープリント、シグナル読み出し情報またはバーコードはまた、各試料からの複数の分析物を同時に検出および評価するための能力を提供するために、個々のウェル、または分析物113もしくは分析物115とともに識別されるか、または関連付けなければならない。ここで再び、分析物領域または区域のサイズと、検出されるべき分析物が近接した間隔で配置されることとが、正確な分析を行うことに関して特別な困難性を提示する。
【0080】
図1Cは、本開示による例示的な試料アレイ122の一部分の画像を拡大されたサブ部分180とともに示す。試料アレイ122は、拡大されたサブ部分182に示されるように、何百、何千またはそれ超の個別の試料保持区域124を含み得る。各試料保持区域124はさらに、単一または少数の細胞(または同様に粒子)106を保持し得る。個々の細胞/粒子状物質106は、信頼性良く識別可能であり、かつそれが存在するそれぞれの試料保持区域124と関連付けられなければならないだけでなく、様々な潜在的アーティファクト、ノイズおよび他のエラーの供給源から区別されなければならない。画像化品質に直接影響を及ぼし得る様々な要因には、例えば、可能性のある汚染物質に対する細胞のサイズ、混合集団の中で特定の細胞型を区別すること、画像取得の際の低品質/コントラスト、試料アレイの変形、気泡および他のアーティファクトが含まれる。当業者には理解されるように、このような混乱要因がある状態で細胞/粒子状物質を画像化および解像することは、特別な困難性を提示する。
【0081】
図1Cはさらに、本開示による例示的な分析物検出基材134の一部分の画像を拡大されたサブ部分280、282とともに示す。分析物検出基材134は、拡大されたサブ部分282に示されるように、何百、何千またはそれ超の個別の分析物検出領域136を含み得る。各分析物検出領域136は、細胞/粒子状物質106に会合する分析物108を検出するマーカー135に対応する、分析物パターン142を形成し得る。画像品質に直接影響を及ぼし得る様々な要因には、例えば、分析物マーカー135/パターン142が検出される領域のノイズおよびバックグラウンドが含まれる。当業者には理解されるように、このような混乱要因がある状態でマーカー135/分析物パターン142を画像化および解像することは、特別な困難性を提示する。
【0082】
図1Cはさらに、試料アレイ122および試料検出基材134の一部分の対応する画像の例示的なオーバーレイ、マージ、または会合291を示す。試料アレイ122および試料検出基材134の画像の対応する部分のアライメントおよび位置付けは、分析物パターン142を形成する分析物108を検出する様々なマーカー135からのシグナルを、分析物108がさらに関連けられる細胞/粒子状物質106と関連付ける手段を提供する。画像の対応する部分のアライメントおよび位置付けすること、および関連するデータを分析することのための機構については、以下でより詳細に記載する。
【0083】
前述のように、および様々な実施形態では、分析100の間に望ましくは検出および関連付けられるべき特徴には、様々な細胞または粒子106、保持領域またはマイクロチャンバ124、およびパターン、フィンガープリント、シグナル読み出し情報またはバーコードが含まれる。小さいサイズ(例えば、代表的には、少なくとも1つの寸法が20マイクロメートルまたはそれ未満の程度の大きさ)、および様々な特徴を画像化および解像することに関連する特徴的な特性が、望ましくは克服されるべき非常に多くの困難性を特に、許容可能なスループットおよび精度を達成するために必要な自動化または半自動化データ取得および処理機構を適用する場合に提示する。本発明の方法および装置は、単一または2つの細胞/粒子状物質の化学的および生化学的プロファイル読み出し情報についての必要な高品質データを特にアッセイチャンバまたは保持領域124ごとに得ることが、多数のこれらの特徴、例えば、何千という細胞/粒子状物質106、何千というマイクロチャンバまたは保持領域124、および何百万でないとしても何十万という読み出し情報を検出および分析が容易になるように画像化しながら、可能である。
【0084】
特徴サイズが非常に小さい試料アレイを含む細胞分析では、非常に高い解像度での画像化は実際的ではなく、かつ/または実行不可能であって、データ取得および分析のための代替方法が必要になる。この制約の1つの理由は、走査型顕微鏡および蛍光光度計などの画像化デバイスに解像度限界があるということである。このようなハードウェア構成要素のアップグレードは非常に費用がかかる可能性があり、またより新しい構成要素を組み込むことは、実施することが、臨床および研究設定で必要になり得る標準化された、または較正されたワークフローには実施することが困難である。加えて、特徴解像スキャンのために使用できる走査型顕微鏡などの画像化デバイスの視野の限界に、従来の捕捉およびタイル張りアフプローチで強化することにより対処することは、時間、費用、およびコンピュータを利用した制約条件により実際的ではないか、または実行不可能である。例えば、何千またはそれ超の保持領域124、細胞/粒子状物質106、および分析物シグナル読み出し情報を持つ全体の試料アレイ122を画像化および分析することは、何千という画像を捕捉し、タイル張りすることを容易に含む可能性があり、これはあまりに時間がかかり、またはコンピュータ的に法外なことになり得る。このようなタイル張り画像のサイズは数億またはそれ超の画素を容易に上回ることがあり、処理および分析することが非常に困難になる。あるいは、より低解像度で画像化を行うこともできるが、このようなアプローチは低い分析品質をもたらし、また定量化エラーが高くなる可能性があり、この場合、各特徴は画素の数が限定され、このことが細胞型の正確なアセスメント、ノイズ補正、および/またはシグナル解像を妨げ得る。
【0085】
いくつかのワークフローのさらなる制約は、細胞/粒子状物質試料アレイの光学/検出特性および要件が、分泌プロファイルまたは検出化合物を解像/画像化するために強化されたものとは別個であり、かつ異なり得ることである。したがって、単一デバイスでの同時画像化は実行するのが不可能/非実際的であり得る。したがって、必要条件ではないとしても、複数の画像化を異なるシグナル/データ取得デバイス(例えば、複数の顕微鏡/シグナル捕捉デバイス)を使用して行うことが望ましくあり得る。これらのデバイスは、同一のフォーマットの(例えば、同じ解像度または配向で)データを出力しない場合があり、したがってさらなる困難性が、検出された分泌パターンを特定の保持領域および細胞/粒子状物質とアライメントし、関連付けることに存在する。
【0086】
試料アレイと化学的シグナルフィンガープリントの両方を画像化するために使用される解像では、必要とされる細かな測定値が、不完全さの多くの供給源によって混乱する可能性がアル。例えば、基材表面のミクロンレベルの反りまたは歪み、ならびに非常に小さい汚染物質でさえも、十分な高品質および正確な結果を得るために対処されるべきである。加えて、細胞を含む生物学的データを画像化すると、細胞形態および観測される構造、ならびにシグナル(分泌)読み出し情報の強さおよび品質に関して不一致が生じることが多い。本開示のシステム、方法、およびソフトウェアは、ノイズ/バックグラウンドを高い信頼度で区別しながら、上記に例示されたものなどの潜在的に観察可能な変動に効果的に対処する。
【0087】
様々な実施形態によれば、本教示の望ましい特徴には、データ取得/抽出プロセスを自動化して、データを得るための、時間がかかりエラーを生じやすい手作業の方法を回避する能力が含まれる。アッセイデータの取得は、現存する既製品/従来の画像化処理ソフトウェアを強化しようとする場合でさえも、時間がかかり(アッセイ当たり数日程度)不正確でもある。本発明の方法のさらなる利点は、本明細書に開示された一体化および最適化された画像化解決策を開発することが、多数の非常に小さい特徴を高い精度で信頼性よく検出する能力を、経済的かつ時間的に効率的なままで、数ある困難性の中でも特徴の不一致、ノイズの存在、基材材料の歪みまたは変形に対処しながら、提供することである。様々な実施形態では、これらの方法は、自動化手順を開発するために適用することができ、これらの自動化手順は同時に非常に正確であるが、同様に、時間の見地からも(例えば、30分未満の実践時間)、ハードウェアの見地からも(従来のコンピュータ上で実行できる)、分析するのに十分に実用的である。
【0088】
上記で論じたように、細胞分析のためのこれらの方法および装置は、従来の単一細胞画像分析解決策の多くの問題および欠点に対処する。
図1Dは、本開示による試料アレイデータ(例えば、単一細胞分析アレイ)の画像化および解像のために使用できる詳細な分析ワークフロー1000を示す。ワークフロー1000は状態1100で、試料アレイ122の試料保持領域124に付随する複数の画像と、試料保持領域124に配置された様々な細胞/粒子状物質106について検出分析物108からシグナル取得を代表する、付随するパターン、フィンガープリント、シグナル読み出し情報またはバーコード142とを収集することから開始する。
【0089】
様々な実施形態では、試料の画像化および分析は、試料アレイ122の選択された領域の付随する画像およびシグナル取得情報のグループ分け、またはコレクションの評価によって作動する。試料アレイ122の選択された画像化領域は、試料アレイ122からの試料保持領域124の一部分が画像に捕捉されているサブ領域180/182(
図1C参照)を代表することができる。本開示によれば、全試料アレイを一緒に表すものを縫い合わせようとする(労力を要し、計算に費用がかかり、またエラーを生じやすいプロセス)よりもむしろ、各サブ領域180、182を独立に画像化および評価して高品質のデータおよび結果を、高価ではない日用品であるコンピュータシステムを使用して迅速に得ることができる。基準、標識、識別子または他の位置的特徴(集合的にアライメントマーカー)を試料アレイ122上に含むか、エッチングするか、またはプリントすることができる。アライメントマーカーはさらに、試料アレイ122の個別の試料保持領域124をその中に存在するか、または配置されている細胞/粒子状物質106と関連付けることができるように、複数の画像およびスキャンを通じて、またはそれ全体を横切って、試料保持領域124を配向または識別しやすくするために使用することができる。細胞/粒子状物質106はさらに、細胞/粒子状物質106の識別されたパターン、フィンガープリント、シグナル読み出し情報またはバーコード(集合的に分析物パターン)と関連付けられて、検出された放出分泌物および分析物108の高精度プロファイリングを促進し得る。
【0090】
本明細書中以下でより詳細に記載するように、第1の画像またはスキャン(例えば、高解像度明視野画像)が、試料アレイ122の選択されたサブ領域180、182について得られる。高解像度画像(10×〜50×対物レンズ付きの光学顕微鏡を用いて得ることができるものなど)が、最初の細胞/粒子状物質検出に使用することができる。この第1の画像を使用して、試料アレイ122のサブ領域180、182の様々な試料保持領域124中の細胞/粒子状物質106の場所、数、および分布を識別することができる。加えて、所望の数の細胞/粒子状物質106(例えば、単一細胞、または2つもしくはそれ超の相互作用する細胞)を含む試料保持領域122を、細胞/粒子状物質106を含まないか、または所望の数よりも多い細胞/粒子状物質106を含む試料保持領域122から識別および区別することができる。高解像度画像はまた、比較的小さいエフェクター細胞/粒子状物質106間で識別および区別する(例えば、免疫学アッセイにおいて、T細胞およびナチュラルキラー細胞を試料中に存在し得る他の細胞から識別および区別する)助けにもなる。
【0091】
試料保持領域124および付随する分析物検出領域136に関連する画像および/またはアライメントマーカーの正確なアライメントをさらに助けるために、実質的に同一または同様のサブ領域180、182の第2の画像もまた得ることができる。この第2の画像は、第1の画像と比較して異なる光学パラメータを適用するより低解像度画像または他の画像タイプを含み得る。第1の画像および画像化サブ領域180、182の第2の画像はともに、様々な画像/スキャンのアライメントを助け、また単一の画像化の使用と比較して改善された細胞/粒子状物質検出および識別精度をもたらすことができる。様々な実施形態では、第2の画像は、コントラストまたは焦点面の配向を調整すること、デジタル解像度を変更すること、第1の画像と比較して倍率を指定の比または割合で低減すること(例えば、第1の画像またはスキャンの10×〜50×と比較して、より低い解像度画像の1×〜5×)などの異なる光学設定の使用を含め、様々な手法で得ることができ、また異なる照明/顕微鏡法(例えば、暗視野、位相差、蛍光)を用いて撮影することができる。様々な実施形態では、分析システムは、所望の光学設定で事前構成することができるか、あるいは、どんなタイプの光学設定が第1と第2の画像の両方に、それぞれの解像度設定で適用されるかについての決定を、データ品質および実験的な設計パラメータに基づいて急いで行うことができる。より高いおよび/またはより低い解像度および倍率が、画像化処理で使用することに容易に採用されることができることを理解されたい。様々な実施形態では、画像化のための倍率および他の光学パラメータは、少なくとも一部は、試料アレイ122/試料保持特徴124および試料検出基材134/分析物検出領域136の寸法、ならびに細胞/粒子状物質106および使用される分析物検出成分のタイプによって決定される。
【0092】
選択されたサブ領域180、182について得られた第1および第2の細胞/粒子状物質画像に加えて、追加のスキャンまたはシグナル取得が行われて、サブ領域180、182の試料保持領域122に存在する細胞/粒子状物質106に付随する検出、放出、または分泌された化合物もしくは分析物108を表す分析物パターン142が取得または識別される。様々な実施形態では、各サブ領域180、182について得られたスキャンまたはシグナル取得情報は、別の機器で、かつ/または異なる時間に取得することができて、より柔軟なデータ取得を提供する。加えて、第1および第2の画像化は、互いに、また分析物パターンスキャンと比較して、異なる光学的特性または特質に基づくことができる。例えば、第1および第2の画像化は、可視光による画像であり得るのに対し、分析物パターンスキャンは、蛍光シグナルから取得することができる。
【0093】
様々な実施形態では、選択されたサブ領域180、182の様々な第1と第2の画像は、選択された対応する画像セットにおいて検出および解像される基準またはアライメントマーカーを使用して関連付けられ、かつ正確にアライメントされる。さらに、アライメントマーカーの別のセット(または、異なるマーカー、色素もしくは標識を使用する、異なる波長におけるアライメントマーカーの第1のセットの追加の画像化)を、試料アレイ/粒子状物質画像化と分析物検出スキャンの両方で画像化することができる。したがって、試料アレイ画像と分析物検出スキャンの間のアライメントを行って、選択された試料保持領域124に付随する分析物パターン142から検出された分泌または放出された分析物108を、その中に位置特定されるか、または配置された対応する細胞/粒子状物質106と一致、または関連付けることができる。
【0094】
多くの要因が各画像の全体品質、およびそれぞれの画像中の特徴/細部の視認性に寄与することを理解されたい。照明状態、輝度、コントラスト、および焦点の相違などの要因が、画像化に有意に影響を及ぼし得る。上述の様式で複数の画像を取得することによって、これらの画像の組合せ結果が試料保持区域124と、その中に含まれる細胞/粒子状物質106との両方の識別信頼性の改善に寄与し得ることを理解されたい。さらに、特徴(画像中の試料保持区域輪郭/境界および細胞/粒子状物質プロファイルなど)のサイズが一般に小さいことにより、単一よりも多い画像を異なる解像度で有することは、試料アレイ122およびその中の成物を解像/画像化する上で非常に役立つことを実証することができる。本明細書中で以下でより詳細に記載するように、本開示の方法でなければ、サブ領域180、182内の一部分または全体の特徴を不明瞭にするように作用し得るか、あるいは細胞/粒子状物質106および/または分析物パターン142の位置合わせ誤りが結果として生じ得る、ノイズおよびエラーの様々な潜在的原因が、本開示の複数の画像化方法を使用して低減または除去することができる。これらの方法は、使用可能なデータを、試料アレイ122の向上した精度および改善した定量能力によって解像または区別する助けになり得る。
【0095】
図1Eは、
図1Dのステップ1100で記述された試料アレイ122のサブ領域180、182の複数の画像化に関連するプロセスの概要を示す。高解像度画像1150は、マイクロチャンバ/試料保持領域124の1つまたは複数の明視野/輝視野画像1155と、付随または近傍の第1のアライメントマーカー(例示的な「A」で図中に指定)とを含み得る。第2の画像1160は同様に、試料保持区域124の類似視野と、高解像度画像1155としての付随する細胞/粒子状物質106とを有する1つまたは複数の明視野画像1165を含み得る。第1と第2の画像は、試料アレイ122上に存在するアライメントマーカーを使用してアライメントされ、対応する画像の中で識別されて、第1および第2の画像1155/1165を互いに対して配向する能力を提供することができる。
【0096】
例えば、蛍光画像化またはスキャン1170によって得られた対応する分析物パターン142は、分析物パターン142の1つまたは複数のスキャン1175を含む。分析物パターンはさらに、試料保持領域124に存在する細胞/粒子状物質106によって放出または分泌された個々の検出分析物108に解像することができる。スキャン1175はさらに、様々な選択波長で画像化することによって、または2つもしくはそれ超の検出モードを使用して、細胞/粒子状物質108に会合するか、そこから放出され、または分泌された検出分析物108を識別するために組み合わされ、かつ評価される分析物パターンのコレクションを形成することによって得られた、個別の識別可能なパターン、フィンガープリント、検出パターンまたはバーコード142を含み得る。
【0097】
様々な実施形態では、第1および/または第2の画像に対応する区域の第2の画像化1166が得られて、1つまたは複数の第2のアライメントマーカーが識別される。様々な実施形態では、第2の画像化は、第2のアライメントマーカーが1つまたは複数の第1のアライメントマーカーから容易に区別できるように、第2のアライメントマーカー用の異なる波長または放出スペクトルで取得される。例えば、第1および/または第2の画像の対応する領域の蛍光画像化またはスキャンを得て、図で「B」と指定された個別マーカーセットを区別することができる。その画像および付随するアライメントマーカーセットを使用して、マイクロアレイスキャン/分析物パターン(分析物108の識別可能なパターン、フィンガープリントまたはバーコード142に対応する)は、対応するアライメントマーカー「B」を含めて、第1および/または第2の画像を対応するマイクロアレイスキャン/分析物パターンとアライメントまたは配向するために使用することができる。まとめると、上述の処理を使用して、試料アレイ122上のそれぞれの部分に対する様々な画像およびスキャンが、望ましくは、細胞/粒子状物質106を、対応する分析物108と関連付けるように配向およびアライメントされて、高品質のプロファイリングおよび化合物分析が可能になり得る。
【0098】
特定の実施形態では、対応する第1および第2の画像中で画像化された選択されたサブ領域180、182に会合する、細胞/粒子状物質106の1つまたは複数の追加画像化1167を得ることができる。細胞画像化プロセス1167では、アライメントマーカー画像化または分析物検出スキャンとして、類似または異なる波長またはスキャン構成を利用することができる。様々な実施形態では、様々な細胞または粒子状物質106は、試料アレイ122の様々な試料保持領域109の細胞/粒子状物質106の場所または配置を解像するために、蛍光または発光色素、染色剤、または他の識別手段で標識することができる。この情報はさらに、選択された試料保持領域108中の細胞/粒子状物質106の存在および/または数を明確に識別するのに使用することができ、さらに、識別された細胞/粒子状物質106をその対応する識別可能なパターン142と、対応する放出または分泌された分析物108とを関連付けにおいて補助にするために使用することもできる。
【0099】
様々な実施形態では、分析されている細胞/粒子状物質106の寸法および他の特性により、後に続く検出および分析のために取得されるべき画像の数およびまたはタイプが決定し得る。例えば、相対的に大きい細胞(例えば、THP−1細胞)は、染色およびその後の蛍光画像化をせずに画像化することができる。相対的に小さい細胞(例えば、CD4細胞)では、蛍光染色が必要とされず、複数の明視野画像が様々な倍率で取得される場合がある。他の小さい細胞型では、染色および蛍光画像化、ならびに1つまたは複数の明視野画像が使用され得る。細胞の混合集団および非常に小さい細胞では、表面マーカーを、細胞型を区別するため、そして/または細胞の存在を検証するための適切な画像化パラメータとともに、使用および検出することができる。
【0100】
図1Fパネル(a)は、複数の試料保持領域124を含む試料アレイ122の、選択されたサブ領域180の例示的な高解像度画像化を示す。細胞/粒子状物質106はさらに、様々な試料保持領域124(拡大図にさらに示される)に位置付けられる。第1および第2の位置/アライメントマーカー1168、1171(例えば、「A」および「B」を含むマーカーセット)がさらに、上記で論じた画像のアライメントのために試料保持領域122のまわりで位置特定される。
図1Fパネル(b)は、同じ複数の試料保持領域124を含む試料アレイ122の選択されたサブ領域180の、例示的な対応する第2の画像を示す。細胞/粒子状物質106は、試料保持領域124中に、第1の画像中に可視化したものと同様または同一の場所に位置付けられている。上記で論じられたような、アライメントのための位置決め可能なアライメントマーカー1168は、試料保持領域122のまわりに見える。
図1Fパネル(c)は、蛍光標識化および画像化(
図1Eのステップ1166)の結果として得られた細胞/粒子状物質106の追加画像化を示す。他の細胞/粒子状物質に対する細胞/粒子状物質の位置付けおよび配向は保存することができるとともに、上のパネル(a)および(b)の明視野画像について得られたものと比較可能である。細胞/粒子状物質位置は、必ずしも単一の位置に固定または維持される必要はないが、細胞/粒子状物質が存在する試料保持領域122は、細胞/粒子状物質106の全体の動きを制限し得る。
【0101】
図1Gパネル(a)は、細胞/粒子状物質106によって放出または分泌された検出分析物108に付随するマイクロアレイ/分析物パターンを示す、例示的なシグナルおよびアライメントスキャンを描写する。上述のように、分析物パターン142は、様々な保持領域122に配置または保持された細胞/粒子状物質106に付随する、個々の、または個別に検出された分析物108に解像することができる。分析物スキャンおよび根底にある検出された分析物パターン142を、細胞/粒子状物質106がある試料保持領域122についての第1および/または第2の画像と相関させることによって、個々の細胞/粒子状物質または細胞/粒子状物質のコレクションは、多数の分析物108を並行して、かつ多重化された様式で放出または分泌することに帰することができる。
【0102】
デバイス画像化プロセス(
図1E、状態1175)に従って、分析物パターン142は、複数の波長または画像化/スキャンモードを使用して検出することができる。例えば、複数の個別に、かつ差別的にタグ付けまたは標識された分析物検出成分135は、分析物検出基材134のおおむね同じ分析物検出領域または区域136に配置されるか、または同時占領する。異なる分析物108は、差別的に標識された分析物検出成分135と選択的に結合または会合し、分析物検出成分135と会合するタグまたは標識135に基づいて、別個に解像または検出することができる。同じ分析物検出領域136中の同時位置決め可能な分析物108の個別の解像は、タグまたは標識に関連する異なる放射シグナル/波長に基づいて決定することができる。加えて、複数の画像が異なる波長で得られるか、あるいは、異なるフィルタまたは光学設定を使用して、これらの領域中の分析物108を別個に解像することができる。特定の実施形態では、別個の画像化を同一の分析物検出領域136について取得して、存在する分析物108と、分析物検出成分135と会合したタグ、マーカー、色素または標識に基づいて、異なる分析物パターン142を生成することができる。
【0103】
図1Gパネル(b)は、分析物検出基材134と会合した、検出された第2のアライメントマーカー1171を描写する。第2のアライメントマーカー1171は、前述したように(
図1E、状態1166)、デバイス画像化プロセスにおいて解像可能であり得る。
図1Gパネル(c)は、試料アレイ122と会合した検出された第2のアライメントマーカー1171を描写する。第2のアライメントマーカー1171は、前述したように(
図1E、状態1166)、デバイス画像化プロセスにおいて解像可能であり得る。様々な実施形態によれば、分析物検出基材134および試料アレイ122について検出されたアライメントマーカーは、試料アレイ122の第1および/または第2の画像を関連付け、かつ廃校するために使用することもできる(
図1E、状態1168)。したがって、これらの画像化およびスキャン間のアライメントが、本明細書中以下でより詳細に記載するように、それぞれの分析物パターン142を、分析物検出領域136の中で分析物106を放出または分泌する特定の細胞/粒子状物質106と関連付ける能力を提供する。
【0104】
図1Hは、単一細胞/粒子状物質106を保持する試料保持領域124がある、例示的な試料アレイ122の一部分の明視野画像(パネルa)を示す。
図1Hはさらに、細胞/粒子状物質106上の選択された表面マーカーの存在を表示する、例えば染料によって可視化された細胞106が示される、対応する蛍光画像(パネルb)を描写する。
図1Hはさらに、細胞/粒子状物質106と会合する分析物108を検出するマーカー135に対応する分析物パターン142がある、例示的な分析物検出基材134の一部分の対応する画像(パネルc)を描写する。
図1Hはさらに、それぞれの分析物パターン142を、分析物108が検出された関連細胞/粒子状物質106と関連付ける機構を提供するための、様々な画像(パネルd)のマージを描写する。
【0105】
図1Dを再び参照すると、試料アレイ122および分析物検出基材134の様々なサブ領域180、182の収集された画像が、詳細な分析ワークフロー1000によるさらなる処理ステップで使用される。最初、状態1200で、試料アレイ124のマイクロチャンバ/試料保持領域124が位置特定され、それぞれの画像について解像される。一部は試料保持領域124の特徴サイズが小さいことに起因して、ならびにそれら自体の構造に付随する潜在的なアーティファクトおよび歪みと、結果として得られる画像に起因して、様々な画像およびスキャンの詳細な評価を行うことが望ましい。これらのプロセスは、高品質分析に、そしてそれぞれの細胞/粒子状物質106に付随する様々な分析物の正確な決定に寄与する。
【0106】
様々な実施形態によれば、試料アレイ122は、試料保持領域124の規則正しいパターンまたは位置付けによって構成することができる。例示的なパターンは、
図1Cに示されるように、行および列を有する2次元の格子の形を取ることができる。試料保持領域124、およびその中に存在する細胞/粒子状物質106の配向および決定を助けるために、規則的なパターニングを使用することができ、この場合、試料保持領域124の寸法は、試料アレイ122の様々な部分またはセクションにわたって互いにおおむね類似しており、代表的にほぼ等しい。試料保持領域124間のオフセットは同様に、試料アレイ122の様々な部分またはセクションにわたって互いにおおむね類似しており、代表的にほぼ等しいように構成することができる。
【0107】
試料保持領域識別プロセスの間の主要な操作は、画像化された試料保持領域の相対的な位置または場所を決定することである。次いで、選択された試料保持領域124のグラフィカルまたは画素区域は、そこに局在している細胞/粒子状物質106のそれぞれの位置付け、および分析物パターン142とのアライメントを決定するために使用することができる。画像化システムの自動化分析能力を改善することは、分析全体のスループットを向上させるための重要な考慮事項である。したがって、検出できる試料保持領域122の数または比率を増大または最大化することが望ましい。
【0108】
様々な実施形態では、試料保持領域122を規則的に順序付け、またはパターニングすることは、自動化分析を強化する助けになるか、ほぼ一定の、または予想された、寸法および間隔付けを提供する。さらに、付随する検出手順は、試料アレイ122上の試料保持領域124のいくつかの異なる配向、寸法、間隔付け、および量に対して、拡張可能または構成可能であり得る。システムはまた、ユーザの特定のアッセイまたは好みに応じて、異なるアレイ構成の分析のために構成することもできる。
【0109】
画像化プロセスおよび識別プロセスはさらに、試料アレイ122および関連する試料保持領域124における、様々な不完全さおよび変形に対処することができる。特定の実施形態では、試料アレイ122は、様々な変形および/または不完全さが製造および/または処理の結果として存在し得るように製作される。いくつかの場合では、試料保持領域124は、互いにわずかにアラインメントからずれるか、または軸外れであるか、あるいはロット間またはアレイ間のばらつきがある可能性がある。また、試料保持領域寸法および間隔における小さいばらつきが、試料アレイ122全体にわたって存在し得る。さらに、試料保持領域輪郭またはプロファイルを不明瞭にする様々なアーティファクトおよび残渣が試料アレイ上に存在するか、または様々な試料保持領域124と会合する可能性がある。加えて、試料アレイおよび試料保持領域の結果として得られた画像が、ぼやけた区域または破損/歪んだ試料保持領域輪郭などの不完全さを含む可能性がある。
【0110】
ステップ1200に関連するマイクロチャンバ/試料保持領域124の位置特定および解像のためのより詳細な処理400が
図2に示されている。加えて、
図4は、試料保持領域識別の主要な操作500を図で示す。
図4に示されるように、例示的な試料保持領域124は、分析物を不明瞭にするか、または混乱させ、自動化画像分析中に望ましくは対処される、様々な不完全さ512およびアーティファクト514にさらされる可能性がある。
【0111】
プロセス400は、選択された、望ましい、または実質的にすべての、試料アレイ122の画像化について、例えば、
図1F(a)に表された高解像度明視野画像、および/または
図1F(b)に表された第2の明視野画像を使用して行うことができる。試料アレイ122の選択されたサブ領域180、182を表す入力画像(410)ごとに、ノイズ除去プロセス(415/515)を適用することができる。ノイズ除去プロセスでは、ガウス差分法を適用することを含む様々な方法を使用して、画像中のノイズおよびアーティファクトを識別することができる。ノイズ除去処理の結果により、低品質の試料保持領域の部分、または信頼性良く解像できない部分、または周囲のバックグラウンド、ノイズもしくはアーティファクトと区別できない部分を排除することができ、また、小さい不完全さ、および画像ぼやけに対抗または対処することもできる。加えて、画像化されたほこりおよび残渣を含むアーティファクトは、画像から除去すること、かつ/またはさらなる処理および画像分析から排除することもできる。アーティファクト除去は、画像から細胞/粒子状物質を排除する可能性が高くならないようにして行うことができる。
【0112】
ノイズ除去(415/515)に続いて、輪郭検出ルーチン(420/520)を実行して、画像410中の様々な試料保持領域124の周辺、境界またはエッジを検出することができる。エッジ、輪郭、および他の形状に基づく試料保持領域124の特性は、キャニーエッジ検出法の適用を含むいくつかの方法によって決定することができる。試料保持領域124の形態またはプロファイルは、このプロセスの一部として評価して、選択された試料保持領域124に影響を及ぼす膨張532および/または侵食534などの様々な歪みを識別することができる。対処されないと、これらの歪みにより後の操作に困難が生じ、結果として潜在的に不正確または誤った分析物分析になる。
【0113】
上述のプロセスを適用することは、画像の潜在的に問題となる特徴および画像の構成要素を識別および除去する助けになり、またフィルタリングプロセス(425/525)に関連して使用することができる。アーティファクトおよびノイズによる影響を受けている試料保持領域、ならびに著しい変形を被るか、または他の問題にさらされるものを排除することは、概して望ましく、そして/または耐容できる特性を有する、下流での操作で容易に分析できるフィルタリングされた試料保持領域542のサブセットを残す。特定のフィルタリングプロセスは、様々な基準を適用することによってチャンバをゲート除去すること、または排除することを含み得る。例えば、選択された試料保持領域は、輪郭の長さ、幅、高さの、または保持チャンバ内の観察された重なり合いの結果としての、不一致または偏差に基づいてゲーティングすることができる。
【0114】
ノイズ、アーティファクト、および他の問題による影響を受けた試料保持領域を排除することは、細胞/粒子状物質106および検出分析物108に付随するデータおよび情報の潜在的な損失になることを理解されたい。特定の場合において、分析に使用される試料が特に希少または貴重であることがあり、使用される分析物108または検出成分135は高価であることがあり、あるいは適時の結果が必要とされ、このことにより、実用的と同じほどの情報を所与の分析または操作から捕捉することが重要になる。
【0115】
本開示の注目すべき画像分析ルーチンの強化は、再捕捉または補充手順(430/530)の適用である。このアプローチによれば、試料保持領域124の予想または予測される場所は、試料保持領域124の中での規則的な規則正しいパターンを使用して決定することができる。例えば、位置特定されていない、または以前の操作で排除されている可能性がある、試料保持領域124について、隣接する試料保持領域124の相対的な場所を決定することができる。反復プロセスを使用すると、失った領域546のすぐ上および/または下の、既存の/識別された試料保持領域544を、失った領域546内の試料保持領域の予想される場所を識別する助けにするために使用することができる。失った試料保持領域546を、識別された隣接する試料保持領域124を分ける距離または間隔に基づいて、再創出または追加することをさらに試みることもできる。輪郭描写およびサイズ変更操作はまた、試料保持領域124のおおよその、または予想される位置を決定するために使用することもできる。まとめると、これらの操作がうまく適用される場合、失った試料保持領域を画像の中に再び追加するか、または構築することができる。したがって、これらの処理を適用すると、そうしなければ失われ得るか、または廃棄され得る画像からデータを復旧または回復する能力を提供することができる。
【0116】
上述の操作に続いて、様々な画像中の識別された/残っている試料保持領域をソートおよび編成することができる(435/535)。様々な実施形態では、選択された画像中の試料保持領域124は、隣接する試料保持領域に対して配向および/またはグループ分けすることができる。例えば、垂直に並べられた試料保持領域は、さらなる分析をしやすくするために、円柱状に標識し、ソート/分類整理することができる。次に、画像の中で検出、位置特定、および/または識別された試料保持領域124が出力されて(440)、プロセスを完了することができる(1200/400/500)。
【0117】
上述のマイクロチャンバ/試料保持領域識別プロセス1200に加えて、追加の操作1220、1240を行って、分析物スキャンおよび対応する細胞/粒子状物質画像化に関連する、付随するアライメント特徴またはマーカーを識別および位置特定することができる。このようなプロセスは、試料アレイ122および分析物検出基材136の、選択された、所望の、または実質的にすべての画像化/スキャンについて行うことができる。例えば、第1のアライメント特徴識別プロセス1220は、
図1G(c)に表された試料アレイ122と会合する、検出された第2のアライメントマーカー1171に対するスキャンを使用して行うことができる。対応する第2のアライメント特徴識別プロセス1240は、
図1G(b)に表された分析物検出基材134に会合する、検出された第2のアライメントマーカー1171に対するスキャンを使用して行うことができる。試料アレイ122の一部分と分析物検出基材134の対応する部分とを表す、スキャンのアライメント特徴の位置特定は、
図3に概要が述べられているステップ450、および
図5の図示された描画550に従って行うことができる。
【0118】
選択された入力画像/スキャン(455、555)を使用すると、アライメント特徴輪郭、エッジ、または周辺がまず、キャニーエッジ検出法を使用して、かつ/またはハフ変換などの線検出アプローチを適用して、検出され得る(460、560)。様々な実施形態では、アライメント特徴は、例えば角度、曲がり目、およびプロファイルを含む微細な細部、寸法、および/または幾何形状558を含み、これらは、アライメント特徴の位置の信頼性ある決定および解像を助けることができる。アライメント特徴はさらに、明確に識別可能であるアライメント特徴の部分と、あまり明確に解像できないことがある部分とを判定する助けにするために、1つまたは複数のセグメントのグループ分けとして解像することができる。
【0119】
様々な実施形態では、明確に解像されるアライメント部分またはセグメントは、フィルタリングおよびグループ分けされる(465、565)。フィルタリング操作は、あまり信頼性良く評価されなかったアライメント部分を除去または排除しながら、セグメントの一部分について選択、予想または画像化された角度、決定された配向および/または場所を識別すること、および同様の、または予想される部分/セグメントをマージすることを含み得る。残りのセグメント/アライメント部分はさらに、例えば角度および位置付けに従って、識別、標識、および/または順序付けることができる(470/570)。操作の一部分では、
図5に示されるように、セグメント部分を配向または角度572に基づいて分類および/または標識することができる。アライメントマーカーの既知の、または予想される配向を使用して、失われたか、または画像/スキャンからうまく解像されていないことがある部分を補充または再構築することができる(475/575)。アライメントマーカーの間の予想間隔と実際の間隔との比較を使用して、失われた領域またはセグメントを再構築することができる。
【0120】
実際の、および再構築されたアライメントマーカーを使用すると、次に、追加の内挿操作(480/580)を例えば隣接セグメント間で行って、分析物検出領域、フローレーン、および細胞/粒子状物質保持領域の予想される配向および位置付けを得ることができる。これらの操作を分析物検出領域および分析物パターンのそれぞれの画像に適用すると、それによって、細胞/粒子状物質106および分析物検出成分134が存在する、予想の領域および実際の領域の決定が容易になる。
【0121】
図1Dを再び参照すると、ステップ1200で決定された、位置特定された試料保持領域122を使用して、分析1000の後に続く段階1300で、試料保持領域122に存在し得る潜在的な細胞/粒子状物質106を決定する。細胞/粒子状物質局在化1300の操作は、細胞/粒子状物質間で生じ得る相違に付随する問題に対処し、また、所望の細胞/粒子状物質106を、同じ試料保持領域122に存在し得る他の細胞/粒子状物質106両方から識別/区別することだけでなく、細胞/粒子状物質を、分析物放出または分泌と会合していない可能性があるほこりまたは粒子などの他の材料から区別することの両方を容易にする。
【0122】
様々な実施形態では、細胞は、予想された形態、形状またはサイズを、分析されたときに有し得る。例えば、細胞は、おおよそ円形で凸状であることが予想され得る。同様に、粒子状物質は、既知の寸法および均一性を有し得る。画像化の間、細胞の画像は、例えば、概して明るい内側部分と比較して輪郭または周辺部が概してより暗い、予想されるプロファイルを有し得る。同様に、粒子状物質は、均一に照明されること、または様々な他の光学特性を示すことなどの、他の予想される特性を有し得る。細胞は特に、個々の細胞の物理的特性間の相違により、高い信頼度で識別することが困難なことがある。例えば、細胞サイズは変化し得るが、選択された範囲内(例えば、およそ5〜20ミクロンの範囲内)にあると仮定できるのに対し、細胞形態はかなり一定したままであり、サイズに依存しない。さらに、少数または単一細胞/粒子状物質を含むアッセイでは、試料保持領域124の中の空間の大部分は開放したままであり、細胞/粒子状物質106は、試料保持領域124の中の様々な異なる位置で位置特定され得る。
【0123】
位置識別ステップ1300によれば、選択された、以前に識別されたマイクロチャンバ/試料保持領域124内の、1つまたは複数の細胞/粒子状物質106の占有および場所(例えば、対応する画像中の画素区域)は、決定することができる。これらのプロセスは、望ましくは細胞間の変動および変形、画像品質のバリエーションに対処し、精密で正確な検出を提供する助けになる。検出プロセス1300はまた、望ましくは、異なる物理的特性および寸法を有する異なる細胞/粒子状物質型まで拡張可能に構成されると同時に、分析されるべき多数の試料保持領域124に関連スル多数の個別の識別を取り扱うことができる。
【0124】
図6Aは、細胞/粒子状物質位置識別のための例示的で詳細なプロセス600を図示する。状態610で開始して、様々な試料保持領域124の取得明視野画像が使用され得る。このような画像は、
図1F(a)および
図1F(b)に示された第1または第2の明視野画像を含み得る。細胞局在化600は、候補識別に基づいて細胞を含めるか排除するかの基準を決定するために使用される、上下限界または勾配閾値を確立すること(ステップ615)を含み得る。様々な実施形態では、閾値を、選択されたチャンバ/試料保持領域124の平均または中間の画像強度勾配を計算することによって、決定することができる。その後、上下限界閾値を、平均または中間の画像強度勾配からの標準偏差の選択された数値または百分率に基づいて限界を識別するなどの統計的パラメータ、または計算を使用して決定することができる。次に、画像強度勾配は、後に続く分析に使用して、簡単に自動化した様式で候補細胞/粒子状物質を含めるか、または排除することができる。
【0125】
候補細胞/粒子状物質が存在し得る潜在的な場所660を確立するために、1つまたは複数の試料領域マスクまたは境界が識別される(状態620)。
図6Bの例示的な視覚化650で示されているが、試料領域境界マスク655は、細胞/粒子状物質106についてサーチまたは分析されるべき区域658を区別するための便利なツールを提供する。マスク655はさらに、考慮されるべきチャンバまたは粒子保持領域または区域を数えるのに役立つことができ、各区域658が別々に(順次に、または並行して)分析されてすべての区域658が処理されるまで続行する論理フローが適用され得る。状態625で、境界マスク655によって区別された区域658ごとに、推定上の細胞/粒子状物質識別662を行うことができる。識別662は、考慮中の区域658内に位置特定された特徴のサイズ/寸法などの、選択された基準に基づくことができる。これらの基準はさらに、区域658内に位置特定された細胞/粒子状物質106が合致することが予想され得る、予想される比例関係または基準に整合または一致し得る。細胞/粒子状物質識別は、1つまたは複数の潜在的な細胞/粒子状物質識別を区別するそれぞれの区域658の中に、1つまたは複数の特徴を含み得る。各推定上の細胞/粒子状物質識別662はさらに、上記の決定された、確立された勾配閾値に基づいて、本明細書中以下でより詳細に記載するように候補細胞/粒子状物質106が識別され得る、勾配強度分析を行うことを含み得る。
【0126】
細胞/粒子状物質決定の精度を改善するために、かつ/または所望の細胞/粒子状物質106間を選択または区別するために、特徴鋳型比較が行われる(状態630)。
図6Cおよび
図6Dは、特徴鋳型比較プロセスに対応する例示的な細胞鋳型整合プロセス670、672を示す。様々な実施形態では、複数の細胞/粒子状物質鋳型画像674のコレクションまたはカタログを得ることができる。カタログはさらに、推定上の細胞/粒子状物質を有する画像または領域と比較するために使用することができる。
【0127】
様々な実施形態では、データベースから回収された細胞鋳型674が、試料保持区域124ごとに、目的の推定上の細胞/粒子状物質に対応する指定領域/区域と比較される。細胞/粒子状物質鋳型674および/または考慮中の選択された領域676の両方の、多数の画像化/描画678が行われ得る。画像674、676、678はさらに、様々な操作によって正規化、スケール化、および/または平衡化され得る(例えば、およそ0〜1の範囲に強度を正規化する)。様々な実施形態では、複数の描画678は、様々な画像の様々な強度勾配および/または大きさを含み得る(例えば、原画像および/または鋳型画像の強度または大きさの変化を表す)。
【0128】
方向勾配画像化アプローチを適用して、画像の強度の選択された、または計算された変化を決定することができる。図示されるように、推定上の画像676および鋳型画像674に対し、3つの勾配画像が示されている。次に、画像の3つの対応する対のそれぞれを互いに比較して(例えば画素ごとに)、推定上の画像676と鋳型画像674の間の類似点および相違点を決定することができる。様々な実施形態では、様々な画像全体にわたる総合強度差が計算され、推定上の領域676と鋳型674の間の類似尺度が決定される。この情報は、指定された閾値と組み合わせて、推定上の細胞/粒子状物質識別を含めるためにも、または排除するためにも、ならびに潜在的/低精度/擬陽性の識別682または決定的/より高い精度/細胞整合識別684として識別をさらに分類するための両方に使用され得る。状態630は、決定的/より高い精度/細胞整合識別661の保持によって完了する。
【0129】
生産的な細胞/粒子状物質分析物分析の割合を増大させるために、潜在的/より低い精度/擬陽性の識別682を状態635で再検査することができる。例えば、決定的とは指定されなかったが、それでもなお高くランク付けされたか、または有望な細胞/粒子状物質候補であった推定上の識別は、前述の基準に対して考慮されることができ、この場合、追加の細胞/粒子状物質が、決定的/より高い精度/細胞整合識別661として含まれるか、または保持され得る。
【0130】
図6Bに示されるように、試料領域マスクまたは境界655、および対応する区域658はさらに、上記のプロセスで識別された細胞/粒子状物質に基づいて分類することができる。例えば、選択区域658に会合する細胞/粒子状物質の数から、その区域は、さらなる分析667から排除されるように指定すること、またはフラグを立てることができる(例えば、単一細胞実験または分析において複数の細胞/粒子状物質を含むとして)。所望の数または細胞/粒子状物質を含む他の領域658は、さらなる分析668に含まれるように指定すること、またはフラグを立てることができる(例えば、単一細胞実験または分析において単一細胞/粒子状物質を含むとして)。さらに、あいまいな結果が得られた領域またはチャンバには(例えば、細胞/粒子状物質の存在または不在の明解な識別を行うことができなかった場合)、フラグを立てることができる669。様々な実施形態では、あいまいなチャンバまたは領域669は、さらなる処理または検査645にかけることができる。いくつかの場合には、このような領域669は、
図1F(c)に示された蛍光細胞染料/マーカー画像などの、試料アレイ122について得られた追加の画像/スキャンと組み合わせて評価することができる。いくつかの場合では、前述の様式における追加の処理が、細胞/粒子状物質識別の信頼度を改善するとともに、さらなる分析のために保持され得る関連領域を「救出」することができる。
【0131】
図6Aに示された細胞/粒子状物質位置識別プロセス600は、状態649で画像分類を出力することによって完了される。プロセス600の出力には、識別された細胞/粒子状物質102に関連する情報が含まれ得る(例えば、それぞれの試料保持領域内の場所または位置付け、信頼度判定、細胞/粒子状物質の分類または識別など)。識別された試料保持領域122に関するさらなる情報は、それぞれの領域に含まれる細胞/粒子状物質106の数と、領域画像化の総合品質とに関する情報を含め、付加的に出力することができる。
【0132】
図6Eは、細胞/粒子状物質鋳型ライブラリー、データベースまたは集団674を生成するための例示的なプロセスを、
図6Cおよび
図6Dと関連して識別された、前述の方法と関連した比較のために示す。既知の細胞/粒子状物質の以前の画像化またはスキャン691を使用して、1つまたは複数の代表的な細胞/粒子状物質画像692を識別することができる。様々な実施形態では、多様な特性(例えば、異なる形態、サイズ、強度、または他の特性)を有する細胞/粒子状物質のサブセット692の識別は、細胞/粒子状物質106の選択された型またはクラスと関連付けることができる。サブセット692は、実験結果および分析から得られたデータおよび情報を使用して、さらに洗練し改善して代表的な細胞/粒子状物質サブセット693を形成することができる。様々な実施形態では、形態の類似点、実験品質、整合率の信頼度を考慮する基準、および他の基準を適用することによって、自動化された方法で代表的な細胞/粒子状物質鋳型を選択することができる。様々な代表的な細胞/粒子状物質サブセット693は、異なる実験、文献記述語および情報、ならびに他の情報供給源から収集して、データセットを経時的に改善することができる。加えて、いくつかの場合では、代表的な細胞/粒子状物質サブセットは、選択された細胞/粒子状物質画像が、他の細胞/粒子状物質画像に対して比較するための鋳型または基礎として使用される現在の実験からの画像およびデータを使用して、リアルタイムで決定することもできる。様々な実施形態では、試料保持領域124に存在し得る、他の擬陽性または望ましくない細胞もしくは粒子とは外見が似ていない代表的な細胞/粒子状物質画像が優先的に選択される。
【0133】
図1Dを再び参照すると、分析物検出基材134の画像化から得られた1つまたは複数のスキャンに付随する分析物パターン142が、試料アレイ122の選択された画像(例えば、より高い解像度およびより低い解像度の画像に対応する、例えば第1および第2の画像)とアライメントおよび配向される(ステップ1310、1320)。前述のように、試料保持領域124を分析物パターン142と関連付けることにより、分泌された、放出された、または選択された試料保持領域124に存在する細胞/粒子状物質108と会合する、分析物108を決定する能力が提供される。様々な実施形態では、分析物パターン142の複数の画像化を、例えば異なるスペクトルまたは光学特性を画像化プロセスの間に使用して、得ることができる。この様式における複数の画像化が、個別に識別可能および/またはスペクトルにより分離可能な標識または色素を有する同一の分析物検出領域136の中の、同時位置決め、または多重化された分析物検出成分135を解像するために使用されて、多数の分析物108を分析物検出基材134の特定の領域から区別する能力を提供する。
【0134】
図7Aは、上記で議論した画像およびスキャンをアライメントするための詳細なワークフローを示す。
図7Bは、基準/アライメントマーカー1168を使用して、例示的な画像およびスキャンに適用される作業についてさらに説明する。様々な実施形態によれば、例えばより高い解像度およびより低い解像度の画像に対応する試料保持領域124の第1および第2の画像は、異なる目的の領域を有し得る。画像化装置(例えば、走査型光学顕微鏡)は、異なる選択された目的の領域に基づき、複数のサブ画像(例えば、およそ数十または数百の大きさ)を取得することができる。これらの画像は、互いにタイリングまたはアライメントされ得るが、そのようなプロセスは不完全であり得、結果は、より高い解像度画像とより低い解像度画像間で有意に変化し得る。
【0135】
アライメントにおける潜在的問題を軽減し、全体的な正確性を改善するために、アライメントマーカー1168は、試料アレイ122の周りに位置する。様々な実施形態では、アライメントマーカー1168は、これまでに記載したように、選択された試料保持領域124に隣接してまたは近傍に見られ得る。アライメントマーカーは、試料保持領域124の各カラムに存在するか、または試料アレイ122の周りの様々な他の位置に配置され得る。様々な実施形態では、アライメントマーカー1168の数および/またはサイズは、反復する様式で、または画像およびスキャンの調整およびアライメントをさらに容易にする選択された順序で変化し得る。
【0136】
様々な実施形態では、目的の領域内の不整合またはばらつきに一部起因して、画像は、検出された分析物108に対応するスキャンが、細胞/粒子状物質106を識別する対応画像と正確にマッチングまたはアライメントすることが可能となるようにアライメントされ得るのが望ましい。いくつかの例では、例えば試料アレイ122および分析物検出基材134のタイリングの不整合ならびに特徴サイズ(例えば、試料保持領域124/分析物検出領域136)、ならびに特徴それ自体と関連した潜在的なばらつき、不整合、および問題をさらに含むことに起因して、一回のグローバルアライメント作業では、すべての画像/スキャン内のすべての領域を正確にアライメントするのに不十分である可能性がある。結果として、アライメントマーカーのサブセットを使用して、各画像/スキャンの領域を局所的にアライメントする機構を提供することが、多くの場合望ましい。
【0137】
図7Aと関連して記載した方法によれば、第1(例えば、高解像度)の正常なまたは明視野画像は、第2(例えば、より低い解像度)の正常なまたは明視野画像と容易にアライメントすることができる。様々な実施形態では、画像およびスキャンのアライメントプロセスは、分析物スキャンと類似した視野およびタイリングを有し、アライメントの複雑性を低減するより低い解像度画像によって容易である。ステップ710では、1つまたは複数の第1(高)および第2(より低い)の解像度画像(例えば、
図1F(a)および1F(b)で描写したような画像に対応する)が、マーカー検出およびアライメントプロセス700へのインプットとして選択され得る。ノイズ除去作業(ステップ715)は、画像品質を改善し、アーティファクトを除去する。そのようなプロセスは、例えばガウシアンアプローチの差、ならびに他のノイズ除去法を使用して実現可能であり得る。各画像が、ある範囲の選択されたまたは所望の数の試料保持領域124を含むように、インプット画像は細分化される(ステップ720)。例えば、画像の細分化は、各サブ画像が試料保持領域124についてほぼ単一カラムを含むように実施され得る(例えば、10〜100の間または他の選択された量)。
【0138】
サブ画像ごとに、アライメントマーカー1168が、マーカーアウトライン検出法を適用することにより識別され得る(ステップ725)。様々な実施形態では、キャニーエッジ検出アプローチが利用され得る。エッジ検出は、画像に含まれる特徴の他の品質アセスメント、例えばアライメントマーカー領域の拡張および侵食の形態アセスメント、ならびに特徴輪郭検出を実施することをさらに含み得る。
図7Bは、複数のアライメントマーカー1168および関連する試料保持領域124を含むサブ画像領域755の例示的な処理について説明する。オリジナルの画像755は、様々なアライメントマーカー1168を個別に識別または配置するために、上記の輪郭検出およびサイズのゲーティング操作に従って変換され得る。マーカーアウトライン検出法(ステップ725)の後、偽性または誤ったマーカーの識別が実施され得る(ステップ730)。実際のまたは十分な解像度のアライメントマーカーが、後続するアライメント操作で使用されることを確実にすることを補助するために、検出されたマーカーが、様々な基準に基づき評価され得る。例えば、アライメントマーカーおよび試料分析物領域の寸法または位置付けが、様々なアライメントマーカーと関連した画素区域とともに評価され得る。解像度が不十分なアライメントマーカーを代表する重複した輪郭はさらに評価され得る。上記の様々なアライメントマーカーアセスメント操作において、品質が低い、および/または解像度が不十分なアライメントマーカーは、さらなる分析から除外される可能性があり、したがって潜在的な下流のアライメントの問題が望ましくも避けられる。様々な実施形態では、それぞれのサブ画像中に存在するアライメントマーカーの数は、画像/スキャンアライメントのために使用できる数よりも余分または過剰であるのが望ましい。そのような冗長性は、アライメントプロセスにより高い許容性および柔軟性を提供する。
【0139】
偽陽性、品質が低い、および/または解像度が不十分なマーカーの識別に加えて、方法700は、失われたアライメントマーカーのために、予想される場所を識別するプロセス、あるいは品質が低い、および/または解像度が不十分なマーカーを補正する補充操作(ステップ735)を提供するプロセスを含み得る。これらのプロセスに続き、残りのアライメントマーカー1168は、マーカーがそれぞれのサブ画像内で明確に区別可能であることを確実にすることを補助するために、シェーディング、カラーリング、または他の方法により、より明確に識別され得る(ステップ740および
図7B(c)でさらに説明する)。得られた識別および処理されたアライメントマーカー1168ならびに関連するサブ画像765は、次にさらなる処理のためにアウトプットされ得る(ステップ745)。
【0140】
図1Dを参照すると、上で議論したように、類似した操作1310、1320が、高解像度およびより低い解像度の画像化(例えば、
図1F(a)および1F(b))で得られた様々な画像と関連したサブ画像755それぞれについて使用でき、各事例において識別される高品質アライメントマーカー1168を有する処理された画像が得られる。その後、対応する第1(例えば高解像度)および第2(例えばより低い解像度)の画像が、相互にアライメントされ得る。
【0141】
図7Dに示すアライメントプロセスのための対応する例示的な説明
図792とともに、第1および第2の画像をアライメントするための例示的な方法770を
図7Cに示す。最初に、対応する第1(例えば高解像度)および第2(例えば低解像度)の画像について、検出および妥当性を確認したアライメントマーカーを有するサブ画像が処理のために受け取られる(ステップ775)。これまでに記載したように、複数のサブ画像が、類似したまたは同一の目的の領域に対応してアライメントされ得るのが望ましい。サブ画像のアライメントは、アライメントプロセスに役立つように、1つまたは複数のオフセットを適用して、対応する第2のサブ画像に重ね合わされる/配向される第1のサブ画像を選択するステップに進む(ステップ780)。
【0142】
各オフセットは、例えばオフセット距離または位置を反映する画素の数により決定されるオフセット距離を用いて、それぞれの画像フレームを位置付けする際のシフトに該当し得る。オフセットごとに、各サブ画像内に存在する検出されたアライメントマーカーは、それぞれのサブ画像間で重複するアライメントマーカーの数を決定するために評価される。より詳細に記載するように、アライメントマーカー間の重複の数および程度は、サブ画像の重複の範囲または質を決定する際の因子として使用することができる。様々な選択または決定されたサブ画像オフセットについて、画素/アライメントマーカーの重複が最も大きい画像オフセットが識別され得る。
【0143】
図7Dは、ステップ780の複数のオフセットプロセスについて説明するが、その場合、それぞれ450画素、800画素、1200画素、および1800画素であるおよそのアライメントマーカーの重複に対応する個別のオフセット間隔(a)、(b)、(c)、および(d)について、選択されたサブ画像793が、別の関連するサブ画像794と重ね合わされる/配向される。最大の画素の重複(例えば、
図7Dの(d))に対応する画像オフセットを使用して、サブ画像内の試料保持領域124が割り当てられるか、または選択されたオフセットと関連付けられる(ステップ785)。このプロセスは、次に1つまたは複数の第1および第2の画像にまたがる実質的にすべての対応するサブ画像について完了するまで、追加の対応するサブ画像について繰り返され得る。プロセス770のアウトプットは、対応する第1および第2の画像ごとに、各サブ画像内の関連する試料保持領域124のアライメントについて、詳細および値を提供する。アライメント後の画像は、次に下流の処理で使用され本明細書において以後より詳細に記載するように、分析物パターンにさらに関連付けられ得る。
【0144】
図1Dを再び参照すると、試料アレイ122のそれぞれの試料保持領域124に配置された細胞/粒子状物質106が分泌または放出した個別の分析物108の検出および解像度は、分析物検出基材134上に形成された、またはそれと関連付けられた対応するフィンガープリント、バーコード、または分析物パターン142の関連付けおよびアライメントを必要とする。別途指摘するように、複数の画像およびスキャンにまたがり可視化された特徴のサイズが小さく、数が多いと、画像およびスキャンを相互に対して配向し、かつアライメントするために、高度に正確な手段を提供することが重要となる。ミスアラインメントは、失ったおよび誤った分析物の識別を含む、品質の低いデータ分析を導くおそれがある。本明細書に記載する方法論は、望ましくは、そのような問題を回避し、画像およびスキャンを関連付け、かつ評価するために、高度に正確な手段を提供する。
【0145】
様々な実施形態では、アドレス可能な基準またはアライメントマーカー1168が、関連する画像およびスキャンを相互に対して識別および位置付けする際に、有利に活用される。例えば、試料アレイ122(例えば、画像1F(b)で検出された)の試料保持領域124と関連付けられたか、その付近に位置付けされたか、またはそれとともにアライメントされたアライメントマーカー1168が、分析物検出基材134(例えば、画像1G(b)で検出された)の分析物検出領域136と関連付けられたか、またはその付近に位置付けされた、対応するアライメントマーカーまたは他のアライメントマーカー1171と組み合わせて使用することができる。
【0146】
試料アレイ122と分析物検出基材134の間では、正確および/または一義的なアライメントが望まれることが認識される。そのようなアライメントは、マイクロチャンバ/試料保持領域124が、対応するフローレーン/分析物検出領域136と適切にアライメントされることを確実にすることを補助する。これに関して、様々なタイプ、数および/または位置付けのアライメントマーカー1168、1171が、試料アレイ122および分析物検出基材134の様々な画像およびスキャンの間の最適なアライメントの識別を促進するのに役立つ可能性がある。
【0147】
アライメントマーカー1168、1171は、スキャンおよび/または画像の間の特徴を画像化する際に、スケールまたは差の変動を解像するのにさらに役立つ可能性がある。例えば、回転および/または並進の差が、アライメントを改善するために、対処および補正されるのが望ましい画像およびスキャンの間に存在する可能性がある。これら問題に対処するために、正確にアライメントマーカーを検出することが望ましく、またそのような検出は様々な画像化を正確にアライメントするのに使用することができる。いくつかの変数が、例えばxとyの並進またはオフセット、画像/スキャン回転角度の差、および画像/スキャンの倍率を含む、アライメントマーカーの識別および解像中に検討され得る。これらの要因を念頭に置いて、検出されたアライメントマーカーを、高レベルの正確性を伴い、試料保持領域124の配向を分析物検出領域136に合わせるのに使用することができる。
図8Aは、上記の特徴を関連付け、アライメントするための詳細なプロセス800について説明する。
図8Bは、対応する分析物検出領域136とともに、試料保持領域124の例示的なサブ画像部分について、
図8Aに記載されているプロセスの説明
図850を提供する。
【0148】
ステップ805では、分析物検出基材134および試料アレイ122の対応するスキャンから検出されたアライメントマーカーが、収集および関連付けられ得る(例えば、
図1F(2b)および1F(3b))。アライメントマーカーは、様々な方向、例えば水平方向、垂直方向、および/または対角線方向に配向するのに役立つように、分析物検出基材134および試料アレイ122の表面付近に様々な方式で位置付けされ得る。例として、アライメントマーカーの詳細およびアライメント情報、例えば分析物検出領域の場所および識別を分析中に生成される情報が、先行するステップから取得され得る(例えば、
図5)。ステップ810では、選択された試料保持領域124のおよその位置および配向が、選択されたアライメントマーカー(例えば、対角線マーカー)を使用して決定され得る。ステップ815では、試料保持領域124の最初に決定された位置付けおよび配向を精緻化するために、さらなる操作が実施され得る。1つまたは複数の異なるセットのアライメントマーカー(例えば、水平マーカーおよび/または垂直マーカー)を使用して、試料保持領域124のより正確な位置付けおよびスケーリングが、1つまたは複数の操作に従って実施され得る。試料保持領域124のアップデートされた位置およびアライメントの詳細が、関連する分析物検出領域136の位置付けに対してアライメントするために、次に使用され得る。それぞれの画像およびスキャンに関するアライメントの結果が、次にステート820でアウトプットされる。
【0149】
図8Bは、試料保持領域124と分析物検出領域136の間のアライメント850の説明図を提供する。パネル855では、関連するアライメントマーカー856の位置付けから決定され得る分析物検出領域136に対応する検出されたフローレーンについて、サブ画像が描写される。パネル860では、対応する試料保持領域124とともにサブ画像を、アライメントマーカー857とともに描写する。2つの画像の相対的な位置付けは、互いに対して若干オフセットしてみえることが画像から指摘され得る。上記プロセスを使用して、2つのサブ画像855、860に由来するアライメントマーカー856、857が、2つのサブ画像の間で、より正確なアライメントを提供するのに役立つように活用され得る。したがって、サブ画像860では、アライメントマーカー856、857の2つのセットを使用する位置付けおよびアライメントにより、試料保持領域124と分析物検出領域136が交差するところで形成される分析物パターン142の可視化に対する正確なアプローチが提供される。これらの重複する領域は、その領域内に配置される分析物検出成分135のタイプ、ならびに試料保持チャンバ124と関連する1つまたは複数の細胞/粒子状物質から分泌または放出される検出された分析物108の存在に基づき、分析物108のシグナルが常在すると予想される位置とさらに対応する。
【0150】
図1Dを再び参照すると、ステップ1340では、分析物検出領域136の場所および位置付けが決定される。様々な実施形態では、分析物検出領域136の場所情報は、これまでの分析、計算、および評価から、一部支援され得る。例えば、画像分析操作、およびステップ1220、1240におけるアライメント特徴識別に関する情報が、関連するフローレーン/分析物検出領域136をさらに識別するために活用され得る(
図3および5も参照)。
図5(f)に示すように、アライメント特徴/マーカーについて予想されるフローレーン/分析物検出領域の位置付けに基づき、検出後されたアライメント特徴/マーカーと関連付けられるフローレーン/分析物検出領域136をさらに識別するために、アライメント特徴/マーカーの配置された位置および配向が使用され得る。
【0151】
分析ワークフロー1000に示すように、ステップ1400、1410、および1420は、細胞/粒子状物質の識別について、さらなる操作を実施するのに使用することができる。例えば、細胞に基づくアッセイ(例えば、単一細胞アッセイおよび/または細胞間相互作用アッセイ)および関連する分析物108分析では、異なる種々の細胞型の間を区別するさらなる操作を実施するのが望ましい場合がある。さらに、選択された細胞106から分析物108が検出される場合、選択された細胞106の生理学的または生化学的な状態を評価または決定するのが望ましい場合がある。様々な実施形態によれば、1つもしくは複数の細胞表面マーカー(例えば、CD4+、CD8、および/またはCD3に対応する表面マーカー)が検出され、かつ/または他の染色剤もしくは染料が評価され得る(例えば、バイタリティー染色剤または染料)。
【0152】
様々な実施形態によれば、選択された細胞集団および細胞の特徴が、1つもしくは複数の代表的な細胞表面マーカーの検出、または発現された膜会合/分泌タンパク質の指標により識別、分類、および/または区別され得る。したがって、選択された試料保持領域124に保持された単一の細胞ならびに複数の細胞106は、分泌または放出された化学物質、生化学的物質、または他の細胞関連の成分から生じる分析物パターン142に加えて、あるいはそれと組み合わせて評価される様々なマーカー、染料、染色剤、および/または試薬に曝露され得る。
【0153】
単一細胞または少数細胞の分析中、上記識別および特徴付け操作は、選択されたマイクロチャンバまたは試料保持領域124内の細胞の場所および位置付けを精緻化および/または確認するのにさらに使用することができる(ステップ1400)。そのようなプロセスは、取得された様々な画像およびスキャンを使用して、特徴的な光学特性、または画像およびスキャンにおいて視認される細胞に付随する細胞の特徴を評価するステップに進むことができる。例えば、細胞が、適切な染料および/または抗体により標識されるか、印を付けられるか、または染色される場合、細胞の位置は、一般的に高い蛍光またはシグナル強度により決定され得ることが観察され得る。そのようなシグナルは、例えば細胞と会合した1つもしくは複数の対応する識別可能な表面マーカー(例えば、CD4+、CD8、および/またはCD3)、またはバイタル染色剤もしくは他の染料の場合には、いくつかの他の識別可能な特徴(例えば、生存細胞と死亡細胞)の存在をさらに示し得る。
【0154】
細胞表面マーカーに対して検出された蛍光または高シグナル強度は、観察された蛍光もしくは観察されたシグナルに接近して、またはまさに同一の区域内に位置すると予想される細胞の位置付けについて、良好な表示を提供する。しかし、いくつかの事例では、表面マーカーである抗体、染料、染色剤、または他のマーカーは、比較的ノイズが多いか、または拡散性のシグナルを生成するおそれがあり、その結果、細胞106を含む試料保持領域124内に、バックグラウンドが比較的高い区域を生じさせる可能性がある。バックグラウンドまたはノイズが高いと、試料保持領域124と関連した細胞/粒子状物質106の可視化または検出を不明確にするおそれがある。これらの高バックグラウンド試料保持領域124は、識別され、フラグ付けされ、および/またはさらなる分析から除外されるのが望ましい場合がある(ステップ1410)。
【0155】
さらに、シグナル強度または蛍光は、異なる試料保持領域124内の細胞/粒子状物質106の間でばらつきを示す場合もあり、実験間でばらつき、および/または使用した染色剤、マーカー、もしくは染料の品質もしくは特徴によってばらつく可能性がある。一部の例では、対応する表面マーカーを有するか、または選択された染色剤、マーカー、もしくは染料で標識されているにもかかわらず、検出可能なシグナルを示さないか、または脆弱なシグナルしか有さない細胞/粒子状物質106の集合が存在する場合もある。さらに、同じタイプ、または一般的特徴を有する2つまたはそれ超の細胞/粒子状物質106が、近接してまたは相互に隣り合って常在する場合には、蛍光またはシグナルの起源を区別する際に、困難が認められる場合がある。細胞分泌、タンパク質発現、および他のタイプの生体分析では、検出された各細胞に付随する細胞型および表面マーカーまたは他の特徴を正確に決定することが重要であり得る。したがって、細胞に付随する細胞表面マーカーまたは他のシグナル特性に基づき、潜在的または候補細胞の識別を、真正細胞または偽陽性細胞として標識することが望ましい場合がある(ステップ1420)。
【0156】
図9Aは、細胞/粒子状物質の位置を識別および区別するための詳細な方法900を示す。
図9Bは、細胞を特徴付けおよび区別するための表面マーカー985(CD8およびCD3)で標識された細胞とともに、試料保持領域124の例示的サブセットを表す位置付けおよび区別プロセス970についてさらに説明する。プロセス900は、例えば蛍光検出により可視化され得る染料、マーカー、または標識で識別可能な細胞/粒子状物質106に対応するインプット画像を受け取るステップより開始する(
図1F(c))。上で議論したように、マーカーは、同時にまたは異なる時点で画像化/スキャンされる1つまたは複数の細胞/粒子状物質表面マーカーを含み得、そのデータは、本明細書に記載するアライメントおよび位置付け機構を通じて集約される。アライメントプロセス900において、さらなる情報も利用することができ、そのような情報は、識別されたマイクロチャンバ/試料保持領域、真正および潜在的な細胞候補、ならびにアライメントされたマイクロチャンバ/試料保持領域の情報に対応する(例えば、
図4、6、および7と関連してそれぞれ記載されるプロセス400、600、700から得られる)。
【0157】
最初に、ステップ910において、平均バックグラウンドシグナルまたはノイズ比が、決定され得る(例えば、分析で使用される染料、マーカー、または標識に起因するバックグラウンド蛍光を識別するために)。平均バックグラウンドシグナルは、その中に常在する細胞/粒子状物質106を欠く1つまたは複数の試料保持領域124を評価することにより、さらに決定され得る。様々な実施形態では、細胞/粒子状物質106を欠く試料保持領域124は、低バックグラウンドを示すか、またはそれぞれの試料保持領域124の全体を通じて存在する平均公称バックグラウンドを反映するものと予想され得る。
【0158】
ステップ915では、試料保持領域または区域124は、インプット画像(例えば
図1F(c))と相関する。このプロセス915では、アライメントされた第1および第2の画像(例えば、
図1F(a)、1F(b))について、これまでに決定されたオフセット情報がさらに利用され得る。ステップ920では、評価されるそれぞれの区域を単離またはローカライズするために、マイクロチャンバまたは試料保持領域マスクが決定される。このプロセス920の一部分は、細胞/粒子状物質106が検出されるか、または予測される場所の外側にある領域内の平均画素強度または密度を識別するステップであって、それぞれの試料保持領域124内のバックグラウンドを決定するステップを含み得る。例えば、検出されるか、または可能な細胞区域、シグナル、または強度を除外することにより、平均画素強度が、選択された試料保持領域124の部分について決定され得る。その後、選択されたマイクロチャンバ/試料保持領域124に関するバックグラウンドシグナル(例えば、蛍光)が決定され得る。
【0159】
ステップ925では、識別または予測された細胞/粒子状物質の場所に隣接する区域内の高シグナル強度がさらに識別されるように、試料保持領域124が評価され得る。例えば、細胞/粒子状物質106の周辺または近傍に常在する最高蛍光シグナルが、1つもしくは複数の表面マーカーまたは画像について決定され得る。上記識別されたバックグラウンドシグナル/強度の情報および細胞/粒子状物質関連の最高シグナルの存在を考慮しながら、試料保持領域124のそれぞれの画像内の細胞/粒子状物質106の相対的位置が、高度の正確性を伴い決定され得る。この情報は、対応する試料保持領域124内の細胞(単数または複数)/粒子状物質(単数または複数)106と関連した分析物パターン142の1つまたは複数のスキャンとさらに関連付けられ得る。
【0160】
ステップ930では、細胞/粒子状物質表面マーカー強度が、検出されたマーカーを決定し、定量するために評価され得る。様々な実施形態では、分析される細胞ごとに、検出または細胞に付随する1つまたは複数の表面マーカーの存在が、細胞の特徴および/または状態を決定するのに使用され得る。さらに、例えば、上記の決定および計算に基づき、高バックグラウンドシグナルが存在する場合、関連する試料保持領域124は、フラグ付けされ、および/またはステップ935においてさらなる分析から除外され得る。このように、試料保持領域をフラグ付けし、または除外すれば、高品質の結果の生成に役立ち、および/または試料データの異常なもしくは誤った解釈を防止し得る。最終的に、ステップ940では、許容されるバックグラウンドを有する試料保持領域が、関連する細胞/粒子状物質の位置、および表面マーカーパターンまたは識別子(存在する場合には)を含む識別特性とともに、さらなる処理のためにアウトプットされる。
【0161】
図9Bは、
図9Aに記載するプロセスの図形表示970を提供し、その場合、例示的な単一細胞アッセイにおいて、CD3およびCD8に関する表面マーカーが個別に画像化され、アライメントされる。画像化972は、CD8表面マーカー検出について検出されたシグナルを反映する。画像化972内の細胞106の一部分は、CD8マーカーの存在を識別するのに十分なシグナルを示す。画像化974では、同一の試料保持領域124の例示的な明視野画像が、画像化972に存在する細胞および他の細胞106の存在を示す。複合画像化978により表されるように、2つの画像化972、974と関連したシグナルの比較、重ね合わせ、またはマージは、アライメントマーカーおよびこれまでに記載したプロセスと類似したプロセスを使用して実現し得る。
【0162】
同様に、画像化976は、CD3表面マーカー検出について検出されたシグナルを反映する。画像化976内の細胞106の一部分は、CD8マーカーの存在を識別するのに十分なシグナルを示す。複合画像化980により表されるように、2つの画像化972、976と関連したシグナルの比較、重ね合わせ、またはマージは、アライメントマーカーおよびこれまでに記載したプロセスと類似したプロセスを使用して実現し得る。複合画像化978および980は、これまでのパネルのそれぞれからのデータおよびシグナル情報を合わせる最終画像化を提供するために、さらに比較または重ね合わせがされ得る。まとめると、細胞の位置ならびに検出された細胞表面マーカー985が決定され得る。差次的に検出されたマーカー(CD8、CD3)の存在により細胞の異なる特徴および/または発現パターンが示される。この情報は、細胞を分類またはグループ分けし、異なる細胞型および/または状態の間で区別するのにさらに使用することができる。そのような分類およびグループ分けは、以下で議論される検出された分析物パターン142それぞれと関連してさらに検討され得る。
【0163】
図1Dを再び参照すると、試料アレイ122の試料保持領域124、および分析物検出基材134の分析物検出領域136と関連した様々な画像およびスキャンについて位置付けおよびアライメント操作の後、分析ワークフロー1000は、選択された細胞/粒子状物質106に付随するか、またはそれに帰属可能な分析物パターン142を配置および識別するステップに進むことができる(ステップ1430)。
図10Aは、分泌読み出し決定に関するワークフロー1510の詳細を提供する。さらなる分泌読み出しの説明図を、
図10Bに提供する。
【0164】
様々な実施形態では、細胞/粒子状物質106により発現、分泌、または放出された1つまたは複数の検出された分析物108に対応する選択された分析物パターン142は、1つまたは複数の個別のシグナルを含み、そのそれぞれは、分析物検出基材134に対して既知のまたは予想される様々な場所の付近に位置するそれぞれの分析物と関連する。分析物検出基材134の付近において、様々な分析物検出成分135/分析物検出領域136を組み立て、位置付けし、および/または配置する方式は、得られた検出された分析物108の配向および位置を決定する。
【0165】
様々な実施形態では、異なるスキャンにおいて観察された位置または領域であっても、それとほぼ同一の位置または領域において、2つまたはそれ超の分析物が検出され得る。位置的に多重化した分析物検出成分135は、したがって、発せられたシグナルのタイプ、および/またはそれらが現れるスキャンもしくは画像化により相互に解像され得る。(例えば、同時に配置されたか、または位置的に多重化した分析物検出成分は、別々に検出および/または区別され得る個別の標識またはフルオロフォアを含み得る)。
【0166】
選択された細胞/粒子状物質106に関する分析物パターン142は、分析物検出成分135が位置する分析物検出基材134上で、選択された試料保持領域124を対応する一連の1つもしくは複数の位置または領域136と関連付けることにより識別され、または「読み取られ」得る。検出された分析物108をもたらすそれぞれの細胞/粒子状物質106の配置は、したがって、下でより詳細に記載されるように、重複が生ずる細胞画像および分析物検出スキャンの1つもしくは複数の選択された画素区域(単数または複数)または領域を評価することにより決定され得る。代表的なシグナル/スキャン画像において識別されたシグナル強度値は、識別および処理を容易にするために、別個の画素および/または画像化区域内の画素を代表する割り当てられた数値に対してマッピングされ得る。様々な実施形態では、選択された閾値の識別されたシグナル強度は、検出された分析物108と関連し得る値を取得するために平均化され得る。様々な実施形態では、分析物108のより正確な定量および/または選択された分析物108が存在することの確認は、分析物検出/画素分析の2つまたはそれ超の領域を使用して決定され得る。これらの領域のスキャン/画像化は、試料保持領域124と分析物検出領域136の間の2つもしくはそれ超の区域または場所に、個別の重複を提供する。様々な実施形態では、対応する重複領域ごとに観察された強度値が比較され、かつ/またはそれぞれの検出された分析物108の識別について、より高い信頼性をもたらすために平均化され得る。
【0167】
図10Aに示す通り、分析プロセス1510は、検出されたフローレーン、または対応するマイクロチャンバもしくは試料保持領域124とアライメントされた分析物検出領域136を取得するステップから開始し得る。様々な実施形態では、検出された分析物108に対応するサブ画像が、1つまたは複数の分析物が検出される強度領域を識別するのに利用され得る(例えば、
図1G(a)および(b)を参照)。対応するフローレーンまたは試料保持領域124は、次に、分析物スキャンを重ね合わせるか、またはマージして、重複領域の位置を特定するのに使用され得る。上で議論したように、重複は、様々な画像およびスキャン内の画素に従って決定され得る。重複領域または区域は、次に、ペアワイズ方式で対応する試料保持領域124/分析物検出領域136に割り当てられ得る。
【0168】
識別された重複について区域または領域が割り当てられると、関連する強度データまたはシグナル情報が、各位置から抽出され得る(ステップ1525)。選択された区域からの関連または対応するシグナルは、さらに平均化されて、検出された分析物108に対応するアウトプットシグナルまたは読み出しを提供し得る。ある特定の例では、信頼性が低いか、または外れたデータもしくはシグナルは、下記の
図11においてより詳細に記載するように、除去またはフラグ付けされ得る。同一の細胞/粒子状物質106、および分析物108のペアリングと関連した重複性または冗長性のシグナル強度が、検出された分析物108の最終的な分析物読み出しを生成する前に、妥当性および/または信頼性についてさらに比較および/または平均化され得る。その後、有効な検出された分析物108、関連する強度、および他の特徴が、アウトプットされ得る(ステップ1530)。
【0169】
図10Bは、
図10Aに記載する画像化および画素比較プロセスの例1550について説明する。サブ画像1555に示すように、複数の分析物検出領域136(「タンパク質レーン」として識別される)が、複数の試料保持領域124(「チャンバ」として識別される)と重複し得る。例示的なサブ画像1555によれば、分析物検出領域136は、一般的に水平方向に配置された試料保持領域124をともなって、概して垂直方向に配置されて重ね合わされるか、または配向される。観測可能なシグナル強度を有する重複領域1557がさらに識別される。サブ画像1560は、分析物「レーン」15と試料「チャンバ」23の間の選択された重複領域の拡大図を提供する。重複領域1558により表されるように、分析物読み出し区域は、検出された分析物108の存在を示すように指定され得る。サブ画像1570は、同一の細胞/粒子状物質106および検出された分析物108領域に対応する2つの別個の重複領域1572、1574に関するペアワイズ読み出しについてさらに説明する。これらの領域は、独立して評価され、結果は上記のように比較および/または平均化され得る。
【0170】
図10Cは、上記
図10Bに記載した画像化および画素比較プロセスのさらなる例1551について説明し、例示的な試料保持領域124についてのマーカーパターン142と関連したペアワイズ読み出し1552を示す。複数の分析物(例えば、サイトカイン)108は、個別に同時に検出され、マーカーパターン142から解像され得る。画像パネル(a)および(b)に示すように、複数の画像が、同一の分析物検出領域135付近において同時に位置特定または位置決めされ得るマーカー135を個別に識別するために、例えば異なる波長を使用して、または異なる画像取得上の特徴を用いて取得され得る。パネル(c)に示す通り、異なる画像取得上の特徴を用いて取得される画像は、さらに重ね合わされるか、またはマージされ得る。
【0171】
図1Dを再び参照すると、分析物/分泌の場所を識別および分析した後、バックグラウンドシグナル評価および外れ値検出分析が実施され得る(ステップ1440)。
図11は、信頼性が低い、間違いを起こしやすい、または外れ値である可能性のあるデータおよびシグナルをゲーティング、除外、および/またはフラグ付けするプロセス1610を表す。
図10と関連して上で議論したように、様々なスキャンまたは画像(またはその一部分)が、バックグラウンドおよびノイズが高い領域、ならびに他の潜在的なアーティファクトに該当する可能性があり、分析方法1000によりアウトプットされたシグナルデータおよび結果の品質を台無しにするおそれがある。分析から誤った結果や低品質の結果をアウトプットするのを避けるために役立つように、様々な品質チェックまたはゲーティング手順1620が、アウトプット分析物の識別、読み出し、およびステップ1530から得られた関連画像/スキャンデータに適用され得る。このデータは、1つまたは複数の品質チェック1620が適用される品質レビュー(ステップ1625)用として最初に受け取られ得る。
【0172】
1つの例示的な品質検定1630は、画素情報に基づく画像/スキャン品質のアセスメントを含み得る。グラブス検定は、潜在的な外れ値として識別される画像/スキャン内の画素を除外する、またはフラグ付けするために実施され得る。様々な実施形態では、分析物検出領域136と重複する試料保持領域124の部分に関する画像/スキャン(
図10Bに例示する)に対応する画素データが、画素データの他の領域とともに検討され得る。グラブス検定で棄却された画素データは、これらの領域内の関連する画像/スキャンデータは疑わしく、結果/読み出しは、除外されまたはさらなるレビューのためにフラグ付けされ得る指標として役に立つ可能性がある。
【0173】
別の例示的な品質検定1635は、強度情報が抽出および評価される領域の画素区域またはサイズを評価するステップを含み得る。サイズ閾値が画像/スキャンデータに適用でき、選択された閾値に満たない、または適合しない画素区域と関連した分析物の結果/読み出しが除外されまたはさらなるレビューのためにフラグ付けされ得る。一例として、分析物検出領域136と関連する試料保持領域124の間の重複が不十分であると、データを正確に決定またはアセスメントするための画素情報が不十分となる可能性がある。事前に選択された基準により重複が不十分と決定された領域では、結果/読み出しは、除外されるか、またはさらなるレビューのためにフラグ付けされ得る。
【0174】
さらなる例示的な品質検定1640は、高い間質性のバックグラウンドが領域を識別するために、画像/スキャンデータを評価するステップを含み得る。様々な実施形態では、識別された分析物検出領域136および/または試料保持領域124と実質的に隣接するまたはその近傍の(例えば、上部、下部、右側、または左側)区域内の画像/スキャンを評価すると、間質性領域の1つまたは複数が、分析物シグナルと関連した閾値を上回ることが示される場合がある。そのような結果は、関連するデータ/読み出し結果が偽陽性結果を示すことを示唆し得る。したがって、そのような結果/読み出しは除外されるか、またはさらなるレビューのためにフラグ付けされ得る。
【0175】
別の例示的な品質検定1645は、選択された試料検出チャンバ124に付随する観察された分析物結果について検討し得る。様々な実施形態では、選択された分析物について、少なくとも1つの信頼性のある分析物の識別/読み出しと関連しない試料保持チャンバは除外されるか、またはさらなるレビューのためにフラグ付けされ得る。一部の例では、少なくとも1つの信頼性のある読み出しが、2つまたはそれ超の関連する分析物画像化区域から取得されるべきである。
【0176】
上記の様々なゲーティングおよび品質アセスメントチェックのうちの1つまたは複数を適用した後に、得られた分析物データ/読み出しは、有効とみなされ、そしてアウトプットされ得る(ステップ1650)。様々な品質アセスメントを適用することにより、データ分析の全体的な信頼性および品質が改善するのが望ましいと認識される。したがって、分析物のアウトプットデータ/読み出し品質をさらに高めるために、さらなる品質アセスメントが適用され得る。
【0177】
図1Dを再び参照すると、高バックグラウンドシグナルおよび関連する分析物データを除外した後、データ分析1000は、1つまたは複数の分析物検出領域136において検出された分析物108について、シグナルの定量に進むことができる(ステップ1450)。
図12Aは、例示的な画像化1610、1620について説明し、分析物検出領域136と交差する選択された試料保持領域124の一部分を図示する。画像パネル1610に示すように、その中に含まれるか、または常在する細胞/粒子状物質106を欠くことがこれまでに決定されている試料保持領域124(「ゼロ−細胞−チャンバ」として識別されるチャンバ3、5、22)が識別される。様々な交差する分析物検出領域136(例えば、レーン15)と関連した領域内のシグナル強度が、バックグラウンドシグナル強度を決定するまたは特徴付けるために活用され得る。
【0178】
例えば、細胞/粒子状物質106を欠く試料分析物領域のうちの1つまたは複数と関連したシグナル強度が、関連するバックグラウンドシグナルを決定するために、選択された交差領域1630内で評価され得る。様々な実施形態では、バックグラウンドシグナルは、1つもしくは複数の分析物検出領域136および/または1つもしくは複数の試料保持領域124について決定され得る。バックグラウンド結果は、全体的なバックグラウンドシグナル値を決定するために、組み合わされ、平均化され、または他の方法によりさらに処理することができ、そのようなシグナル値は、他のシグナル強度データに適用されるか、またはバックグラウンドシグナルが決定された領域1630の近傍に位置する試料保持領域124について、選択されたか、もしくは対応するシグナル強度データに個々に適用される。
【0179】
画像パネル1620に示すように、バックグラウンドシグナル強度は、次に、少なくとも1つの細胞/粒子状物質106を含むものとしてこれまでに識別されている試料保持領域124について、シグナル強度データ関連の検出された分析物108に適用され得る(例えば、チャンバ19、23)。様々な実施形態では、バックグラウンドシグナル強度は、選択された分析物検出領域136と関連する分析物シグナル/読み出しを評価するのに使用することができ、得られた検出された分析物シグナルをさらに特徴付ける。例えば、画像パネル1620に示すように、選択された分析物検出領域136(例えば、レーン15)のシグナル強度は、それぞれの試料保持領域124(例えば、チャンバ19、23)について評価され、バックグラウンドに対して特徴付けられ得る。例えば、関連するシグナル強度からのバックグラウンドシグナルの減算を行い、対応する領域が、バックグラウンドを上回る(例えば、1640)、またはバックグラウンドを下回る(例えば、1645)ものとして特徴付けられ得る。このようなバックグラウンド分析は、バックグラウンドが減算された領域に対応する分析物108の有無について判定を下すのにさらに使用され得る。
【0180】
図12Bは、複数の試料(例えば、細胞106)が複数の分析物(例えば、サイトカイン108)について評価される実験に関する例示的な散布
図1700を表す。分析結果は、バックグラウンドシグナルまたはバックグラウンド閾値1720に対して、分析物シグナル/読み出しを示す細胞の数またはその割合1710として示される。縦軸1730は、横軸1740に表示する選択されたサイトカインの相対的強度の値または単位を提示する。バックグラウンド閾値1720は、サイトカインごとに独立に決定され、そして細胞は、閾値を上回る1750、または閾値を下回る1760分析物の存在を検出することにより特徴付けられる。
【0181】
分析物の分泌、または上に示した方式で表される検出結果は、多数の可能性のある細胞について、選択された分析物の全体的な発現、分泌、または存在を同時に評価するのに好都合な方法を提供する。この情報を使用することにより、集合的にプロファイリングされるべき細胞の可能な大集団が、細胞の挙動、応答、または特徴に関する見識を示すことを可能にしながら、単一細胞ベースの分析物の存在および/または応答について、細胞を評価することができる。したがって、開示の分析法を適用することにより、実用的な手段がもたらされ、そのような手段によりかなりの数の細胞にわたって、単一細胞の分析物分泌または細胞間相互作用を検出するための感度および正確性を維持しつつ、同一の細胞から分泌される生化学的物質、サイトカイン、およびケモカインを含め、複数の分析物が同時にアセスメントされる。
【0182】
図12Cは、試料保持領域124の選択されたサブセットのマージされた画像に関する例示的な画像化結果1701を、試料保持領域124内に含まれる1つまたは複数の細胞106と関連する検出された分析物108から得られた関連するマーカーパターン/読み出しとともに説明する。ペアワイズ分析物分析結果を、これまで記載したように示し、細胞数1702および細胞型1703とさらに関連付ける。単一の細胞型1703(例えば、K−562およびNK細胞)を含むそれぞれの試料保持領域124からの検出された分析物の結果を、型が異なる2つまたはそれ超の細胞を含む試料保持領域124に関する分析物結果に対して評価することにより、例えば細胞間相互作用に関する情報および見識、ならびに細胞の分析物応答または細胞分泌における関連する変化を提供することができる。さらに、型が同一の2つまたはそれ超の細胞を含む試料保持領域124について、分析物の結果を評価することにより、例えば細胞間相互作用に関する情報および見識を提供し、かつチャンバ内に存在する細胞数と相関する定量的分析物分析でさらに使用することができる。
【0183】
図1Dを再び参照すると、データ分析1000は、個別の細胞の集団を評価して、相関性のある分析物(例えば、サイトカイン/ケモカイン)応答および試料の機能的プロファイリングを決定するためのさらなる操作およびツールを含み得る(ステップ1460)。様々な実施形態では、開示の方法に従って得られる実験データおよび結果は、さらに分析、比較、かつ関連付けられ、例えば免疫応答と関係し、関連付けられる、多くの異なる型の細胞の特徴、応答、および機能性を発見、スクリーニング、調査するための強力なツールを提供し得る。
図13に示すように、分析物データおよび結果を提示および解釈するための様々な方法およびツール1800が利用可能である。例えば、単一細胞の実験では、細胞集団全体にわたる多機能性の評価は、データ分析からのアウトプットとして提供され得る。1つまたは複数の実験から得られた単一細胞発現データおよび情報は、多機能発現(例えば、同一細胞から複数のエフェクタータンパク質/サイトカインを分泌する能力)におけるパターンおよび傾向の識別と関連し得る。選択されたサイトカインに関する例示的な多機能アッセイに対応する分泌プロファイルは、例示的な円グラフ1805、棒グラフ1810、およびヒートマップ1815で表される。さらなる相関関係が、例えば複数の試料からの細胞型を比較し、分析物の発現もしくは分泌プロファイル、生理学的相関関係、疾患状態、および/または治療応答を決定するために、検出された分析物を既知のまたは確立されたパラメータと比較してなされ得る。
【0184】
図1Dを再び参照すると、データ分析1000は、例えば既存の文献/公開資料/データセットからなるデータベースと比較することにより、分析物応答に関する実験結果と他情報との比較および/または相関関係を促進するさらなる操作およびツールを含み得る(ステップ1470)。
図14Aは、単一細胞の実験結果を評価して推論決定および発見するためのツールを提供するのに使用することができる情報を含むデータベースインターフェース1850を表す。
【0185】
例えば、データベース1850は、これまでの実験ならびに文献/公表されたデータに由来する単一細胞の分泌/分析物発現情報を含み得る。例示的な実験フィルタ1855、公開資料フィルタ1860、およびデータフィルタ1865により、ユーザは、所望の情報、または保存された実験データおよび公開資料情報を照会するのに使用することができる関連情報に集中する能力を提供する。実験的フィルタ1855は、例えば、特定のまたは選択された情報源、疾患/状態、被験体の種類、細胞型および/または技術(試料分析で使用される、例えばフローサイトメトリー、酵素連結ImmunoSpot(ELISPOT)、本明細書に記載の技術等)に基づき、データ/情報の選択または検索を可能にし得る。公開資料フィルタ1860は、例えば特定のまたは選択された目的の区域、科学分類、著者、公開年、および/またはキーワードに基づき、関連する文献/情報の選択または検索を可能にし得る。データフィルタ1865は、例えば特定のまたは選択されたサイトカインまたは他の目的の分析物に基づき、データ/情報/文献の選択を可能にし得る。データフィルタ1865は、サイトカイン/分析物分泌プロファイルまたは値の間のデータ検索に基づく比較、ならびに多機能性サイトカイン/分析物応答に基づく選択に対して機能性をさらに提供し得る。様々なメトリクスが、全体的なサイトカイン/分析物分泌および/または多機能プロファイルの類似性を自動的に比較するために選択され得る。データベースツールとのユーザインタラクションをさらに促進するために、様々なフィルタが、サーチおよびデータ選択基準を用いて自動的に追加され得る。カタログ分類されたデータセットとユーザの現在のデータセットにおいて関連性または類似性が存在する限り、任意のユーザ選択型フィルタと連携して、全体的な決定がなされ得る。様々な実施形態では、最終的な相関関係が決定できない場合、小さいセットの関連する過去の実験/データセットを提供することが、どのような後続試験を行えば参考になるか、他の治療と比較して処置をどのように実施可能であるか等について決定する際に、ユーザをガイドまたは支援するのに役立つ可能性がある。
【0186】
図14Bは、選択された単一細胞実験に由来する情報を表示する例示的な結果インターフェース1875を表す。結果および関係する関連データセット1880は、公開資料および関連データと好都合にリンクしてより詳細に選択および検討され得る。スコアまたはランク1885は、例えば実験的または所望の細胞プロファイルとのそれらの類似性に基づく結果1880にさらに帰属させて、文献/公開資料と、得られた/実験的細胞応答データとの間の詳細および相関関係を提供することができる。
【0187】
図14Cは、上記のデータ分析機能、および免疫学的プロファイリング分析の文脈において単一細胞プロファイリング能力を提供するためのデータベースに関する全体的なワークフロー1900を表す。本明細書に開示のシステムおよび方法のスループット、感度、および正確性を活用することにより、単一細胞、細胞集団、および細胞のクラスまたはタイプについて機能的特徴付けが可能となり、さらなるデータ収集、エビデンス評価、および実験結果を評価するための推論決定機能が提供される。
【0188】
様々な実施形態では、また
図14Dに示すように、上に記載され、関連する図に示された方法およびプロセスが、画像取得のためのコンポーネントを含むプラットフォーム1950を使用して実施することができ、画像分析および後続する分析物評価のためのコンピュータコンポーネントをさらに含む。プラットフォーム1950は、組み込み型システム、例えば所望の分析物結果および関連するデータをアウトプットする機能をそれぞれ実施する能力を有する単一のデバイスまたは機器をさらに含み得る。また、プラットフォーム1950は、所望の様々な機能性を実施するための様々な機器および計算コンポーネントを含む個別または分離したコンポーネントを含み得る。
【0189】
様々な実施形態では、試料アレイ122および関連する分析物検出基材134は、複数の画像/スキャンを取得する画像化装置1952により処理される。画像化装置1952は、例として顕微鏡、蛍光検出器、マイクロアレイスキャナー、および/または他の光学的およびシグナル検出装置を含む、1つまたは複数の画像化デバイスを含み得る。例えば適切な画像処理およびデータ分析ソフトウェアを備える計算デバイスを含む画像プロセッサ1953は、シグナル情報、画像、スキャン、および画像化プロセスと関連した他のデータを受け取るように構成され得る。画像プロセッサ1953は、検出された分析物と関連した対応する細胞(単数または複数)/粒子状物質(単数または複数)を決定するとともに、示されたシグナルに関与する分析物を決定または関連付けるために、情報をさらに評価および分析することができる。
【0190】
画像プロセッサ1953は、例えばサイトカインシグナルと、画像化装置1952により検出された単一細胞チャンバ/マイクロウェルとの間の対応を決定し、サイトカインシグナルを1つまたは複数の特異的細胞とさらに関連付けて、個々の細胞について、分泌タンパク質の細胞別プロファイルを生成することができる。画像プロセッサ1953は、検出された分析物をさらに定量化し、この情報を、検出された細胞/粒子状物質と関連付けることができる。画像プロセッサ1953は、細胞/粒子状物質当たり、1つまたは複数の分析物にわたって、検出された様々な細胞(単数または複数)/粒子状物質(単数または複数)に関する検出された分析物を関連付ける追加の解析をさらに実施することができる。画像プロセッサは、上記のように、細胞/粒子状物質の機能的応答および特徴をさらに決定し、1つまたは複数のデータリポジトリ1954に含まれる情報を活用してさらなる関連付けを実施し、成果データを決定し、既存の情報/文献と比較することができる。
【0191】
この画像化および分析法は、標準プログラミング技法を使用するコンピュータプログラムを含むソフトウェアを使用して実施され得る。そのようなプログラムは、プログラム可能なコンピュータ上で実行され得るが、コンピュータはそれぞれ、電子プロセッサ、データ保存システム(メモリーおよび/または保存エレメントを含む)、少なくとも1つのインプットデバイス、および少なくとも1つのアウトプットデバイス、例えばディスプレーまたはプリンターを含む。
【0192】
一部の実施形態では、本明細書に記載する機能を実施するため、およびアウトプット情報(例えば、分析物のアセスメント/定量、多機能性の決定、および関連する相関関係/推論)を生成するために、画像およびスキャンデータ(例えば、試料保持領域124、分析物検出領域136、および関連する細胞(単数または複数)/粒子状物質(単数または複数)106、および分析物パターン(単数または複数)142に関する画像およびスキャン)を取得および分析するためにコードが適用されるが、コードは1つまたは複数のアウトプットデバイスに適用され得る。そのようなコンピュータプログラムは、それぞれハイレベル手順のまたはオブジェクト指向のプログラミング言語、またはアセンブリ、または機械語で実施され得る。さらに、言語は、コンパイル型または翻訳型言語であり得る。そのようなコンピュータプログラムはそれぞれ、コンピュータにより読み取られると、コンピュータ内のプロセッサに本明細書に記載する分析を実施させることができるコンピュータ可読記憶媒体(例えば、CD−ROMまたは磁気ディスケット)に保管され得る。
【0193】
本開示のシステムおよび方法のスピード、正確性、およびスループット能力は、単一細胞アッセイレベルの細胞集団分析、および単一の細胞間の細胞シグナル伝達アッセイにおいて有用である。特に、本教示は、免疫学的細胞(例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、および他の免疫細胞型)等の細胞の高度に多機能性のクラス間を区別するために、細胞集団分析に有利に適用され得る。免疫細胞は、細胞当たり多くのサイトカインの分泌をともない、多くの場合、個々の細胞についてサイトカイン分泌プロファイルの間で有意な差異を示す。本明細書に開示する教示を適用することにより、臨床医および研究者は、高感度で再現性のある方式で細胞およびタンパク質分泌プロファイルを分析することができる。単一細胞のサイトカイン分泌プロファイル(例えば、分析物読み出し)は、1もしくは複数の患者または試料について同時に分析し、免疫の機能性、制御、および毒性を評価するために、免疫細胞サイトカイン応答のデータベースに対して評価され得る。これまで記載したように、システムは、様々な細胞画像、分析物検出スキャンの処理、および単一細胞の機能分析を自動化する情報のデータベース照会について高度の自動化を実現する。
【0194】
T細胞亜集団の構成(例えば、CD4/CD8比に基づく)ならびにそれらの関連するエフェクター/サイトカイン分泌プロファイルは、臨床転帰および/または治療応答と相関性を有し得る。そのような分析が有用であり得る例として、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)、ならびに病原体感染に対して適応免疫防御応答を有する患者の免疫細胞応答が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0195】
様々な例では、同一のまたは類似した細胞型(例えば、CD4またはCD8細胞)は、動的および発展的な機能表現型を有する高度に不均質な集団を含み得る。そのような細胞は、その免疫エフェクター機能(例えば、サイトカイン分泌プロファイル)により、単一細胞レベルで分類されるのが望ましい場合がある。免疫応答の効力および非一過性は、多機能性とさらに関連付けることができ、したがって同一の細胞に由来する複数の免疫エフェクタータンパク質を分析することが望ましい。サイトカイン分泌の性質を考慮する際には、免疫保護の程度は、別個のサイトカインを同時に分泌する多機能性免疫細胞(例えば、T細胞)の頻度、ならびにサイトカイン分泌の質および/または量の両方と相関し得る。
【0196】
免疫細胞は、特徴的で異種の免疫学的分泌プロファイルを示すだけでなく、免疫細胞が常在する微環境における活性にも影響を及ぼす。腫瘍壊死因子(TNF)等のサイトカインは、免疫細胞により産生され、T細胞のプライミング効果を改善し、がん環境に導入されたら、適応性抗腫瘍免疫性を誘発することができる。反対に、他のサイトカインは、患者転帰の不良と関連しており、腫瘍の増殖を促進し、抗腫瘍免疫応答を阻害することが報告されている。例えば、インターロイキン6(IL−6)、血管内皮増殖因子(VEGF)、またはマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)が不均衡に産生されると、樹状細胞の成熟を抑制し、腫瘍細胞が免疫監視機構を逃れるのを支援する調節性T細胞(Treg)を活性化させることにより、適応性抗腫瘍免疫性が阻害される。形質転換増殖因子ベータ(TGF−β)は、多くの病理学的な状態において豊富に発現されるが、このサイトカインは、腫瘍微環境の形成、および血管形成の促進において重要な役割を有するので、腫瘍の増殖および維持に多大な影響を及ぼす。本開示の教示を適用することにより、上記免疫学的サイトカイン因子について、複数の細胞および細胞集団/試料にわたって、単一細胞レベルで正確な測定を実施することができる。個々の細胞または細胞のコレクションに関するサイトカイン分泌プロファイルは、実行可能な患者の免疫学的プロファイルを創出するために、ならびに/またはがんに対する免疫応答および機能的活性化の指標もしくは相関を提供するためにさらに評価され、既存の情報および文献値と比較され得る。
【0197】
他の用途では、罹患細胞、例えば悪性の血液学的細胞または固形腫瘍細胞の多機能性が、サイトカイン分泌に基づき、病因と相関する様々な分泌プロファイルを用いて評価され得る。分析され得るサイトカインの例として、CCl−11、GM−CSF、グランザイムB、IFN−γ、IL−10、IL−12、IL−13、IL−17A、IL−17F、IL−18、IL−1β、IL−2、IL−21、IL−22、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IP−10、MCP−1、MCP−4、MIP−1α、MIP−1β、パーフォリン、RANTES、sCD137、sCD40L、TGF−β1、TNF−α、TNF−βを挙げることができる。さらに、例えば細胞免疫および腫瘍学ツールの区域において、単一細胞の幅広いスペクトルまたは集団にわたって、エフェクター機能について特徴付けが、正確な診断または治療評価にとって有益である場合、本開示のシステムおよび方法が、様々な臨床用途に適用されるのが望ましい場合がある。
【0198】
本開示の原理について、本明細書に示す例示的な実施形態と関連して説明してきたが、本開示の原理はそれに限定されず、そのあらゆる修正形態、変形形態、または置換形態も含む。さらに、上記の例は、当業者に対して完全な開示を与え、本開示のデバイス、システム、および方法に関する実施形態を作製および使用する方法について説明するために提供され、発明者らがその開示とみなすものの範囲を制限することは意図されない。当業者にとって明白である、本開示を実施するための上記モードの修正は、下記の特許請求の範囲内であるように意図される。本明細書に挙げたすべての特許および公開資料は、本開示が関係する当業者の技能レベルを示す。
【0199】
本明細書で使用する用語法は、特定の実施形態を記載する目的のみのためであり、制限することは意図されない。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」には、内容により別途明確に規定されない限り、複数形の指示物も含まれる。用語「複数」には、内容により別途明確に規定されない限り、2つまたはそれ超の指示物が含まれる。本開示のいくつかの実施形態が記載されている。それにもかかわらず、本開示の精神および範囲から逸脱せずに、様々な変更をなすことができるものと理解される。したがって、他の実施形態も、下記の特許請求の範囲に含まれる。