特許第6970596号(P6970596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6970596人材配置支援システム、人材配置支援方法、および人材配置支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970596
(24)【登録日】2021年11月2日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】人材配置支援システム、人材配置支援方法、および人材配置支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20211111BHJP
【FI】
   G06Q10/06 302
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-226721(P2017-226721)
(22)【出願日】2017年11月27日
(65)【公開番号】特開2019-96188(P2019-96188A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】397065480
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】河本 倫志
(72)【発明者】
【氏名】新野 英昭
(72)【発明者】
【氏名】阪上 敏明
(72)【発明者】
【氏名】宮原 昌一
(72)【発明者】
【氏名】池岡 麻実
(72)【発明者】
【氏名】落合 伸大
(72)【発明者】
【氏名】佐々田 佳奈
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−167191(JP,A)
【文献】 特開2003−178127(JP,A)
【文献】 特開2008−204150(JP,A)
【文献】 特開2017−174392(JP,A)
【文献】 特開2014−167817(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0267589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業の組織における人材の役割定義情報と前記組織における人材の働き方定義情報と、企業内で管理されている社内人材情報および前記企業外で管理されている社外人材情報とを記憶する記憶手段と、
前記役割定義情報および前記働き方定義情報と、前記社内人材情報および前記社外人材情報とを比較することにより、前記企業の組織における人材に関わるマッチング情報を生成するマッチング情報生成手段と、
前記マッチング情報に基づいて、前記企業の組織における人材配置情報を生成する人材配置情報生成手段と
を備える人材配置支援システム。
【請求項2】
前記マッチング情報生成手段は、前記役割定義情報および前記働き方定義情報と、調整可能な人材配置条件情報とに基づいて、前記マッチング情報を生成すること
を特徴とする請求項1記載の人材配置支援システム。
【請求項3】
前記人材の役割定義情報は、前記企業の組織における人材の役割情報のそれぞれにおける役割の重要度、パフォーマンスまたはコストの優先度、人材調達タイプ、要求されるパフォーマンス、必要要員数の少なくともいずれかの情報を含み、
前記人材の働き方定義情報は、勤務地情報、勤務時間情報、在宅勤務の可否、勤務地への出社条件、子育て支援情報の少なくともいずれかの情報を含むこと
を特徴とする請求項1記載の人材配置支援システム。
【請求項4】
前記人材の役割定義情報は、前記企業の組織における人材の役割情報のそれぞれにおける役割の重要度、パフォーマンスまたはコストの優先度、人材調達タイプ、要求されるパフォーマンス、必要要員数の少なくともいずれかの情報を含み、
前記人材の働き方定義情報は、勤務地情報、勤務時間情報、在宅勤務の可否、勤務地への出社条件、子育て支援情報の少なくともいずれかの情報を含むこと
を特徴とする請求項2記載の人材配置支援システム。
【請求項5】
前記人材配置条件情報は、
前記役割の重要度の優先度、
前記パフォーマンスまたはコストの優先度、
内人材の優先度、
前記パフォーマンスのアンマッチの許容度、
前記役割のマッチングの厳密度、
前記パフォーマンス範囲の調整度、
前記役割の拡大の期待度、
の少なくともいずれかであること
を特徴とする請求項記載の人材配置支援システム。
【請求項6】
企業の組織における人材の役割定義情報と前記組織における人材の働き方定義情報と、企業内で管理されている社内人材情報および前記企業外で管理されている社外人材情報とを記憶する記憶手段を備えるコンピュータが、
前記役割定義情報および前記働き方定義情報と、前記社内人材情報および前記社外人材情報とを比較することにより、前記企業の組織における人材に関わるマッチング情報を生成するステップと、
前記マッチング情報に基づいて、前記企業の組織における人材配置情報を生成するステップと
を実施する人材配置支援方法。
【請求項7】
企業の組織における人材の役割定義情報と前記組織における人材の働き方定義情報と、企業内で管理されている社内人材情報および前記企業外で管理されている社外人材情報とを記憶する記憶手段を備えるコンピュータに、
前記役割定義情報および前記働き方定義情報と、前記社内人材情報および前記社外人材情報とを比較することにより、前記企業の組織における人材に関わるマッチング情報を生成するステップと、
前記マッチング情報に基づいて、前記企業の組織における人材配置情報を生成するステップと
を実施させる人材配置支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、企業の組織における最適な人材配置を支援する人材配置支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、労働者に関する世の中の大きな動きとして、労働市場の変化・ダイバーシティ推進・グローバル化などがあり、日本企業においても、終身雇用制度や年功序列制度といった伝統的な働き方は崩壊し、人材の流動化が加速している。さらに、日本企業は、少子高齢化に伴う労働人口の縮小及び働き方改革による労働時間圧縮など、特殊な経営環境に置かれており、企業を構成する各組織において必要な人材の調達が困難になってきている。このような状況において、企業における経営戦略の推進のためには、各組織において求められるスキルとそれに対応する最適な人材を確保するための人材マッチングが益々重要になってきている。
【0003】
従来の日本企業における人材マネジメント手法は、企業の各組織に必要なスキルと各社員が有するスキルのマッチングを図るスキルマッチングが中心となっている。例えば、特許文献1では、複数の技術項目に対して個人が有する技術レベルを把握し、グループにおけるグループ構成員の技術レベルを判定することで不足する技術レベルを抽出し、不足する技術項目に必要な技術レベルを有する候補者を抽出するスキル管理システムが提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、各組織におけるスキルの必要度の値を示す組織スキルマスタと、各社員におけるスキルの高さを示すスキル評価値を記憶しておき、各組織におけるスキルの必要度と各社員のスキル評価値の差分を算出し、その差分を用いて導出された組織に対する適用度に基づいて社員の配属先の組織を決定する配属先決定支援システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−241673号公報
【特許文献2】特開2014−52984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、少子高齢化に伴う労働人口の縮小や働き方改革による労働時間圧縮などの特殊な経営環境において、必要なスキルを持った人材を確保するには、社外人材の活用や時短勤務や在宅勤務等の多種多様な働き方のニーズを有する人材を柔軟に取り入れていく必要があり、従来のスキルマッチングに基づく画一的な方法では、企業における人材戦略に応じた適切な人材を確保することはできない。
【0007】
本願発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、多種多様な働き方のニーズに対応し、企業における人材戦略に応じた適切な人材配置を支援する人材配置支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明の人材配置支援システムは、企業の組織における人材の役割定義情報と前記組織における人材の働き方定義情報と、企業内で管理されている社内人材情報および前記企業外で管理されている社外人材情報とを記憶する記憶手段と、前記役割定義情報および前記働き方定義情報と、前記社内人材情報および前記社外人材情報とを比較することにより、前記企業の組織における人材に関わるマッチング情報を生成するマッチング情報生成手段と、前記マッチング情報に基づいて、前記企業の組織における人材配置情報を生成する人材配置情報生成手段とを備える。
【0009】
前記マッチング情報生成手段は、前記役割定義情報および前記働き方定義情報と、調整可能な人材配置条件情報とに基づいて、前記マッチング情報を生成してもよい。
【0010】
前記人材の役割定義情報は、前記企業の組織における人材の役割情報のそれぞれにおける役割の重要度、パフォーマンスまたはコストの優先度、人材調達タイプ、要求されるパフォーマンス、必要要員数の少なくともいずれかの情報を含み、前記人材の働き方定義情報は、勤務地情報、勤務時間情報、在宅勤務の可否、勤務地への出社条件、子育て支援情報の少なくともいずれかの情報を含んでもよい。
【0011】
前記人材配置条件情報は、前記役割の重要度の優先度、前記パフォーマンスまたはコストの優先度、社内人材の優先度、前記パフォーマンスのアンマッチの許容度、前記役割のマッチングの厳密度、前記パフォーマンス範囲の調整度、前記役割の拡大の期待度の少なくともいずれかであってもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本願発明の人材配置支援方法は、企業の組織における人材の役割定義情報と前記組織における人材の働き方定義情報と、企業内で管理されている社内人材情報および前記企業外で管理されている社外人材情報とを記憶する記憶手段を備えるコンピュータが、前記役割定義情報および前記働き方定義情報と、前記社内人材情報および前記社外人材情報とを比較することにより、前記企業の組織における人材に関わるマッチング情報を生成するステップと、前記マッチング情報に基づいて、前記企業の組織における人材配置情報を生成するステップとを実施する。
【0013】
上記課題を解決するために、本願発明の人材配置支援プログラムは、企業の組織における人材の役割定義情報と前記組織における人材の働き方定義情報と、企業内で管理されている社内人材情報および前記企業外で管理されている社外人材情報とを記憶する記憶手段を備えるコンピュータに、前記役割定義情報および前記働き方定義情報と、前記社内人材情報および前記社外人材情報とを比較することにより、前記企業の組織における人材に関わるマッチング情報を生成するステップと、前記マッチング情報に基づいて、前記企業の組織における人材配置情報を生成するステップとを実施させる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、多種多様な働き方のニーズに対応し、企業における人材戦略に応じた適切な人材配置の検討を支援する人材配置支援システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、人材配置支援システムおける人材マッチングを説明するための図である。
図2図2は、人材配置支援システムの概要を示す図である。
図3図3は、人材配置支援システムの構成例を示す図である。
図4図4は、人材配置支援システムにおける役割定義情報、働き方定義情報、社内人材情報、および社外人材情報の一例を示す図である。
図5図5は、人材配置支援システムにおける役割定義情報および働き方定義情報と、社内人材情報および社外人材情報のマッチングの一例を示す図である。
図6図6は、人材配置支援システムにおける人材配置条件情報の一例を説明するための図である。
図7図7は、人材配置支援システムにおける人材配置条件情報を設定するユーザインタフェースの一例を説明するための図である。
図8図8は、人材配置支援システムにおける人材配置情報の提供シーケンスを説明するための図である。
図9図9は、人材配置支援システムにおける人材配置情報の提供処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
<人材配置支援システムにおける人材マッチング>
図1は、人材配置支援システムにおける人材マッチングを説明するための図である。
【0018】
本願発明における人材マッチングでは、企業の組織毎に役割定義情報、働き方定義情報が登録されており、これらの情報に適合する社内外の人材から抽出する。役割定義情報には、組織を構成する役割の役割情報、その役割の重要度、その役割に要求されるパフォーマンス等の情報が含まれ、人材の働き方定義情報には、勤務地情報、勤務時間情報の人材の働き方に関わる情報が含まれており、これらの情報に基づいて人材マッチングを行う。本願発明では、企業の組織における役割定義情報に加えて、多様な人材の働き方に関わる情報を用いて人材マッチングを行うことにより、多様な働き方をする社内外の人材の有効活用を図るものである。
【0019】
また、本願発明では、社内人材のみならず社外人材もマッチングの対象としている。社内人材に加えて、社外人材をマッチング対象とすることで、社内人材が不足している場合でも、役割定義情報や働き方定義情報に適合する人材を柔軟にかつコストパフォーマンス良く確保することができる。
【0020】
さらに、本願発明の人材マッチングでは、人材マッチングをする際の人材配置条件情報を設定することができる。人材配置条件情報は、定義情報と人材情報のマッチングを行う際のマッチングの度合を設定したり、企業が求める人材戦略をマッチングに反映させるための情報であり、パフォーマンスまたはコストの優先度、パフォーマンスのアンマッチ(不一致)の許容度等の情報が含まれている。人材配置条件情報を設定することで、各定義情報と社内外の人材情報が完全に一致しない場合でも、可能な限り必要な人材を確保するとともに、企業環境の変化に柔軟に対応し、企業における人材戦略に応じた人材配置情報を提供することができる。
【0021】
このように、本願発明では、働き方定義情報を含む定義情報と、社外人材情報を含む人材情報を用いて人材マッチングを行うことにより、多様な人材の働き方のニーズに対応するとともに、企業における人材戦略に応じた適切な人材配置を支援する人材配置情報を提供するものである。
【0022】
<人材配置支援システムの概要>
図2は、人材配置支援システムの概要を示す図である。人材配置支援システム10は、人材配置情報を利用する利用企業端末20、社外人材情報を有する人材派遣会社端末30とネットワークを介して接続されている。人材配置支援システム10は、利用企業端末20および人材派遣会社端末30から提供された情報に基づいて人材マッチングを行う。
【0023】
人材配置支援システム10は、役割定義情報、働き方定義情報、社内人材情報、社外人材情報および人材配置条件情報を用いて、定義情報と人材情報のマッチングを図ることにより人材配置情報を生成して、利用企業端末20に提供する。ここで、人材配置情報としては、企業の組織を構成する役割毎に、社内人材情報、社外人材情報から抽出された人材情報を提供するようなものが考えられる。人材配置支援システム10は、人材配置情報に社外人材が含まれる場合には、その社外人材に対応する人材派遣会社端末30に対して人材の調達を依頼する。
【0024】
人材配置情報を利用する利用企業端末20は、人材配置を行う組織の役割情報、働き方情報、社内人材情報、および人材配置条件情報を人材配置支援システム10に提供する。企業が有する社内人材情報には、各社員のスキル情報、評価情報等の情報が含まれる。
【0025】
人材派遣会社端末30は、人材配置支援システム10に、社外人材情報を提供する。人材派遣会社端末30が有する社外人材情報には、各人材のスキル情報、ランク情報等の情報が含まれる。
【0026】
<人材配置支援システムの構成>
図3は、人材配置支援システムの構成例を示す図である。人材配置支援システム10は、定義情報と人材情報のマッチング情報の生成、および人材配置情報の生成、提供を行う中央処理部11、各種情報の入力、表示を行う入力部14、表示部15、利用企業端末20、人材派遣会社端末30とネットワーク40を介して通信を行うI/F部16、および定義情報や人材情報等の各種情報を記憶するための記憶部17を備える。
【0027】
中央処理部11は、マッチング情報を生成するマッチング情報生成部12、および人材配置情報の生成、提供を行う人材配置情報生成・提供部13として動作する。記憶部17には、役割/働き方情報、社内/社外人材情報、人材配置条件情報のほか、マッチング情報、および人材配置情報等が記憶されている。
【0028】
マッチング情報生成部12では、役割定義情報及び働き方情報と、社内人材情報および社外人材情報とを比較することにより、人材情報等に関わるマッチング情報を生成する。人材配置情報生成・提供部13は、マッチング情報に基づいて人材配置情報生成し、提供する。
【0029】
ここで、提供する人材配置情報としては、企業の組織を構成する役割毎に、社内人材情報、社外人材情報から抽出された人材情報を提供するようなものが考えられる。抽出された人材が複数の場合は、それらの複数の人材の情報を配置候補者として提示してもよいし、それぞれの候補者のマッチングの度合を表す情報を併せて提供するようにしてもよい。
【0030】
マッチング情報生成部12では、必要に応じて、人材配置条件情報に基づいて、役割定義情報及び働き方情報と、社内人材情報および社外人材情報のマッチング情報を生成する。人材配置条件情報は、定義情報と人材情報のマッチングを行う際のマッチングの度合を設定したり、企業が求める人材戦略を反映したマッチングを行うための情報である。
【0031】
例えば、パフォーマンスのアンマッチの許容度が設定されている場合には、役割定義情報において要求されるパフォーマンスと人材情報における評価が完全に一致しない場合においても、設定されたアンマッチの許容度に応じて、要求されるパフォーマンスに近い評価やランクを有する人材を抽出することができる。また、パフォーマンスまたはコストの優先度が設定されている場合には、設定内容に応じて、パフォーマンスまたはコストを優先したマッチングが行われる。
【0032】
なお、人材配置支援システム10は、中央処理部、入出力部、I/F部、および記憶部を備えたコンピュータによって構成してもよく、中央処理部11における処理をプログラムによって実施するように構成してもよい。その場合には、中央処理部11に予めそのプログラムを搭載しておいてもよいが、プログラムを記憶部17に記憶しておき、実行する際に中央処理部11にロードするように構成してもよい。
【0033】
<役割/働き方定義情報、社内/社外人材情報>
図4は、人材配置支援システムにおける役割定義情報、働き方定義情報、社内人材情報、および社外人材情報の一例を示す図である。
【0034】
人材の役割定義情報には、組織を構成する役割の役割情報、役割の重要度、パフォーマンス/コストの優先度(C/Pタイプ)、人材調達タイプ(正規/契約社員/パート・アルバイト/派遣社員)、要求されるパフォーマンス、必要要員数、等が含まれるがこれらに限定されない。これらの情報を役割定義情報として設定することにより、企業における人材戦略に対応する人材を社内外から抽出する。
【0035】
人材の働き方定義情報には、勤務地情報、勤務時間情報(フルタイム/フレックス/時短勤務)、在宅勤務の可否、勤務地への出社条件(週1回勤務、等)、子育て支援情報(社内保育施設の有無)、等の情報が含まれるがこれらに限定されない。役割定義情報に加えて、定義情報として人材の働き方情報を設定することにより、多様な働き方をする人材を社内外の人材情報をから抽出し、多様な働き方をする人材を有効活用することが可能となる。
【0036】
企業が有する社内人材情報には、氏名、人材調達タイプ(正規/契約社員/パート・アルバイト/派遣社員)、スキル(役割)情報、評価情報、勤務地条件、勤務時間情報(フルタイム/フレックス/時短勤務等)、在宅勤務情報、等が含まれるがこれらに限定されない。社内人材情報に、勤務時間情報や在宅勤務情報等を含めれば、様々な個人属性を有し、多様な働き方をする社員を有効に活用した人材配置情報を提案することができる。
【0037】
人材派遣会社等が有する社外人材情報には、社名、人材調達タイプ(正規/契約社員/パート・アルバイト/派遣社員)、スキル(役割)情報、ランク情報、勤務地条件、勤務時間情報(フルタイム/フレックス/時短勤務)、コスト情報、等の情報が含まれるがこれらに限定されない。社内人材に加えて、社外人材をマッチング対象とすることで、社内人材が不足している場合でも、役割定義情報や働き方定義情報に適合する社外の労働力を柔軟にかつコストパフォーマンス良く確保することができる。
【0038】
<役割/働き方定義情報と社内/社外人材情報のマッチング>
図5は、人材配置支援システムにおける役割定義情報および働き方定義情報と、社内人材情報および社外人材情報のマッチングの一例を示す図である。なお、以下に説明する定義情報、人材情報の内容やそれらに基づくマッチングは例示であり、それらに限定されるものではない。
【0039】
図5の例では、定義情報は、組織情報、役割定義情報、および働き方定義情報から構成されており、組織情報は、人材を配置する企業の組織の情報であり、経営企画、総務人事、営業部、商品開発部等の組織から構成され、各組織は複数の役割から構成されている。
【0040】
役割定義情報には、組織情報を構成する役割毎に、役割の重要度、パフォーマンスまたはコストの優先度を定めるC/Pタイプ、正規社員や契約社員等、どのようなタイプの人材を調達するかを定める人材調達タイプ、その役割に要求されるパフォーマンス、その役割の必要要員数が定義されている。
【0041】
働き方定義情報は、役割毎に要求される働き方を定義したものであり、図5の例では、フルタイム勤務(FULL)が必要か、フレックス勤務(FLEX)等の時短勤務でも良いか等を設定する勤務時間情報と、在宅勤務が可能かを定める在宅勤務情報が定義されている。図4に記載したような、勤務地情報や子育て支援情報等の多種多様な働き方の情報を設定することができる。
【0042】
社内人材情報には、人材調達タイプ、スキル(役割)情報、評価情報、勤務時間情報、在宅勤務情報が定義されている。スキル情報は、役割定義情報における「役割情報」に対応し、評価情報は、役割定義情報における「パフォーマンス」に対応する。
【0043】
社外人材情報には、人材調達タイプ、社名、スキル(役割)情報、ランク情報、勤務時間情報、コスト情報が定義されている。スキル情報は、役割定義情報における「役割情報」に対応し、ランク情報は、役割定義情報における「パフォーマンス」に対応する。
【0044】
図5の人材マッチングの例では、役割定義情報における役割「営業事務」に対して、社内人材情報から、フルタイム勤務の社員1名と時短勤務(0.5)を希望する社員2名が抽出され、社外人材情報から、ランクBの人材1名が抽出されている。この例では、「営業事務」の役割定義情報における調達タイプ、パフォーマンス、働き方定義における勤務時間、在宅勤務の情報に適合する社内外の人材を抽出することができた。
【0045】
なお、図5の例では、役割定義情報における要求されるパフォーマンスに一致する人材が確保できた例を説明したが、要求されるパフォーマンスに一致する人材が確保できない場合もある。例えば、「営業企画」に求められるパフォーマンスは、「100」であり、そのようなハイパフォーマンスの人材は、社内外を通じても確保できない場合もある。このような場合には、人材配置条件情報の「パフォーマンスのアンマッチの許容度」として、「20」のアンマッチを許容するように設定しておけば、「評価」が「80」の人材を、要求されるパフォーマンスに近い人材として抽出することが可能となる。人材配置条件情報を設定することにより、より柔軟な人材マッチングが可能となる。
【0046】
本願発明では、働き方定義情報を含む定義情報と社外人材情報を含む人材情報を用いて人材マッチングを行うことにより、多種多様な働き方のニーズに対応し、企業における人材戦略に応じた適切な人材配置を支援する情報を提供するものである。
【0047】
<人材配置条件情報>
図6図7を用いて、人材配置支援システムにおける人材配置条件情報の設定について説明する。定義情報と人材情報のマッチングにおいては、各定義情報の数値や情報が人材情報における数値や情報と完全に一致しない場合が想定されるが、人材配置条件情報は、そのような場合でも、可能な限り必要な人材を確保し、また、企業環境の変化に柔軟に対応して、企業における人材戦略に応じた人材配置情報を提供するための情報である。
【0048】
図6は、人材配置支援システムにおける人材配置条件情報の一例を説明するための図である。図7は、人材配置支援システムにおける人材配置条件情報を設定するユーザインタフェースの一例を説明するための図である。なお、以下に説明する人材配置条件情報やユーザインタフェースは例示であり、それらに限定されるものではない。また、図7のユーザインタフェースは、利用企業端末に表示して、利用企業端末から人材配置条件情報を設定してもよいし、人材配置支援システムに設けた表示部に表示して、人材配置支援システムの入力部から人材配置条件情報を設定するように構成してもよい。
【0049】
<役割の重要度の優先度>
「役割の重要度の優先度」は、重要度の高い役割への人材配置を優先するか、全体最適化を優先するかを設定するものである。
【0050】
役割定義情報の「役割の重要度」は、組織における各役割の重要度を設定するものである。図5の例では、各役割の重要度に応じて、20〜100の数値が設定されており、数値が大きいほど役割の重要度が高いことを示している。「役割の重要度の優先度」は、定義情報と人材情報のマッチングをする際にこの役割の重要度の値をどの程度優先させるかを設定するものである。役割の重要度を優先してマッチングを図る場合には、重要度が高い役割に対して優先的に評価の高い人材を配置し、逆に、全体的なバランスを優先してマッチングを図る場合には、役割の重要度よりも複数の役割におけるマッチングのバランスを考慮して人材配置を行う。
【0051】
例えば、組織を構成する役割A、B、Cがあり、それぞれの重要度が100、80、40、求めるパフォーマンスがそれぞれ50、60、65であった場合に、役割に対応するスキルを保有する3名の社員 S、J、Yが、それぞれ75、70、65の評価値を有している場合を想定する。
【0052】
S、J、Yの各人材は、役割A、B、Cに求められるパフォーマンスを有しているので、各役割に対してどの人材を配置したとしても求められるパフォーマンスを満たしている。このような場合において、「役割の重要度の優先度」を、重要度を優先する値に設定した場合には、役割A、B、Cに対して、パフォーマンスの高い順に、S(75)、J(70)、Y(65)を配置する。一方、「役割の重要度の優先度」を、全体バランスを優先する値に設定した場合には、組織全体としてのバランスを考慮して、役割A、B、Cに対して、パフォーマンスの低い順に、Y(65)、J(70)、S(75)を配置することもできる。
【0053】
ここで、図7に示すように、人材配置条件情報を設定するユーザインタフェースに、「役割の重要度の優先度」を設定するダイヤルを設けてもよい。このダイヤルの値に応じて、重要度が高い役割に対して優先的に評価の高い人材を配置するのか、役割の重要度よりも複数の役割におけるマッチングのバランスを優先するのかの度合を設定することができる。
【0054】
このように、「役割の重要度の優先度」を設定することにより、役割の重要度に関して企業の人材戦略に応じたマッチングを行うことができる。
【0055】
図7の「役割の重要度の優先度」を設定するユーザインタフェースについて、より詳細な実施形態を以下に説明する。
【0056】
[使用目的]
役割への人材の割り当てについて、重要度の高い役割への割り当てを優先するか、全体最適化を優先するかを設定する。
[使用方法]
右に設定するほど、重要度の高い役割への人材の割り当てを優先し、左に設定するほど全体最適化を優先する。
[詳細説明]
役割定義情報の重要度には、通常は、100〜0の値を設定する。値が大きいほど、重要度が高い。極めて重要度の高い役割に対しては、100を超える値を設定することができる。組織を構成する役割A、B、Cがあり、それぞれの重要度が100、80、40、求めるパフォーマンスがそれぞれ50、60、65であった場合に、役割に対応するスキルを保有する3名の社員S、J、Yが、それぞれ75、70、65の評価値を有している場合を想定する。ダイヤル値の設定に応じて、以下のような人材割り当てが考えられる。
【0057】
(1)重要度の高い役割を優先:ダイヤル値=25
役割A 重要度:100 パフォーマンス:50 S 評価:75 GAP:50
役割B 重要度:80 パフォーマンス:60 J 評価:70 GAP:17
役割C 重要度:40 パフォーマンス:65 Y 評価:65 GAP:0
(2)役割の重要度と全体最適化を考慮:ダイヤル値=20
役割A 重要度:100 パフォーマンス:50 J 評価:70 GAP:40
役割B 重要度:80 パフォーマンス:60 S 評価:75 GAP:25
役割C 重要度:40 パフォーマンス:65 Y 評価:65 GAP:0
(3)全体最適化:ダイヤル値=−15
役割A 重要度:100 パフォーマンス:50 Y 評価:65 GAP:30
役割B 重要度:80 パフォーマンス:60 J 評価:70 GAP:17
役割C 重要度:40 パフォーマンス:65 S 評価:75 GAP:15
【0058】
[ダイヤル値の説明]
+100(右端) 〜 −100(左端)の値を設定することができる。ダイヤル値の幅については、MatchGAPの最大値と重要度差異の最大値の大きいほう×2に合致するように自動的に調整され、マッチ率の算出方法としては、(人材の評価/役割定義のパフォーマンス) × 100等が考えられる。
【0059】
ダイヤル値が、中央値「0」の場合は、以下のルールに従って、人材の割り当てが行われる。
・「重要度差異」:役割の重要度の差(重要度の高い方から低い方を引いた値)
・「MatchGap」:マッチ率の差(重要度の高い役割のマッチ率から重要度の低い役割のマッチ率を引いた値)
・「MatchGAP」>「重要度差異」が成り立つ場合は、人材の割り当てを入れ替える。
・概念としては、「基本的には、重要度の高い役割により評価の高い人を割り当てるが、比較的重要度の低い役割の方がより高い評価の人を求めており、役割の重要度の差があまり無い場合は、人を入れ替える。」ということである。
【0060】
ダイヤル値を「x」に設定した場合は、以下のルールに従って、役割への人材の割り当てが行われる。
・「MatchGAP」>max(「重要度差異」+x,zero) が成り立つ場合は、人材を入れ替える。
・ダイヤルを右に回してプラスの大きな値を設定すれば、重要度の高い役割への割り当てが優先され、左に回せば全体最適化が優先される。
【0061】
<パフォーマンスまたはコストの優先度>
「パフォーマンスまたはコストの優先度」は、パフォーマンス(評価、ランク)の高い人材を優先してマッチングをするか、コストを優先してマッチングをするかを設定するものである。
【0062】
役割定義情報のC/Pタイプには、組織における役割毎に、P(パフォーマンス)、C(コスト)、C/P(コストパフォーマンス)の何れかの属性を設定することができる。「パフォーマンスまたはコストの優先度」は、定義情報と人材情報のマッチングをする際に、人材のパフォーマンス(評価、ランク)を優先するのか、コストを優先させるのか、あるいは、コストパフォーマンスを優先するのかを設定するものである。例えば、「パフォーマンスまたはコストの優先度」が、パフォーマンス優先に設定された場合には、コストよりもパフォーマンスを優先してマッチングを行う。この場合、社内の人材よりも高いパフォーマンスの人材が社外にいた場合に、コストが高い場合であってもパフォーマンスを優先して、マッチングを行う。
【0063】
ここで、図7に示すように、人材配置条件情報を設定するユーザインタフェースに、「パフォーマンスまたはコストの優先度」を設定するダイヤルを設けてもよい。このダイヤルの値(1〜6)に応じて、人材のパフォーマンスを優先するのか、コストを優先させるのか、あるいはコストパフォーマンスを優先するのかの度合を設定することができる。
【0064】
このように、「パフォーマンスまたはコストの優先度」を設定すれば、パフォーマンスまたはコストに関して企業の人材戦略に応じたマッチングを行うことができる。
【0065】
<社内人材の優先度>
「社内人材の優先度」は、社内人材を優先的にマッチングするのか、社内人材および社外人材を平等にマッチングするのかを設定するものである。
【0066】
役割定義情報の「人材調達タイプ」には、役割毎に、人材調達タイプ(正規/契約社員/パート・アルバイト/派遣社員)を設定することができる。「社内人材の優先度」は、定義情報と人材情報のマッチングをする際に、社内人材をどの程度優先するのかを設定するものである。「社内人材の優先度」が、社内人材優先に設定された場合には、社内人材を優先してマッチングを行う。例えば、同様のパフォーマンスの人材が社内と社外の両方にいた場合には、社内人材が優先的にマッチングされることとなる。逆に、社内人材および社外人材を平等にマッチングするように設定された場合には、他の定義情報におけるマッチングを考慮して、社内人材と社外人材のどちらを配置するかを判断することができる。
【0067】
ここで、図7に示すように、人材配置条件情報を設定するユーザインタフェースに、「社内人材の優先度」を設定するダイヤルを設けてもよい。このダイヤルの値(0〜100)に応じて、社内人材を優先的にマッチングするのか、社内人材および社外人材を平等にマッチングするのかを設定することができる。また、図7に示すように、「人材調達タイプ」を有効とするかを設定するスイッチを設けてもよい。このスイッチにより「人材調達タイプ」を「無効」とすれば、「人材調達タイプ」に無関係に社内外から適合する人材を抽出することができる。
【0068】
さらに、どの範囲まで社内人材とするかを設定する社内人材を定義するためのスイッチを設けてもよい。このスイッチによれば、例えば、今現在組織で働いている契約社員や派遣社員を社内人材としてマッチングの対象とすることもできる。
【0069】
このように、「社内人材の優先度」を設定することにより、人材の調達タイプに関して企業の人材戦略に応じたマッチングを行うことができる。
【0070】
図7の「社内人材の優先度」を設定するユーザインタフェースについて、より詳細な実施形態を以下に説明する。
【0071】
[使用目的]
人材の異動/調達計画において、人員整理も辞さずに、パフォーマンス、コストパフォーマンス、コスト等を追求するのか、社内人材は極力活用するのか、その度合いを調整する。
[使用方法]
ダイヤルを左に設定するほど、社内人材の活用が優先される。左端に設定すると役割定義の「調達タイプ」に従って最適な人材が活用される。
[詳細説明]
役割定義情報には「調達タイプ(正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員、人材紹介、委託)という項目があり、サービスにプリセットされた役割定義では、一般的にアウトソーシングした方が効率的な役割については委託を活用するように設定されているなど、調達先を有効に活用するよう設定されている。この状態で異動/調達計画を作成した場合、社内人材が余剰となることが多くなる。雇用確保の観点から社内人材を極力活用したいという場面では、本ダイヤルを使用する。ダイヤルを左に回すほど、役割に対して、社内人材が優先的にマッチングされる。
【0072】
[ダイヤル値の説明]
デフォルトは、右端に設定されている。左に回すほど、社内人材の役割に対するマッチ率が高く判定されるようになり、左端で、「調達タイプの設定において社内人材を割り当て可能な」全ての役割に社内人材が割り当てられる。
[スイッチの説明]
デフォルトは、オンに設定されている。この状態では、役割定義の調達タイプに設定された調達形態の人材が役割に割り当てられる。本スイッチをオフにした場合は、役割定義の調達タイプを無視して人材のマッチングの調整が行われる。その為、本スイッチをオフにしてダイヤルを左端に設定した場合は、全ての役割に対して、社内人材が割り当てられる。逆に本スイッチをオフにして、ダイヤルを右方向に設定したとしても、調達タイプが社内人材に設定されている役割について、それ以外の人材が割り当てられることは無い。
[ボタンの説明]
社内人材の定義にどのような雇用形態の人材を含めるかを設定する。
【0073】
<パフォーマンスのアンマッチの許容度>
「パフォーマンスのアンマッチの許容度」は、役割定義のパフォーマンスレベルの人材が存在しない場合に、どの程度のアンマッチ(不一致)を許容するかを設定するものである。
【0074】
役割定義情報の「パフォーマンス」は、各役割に要求されるパフォーマンスを設定するものである。「パフォーマンスのアンマッチの許容度」は、人材情報の中に、必要なパフォーマンスの人材が確保できない場合に、パフォーマンスのアンマッチをどの程度許容するかを設定するものである。
【0075】
ここで、図7に示すように、人材配置条件情報を設定するユーザインタフェースに、「パフォーマンスのアンマッチの許容度」を設定するダイヤルを設けてもよい。このダイヤルの値(0〜5)に応じて、パフォーマンスのアンマッチをどの程度許容するのかを設定することができる。また、図7に示すように、社内人材のみについて、アンマッチを許容するかを設定するスイッチや、どの範囲まで社内人材として定義するかを設定するスイッチを設けてもよい。
【0076】
このように、「パフォーマンスのアンマッチの許容度」を設定すれば、必要なパフォーマンスの人材が確保できない場合でも、可能な限り情報のマッチングを図り、要求されるパフォーマンスに対してより適切な人材を抽出することができる。
【0077】
<役割のマッチングの厳密度>
「役割のマッチングの厳密度」は、役割定義の役割と人材情報の役割(スキル)のマッチングの厳密度を設定するものである。
【0078】
役割定義情報に含まれる各役割の情報は企業の事業戦略等に応じて変更されるものであり、役割定義情報の役割と人材情報の役割(スキル)が完全に一致しない場合も想定される。「役割のマッチングの厳密度」は、役割定義の役割と人材情報の役割(スキル)のマッチングをどの程度厳密に判断するかを設定するものである。例えば、役割定義情報における役割として「経営企画」が設定されている場合に、人材情報に含まれるスキル情報の中に「経営企画」がない場合でも、同じ上位概念の役割(スキル)である「企画」に含まれる「事業戦略」や「営業戦略」の役割(スキル)を備えた人材をマッチングするような場合が想定される。
【0079】
ここで、図7に示すように、人材配置条件情報を設定するユーザインタフェースに、役割定義の役割と人材情報の役割(スキル)のマッチングの厳密度を設定するダイヤルを設けてもよい。このダイヤルの値(0〜100)に応じて、名称の類似する役割をマッチング対象とするのか、同じ上位概念に含まれる役割の中でマッチングをするのか等の役割のマッチングの厳密度を設定することができる。
【0080】
このように、「役割のマッチングの厳密度」を設定すれば、役割定義情報の役割と人材情報の役割が一致しない場合においても、可能な限り情報のマッチングを図り、要求される役割に対してより適切な人材を抽出することができる。
【0081】
<パフォーマンス範囲の調整度>
「パフォーマンス範囲の調整度」は、役割定義のパフォーマンスの数値範囲と人材情報における評価の数値範囲が一致しない場合に、人材情報の評価に合わせてパフォーマンス範囲を調整するかを設定するものである。
【0082】
定義情報と人材情報のマッチングをする際に、役割定義情報に含まれるパフォーマンスの数値範囲と、人材情報における評価やランクの数値範囲が一致しない場合もある。例えば、役割定義情報で設定したパフォーマンスが、100から40の数値範囲で分布しているのに対して、人材情報における評価の数値範囲が、60〜40の幅で分布しているような場合である。このような場合に、「パフォーマンス範囲の調整度」は、役割定義のパフォーマンスの数値範囲と人材情報における評価の数値範囲を揃えるか否かを設定するものである。上記の例では、役割定義のパフォーマンスの数値範囲と人材情報における評価の数値範囲を揃えれば、要求されるパフォーマンスが100の役割に対して、パフォーマンスが60の人材を配置することも可能となる。
【0083】
ここで、「パフォーマンス範囲の調整度」の設定は、図7に示すような、パフォーマンス範囲の調整をするか否かのON/OFFスイッチにより、設定すればよいが、調整度の値をより詳細に設定するするダイヤルを設けてもよい。例えば、要求されるパフォーマンスが80の役割に対して、パフォーマンスが60の人材を配置するように調整することもできる。
【0084】
このように、「パフォーマンス範囲の調整度」を設定すれば、人材情報における評価やランクの数値範囲が一致しない場合においても、可能な限り情報のマッチングを図り、要求されるパフォーマンスに対してより適切な人材を抽出することができる。
【0085】
<役割の拡大の期待度>
「役割の拡大の期待度」は、特定の人材に対する役割(スキル)の拡大の期待度を調整するものである。
【0086】
役割定義情報の役割と人材情報の役割(スキル)が完全に一致しない場合において、評価、スキルの高い人材は、異なる役割への適応能力が高いので、人材情報に含まれていない役割に対する拡大を期待できる場合がある。「役割の拡大の期待度」では、隣接する役割や同じ上位概念に含まれる役割への適用の期待度を設定し、その期待度を考慮してより戦略的に異なる役割への人材のマッチングを行うものである。例えば、人材情報における役割(スキル)として「営業企画」が登録されている評価の高い人材を「経営企画」に配置するように「役割の拡大の期待度」を設定することができる。さらに、期待度が高い場合には、役割(スキル)として「商品開発」が登録されている評価の高い人材を、役割の上位概念が異なる「経営企画」に配置するように「役割の拡大の期待度」を設定することもできる。
【0087】
ここで、図7に示すように、「役割の拡大の期待度」は、人材配置条件情報を設定するユーザインタフェースに設けたダイヤルにより設定すればよい。このダイヤルの値(0〜100)に応じて、隣接する役割や同じ上位概念に含まれる役割へのマッチングをするのかを設定することができる。さらに、図7に示すように、期待度の設定を社内人材のみに限定するスイッチ、期待度を設定する人材のパフォーマンスを制限するためのダイヤルや、どの範囲まで社内人材として定義するかを設定するスイッチを設けてもよい。
【0088】
このように、「役割の拡大の期待度」を設定すれば、役割の拡大に関して企業の人材戦略に応じたマッチングを行うことができる。
【0089】
<人材配置情報の提供シーケンス>
図8は、人材配置支援システムにおける人材配置情報の提供シーケンスを説明するための図である。
【0090】
利用企業端末は、人材配置を行う組織の役割定義情報、働き方定義情報、社内人材情報、および人材配置条件情報を人材配置支援システムに提供する。人材配置支援システムでは、受信したそれらの情報を登録する。
【0091】
人材派遣会社端末は、社外人材情報を人材配置支援システムに提供し、人材配置支援システムは、受信した社外人材情報を登録する。
【0092】
人材配置支援システムは、役割定義情報、働き方定義情報、社内人材情報および人材配置条件情報、社外人材情報を用いて、定義情報と人材情報のマッチングを図ることにより人材配置情報を生成して、利用企業端末に提供する。
【0093】
また、人材配置支援システムは、人材配置情報に社外人材が含まれる場合には、その社外人材に対応する人材派遣会社端末に対して人材の調達を依頼する。
【0094】
<人材配置情報の提供処理>
図9は、人材配置支援システムにおける人材配置情報の提供処理を説明するための図である。
【0095】
人材配置支援システムは、人材配置を行う組織の役割定義情報、働き方定義情報、社内人材情報、および人材配置条件情報をそれぞれ受信し、受信した情報を登録する(S1−1〜S1−6)。
【0096】
人材配置支援システムは、社外人材情報を受信し、受信した社外人材情報を登録する(S1−7、S1−8)。
【0097】
人材配置支援システムは、役割定義情報及び働き方情報と社内人材情報および社外人材情報とを比較することにより、人材情報等に関わるマッチング情報を生成し(S1−9)、生成したマッチング情報に基づいて人材配置情報生成して、利用企業に提供する(S1−10、S1−11)。
【0098】
人材配置支援システムは、人材配置情報に社外人材が含まれる場合には、その社外人材に対応する人材派遣会社端末に対して人材の調達を依頼する調達依頼を送信する(S1−12)。
【0099】
以上説明したように、本実施の形態における人材配置支援システムは、働き方定義情報を含む定義情報と社外人材情報を含む人材情報を用いて人材マッチングを行うように構成したので、多種多様な働き方のニーズに対応した人材配置情報を提供することができる。
【0100】
さらに、定義情報と人材情報のマッチングを行う際のマッチングの度合等を設定する人材配置条件情報に基づいて人材マッチングを行うようにすれば、企業環境の変化に柔軟に対応し、企業における人材戦略に応じたより適切な人材配置情報を提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本願発明は、企業の組織における最適な人材配置を支援する人材配置支援システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
10…人材配置支援システム、11…中央処理部、12…マッチング情報生成部、13…人材配置情報生成・提供部、14…入力部、15…出力部、16…I/F部、17…記憶部、20…利用企業端末、30…人材派遣会社端末、40…ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9