(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970810
(24)【登録日】2021年11月2日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】自動車のエアフィルタ用のフィルタ要素およびエアフィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20060101AFI20211111BHJP
F02M 35/024 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
B01D46/00 C
F02M35/024 511D
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-506977(P2020-506977)
(86)(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公表番号】特表2020-529313(P2020-529313A)
(43)【公表日】2020年10月8日
(86)【国際出願番号】EP2018066700
(87)【国際公開番号】WO2019029888
(87)【国際公開日】20190214
【審査請求日】2020年4月3日
(31)【優先権主張番号】102017007498.4
(32)【優先日】2017年8月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハ,エリック
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−236437(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0029549(US,A1)
【文献】
特開平11−013561(JP,A)
【文献】
特開昭54−034182(JP,A)
【文献】
実開昭59−041662(JP,U)
【文献】
特開平03−134417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00−46/54
B01D39/00−39/20
B60H1/00−3/06
F02M35/00−35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ要素(10)のフィルタ部材(14)の少なくとも一部の領域を囲むフレーム部(16)を有し、エアフィルタのハウジング(12)によって形成される収容空間(28)に挿入可能な、自動車のエアフィルタのための前記フィルタ要素であって、
前記フィルタ要素(10)の前記収容空間(28)への挿入により、開始位置から機能的位置へ移動可能な少なくとも1つの保持要素(36)を備え、
少なくとも1つの前記保持要素は、前記機能的位置において、前記収容空間(28)の挿入口(52)を閉じるためのカバー要素(58)を前記ハウジング(12)に取り付けるための少なくとも1つの締結要素(44,78)が取り付け可能に形成されることを特徴とするフィルタ要素。
【請求項2】
少なくとも1つ前記保持要素(36)は、柔軟性のある接続片(34)によって前記フレーム部(16)に保持され、少なくとも1つの前記保持要素(36)が前記接続片(34)の変形により前記開始位置から前記機能的位置に移動できる
ことを特徴とする請求項1記載のフィルタ要素。
【請求項3】
フレーム部(16)の側壁(20,22)は、前記フィルタ要素(10)を収容空間(28)に挿入可能な前記フィルタ要素(10)の挿入方向に延在し、
少なくとも1つの保持要素(36)は、前記開始位置において、前記側壁(20,22)と第1の角度(65)を形成し、前記機能的位置において、前記側壁(20,22)と前記第1の角度(65)より大きい第2の角度(68)を形成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のフィルタ要素。
【請求項4】
少なくとも1つの前記保持要素(36)は、前記機能的位置において前記側壁(20,22)に対して直角に配置される、
ことを特徴とする請求項3記載のフィルタ要素。
【請求項5】
少なくとも1つの前記保持要素(36)は、内ねじ(38)を有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項6】
少なくとも1つの前記保持要素(36)は、前記締結要素(44,78)に形成された少なくとも1つのピン(72)のための容器70を有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項7】
少なくとも1つの前記保持要素(36)は、前記締結要素(44,78)における対応するラッチ要素(98)のためのラッチ要素(100)を有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のフィルタ要素。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のフィルタ要素(10)を備えた、自動車用のエアフィルタであって、
前記フィルタ要素は、前記エアフィルタの前記ハウジング(12)に設けられる前記収容空間(28)に導入され、
前記カバー要素(58)は、前記フィルタ要素(10)の少なくとも1つの前記保持要素(36)に少なくとも1つの前記締結要素(44,78)を取り付けることにより前記ハウジング(12)に取り付けられ、前記収容空間(28)の挿入口(52)が閉じられる
ことを特徴とするエアフィルタ。
【請求項9】
前記カバー要素(58)は、前記フィルタ要素(10)が前記収容空間(28)から取り外される前に前記挿入口(52)から取り外すことができる、前記収容空間(28)のための個別の閉鎖部材として形成される
ことを特徴とする請求項8記載のエアフィルタ。
【請求項10】
前記ハウジング(12)は、少なくとも1つのガイドスロット(54)を有し、
少なくとも1つの前記保持要素(36)を前記ガイドスロット(54)に導入することにより、該保持要素(36)を前記開始位置から前記機能的位置に移動させることができる
ことを特徴とする請求項8または請求項9記載のエアフィルタ
【請求項11】
少なくとも1つの前記締結要素(44,78)が、少なくとも1つの保持要素(36)に取り付けられる場合、
前記機能的位置にある少なくとも1つの保持要素(36)は、前記ハウジング(12)のハウジング部分(66)の後方に係合し、
前記ハウジング部分(66)に形成された通路開口部(56)に少なくとも1つの前記締結要素(44,78)のシャフト部(42,84)が通される
ことを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載のエアフィルタ。
【請求項12】
前記シャフト部(42,84)は、ねじ山(46)及び/又は前記シャフト部(42,84)を回転させることにより容器(70)に挿入可能な少なくとも1つのピン(72)を有する、又は、前記シャフト部(42,84)は、該シャフト部(42,84)の長手方向に垂直に延在する回転軸(82)周りを旋回可能であり、該旋回により前記締結要素(44,78)が解放位置に移動し、前記保持要素(36)への前記締結要素(44,78)の取り付けが解除される
ことを特徴とする請求項11記載のエアフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエアフィルタ用のフィルタ要素であって、フィルタ要素のフィルタ部材を少なくとも部分的に囲むフレーム部を有するフィルタ要素に関するものである。フィルタ要素はエアフィルタのハウジングによって供される収容空間に設置することが可能である。更に、本発明はその種のフィルタ要素を有するエアフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は自動車内の空調装置におけるスライドイン式エアフィルタについて記載されている。エアフィルタ付きのラックは挿入面に並行し、また、挿入方向に対して対角である曲度の軸の周囲で曲げることが可能である。ラックフレームのこの曲げはスペースに限りがある場合あるいは十分なスペースがない場合でも空調装置にラックエアフィルタを簡単に挿入できることを意図している。
【0003】
更に、エアフィルタのハウジングによって形成されているエアフィルタのフィルタ要素用の収容空間をカバーにより閉じることが先行技術から知られている。カバーは例えば、エアフィルタのハウジングにねじ止めすることによって固定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 063 252 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、収容空間の挿入口がカバーによって閉じられている場合、エアフィルタのハウジングにフィルタ要素が正しく設置されたことを確認することが困難であった。
【0006】
したがって、本発明の課題は、上述のタイプのフィルタ要素であって、収容空間がカバー要素によって閉じられた場合でも、フィルタ要素がエアフィルタ内に設置されているか否かを容易に確認可能なフィルタ要素、及びそのようなフィルタ要素を有するエアフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、特許請求の範囲に記載の請求項1の特徴を有するフィルタ要素および請求項8の特徴を有するエアフィルタによって解決される。本発明の適切な更なる開発による有効的な実施形態は、従属請求項に示される。
【0008】
自動車のエアフィルタに対する本発明に係るフィルタ要素には、少なくとも幾つかの範囲においてフィルタ要素のフィルタ部材を囲むフレーム部を有する。フィルタ要素はエアフィルタのハウジングによって供さている収容空間の中に設置できる。フィルタ要素には少なくとも1つの保持要素を有し、それは収容空間へフィルタ要素を導入することによって開始位置から機能的位置へ移動させることが可能である。機能的位置では、少なくとも1つの締結要素がハウジングへのカバー要素を固定するために設計されている。カバー要素は収容空間の挿入口を閉じる役割を持っている。したがって、カバー要素は少なくとも1つの保持要素が機能的位置に移動した場合、収容空間の挿入口を閉じるために、少なくとも1つの保持要素によってエアクリーナのハウジングに固定可能となる。少なくとも1つの保持要素が開始位置から機能的位置へ移動した場合のみ、少なくとも1つの保持要素へ少なくとも1つの締結要素を固定できることになる。
【0009】
したがって、フィルタ要素の構成はカバー要素によって収容空間が閉じられた時にフィルタ要素が設置された、あるいはエアフィルタ内に設置されたかどうかを簡単に見極めることを可能にする。その理由は、ハウジングにカバー要素を締め付けるために収容空間内に最初にフィルタ要素を挿入しなくてはならないためである。この挿入の結果、カバー要素の側面に設けられている締結要素のための少なくとも1つの保持要素、その種のホルダ、またはその種の相当物が開始位置から機能的位置に移動する。言い換えれば、収容空間へのフィルタ要素の導入により、少なくとも1つの保持要素に少なくとも1つの締結要素を固定できるように少なくとも1つの保持要素が配置される。それに従い、エアフィルタはフィルタ要素が設置された後のみ操作が可能となる。これはエアフィルタの収容空間内にフィルタ要素が設置されていない場合、エアフィルタのハウジング上にカバー要素を搭載できないためである。結果的に、フィルタ要素が欠如しているか否かもわかる。
【0010】
例えば、フィルタ要素のフィルタ部材の汚れによりフィルタ要素を交換する場合、カバー要素をエアフィルタに搭載するためのエアフィルタ用の収容空間へ新しいフィルタ要素を挿入する必要がある。これによって、フィルタ要素が設置されたか否かが簡単にわかるようになる。
【0011】
好ましいのは、少なくとも1つの保持要素が柔軟性のある接続片によってフレーム部に保持されていることである。この場合、少なくとも1つの保持要素は、接続片を変形させることによって開始位置から機能的位置に移動することができる。このようにして、少なくとも1つの保持要素は、フィルタ要素を収容空間に導入することで比較的簡単および信頼性のある方法で開始位置から機能的位置に移動させることができる。特に、柔軟性のある接続片は例えば、接続片をフィルムの蝶番の方式で設計することによって弾性変形が可能となる。この場合、接続片は、フィルタ要素が収容空間から取り除かれた場合、機能的位置から開始位置に自動的に戻る。
【0012】
好ましいのは、少なくとも1つの保持要素が開始位置において、フレーム部の側壁(フィルタ要素の挿入方向に延在する側壁)と第1角度を形成し、フィルタ要素が挿入方向において収容空間に挿入できることである。機能的位置では、少なくとも1つの保持要素が側壁と第1角度よりも広角な第2角度を形成する。言い換えれば、保持要素を貫通し、側壁の垂直方向と一致するラインで側壁と交差する仮想的な中央平面は、側壁と第1角度および第2角度をそれぞれ定義する。その一方で、これはフィルタ要素が収容空間において容易に且つ確実に挿入できることを保証するものである。この挿入中に、例えばガイド機構によって導かれた少なくとも1つの保持要素が自動的に開始位置から機能的位置へ移動する。ガイド機構はエアフィルタのハウジングによって供されることが好ましい。更に、機能的位置における保持要素は、ハウジングのハウジング部分の後ろに係合するか、あるいはアンダーカットを含むことが達成できる。
【0013】
特に、少なくとも1つの保持要素が機能的位置において、側壁に対して垂直に向くようにすることができる。これにより、少なくとも1つの締結要素によってエアクリーナのハウジングにカバー要素を固定することが容易となる。
【0014】
少なくとも1つの保持要素には内ねじとして設計されているねじ山がある。したがって、内ねじが機能的位置にもたらされた時に内ねじへ締め付けることができるねじボルトを、締結要素として設けることができる。
【0015】
これとは別に、少なくとも1つの保持要素には締結要素上に形成された少なくとも1つのピン用の容器がある。この方法で、バイヨネットロックの方法でエアクリーナのハウジングへのカバー要素の取り付けが供される。締結要素上に形成されている少なくとも1つのピンが締結要素のシャフト部分を回転させることによって容器(バイヨネットロックの原理に従って)へと挿入される。少なくとも1つのピンがシャフト部分上に配列される。これによって、カバー要素をエアフィルタのハウジング上に素早く、安全に固定することができる。
【0016】
これとは別に、少なくとも1つの保持要素は、締結要素に対応するラッチ要素あるいは当該ラッチ要素と協働するように設計されたラッチ要素を有することができる。この実施形態においても、少なくとも1つの保持要素が機能的位置にもたらされた場合、エアクリーナへのカバー要素の容易で素早い取り付けが達成される。
【0017】
本発明に係る自動車用のエアフィルタは、本発明に係るフィルタ要素から構成され、フィルタ要素はエアフィルタのハウジングによって供される収容空間に導入される。少なくとも1つの締結要素をフィルタ要素の少なくとも1つの保持要素に締めることで、カバー要素がハウジングに固定される。カバー要素によって、収容空間の挿入口が閉じられる。エアフィルタは空調装置あるいは自動車の換気システムのエアフィルタと同じように設計できる。更に、エアフィルタは自動車の燃焼エンジンの吸気菅に対して供することができる。
【0018】
好ましいのは、カバー要素が収容空間用の別のクロージャデバイスとして設計され、それは収容空間からフィルタ要素を取り外す前に挿入口から取り外せることである。その種の構成で特に、カバー要素がフィルタ要素に取り付けられていない場合、あるいはフィルタ要素と一体として形成されている場合、フィルタ要素の設計によって可能となったフィルタ要素の設置チェックは特に優位なものとなる。
【0019】
好ましいのは、ハウジングに少なくとも1つのガイド機構があり、そこで少なくとも1つの保持要素を少なくとも1つのガイド機構に挿入した場合、少なくとも1つの保持要素を開始位置から機能的位置へと移動させることができる。例えば、フィルタ要素を収容空間に導入した場合、少なくとも1つの保持要素がガイド機構の曲線状の輪郭をたどることができ、それによって開始位置から機能的位置に移動することとなる。その種のガイド機構あるいはガイドスロットを供することによって、保持要素を容易にかつ安全に位置合わせすることができる。
【0020】
また、機能的位置における少なくとも1つの保持要素が、ハウジングのハウジング部分の後ろに係合する場合、有利であることも証明されている。この場合、通路口がハウジング部分に形成される。少なくとも1つの締結要素が少なくとも1つの保持要素に固定されている場合、締結要素のシャフト部分が通路口を通過する。このようにして、エアフィルタのハウジング上のカバー要素と、収容空間内のフィルタ要素との両方の固定が達成できる。
【0021】
少なくとも1つの締結要素のシャフト部分には、ハウジングへカバー要素をしっかりと固定するため保持要素の内ねじにねじ込むことができる、ねじ山が形成されている。
【0022】
それとは別に、シャフト部分には、シャフト部分を回転させることによって容器の中に挿入できる少なくとも1つのピンを有する。このようにして、エアクリーナのハウジングへカバー要素を取り付けた場合、回転式ではあるが、バイヨネットタイプのロック機構を達成できる。ただこの場合、締結要素は、エアフィルタのハウジングへカバー要素を固定するために少しだけ、例えば、1/4ほど回転させることとなる。
【0023】
最後に、シャフト部分がシャフト部分の縦方向に直角である回転軸の周囲を旋回できる場合、有利である。この場合、シャフト部分を回転軸の周囲を回転させることによって、締結要素は保持要素との固定から解放される解放位置に移動する。この種のロックは、エアクリーナのハウジングへのカバー要素の取り付けを容易に、且つ処理的にも安全な固定を可能にすると共に、ハウジングからのカバー要素の該当する解放を可能にする。
【0024】
本発明に従ったフィルタ要素について解説されている利点および好ましい設計は発明に従ったエアフィルタおよびその逆にも適用される。
【0025】
本発明の更なる利点、特徴および詳細は、以下の好ましい例示的な実施形態および図面の説明の中にある。上述の特徴および特徴の組み合わせ、以下の図面の説明で言及および/または図面に単独で示した特徴および特徴の組み合わせは、それぞれのケースに示されている組み合わせだけでなく、その他の組み合わせ、あるいは単体で発明の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】自動車の空調システムのエアフィルタ用のフィルタ要素を示し、そのフレーム上に柔軟性のある保持要素が設けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に係るフィルタ要素のための収容空間を内部に有する、エアフィルタのハウジングを示す斜視図である。
【
図3】
図2に係るハウジングに組み立てられる前の2つに分割されたハウジングを示す斜視図である。
【
図4】
図1に示されるフィルタ要素の部分拡大斜視図である。
【
図5】
図1に係るフィルタ要素のための収容空間における挿入口を閉じるためのカバー要素を示す第1の斜視図である。
【
図6】
図5に係るカバー要素を示す第2の斜視図である。
【
図7】
図2に係る下方部分のみが示されるハウジングに、
図1に係るフィルタ要素を導入する第1ステップを示す図である。
【
図8】ハウジングにフィルタ要素を導入中あるいは取り付け中の第2ステップを示す図である。
【
図9】
図1に係るフィルタ要素が
図2に係るハウジング内における最終位置または末端位置において、フィルタ要素のフレーム上のフィルム蝶番を介して保持される内ねじが、カバー要素上に配置されたねじをネジ留めすることができる機能的位置へもたらされることを示す図である。
【
図10】カバー要素に配置されたねじをフィルタ要素に形成された内ねじにネジ留めすることによる、
図2に係るハウジングへの
図5に係るカバー要素の固定を示す図である。
【
図11】ねじを保持要素にネジ留めする開始位置から機能的位置へひとつの保持要素を移動させるステップを左から右の順で示す平面図である。
【
図12】バイヨネットロックの方法で回転式ロックが可能な、フィルタ要素上に形成された保持要素の別形態であり、ハウジングからカバー要素を取り外すステップを左から右の順で示す図である。
【
図13】更なる別形態のカバー要素を示し、2つのロッククリップによって供されている直動のロック機構を示す斜視図である。
【
図14】
図13に係るカバー要素を取り外すための分解位置に傾かせたひとつのロッククリップを示す図である。
【
図15】
図1に係るフィルタ要素上に形成された保持要素がロックラグを含み、
図2に係るハウジングから
図13に係るカバー要素の取り外しに関するステップを示す部分詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は例えば自動車の空調システムのエアフィルタのハウジング12(
図2参照)への設置を意図としたフィルタ要素10の斜視図である。ここでは、フィルタ要素10のフィルタ部材14がプリーツ状のフィルタとして例示されている。フィルタ部材14はフレーム部16によって囲繞されており、フレーム部16は前壁18、側壁20,22、そして後壁24を備える。側壁20,22は挿入方向26に伸び、それは
図1の矢印によって示されている。この挿入方向26において、フィルタ要素10はハウジング12(
図2参照)によって供されている収容空間28へ挿入あるいは押し込むことが可能である。特に挿入方向26から見た場合、
図1におけるビューワにより近い端壁18はフィルタ要素10の前壁18であり、ビューワからより遠い端壁24はフィルタ要素10の後壁24である。
【0028】
側壁20,22のそれぞれには挿入方向26内に前壁18と同一高さである拡張部30があり、
図4で拡大して示されるフレーム部16と一体的に形成されていることが好ましい。前壁18の平面内で拡張部30は、側壁20,22を越えて突出している。特に、拡張部30の壁の厚さは前壁18の壁の厚さに実質的に相当する。この拡張部30から、タブ32が挿入方向26に伸び、側壁20,22それぞれに対して平行である。タブ32は拡張部30より壁の厚さが薄い。柔軟性のある接続片34はフィルム蝶番という形で拡張部30およびタブ32によって供され、その上に保持要素36が設けられる。
【0029】
例として
図1の中で示されているフィルタ要素10の形態では、保持要素36には内ねじ38を有し、それは厚くなっている、つまり、壁の厚さが厚くなっている接続片34の端部領域40の中で形成されている。言い換えれば、保持要素36はフレーム部16あるいはフィルム蝶番を介してフィルタフレームに取り付けられている。それに従い、保持要素36は、タブ32のより薄い壁厚によって柔軟性を持たせるように構成されている。したがって、保持要素36は
図1に示されている開始位置から
図9に示されている機能的位置に移動することができる。この機能的位置で、端部領域40に形成されるボルト44のシャフト42が
図9および
図10に従って内ねじ38にねじ込むことができる。このために、ボルト44のシャフト42にはねじ山46(
図9参照)を有している。
【0030】
図2に示されるように、ハウジング12は、下部ハウジング部48と上部ハウジング部50とを備え、それにより収容空間28の挿入口52が周上に画成されている。下部ハウジング部48あるいはその種の下部シェルおよび上部ハウジング部50または上部シェルがガイド機構あるいはガイドスロット54を供し、その中へ接続片34を挿入方向26に案内することができる。更に、それぞれの通路開口部56は、ガイドスロット54と隣接するハウジング12の中に形成される。ボルト44のシャフト42(
図9参照)は、その表面に形成されたねじ山46を、雌ネジとして形成されフィルタ要素10の側面に供される内ねじ38にねじ込まれるように、これらの通路開口部56を通過することができる。
【0031】
図3に示されるように、通路開口部56およびガイドスロット54にはそれぞれ下部ハウジング部48と上部ハウジング部50の半分ずつが供される。ただし、エアフィルタの別形態において、ハウジング12はひとつの部品として設計することもできる。
【0032】
図5は、ハウジング12の挿入口52を閉じるために使用されるカバー要素あるいはカバー58の斜視図である。ハウジング12にカバー58を取り付けるには、この場合、フィルタ要素10によって供される保持要素36が必要である。
図5から
図10に示されているエアフィルタの形態の中で、カバー58には、それぞれの側面エッジ部分に、2本のボルト44のそれぞれのシャフト42が通る貫通孔が設けられている。ボルト44を回すため、ボルト44上には、例えば、手動で動かすことができるハンドル部60が設けられている。本実施形態では、ハンドル60はハンドル車のように設計されている。
【0033】
図6には、ボルト44のそれぞれのシャフト42がカバー58の基体62にどのようにして回転可能に支持されているかを示す。
【0034】
図7から
図10は、フィルタ要素10およびカバー58の組み立て手順が示されている。
図7はハウジング12にフィルタ要素10を挿入する最初のステップが示されているが、明確にするために、下部ハウジング部48のみが示されている。矢印は挿入方向26を示す。
図7および
図8では、端部領域40とそれと共に、内ねじ38を有する保持要素36がまだ開始位置(
図4参照)にあり、ボルト44のねじ山46が保持要素36の内ねじ38にまだ挿入できない。
【0035】
図8はフィルタ要素10の更なる挿入状態が示されており、端部領域40がガイドスロット54に入っている。それに従い、保持要素36あるいは締結要素はガイドスロット54に対して隣接している状態である。
【0036】
図9は次のステップにおいて、側壁20によって片側に制限されているガイドスロット54の曲線の形が内ねじ38と共に端部領域40をどのようにして偏向させるかを示す。保持要素36における
図4に示されている開始位置から
図9に示されている保持要素36の機能的位置への移動が矢印64によって示されている。
【0037】
最後に
図10は、カバー58がハウジング12に取り付けられるように、ボルト44をどのようにして保持要素36に締め付けるかが示されている。
図9と
図10に示されている保持要素36の機能的位置では、保持要素36がハウジング12のハウジング部66の後に連結され、通路開口部56が形成される。
【0038】
フィルタ要素10を交換のために分解する場合、カバー58がハウジング12、つまり挿入口52から取り外せるように最初にボルト44を緩める。そしてフィルタ要素10は挿入方向26とは反対方向に沿って収容空間28から引き出すことができる。そうする場合、ガイドスロット54の曲線の形により保持要素36は機能的位置(
図9参照)から開始位置(
図4参照)へと再び移動する。
【0039】
図11は接続片34のガイドスロット54への挿入またはねじ込みが再び上面図で示されている。特にこの図から、開始位置、つまり、保持要素36がガイドスロット54に完全に挿入される前に、保持要素36が角度65を形成し、当該角度は側壁20が90度より少なく、この場合、45度以下であることが明らかである。保持要素36の中央の平面は、ボルト44のシャフト42が内ねじ38に挿入することができる方向に垂直であり、結果として側壁20と角度65を形成する。
【0040】
接続片34がガイドスロット54に挿入された時、保持要素36が最初に側壁20の近くに移動する。そうすることで、突出部または拡張部30の近くの接続片34のタブ32が弾性変形する。そして、接続片34がガイドスロット54をさらに貫通すると、保持要素36がガイドスロット54によって偏向され、端部領域40の中の雌ねじとして設計された内ねじ38が通路開口部56と並ぶ。そうすることで、タブ32は端部領域40の近くで弾性変形する。この機能的位置で、保持要素36は側壁20に対して基本的に垂直に配列される。したがって、端部領域40を通して延在する中央平面は、側壁20と共に直角68を画成する。この保持要素36の向きで、
図11の最後に示されるように、ボルト44を内ねじ38の中に締め付けることができる。
【0041】
図12に示されているフィルタ要素10およびハウジング12の別形態では、下部ハウジング部48のみが示されており、ハウジング12への取り付けのためのカバー58の回転式ロックが設けられている。
図12の左図では、カバー58の側面に設けられた締結要素が、カバー58がハウジング12に取り付けられ、したがってカバー58が挿入口52を閉じる位置に示されている。また、保持要素36は機能的位置に置かれ、側壁20の直角68、あるいは直角68を取るように配置されている。ただし、この別形態において、柔軟性あるいは弾性的に変形可能なタブ32を繋げる端部領域40の中で内ねじが形成されるかわりに、2本のピン72のためのそれぞれの容器70がボルト44のシャフト42あるいは固定ねじから垂直に突出している。
【0042】
図12における左図によれば、ハンドル部60にあるボルト44は、最初に
図12中の別の矢印74で示されている方向に回される。これによってピン72は、それぞれの容器70から押し出される。
図12の中央図によれば、下から切り取った部分は解消あるいはキャンセルされている。つまり、ピン72はそれぞれの容器70に収容されなくなる。これは締結要素として機能するシャフト42あるいはボルト44のシャフトの一部を1/4回転させることによって行われる。
【0043】
その時、シャフト42は保持要素36から取り外すことができ、シャフト42は、一方が下部ハウジング部48に形成され、他方側が上部ハウジング部50(
図12では示されていない)で形成されている通路開口部56に沿ってピン72によって導かれる。それに従い、カバー58がフィルタ要素10をそれ以上ロックすることはなく、カバー58を取り外すことができる。ハウジング12からのカバー58の除去は、
図12の右図における更なる矢印76によって示されている。
【0044】
図13はカバー58の締め付けの更なる別形態を示し、ラッチクリップ78がボルト44の代わりにカバー58の基体62の中に配置されている。直動ロックを可能とするそれぞれのラッチクリップ78は、エラストマーシール80の中に配置され、それは基体62の中に組み込まれている。エラストマーシール80はそれぞれのラッチクリップ78が回転軸82の周りを回転あるいは傾斜することを可能にし、それは
図13に示されている。回転軸82はそれぞれのラッチクリップ78あるいはロッカーアームのシャフト部分84の長手方向に垂直に延在している。
【0045】
特に、
図14ではシャフト部分84が基体62の第1の面86の上を突き抜けていることを示している。カバー58の基体622の第1の面86は、収容空間28の挿入口52を閉じるために、ハウジング12の上にカバー58が取り付けられた時にフィルタ要素10に面する。操作要素90として形成されたラッチクリップ78の一部は、基体62の反対面88から突出している。操作要素90の表面92を押すことによって、ラッチクリップ78は回転軸82周りに回転する。ラッチクリップ78は回転軸82の周囲にあるウェブ94を介してカバー58の基体62に接続されている。エラストマーシール80は、ウェブ94の両側でウェブ94に隣接している。
【0046】
図14右図では、ラッチクリップ78が作動され、回転軸82周りで回転されている。そうすることによって、ウェブ94は捻じれ、エラストマーシール80に取って代わられる。
図14の右図の矢印96は、回転軸82の周りで作動したラッチクリップ78の回転動作が示されている。
【0047】
図15は、
図13に係るカバー58を、どのようにしてハウジング12から取り外しあるいは取り出すことができるかが示されている。ここでも、ハウジング12の下部ハウジング部48のみが示されている。
図15の左図においては、操作要素90の反対にあるシャフト部分84の末端に形成されているラッチ部98が、機能的位置にあるフィルタ要素10の保持要素36に形成されたラッチ部100に引っ掛けられている。ラッチ部98が形成されるシャフト部分84の端部地域は、保持要素36の中に形成された通路開口部を通る。機能的位置では、前述したフィルタ要素10の別形態のように、保持要素36が側壁20に対して基本的に垂直に配置される。
【0048】
図15の中央図における矢印102によって示されている方向に操作要素90を押し付けることにより、戻り止め要素あるいはラッチ部98,100は外れる。つまり、カバー58の側面に設けられているラッチ部98の形で戻り止め要素は、その切り取った部分を解放する。その後、シャフト要素あるいはシャフト部分84は、下部ハウジング部48および上部ハウジング部50(
図15では示されていない)によってハウジング12に形成された通路開口部56を通して、ラッチ部98と一緒に通すことができる。したがって、カバー58をハウジング12から取り外すことができる。カバー58は、もはやフィルタ要素10を閉鎖あるいは固定していないため、ハウジング12からカバー58を取り外した後、フィルタ要素10を取り外すことができる。そうすることで、保持要素36は、
図15に示されている機能的位置から始動位置に戻る(側壁20の片側にあるガイドスロット54の曲線の輪郭に沿って)。保持要素36は、ガイドスロット54から抜けると、開始位置に到達する。
【0049】
交換部分として設計されているフィルタ要素10は、複数の形態のそれぞれの中で、例えばフィルム蝶番として提供される柔軟に設計された保持要素36あるいは締結要素が取り付けられ、それらはハウジング12に挿入された時にガイドスロット54と配列され、最終位置では、ハウジング部分66の周辺が切り抜かれ、通路開口部56が形成される。同時に、その前に挿入されたフィルタ要素なしではカバー58を取り付けることができないため、フィルタ要素10が設置されたかどうかの確認が行われる。これはフィルタ要素10がハウジング12に挿入あるいは設置された場合のみ、カバー58をハウジング12に取り付けることができるためである。