(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
並行に延びるように配列した複数のマイクロチャネルの第1流路(12)と、前記複数の第1流路(12)の一端が連通した第1一端側集合流路(17)と、前記複数の第1流路(12)の他端が連通した第1他端側集合流路(19)とを有する第1層(10)と、
前記第1層(10)に積層され、並行に延びるように配列した複数のマイクロチャネルの第2流路(22)と、前記複数の第2流路(22)の一端が連通した第2一端側集合流路(27)と、前記複数の第2流路(22)の他端が連通した第2他端側集合流路(29)とを有する第2層(20)と、
を備えた熱交換器(100)であって、
前記複数の第1流路(12)の一端及び他端のそれぞれが、前記複数の第1流路(12)の延びる方向に直交する方向に並ぶように位置しているとともに、前記複数の第2流路(22)の一端及び他端のそれぞれが、前記複数の第2流路(22)の延びる方向に直交する方向に並ぶように位置しており、
前記第1一端側集合流路(17)及び前記第1他端側集合流路(19)が、それぞれ前記複数の第1流路(12)の延びる方向に直交する方向に延びる溝で構成された第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)を含むとともに、前記第2一端側集合流路(27)及び前記第2他端側集合流路(29)が、それぞれ前記複数の第2流路(22)の延びる方向に直交する方向に延びる溝で構成された第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)を含む熱交換器。
並行に延びるように配列した複数のマイクロチャネルの第1流路(12)と、前記複数の第1流路(12)の一端が連通した第1一端側集合流路(17)と、前記複数の第1流路(12)の他端が連通した第1他端側集合流路(19)とを有する第1層(10)と、
前記第1層(10)に積層され、並行に延びるように配列した複数のマイクロチャネルの第2流路(22)と、前記複数の第2流路(22)の一端が連通した第2一端側集合流路(27)と、前記複数の第2流路(22)の他端が連通した第2他端側集合流路(29)とを有する第2層(20)と、
を備えた熱交換器(100)であって、
前記第1一端側集合流路(17)及び前記第1他端側集合流路(19)が、それぞれ前記複数の第1流路(12)の延びる方向に交差する方向に延びる第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)を含むとともに、前記第2一端側集合流路(27)及び前記第2他端側集合流路(29)が、それぞれ前記複数の第2流路(22)の延びる方向に交差する方向に延びる第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)を含み、
前記第1及び第2層(10,20)のうちの一方で気体の凝縮及び他方で液体の蒸発をしながら熱交換し、
前記第1一端側集合流路(17)及び前記第1他端側集合流路(19)、並びに前記第2一端側集合流路(27)及び前記第2他端側集合流路(29)のうちの前記複数の第1流路(12)又は第2流路(22)に蒸発源の液体を含む流体を流入させる集合流路には、前記流体を、前記流体を流入させる前記複数の第1流路(12)又は第2流路(22)の配列方向に流動させた後に折り返して再び合流するように案内する折り返し構造が設けられている熱交換器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロチャネルを用いた熱交換器によれば、流路の高集積化により、省スペース化及び軽量化の効果が期待される。しかしながら、マイクロチャネルへの流体供給用の流路や流体排出用の流路に大きなスペースが割かれ、また、それらの流路を流動する流体に対する耐圧を考慮した構造とする必要があるため、その省スペース化及び軽量化の実効が損なわれるという問題がある。
【0005】
本開示の課題は、マイクロチャネルを用いることによる省スペース化及び軽量化の実効を得ることができる熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、並行に延びるように配列した複数のマイクロチャネルの第1流路(12)と、前記複数の第1流路(12)の一端が連通した第1一端側集合流路(17)と、前記複数の第1流路(12)の他端が連通した第1他端側集合流路(19)とを有する第1層(10)と、前記第1層(10)に積層され、並行に延びるように配列した複数のマイクロチャネルの第2流路(22)と、前記複数の第2流路(22)の一端が連通した第2一端側集合流路(27)と、前記複数の第2流路(22)の他端が連通した第2他端側集合流路(29)とを有する第2層(20)とを備えた熱交換器(100)を対象とする。そして、前記第1一端側集合流路(17)及び前記第1他端側集合流路(19)が、それぞれ前記複数の第1流路(12)の延びる方向に交差する方向に延びる第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)を含むとともに、前記第2一端側集合流路(27)及び前記第2他端側集合流路(29)が、それぞれ前記複数の第2流路(22)の延びる方向に交差する方向に延びる第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)を含む。
【0007】
ここで、まず、本出願における「マイクロチャネル」とは、第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法及び積層方向に垂直な方向の幅寸法がいずれも10μm以上1000μm以下である流路をいう。
【0008】
第1の態様では、第1層(10)において、第1一端側集合流路(17)及び第1他端側集合流路(19)は、複数のマイクロチャネルの第1流路(12)に連通するとともに、その一方が、複数の第1流路(12)に対して流体を分配して供給し、他方が、複数の第1流路(12)から流出した流体を合流させて流出させる。そして、第1一端側集合流路(17)及び第1他端側集合流路(19)は、それぞれ複数の第1流路(12)の延びる方向に交差する方向に延びる第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)を含む。同様に、第2層(20)において、第2一端側集合流路(27)及び第2他端側集合流路(29)は、複数のマイクロチャネルの第2流路(22)に連通するとともに、その一方が、複数の第2流路(22)に対して流体を分配して供給し、他方が、複数の第2流路(22)から流出した流体を合流させて流出させる。そして、第2一端側集合流路(27)及び第2他端側集合流路(29)は、それぞれ複数の第2流路(22)の延びる方向に交差する方向に延びる第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)を含む。
【0009】
このため、第1層(10)では、第1一端側集合流路(17)及び第1他端側集合流路(19)により、大きなスペースが割かれるのを抑えることができるとともに、第2層(20)でも、第2一端側集合流路(27)及び第2他端側集合流路(29)により、大きなスペースが割かれるのを抑えることができる。また、第1一端側集合流路(17)及び第1他端側集合流路(19)、並びに第2一端側集合流路(27)及び第2他端側集合流路(29)を流動する流体に対する耐圧に必要な肉厚を低く抑えることができる。したがって、これにより省スペース化及び軽量化の実効を得ることができる。
【0010】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、前記第1一端側集合流路(17)の前記第1マイクロチャネルA(15a)及び前記第1他端側集合流路(19)の前記第1マイクロチャネルB(15b)は、前記第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法(D
A1,D
B1)が前記第1流路(12)と同一で且つ前記積層方向に垂直な方向の幅寸法(W
A1,W
B1)が前記第1流路(12)の1倍以上3倍以下であり、前記第2一端側集合流路(27)の前記第2マイクロチャネルA(25a)及び前記第2他端側集合流路(29)の前記第2マイクロチャネルB(25b)は、前記第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法(D
A2,D
B2)が前記第2流路(22)と同一で且つ前記積層方向に垂直な方向の幅寸法(W
A2,W
B2)が前記第2流路(22)の1倍以上3倍以下である。
【0011】
第2の態様では、第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)が第1流路(12)以上の大きさを有するとともに、第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)が第2流路(22)以上の大きさを有することにより、第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)、並びに第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)を流動する流体の流量を確保しつつ、流体の圧力損失が過大となるのを抑えることができる。
【0012】
本開示の第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、前記第1及び第2層(10,20)のうちの一方で気体の凝縮及び他方で液体の蒸発をしながら熱交換する。
【0013】
第3の態様では、第1及び第2層(10,20)のうちの一方で気体が放熱して凝縮するとともに、他方で液体が吸熱して蒸発することにより、第1及び第2層(10,20)間で熱交換を行う。
【0014】
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、前記第1一端側集合流路(17)の前記第1マイクロチャネルA(15a)及び前記第1他端側集合流路(19)の前記第1マイクロチャネルB(15b)のうちの一方が第1気体流路及び他方が第1液体流路であり、且つ前記第1気体流路が前記第1液体流路よりも流路断面積が大きく、及び/又は、前記第2一端側集合流路(27)の前記第2マイクロチャネルA(25a)及び前記第2他端側集合流路(29)の前記第2マイクロチャネルB(25b)のうちの一方が第2気体流路及び他方が第2液体流路であり、且つ前記第2気体流路が前記第2液体流路よりも流路断面積が大きい。
【0015】
ここで、本出願における「気体流路」とは、液体に凝縮する前の気体若しくは液体の蒸発により生じた気体、又は、それらの気体を質量の主体として含む気液混合流体が流動する流路をいう。また、本出願における「液体流路」とは、気体の凝縮により生じた液体若しくは気体に蒸発する前の液体、又は、それらの液体を質量の主体として含む気液混合流体が流動する流路をいう。
【0016】
気体の体積は、同一質量の液体の体積よりも大きいが、第4の態様では、第1及び/又は第2気体流路が第1及び/又は第2液体流路よりも流路断面積が大きいことにより、第1及び/又は第2気体流路を流動する気体又は気液混合流体の流速が高まって大きな圧力損失が生じるのを抑えることができる。
【0017】
本開示の第5の態様は、上記第3又は第4の態様において、前記第1一端側集合流路(17)及び前記第1他端側集合流路(19)、並びに前記第2一端側集合流路(27)及び前記第2他端側集合流路(29)のうちの前記複数の第1流路(12)又は第2流路(22)に蒸発源の液体を含む流体を流入させる集合流路には、前記流体を、前記流体を流入させる前記複数の第1流路(12)又は第2流路(22)の配列方向に流動させた後に折り返して再び合流するように案内する折り返し構造が設けられている。
【0018】
第5の態様では、折り返し構造が設けられていることにより、流体は、複数の第1流路(12)又は第2流路(22)の配列方向に流動した後に折り返して再び合流するように案内され、複数の第1流路(12)又は第2流路(22)の配列方向に均一化される。これにより、液体供給部からの遠近によらず、蒸発源の液体を含む流体を、複数の第1流路(12)又は第2流路(22)に均一に流入させることができる。
【0019】
本開示の第6の態様は、上記第1乃至第5の態様のいずれかにおいて、前記第1及び第2層(10,20)内を流動する流体が、いずれもフロン系冷媒又は自然冷媒である。
【0020】
第6の態様では、第1層(10)のフロン系冷媒又は自然冷媒と、第2層(20)のフロン系冷媒又は自然冷媒との間で熱交換する熱交換器(100)を得ることができる。
【0021】
本開示の第7の態様は、上記第1乃至第6の態様のいずれかの熱交換器(100)を有するヒートポンプシステム(40)である。
【0022】
第7の態様では、上記第1乃至第6の態様のいずれかの熱交換器(100)を有するヒートポンプシステム(40)として、熱交換器(100)の省スペース化及び軽量化の実効を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(実施形態1)
<熱交換器(100)>
図1及び2は、実施形態1に係る熱交換器(100)を示す。実施形態1に係る熱交換器(100)は、例えばヒートポンプシステム(40)のカスケードコンデンサ等に好適に用いられる。
【0026】
実施形態1に係る熱交換器(100)は、複数の第1層(10)と、複数の第2層(20)と、一対のエンドプレート(31,32)とを備える。第1及び第2層(10,20)は、それらの交互積層体を構成している。また、第1及び第2層(10,20)は、それぞれ層内を第1及び第2流体が流動し、それらのうちの一方で気体の凝縮及び他方で液体の蒸発が起こることにより層間で熱交換する。一対のエンドプレート(31,32)は、第1及び第2層(10,20)の交互積層体を挟むように設けられている。
【0027】
図3は第1層(10)を示す。
図4は第2層(20)を示す。なお、以下の説明では、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す表現を使用するが、これらは、図面に基づく便宜上の表現であって、実際の配置を意味するのではない。
【0028】
第1及び第2層(10,20)のそれぞれは、矩形の金属板材で構成されている。第1及び第2層(10,20)のそれぞれ片面の周縁部分(11,21)の内側には、機械加工やエッチング加工が施されることにより、以下に説明するように多数の溝が形成されている。これらの溝は、第1層(10)、第2層(20)、又はエンドプレート(31)が積層されて開口が封じられることにより孔に形成される。ここで、本出願では、第1及び第2層(10,20)の開口した溝も、その開口が封じられて形成される孔も、いずれも「マイクロチャネル」又は「流路」という。
【0029】
第1層(10)には、
図3に示す上下方向の中間部分に、複数の溝が、上下方向に真っ直ぐに並行に延びるとともに、左右方向に配列するように形成されている。これらの複数の溝は、第1層(10)が有する複数の第1流路(12)を構成している。同様に、第2層(20)には、
図4に示す上下方向の中間部分に、複数の溝が、上下方向に真っ直ぐに並行に延びるとともに、左右方向に配列するように形成されている。これらの複数の溝は、第2層(20)が有する複数の第2流路(22)を構成している。第1及び第2流路(12,22)を構成する溝は、
図5に示すように、断面コの字状に形成されている。また、第1及び第2流路(12,22)を構成する溝は、その第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法(D
1,D
2)及び積層方向に垂直な方向の幅寸法(W
1,W
2))が、いずれも10μm以上1000μm以下である。したがって、第1及び第2流路(12,22)は、いずれもマイクロチャネルである。第1及び第2流路(12,22)の寸法構成は、同一であっても、異なっていても、どちらでもよい。
【0030】
第1層(10)には、複数の第1流路(12)の上下方向の一端側(上側)の右上角部に第1気体流通部(13)が、また、左上角部に第2気体流通部(23)が、それぞれ厚さ方向に貫通して形成されている。第1層(10)の複数の第1流路(12)の上側における第1気体流通部(13)を含む領域には、左右方向に延びる断面矩形状の短尺の突条(14a)が、左右方向に間隔をおいて直列に設けられているとともに、上下方向に間隔をおいて並列に設けられている。
【0031】
上下方向に相互に隣接する各突条(14a)間には、
図6に示すように、複数の第1流路(12)の延びる上下方向に直交する左右方向に真っ直ぐに延びる断面コの字状の溝が形成されている。この溝は、第1マイクロチャネルA(15a)を構成している。これらの第1マイクロチャネルA(15a)は、左右方向だけでなく、左右方向に相互に隣接する各突条(14a)間に形成された間隙により上下方向にも連通している。この突条(14a)間の間隙は、第1バイパス流路A(16a)を構成している。
【0032】
以上より、第1層(10)における複数の第1流路(12)の上側には、これらの第1マイクロチャネルA(15a)及び第1バイパス流路A(16a)を含むとともに、複数の第1流路(12)の一端が連通した第1一端側集合流路(17)が構成されている。この第1一端側集合流路(17)が構成された領域には、第1気体流通部(13)が形成されているので、第1一端側集合流路(17)は、第2層(20)又はエンドプレート(31)で開口が封じられても、第1気体流通部(13)と連通する。したがって、第1一端側集合流路(17)は、第1気体流路を構成する。一方、第2気体流通部(23)は、第1一端側集合流路(17)が構成された領域外に形成されているので、第1一端側集合流路(17)は、第2層(20)又はエンドプレート(31)で開口が封じられると、第2気体流通部(23)から遮断される。
【0033】
第1層(10)には、複数の第1流路(12)の上下方向の他端側(下側)の左下角部に第1液体流通部(18)が、また、右下角部に第2液体流通部(28)が、それぞれ厚さ方向に貫通して形成されている。第1層(10)の複数の第1流路(12)の下側における第1液体流通部(18)を含む領域には、左右方向に延びる断面矩形状の短尺の突条(14b)が、左右方向に間隔をおいて直列に設けられているとともに、上下方向に間隔をおいて並列に設けられている。
【0034】
上下方向に相互に隣接する各突条(14b)間には、
図7に示すように、複数の第1流路(12)の延びる上下方向に直交する左右方向に真っ直ぐに延びる断面コの字状の溝が形成されている。この溝は、第1マイクロチャネルB(15b)を構成している。これらの第1マイクロチャネルB(15b)は、左右方向だけでなく、左右方向に相互に隣接する各突条(14b)間に形成された間隙により上下方向にも連通している。この突条(14b)間の間隙は、第1バイパス流路B(16b)を構成している。
【0035】
以上より、第1層(10)における複数の第1流路(12)の下側には、これらの第1マイクロチャネルB(15b)及び第1バイパス流路B(16b)を含むとともに、複数の第1流路(12)の他端が連通した第1他端側集合流路(19)が構成されている。この第1他端側集合流路(19)が構成された領域には、第1液体流通部(18)が形成されているので、第1他端側集合流路(19)は、第2層(20)又はエンドプレート(31)で開口が封じられても、第1液体流通部(18)と連通する。したがって、第1他端側集合流路(19)は、第1液体流路を構成する。一方、第2液体流通部(28)は、第1他端側集合流路(19)が構成された領域外に形成されているので、第1他端側集合流路(19)は、第2層(20)又はエンドプレート(31)で開口が封じられると、第2液体流通部(28)から遮断される。
【0036】
第2層(20)には、複数の第2流路(22)の上下方向の一端側(上側)の右上角部に第1気体流通部(13)が、また、左上角部に第2気体流通部(23)が、それぞれ厚さ方向に貫通して形成されている。第2層(20)の複数の第2流路(22)の上側における第2気体流通部(23)を含む領域には、左右方向に延びる断面矩形状の短尺の突条(24a)が、左右方向に間隔をおいて直列に設けられているとともに、上下方向に間隔をおいて並列に設けられている。
【0037】
上下方向に相互に隣接する各突条(24a)間には、
図6に示すように、複数の第2流路(22)の延びる上下方向に直交する左右方向に真っ直ぐに延びる断面コの字状の溝が形成されている。この溝は、第2マイクロチャネルA(25a)を構成している。これらの第2マイクロチャネルA(25a)は、左右方向だけでなく、左右方向に相互に隣接する各突条(24a)間に形成された間隙により上下方向にも連通している。この突条(24a)間の間隙は、第2バイパス流路A(26a)を構成している。
【0038】
以上より、第2層(20)における複数の第2流路(22)の上側には、これらの第2マイクロチャネルA(25a)及び第2バイパス流路A(26a)を含むとともに、複数の第2流路(22)の一端が連通した第2一端側集合流路(27)が構成されている。この第2一端側集合流路(27)が構成された領域には第2気体流通部(23)が形成されているので、第2一端側集合流路(27)は、第1層(10)で開口が封じられても、第2気体流通部(23)と連通する。したがって、第2一端側集合流路(27)は第2気体流路を構成する。一方、第1気体流通部(13)は、第2一端側集合流路(27)が構成された領域外に形成されているので、第2一端側集合流路(27)は、第1層(10)で開口が封じられると、第1気体流通部(13)から遮断される。
【0039】
第2層(20)には、複数の第2流路(22)の上下方向の他端側(下側)の左下角部に第1液体流通部(18)が、また、右下角部に第2液体流通部(28)が、それぞれ厚さ方向に貫通して形成されている。第2層(20)の複数の第2流路(22)の下側における第2液体流通部(28)を含む領域には、左右方向に延びる断面矩形状の短尺の突条(24b)が、左右方向に間隔をおいて直列に設けられているとともに、上下方向に間隔をおいて並列に設けられている。
【0040】
上下方向に相互に隣接する各突条(24b)間には、
図7に示すように、複数の第2流路(22)の延びる上下方向に直交する左右方向に真っ直ぐに延びる断面コの字状の溝が形成されている。この溝は、第2マイクロチャネルB(25b)を構成している。これらの第2マイクロチャネルB(25b)は、左右方向だけでなく、左右方向に相互に隣接する各突条(24b)間に形成された間隙により上下方向にも連通している。この突条(24b)間の間隙は、第2バイパス流路B(26b)を構成している。
【0041】
以上より、第2層(20)における複数の第2流路(22)の下側には、これらの第2マイクロチャネルB(25b)及び第2バイパス流路B(26b)を含むとともに、複数の第2流路(22)の他端が連通した第2他端側集合流路(29)が構成されている。この第2他端側集合流路(29)が構成された領域には第2液体流通部(28)が形成されているので、第2他端側集合流路(29)は、第1層(10)で開口が封じられても、第2液体流通部(28)と連通する。したがって、第2他端側集合流路(29)は、第2液体流路を構成する。一方、第1液体流通部(18)は、第2他端側集合流路(29)が構成された領域外に形成されているので、第2他端側集合流路(29)は、第1層(10)で開口が封じられると、第1液体流通部(18)から遮断される。
【0042】
第1層(10)の第1一端側集合流路(17)の第1マイクロチャネルA(15a)及び第1他端側集合流路(19)の第1マイクロチャネルB(15b)は、第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法(D
A1,D
B1)及び積層方向に垂直な方向の幅寸法(W
A1,W
B1)がいずれも10μm以上1000μm以下である。第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)は、それらの寸法構成が第1流路(12)と同一であっても、異なっていても、どちらでもよい。しかしながら、第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)は、それらを流動する流体の流量を確保しつつ、流体の圧力損失が過大となるのを抑えることができるという観点から、第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法(D
A1,D
B1)が第1流路(12)と同一で且つ積層方向に垂直な方向の幅寸法(W
A1,W
B1)が、
図3に示すように第1流路(12)と同一、又は、
図8に示すように第1流路(12)よりも大きいことが好ましく、具体的には第1流路(12)の1倍以上3倍以下であることが好ましい。また、第1バイパス流路A及びB(16a,16b)は、マイクロチャネルであってもよい。
【0043】
第2層(20)の第2一端側集合流路(27)の第2マイクロチャネルA(25a)及び第2他端側集合流路(29)の第2マイクロチャネルB(25b)は、第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法(D
A2,D
B2)及び積層方向に垂直な方向の幅寸法(W
A2,W
B2)が10μm以上1000μm以下である。第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)は、それらの寸法構成が第2流路(22)と同一であっても、異なっていても、どちらでもよい。しかしながら、第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)は、それらを流動する第2流体の流量を確保しつつ、第2流体の圧力損失が過大となるのを抑えることができるという観点から、第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法(D
A2,D
B2)が第2流路(22)と同一で且つ積層方向に垂直な方向の幅寸法(W
A2,W
B2)が、
図4に示すように第2流路(22)と同一、又は、
図9に示すように第2流路(22)よりも大きいことが好ましく、具体的には第2流路(22)の1倍以上3倍以下であることが好ましい。また、第2バイパス流路A及びB(26a,26b)は、マイクロチャネルであってもよい。
【0044】
第1層(10)は、第1流路(12)並びに第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)のいずれもマイクロチャネルであるので、これらを同時形成して作製することができる。同様に、第2層(20)は、第2流路(22)並びに第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)のいずれもマイクロチャネルであるので、これらを同時形成して作製することができる。
【0045】
第1及び第2層(10,20)の交互積層体では、第1及び第2層(10,20)の第1気体流通部(13)、第2気体流通部(23)、第1液体流通部(18)、及び第2液体流通部(28)が、それぞれ複数連続することにより管構造が構成されている。
【0046】
第1気体流通部(13)で構成された管構造及び第1液体流通部(18)で構成された管構造は、第1層(10)内の流路とは連通するものの、第2層(20)内の流路とは連通しない。したがって、第1流体は、第1気体流通部(13)で構成された管構造及び第1液体流通部(18)で構成された管構造のうちの一方に供給されると、複数の第1層(10)のみに分配されるとともに、各第1層(10)において、第1流路(12)、第1一端側集合流路(17)、及び第1他端側集合流路(19)を流動した後、他方で合流して流出する。
【0047】
また、第2気体流通部(23)で構成された管構造及び第2液体流通部(28)で構成された管構造は、第2層(20)内の流路とは連通するものの、第1層(10)内の流路とは連通しない。したがって、第2流体は、第2気体流通部(23)で構成された管構造及び第2液体流通部(28)で構成された管構造のうちの一方に供給されると、複数の第2層(20)のみに分配されるとともに、各第2層(20)において、第2流路(22)、第2一端側集合流路(27)、及び第2他端側集合流路(29)を流動した後、他方で合流して流出する。
【0048】
第1及び第2層(10,20)の交互積層体は、第1及び第2層(10,20)が、
図2に示すように、第1及び第2流路(12,22)が平行に延びるように配置されて積層されている。この場合、第1層(10)の第1流路(12)の第1流体と第2層(20)の第2流路(22)の第2流体とが、平面視で対向するように流動する。なお、同一構成の第1及び第2層(10,20)を用いれば、第1及び第2層(10,20)の交互積層体は、
図10に示すように、第1及び第2流路(12,22)が直交して延びるように配置されて積層されたものとすることができる。この場合、第1層(10)の第1流路(12)の第1流体と第2層(20)の第2流路(22)の第2流体とが、平面視で直交するように流動する。
【0049】
一対のエンドプレート(31,32)は、いずれも第1及び第2層(10,20)と同一形状の矩形の金属板材で構成されている。一方のエンドプレート(31)は、第1及び第2層(10,20)の交互積層体の一方側に積層されている。一方のエンドプレート(31)には、第1及び第2層(10,20)の第1気体流通部(13)、第2気体流通部(23)、第1液体流通部(18)、及び第2液体流通部(28)のそれぞれで構成された管構造に対応する4個の孔(31a,31b,31c,31d)が形成されており、それらの4個の孔(31a,31b,31c,31d)に、それぞれ第1気体出入口管(33)、第2気体出入口管(34)、第1液体出入口管(35)、及び第2液体出入口管(36)が接続されている。他方のエンドプレート(32)は、第1及び第2層(10,20)の交互積層体の他方側に積層され、第1気体流通部(13)、第2気体流通部(23)、第1液体流通部(18)、及び第2液体流通部(28)のそれぞれで構成された管構造を封じている。
【0050】
第1及び第2層(10,20)内を流動する第1及び第2流体は、いずれもフロン系冷媒又は自然冷媒であることが好ましい。フロン系冷媒としては、例えば、R410A、R32、R134a、HFO等が挙げられる。自然冷媒としては、例えば、CO
2、プロパンなどの炭化水素等が挙げられる。
【0051】
以上の構成の実施形態1に係る熱交換器(100)では、第1層(10)において、第1一端側集合流路(17)及び第1他端側集合流路(19)は、複数のマイクロチャネルの第1流路(12)に連通するとともに、その一方が、複数の第1流路(12)に対して第1流体を分配して供給し、他方が、複数の第1流路(12)から流出した第1流体を合流させて流出させる。具体的には、第1層(10)で気体の凝縮を行う場合には、第1気体流通部(13)が凝縮源の気体を含む第1流体を第1一端側集合流路(17)に供給し、第1一端側集合流路(17)が第1流体を複数の第1流路(12)に対して分配した後、複数の第1流路(12)で気体の凝縮を行い、第1他端側集合流路(19)が、複数の第1流路(12)から流出した凝縮後の第1流体を合流させて第1液体流通部(18)から流出させる。第1層(10)で液体の蒸発を行う場合には、第1液体流通部(18)が蒸発源の液体を含む第1流体を第1他端側集合流路(19)に供給し、第1他端側集合流路(19)が第1流体を複数の第1流路(12)に対して分配した後、複数の第1流路(12)で液体の蒸発を行い、第1一端側集合流路(17)が、複数の第1流路(12)から流出した蒸発後の第1流体を合流させて第1気体流通部(13)から流出させる。そして、第1一端側集合流路(17)及び第1他端側集合流路(19)は、それぞれ複数の第1流路(12)の延びる上下方向に直交(交差)する左右方向に延びる第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)を含む。
【0052】
同様に、第2層(20)において、第2一端側集合流路(27)及び第2他端側集合流路(29)は、複数のマイクロチャネルの第2流路(22)に連通するとともに、その一方が、複数の第2流路(22)に対して第2流体を分配して供給し、他方が、複数の第2流路(22)から流出した第2流体を合流させて流出させる。具体的には、第2層(20)で気体の凝縮を行う場合には、第2気体流通部(23)が凝縮源の気体を含む第2流体を第2一端側集合流路(27)に供給し、第2一端側集合流路(27)が第2流体を複数の第2流路(22)に対して分配した後、複数の第2流路(22)で気体の凝縮を行い、第2他端側集合流路(29)が、複数の第2流路(22)から流出した凝縮後の第2流体を合流させて第2液体流通部(28)から流出させる。第2層(20)で液体の蒸発を行う場合には、第2液体流通部(28)が蒸発源の液体を含む第2流体を第2他端側集合流路(29)に供給し、第2他端側集合流路(29)が第2流体を複数の第2流路(22)に対して分配した後、複数の第2流路(22)で液体の蒸発を行い、第2一端側集合流路(27)が、複数の第2流路(22)から流出した蒸発後の第2流体を合流させて第2気体流通部(23)から流出させる。そして、第2一端側集合流路(27)及び第2他端側集合流路(29)は、それぞれ複数の第2流路(22)の延びる上下方向に直交(交差)する左右方向に延びる第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)を含む。
【0053】
このため、第1層(10)では、第1一端側集合流路(17)及び第1他端側集合流路(19)により、大きなスペースが割かれるのを抑えることができるとともに、第2層(20)でも、第2一端側集合流路(27)及び第2他端側集合流路(29)により、大きなスペースが割かれるのを抑えることができる。また、第1一端側集合流路(17)及び第1他端側集合流路(19)、並びに第2一端側集合流路(27)及び第2他端側集合流路(29)を流動する第1及び第2流体に対する耐圧に必要な肉厚を低く抑えることができるので、エンドプレート(31,32)を厚肉に形成する必要がない。したがって、これにより省スペース化及び軽量化の実効を得ることができる。
【0054】
<ヒートポンプシステム(40)>
図11は、実施形態1に係る熱交換器(100)をカスケードコンデンサとして有するヒートポンプシステム(40)の一例を示す。
【0055】
ヒートポンプシステム(40)は、実施形態1に係る熱交換器(100)が設けられた室外装置(41)と複数の室内装置(42)とを備える。そして、ヒートポンプシステム(40)は、第1及び第2冷媒回路(50,60)を有する。
【0056】
第1冷媒回路(50)は、室外装置(41)内に設けられており、一端が実施形態1に係る熱交換器(100)の第1気体出入口管(33)に、また、他端が第1液体出入口管(35)に、それぞれ接続されている。第1冷媒回路(50)には、室外空気熱交換器(51)が設けられている。第1冷媒回路(50)における第1気体出入口管(33)との接続部から室外空気熱交換器(51)までの部分には、第1圧縮機(52)と第1四路切換弁(53)で構成された流路切換構造とが設けられている。第1冷媒回路(50)における第1液体出入口管(35)との接続部から室外空気熱交換器(51)までの部分には、第1膨張弁(54)が設けられている。
【0057】
第2冷媒回路(60)は、室外装置(41)から出て、分岐して各室内装置(42)を経由し、室内装置(42)外で合流して再び室外装置(41)に戻るように設けられており、一端が実施形態1に係る熱交換器(100)の第2気体出入口管(34)に、また、他端が第2液体出入口管(36)に、それぞれ接続されている。第2冷媒回路(60)には、各室内装置(42)内の部分に室内空気熱交換器(61)が設けられている。第2冷媒回路(60)における第2気体出入口管(34)との接続部から各室内装置(42)内の室内空気熱交換器(61)に延びる部分には、室外装置(41)内に、第2圧縮機(62)と第2四路切換弁(63)で構成された流路切換構造とが設けられている。第2冷媒回路(60)における第2液体出入口管(36)との接続部から各室内装置(42)内の室内空気熱交換器(61)に延びる部分には、室外装置(41)内に第2室外膨張弁(64)が、また、各室内装置(42)内に第2室内膨張弁(65)が、それぞれ設けられている。
【0058】
−冷房運転−
このヒートポンプシステム(40)において、室内装置(42)を冷房運転するときには、第1四路切換弁(53)は、第1圧縮機(52)により昇圧されて昇温した第1冷媒(第1流体)を室外空気熱交換器(51)に送るように流路を切り換える。室外空気熱交換器(51)に送られた第1冷媒は、そこで室外空気との熱交換により放熱して凝縮する。室外空気熱交換器(51)で凝縮した第1冷媒は、第1膨張弁(54)により減圧された後に実施形態1に係る熱交換器(100)に送られる。一方、第2四路切換弁(63)は、第2圧縮機(62)により昇圧されて昇温した第2冷媒(第2流体)を実施形態1に係る熱交換器(100)に送るように流路を切り換える。
【0059】
実施形態1に係る熱交換器(100)では、第1冷媒が第1液体出入口管(35)から流入して複数の第1層(10)に分配されるとともに、各第1層(10)において、第1他端側集合流路(19)を介して複数の第1流路(12)を流動する。また、第2冷媒が第2気体出入口管(34)から流入して複数の第2層(20)に分配されるとともに、各第2層(20)において、第2一端側集合流路(27)を介して複数の第2流路(22)を流動する。このとき、第1及び第2層(10,20)間での熱交換がなされ、第1層(10)では、第1冷媒が吸熱して蒸発する一方、第2層(20)では、第2冷媒が放熱して凝縮する。第1層(10)で蒸発した第1冷媒は、第1一端側集合流路(17)を介して第1気体出入口管(33)から流出する。第2層(20)で凝縮した第2冷媒は、第2他端側集合流路(29)を介して第2液体出入口管(36)から流出する。
【0060】
第1気体出入口管(33)から流出した第1冷媒は、第1四路切換弁(53)を経由して第1圧縮機(52)に吸入され、再び、第1圧縮機(52)により昇圧されて室外空気熱交換器(51)に送られる。
【0061】
第2液体出入口管(36)から流出した第2冷媒は、室外装置(41)で第2室外膨張弁(64)を通過した後、室外装置(41)から各室内装置(42)に送られる。各室内装置(42)に送られた第2冷媒は、第2室内膨張弁(65)により減圧された後に室内空気熱交換器(61)に送られ、そこで室内空気との熱交換により吸熱して蒸発する。これにより、室内空気の冷却が行われる。室内空気熱交換器(61)で蒸発した第2冷媒は、室内装置(42)から室外装置(41)に戻された後、第2四路切換弁(63)を経由して第2圧縮機(62)に吸入され、再び、第2圧縮機(62)により昇圧されて実施形態1に係る熱交換器(100)に送られる。
【0062】
−暖房運転−
このヒートポンプシステム(40)において、室内装置(42)を暖房運転するときには、第1四路切換弁(53)は、第1圧縮機(52)により昇圧されて昇温した第1冷媒を実施形態1に係る熱交換器(100)に送るように流路を切り換える。一方、第2四路切換弁(63)は、第2圧縮機(62)により昇圧されて昇温した第2冷媒を室外装置(41)から各室内装置(42)の室内空気熱交換器(61)に送るように流路を切り換える。室内空気熱交換器(61)に送られた第2冷媒は、そこで室内空気との熱交換により放熱して凝縮する。これにより、室内空気の加温が行われる。室内空気熱交換器(61)で凝縮した第2冷媒は、室内装置(42)で第2室内膨張弁(65)により減圧された後、室内装置(42)から室外装置(41)に戻される。室外装置(41)に戻された第2冷媒は、室外装置(41)で第2室外膨張弁(64)により減圧された後に実施形態1に係る熱交換器(100)に送られる。
【0063】
実施形態1に係る熱交換器(100)では、第1冷媒が第1気体出入口管(33)から流入して複数の第1層(10)に分配されるとともに、各第1層(10)において、第1一端側集合流路(17)を介して複数の第1流路(12)を流動する。また、第2冷媒が第2液体出入口管(36)から流入して複数の第2層(20)に分配されるとともに、各第2層(20)において、第2他端側集合流路(29)を介して複数の第2流路(22)を流動する。このとき、第1及び第2層(10,20)間での熱交換がなされ、第1層(10)では、第1冷媒が放熱して凝縮する一方、第2層(20)では、第2冷媒が吸熱して蒸発する。第1層(10)で凝縮した第1冷媒は、第1他端側集合流路(19)を介して第1液体出入口管(35)から流出する。第2層(20)で蒸発した第2冷媒は、第2一端側集合流路(27)を介して第2液体出入口管(36)から流出する。
【0064】
第1液体出入口管(35)から流出した第1冷媒は、第1膨張弁(54)により減圧された後、室外空気熱交換器(51)に送られ、そこで室外空気との熱交換により吸熱して蒸発する。室外空気熱交換器(51)で蒸発した第1冷媒は、第1四路切換弁(53)を経由して第1圧縮機(52)に吸入され、再び、第1圧縮機(52)により昇圧されて実施形態1に係る熱交換器(100)に送られる。
【0065】
第2気体出入口管(34)から流出した第2冷媒は、第2四路切換弁(63)を経由して第2圧縮機(62)に吸入され、再び、第2圧縮機(62)により昇圧されて各室内装置(42)に送られる。
【0066】
以上の構成のヒートポンプシステム(40)では、実施形態1に係る熱交換器(100)の省スペース化及び軽量化の実効を得ることができる。
【0067】
(実施形態2)
図12は、実施形態2に係る熱交換器(100)の第1層(10)を示す。
図13は第2層(20)を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号で示す。
【0068】
実施形態2に係る熱交換器(100)では、第1層(10)において、第1一端側集合流路(17)が気体流路を構成することから、第1マイクロチャネルA(15a)も気体流路(第1気体流路)となる。第1他端側集合流路(19)が液体流路であることから、第1マイクロチャネルB(15b)も液体流路(第1液体流路)となる。第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)は、第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法(D
A1,D
B1)が同一である。第1マイクロチャネルA(15a)の幅寸法(W
A1)は、第1マイクロチャネルB(15b)の幅寸法(W
B1)よりも大きい。したがって、第1気体流路の第1マイクロチャネルA(15a)が第1液体流路の第1マイクロチャネルB(15b)よりも流路断面積が大きい(D
A1×W
A1>D
B1×W
B1)。このため、第1一端側集合流路(17)の容量は、第1他端側集合流路(19)の容量よりも大きい。
【0069】
同様に、第2層(20)において、第2一端側集合流路(27)が気体流路を構成することから、第2マイクロチャネルA(25a)も気体流路(第2気体流路)となる。第2他端側集合流路(29)が液体流路であることから、第2マイクロチャネルB(25b)も液体流路(第2液体流路)となる。第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)は、第1及び第2層(10,20)の積層方向の寸法(D
A2,D
B2)が同一である。第2マイクロチャネルA(25a)の幅寸法(W
A2)は、第2マイクロチャネルB(25b)の幅寸法(W
B2)よりも大きい。したがって、第2気体流路の第2マイクロチャネルA(25a)が第2液体流路の第2マイクロチャネルB(25b)よりも流路断面積が大きい(D
A2×W
A2>D
B2×W
B2)。このため、第2一端側集合流路(27)の容量は、第2他端側集合流路(29)の容量よりも大きい。
【0070】
以上の構成の実施形態2に係る熱交換器(100)では、第1気体流路の第1マイクロチャネルA(15a)が第1液体流路の第1マイクロチャネルB(15b)よりも流路断面積が大きい。同様に、第2気体流路の第2マイクロチャネルA(25a)が第2液体流路の第2マイクロチャネルB(25b)よりも流路断面積が大きい。気体の体積は、同一質量の液体の体積よりも大きいが、このように第1及び第2気体流路がそれぞれ第1及び第2液体流路よりも流路断面積が大きいことにより、第1及び第2気体流路を流動する気体又は気液混合流体の流速が高まって大きな圧力損失が生じるのを抑えることができる。その他の構成及び作用効果は、実施形態1と同一である。
【0071】
(実施形態3)
図14は、実施形態3に係る熱交換器(100)の第1層(10)を示す。
図15は第2層(20)を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号で示す。
【0072】
実施形態3に係る熱交換器(100)では、第1層(10)において、第1他端側集合流路(19)に、左右方向に延びる断面矩形状の第1長尺突条(71)が設けられている。第1長尺突条(71)は、第1マイクロチャネルB(15b)が設けられた領域を上下方向に分割している。
【0073】
第1液体流通部(18)の右側には、周縁部分(11)を基端として上下方向に延びる断面矩形状の第1縦突条(72)が設けられている。第1縦突条(72)は、第1液体流通部(18)を、第1マイクロチャネルB(15b)が設けられた領域から左右方向に区画している。第1縦突条(72)の長さ方向における第1長尺突条(71)の対応位置には、第1縦突条(72)を基端として第1長尺突条(71)に向かって右側に延びる断面矩形状の第1小突条(73)が設けられている。
【0074】
第1長尺突条(71)の第1液体流通部(18)から遠い右側には、第1長尺突条(71)により分割された領域を上下方向に連通させる第1右側連通部(74)が構成されている。第1長尺突条(71)の第1液体流通部(18)に近い左側には、第1小突条(73)との間に、第1長尺突条(71)により分割された領域を上下方向に連通した第1左側連通部(75)が構成されている。第1右側連通部(74)は、第1左側連通部(75)よりも流路断面積が大きい。
【0075】
第1液体流通部(18)の上側には、左右方向に延びる断面矩形状の第1横突条(76)が設けられている。第1横突条(76)は、第1液体流通部(18)を、第1流路(12)が設けられた領域から上下方向に区画するとともに、平面視で第1縦突条(72)とT字状の配置を形成している。第1横突条(76)の左右両側は、それぞれ上下方向に連通している。
【0076】
第1縦突条(72)の先端と第1横突条(76)との間には隙間状の第1液体噴出部(77)が構成されている。第1液体噴出部(77)は、第1液体流通部(18)が設けられた領域と、第1長尺突条(71)により分割された領域のうちの上側とを左右方向に連通させている。
【0077】
第1縦突条(72)及び第1横突条(76)で区画された第1液体流通部(18)の周辺部分には、平面視正方形の複数の第1柱状体(78)が設けられている。複数の第1柱状体(78)は、平面視で正方格子を形成するように配列しており、第1柱状体(78)間に第1マイクロチャネルB(15b)を形成している。なお、一部の第1柱状体(78)は、第1縦突条(72)に結合している。
【0078】
第1層(10)で液体を蒸発させるときには、第1液体流通部(18)を介して第1他端側集合流路(19)に蒸発源の液体を含む第1流体を流入させる。このとき、
図14に破線で示すように、第1流体は、第1液体噴出部(77)から、第1長尺突条(71)により分割された領域のうちの上側に、複数の第1流路(12)の配列方向を右向きに噴出するように流動する。第1流体の一部分は、第1流路(12)側に流動し、残りの部分は、第1右側連通部(74)から、第1長尺突条(71)により分割された領域のうちの下側に流動する。この後、第1右側連通部(74)が第1左側連通部(75)よりも流路断面積が大きいので、第1流体は、折り返して、複数の第1流路(12)の配列方向を左向きに流動し、第1左側連通部(75)から、第1長尺突条(71)により分割された領域のうちの上側に噴出するように流動する。
【0079】
同様に、第2層(20)において、第2他端側集合流路(29)に、左右方向に延びる断面矩形状の第2長尺突条(81)が設けられている。第2長尺突条(81)は、第2マイクロチャネルB(25b)が設けられた領域を上下方向に分割している。
【0080】
第2液体流通部(28)の左側には、周縁部分(21)を基端として上下方向に延びる断面矩形状の第2縦突条(82)が設けられている。第2縦突条(82)は、第2液体流通部(28)を、第2マイクロチャネルB(25b)が設けられた領域から左右方向に区画している。第2縦突条(82)の長さ方向における第2長尺突条(81)の対応位置には、第2縦突条(82)を基端として第2長尺突条(81)に向かって左側に延びる断面矩形状の第2小突条(83)が設けられている。
【0081】
第2長尺突条(81)の第2液体流通部(28)から遠い左側には、第2長尺突条(81)により分割された領域を上下方向に連通させる第2左側連通部(84)が構成されている。第2長尺突条(81)の第2液体流通部(28)に近い右側には、第2小突条(83)との間に、第2長尺突条(81)により分割された領域を上下方向に連通した第2右側連通部(85)が構成されている。第2左側連通部(84)は、第2右側連通部(85)よりも流路断面積が大きい。
【0082】
第2液体流通部(28)の上側には、左右方向に延びる断面矩形状の第2横突条(86)が設けられている。第2横突条(86)は、第2液体流通部(28)を、第2流路(22)が設けられた領域から上下方向に区画するとともに、平面視で第2縦突条(82)とT字状の配置を形成している。第2横突条(86)の左右両側は、それぞれ上下方向に連通している。
【0083】
第2縦突条(82)の先端と第2横突条(86)との間には隙間状の第2液体噴出部(87)が構成されている。第2液体噴出部(87)は、第2液体流通部(28)が設けられた領域と、第2長尺突条(81)により分割された領域のうちの上側とを左右方向に連通させている。
【0084】
第2縦突条(82)及び第2横突条(86)で区画された第2液体流通部(28)の周辺部分には、平面視正方形の複数の第2柱状体(88)が設けられている。複数の第2柱状体(88)は、平面視で正方格子を形成するように配列しており、第2柱状体(88)間にマイクロチャネルを形成している。なお、一部の第2柱状体(88)は、第2縦突条(82)に結合している。
【0085】
第2層(20)で液体を蒸発させるときには、第2液体流通部(28)を介して第2他端側集合流路(29)に蒸発源の液体を含む第2流体を流入させる。このとき、
図15に破線で示すように、第2流体は、第2液体噴出部(87)から、第2長尺突条(81)により分割された領域のうちの上側に、複数の第2流路(22)の配列方向を左向きに噴出するように流動する。第2流体の一部分は、第2流路(22)側に流動し、残りの部分は、第2左側連通部(84)から、第2長尺突条(81)により分割された領域のうちの下側に流動する。この後、第2左側連通部(84)が第2右側連通部(85)よりも流路断面積が大きいので、第2流体は、折り返して、複数の第2流路(22)の配列方向を右向きに流動し、第2右側連通部(85)から、第2長尺突条(81)により分割された領域のうちの上側に噴出するように流動する。
【0086】
以上の構成の実施形態3に係る熱交換器(100)では、第1流路(12)に蒸発源の液体を含む第1流体を流入させる第1他端側集合流路(19)及び第2流路(22)に蒸発源の液体を含む第2流体を流入させる第2他端側集合流路(29)に、それぞれ折り返し構造が設けられている。
【0087】
第1層(10)で液体を蒸発させるときには、この折り返し構造により、蒸発源の液体を含む第1流体は、複数の第1流路(12)の配列方向に流動した後に折り返して再び合流するように案内され、複数の第1流路(12)の配列方向に均一化される。その結果、液体供給部である第1液体流通部(18)からの遠近によらず、蒸発源の液体を含む第1流体を、複数の第1流路(12)に均一に流入させることができる。
【0088】
第2層(20)で液体を蒸発させるときには、この折り返し構造により、蒸発源の液体を含む第2流体は、複数の第2流路(22)の配列方向に流動した後に折り返して再び合流するように案内され、複数の第2流路(22)の配列方向に均一化される。その結果、液体供給部である第2液体流通部(28)からの遠近によらず、蒸発源の液体を含む第2流体を、複数の第1流路(12)に均一に流入させることができる。
【0089】
その他の構成及び作用効果は、実施形態2と同一である。
【0090】
(その他の実施形態)
上記実施形態1乃至3では、第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)が、複数の第1流路(12)の延びる上下方向に直交する左右方向に延び、且つ第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)が、複数の第2流路(22)の延びる上下方向に直交する左右方向に延びるものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)が、複数の第1流路(12)の延びる方向に交差する方向に延び、且つ第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)が、複数の第2流路(22)の延びる方向に交差する方向に延びるものであれば、その他の構成であってもよい。
【0091】
上記実施形態1乃至3では、第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)、並びに第2マイクロチャネルA及びB(25a,25b)を突条(14a,14b,24a,24b)間の溝で構成したものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば
図16及び17に示す第1層(10)のように、複数の柱状体A及びB(91a,91b)が間隔をおいて設けられ、それらの柱状体A及びB(91a,91b)間に第1マイクロチャネルA及びB(15a,15b)が構成されたものであってもよい。
【0092】
上記実施形態1乃至3では、第1及び第2流路(12,22)等が断面コの字状に形成されたものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、断面半円形状等に形成されたものであってもよい。
【0093】
上記実施形態1乃至3では、第1及び第2流路(12,22)等が真っ直ぐに延びるように設けられたものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、波形やジグザグ形を形成しながら延びるように設けられたものであってもよい。