特許第6970853号(P6970853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6970853
(24)【登録日】2021年11月2日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】ダクト接合構造
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/18 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   A01G9/18
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2021-121128(P2021-121128)
(22)【出願日】2021年7月23日
【審査請求日】2021年8月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521287142
【氏名又は名称】BISHINKEN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【弁理士】
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】長井 祐志
(72)【発明者】
【氏名】本郷 真志
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−158483(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−2260546(KR,B1)
【文献】 特開2007−113803(JP,A)
【文献】 特開平10−9655(JP,A)
【文献】 特開2009−79838(JP,A)
【文献】 米国特許第5314212(US,A)
【文献】 実開昭60−91880(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14 − 9/26
F16B 7/00 − 7/22
F16L 1/00 − 59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒形かつ内側が蛇腹構造の雌ねじ部と、内側に螺旋状のねじ山を備え、前記蛇腹構造の谷部位に該谷部位内を移動可能に設置され、円形の一部が欠けているC形形状を成すリング部と、一端につば部を備える中空円筒形かつ該円筒形の外側に螺旋状の溝を備える雄ねじ部と、を備え、前記リング部が前記谷部位との摩擦によって該谷部位内の移動を規制されるとき、前記リング部の前記ねじ山が前記雄ねじ部の前記溝に沿って移動し、前記雌ねじ部の前記雄ねじ部上での締め付けが可能なジョイント装置と、
前記雄ねじ部の前記円筒形部位の直径と略同じ大きさの孔を有し、柔軟性を備える一のダクトと、
柔軟性を備える他のダクトと、を有し、
前記一のダクト上にある前記孔に、前記雄ねじ部の前記つば部が前記一のダクトの内側となるように、前記雄ねじ部の円筒形部位を通し、また、前記雌ねじ部及び前記リング部のC形形状部位の内側を通って、先端が前記雌ねじ部の外側を覆う位置まで前記他のダクトを通し、前記雄ねじ部の円筒形部位に前記雌ねじ部の前記中空円筒形部位を差し込んだ後、前記リング部が前記谷部位との摩擦によって該谷部位内の移動を規制される状態で、前記他のダクトを回転させることなく、前記雌ねじ部の中空円筒形部位を回転させ、前記雌ねじ部を前記雄ねじ部上で締め付けることによって、前記一のダクトと前記他のダクトとの接合を行うことを特徴とするダクト接合構造。
【請求項2】
前記一のダクトと前記他のダクトとが、園芸農業を行うための構築施設内に配設されるビニール製のダクトであることを特徴とする請求項1に記載のダクト接合構造。
【請求項3】
中空円筒形かつ内側が蛇腹構造の雌ねじ部と、内側に螺旋状のねじ山を備え、前記蛇腹構造の谷部位に該谷部位内を移動可能に設置され、円形の一部が欠けているC形形状を成すリング部と、一端につば部を備える中空円筒形かつ該円筒形の外側に螺旋状の溝を備える雄ねじ部と、を備え、前記リング部が前記谷部位との摩擦によって該谷部位内の移動を規制されるとき、前記リング部の前記ねじ山が前記雄ねじ部の前記溝に沿って移動し、前記雌ねじ部の前記雄ねじ部上での締め付けが可能なジョイント装置と、
前記雄ねじ部の前記円筒形部位の直径と略同じ大きさの孔を有し、柔軟性を備える一のダクトと、
柔軟性を備える他のダクトと、を有するダクト接合構造におけるダクト接合方法であって、
前記一のダクト上にある前記孔に、前記雄ねじ部の前記つば部が前記一のダクトの内側となるように、前記雄ねじ部の円筒形部位を通し、また、前記雌ねじ部及び前記リング部のC形形状部位の内側を通って、先端が前記雌ねじ部の外側を覆う位置まで前記他のダクトを通し、前記雄ねじ部の円筒形部位に前記雌ねじ部の前記中空円筒形部位を差し込んだ後、前記リング部が前記谷部位との摩擦によって該谷部位内の移動を規制される状態で、前記他のダクトを回転させることなく、前記雌ねじ部の中空円筒形部位を回転させ、前記雌ねじ部を前記雄ねじ部上で締め付けることによって、前記一のダクトと前記他のダクトとの接合を行うことを特徴とするダクト接合方法。
【請求項4】
前記一のダクトと前記他のダクトとが、園芸農業を行うための構築施設内に配設されるビニール製のダクトであることを特徴とする請求項3に記載のダクト接合方法。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ビニールハウスのような園芸農業を行うための構築物施設内に配設する柔らかいダクトどうしを接合するダクト接合構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニールハウスのような園芸農業を行うための施設内では、作物の光合成を促進させるために、二酸化炭素発生装置を用いて発生させた二酸化炭素を供給する場合がある。そのとき、各作物に適切な量の二酸化炭素を偏りなく供給し、作物を傷つけないようにするために、例えば、ビニールのように柔らかい材質の二酸化炭素供給用ダクトを施設内にきめ細やかに張り巡らせる。なお、上記した柔らかい材質のダクトは、園芸農業を行うための施設内において、暖房用のダクトとしても使用され、配設される場合がある。
【0003】
ここで、上記ダクト表面には二酸化炭素放出用の小さな孔が設置されている。そして、作物へ安定的に二酸化炭素を供給するため、その孔が作物の無い方を向いたり、同じ方向ばかりを向いたり、又は、地面の方を向いて実質的に孔が塞がれた状態となったりしないように、上記ダクトを孔の位置を考慮して適切に敷設する必要がある。
また、二酸化炭素供給用ダクトは、二酸化炭素発生装置に近い親ダクトと分岐先の子ダクトとを接合していくことによって、施設内に適切に敷設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020−130064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、上記のようなダクトの接合は、接合用器具の性能の低さに基づき接合部分において気体の漏れが生じたり、ダクト表面の孔の向き・位置を考慮して作業を行う必要があるため、接合作業が煩雑であったりするという問題点があった。
【0006】
そこで本発明では、上記問題点に鑑み、園芸農業を行うための構築物施設内に配設する柔らかいダクトどうしを簡単な作業によって精度高く接合するためのダクト接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示するダクト接合構造の一形態は、中空円筒形かつ内側が蛇腹構造の雌ねじ部と、内側に螺旋状のねじ山を備え、前記蛇腹構造の谷部位に該谷部位内を移動可能に設置され、円形の一部が欠けているC形形状を成すリング部と、一端につば部を備える中空円筒形かつ該円筒形の外側に螺旋状の溝を備える雄ねじ部と、を備え、前記リング部が前記谷部位との摩擦によって該谷部位内の移動を規制されるとき、前記リング部の前記ねじ山が前記雄ねじ部の前記溝に沿って移動し、前記雌ねじ部の前記雄ねじ部上での締め付けが可能なジョイント装置と、前記雄ねじ部の前記円筒形部位の直径と略同じ大きさの孔を有し、柔軟性を備える一のダクトと、柔軟性を備える他のダクトと、を有し、前記一のダクト上にある前記孔に、前記雄ねじ部の前記つば部が前記一のダクトの内側となるように、前記雄ねじ部の円筒形部位を通し、また、前記雌ねじ部及び前記リング部のC形形状部位の内側を通って、先端が前記雌ねじ部の外側を覆う位置まで前記他のダクトを通し、前記雄ねじ部の円筒形部位に前記雌ねじ部の前記中空円筒形部位を差し込んだ後、前記リング部が前記谷部位との摩擦によって該谷部位内の移動を規制される状態で、前記他のダクトを回転させることなく、前記雌ねじ部の中空円筒形部位を回転させ、前記雌ねじ部を前記雄ねじ部上で締め付けることによって、前記一のダクトと前記他のダクトとの接合を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
開示するダクト接合構造は、園芸農業を行うための構築物施設内に配設するダクトどうしを簡単な作業によって精度高く接合する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る雌ねじ部の斜視図である。
図2】本実施の形態に係るリング部の斜視図である。
図3】本実施の形態に係るリング部の斜視図である。
図4】本実施の形態に係る雄ねじ部の斜視図である。
図5】本実施の形態に係るリング部を雌ねじ部の谷部位に設置した図である。
図6】本実施の形態に係る雄ねじ部をダクトに挿通させた状態を示す図である。
図7】本実施の形態に係る雄ねじ部をダクトに挿通させた状態を示す図である。
図8】本実施の形態に係る雌ねじ部にダクトを装着した状態を示す図である。
図9】本実施の形態に係るダクト接合構造(雌ねじ部及び雄ねじ部によってダクトを接合した状態)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係るダクト接合構造)
【0011】
図1乃至5を用いて、本実施の形態に係るダクト接合構造1の構造について説明する。ダクト接合構造1は、ジョイント装置2、ダクト20、22で構成される。ジョイント装置2は、ビニールハウスのような園芸農業を行うための構築物施設(栽培室)26内に設置されるダクト20、22を接合するための装置である。ダクト20、22は、例えば、ビニールの様な軟質プラスチック製(プラスチックフィルム製)の管であるが、その材質は特に限定されない。
【0012】
また、ダクト20、22は、構築物施設26内で栽培される作物の光合成を促進させるために、二酸化炭素発生装置を用いて発生させた二酸化炭素を供給するための設備であり、施設26内にきめ細やかに張り巡らせられる。ここで、ダクト20、22は、表面に二酸化炭素放出用の小さな孔24を備えている。なお、ダクト20、22は、構築物施設26内に配設される暖房用ダクトであっても良く、その場合、ダクト20、22上の孔24は、温風を放出するためのものとなる。以下では便宜上、ダクト20、22を二酸化炭素放出用のものとして説明する。
【0013】
ダクト20、22は、作物へ安定的に二酸化炭素を供給するため、その孔24の位置を考慮して適切に敷設する必要があるので、作業者は、ダクト20、22の接合作業によって、ダクト20、22の孔24の位置を変更したくないし、孔24の位置を気にしながら、ダクト20、22の接合作業を行いたくない。
【0014】
そこで、ジョイント装置2は、ダクト20、22の接合作業において、孔24の位置を変更せずに済み、また、孔24の位置を気にしながらの作業を行う必要がないようにする。また、ジョイント装置2は、ダクト20、22の接合箇所における気密性も担保することができる。
図1乃至5で示すように、ジョイント装置2は、雌ねじ部4、リング部10、雄ねじ部14を有する。
図1で示すように、雌ねじ部4は、中空円筒形を成し、かつ、内側が蛇腹構造(山折りと谷折りの繰り返し構造)6を成す。
【0015】
図2、3及び5で示すように、リング部10は、内側に螺旋状のねじ山12を備え、蛇腹構造6の谷部位8に該谷部位6内を移動可能に設置され、円形の一部が欠けているC形形状を成す。
【0016】
図4で示すように、雄ねじ部14は、中空円筒形を成し、また、一端に該中空円筒形からはみ出すように出っ張ったつば部16を備え、かつ、該中空円筒形の外側面に螺旋状の溝18を備える。
【0017】
なお、雄ねじ部14の中空円筒形部位は、雌ねじ部4の中空円筒形部位に挿通させることができる、つまり、雌ねじ部4の中空円筒形部位の直径は、雄ねじ部14の中空円筒形部位の直径よりも少しだけ大きい。
【0018】
ジョイント装置2では、リング部10が谷部位8との摩擦によって谷部位8内の移動を規制されるとき、リング部10のねじ山12を雄ねじ部14の溝18に沿って移動させることによって、雌ねじ部4を雄ねじ部14上で締め付けることが可能である。雌ねじ部4をその反対方向に回せば、雄ねじ部14上で雌ねじ部4の締め付け解除を行うことが可能である。
【0019】
図7及び8で示すように、ジョイント装置2は、ダクト20、22を接合するとき、一方のダクト22を、雌ねじ部4及びリング部10の内側を通し、さらに、ダクト22の先端が雌ねじ部4の外側を覆う位置まで通した状態で、接合作業を行う。なお、ジョイント装置2では、ダクト20、22の接合作業時、雄ねじ部14に挿通させた雌ねじ部4の締め付け動作を行う。
【0020】
上記のような構造に基づいて、ダクト結合構造1(ジョイント装置2)は、園芸農業を行うための構築物施設26内に配設するダクト20、22どうしを簡単な作業によって精度高く接合することができる。
(本実施の形態に係るダクト接合方法)
【0021】
図6乃至9を用いて、ダクト接合構造1におけるダクト接合方法について説明する。なお、構築施設26内に供給する二酸化炭素を発生させる二酸化炭素発生装置に近い方の親ダクトを一のダクト20とし、親ダクトから分岐する子ダクトを他のダクト22とする。
【0022】
図6で示すように、作業者は、雄ねじ部14の円筒形部位の直径と略同じ大きさの孔であって、一のダクト20上の孔24に、雄ねじ部14のつば部16が一のダクト20の内側となるように、雄ねじ部14の円筒形部位を通す。
【0023】
図7及び8で示すように、作業者は、次に、雌ねじ部4及びリング部10の内側を通って、先端が雌ねじ部の外側(の一部)を覆う位置まで他のダクト22を通す。
【0024】
図9で示すように、作業者は、その次に、雄ねじ部14の円筒形部位に、内側が他のダクト22で覆われた雌ねじ部4の中空円筒形部位を差し込む。この状態で、一のダクト20の外側面(つば部16の外側付近)と(雌ねじ部4の開口部付近の)他のダクト22とが当接している。
【0025】
そして、作業者は、リング部10が谷部位8との摩擦によって谷部位8内の移動を規制される状態で、他のダクト22を回転させることなく、雌ねじ部4の中空円筒形部位を握って回転させ、雌ねじ部4を雄ねじ部14上で締め付ける(雌ねじ部4の締め付け動作を行う)ことによって、一のダクト20と他のダクト22との接合を行う。この状態で、当接していた一のダクト20と他のダクト22とは、つば部16と雌ねじ部4の開口部とで挟着され、ダクト20、22の気密性が保たれる。
【0026】
上記のように、ダクト20、22の接合作業において、子ダクトである他のダクト22は回転させずに、雌ねじ部4のみを回転させるので、他のダクト22の表面に設置される孔24の向き・位置は、ダクト20、22の接合作業の前後において、不変である。
【0027】
上記のようにして、ダクト接合構造1は、園芸農業を行うための構築物施設26内に配設するダクト20、22どうしを簡単な作業によって精度高く接合することができる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ダクト結合構造
2 ジョイント装置
4 雌ねじ部
6 蛇腹構造
8 蛇腹構造の谷部位
10 リング部
12 螺旋状のねじ山
14 雄ねじ部
16 つば部
18 螺旋状の溝
20 一のダクト
22 他のダクト
24 他のダクト上の孔
26 園芸農業を行うための構築施設
【要約】
【課題】
園芸農業を行うための構築物施設内に配設するダクトどうしを簡単な作業によって精度高く接合する。
【解決手段】
中空円筒形かつ内側が蛇腹構造の雌ねじ部と、内側に螺旋状のねじ山を備え、蛇腹構造の谷部位に該谷部位内を移動可能に設置され、C形形状を成すリング部と、一端につば部を備える中空円筒形かつ該円筒形の外側に螺旋状の溝を備える雄ねじ部と、を備え、一のダクト上にある孔に、つば部が一のダクトの内側となるように雄ねじ部を通し、雌ねじ部の内側を通って、先端が雌ねじ部の外側を覆う位置まで他のダクトを通し、雄ねじ部の円筒形部位に雌ねじ部の中空円筒形部位を差し込んだ後、他のダクトを回転させることなく、雌ねじ部の中空円筒形部位を回転させる。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9