(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリエステルフィルムの片面に離型層が設けられた離型フィルムであって、離型層側の面の表面粗さ(Sa)が5〜15nmかつ10点平均高さ(Rz)が500nm以下であり、ポリエステルフィルム側(以下、非離型層側という)の面の表面粗さ(Sa)が5〜15nmであり、離型層側の面と圧接し、剥離した後の非離型層側の面の粘着テープとの剥離力が10〜20N/50mmである、光学用フィルム同士の貼り合わせに用いられる粘着剤シート(以下、OCA(Optically Clear Adhesive)という)用離型フィルム。
第1の離型フィルム、粘着剤シート、第2の離型フィルムをこの順に含む積層体であって、前記第1の離型フィルムおよび前記第2の離型フィルムがいずれも請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルムであり、前記第1の離型フィルムおよび前記第2の離型フィルムはいずれもその離型層が粘着剤シート側になるように配置され、第1の離型フィルムの離型層側の面の粘着テープとの剥離力(F1)が50〜100mN/50mmであり、第2の離型フィルムの離型層側の面の粘着テープとの剥離力(F2)が70〜1000mN/50mmであり、それらの剥離力の比(F2/F1)が1.2〜20である、OCA積層体。
離型層側の面と圧接し、剥離した後の第1の離型フィルムの非離型層側の面と、離型層側の面と圧接し、剥離した後の第2の離型フィルムの非離型層側の面との動摩擦係数が、0.5以下である、請求項5に記載のOCA積層体。
【背景技術】
【0002】
近年、情報技術関連ビジネスの成長に伴い、液晶や有機EL等の光学表示分野における各種フィルム材料の使用量が飛躍的に伸びている。
【0003】
ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムもそれら材料の一つであり、光学用フィルム同士の貼り合わせに用いられる粘着剤シート(OCA:Optically Clear Adhesive)を製造するために、離型フィルムは、離型フィルム/OCA/離型フィルムの構成として広く用いられている。
【0004】
このOCAが、光学部材と貼り合わされて使用される場合、離型フィルム/OCA/離型フィルムの一方の離型フィルムを剥離し、光学部材と貼り合わせ、光学部材/OCA/離型フィルムの構成とされる。
【0005】
使用されるOCAは、高透明かつ平滑性が求められ、離型層面に粗大突起が多い場合、OCAに離型面の形状が転写し、透明性の低下や輝点の発生などの問題を引き起こす原因となる。
【0006】
また、上記問題を防止するために、基材のポリエステルフィルムの表面を平滑にした場合、すべり性が悪化し、搬送性やロールにした際のブロッキング、ロール引き出し時の剥離帯電による不具合が発生する。
【0007】
そこで、特許文献1では、特定量のアニオン系帯電防止剤を含有するシランカップリング剤からなる下塗り層の上に、硬化型のシリコーンからなる離型層を設け、下塗り層の厚みおよび離型層表面の10点平均粗さRzを規定することで、帯電防止性、離型層の硬化性、密着性にすぐれた離型フィルムが提案されている。
【0008】
また、特許文献2では、配向角主軸の傾き、離型層表面の算術平均粗さ(Sa)、表面高さ分布のとがり(SKu)および反離型層表面の表面粗度Saを規定することで、粘着層に平滑性を与えると同時に、ハードコート層と重ね合された場合でも、滑り性が改良され、ブロッキングの発生がなく、自動検査機による欠点検出が容易である、飛散防止のための保護フィルムに用いられる基材レス両面粘着シートに用いられる離型フィルムが提案されている。
【0009】
さらに、特許文献3では、アンチモン元素を含有しないポリエステル層を両外層とし、少なくとも2層から構成される積層ポリエステルフィルムの片面に塗布層、硬化型シリコーン樹脂が設けられた離型フィルムであって、所定の温度、時間で処理した後のオリゴマー量、離型面のシリコーン移行量、離型面の算術平均粗さ(Ra)、離型層が設けられていない面の算術平均粗さ(Ra)および離型面の十点平均粗さRzと算術平均粗さRaを規定することで、配線の微細化および高度化に対応するため、ビルドアップ法で製造する多層プリント配線板用として、フィルム上の層間絶縁材料を形成するための支持体として、離型性、移行性、オリゴマー封止性、ブロッキング性、表面平滑性が良好な離型フィルムが提案されている。
【0010】
また、特許文献4では、離型層およびその反対面に含有させる粒子径と濃度を規定し、SRa、SRzを一定範囲内になるように表面を平滑にし、欠陥の少ない積層セラミックシートを製造するために用いる離型フィルムが提供されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明において、「離型層側の面と圧接し、剥離した後の非離型層側の面」とは、同じ離型フィルムを2枚用意し、1枚目の離型フィルムの離型層側の面と、2枚目の離型フィルムの非離型層側の面とを、1.0MPaで2時間接触させ、剥離させた後の2枚目の離型フィルムの非離型層側の面のことを指す。また、「離型層側の面」とは、離型フィルムのポリエステルフィルム側とは反対側の面、すなわち、離型層の表面を指し、ポリエステルフィルムの離型層が積層される側の面のことを指すものではない。また、「粘着テープ」とは、日東電工株式会社製のポリエステル粘着テープ(No.31Bテープ、50mm幅)を指す。
【0020】
本発明の離型フィルムに使用するポリエステルフィルムは、単層であってもよいし、2層、さらには、3層構成であってもよいし、本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
【0021】
本発明におけるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分とからなる結晶性の線状飽和ポリエステルであることが好ましく、ホモポリエステルや共重合ポリエステルが例示される。
【0022】
ホモポリエステルとしては芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールを重縮合させて得られるものが好ましい。
【0023】
ホモポリエステルの芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
【0024】
脂肪族グリコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0025】
代表的なポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
【0026】
また、共重合ポリエステルのジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、パラオキシ安息香酸のようなオキシカルボン酸等の1種または2種以上を併用することが例示される。
【0027】
脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの1種又は2種を併用することが例示される。
【0028】
本発明に用いるポリエステルフィルム中には、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などの化合物を含有してもよい。それぞれの濃度は、本発明の要旨を超えない限り、特に限定されない。
【0029】
本発明において、ポリエステルフィルム中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子や、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の耐熱性有機粒子が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
【0030】
また、用いる粒子の長さ平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
【0031】
さらに、ポリエステルフィルム中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合がある。一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
【0032】
粒子の平均粒径が、小さく、粒子含有量が少なくなると離型層側の面および/または非離型層側の面のSa、Rzが小さくなる。一方で、粒子の平均粒径が、大きく、粒子含有量が多くなるとSa、Rzが大きくなる。これら粒子の平均粒径および粒子含有量を調整することにより、目的とするSa、Rzを実現できる。
【0033】
ポリエステルフィルム中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において粒子を添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応の段階で添加することが好ましい。
【0034】
また、粒子とポリエステル原料をブレンドする方法としては、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法や、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などが挙げられる。
【0035】
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0036】
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚さは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、12〜250μm、好ましくは25〜188μm、さらに好ましくは38〜125μmの範囲である。
【0037】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
【0038】
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ後述の同時二軸延伸法の延伸倍率の範囲となるように行うのが好ましい。
【0039】
また、本発明におけるポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは、80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
【0040】
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚さを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0041】
本発明において、離型層側の面の表面粗さ(Sa)が5〜15nmであることを必須とする。離型層側の面の表面粗さ(Sa)が5nm未満であると、ブロッキングやフィルムを巻き出した際に剥離帯電が発生し作業性が悪くなり、15nmを超えると、粘着剤塗工後、その状態で保管したときに粘着剤面に打痕等を発生させる場合がある。
【0042】
本発明において、離型層側の面の10点平均高さ(Rz)が500nm以下であることを必須とする。離型層側の面の10点平均高さ(Rz)が500nmを超えると剥離後のOCA表面の荒れや打痕等の欠点の原因となる。
【0043】
本発明において、非離型層側の面の表面粗さ(Sa)が5〜15nmであることを必須とする。また、本発明において、離型層側の面と圧接し、剥離した後の非離型層側の面の粘着テープとの剥離力(以下、非離型層側の面の粘着テープとの剥離力という場合がある)が10〜20N/50mmであることを必須とする。非離型層側の面の表面粗さ(Sa)が5nm未満、または非離型層側の面の粘着テープとの剥離力が20N/50mmを超えると、すべり性が低下して、搬送性が低下し、ブロッキング、フィルムを巻き出した際の剥離帯電が発生する。非離型層側の面の表面粗さ(Sa)が、15nmを超え、非離型層側の面の粘着テープとの剥離力が10N/50mm未満となると、すべり性が高くなり過ぎて、搬送時のずれや、巻き取り時、巻きだし時にずれが生じる。
【0044】
本発明において、非離型層側の面の粘着テープとの剥離力が上述の範囲になるためには、特に限定されないが、離型層を形成する前あるいは後に、非離型層側の面にすべり性付与剤をコーティングする方法が挙げられる。また、離型層を形成すると同時に非離型層側の面にすべり性付与剤をコーティングする方法も挙げられる。すなわち、ケイ素原子(以下、Siという場合がある)を含有する離型層を形成し、巻取りと同時にSiを非離型層側の面に転写する方法が挙げられる。これらのうち、Siを含有する離型層を形成し、巻取りと同時にSiを非離型層側の面に転写する方法がコスト的に好ましい。離型層に含有されたSiを非離型層側の面に転写する方法としては、離型層を形成する際に完全に硬化させずに巻き取り、非離型層側の面にSiを転写する方法、離型層を形成後の巻き取り時の張力を上げ、巻き取ったロールの面圧を上げ、非離型層側の面にSiを転写する方法、巻き取った後のロールに熱をかけ、離型層が非離型層側の面に接触した状態で、離型層を硬化させ、非離型層側の面にSiを転写する方法などがある。このような方法などで、目的とする非離型層側の面のSi濃度、非離型層側の面の粘着テープとの剥離力とすることができる。Siを離型層から非離型層側の面に転写させる効果をより高めるために、離型層にあらかじめ転写成分を含有させても良い。
【0045】
本発明の離型フィルムにおいて、離型層側の面の粘着テープとの剥離力が、50〜1000mN/50mmであることが好ましい。前記剥離力が50mN/50mm未満であると、粘着剤と貼り合せた後、搬送中に剥がれることがある。また、前記剥離力が1000mN/50mmを超えると粘着剤から、離型フィルムを剥がす際に剥がれなかったり、剥離したときに粘着剤面の荒れや打痕等が発生したりする場合がある。離型フィルムの離型層の剥離力は、例えば、剥離コントロール剤の添加量を変えることで調整することができる。
【0046】
本発明の離型フィルムにおいて、離型層側の面と圧接し、剥離した後の非離型層側の面の動摩擦係数が0.3〜0.5であることが好ましい。ここで、「離型層側の面と圧接し、剥離した後の非離型層側の面」の定義は上述のとおりである。前記動摩擦係数が0.3未満であると、搬送時にずれが発生しやすくなり、工程上の不具合となる場合がある。また、前記動摩擦係数が0.5を超えると搬送時にキズ等の欠点が入り易く、この欠点により粘着剤の変形や荒れ等が発生しやすくなる場合がある。
【0047】
本発明の離型フィルムは、巻き出した際の剥離帯電量が3.0kV以下であることが好ましい。巻き出した際の剥離帯電量とは、ロールから離型フィルムを巻き出した際のロール表面電位を指す。巻き出した際の剥離帯電量が3.0kVを超えると、静電気により装置や人体にフィルムがまとわりついて作業性効率の悪化や粘着剤を塗工した際の塗工ムラ等を発生しやすくなる場合がある。
【0048】
離型フィルムの非離型層側の面の動摩擦係数、および巻き出した際の剥離帯電量を上述の範囲とすることは、離型層側の面の表面粗さ(Sa)、10点平均高さ(Rz)、非離型層側の面の表面粗さ(Sa)、非離型層側の面の粘着テープとの剥離力を上述の範囲に調整することにより達成することができる。
【0049】
本発明における離型層を形成するための材料としては、例えば、アルキッド樹脂系離型剤、ポリオレフィン系離型剤、長鎖アルキル基含有樹脂系離型剤、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、有機系とシリコーン系の混合もしくは共重合樹脂系離型剤などが挙げられる。これらのうち、優れた離型性や耐熱性を示すことから、シリコーン系離型剤が特に好ましい。シリコーン系離型剤は、反応形態で分けると、付加反応型や縮合反応型などの加熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型、熱と紫外線の併用硬化型などがあるが、いずれのシリコーン系離型剤も使用し得る。
【0050】
離型層の厚さは、10〜500nmであることが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。離型層が薄すぎると剥離性能が低下する場合があり、厚すぎると平面性や乾燥性、外観塗布ムラが発生する場合がある。離型層の厚さは、樹脂に包埋後、切片を切り出し、透過型電子顕微鏡を用いて観察して、離型層の厚さを確認する方法、また、そのようにして、確認した厚さと蛍光X線測定のSi量kcpsの検量線を作成し、Si量kcpsを測定し、厚さを確認する方法などが挙げられる。
【0051】
これらの離型層を形成するための材料をポリエステルフィルムに塗布する方法としては、一般的なコーティング方式を利用することができる。たとえば、グラビアコート、グラビアリバースコート、リップコート、ダイコート、マイクログラビアコート、マイヤーバーコート、多段リバースコートなどの塗布方式を使用することができる。
【0052】
本発明において、ポリエステルフィルム上に、離型層を形成する際の硬化条件に関しては、特に限定されるわけではないが、60〜200℃で3〜40秒間、好ましくは80〜180℃で3〜40秒間、熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
【0053】
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0054】
ポリエステルフィルムと離型層の間に、離型層とポリエステルフィルムの密着を向上させる層、ポリエステルフィルムからのオリゴマーなどの析出物を離型層表面に析出させないようにする層などを設けてもよく、層の数は、特に限定されない。かかる層は、ポリエステルフィルム形成時に設けてもよく、ポリエステルフィルム形成後にコーティングなどにより設けても良い。コーティングにより設ける場合、一般的なコーティング方式を利用することが出来る。たとえば、グラビアコート、グラビアリバースコート、リップコート、ダイコート、マイクログラビアコート、マイヤーバーコート、多段リバースコートなどのコーティング方式を使用することができる。
【0055】
本発明において、上述の層を形成する際の硬化条件に関しては、特に限定されるわけではないが、60〜200℃で3〜40秒間、好ましくは80〜180℃で3〜40秒間、熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
【0056】
本発明の積層体は、第1の離型フィルム、粘着剤シート、第2の離型フィルムをこの順に含む積層体であって、前記第1の離型フィルムおよび前記第2の離型フィルムがいずれも請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルムであり、前記第1の離型フィルムおよび前記第2の離型フィルムはいずれもその離型層が粘着剤シート側になるように配置され、第1の離型フィルムの離型層側の面の粘着テープとの剥離力(F1)が50〜100mN/50mmであり、第2の離型フィルムの離型層側の面の粘着テープとの剥離力(F2)が70〜1000mN/50mmであり、それらの剥離力の比(F2/F1)が1.2〜20である。
【0057】
第1の離型フィルムの離型層側の面の粘着テープとの剥離力(F1)が50mN/50mm未満であると、粘着剤と貼り合せた後、搬送中に剥がれることがあり、100mN/50mmを超えると、第1の離型フィルムから先に剥がすため作業性が低下する場合がある。
【0058】
第2の離型フィルムの離型層側の面の粘着テープとの剥離力(F2)が70mN/50mm未満であると、第1の離型フィルムを剥がした際に第2の離型フィルムが剥がれる可能性があり作業性が低下する場合があり、1000mN/50mmを超えると粘着剤から、離型フィルムを剥がす際に剥がれなかったり、剥離したときに粘着剤面の荒れや打痕等が発生したりする場合がある。
【0059】
剥離力の比(F2/F1)は、第2の離型フィルムの離型層側の面の粘着テープとの剥離力(F2)を、第1の離型フィルムの離型層側の面の粘着テープとの剥離力(F1)で割ったものである。剥離力の比(F2/F1)が1.2未満であると第1の離型フィルムを剥がす際に第2の離型フィルムが剥がれる懸念がある。また、剥離力の比(F2/F1)が20を超えると剥離力が強くなりすぎる場合があり、剥離したときに粘着剤面の荒れや打痕等が発生する場合がある。
【0060】
本発明において、粘着剤は、特に限定されないが、アクリル系の粘着剤が好ましい。また、紫外線硬化型粘着剤などが挙げられる。紫外線硬化型粘着剤に紫外線を照射することにより、ベースポリマーが重合性化合物により架橋され、粘着剤の貯蔵弾性率が高められる。紫外線硬化型粘着剤の組成は特に限定されないが、一般には、ベースポリマーと重合性化合物を含有する。紫外線照射による重合硬化方式は、ラジカル型、カチオン型、アニオン型のいずれでもよく、開始剤を必要としない光誘導型交互共重合型を用いることもできる。また、これらを複合させたハイブリッド型でもよい。一般的には、ラジカル型またはカチオン型がよく用いられる。
【0061】
重合性化合物としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものが挙げられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、プレポリマー等が含まれる。重合性化合物は、紫外線重合性の官能基を有するものが好ましく、中でも当該官能基を2個以上有するアクリル系のモノマーやオリゴマー成分を含むものが好ましい。2個以上の重合性官能基は同一でも異なっていてもよい。紫外線硬化型のアクリル系化合物としては、多官能アクリレート類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、ポリエーテルアクリレート類、スピロアセタール系アクリレート類等が挙げられる。これらの重合性化合物は、粘着剤組成物中に存在してもよく、ベースポリマーのヒドロキシ基等の官能基と結合していてもよい。
【0062】
紫外線硬化型粘着剤は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、紫外線照射により、ラジカル、酸、塩基等を発生するものであり、重合性化合物の種類等に応じて適宜に選択できる。光ラジカル重合には光ラジカル発生剤、光カチオン重合には光酸発生剤、光アニオン重合には光塩基発生剤が好ましく用いられる。光ラジカル発生剤としては、1個または複数のラジカル発生点を分子中に有する化合物が用いられ、例えば、ヒドロキシケトン類、ベンジルジメチルケタール類、アミノケトン類、アシルフォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、トリクロロメチル基含有トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0063】
紫外線硬化型粘着剤のベースポリマーは特に限定されず、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系等のポリマーを適宜に選択して用いることができる。
【0064】
光学的透明性および接着性に優れる粘着剤としては、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。アクリル系粘着剤は、粘着剤組成物の固形分全量に対するアクリル系ベースポリマーの含有量が50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
【0065】
アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマー単位を主骨格とするものが好適に用いられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適に用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、ベースポリマーを構成するモノマー成分全量に対して40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。アクリル系ベースポリマーは、複数の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体であってもよい。構成モノマー単位の並びはランダムであっても、ブロックであってもよい。
【0066】
アクリル系ベースポリマーは、共重合成分として、架橋可能な官能基を有するアクリル系モノマー単位を含有することが好ましい。ベースポリマーが架橋可能な官能基を有する場合、紫外線照射による硬化を容易に行い得る。架橋可能な官能基を有するアクリル系モノマーとしてはヒドロキシ基含有モノマーや、カルボキシ基含有モノマーが挙げられる。中でも、ベースポリマーの共重合成分として、ヒドロキシ基含有モノマーを含有することが好ましい。ベースポリマーが、モノマーユニットとしてヒドロキシ基含有モノマーを有する場合、ベースポリマーの架橋性が高められるとともに、高温高湿環境下での粘着剤の白濁が抑制される傾向があり、透明性の高い粘着剤が得られる。
【0067】
アクリル系ベースポリマーは、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびヒドロキシ基含有モノマーユニットに加えて、窒素含有モノマー等の極性の高いモノマーユニットを含有することが好ましい。ヒドロキシ基含有モノマーユニットに加えて、窒素含有モノマーユニット等の高極性モノマーユニットを含有することにより、粘着剤が高い接着性と保持力を有するとともに、高温高湿環境下での白濁が抑制される。
【0068】
ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーは、上記モノマー成分を、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の各種公知の方法により重合することによって得られる。粘着剤の接着力、保持力等の特性のバランスや、コスト等の観点から、溶液重合法が好適である。
【0069】
紫外線硬化型粘着剤のベースポリマーには、架橋構造が導入されていてもよい。架橋構造の形成は、例えば、ベースポリマーの重合後に架橋剤を添加し、加熱することにより行われる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート系架橋剤等の一般に用いられているものを使用できる。また、ベースポリマーの官能基と結合可能な官能基とラジカル重合性官能基とを有するラジカル重合性化合物を、ベースポリマーと混合することにより、ベースポリマーにラジカル重合性官能基を導入することができる。ベースポリマーの官能基と結合可能な官能基としては、イソシアネート基が好ましい。イソシアネート基は、ベースポリマーのヒドロキシ基とウレタン結合を形成するため、ベースポリマーへのラジカル重合性官能基の導入を容易に行い得る
粘着剤組成物中には、接着力の調整を目的として、シランカップリング剤や粘着付与剤が含まれていてもよい。また、粘着剤組成物中には、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0070】
粘着剤は、単層でもよく複数の粘着剤が積層された多層構成でもよい。粘着剤が多層構成の場合、少なくとも1層が紫外線硬化型粘着剤であればよいが、全ての層が紫外線硬化型粘着剤でも良い。
【0071】
粘着剤の厚さは、20μm以上が好ましい。粘着剤の厚さが20μm以上であれば、タッチパネルや前面透明板等の前面透明部材との貼り合せの際に、前面透明部材の印刷部の段差に対する段差吸収性を持たせることができる。粘着剤の厚さの上限は特に限定されないが、画像表示装置の軽量化・薄型化の観点や、粘着剤形成の容易性、ハンドリング性等を勘案すると、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
【0072】
本発明の積層体において、離型層側の面と圧接し、剥離した後の第1の離型フィルムの非離型層側の面と、離型層側の面と圧接し、剥離した後の第2の離型フィルムの非離型層側の面との動摩擦係数が、0.5以下であることが好ましい。動摩擦係数が0.5を超えると、搬送性時にキズ等の欠点が入り易くなる場合がある。また、積層体を巻きだす際に剥離帯電量が3kVを超えやすくなる場合がある。ここで、「離型層側の面と圧接し、剥離した後の第1の離型フィルムの非離型層側の面」とは、第1の離型フィルムを2枚用意し、1枚目の第1の離型フィルムの離型層側の面と、2枚目の第1の離型フィルムの非離型層側の面とを、1.0MPaで2時間接触させ、剥離させた後の2枚目の第1の離型フィルムの非離型層側の面のことを指す。また、「離型層側の面と圧接し、剥離した後の第2の離型フィルムの非離型層側の面」とは、第2の離型フィルムを2枚用意し、1枚目の第2の離型フィルムの離型層側の面と、2枚目の第2の離型フィルムの非離型層側の面とを、1.0MPaで2時間接触させ、剥離させた後の2枚目の第2の離型フィルムの非離型層側の面のことを指す。そして、ここでの動摩擦係数は、上記剥離させた後の2枚目の第1の離型フィルムの非離型層側の面と、上記剥離させた後の2枚目の第2の離型フィルムの非離型層側の面との間の動摩擦係数を指す。
【0073】
本発明の積層体は、巻き出した際の剥離帯電量が3.0kV以下であることが好ましい。剥離帯電量が3.0kVを超えると、作業性が低下しやすくなる。
【0074】
第1の離型フィルムの非離型層側と第2の離型フィルムの非離型層側の動摩擦係数、および積層体を巻きだす際の剥離帯電量を上述の範囲とすることは、第1の離型フィルムおよび第2の離型フィルムの非離型層側の表面粗さ(Sa)、非離型層側の剥離力を上述の範囲に調整することにより達成することができる。
【0075】
本発明の積層体において、第1の離型フィルムおよび第2の離型フィルムを剥離した後の粘着剤のヘイズ上昇度は、5以下であることが好ましい。第1の離型フィルムおよび第2の離型フィルムを剥離した後の粘着剤のヘイズ上昇度は、第1の離型フィルムおよび第2の離型フィルムを剥離した後の粘着剤のヘイズを剥離する前の積層体のヘイズで割ったものである。第1の離型フィルムおよび第2の離型フィルムを剥離した後の粘着剤のヘイズ上昇度が、5を超えると、OCAを使用する際に目的とする透明性を確保することができなくなる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0078】
[測定方法]
(1)表面粗さ
離型層側の面及び非離型層側の面を菱化システム製非接触表面・層断面形状測定システムVertScan R5300GL−Lite−ACを対物レンズ50倍を用いて、1mm角の測定面積に設定しISO 25178−3.2(2010)に準じて測定した。
(2)離型層側の面の粘着テープとの剥離力
離型フィルムの離型層側の面に、粘着テープとしてポリエステル粘着テープ(日東電工(株)No.31Bテープ、50mm幅)を、5kgローラーで圧着しながら貼り合わせ、常温で24時間放置後、引張り試験機で剥離速度300mm/分、剥離角度180°でテープを剥離した時の剥離強度を測定した。
(3)離型層側の面と圧接し、剥離した後の非離型層側の面の粘着テープとの剥離力
同一の離型フィルムを2枚用意した。1枚目の離型フィルムの非離型層側の面と2枚目の離型フィルムの離型層側の面を向かい合わせた。向かい合わせた2枚の離型フィルムを1.0MPaの圧力で、2時間接触させた後、剥離した。1枚目の離型フィルムの非離型層側の面の剥離力を上記(2)の方法で測定した。
(4)すべり性(動摩擦係数)
2枚の離型フィルムの離型面側と非離型面側を向かい合わせ、向かい合わせたサンプルを1.0MPaの圧力で、2時間接触させた後の非離型面側の動摩擦係数を測定した。方法はJIS K7125(1999年)に準じる形の治具(新東科学社製、表面性測定機 HEIDON−Type14FW)を用い、下記条件で測定した。
【0079】
すべり面:縦150mm×横100mm
すべり片:縦50mm×横50mm
荷重:2.0N
すべり速度:100mm/min
測定サンプル:
1)離型フィルムの非離型層側の面の動摩擦係数を測定する場合
すべり面…125μm“ルミラー”U48、すべり片…離型フィルムの非離型面側の面
2)積層体の第1の離型フィルムの非離型層側の面と第2の離型フィルムの非離型層側の面との動摩擦係数を測定する場合
すべり面…第1の離型フィルムの非離型面側の面、すべり片…第2の離型フィルムの非離型面側の面
動摩擦係数:1)の離型フィルムの場合は0.3〜0.5を合格とした。2)の積層体の場合は0.5以下を合格とした。
(5)巻き出した際の剥離帯電量測定
シムコジャパン製FMX−003を使用し、離型フィルムまたは積層体を2m/sの速さで20m巻き出した直後のロール表面について、ロール表面から50mm離れた点において電位測定した。剥離帯電量:3.0kV以下を合格とした。
(6)搬送性評価
1000mm幅の離型フィルムをフィルム搬送速度10m/分で1000m巻き出し、20kgf張力で巻き取り、フィルム端部のずれが10mm以上のものを×、5〜10mmのものを△、5mm未満のものを○とした。
(7)作業性評価
離型フィルムを巻き出した際に、剥離放電によりフィルムが装置や人体にまとわりつく等して作業性がわるかったものを×、まとわりつかないで作業性に問題がなかったものを○とした。
(8)総合判定
上記(6)、(7)でともに○となったものを○、どちらかが△となったものを△、どちらかに×となったものを×として総合判定を行った。
(実施例1)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであるBY24−846B(東レ・ダウコーニング(株)製、含有量98重量%)3重量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであるBY24−846C(東レ・ダウコーニング(株)製、含有量99重量%)1重量部、ビス(エチルアセトアセテート)(2,4−ペンタンジオネート)アルミニウムであるBY24−846E(東レ・ダウコーニング(株)製、含有量38重量%)2重量部をトルエン60重量部、イソプロピルアルコール(IPA)60重量部に混合したプライマー塗工液を作製した。
【0080】
付加反応型の硬化性シリコーン樹脂であるLTC761(東レ・ダウコーニング(株)製)3重量部、付加反応型の硬化性シリコーン樹脂であるLTC303E(東レ・ダウコーニング(株)製)1重量部をn−ペプタン46重量部、トルエン50重量部に混合した溶液に、硬化剤であるSRX212(東レ・ダウコーニング製)0.04重量部を添加、混合し、離型層塗工液1を作製した。
【0081】
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー(登録商標)”R41)にプライマー塗工液を乾燥後の塗布厚さが50nmとなるようにマイヤーバーNo.3で塗布し100℃で5秒乾燥硬化した後、連続して離型層塗工液1を塗布厚さが50nmとなるようにマイヤーバーNo.5で塗布し150℃で20秒乾燥硬化し離型フィルムを得た。表面粗さ、摩擦係数及び剥離帯電を測定し、その結果を表1に示した。搬送性、作業性が良い離型フィルムが得られた。
(実施例2)
付加反応型の硬化性シリコーン樹脂であるX62−2832(信越化学工業(株)製)4重量部、剥離コントロール剤であるKS3800(信越化学工業(株)製)0.85重量部、密着向上剤であるX92−185(信越化学工業(株)製)0.08重量部、硬化剤であるPL−50T(信越化学工業(株)製)0.09重量部をn−ペプタン75重量部、トルエン20重量部に混合した離型層塗工液2を作製した。
【0082】
離型層として、離型層塗工液2を用い、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー(登録商標)”R41)を用いた以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを作製した。表面粗さ、摩擦係数及び剥離帯電を測定し、その結果を表1に示した。搬送性、作業性が良い離型フィルムが得られた。
(実施例3)
付加反応型の硬化性シリコーン樹脂であるKS847H(信越化学工業(株)製)4重量部、硬化剤であるPL−50T(信越化学工業(株)製)0.04重量部、シリカ粒子QCB−100(信越シリコーン(株)製)0.01重量部をトルエン50重量部、n−ヘプタン50重量部に混合した離型層塗工液3を作製した。
【0083】
離型層として、離型層塗工液3を用い、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー(登録商標)”R74)を用いた以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを作製した。表面粗さ、摩擦係数及び剥離帯電を測定し、その結果を表1に示した。搬送性、作業性が良い離型フィルムが得られた。
(実施例4)
プライマー層を塗工せず、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー(登録商標)”R41)を用いた以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを作製した。表面粗さ、摩擦係数及び剥離帯電を測定し、その結果を表1に示した。搬送性、作業性が良い離型フィルムが得られた。
(比較例1)
プライマー層を塗工せず、離型層を10nmとして、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー(登録商標)”U483)を用いた以外は、実施例2と同様にして、離型フィルムを作製した。表面粗さ、摩擦係数及び剥離帯電を測定し、その結果を表1に示した。搬送性、作業性ともに×であった。
(比較例2)
離型層を15nmとして、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー(登録商標)”S28)を用いた以外は、実施例3と同様にして、離型フィルムを作製した。表面粗さ、摩擦係数及び剥離帯電を測定し、その結果を表1に示した。搬送性、作業性ともに×であった。
(比較例3)
離型層塗工液1にシリカ粒子QCB−100(信越シリコーン(株)製)0.03重量部を加え、離型層を200nmとして、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー(登録商標)”T60)を用いた以外は、実施例1と同様にして、離型フィルムを作製した。表面粗さ、摩擦係数及び剥離帯電を測定し、その結果を表1に示した。搬送性、作業性ともに×であった。
(比較例4)
比較例2のシリカ粒子QCB−100(信越シリコーン(株)製)を0.03重量部にし、離型層を200nmとした以外は、比較例2と同様にして、離型フィルムを作製した。表面粗さ、摩擦係数及び剥離帯電を測定し、その結果を表1に示した。搬送性は×であったが作業性は○であった。
(実施例5)
[粘着剤の作製]
(ベースポリマーの調製)
温度計、攪拌機、冷却器および窒素ガス導入管を備える反応容器内に、モノマー成分として、2‐エチルヘキシルアクリレート(2EHA):70重量部、N‐ビニルピロリドン(NVP):15重量部、およびヒドロキシエチルアクリレート(HEA):15重量部、ならびに熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部、連鎖移動剤としてα-チオグリセロール(TGR):0.12重量部を、酢酸エチル233重量部とともに投入し、23℃の窒素雰囲気下で1時間撹拌し、窒素置換を行った。その後、65℃で5時間反応させ、続けて70℃で2時間反応させて、アクリル系ベースポリマー溶液を調製した。
(紫外線硬化型粘着剤組成物の調製)
上記で得られたアクリル系ベースポリマー溶液に、ベースポリマー100重量部に対して、エーテル結合を有する二官能アクリレートとして、ポリプロピレングリコールジアクリレート(商品名:NKエステルAPG‐400,新中村化学工業社製):7重量部;イソシアネート系架橋剤として、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N,三井化学社製):0.3重量部;および光重合開始剤として、2,2‐ジメトキシ‐1,2‐ジフェニルエタン‐1‐オン(商品名:イルガキュア651,BASF社製):0.1重量部を添加した後、均一に混合して、紫外線硬化型粘着剤組成物を調製した。
(積層体の作製)
実施例2記載の離型フィルムを第2の離型フィルムとして、その離型層面上に、上記の粘着剤を乾燥後の厚さが60μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて溶媒を除去後、実施例1記載の離型フィルムを第1の離型フィルムとして、その離型層面を粘着剤側に向け重ね合わせ、25℃の雰囲気下での3日間のエージング処理により架橋を行い、積層体を得た。
【0084】
積層体の第1の離型フィルム側、あるいは第2の離型フィルム側から長波長紫外線のエネルギー密度:300mW/cm
2のUVランプを用いて、積算光量約10000mJ/cm2の紫外線を照射して、粘着剤を硬化させた。
【0085】
硬化後、第1の離型フィルムの非離型層側と第2の離型フィルムの非離型層側の動摩擦係数、剥離帯電量を測定した。結果を表2に示す。
(実施例6)
第1の離型フィルムを実施例4記載の離型フィルムを用い、第2の離型フィルムを実施例3に記載の離型フィルムを用いた以外は、実施例5と同様にして、積層体を作成した。作製した積層体の第1の離型フィルムの非離型層側と第2の離型フィルムの非離型層側の動摩擦係数、剥離帯電量を測定した。結果を表2に示す。
(比較例5)
第1の離型フィルムを比較例2記載の離型フィルムを用い、第2の離型フィルムを比較例3に記載の離型フィルムを用いた以外は、実施例5と同様にして、積層体を作成した。作製した積層体の第1の離型フィルムの非離型層側と第2の離型フィルムの非離型層側の動摩擦係数、剥離帯電量を測定した。結果を表2に示す。
(比較例6)
第1の離型フィルムを比較例3記載の離型フィルムを用い、第2の離型フィルムを比較例4に記載の離型フィルムを用いた以外は、実施例5と同様にして、積層体を作成した。作製した積層体の第1の離型フィルムの非離型層側と第2の離型フィルムの非離型層側の動摩擦係数、剥離帯電量を測定した。結果を表2に示す。
(比較例7)
第1の離型フィルムを比較例2記載の離型フィルムを用い、第2の離型フィルムを比較例3に記載の離型フィルムを用いた以外は、実施例5と同様にして、積層体を作成した。作製した積層体の第1の離型フィルムの非離型層側と第2の離型フィルムの非離型層側の動摩擦係数、剥離帯電量を測定した。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】