特許第6970610号(P6970610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970610
(24)【登録日】2021年11月2日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】建物の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/18 20060101AFI20211111BHJP
   E04B 2/88 20060101ALI20211111BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   E04G3/18 A
   E04B2/88
   E04G21/14
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-249247(P2017-249247)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-112904(P2019-112904A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 雅司
(72)【発明者】
【氏名】松本 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】橘 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】添田 智美
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 智洋
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3679026(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/130444(US,A1)
【文献】 特開平6−212782(JP,A)
【文献】 特開2016−94788(JP,A)
【文献】 特開昭59−165790(JP,A)
【文献】 特開2004−183391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 3/18
E04B 2/88− 2/96
E04G 21/14−21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の外壁面材が上下に並べられる外壁を備える建物の施工方法であって、1枚または複数枚の上記外壁面材および下地材を存在させないことにより得られる一時開口を通して屋内側から屋外側に突出する複数の持出部材を設ける工程と、上記持出部材を用いて足場を設ける工程と、上記足場の撤去後に上記一時開口に外壁面材を屋内側から取り付ける工程と、を含むことを特徴とする建物の施工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の建物の施工方法において、最上位置の外壁面材を建物の躯体に取り付ける一方で、上から2段目以下の1枚または複数枚の外壁面材および下地材を一時的に存在させないことを特徴とする建物の施工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の建物の施工方法において、建物の躯体に屋根が取り付けられている状態で、上記足場を用いて最上位置の外壁面材に屋外設置部材を取り付けることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の建物の施工方法において、上記外壁として、複数の外壁面材が上下に並べられて一体化された形態の外壁パネルを用い、当該外壁パネルを、1枚または複数枚の上記外壁面材を存在させない状態で建物の躯体に取り付けることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項5】
請求項4に記載の建物の施工方法において、上記外壁パネルは、上記外壁面材および当該外壁面材が固定される第1下地材が存在しない箇所を有しており、上記第1下地材が存在しない箇所を跨いで上下の第1下地材を縦に連結する第2下地材が着脱可能に取り付けられていることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項6】
請求項5に記載の建物の施工方法において、上記第2下地材を第1下地材から取り外すことで形成した一時開口を利用して足場を作製する一方で、上記足場の撤去後には、上記一時開口に外壁面材を屋内側から取り付け、第2下地材を第1下地材に取り付けることを特徴とする建物の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の外壁面材が上下に並べられた外壁を有する建物の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、大判化外壁パネルおよびこの大判化外壁パネルを建物の躯体に取り付ける構造が開示されている。大判化外壁パネルは、パネルフレームと、このパネルフレームに取付けられた上下に並ぶ複数枚の、断熱材を含む横長形状の外壁面材とを備える。また、上記パネルフレームは、左右の縦フレーム材および上下端の横フレーム材が矩形に組まれた外周フレーム部と、この外周フレーム部に互いに横幅方向に間隔を開けて配置されて上下端が上下の横フレーム材に接合された複数の縦胴縁とからなる。
【0003】
また、特許文献2には、足場を組むことなく,建物開口部毎に設置することによって建物開口部の工事をなし得るようにした養生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−113839号公報
【特許文献2】特開2006−152695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献はいずれも、複数の外壁面材が上下に並べられた外壁を有する建物の効率的な施工方法を開示するものではない。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、複数の外壁面材が上下に並べられた外壁を有する建物を効率的に施工できる建物の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の建物の施工方法は、上記の課題を解決するために、複数の外壁面材が上下に並べられる外壁を備える建物の施工方法であって、1枚または複数枚の上記外壁面材および下地材を存在させないことにより得られる一時開口を通して屋内側から屋外側に突出する複数の持出部材を設ける工程と、上記持出部材を用いて足場を設ける工程と、上記足場の撤去後に上記一時開口に外壁面材を屋内側から取り付ける工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
上記の方法であれば、建てようとする建物の周囲に地上から軒まで足場を組むことなく、上記一時開口を用いて作製した足場によって、建物の高位置において屋外設置部材を外壁面材に取り付ける作業等が容易に行えるようになる。また、上記一時開口は、例えば、建物の桁面(平側)の全幅に渡って形成することが可能であるので、この一時開口を用いた足場も桁面(平側)の全幅に渡って作製することもできる。
【0009】
上記の建物の施工方法において、最上位置の外壁面材を建物の躯体に取り付ける一方で、上から2段目以下の1枚または複数枚の外壁面材および下地材を一時的に存在させないこととしてもよい。これによれば、上記足場を用いて最上位置の外壁面材に屋外設置部材である雨樋等を容易に取り付けることができる。
【0010】
上記の建物の施工方法において、建物の躯体に屋根が取り付けられている状態で、上記足場を用いて最上位置の外壁面材に屋外設置部材を取り付けてもよい。これによれば、上記屋根の下端側の適切な位置に雨樋等を取り付けることができる。
【0011】
上記の建物の施工方法において、上記外壁として、複数の外壁面材が上下に並べられて一体化された形態の外壁パネルを用い、当該外壁パネルを、1枚または複数枚の上記外壁面材を存在させない状態で建物の躯体に取り付けるようにしてもよい。これによれば、複数の外壁面材が上下に並べられて一体化された外壁パネルによる外壁の施工を可能としつつ、上記外壁面材を存在させない箇所において当該外壁パネルに建物施工時に利用できる一時開口を形成することができる。
【0012】
上記の建物の施工方法において、上記外壁パネルは、上記外壁面材および当該外壁面材が固定される第1下地材が存在しない箇所を有しており、上記第1下地材が存在しない箇所を跨いで上下の第1下地材を縦に連結する第2下地材が着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0013】
上記の建物の施工方法において、上記第2下地材を第1下地材から取り外すことで形成した一時開口を利用して足場を作製する一方で、上記足場の撤去後には、上記一時開口に外壁面材を屋内側から取り付け、第2下地材を第1下地材に取り付けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明であれば、外壁面材および下地材を存在させないことにより得られる外壁の一時開口を通して足場が形成されるので、効率的な建物施工が行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施形態にかかる建物の施工方法で用いられる外壁パネルの施工時構造体を示した背面図である。
図2】同図(A)は図1の外壁パネルにおける外壁面材の上部および下部の断面を示した説明図であり、同図(B)は図1の上下に並ぶ外壁面材の嵌め込み箇所を示した説明図である。
図3図1の外壁パネルの施工時構造体を地上で組み立てる地組架台の一例を示した正面図である
図4図1の外壁パネルの施工時構造体を建物の躯体に取り付けた状態を示した説明図である。
図5図1の外壁パネルの施工時構造体を建物の躯体に取り付けるために天秤で吊り上げている状態を示した説明図である。
図6図1の外壁パネルの施工時構造体に形成された一時開口および他の外壁パネルの施工時構造体に形成された一時開口を利用して作製された足場および昇降路を示した説明図である。
図7図1の外壁パネルの施工時構造体に形成された一時開口を利用して作製された足場を示した説明図である。
図8】実施形態を示す図であって、同図(A)は最上階に設けた昇降路を、建物の屋根等を省略して示した説明図であり、同図(B)は、同図(A)に、屋根、外壁パネル、足場を重ねて描いた説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態にかかる建物の施工方法で用いられる外壁パネルの施工時構造体5は、複数の横長の外壁面材51を上下に並べて下地材である第1下地材(縦胴縁)52で相互に連結されて一体化された形態で建物の躯体に取り付けられる構造を有する。図1に示す例では、6本の第1下地材52を備えており、各第1下地材52は、リップ溝形鋼等の開放断面鋼材或いは角形鋼管などの閉鎖断面鋼材からなる。
【0017】
上記外壁面材51は、例えば、図2(A)および図2(B)に示すように、不燃断熱材51aを鋼板51b、51cで挟み込んだ金属サンドイッチパネルである。2枚の外壁面材51を上下に並べた場合、下段に位置する外壁面材51の上端面に形成された横幅方向に長い2か所の凹部51dに、上段に位置する外壁面材51の下端面に形成された横幅方向に長い2か所の凸部51eが嵌まり込むことにより、上下の外壁面材51が互いに面外方向に位置ずれしないように組み合わされる。
【0018】
また、例えば、図3に示す地組架台1を用いることにより、上記複数の外壁面材51を上下に並べて第1下地材52で連結した外壁パネルを、当該外壁パネルが取り付けられる建物の躯体の外壁取付箇所とは異なる場所で組み立てることができる。上記地組架台1は、例えば、複数の柱状部材11と梁状部材12とを縦横に組んでなるものであるが、その構造については図3に示すものに限定されない。
【0019】
作業者は、上記第1下地材52を地組架台1にセットした後に、外壁面材51をセットし、このセットした上記外壁面材51の上端部側にビス等をねじ込み、上記外壁面材51を、先にセットした上記第1下地材52に固定する。この作業を繰り返すことで外壁パネルの施工時構造体5が作製される。
【0020】
上記外壁パネルの施工時構造体5では、上から2段目の外壁面材51が存在すべき箇所において第1下地材52が分断されて上下に離間しており、最上位置の外壁面材51は上側の第1下地材52に装着され、上から2段目となる外壁面材51および第1下地材52は未装着とされ、上から3段目以下では全ての外壁面材51が下側の第1下地材52に装着されている。すなわち、この例の外壁パネルの施工時構造体5は、上から2段目の1段のみ外壁面材51および第1下地材52が存在しない構造を有する。
【0021】
そして、上記外壁パネルの施工時構造体5は、図1に示したように、例えば、最上位置の外壁面材51から6段目となる外壁面材51に至る縦長さを有する下地材である第2下地材53を備えている。上記第2下地材53は、上記第1下地材52が不存在の箇所を跨いで、上下に位置する第1下地材52と接続される。上記第2下地材53は、上記地組架台1において上記第1下地材52に取り付けることができる。上記第2下地材53は、上記第1下地材52に対して着脱自在に取り付けられており、施工時構造体5が建物の躯体7に取り付けられた後で一旦外せるようになっている。
【0022】
上記第1下地材52は、例えば、2つの対向面部およびこれら対向面部を繋ぐ閉鎖面部を有する溝形鋼からなり、上記対向面部の一方の側において外壁面材51がビス固定されている。
【0023】
また、図4に示すように、上記外壁パネルの施工時構造体5が取り付けられる建物の躯体7は、例えば、屋根7Aが支持される屋根梁71、耐風梁72、床梁73等を備えている。また、上記屋根梁71には、繋ぎ材71aが所定のピッチで固定されており、また、繋ぎ材71aを貫通させて屋根側耐風梁72Aが設けられている。上記外壁パネルの施工時構造体5の建物の躯体7への取り付けにおいては、例えば、上記第1下地材52の上記対向面部の他方の側が、上記建物の躯体7における屋根側耐風梁72A、耐風梁72、床梁73等に、Lアングル等の金具、固定ボルト、高さ調整ボルト等を用いて固定される。
【0024】
また、例えば、上記第2下地材53も溝形鋼とされ、その閉鎖面部を上記第1下地材52の閉鎖面部に対面させることで、上記第1下地材52の横位置に取り付けられる。上記閉鎖面部には、例えば、所定ピッチでボルト挿通孔が形成されており、このボルト挿通孔に縫い通されたボルトとナットとによって、上記第2下地材53が上記第1下地材52に着脱自在に取り付けられる。なお、上記第1下地材52および上記第2下地材53が閉鎖断面形状を有する角形鋼管である場合でも、同様のボルトによる取付構造とすることができる。また、上記の着脱自在とするための構造は、ボルトとナットを用いる構造に限らない。
【0025】
また、外壁パネルの施工時構造体5は、図5に示すように、天秤8を用いて吊り上げることができる。この天秤8は、一方の側に固定部81を備え、他方の側にカウンターウェイト82を備える。上記固定部81は、外壁パネルの施工時構造体5の第1下地材52、第2下地材53、外壁面材51、或いは、これらに仮固定された部材に固定される。天秤8はクレーン等の吊元83によって吊られる。
【0026】
建物の施工においては、上記のように吊り上げた外壁パネルの施工時構造体5を上記第1下地材52によって建物の躯体7に取り付けていく。より具体的には、上記外壁パネルの施工時構造体5における上側の第1下地材52を屋根側耐風梁72Aに固定し、下側の第1下地材52を耐風梁72に固定する。なお、外壁パネルの施工時構造体5の下方には、全ての外壁面材51が取り付けられている通常の外壁パネル5Aが建物の躯体7に取り付けられており、この外壁パネル5Aの下地材の上端に、上記外壁パネルの施工時構造体5の第1下地材52の下端が、例えばジョイントプレートによって固定される。
【0027】
上記のように、外壁面材51における第1下地材52を建物の躯体7に固定した後に、上記第2下地材53を上記第1下地材52から取り外す。上記第1下地材52は上記のように躯体7に固定されているので、上記第2下地材53を上記第1下地材52から取り外しても、上記外壁面材51が躯体7から外れることはない。そして、このように上記第2下地材53を上記第1下地材52から取り外すことで、図6および図7に示すように、外壁面材51の存在しない箇所において上記第2下地材53も存在しない一時開口、すなわち、下地材で遮られない施工時利用が可能な開口を形成する。
【0028】
例えば、建物の最上階の桁面において、複数枚の上記施工時構造体5が躯体7に取り付けられる。図6に示す例では、右から1枚目と3枚目の施工時構造体5については、上から2段目の外壁面材のみが不存在となっている。一方、右から2枚目の施工時構造体5Bについては、昇降路31を配置するために、上から2段目、3段目および4段目の外壁面材51が不存在とされている。
【0029】
上記昇降路31は、図8(A)、図8(B)にも示すように、最上階の屋内側の床面に設置される第1階段部31Aと、上記右から2枚目の施工時構造体5Bにおける中央上位置の外壁面材51上を渡る渡り床部31Bと、この渡り床部31Bの屋外側に設置され、上方の足場32に連結される第2階段部31Cとを備える。
【0030】
上記足場32においては、例えば、2本の屋根梁71,71から垂下された支持部材32aによって、水平配置された持出部材32bの基端側が2点支持され、この持出部材32bの先端側が一時開口を通して屋外側に突出される。上記持出部材32bは、桁面の水平方向に複数設置される。そして、上記複数の持出部材32b上に歩み板等を配置して足場32の床を作製する。また、足場32の屋外側端部に手摺り32cを取り付ける。なお、上記昇降路31や足場32は単管(パイプ)やパイプ止め等を用いて既存の方法で作製することができる。
【0031】
上記足場32を利用することで、外壁回りの作業を行うことができる。すなわち、建てようとする建物の周囲に地上から軒まで足場を組むことなく、上記一時開口を用いて作製した足場32によって、建物の高位置において屋外設置部材を外壁面材51に取り付ける作業等が容易に行えるようになる。また、上記一時開口は、例えば、建物の桁面(平側)の全幅に渡って形成することが可能であるので、この一時開口を用いた足場32も桁面(平側)の全幅に渡って作製することもできる。
【0032】
また、上記のように、最上位置の外壁面材51が建物の躯体7に取り付けられると、最上位置の外壁面材51に、屋外設置部材として雨樋等を容易に取り付けることができる。さらに、上記建物の躯体7に屋根7Aが取り付けられている状態で、最上位置の外壁面材51に雨樋を取り付けることにより、上記屋根7Aの下端に対して的確な位置に当該雨樋を取り付けることができる。
【0033】
上記足場32を用いた作業が完了したら、上記昇降路31および上記足場32を解体撤去するとともに上記持出部材32bを撤去する。上記足場32の解体は屋内側から行うことができる。そして、上記一時開口を塞ぐように第1下地材52付きの外壁面材51を屋内側から後付けして、縦に並ぶ複数の第1下地材52を第2下地材53によって連結し、上記施工時構造体5を外壁パネルとして完成させる。なお、例えば、最上位置の外壁面材51が躯体7に対して長孔等により多少上下動可能に仮固定できるようにしておくことで、後付けされる上記外壁面材51の取り付けが容易になる。また、ボルト挿通孔が形成されたジョイントプレートを、第1下地材52と第2下地材53の連結箇所に介在させて、これら3枚となる板部分をボルト締結してもよい。
【0034】
また、この実施形態のように、複数の外壁面材51が上下に並べられて一体化された形態の外壁パネルにおいて1枚または複数枚の上記外壁面材51を存在させない施工時構造体5を用いると、このような外壁パネルによる外壁の施工を可能としつつ、上記外壁面材51を存在させない箇所において当該外壁パネルに建物施工時に利用できる一時開口を形成することができる。
【0035】
なお、上記の例では、上記施工時構造体5を用いたが、これに限定されるものではなく、建物の躯体7に外壁面材51を1枚1枚固定していく施工法においても、一時開口を形成して足場を形成することができる。最上階に足場を作製する場合には、この足場を用いて最上位置の外壁面材51を躯体7に取り付けることもできる。足場の作製位置は最上階に限らない。
【0036】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 :地組架台
5 :施工時構造体
5A :外壁パネル
5B :施工時構造体
7 :躯体
7A :屋根
8 :天秤
11 :柱状部材
12 :梁状部材
31 :昇降路
31A :第1階段部
31B :渡り床部
31C :第2階段部
32 :足場
32a :支持部材
32b :持出部材
51 :外壁面材
51a :不燃断熱材
51b :鋼板
51c :鋼板
51d :凹部
51e :凸部
52 :第1下地材(下地材)
53 :第2下地材(下地材)
71 :屋根梁
71a :繋ぎ材
72 :耐風梁
72A :屋根側耐風梁
73 :床梁
81 :固定部
82 :カウンターウェイト
83 :吊元
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8