(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ミストコレクタ制御部は、前記センサによって前記物質が検出されなくなったことに基づいて、前記センサによって前記物質が検出されていた時よりも前記ミストコレクタによる単位時間当たりの前記物質の収集量が少なくなるように、前記ミストコレクタを制御する、請求項1に記載の工作機械。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0017】
<A.工作機械100の外観>
図1を参照して、実施の形態に従う工作機械100について説明する。
図1は、工作機械100の外観を示す図である。
【0018】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。本明細書では、工作機械100の一例として、横形のマシニングセンタを例に挙げて説明を行うが、工作機械100は、これに限定されない。たとえば、工作機械100は、縦形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。さらに、工作機械100は、これらを複合した複合機であってもよい。
【0019】
図1に示されるように、工作機械100は、ミストコレクタ40と、カバー体130とを含む。カバー体130は、スプラッシュガードとも呼ばれ、工作機械100の外観を成すとともに、ワークWの加工エリアAR1(
図2参照)を区画形成している。
【0020】
また、カバー体130には、ドアDRが設けられている。作業者は、ドアDRを開いた状態で加工対象のワークをカバー体130内に設置する。作業者は、ワークの設置が完了するとドアDRを閉じる。
【0021】
ミストコレクタ40は、たとえば、鉛直方向においてカバー体130よりも高い位置に設けられている。
図1の例では、ミストコレクタ40は、カバー体130の天井部分に連結されている。ミストコレクタ40は、工作機械100内の気中の物質(以下、「微小物質」ともいう。)を収集し、カバー体130内の微小物質が工作機械100外に漏れることを防ぐ。ミストコレクタ40によって収集される微小物質は、たとえば、クーラントの排出により発生したミストと、ワークの加工により発生した微小な切り屑と、気中を浮遊するその他の異物などを含む。
【0022】
<B.工作機械100の内部構成>
次に、
図2および
図3を参照して、工作機械100の内部構成について説明する。
図2は、工作機械100内の様子を表わす図である。
図3は、
図2とは異なる方向から工作機械100内の様子を表わす図である。
【0023】
図2および
図3に示されるように、工作機械100は、その内部に、クーラントの吐出部125と、主軸頭131と、工具134と、テーブル136と、回収機構150とを含む。主軸頭131は、主軸132と、ハウジング133とを含む。
【0024】
説明の便宜のために、以下では、主軸132の軸方向を「Z軸方向」とも称する。重力方向を「Y軸方向」とも称する。Y軸方向およびZ軸方向の両方に直交する方向を「X軸方向」と称する。
【0025】
カバー体130の天井には開口135が形成されている。上述のミストコレクタ40は、開口135を覆うように設けられる。これにより、ミストコレクタ40は、加工エリアAR1から開口135を介して気中の微小物質を収集する。
【0026】
吐出部125は、工作機械100内に設けられ、ワークWの加工により生じた切り屑を回収機構150に排出するためにクーラントを吐出する。吐出部125は、1つ以上の吐出機構で構成されている。
図2および
図3には、吐出部125の一例として、吐出機構125A,125Bが示されている。
【0027】
吐出機構125Aは、主軸頭131に設けられている。吐出機構125Aは、主軸頭131のハウジング133を通じて主軸132の端面からクーラントを吐出するサイドスルー仕様であってもよいし、主軸頭131の主軸中心を通じて主軸頭131に保持された工具の刃先からクーラントを吐出するセンタースルー仕様であってもよい。吐出機構125Aは、主に、ワークの加工点にクーラントを吐出することにより、主軸132および工具134に付着した切り屑を除去したり、ワークの加工点の発熱を抑えたりする。吐出機構125Aは、X軸方向を回転軸とした回転方向(すなわち、A軸方向)に駆動可能に構成されるとともに、Z軸方向を回転軸とした回転方向(すなわち、C軸方向)に駆動可能に構成される。これにより、吐出機構125Aは、A軸方向およびC軸方向におけるクーラントの吐出方向を変える。
【0028】
吐出機構125Bは、吐出機構125Aよりも上方に設けられている。吐出機構125Bは、たとえば、カバー体130の天井部分に取り付けられる。吐出機構125Bは、主に、カバー体130から加工エリアAR1の全体にクーラントを吐出する。
【0029】
主軸132は、ハウジング133の内部に設けられている。主軸132には、被加工物であるワークWを加工するための工具が装着される。
図2および
図3の例では、ワークWのミーリング加工に用いられる工具134が主軸132に装着されている。
【0030】
回収機構150は、ワークWの加工によって生じた切り屑を加工エリアAR1の外へ排出する。また、回収機構150は、吐出部125から加工エリアAR1に吐出されたクーラントを回収する。
【0031】
<C.工作機械100の駆動機構>
次に、
図4を参照して、工作機械100における各種の駆動機構について説明する。
図4は、工作機械100における駆動機構の構成例を示す図である。
【0032】
図4に示されるように、工作機械100は、制御部50と、ポンプ109と、モータドライバ111A,111R,111X〜111Zと、モータ112A,112R,112X〜112Zと、移動体113と、吐出機構125A,125Bと、主軸頭131と、工具134と、テーブル136とを含む。
【0033】
本明細書でいう「制御部50」とは、工作機械100を制御する装置を意味する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。
図4の例では、制御部50は、PLC(Programmable Logic Controller)としてのCPUユニット20と、CNCユニット30とで構成されている。CPUユニット20およびCNCユニット30は、通信経路B(たとえば、フィールドバスまたはLANケーブルなど)を介して互いに通信を行う。
【0034】
CPUユニット20は、予め設計されているPLCプログラムに従って、工作機械100内の各種ユニットを制御する。当該PLCプログラムは、たとえば、ラダープログラムで記述されている。
【0035】
一例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、ミストコレクタ40内のモータドライバ111Mを制御する。モータドライバ111Mは、モータ112Mの目標回転速度の入力をCPUユニット20から受け、モータ112Mを制御する。これにより、ミストコレクタ40の駆動のオン/オフ、およびミストコレクタ40によるミストの吸引量などが制御される。なお、モータ112Mは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0036】
他の例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、ポンプ109を制御し、吐出部125によるクーラントの吐出を制御する。これにより、クーラントの吐出のオン/オフ、およびクーラントの吐出量などが制御される。
【0037】
他の例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、モータドライバ111Aを制御する。モータドライバ111Aは、モータ112Aの目標回転速度の入力をCPUユニット20から受け、モータ112Aを制御する。これにより、回収機構150の駆動のオン/オフ、および回収機構150による切り屑の搬送速度などが制御される。なお、モータ112Aは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0038】
CNCユニット30は、CPUユニット20からの加工開始指令を受けたことに基づいて、予め設計されている加工プログラムの実行を開始する。当該加工プログラムは、たとえば、NC(Numerical Control)プログラムで記述されている。CNCユニット30は、当該加工プログラムに従ってモータドライバ111R,111X〜111Zを制御し、テーブル136に固定されているワークWを加工する。
【0039】
モータドライバ111Rは、CNCユニット30から目標回転速度の入力を逐次的に受け、モータ112Rを制御する。モータ112Rは、Z軸方向を中心として主軸132を回転駆動する。モータ112Rは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0040】
モータ112Rがサーボモータである場合、モータドライバ111Rは、モータ112Rの回転角度を検出するためのエンコーダ(図示しない)のフィードバック信号からモータ112Rの実回転速度を算出する。そして、モータドライバ111Rは、算出した実回転速度が目標回転速度よりも小さい場合にはモータ112Rの回転速度を上げ、算出した実回転速度が目標回転速度よりも大きい場合にはモータ112Rの回転速度を下げる。このように、モータドライバ111Rは、モータ112Rの回転速度のフィードバックを逐次的に受けながらモータ112Rの回転速度を目標回転速度に近付ける。
【0041】
モータドライバ111Xは、CNCユニット30から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ112Xを制御する。モータ112Xは、主軸頭131が取り付けられている移動体113をボールネジ(図示しない)を介して送り駆動し、X方向の任意の位置に主軸132を移動する。モータドライバ111Xによるモータ112Xの制御方法は、モータドライバ111Rと同様であるので、その説明については繰り返さない。なお、モータ112Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0042】
モータドライバ111Yは、CNCユニット30から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ112Yを制御する。モータ112Yは、主軸頭131が取り付けられている移動体113をボールネジ(図示しない)を介して送り駆動し、Y方向の任意の位置に主軸132を移動する。モータドライバ111Yによるモータ112Yの制御方法は、モータドライバ111Rと同様であるので、その説明については繰り返さない。なお、モータ112Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0043】
モータドライバ111Zは、CNCユニット30から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ112Zを制御する。モータ112Zは、主軸頭131が取り付けられている移動体113をボールネジ(図示しない)を介して送り駆動し、Z方向の任意の位置に主軸132を移動する。モータドライバ111Zによるモータ112Zの制御方法は、モータドライバ111Rと同様であるので、その説明については繰り返さない。なお、モータ112Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0044】
<D.ミストコレクタ40の内部構造>
次に、
図5を参照して、ミストコレクタ40内の内部構造について説明する。
図5は、
図1に示されるミストコレクタ40の断面図を示す図である。
【0045】
ミストコレクタ40は、ハウジング52を含む。ハウジング52は、吸気口として機能する開口135を有する。ミストコレクタ40は、加工エリアAR1内の気中の微小物質を、開口135を介してハウジング52内に導く。
【0046】
ハウジング52の内部は、第1フィルタリングエリア52Aと、第2フィルタリングエリア52Bとに分けられている。加工エリアAR1から収集された微小物質は、第1フィルタリングエリア52Aおよび第2フィルタリングエリア52Bを順に通過する。
【0047】
第1フィルタリングエリア52Aは、筒状部分55Aと、筒状部分55Bとで構成されている。筒状部分55Aは、筒状部分55Bと連結している。筒状部分55Aおよび筒状部分55Bは、軸AXを中心軸として同軸上に配置されている。
【0048】
以下では、軸AXの直交方向を「径方向」とも称する。典型的には、径方向における筒状部分55Aの内径は、径方向における筒状部分55Bの内径よりも長い。
【0049】
第1フィルタリングエリア52Aには、シャフト54が収容されている。シャフト54には、回転フィルタ56およびファン57が固定されている。シャフト54は、上述のモータ112Mに接続されており、軸AXを中心として回転可能に構成されている。これにより、シャフト54は、回転軸として機能し、回転フィルタ56およびファン57を連動して回転する。
【0050】
回転フィルタ56は、ハウジング52の筒状部分55Aに収容されている。回転フィルタ56の径方向は、筒状部分55Aの内面と直交している。ここでいう「直交」とは、90度だけでなく、略90度も含み得る概念である。すなわち、回転フィルタ56の径方向と、筒状部分55Aの内面とが成す角度は、90度であってもよいし、略90度(たとえば、85度以上95度以下)であってもよい。
【0051】
ファン57は、ハウジング52の筒状部分55Bに収容されている。ファン57は、回転フィルタ56を通過する気流を発生させるための動翼として機能する。すなわち、ファン57が回転することで、加工エリアAR1内の微小物質は、回転フィルタ56に導かれる。回転フィルタ56は、遠心力を利用して衝突した微小物質を径方向に飛ばす。これにより、当該微小物質は、回転フィルタ56に捕集される。回転フィルタ56によって捕集された微小物質は、たとえば、工作機械100内に戻される。
【0052】
また、ハウジング52の筒状部分55Bには、洗浄機構90が収容されている。洗浄機構90は、回転フィルタ56に流体を吐出することにより回転フィルタ56を洗浄するための機構である。
【0053】
洗浄機構90は、軸AXの軸方向において、回転フィルタ56とファン57との間に配置されている。異なる言い方をすれば、洗浄機構90は、回転フィルタ56を通過する気流の方向において回転フィルタ56よりも下流側で、かつ、ファン57を通過する気流の方向においてファン57よりも上流側に配置されている。
【0054】
洗浄機構90には、工作機械100に併設されたクーラントタンク(図示しない)からクーラントが供給される。洗浄機構90に供給されたクーラントは、洗浄機構90の吐出口を通じて、回転フィルタ56に吐出される。これにより、洗浄機構90は、回転フィルタ56の下流側に付着している微小物質を回転フィルタ56の上流側から除去する。除去された微小物質は、上述の開口135を通じて工作機械100の加工エリアAR1に戻される。
【0055】
なお、洗浄機構90から回転フィルタ56に吐出される流体は、クーラントに限られず、たとえば、エアーであってもよい。
【0056】
第2フィルタリングエリア52Bには、多層フィルタ70が収容されている。多層フィルタ70は、回転フィルタ56とは異なり不動である。多層フィルタ70は、回転フィルタ56を通過した微小物質を捕集する。
【0057】
以上のように、加工エリアAR1からミストコレクタ40に吸引された微小物質は、回転フィルタ56、ファン57、多層フィルタ70の順に通過する。これにより、微小物質が除去された空気が排気口72から排気される。
【0058】
<E.回収機構150の構成>
次に、
図6および
図7を参照して、工作機械100に備えられる回収機構150について説明する。
図6は、回収機構150の外観を示す図である。
図7は、回収機構150の断面を示す図である。
【0059】
回収機構150は、加工エリアAR1を構成する区画形成するカバー体130に併設されている。回収機構150は、加工エリアAR1から排出されるワークの切り屑およびクーラントを受ける。
【0060】
回収機構150は、回収用タンク11を有する。回収用タンク11は、クーラントを貯留可能なように構成されている。回収機構150は、チップバケット(図示しない)に搬送するとともに、クーラントを濾過することにより清浄なクーラントを回収用タンク11に排出する。
【0061】
回収機構150は、カバー体21をさらに有する。カバー体21は、回収機構150の外観を成す。カバー体21は、内部に空間を形成する筐体形状を有する。
【0062】
カバー体21は、その構成部位として、水平部22と、切り屑受け入れ部23と、立ち上がり部26と、切り屑排出部27とを有する。
【0063】
カバー体21は、全体として、水平部22および立ち上がり部26の間で屈曲した形状を有する。水平部22は、回収用タンク11内に載置されている。水平部22は、水平方向に延在する板形状の外観を有する。水平部22は、矩形形状の平面視を有する。立ち上がり部26は、水平部22のその長手方向における一方端から立ち上がり、斜め上方向に延伸する。
【0064】
切り屑受け入れ部23は、水平部22に設けられている。切り屑受け入れ部23は、水平部22の頂面上に設けられた筐体から構成されている。切り屑受け入れ部23には、接続口24が設けられている。接続口24は、切り屑受け入れ部23を貫通する貫通孔からなる。切り屑受け入れ部23には、接続口24を通じて、加工エリアAR1の設備である切り屑搬送装置12が接続されている。切り屑搬送装置12は、たとえば、一方向に延びる樋体と、その樋体に設置されるスパイラルコンベアとを含んで構成されている。
【0065】
切り屑排出部27は、水平部22から斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部26の端部に設けられている。切り屑排出部27は、鉛直下方向に向けて開口するカバー体21の開口部からなる。切り屑排出部27の下方には、切り屑を回収するためのチップバケット(図示しない)が設置される。加工エリアAR1から排出されたワークの切り屑は、切り屑受け入れ部23よりカバー体21内に受け入れられる。切り屑は、続いて説明する切り屑搬送機構によりカバー体21の内部で搬送され、切り屑排出部27より排出されてチップバケットに回収される。
【0066】
回収機構150は、切り屑搬送部35をさらに有する。切り屑搬送部35は、カバー体21に収容されている。切り屑搬送部35は、カバー体21内で切り屑を搬送するための装置である。
【0067】
より具体的に説明すると、切り屑搬送部35は、一対の無端チェーン34と、駆動スプロケット37と、従動スプロケット38とを有する。
【0068】
駆動スプロケット37は、水平部22から斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部26の端部に設けられている。駆動スプロケット37は、切り屑排出部27の上方に配置されている。駆動スプロケット37は、
図7を示す紙面に直交する方向(以下、この方向を「回収機構150の幅方向」ともいう)に延びる軸を中心に回転可能に支持されている。駆動スプロケット37には、上述のモータ112A(
図4参照)の出力軸が連結されている。駆動スプロケット37は、モータ112Aから動力が伝達されることにより回転する。
【0069】
従動スプロケット38は、水平部22および立ち上がり部26の間の屈曲部に設けられている。従動スプロケット38は、回収機構150の幅方向に延びる軸(軸AX1)を中心に回転可能に支持されている。
【0070】
一対の無端チェーン34は、回収機構150の幅方向に距離を隔てて平行に配置されている。無端チェーン34は、カバー体21の内部において、水平部22および立ち上がり部26の間に渡って環状に配索されている。無端チェーン34は、カバー体21の内部において、切り屑受け入れ部23に対向する位置と、切り屑排出部27に対向する位置との間で往復するように配索されている。
【0071】
無端チェーン34は、カバー体21内で配索される経路上において、駆動スプロケット37および従動スプロケット38に掛け回されるとともに、複数のガイド部材によって案内されている。モータ112Aからの動力を受けて駆動スプロケット37が回転すると、無端チェーン34は、
図7中の矢印A(ハッチングが付された矢印)に示す方向に回動する。
【0072】
回収機構150は、濾過機構39をさらに有する。濾過機構39は、加工エリアAR1から受け入れたクーラントを濾過することによって、清浄なクーラントをカバー体21内から回収用タンク11に排出するように構成されている。
【0073】
より具体的に説明すると、濾過機構39は、ドラム状のフィルタ46を有する。フィルタ46は、カバー体21に収容されている。フィルタ46は、水平部22および立ち上がり部26の間の屈曲部に設けられている。フィルタ46は、クーラントに含まれる切り屑などの異物を捕獲可能に構成されている。フィルタ46は、たとえば、円筒形状を有し、その内側に内部空間47を形成している。
【0074】
ドラム状のフィルタ46は、その中心軸が回収機構150の幅方向に延びるように配置されている。フィルタ46は、その中心軸が、従動スプロケット38の回転中心である軸AX1と一致するように配置されている。フィルタ46は、軸AX1の軸方向における両端において、従動スプロケット38に接続されている。
【0075】
なお、上述では、ドラム状のフィルタ46について説明を行ったが、フィルタ46の形状は、ドラム状に限定されない。一例として、フィルタ46の形状は、矩形であってもよいし、円形であってもよい。
【0076】
カバー体21には、クーラント排出部28が形成されている。クーラント排出部28は、カバー体21を貫通する貫通孔からなる。クーラント排出部28は、フィルタ46の内部空間47と、カバー体21の外側の外部空間とを連通させるように設けられている。切り屑受け入れ部23を通じてカバー体21内に受け入れられたクーラントは、フィルタ46の内部空間47に進入することにより濾過される。濾過されたクーラントは、クーラント排出部28を通じて回収用タンク11に排出される。
【0077】
<F.ミストセンサ80の設置場所>
次に、
図8を参照して、工作機械100内におけるミストセンサ80の設置場所について説明する。
図8は、ミストセンサ80の設置場所の一例を説明するための図である。
【0078】
以下では、工作機械100の機内の空間を内部空間SP1とも称し、工作機械100の機外を外部空間SP2とも称する。また、工作機械100の内部空間SP1の内で、カバー体130によって区画形成される領域を加工エリアAR1とも称する。また、加工エリアAR1以外の領域を加工エリア外AR2とも称する。加工エリア外AR2は、たとえば、回収機構150内の空間と、外部空間SP2とを含む。
【0079】
上述のように、カバー体130は、工作機械100の外観を成すとともにワークの加工エリアAR1を区画形成している。加工エリアAR1内で発生した微小物質は、カバー体130の隙間を通過して加工エリア外AR2に漏れることがある。微小物質が加工エリア外AR2に漏れているということは、多量の微小物質が工作機械100内で発生していることを意味する。
【0080】
そこで、加工エリア外AR2においてミストセンサ80が設けられる。ミストセンサ80は、加工エリア外AR2に流れてきた微小物質を検出するためのセンサである。一例として、ミストセンサ80は、光センサであってもよいし、超音波センサであってもよいし、カメラであってよいし、気中の微小物質を検出することが可能なその他のセンサであってもよい。工作機械100は、ミストセンサ80によって微小物質が検出されたことに基づいて、ミストコレクタ40による微小物質の収集処理を開始する。
【0081】
これにより、ミストコレクタ40による微小物質の収集処理は、加工エリア外AR2で微小物質が検出されるまで実行されない。結果として、ミストコレクタ40による収集処理の実行頻度が減り、ミストコレクタ40の消費電力量を削減することができる。
【0082】
ある局面において、ミストセンサ80は、工作機械100の機内(すなわち、内部空間SP1)で、かつ、加工エリア外AR2に設けられる。これにより、工作機械100は、微小物質が外部空間SP2に漏れる前にミストコレクタ40を駆動することができ、外部空間SP2への微小物質の漏れを防ぐことができる。
【0083】
図8の例では、ミストセンサ80は、回収機構150の内部に設けられている。回収機構150は、工作機械100の内部空間SP1において加工エリアAR1と繋がっている。典型的には、回収機構150は、上述の切り屑受け入れ部23(
図6参照)を介してカバー体130と連通している。異なる言い方をすれば、回収機構150の外観を成すカバー体21は、加工エリアAR1を形成するカバー体130と連通している。そのため、加工エリアAR1で発生した微小物質は、回収機構150内に流れる可能性がある。回収機構150に流れた微小物質は、矢印Rに沿って切り屑排出部27に向かう。ミストセンサ80は、回収機構150内に流れた微小物質を検出することができる。そのため、工作機械100は、微小物質が回収機構150から漏れることを防ぐことができる。
【0084】
なお、ミストセンサ80の設置場所は、回収機構150内に限定されない。ミストセンサ80は、微小物質が加工エリアAR1から漏れる可能性のある種々の場所に設けられ得る。
【0085】
<G.工作機械100の機能構成>
次に、
図9〜
図12を参照して、工作機械100の機能構成について説明する。
図9は、工作機械100の機能構成の一例を示す図である。
【0086】
工作機械100の制御部50は、機能構成として、取得部152と、ミストコレクタ制御部154とを含む。以下では、取得部152およびミストコレクタ制御部154の機能について順に説明する。
【0087】
(G1.取得部152)
まず、取得部152の機能について説明する。取得部152は、上述のCPUユニット20に実装されてもよいし、上述のCNCユニット30に実装されてもよい。
【0088】
取得部152は、上述のミストセンサ80の検出結果を取得する。ミストセンサ80は、気中のミスト量を検出する。一例として、気中の微小物質が多いほどミストセンサ80の出力値は大きくなり、気中の微小物質が少ないほどミストセンサ80の出力値は小さくなる。取得部152によって取得された検出結果は、ミストコレクタ制御部154に出力される。
【0089】
(G2.ミストコレクタ制御部154)
次に、
図9に示されるミストコレクタ制御部154の機能について説明する。ミストコレクタ制御部154は、上述のCPUユニット20に実装されてもよいし、上述のCNCユニット30に実装されてもよい。
【0090】
ミストコレクタ制御部154は、ミストセンサ80の検出結果に基づいて、上述のモータドライバ111Mに制御指令を送る。これにより、ミストコレクタ制御部154は、モータドライバ111Mを介して、ミストコレクタ40を制御する。
【0091】
一例として、ミストコレクタ制御部154は、ミストセンサ80によって微小物質が検出される前後でミストコレクタ40による単位時間当たりの微小物質の収集量(以下、「収集速度」ともいう。)を調整する。典型的には、ミストコレクタ制御部154は、ミストセンサ80によって微小物質が検出されたことに基づいて、当該微小物質が検出される前よりもミストコレクタ40の収集速度が速くなるように、ミストコレクタ40を制御する。その後、ミストコレクタ制御部154は、ミストセンサ80によって微小物質が検出されなくなったことに基づいて、当該微小物質が検出されていた時よりもミストコレクタ40の収集速度が遅くなるように、ミストコレクタ40を制御する。
【0092】
ミストコレクタ40の収集速度は、たとえば、ミストコレクタ40におけるファン57の回転速度によって調整され得る。より具体的には、ミストコレクタ40におけるファン57の回転速度が速くなるほど、ミストコレクタ40の収集速度は速くなる。一方で、ミストコレクタ40におけるファン57の回転速度が遅くなるほど、ミストコレクタ40の収集速度は遅くなる。
【0093】
図10を参照して、ミストコレクタ40の制御態様の一例について説明する。
図10は、ミストコレクタ40の制御態様の一例をグラフで示す図である。
【0094】
図10に示されるグラフの横軸は、時間を示す。
図10に示されるグラフの縦軸は、ミストコレクタ40におけるファン57の回転速度を示す。
【0095】
一例として、タイミング「T0」からタイミング「T1」の間において、ミストセンサ80の出力値は、予め定められた閾値以下であるとする。この間、ミストコレクタ制御部154は、ミストコレクタ40におけるファン57の回転速度を「V1」にする。
【0096】
その後、タイミング「T1」において、ミストセンサ80の出力値が予め定められた閾値を超えたとする。このことに基づいて、ミストコレクタ制御部154は、ミストコレクタ40におけるファン57の回転速度を「V2」にする。回転速度「V2」は、回転速度を「V1」よりも速い。
【0097】
その後、タイミング「T2」において、ミストセンサ80の出力値が予め定められた閾値以下になったとする。このことに基づいて、ミストコレクタ制御部154は、ミストコレクタ40におけるファン57の回転速度を再び「V1」に戻す。
【0098】
図11を参照して、ミストコレクタ40の制御態様の他の例について説明する。
図11は、ミストコレクタ40の制御態様の他の例をグラフで示す図である。
【0099】
図11に示されるグラフの横軸は、時間を示す。
図11に示されるグラフの縦軸は、ミストコレクタ40の実行状態を示す。
図11の例では、ミストコレクタ40による微小物質の収集処理が実行されている状態が「ON」として示されており、ミストコレクタ40による微小物質の収集処理が実行されていない状態が「OFF」として示されている。ミストコレクタ40が「OFF」の時、ファン57の回転速度はゼロとなる。
【0100】
一例として、タイミング「T5」からタイミング「T6」の間において、ミストセンサ80の出力値は、予め定められた閾値以下であるとする。この間、ミストコレクタ制御部154は、ミストコレクタ40をOFFにする。
【0101】
その後、タイミング「T6」において、ミストセンサ80の出力値が予め定められた閾値を超えたとする。このことに基づいて、ミストコレクタ制御部154は、ミストコレクタ40をONにする。一例として、ミストコレクタ制御部154は、ミストコレクタ40におけるファン57の回転速度を上述の「V2」にする。
【0102】
その後、タイミング「T7」において、ミストセンサ80の出力値が予め定められた閾値以下になったとする。このことに基づいて、ミストコレクタ制御部154は、ミストコレクタ40をOFFにする。
【0103】
なお、ミストコレクタ制御部154は、ミストコレクタ40の収集速度を必ずしも2段階で制御する必要はない。一例として、ミストコレクタ制御部154は、ミストセンサ80の出力値に応じて、ミストコレクタ40の収集速度を3段階以上に制御してもよい。
【0104】
図12は、ミストセンサ80の出力値と、ミストコレクタ40におけるファン57の回転速度との関係を示す図である。
【0105】
図12に示されるように、ミストコレクタ制御部154は、ミストセンサ80の出力値が大きいほど、ミストコレクタ40の回転速度を速くする。異なる言い方をすれば、ミストコレクタ制御部154は、ミストセンサ80の出力値が小さいほど、ミストコレクタ40の回転速度を遅くする。
【0106】
ミストセンサ80の出力値と、ミストコレクタ40のファン57の回転速度との対応関係は、予め決められている。ある局面において、当該対応関係は、ミストセンサ80の出力値別にファン57の回転速度を対応付けたテーブル形式で規定される。他の局面において、当該対応関係は、ミストセンサ80の出力値を説明変数とし、ファン57の回転速度を目的変数とする関係式で規定される。
【0107】
<H.CPUユニット20のハードウェア構成>
次に、
図13を参照して、
図4に示されるCPUユニット20のハードウェア構成について説明する。
図13は、CPUユニット20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0108】
CPUユニット20は、制御回路201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、通信インターフェイス204,205と、補助記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス209に接続される。
【0109】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0110】
制御回路201は、制御プログラム222などの各種プログラムを実行することでCPUユニット20の動作を制御する。制御プログラム222は、工作機械100内の各種装置を制御するための命令を規定している。制御回路201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置220またはROM202からRAM203に制御プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0111】
通信インターフェイス204は、LAN(Local Area Network)ケーブル、WLAN(Wireless LAN)、またはBluetooth(登録商標)などを用いた通信を実現するためのインターフェイスである。一例として、CPUユニット20は、通信インターフェイス305を介して、上述のポンプ109および上述のモータドライバ111A,111Mなどの外部機器との通信を実現する。
【0112】
通信インターフェイス205は、フィールドバスに接続される各種ユニットとの通信を実現するためのインターフェイスである。当該フィールドバスに接続されるユニットの一例として、CNCユニット30やI/Oユニット(図示しない)などが挙げられる。
【0113】
補助記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置220は、制御プログラム222などの各種情報を格納する。一例として、制御プログラム222は、たとえば、上述の洗浄機構90によるクーラントの吐出量/吐出圧を指定するための命令コード、上述の洗浄機構90によるクーラントの吐出のON/OFFを指定するための命令コードを含む。他の例として、制御プログラム222は、ミストコレクタ40内のファン57の回転のON/OFFを指定するための命令コード、ミストコレクタ40内のファン57の回転速度を指定するための命令コードを含む。他の例として、制御プログラム222は、上述の吐出部125によるクーラントの吐出量/吐出圧を指定するための命令コード、上述の吐出部125によるクーラントの吐出のON/OFFを指定するための命令コードを含む。
【0114】
制御プログラム222の格納場所は、補助記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0115】
なお、制御プログラム222は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種の処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム222の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム222によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム222の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でCPUユニット20が構成されてもよい。
【0116】
<I.CNCユニット30のハードウェア構成>
次に、
図14を参照して、
図4に示されるCNCユニット30のハードウェア構成について説明する。
図14は、CNCユニット30のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0117】
CNCユニット30は、制御回路301と、ROM302と、RAM303と、通信インターフェイス305と、通信インターフェイス305と、補助記憶装置320とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス309に接続される。
【0118】
制御回路301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0119】
制御回路301は、加工プログラム322などの各種プログラムを実行することでCNCユニット30の動作を制御する。加工プログラム322は、ワーク加工を実現するためのプログラムである。制御回路301は、加工プログラム322の実行命令を受け付けたことに基づいて、ROM302からRAM303に加工プログラム322を読み出す。RAM303は、ワーキングメモリとして機能し、加工プログラム322の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0120】
通信インターフェイス305は、LAN、WLAN、またはBluetooth(登録商標)などを用いた通信を実現するためのインターフェイスである。一例として、CNCユニット30は、通信インターフェイス305を介してCPUユニット20との通信を実現する。また、CNCユニット30は、通信インターフェイス305または他の通信インターフェイスを介して、ワーク加工のための各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ111R,111X〜111Zなど)との通信を実現する。
【0121】
補助記憶装置320は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置320は、加工プログラム322などを格納する。加工プログラム322の格納場所は、補助記憶装置320に限定されず、制御回路301の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM302、RAM303、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0122】
<J.制御フロー>
次に、
図15を参照して、ミストコレクタ40の制御フローについて説明する。
図15は、工作機械100の制御部50が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0123】
図15に示される処理は、工作機械100の制御部50が制御プログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0124】
ステップS110において、制御部50は、ワークの加工が開始されたか否かを判断する。一例として、制御部50は、加工プログラム322の実行が開始されたことに基づいて、ワークの加工が開始されたと判断する。制御部50は、ワークの加工が開始されたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS120に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部50は、
図15に示される処理を終了する。
【0125】
ステップS120において、制御部50は、上述の取得部152として機能し、微小物質が検出されたことをミストセンサ80の出力が示しているか否かを判断する。一例として、制御部50は、ミストセンサ80の出力値が予め定められた値を超えたことに基づいて、微小物質が検出されたと判断する。制御部50は、微小物質が検出されたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS124に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御部50は、制御をステップS122に切り替える。
【0126】
ステップS122において、制御部50は、上述のミストコレクタ制御部154として機能し、ミストコレクタ40による微小物質の収集速度を調整する。一例として、制御部50は、モータドライバ111Mを制御し、予め定められた回転速度「V1」でミストコレクタ40のファン57を回転する。回転速度「V1」は、後述のステップS124に示される回転速度「V2」よりも遅い。
【0127】
ステップS124において、制御部50は、上述のミストコレクタ制御部154として機能し、ミストコレクタ40による微小物質の収集速度を調整する。一例として、制御部50は、モータドライバ111Mを制御し、予め定められた回転速度「V2」でミストコレクタ40のファン57を回転する。回転速度「V2」は、上述のステップS122に示される回転速度「V1」よりも速い。
【0128】
ステップS130において、制御部50は、ワークの加工が終了したか否かを判断する。一例として、制御部50は、加工プログラム322の実行が終了したことに基づいて、ワークの加工が終了したと判断する。制御部50は、ワークの加工が終了したと判断した場合(ステップS130においてYES)、制御をステップS132に切り替える。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御部50は、ステップS120に処理を戻す。
【0129】
ステップS132において、制御部50は、上述のミストコレクタ制御部154として機能し、ミストコレクタ40による微小物質の収集速度を調整する。一例として、制御部50は、モータドライバ111Mを制御し、予め定められた回転速度「V3」でミストコレクタ40のファン57を回転する。回転速度「V3」は、たとえば、上述のステップS122に示される回転速度「V1」よりも速く、上述のステップS124に示される回転速度「V2」よりも遅い。
【0130】
ステップS140において、制御部50は、上述のミストコレクタ制御部154として機能し、ミストコレクタ40のファン57の回転速度を「V3」に設定してから一定時間が経過したか否かを判断する。制御部50は、当該一定時間が経過したと判断した場合(ステップS140においてYES)、制御をステップS142に切り替える。そうでない場合には(ステップS140においてNO)、制御部50は、ステップS140の処理を再び実行する。
【0131】
ステップS142において、制御部50は、上述のミストコレクタ制御部154として機能し、ミストコレクタ40をOFFにする。これにより、ミストコレクタ40は、微小物質の収集処理を停止する。
【0132】
<K.変形例>
次に、
図16を参照して、工作機械100の変形例について説明する。
図16は、ミストセンサ80の設置場所の他の例を説明するための図である。
【0133】
上述の
図8の例では、ミストセンサ80は、工作機械100の機内に設けられていた。これに対して、本変形例では、ミストセンサ80は、工作機械100の機外に設けられている。すなわち、ミストセンサ80は、外部空間SP2に設けられている。
【0134】
図16には、一例として、カメラとしてのミストセンサ80が示されている。当該カメラは、その撮影視野が工作機械100の一部または全部を含むように設けられる。一例として、当該カメラは、工作機械100を設置している工場内の壁や天井に設けられる。当該カメラの撮影視野に含まれる工作機械100の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0135】
本変形例に従う工作機械100は、カメラとしてのミストセンサ80から画像を順次取得し、当該画像に対して予め定められた画像処理を行う。これにより、工作機械100は、工作機械100の外部空間SP2に微小物質が漏れていることを検出する。微小物質の漏れの検出には、任意の画像処理プログラムが採用され得る。
【0136】
ある局面において、工作機械100は、微小物質が写っていない背景画像を予め取得しておく。工作機械100は、当該背景画像と同じ視点から工作機械100を撮影して得られた入力画像を取得すると、入力画像から背景画像を差分する。これにより、工作機械100は、入力画像から背景を除いた背景差分画像を得る。工作機械100は、背景差分画像から所定値以上の画素値を有する領域を抽出する。その後、工作機械100は、当該領域のサイズが所定閾値を上回った場合には、微小物質が外部空間SP2に漏れていると判断する。一方で、工作機械100は、当該領域のサイズが所定閾値以下であった場合には、微小物質が外部空間SP2に漏れていないと判断する。
【0137】
他の局面において、工作機械100は、学習済みモデルを用いて、微小物質の漏れを検出する。学習済みモデルは、学習用データセットを用いた学習処理により予め生成されている。学習用データセットは、漏れている微小物質が写っている複数の学習用画像を含む。また、各学習用画像には、漏れている微小物質が写っているか否かを示すラベルが関連付けられる。学習済みモデルの内部パラメータは、このような学習用データセットを用いた学習処理により予め最適化されている。
【0138】
学習済みモデルの学習手法には、種々の学習アルゴリズムが採用され得る。一例として、当該学習アルゴリズムとして、ディープラーニング、コンボリューションニューラルネットワーク(CNN)、全層畳み込みニューラルネットワーク(FCN)、サポートベクターマシンなどが採用される。
【0139】
工作機械100は、カメラとしてのミストセンサ80から得られた画像を学習済みモデルに入力する。これにより、当該学習済みモデルは、微小物質の漏れが写っている確率を出力する。工作機械100は、当該確率が所定閾値を上回った場合には、微小物質が外部空間SP2に漏れていると判断する。一方で、工作機械100は、当該確率が所定閾値以下であった場合には、微小物質が外部空間SP2に漏れていないと判断する。
【0140】
工作機械100は、微小物質が外部空間SP2に漏れていると判断した場合、ミストコレクタ40による微小物質の収集処理を開始する。これにより、工作機械100は、外部空間SP2への微小物質の漏れを迅速に抑えることができる。
【0141】
<L.まとめ>
以上のように、工作機械100は、加工エリア外AR2にミストセンサ80を有し、加工エリアAR1から加工エリア外AR2に流れた微小物質を検出する。工作機械100は、当該ミストセンサ80によって微小物質が検出されたことに基づいて、ミストコレクタ40による微小物質の収集処理を開始する。これにより、ミストコレクタ40による微小物質の収集処理は、加工エリア外AR2において微小物質が検出されるまで実行されない。結果として、ミストコレクタ40による収集処理の実行頻度が減り、ミストコレクタ40の消費電力量を削減することができる。
【0142】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】工作機械は、工作機械の機内において加工エリアを区画形成するためのカバー体と、加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、吐出部が加工エリアにクーラントを吐出することにより発生した気中の物質を収集するためのミストコレクタと、加工エリア外に設けられており、物質を検出するためのセンサと、センサによって物質が検出されたことに基づいて、ミストコレクタによる物質の収集処理を開始するためのミストコレクタ制御部とを備える。