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特許6970856リコリン誘導体、その医薬組成物及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970856
(24)【登録日】2021年11月2日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】リコリン誘導体、その医薬組成物及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/16 20060101AFI20211111BHJP
   A61K 31/475 20060101ALI20211111BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   C07D491/16CSP
   A61K31/475
   A61P31/12
【請求項の数】9
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2021-500324(P2021-500324)
(86)(22)【出願日】2018年7月27日
(65)【公表番号】特表2021-523215(P2021-523215A)
(43)【公表日】2021年9月2日
(86)【国際出願番号】CN2018097678
(87)【国際公開番号】WO2020019357
(87)【国際公開日】20200130
【審査請求日】2020年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】520367049
【氏名又は名称】山東達因海洋生物製薬股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG DYNE MARINE BIOPHARMACEUTICAL CO., LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】520367050
【氏名又は名称】北京達因高科児童薬物研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING DYNE HIGH−TECH PEDIATRIC PHARMACEUTICAL R&D INSTITUTE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】潘 顕道
(72)【発明者】
【氏名】楊 亜軍
(72)【発明者】
【氏名】沈 瓏瑛
(72)【発明者】
【氏名】鄭 穏生
(72)【発明者】
【氏名】何 淑旺
(72)【発明者】
【氏名】顔 世強
(72)【発明者】
【氏名】景 亜軍
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/022238(WO,A2)
【文献】 中国特許出願公開第103012420(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102178678(CN,A)
【文献】 Molecules,2016年,Vol. 21, No. 11(1432),pp. 1-11
【文献】 Antimicrobial Agents and Chemotherapy,2016年,Vol. 60, No. 2,pp. 913-924
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 491/16
A61K 31/475
A61P 31/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるリコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩であって、

(I)
式中、
Xは、O、S又はCHであり、nは、0、1、2、3、4又は5であり、Arは、炭素原子数6〜10のアリール環又は炭素原子数3〜10のヘテロアリール環であり、Rは、モノ置換又は複数置換であってもよく、ここでRは、独立に、水素、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数1〜6のアルキニル基、炭素原子数1〜6のアルケニル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数3〜6のヘテロ原子置換のシクロアルキル基、炭素原子数1〜6の脂肪アルキルアシル基、炭素原子数6〜10の芳香族アシル基から選ばれ、前記ヘテロ原子はN、O、Sから選ばれる、リコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩。
【請求項2】
Arは、フェニル基、ナフチル基、ピリミジン、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピリダジン、ピラジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、キノリン、イソキノリン、プリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾールから選ばれ、Rは、水素、F、Cl、Br、I、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数1〜4のアルキルアミノ基、フェニル基、炭素原子数1〜4のアルキニル基、炭素原子数1〜4のアルケニル基から選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載のリコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩。
【請求項3】
置換基Rのフェニル基での置換位置は、パラ位、メタ位又はオルト位であり、Rは、モノ置換、ビス置換又は複数置換である、ことを特徴とする請求項2に記載のリコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩。
【請求項4】
前記一般式(I)は、
1−フェノキシアセチル−リコリン(1)
1−フェニルチオアセチル−リコリン(2)
1−(4−クロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(3)
1−(4−フェノキシブチリル)−リコリン(4)
1−(3−フェノキシプロピオニル)−リコリン(5)
1−(4−フルオロ−フェノキシアセチル)−リコリン(6)
1−(4−ブロモ−フェノキシアセチル)−リコリン(7)
1−(4−ニトロ−フェノキシアセチル)−リコリン(8)
1−(4−ヨード−フェノキシアセチル)−リコリン(9)
1−(4−イソプロピル−フェノキシアセチル)−リコリン(10)
1−(4−クロロ−フェニルチオアセチル)−リコリン(11)
1−(4−メチルフェノキシアセチル)−リコリン(12)
1−(2,4−ジメチル−フェノキシアセチル)−リコリン(13)
1−(2−クロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(14)
1−(3−クロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(15)
1−(2,4−ジクロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(16)
1−(4−ニトロ−フェノキシアセチル)−リコリン(17)
1−(4−メトキシ−フェノキシアセチル)−リコリン(18)
1−(2−ナフチル−フェノキシアセチル)−リコリン(19)
1−(4−フルオロ−フェニルチオアセチル)−リコリン(20)
1−(2,4−ジクロロ−5−メチル−フェニルチオアセチル)−リコリン(21)
1−[2−(4,6−ジメチル−ピリミジル)チオアセチル]−リコリン(22)
1−(3−フェニルプロピオニル)−リコリン(23)
1−(3−フェニルプロピオニル)−リコリン(24)
1−(4−フェニルブチリル)−リコリン(25)
1−(5−フェニルペンタノイル)−リコリン(26)
1−[3−(2−ピリジル)プロピオニル]−リコリン(27)
1−(5−フェノキシペンタノイル)−リコリン(28)
1−(1−チミジンアセチル)−リコリン(29)
1−(3−フタルイミドプロピオニル)−リコリン(30)
1−[3−(2−フリル)プロピオニル]−リコリン(31)
1−[3−(2−チエニル)プロピオニル]−リコリン(32)
1−[3−(3−インドリル)プロピオニル]−リコリン(33)

から選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載のリコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のリコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む、ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、注射剤から選ばれる、ことを特徴とする請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物は、放出制御性投与剤形、徐放性投与剤形、各種微粒投与システムから選ばれる、ことを特徴とする請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1〜4の何れか1項に記載のリコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩の、抗ウイルス医薬の製造のための使用。
【請求項9】
前記抗ウイルスは抗手足口病ウイルスEV71又は抗コクサッキーウイルスA16型から選ばれる、ことを特徴とする請求項8に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬技術分野に関し、具体的に1類の新規リコリン誘導体、それらを含む医薬組成物、及びそれらの、抗ウイルス医薬の製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リコリン(Lycorine)とは、最初は、日本人の森島庫太が伝統生薬のヒガンバナの麟から分離したアルカロイドである。リコリン及びその誘導体は、抗ウイルス、抗炎、抗腫瘍、抗寄生虫、アセチルコリンエステラーゼの抑制及び心血管の保護等の様々な作用を有するのが生物学的活性研究により表明されている。
【0003】
リコリンは複数種類のRNA及びDNAウイルスに対して抗ウイルス活性を有する。GabrielsenBらの研究により、リコリンは日本脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス等の複数種類のウイルスに対してインビトロで抑制活性を有することが発見されている。リコリンはポリオウイルス、ヘルペスウイルス、コクサッキーウイルスB2に対しても抑制作用を有し、抑制強度は濃度に関連し、その抗ウイルスの機構はDNAポリメラーゼの抑制作用と関連する。一方、リコリンのウイルスの成長に対する遅延作用及びウイルスの生成総量に対する低下作用がウイルスタンパクの合成を阻害することと関連するとの研究結果もある。最近、国内外の学者によりリコリンの抗ウイルス作用について更なる研究が行われており、リコリンがHIV−1ウイルスの複製に対して明らかな抑制作用を有することが表明され、また、リコリンが抗ヒト急性呼吸症候群関連のコロナウイルス(SARS−CoV)の作用を有することも表明されているが、その作用機構は不明であり、さらなる研究が必要である。本発明者らは、前期研究としてリコリンの抗手足口ウイルス(EV71)作用について研究を行っており、リコリンがインビトロ及びインビボのいずれにおいても良好の抗EV71活性を有することを見出しており、且つリコリンがこのウイルスの3Dポリメラーゼを抑制できるとのことも発見した。本発明は、前期研究結果に基づき、リコリンの1位に対して構造修飾を行い、修飾された化合物が良好の抗ウイルス活性を有することを実証した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】LiSY,ChenC,ZhangHQ,etal.IdentificationofnaturalcompoundswithantiviralactivitiesagainstSARS−associatedcoronavirus[J].AntiviralRes.,2005,67(1):18−23.
【非特許文献2】WangP,LiLF,WangQY,etal.Anti−Dengue−VirusActivityandStructure−ActivityRelationshipStudiesofLycorineDerivatives[J].ChemMedChem,2014,9(7):1522−1533.
【非特許文献3】ZouG,BasagoitiFP,ZhangB,etal.Asingle−aminoacidsubstitutioninWestNilevirus2KpeptidebetweenNS4AandNS4Bconfersresistancetolycorine,aflavivirusinhibitor[J].Virology,2009,384(1):242−252.
【非特許文献4】GabrielsenB,MonathTP,HugginsJW,etal.Antiviral(RNA)activityofselectedamaryllidaceaeisoquinolineconstituentsandsynthesisofrelatedsubstances[J].JournalofNaturalProducts,1992,55(11):1569−1581.
【非特許文献5】SzlavikL,GyurisA,MinarovitsJ,etal.AlkaloidsfromLeucojumvernumandantiretroviralactivityofamaryllidaceaealkaloids[J].PlantaMed,2004,70(9):871−873.
【非特許文献6】NozakiJR,KimT,ImakuraY,etal.Effectofalkaloidsisolatedfromamaryllidaceaeonherpessimplesvirus[J].ResVirol,1989,140(2):115−128.
【非特許文献7】HwangYC,ChuJH,YangPL,etal.Rapididentificationofinhibitorsthatinterferewithpoliovirusreplicationusingacell−basedassay[J].AntiviralRes.2008,77(3):232−236.
【非特許文献8】Vrijsen,R.,VandenBerghe,D.,Vlierinck,A.,etal.Alycorine:aeukaryoticterminationinhibitor[J].J.Biol.Chem,1986,261(2):505−507.
【非特許文献9】LiuJN,YangYJ,XuYF,etal.Lycorinereducedmortalityofhumanenterovirus71−infectedmicebyinhibitingvirusreplication[J].VirologyJournal,2011,8(1):483−491.
【非特許文献10】HeJ,QiWB,WangL,etal.Amaryllidaceaealkaloidsinhibitnuclear−tocytoplasmicexportofribonucleoprotein(RNP)complexofhighlypathogenicavianinfluenzavirusH5N1[J].InfluenzaandOtherRespiratoryViruses,2013,7(6):922−931.
【非特許文献11】ChenDZ,JiangJD,ZhangKQetal.Evaluationofanti−HCVactivityandSARstudyof(+)−lycoricidinethroughtargetingofhostheat−stresscognate70(Hsc70)[J].BioorgMedChemLett,2013,23(9):2679−2682.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、リコリン誘導体及びその医薬として許容し得る塩、その医薬組成物及びその抗ウイルス医薬の製造のための使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的課題を解決するために、本発明は以下のような技術的手段を提供する。
本発明の技術的手段の第一方面は、下記一般式(I)で表されるリコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩を提供する。
(I)
【0007】
式(I)中、Xは、O、S又はCHであり、nは、0、1、2、3、4又は5であり、Arは、炭素原子数6〜10のアリール環又は炭素原子数3〜10のヘテロアリール環であり、Rは、モノ置換又は複数置換であってもよく、ここでRは、独立に、水素、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数1〜6のアルキニル基、炭素原子数1〜6のアルケニル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数3〜6のヘテロ原子置換のシクロアルキル基、炭素原子数1〜6の脂肪アルキルアシル基、炭素原子数6〜10の芳香族アシル基から選ばれる。
【0008】
Arは、フェニル基、ナフチル基、ピリミジン、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピリダジン、ピラジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、キノリン、イソキノリン、プリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールから選ばれるのが好ましく、Rは、水素、F、Cl、Br、I、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数1〜4のアルキルアミノ基、フェニル基、炭素原子数1〜4のアルキニル基、炭素原子数1〜4のアルケニル基から選ばれるのが好ましい。置換基Rのフェニル基での置換位置は、パラ位、メタ位、オルト位であり、Rは、モノ置換、ビス置換又は複数置換であってよい。
リコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩は、以下のような化合物からなる群から選ばれるのがより好ましい。
1−フェノキシアセチル−リコリン(1)
1−フェニルチオアセチル−リコリン(2)
1−(4−クロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(3)
1−(4−フェノキシブチリル)−リコリン(4)
1−(3−フェノキシプロピオニル)−リコリン(5)
1−(4−フルオロ−フェノキシアセチル)−リコリン(6)
1−(4−ブロモ−フェノキシアセチル)−リコリン(7)
1−(4−ニトロ−フェノキシアセチル)−リコリン(8)
1−(4−ヨード−フェノキシアセチル)−リコリン(9)
1−(4−イソプロピル−フェノキシアセチル)−リコリン(10)
1−(4−クロロ−フェニルチオアセチル)−リコリン(11)
1−(4−メチルフェノキシアセチル)−リコリン(12)
1−(2,4−ジメチル−フェノキシアセチル)−リコリン(13)
1−(2−クロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(14)
1−(3−クロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(15)
1−(2,4−ジクロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(16)
1−(4−ニトロ−フェノキシアセチル)−リコリン(17)
1−(4−メトキシ−フェノキシアセチル)−リコリン(18)
1−(2−ナフチル−フェノキシアセチル)−リコリン(19)
1−(4−フルオロ−フェニルチオアセチル)−リコリン(20)
1−(2,4−ジクロロ−5−メチル−フェニルチオアセチル)−リコリン(21)
1−[2−(4,6−ジメチル−ピリミジン)チオアセチル]−リコリン(22)
1−(3−フェニルプロピオニル)−リコリン(23)
1−(3−フェニルプロピオニル)−リコリン(24)
1−(4−フェニルブチリル)−リコリン(25)
1−(5−フェニルペンタノイル)−リコリン(26)
1−[3−(2−ピリジル)プロピオニル]−リコリン(27)
1−(5−フェノキシペンタノイル)−リコリン(28)
29:1−(1−チミジンアセチル)−リコリン(29)
1−(3−フタルイミドプロピオニル)−リコリン(30)
1−[3−(2−フリル)プロピオニル]−リコリン(31)
1−[3−(2−チエニルチオフェン)プロピオニル]−リコリン(32)
1−[3−(3−インドリル)プロピオニル]−リコリン(33)
本発明の技術的手段の第二方面は、第一方面に係る前記化合物の製造方法を提供し、以下のような反応スキーム(I)を含む。
反応スキーム(I)
【0009】
リコリンの2位のヒドロキシ基を、シランを用いて先に選択的に保護し、次いで1位のヒドロキシ基と異なる酸とを反応させ、最後にテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)の作用下において、2位のシランを除去すればよい。
【0010】
本発明の化合物は、その分子内にアルカリ性基を含み、本分野から公認されているように、酸処理により医薬として許容し得る塩に転化される。これらの塩として、無機酸塩及び有機酸塩が含まれるが、無機酸塩は、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩又は硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩又はリン酸水素塩等が挙げられ、有機酸塩は、例えばギ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、サクシネート、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等が挙げられる。
【0011】
本発明の技術的手段の第三方面は、医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、本発明の第一方面に係る前記リコリン誘導体、又はその医薬として許容し得る塩、及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む。
【0012】
本発明の化合物は、例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤又は類似する剤形で経口投与してもよく、又は注射、軟膏、坐剤又は類似する剤形で非経腸的投与してもよい。これらの医薬製剤は、本分野で熟知されている補助剤、例えば接着剤、賦形剤、安定剤、崩壊剤、矯味剤、潤滑剤等を用いて一般的方法により調製でき、投与量は症状及び患者の年齢、疾患、又は障害の性質及び重症度、投与の経路と方式に従って変更されるが、成年患者の経口投与の場合を例とすると、本発明の化合物を正常投与時の1日あたりの総投与量は1〜1000mgであるのがよく、5〜500mgが好ましく、投与方式は単回投与、又は、例えば2回又は3回に分けて投与する分割投与でよい。また、静脈内注射による投与の場合を例とすると、1日あたりの総投与量は0.1〜100mgであるのがよく、0.5〜50mgが好ましく、1回〜3回に分けて投与するのが好ましい。
【0013】
本発明の技術的手段の第四方面は、第一方面に係る前記リコリン誘導体及びその医薬として許容し得る塩又は第三方面に係る前記医薬組成物の抗ウイルス医薬の製造のための使用を提供する。前記抗ウイルスは、抗手足口病ウイルスEV71及びCAV16から選ばれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は特に式(I)で表されるリコリン誘導体を提供し、主にリコリンの1位のヒドロキシ基に異なる置換基を導入している。予備活性スクリーニングにより、これらの誘導体は、リコリンに比べて、抗ウイルスの活性が上向され、且つ毒性が低下され、選択性指数が増大されていることが表明された。従って、本発明の誘導体は、良好の抗ウイルス見込みを有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】化合物1のEV71感染マウスの治療における生存率を示す図である。
図2】化合物1のEV71感染マウスの治療における症状の比較結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
略記:
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
EDCI:1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
THF:テトラハイドロフラン
TBSCl:tert−ブチルジメチルシリルクロリド
TBAF:テトラブチルアンモニウムフルオリド
【0017】
本発明は1類のリコリン誘導体、それらを含む塩、溶媒和物、プロドラックと医薬組成物の使用を公開しており、当業者は、本文の内容を参考し、プロセスパラメータを適当に改変することにより本案を実現できる。特別に言うべきことは、如何なる類似の入れ替え及び改変も、当業者にとっては自明であり、それらは何れも本発明の範囲内であると見なされる。本発明の方法及び使用についてはすでに好ましい実施例により記述されており、当業者にとって、本発明の内容、要旨及び範囲を脱離しない範囲内で本文で記述した方法及び使用に対して改変又は適当に変更と組み合わせを行うことにより、本発明の技術案を実現及び使用できるのは明らかでだろう。
以下、実施例により、更に本発明を説明する。
【実施例1】
【0018】
1−フェノキシアセチル−リコリン(1)
【0019】
1−a:リコリン(1.0mmol)、TBSCl(2.0mmol)、AgNO(4.0mmol)、TEF(4.0mmol)、15mLのDMFを50mLの反応フラスコに加え、遮光、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。ろ過し、ろ過液を分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し2−TBS−リコリンを得る。
【0020】
1−b:上記2−TBS−リコリン、フェノキシ酢酸(1.0mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.1mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0021】
1−c:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(53.4%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.16−7.12(m,2H),6.93−6.89(m,1H),6.68−6.66(m,3H),6.53(s,1H),5.93(d,J=8.0Hz,2H),5.75(s,1H),5.51(s,1H),4.51(s,2H),4.21(s,1H),4.08(d,J=16Hz,1H),3.35−3.30(m,2H),2.85(d,J=8.0Hz,1H),2.59(m,2H),2.52(d,J=8.0Hz,1H),2.27(d,J=20.0and8.0Hz,1H)。
【実施例2】
【0022】
1−フェニルチオアセチル−リコリン(2)
【0023】
2−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、フェニルチオ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0024】
2−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(32.0%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.18−7.17(m,5H),6.66(s,1H),6.54(s,1H),5.90(s,2H),5.64(s,1H),5.49(s,1H),4.13−4.09(m,2H),3.51(s,2H),3.45(d,J=16.0Hz,1H),3.35−3.33(m,1H),2.86(d,J=8.0Hz,1H),2.63−2.60(m,3H),2.37−2.36(m,1H)。
【実施例3】
【0025】
1−(4−クロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(3)

【0026】
3−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−クロロ−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れて,有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0027】
3−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(84.1%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.08−7.04(m,2H),6.66(s,1H),6.58−6.54(m,3H),6.00(d,J=4.0Hz,1H),5.94(d,J=4.0Hz,1H),5.76(s,1H),5.52(s,1H),4.52(s,2H),4.20(s,1H),4.10(d,J=12.0Hz,1H),3.36−3.28(m,2H),2.85(d,J=12.0Hz,1H),2.59(m,2H),2.41(d,J=8.0Hz,1H),2.27(d,J=20.0and8.0Hz,1H)。
【実施例4】
【0028】
1−(4−フェノキシブチリル)−リコリン(4)

【0029】
4−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−フェノキシ酪酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れて、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0030】
4−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し白色固体(22.3%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.25−7.22(m,2H),6.92(t,J=8.0Hz,1H),6.78(d,J=8.0Hz,1H),6.70(s,1H),6.53(s,1H),5.88(d,1H),5.83(d,1H),5.68(s,1H),5.53(s,1H),4.21(s,2H),4.12(d,J=16.0Hz,1H),3.80(m,2H),3.45(d,J=16.0Hz,1H),3.36−3.32(m,2H),2.87(d,J=8.0Hz,1H),2.71(d,J=8.0Hz,1H),2.62−2.61(m,2H),2.43−2.33(m,3H),2.00−1.94(m,2H)。
【実施例5】
【0031】
1−(3−フェノキシプロピオニル)−リコリン(5)
【0032】
5−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、3−フェノキシプロピオン酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0033】
5−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol),15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(11.5%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.23(t,J=8.0Hz,2H),6.92(t,J=8.0Hz,1H),6.72(d,J=8.0Hz,1H),6.66(s,1H),6.52(s,1H),5.88(d,1H),5.84(d,1H),5.67(s,1H),5.52(s,1H),4.22(s,2H),4.13−4.01(m,3H),3.41(d,J=12.0Hz,1H),3.34−3.30(m,1H),2.87(d,J=8.0Hz,1H),2.71−2.66(m,3H),2.64−2.58(m,2H),2.31(d,J=16.0and8.0Hz,1H)。
【実施例6】
【0034】
1−(4−フルオロ−フェノキシアセチル)−リコリン(6)

【0035】
6−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−フルオロ−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0036】
6−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し白色固体(45.6%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d6.82−6.78(m,2H),6.60−6.54(m,4H),5.96(s,1H),5.91(s,1H),5.69(s,1H),5.49(s,1H),4.47(s,2H),4.16(s,1H),4.13−4.11(m,1H),3.34−3.31(m,2H),2.84(d,J=8.0Hz,1H),2.57(m,2H),2.51(d,J=12.0Hz,1H),2.28(d,J=20.0and8.0Hz,1H)。
【実施例7】
【0037】
1−(4−ブロモ−フェノキシアセチル)−リコリン(7)

【0038】
7−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−ブロモ−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0039】
7−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し白色固体(48.6%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.17(d,J=8.0Hz,2H),6.60(s,1H),6.57(s,1H),6.49(d,J=8.0Hz,2H),5.99(s,1H),5.93(s,1H),5.72(s,1H),5.50(s,1H),4.50(s,2H),4.17(s,1H),4.08(d,J=8.0Hz,1H),3.32−3.26(m,2H),2.83(d,J=12.0Hz,1H),2.58(s,2H),2.39(s,1H),2.25(s,1H)。
【実施例8】
【0040】
1−(4−ニトロ−フェノキシアセチル)−リコリン(8)
【0041】
8−a:上記2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−ニトロ−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0042】
8−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol),15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(43.5%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.02(d,J=4.0Hz,2H),6.67(d,J=8.0Hz,2H),6.55(s,1H),6.51(s,1H),6.02(s,1H),5.92(s,1H),5.71(s,1H),5.51(s,1H),4.63(d,J=16.0and12.0Hz,2H),4.19(s,1H),4.08(d,J=12.0Hz,1H),3.33−3.31(m,1H),3.24(d,J=12.0Hz,1H),2.83(d,J=8.0Hz,1H),2.59(s,2H),2.43(s,1H),2.24(s,1H)。
【実施例9】
【0043】
1−(4−ヨード−フェノキシアセチル)−リコリン(9)
【0044】
9−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−ヨード−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0045】
9−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し白色固体(48.4%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.34(d,J=8.0Hz,2H),6.59(s,2H),6.37(d,J=8.0Hz,2H),5.99(s,1H),5.93(s,1H),5.70(s,1H),5.49(s,1H),4.49(s,2H),4.15(s,1H),4.08(d,J=12.0Hz,1H),3.33−3.23(m,2H),2.81(d,J=8.0Hz,1H),2.57(s,2H),2.36(m,1H),2.24(m,1H)。
【実施例10】
【0046】
1−(4−イソプロピル−フェノキシアセチル)−リコリン(10)
【0047】
10−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−イソプロピル−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0048】
10−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し白色固体(59.8%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.00(d,J=8.0Hz,2H),6.66(s,1H),6.59(d,J=8.0Hz,2H),6.55(s,1H),5.94(s,1H),5.93(s,1H),5.73(s,1H),5.50(s,1H),4.46(s,2H),4.19(s,1H),4.10(d,J=8.0Hz,1H),3.36−3.32(m,2H),2.95−2.80(m,2H),2.59(m,2H),2.29(s,1H),2.04(s,1H),2.20(d,6H)。
【実施例11】
【0049】
1−(4−クロロ−フェニルチオアセチル)−リコリン(11)
【0050】
11−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−クロロ−フェニルチオ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0051】
11−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し白色固体(66.4%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.12(d,J=8.0Hz,2H),7.07(d,J=4.0Hz,2H),6.56(s,1H),6.54(s,1H),5.92(s,1H),5.90(s,1H),5.59(s,1H),5.47(s,1H),4.12−4.07(m,2H),3.50−3.32(m,4H),2.81(d,J=8.0Hz,1H),2.60(s,2H),2.52(m,1H),2.35−2.33(m,1H)。
【実施例12】
【0052】
1−(4−メチルフェノキシアセチル)−リコリン(12)
【0053】
12−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−メチルフェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0054】
12−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(55.3%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d6.91(d,J=8.0Hz,2H),6.62(s,1H),6.55−6.63(m,3H),5.94(s,1H),5.92(s,1H),5.71(s,1H),5.50(s,1H),4.48(s,2H),4.16(s,1H),4.08(d,J=12.0Hz,1H),3.32−3.31(m,2H),2.84(d,J=8.0Hz,1H),2.58(s,2H),2.51(s,1H),2.28−2.27(m,1H),2.24(s,3H)。
【実施例13】
【0055】
1−(2,4−ジメチル−フェノキシアセチル)−リコリン(13)
【0056】
13−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、2,4−ジメチル−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0057】
13−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(57.2%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d6.88(s,1H),6.69−6.64(m,2H),6.53(s,1H),6.27(d,J=8.0Hz,1H),5.94(s,1H),5.92(s,1H),5.70(s,1H),5.50(s,1H),4.51(s,2H),4.19(s,1H),4.09(d,J=12.0Hz,1H),3.33(s,2H),2.85(d,J=8.0Hz,1H),2.58(s,2H),2.51(s,1H),2.29(s,1H),2.21(s,3H),2.11(s,3H)。
【実施例14】
【0058】
1−(2−クロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(14)
【0059】
14−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、2−クロロ−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0060】
14−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(64.3%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.28(m,1H),6.97−6.94(m,1H),6.85−6.82(m,1H),6.57(s,1H),6.50−6.47(m,2H),5.95(s,1H),5.91(s,1H),5.68(s,1H),5.46(s,1H),4.61(d,2H),4.19(s,1H),4.14−4.06(m,2H),3.33−3.32(m,2H),2.83(d,J=8.0Hz,1H),2.57(s,4H),2.31(s,1H)。
【実施例15】
【0061】
1−(3−クロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(15)
【0062】
15−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、3−クロロ−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0063】
15−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(56.4%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.04−7.01(m,1H),6.89−6.88(m,1H),6.73(s,1H),6.60(s,1H),6.53−6.51(m,2H),5.94(s,1H),5.92(s,1H),5.70(s,1H),5.50(s,1H),4.51(s,2H),4.18(s,1H),4.09(d,J=8.0Hz,1H),3.35−3.32(m,2H),2.85(d,J=8.0Hz,1H),2.59(s,2H),2.50(s,1H),2.31(s,1H)。
【実施例16】
【0064】
1−(2,4−ジクロロ−フェノキシアセチル)−リコリン(16)
【0065】
16−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、2,4−ジクロロ−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0066】
16−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(79.1%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.28(m,1H),6.86(d,J=4.0Hz,1H),6.57(s,1H),6.54(s,1H),6.37(d,J=4.0Hz,1H),5.99(s,1H),5.92(s,1H),5.69(s,1H),5.49(s,1H),4.61(d,2H),4.16(s,1H),4.08(d,J=8.0Hz,1H),3.34−3.32(m,2H),2.83(d,J=8.0Hz,1H),2.59(s,2H),2.47(s,1H),2.30−2.29(m,1H)。
【実施例17】
【0067】
1−(4−ニトロ−フェノキシアセチル)−リコリン(17)
【0068】
17−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−ニトロ−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0069】
17−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し緑色固体(79.6%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.73(d,J=4.0Hz,1H),7.24−7.23(m,1H),6.98−6.96(m,1H),6.61(d,J=4.0Hz,1H),6.54(s,1H),6.48(s,1H),5.97(s,1H),5.90(s,1H),5.67(s,1H),5.46(s,1H),4.69(d,2H),4.12(s,1H),4.06(d,J=12.0Hz,1H),3.32−3.30(m,2H),2.81(d,J=8.0Hz,1H),2.57(s,2H),2.50−2.49(m,1H),2.35−2.33(m,1H)。
【実施例18】
【0070】
1−(4−メトキシ−フェノキシアセチル)−リコリン(18)
【0071】
18−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−メトキシ−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0072】
18−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(84.5%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d6.67−6.58(m,5H),6.53(s,1H),5.94(s,1H),5.91(s,1H),5.71(s,1H),5.50(s,1H),4.46(s,2H),4.18(s,1H),4.09(d,J=8.0Hz,1H),3.73(s,3H),3.36−3.31(m,2H),2.84(d,J=8.0Hz,1H),2.59(s,2H),2.55(s,1H),2.29(s,1H)。
【実施例19】
【0073】
1−(2−ナフチル−フェノキシアセチル)−リコリン(19)
【0074】
19−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、2−ナフチル−フェノキシ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0075】
19−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(59.6%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.73(d,J=4.0Hz,1H),7.65(d,J=4.0Hz,1H),7.49−7.47(m,1H),7.42−7.39(m,1H),7.35−7.32(m,1H),7.06−7.04(m,1H),6.78(s,1H),6.63(s,1H),6.38(s,1H),5.88(s,1H),5.87(s,1H),5.73(s,1H),5.46(s,1H),4.66(d,2H),4.20(s,1H),3.95(d,J=8.0Hz,1H),3.25−3.22(m,1H),3.05−3.02(m,1H),2.80(d,J=8.0Hz,1H),2.52−2.36(m,3H),2.10(s,1H)。
【実施例20】
【0076】
1−(4−フルオロ−フェニルチオアセチル)−リコリン(20)
【0077】
20−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−フルオロ−フェニルチオ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0078】
20−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(46.7%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.18−7.15(m,2H),689−6.85(m,2H),6.56(s,1H),6.54(s,1H),5.91(s,1H),5.89(d,1H),5.58(s,1H),5.46(s,1H),4.13−4.06(m,2H),3.47−3.31(m,4H),2.81(d,J=8.0Hz,1H),2.57(s,2H),2.54(s,1H),2.35−2.31(m,1H)。
【実施例21】
【0079】
1−(2,4−ジクロロ−5−メチル−フェニルチオアセチル)−リコリン(21)
【0080】
21−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、2,4−ジクロロ−5−メチル−フェニルチオ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0081】
21−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(82.7%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.28(s,1H),7.00(s,1H),6.53(s,1H),6.49(s,1H),5.91(d,1H),5.86(d,1H),5.57(s,1H),5.44(s,1H),4.09−4.06(m,2H),3.53(d,J=12.0Hz,2H),3.38−3.32(m,2H),2.79(d,J=12.0Hz,1H),2.57−2.52(m,2H),2.31−2.25(m,4H)。
【実施例22】
【0082】
1−[2−(4,6−ジメチル−ピリミジン)チオアセチル]−リコリン(22)
【0083】
22−a:上記2−TBS−リコリン(1.0mmol)、2−(4,6−ジメチル−ピリミジン)チオ酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0084】
22−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(46.9%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d6.63(s,1H),6.56(s,1H),6.50(s,1H),5.91(s,1H),5.88(s,1H),5.56(s,1H),5.46(s,1H),4.18(s,1H),4.08(d,J=16.0Hz,1H),3.85−3.70(m,2H),3.41(d,J=16.0Hz,1H),3.32(m,1H),2.81(d,J=8.0Hz,1H),2.79(d,J=8.0Hz,1H),2.56−2.55(m,2H),2.35−2.31(m,7H)。
【実施例23】
【0085】
1−(3−フェニルプロピオニル)−リコリン(23)
【0086】
23−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、3−フェニルプロピオン酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0087】
23−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(23.9%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.22−7.14(m,3H),7.05(d,J=8.0Hz,2H),6.64(s,1H),6.55(s,1H),5.92(d,J=4.0Hz,1H),5.51(s,1H),5.50(s,1H),4.12(d,J=12.0Hz,1H),4.07(s,1H),3.48(d,J=16.0Hz,1H),3.36−3.32(m,1H),2.87(d,J=8.0Hz,1H),2.81(t,J=8.0Hz,1H),2.70(d,J=12.0Hz,1H),2.61−2.60(m,2H),2.52(t,J=8.0Hz,1H),2.37(d,J=20.0and8.0Hz,1H)。
【実施例24】
【0088】
1−(3−フェニルプロピオニル)−リコリン(24)
【0089】
24−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、フェニル酢酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0090】
24−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(45.7%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.16−7.14(m,3H),7.01−6.99(m,2H),6.59(s,1H),6.53(s,1H),5.90(d,1H),5.62(s,1H),5.51(s,1H),4.17(s,1H),4.11(d,J=12Hz,1H),3.48(s,2H),3.42(d,J=12Hz,1H),3.35−3.34(m,1H),2.82(d,J=8Hz,1H),2.63−2.61(m,3H),2.33(m,1H)。
【実施例25】
【0091】
1−(4−フェニルブチリル)−リコリン(25)
【0092】
25−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、4−フェニル酪酸(1.2mmol),EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0093】
25−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(31.6%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.23−7.15(m,3H),6.98(d,J=8Hz,2H),6.72(s,1H),6.56(s,1H),5.88(s,1H),5.79(s,1H),5.68(s,1H),5.55(s,1H),4.19(s,1H),4.16(d,J=12Hz,1H),3.51(d,J=12Hz,1H),3.37−3.36(m,1H),2.88(d,J=8Hz,1H),2.75(d,J=8Hz,1H),2.64(m,2H),2.48−2.37(m,4H),2.20(tJ=8Hz,2H),1.82−1.77(m,2H)。
【実施例26】
【0094】
1−(5−フェニルペンタノイル)−リコリン(26)
【0095】
26−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、5−フェニルペンタン酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0096】
26−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(28.7%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.25−7.16(m,3H),7.08(d,J=8Hz,2H),6.69(s,1H),6.54(s,1H),5.88(s,1H),5.81(s,1H),5.66(s,1H),5.54(s,1H),4.18(s,1H),4.14(d,J=12Hz,1H),3.50(d,J=12Hz,1H),3.36−3.35(m,1H),2.88(d,J=8Hz,1H),2.74(d,J=8Hz,1H),2.63(m,2H),2.50−2.49(m,2H),2.39(q,J=8Hz,1H),2.22−2.19(m,2H),1.53−1.43(m,5H)。
【実施例27】
【0097】
1−[3−(2−ピリジン)プロピオニル]−リコリン(27)
【0098】
27−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、3−(2−ピリジン)プロピオン酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0099】
27−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮して,カラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(34.0%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d8.41(d,J=4Hz,1H),8.36(s,1H),7.38(d,J=8Hz,1H),7.14−7.12(m,1H),6.66(s,1H),6.56(s,1H),5.94(s,1H),5.91(s,1H),5.66(s,1H),5.51(s,1H),4.14−4.10(m,2H),3.49(d,J=12Hz,1H),3.36−3.34(m,1H),2.87−2.82(m,3H),2.68−2.62(m,1H),2.64(m,4H),2.54(t,J=8Hz,2H),2.38(m,1H)。
【実施例28】
【0100】
1−(5−フェノキシペンタノイル)−リコリン(28)
【0101】
28−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、5−フェノキシペンタン酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0102】
28−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(22.7%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.28−7.24(m,2H),6.92(t,J=8Hz,1H),6.83−6.81(m,2H),6.70(s,1H),6.55(s,1H),5.88(s,1H),5.85(s,1H),5.67(s,1H),5.55(s,1H),4.20(s,1H),4.15(d,J=12Hz,1H),3.80(t,J=4Hz,2H),3.52(d,J=12Hz,1H),3.37−3.35(m,1H),2.91(d,J=8Hz,1H),2.77(d,J=8Hz,1H),2.64(m,2H),2.40−2.39(m,2H),2.27(t,J=4Hz,1H),1.68(m,1H)。
【実施例29】
【0103】
1−(1−チミジンアセチル)−リコリン(29)
【0104】
29−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、1−チミジンアセチル(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0105】
29−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(35.9%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d9.18(s,1H),6.72(s,1H),6.67(s,1H),6.57(s,1H),5.96(s,1H),5.91(s,1H),5.70(s,1H),5.53(s,1H),4.34(d,J=12Hz,1H),4.24−4.08(m,3H),3.44(d,J=12Hz,1H),3.39−3.37(m,1H),2.98(d,J=8Hz,1H),2.62−2.61(m,3H),2.36−2.32(m,1H)。
【実施例30】
【0106】
1−(3−フタルイミドプロピオニル)−リコリン(30)
【0107】
30−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、3−フタルイミドプロピオン酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0108】
30−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(28.4%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.82−7.80(m,2H),7.72−7.70(m,2H),6.67(s,1H),6.51(s,1H),5.90(s,1H),5.89(s,1H),5.63(s,1H),5.49(s,1H),4.22(s,1H),4.13−4.08(m,2H),3.91−3.84(m,2H),3.45(d,J=12Hz,1H),3.32(t,J=8Hz,1H),2.84(d,J=12Hz,1H),2.69−2.54(m,4H),2.32−2.29(m,1H)。
【実施例31】
【0109】
1−[3−(2−フラン)プロピオニル]−リコリン(31)
【0110】
31−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、3−(2−フラン)プロピオン酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0111】
31−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(23.9%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.22(s,1H),6.67(s,1H),6.56(s,1H),6.19(s,1H),5.92(s,1H),5.91(s,1H),5.84(d,1H),5.64(s,1H),5.52(s,1H),4.15−4.12(m,2H),3.50(d,J=12Hz,1H),3.37−3.33(m,1H),2.86−2.82(m,3H),2.71(d,J=8Hz,1H),2.62(m,2H),2.55−2.52(m,2H),2.40−2.35(m,1H)。
【実施例32】
【0112】
1−[3−(2−チオフェン)プロピオニル]−リコリン(32)
【0113】
32−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、3−(2−チオフェン)プロピオン酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0114】
32−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(21.8%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.06(d,1H),6.83−6.82(m,1H),6.66−6.65(m,2H),6.56(s,1H),5.92(s,1H),5.91(s,1H),5.66(s,1H),5.51(s,1H),4.15−4.12(m,2H),3.49(d,J=8Hz,1H),3.36−3.34(m,1H),3.02(t,J=8Hz,2H),2.85(d,J=8Hz,1H),2.70(d,J=8Hz,1H),2.62(m,2H),2.57(t,J=8Hz,2H),2.38−2.36(m,1H)。
【実施例33】
【0115】
1−[3−(3−インドリル)プロピオニル]−リコリン(33)
【0116】
33−a:2−TBS−リコリン(1.0mmol)、3−(3−インドリル)プロピオン酸(1.2mmol)、EDCI(1.2mmol)、DMAP(0.12mmol)、15mLのジクロロメタンを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し用意する。
【0117】
33−b:上記の生成物、TBAF(2.0mmol)、15mLのTHFを50mLの反応フラスコに加え、室温下で原料の残りがないまで撹拌する。分液ロートに移し、50mLのジクロロメタンを入れ有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、飽和塩化ナトリウム溶液でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してカラムクロマトグラフィーで分離し黄色固体(18.1%)を得る。HNMR(400M,CDCl):d7.92(s,1H),7.48(d,J=4Hz,1H),7.30(d,J=4Hz,1H),7.16(t,J=8Hz,1H),7.06(t,J=8Hz,1H),6.77(s,1H),6.66(s,1H),6.53(s,1H),5.90(d,J=4Hz,1H),5.61(s,1H),5.46(s,1H),4.12−4.07(m,2H),3.40(d,J=12Hz,1H),3.32−3.29(m,1H),2.95(t,J=8Hz,1H),2.81(d,J=8Hz,1H),2.63−2.56(m,6H),2.30(m,1H)。
[薬理学実験]
実験例1
【0118】
抗EV71ウイルスのインビトロ実験
RD細胞を1×10/ウェルとなるように調整して96ウェルプレートに播種し、TCID50が100個であるEV71ウイルスを感染させる。2時間後、異なる濃度の誘導体を投与し、投与48時間後、MTTを加え、マイクロプレートリーダにて細胞生存率を測定し、EC50値を計算する。感染させてない細胞に対しても同様に異なる濃度の誘導体を投与し、CC50値の測定に用いる。
実験例2
【0119】
抗コクサッキーウイルスA16型(CAV16)ウイルスのインビトロ実験
RD細胞を1×10/ウェルとなるように調整して96ウェルプレートに播種し、TCID50が100個であるCAV16ウイルスを感染させる。2時間後、異なる濃度の誘導体を投与し、投与48時間後、MTTを加え、マイクロプレートリーダにて細胞生存率を測定し、EC50値を計算する。感染させてない細胞に対しても同様に異なる濃度の誘導体を投与し、CC50値の測定に用いる。
実験例3
【0120】
化合物1のEV71感染マウスに対する治療効果
マウスは、10日齢のSPF級のICRマウスをメスとオスがそれぞれ半分を占める様にして用意する。プラセボ群と化合物1群とをそれぞれ設けて治療を行い、毎群のマウスの数は10匹とする。腹腔内注射によりマウスに対してウイルス感染を行い、感染2時間後から腹腔内注射により投与を開始し、化合物1の投与量は1mg/kg体重/日とし、プラセボ群は同じ量の生理食塩水を注射する。各群に対して、毎日1回投与を行い、7日間連続に投与する。ウイルスを感染させた日から、継続して14日間観察し、観察は毎日2回とし、マウスの体重、症状及び生存率を記録する。結果から分かるように、化合物1で治療したマウスの死亡率は40%にまで低下されるが、プラセボ群のマウスの死亡率は100%である(図1)。また、治療群のマウスの症状は減弱され、体重の低減及び麻痺特徴も明らかに緩やかになっており、14日後生存のマウスは正常に恢復している(図2)。
[薬物動態学実験]
実験例1
【0121】
化合物6の血漿薬物動態学実験
体重20〜22g、オスのICRマウスに腹腔内注射により化合物6(1.5mg/kg)を投与し、投与後5min、10min、15min、30min、1h、2h、4h、6h、8h、12h、24hのそれぞれの時点で眼窩から採血して、ヘパリンを入れ氷上に置いて凝血を防止し、7000r/minで7分間遠心分離を行って血漿を分離し用意する。化合物6を投与後の血漿サンプル20μLを取ってアセトニトリル60μLを入れてタンパク質を沈澱させ、13300r/minで7分間高速遠心分離を行い、60μLの上清液を取って、再び13300r/minで4分間高速遠心分離を行い、5μLの上清液を取ってUPLC/MS分析を行う。血漿薬物動態学は、Winnolinソフトウェアで分析し、ノンコンパートメントモデルを介してフィッティングする。薬物動態学パラメーターは表3に示す。
実験例2
【0122】
化合物20の血漿薬物動態学実験
体重20〜22gのオスICRマウスに腹腔内注射により化合物20(1.5mg/kg)を投与し、投与後5min、10min、15min、30min、1h、2h、4h、6h、8h、12h、24hのそれぞれの時点で眼窩から採血して、ヘパリンを入れ氷上に置いて凝血を防止し、7000r/minで7分間遠心分離を行って血漿を分離し用意する。化合物20を投与後の血漿サンプル20μLを取ってアセトニトリル60μLを入れてタンパク質を沈澱させ、13300r/minで7分間高速遠心分離を行い、60μLの上清液を取って、再び13300r/minで4分間高速遠心分離を行い、5μLの上清液を取ってUPLC/MS分析を行う。血漿薬物動態学は、Winnolinソフトウェアで分析し、ノンコンパートメントモデルを介してフィッティングする。薬物動態学パラメーターは表4に示す。
(毒性実験)
実験例1
【0123】
ICRマウスの腹腔内注射による化合物6の単回投与の毒性試験
10日齢のICRマウス22匹をランダムに17群に分け、腹腔内注射により化合物6を単回投与し、投与量はそれぞれ0.625、1.25、2.5、5、10、20、40、80、100、160、200、250、300、470、500、1000、2000mg/kgとし、各群ごとに1−2匹の動物を含むようにし、オスとメスの交番で投与を実施する。投与後に現れる動物の中毒症状及び中毒症状が現れる時間、表現程度、発展過程、動物死亡前の特徴及び死亡時間を観察する。死亡動物は解剖して、主な臓器の改変を観察し、観察期間は14日間とする。投与1日後、160mg/kgの投与量群の動物の体重は投与当日に比べて3g低下し、0.625、1.25、2.5、5、10、20、40、80、100mg/kgの投与量群の動物の体重は増加しており、詳しくは表5に示す。該試験条件下において、ICRマウスに腹腔内注射より化合物6を単回投与の際の、最小致死投与量は200mg/kgであり、最大許容投与量は160mg/kgである。

実験例2
【0124】
ICRマウスの腹腔内注射による化合物20の単回投与の毒性試験
10日齢のICRマウス24匹をランダムに19群に分け、腹腔内注射により化合物20を単回投与し、投与量はそれぞれ0.625、1.25、2.5、5、10、20、40、60、80、100、120、136、160、270、320、500、690、1000、2000mg/kgとし、各群ごとに1−2匹の動物を含むようにし、オスとメスの交番で投与を実施する。投与後に現れる動物の中毒症状及び中毒症状が現れる時間、表現程度、発展過程、動物死亡前の特徴及び死亡時間を観察する。死亡動物は解剖して、主な臓器の改変を観察し、観察期間は14日間とする。投与1日後、80−136mg/kgの投与量群の動物の体重は投与当日に比べて変化なし又は0.2−0.3g低下し、0.625、1.25、2.5、5、10、20、40、80mg/kgの投与量群の動物の体重は増加しており、詳しくは表6に示す。該試験条件下において、ICRマウスに腹腔内注射より化合物20を単回投与の際の、最小致死投与量は160mg/kgであり、最大許容投与量は136mg/kgである。
実験例3
【0125】
化合物6のヒスチジン欠損型ネズミチフス菌復帰突然変異試験
ヒスチジン欠損型ネズミチフス菌復帰突然変異試験プレート取り込み予備培養法を用い、化合物6のTA100、TA102菌株に対する変異原性作用をテストする。化合物6の活性化及び非活性化条件下での投与量は8、40、200、1000、5000mg/プレートとし、TA100、TA102に対する変異誘発作用を測定する。該試験条件下で、化合物6は8〜5000mg/プレート濃度範囲内において、活性化及び非活性化条件下で、TA100、TA102のいずれに対しても明らかな変異原性作用を現さなく、結果は陰性であり、表7に示す。

図1
図2