(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
蒸気滅菌装置は、周知のとおり、滅菌槽内に被滅菌物を収容して、蒸気で滅菌する装置である。また、滅菌後には通常、滅菌槽内を減圧して、被滅菌物の乾燥が図られる。
【0003】
このような蒸気滅菌装置では、滅菌槽の外壁に、典型的には蒸気ジャケットが設けられる。そして、蒸気ジャケットには、乾燥工程終了までの一連の滅菌運転中はもちろん、滅菌運転後も次回の滅菌運転に備えて、蒸気が供給されて所定圧力に維持される。
【0004】
しかしながら、たとえば、終業時に最後の滅菌運転をスタートさせて帰宅する場合、その滅菌運転終了後には、翌朝の始業時までの長時間に亘って、蒸気ジャケットへの蒸気供給(給蒸)が無駄に継続されることになる。この場合、放熱によるエネルギ損失が大きくなるし、滅菌槽内に放置された被滅菌物が熱で劣化するおそれもある。
【0005】
これに対し、従来、下記特許文献1に開示されるように、滅菌運転終了後から次の滅菌運転を開始するまでの間、蒸気ジャケットへの給蒸を停止する蒸気滅菌装置が知られている。しかしながら、蒸気ジャケットへの給蒸を停止するだけでは、被滅菌物の熱劣化を防止するのに十分とはいえない。また、滅菌運転後も長時間に亘って滅菌槽のドアが閉鎖されたままであると、配管などに残った水が蒸発し、滅菌槽内の湿度が高まり、被滅菌物を取り出す際の結露の原因となる。このような不都合に対処するために、仮に、滅菌槽内への給気弁を開けた状態で水封式真空ポンプを作動させるブロー動作を継続したのでは、真空ポンプの電気および水の使用量が多くなる。
【0006】
また、滅菌運転終了時に蒸気ジャケットへの給蒸を停止したのでは、たとえば翌朝の始業時など、次回の滅菌運転時、それに先駆けて暖機運転が必要となる。この点に関し、従来、下記特許文献2に開示されるように、電源スイッチが前回オフされてから今回オンされるまでの時間が所定時間以上の場合に、暖機運転を行うことが提案されている。しかしながら、電源スイッチのオフやオンがなされることが前提であり、終業後の夜間運転や始業前の自動起動には対応できない。
【0007】
さらに、従来の暖機運転は、滅菌槽内に被滅菌物を収容しない状態で、また滅菌槽のドアを閉鎖した状態で、滅菌槽内および蒸気ジャケットに給蒸して行われる。そのため、事前に、滅菌槽内から被滅菌物を取り出して、滅菌槽のドアを閉じておく必要がある。ところが、前述したように、前日の終業時の最終運転での被滅菌物が滅菌槽内に収容されたままでは、自動的に暖機運転を行うことができない。仮に、滅菌槽内に被滅菌物を収容した状態で、滅菌槽のドアを閉じて暖機運転を行えば、被滅菌物が再加熱されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、滅菌運転終了後、長時間に亘って蒸気ジャケットなどへの給蒸が無駄に継続されることを防止して、エネルギ損失を防止すると共に、被滅菌物の熱劣化を防止することにある。また、滅菌運転終了後、滅菌槽内の湿度が上昇してしまうのを防止することを課題とする。さらに、たとえば始業前など所望時には、自動的に滅菌槽を加熱して、滅菌運転に備えることができ、その際、前回の運転で滅菌槽内に被滅菌物が残っていても、その被滅菌物を不必要に加熱してしまうのを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被滅菌物が収容されると共に蒸気が供給されて被滅菌物を滅菌する滅菌槽と、この滅菌槽の外壁に設けられ、蒸気が供給されて前記滅菌槽内を加熱する蒸気ジャケットまたは蒸気管と、第一ボイラから前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管への蒸気供給による前記滅菌槽の加熱の有無を切替可能であると共に、前記蒸気ジャケット、前記蒸気管、前記第一ボイラまたは第二ボイラから前記滅菌槽内への蒸気供給の有無を切替可能な給蒸手段と、前記滅菌槽内の気体を外部へ吸引排出して前記滅菌槽内を減圧する減圧手段と、減圧された前記滅菌槽内へ外気を導入して前記滅菌槽内を復圧する復圧手段と、大気圧との差圧により前記滅菌槽内の気体を外部へ排出する排気手段と、前記各手段を制御して、前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管により前記滅菌槽内を加熱しつつ、前記滅菌槽内へ蒸気を供給して前記被滅菌物を滅菌する滅菌工程、前記滅菌槽内への蒸気供給を停止した状態で前記滅菌槽内から蒸気を排出する排気工程、および前記被滅菌物を乾燥させる乾燥工程を、少なくとも順次に実行する制御手段とを備え、
前記乾燥工程は、前記減圧手段により前記滅菌槽内を設定乾燥圧力まで減圧して前記被滅菌物を真空乾燥させるか、前記減圧手段による減圧と前記復圧手段による復圧とを繰り返すパルス乾燥、若しくは、前記復圧手段により前記滅菌槽内への外気導入を可能とした状態で前記減圧手段を設定乾燥時間だけ作動し続けるブロー乾燥を行う、又は、これらいずれか二以上を設定順序で実行する工程であり、前記制御手段は、前記滅菌槽内の被滅菌物を蒸気滅菌後、前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管による前記滅菌槽の加熱を停止、前記乾燥工程の終了後、前記滅菌槽内を大気圧とした状態で、前記滅菌槽のドアを自動開放、することを特徴とする蒸気滅菌装置である。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、滅菌槽内の被滅菌物を蒸気滅菌後、蒸気ジャケットまたは蒸気管(本明細書において、単に「蒸気管」という場合、蒸気ジャケットに代えて滅菌槽の外壁に設けられる蒸気管をいう。)
による滅菌槽の加熱を停止、乾燥工程の終了後、滅菌槽のドアを自動開放する。蒸気ジャケットまたは蒸気管
による滅菌槽の加熱を停止することで、エネルギ損失を防止することができる。また、蒸気ジャケットまたは蒸気管
による滅菌槽の加熱を停止、乾燥工程の終了後、滅菌槽のドアを自動開放することで、滅菌槽内の被滅菌物の熱劣化を防止することができる。さらに、滅菌槽のドアを開放しておくことで、滅菌槽内の湿度の上昇を防止して、被滅菌物への結露を防止することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記復圧手段は、前記滅菌槽内への給気路に給気弁を備え、前記制御手段は、前記乾燥工程の終了後、前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管
による前記滅菌槽の加熱を停止すると共に、前記給気弁を開けた状態で前記減圧手段を作動させるブロー動作を実施してから、前記減圧手段を停止して前記ドアを開放することを特徴とする
請求項1に記載の蒸気滅菌装置である。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、乾燥工程の終了後、蒸気ジャケットまたは蒸気管
による滅菌槽の加熱を停止すると共に、給気弁を開けた状態で減圧手段を作動させるブロー動作を実施することで、滅菌槽内の換気と被滅菌物の冷却とを図ることができる。その後、減圧手段を停止してドアを開放することで、被滅菌物の熱劣化を防止できると共に、被滅菌物への結露を防止することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記制御手段は、前記乾燥工程の終了から設定待機時間の経過後、前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管
による前記滅菌槽の加熱を停止することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の蒸気滅菌装置である。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、乾燥工程の終了から設定待機時間の経過後、蒸気ジャケットまたは蒸気管
による滅菌槽の加熱を停止する。乾燥工程の終了後、しばらくは蒸気ジャケットまたは蒸気管へ給蒸して、滅菌槽内の加熱を継続することで、被滅菌物の乾燥を確実に図ることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記制御手段は、前記ブロー動作を設定ブロー時間実施してから、前記減圧手段を停止して前記ドアを開放することを特徴とする
請求項2に記載の蒸気滅菌装置である。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、ブロー動作を設定ブロー時間だけ実施することで、減圧手段を無駄に作動させ続けることが防止される。
【0020】
請求項5に記載の発明は、
前記制御手段は、前記ドアを開放後の設定タイミングにおいて、前記ドアを開放したまま、前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管
による前記滅菌槽の加熱を再開することを特徴とする
請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸気滅菌装置である。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、蒸気ジャケットまたは蒸気管
による滅菌槽の加熱を停止すると共に滅菌槽のドアを開放した後、設定タイミングにおいて、ドアを開放したまま蒸気ジャケットまたは蒸気管
による滅菌槽の加熱を再開する。これにより、たとえば始業前など所望時には、自動的に滅菌槽を加熱して、滅菌運転に備えることができる。しかも、前回の運転で滅菌槽内に被滅菌物が残っていても、ドアを開放したままであるから、被滅菌物を不必要に再加熱するおそれはない。
【0022】
請求項6に記載の発明は、操作パネルにより、第一運転モードと第二運転モードとを切替可能とされ、前記第一運転モードでは、
前記乾燥工程の終了後、前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管による前記滅菌槽内の加熱を継続すると共に、前記操作パネルからのドア開放指令を受けるまで前記滅菌槽のドアを開放せず、前記第二運転モードでは、
前記乾燥工程の終了後、前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管による前記滅菌槽内の加熱を停止すると共に、前記操作パネルからのドア開放指令を受けることなく前記滅菌槽のドアを開放することを特徴とする
請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気滅菌装置である。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、運転モードを切り替えることで、
乾燥工程の終了後に、蒸気ジャケットまたは蒸気管による滅菌槽内の加熱を停止するか否か、および滅菌槽のドアを自動開放するか否かを、切り替えることができる。たとえば、昼間は、第一運転モードとして、
乾燥工程の終了後も、蒸気ジャケットまたは蒸気管による滅菌槽内の加熱を継続すると共に、操作パネルからのドア開放指令を受けるまで滅菌槽のドアを開放しないことで、滅菌運転を繰り返すのに便利である。一方、終業時の最後の滅菌運転では、第二運転モードとして、
乾燥工程の終了後には、蒸気ジャケットまたは蒸気管による滅菌槽内の加熱を停止すると共に、操作パネルからのドア開放指令を受けることなく滅菌槽のドアを開放することで、前記各請求項に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、
前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管は、内部で給水を加熱して蒸気を発生可能に構成され、前記第一ボイラから前記蒸気ジャケットまたは前記蒸気管への蒸気供給
による前記滅菌槽の加熱の有無を制御することに代えて、前記蒸気ジャケット
内または前記蒸気管内での蒸気発生
による前記滅菌槽の加熱の有無を制御することを特徴とする
請求項1〜6のいずれか1項に記載の蒸気滅菌装置である。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、蒸気ジャケットまたは蒸気管への蒸気供給
による滅菌槽の加熱の有無を制御することに代えて、蒸気ジャケット
内または蒸気管内での蒸気発生
による滅菌槽の加熱の有無を制御することでも、前記各請求項に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、前記ドアがシャッター式またはスライド式であることを特徴とする
請求項1〜7のいずれか1項に記載の蒸気滅菌装置である。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、滅菌槽のドアが、スイング式ではなく、シャッター式またはスライド式であるから、容易に安全にドアを自動で開放することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の蒸気滅菌装
置によれば、滅菌運転終了後、長時間に亘って蒸気ジャケットなどへの給蒸が無駄に継続されることを防止して、エネルギ損失を防止すると共に、被滅菌物の熱劣化を防止することができる。また、滅菌運転終了後、長時間に亘って滅菌槽のドアが開放されず、滅菌槽内の湿度が上昇してしまうのを防止することができる。さらに、たとえば始業前など所望時には、自動的に滅菌槽を加熱して、滅菌運転に備えることができ、その際、前回の運転で滅菌槽内に被滅菌物が残っていても、その被滅菌物を不必要に加熱することがない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の蒸気滅菌装置1を示す概略図であり、一部を断面にして示している。
【0033】
本実施例の蒸気滅菌装置1は、被滅菌物(図示省略)が収容される滅菌槽2と、この滅菌槽2の外壁に設けられて滅菌槽2内を外側から加熱する蒸気ジャケット3と、滅菌槽2内の気体を外部へ吸引排出して滅菌槽2内を減圧する減圧手段4と、減圧された滅菌槽2内へ外気を導入して滅菌槽2内を復圧する復圧手段5と、滅菌槽2内や蒸気ジャケット3内へ蒸気を供給する給蒸手段6と、滅菌槽2内から蒸気の凝縮水を排出するドレン排出手段7と、大気圧との差圧により滅菌槽2内の気体を外部へ排出する排気手段8と、これら各手段を制御する制御手段(図示省略)とを備える。
【0034】
被滅菌物は、特に問わないが、典型的には医療器具である。被滅菌物は、通常、滅菌バッグまたは滅菌コンテナなどの包装資材に入れられた状態で、滅菌槽2内に収容される。これにより、滅菌後に滅菌槽2のドアを開けても、被滅菌物の再汚染が防止される。被滅菌物は、滅菌槽2内の棚に載せられるか、台車に載せられて台車ごと滅菌槽2内に収容される。
【0035】
滅菌槽2は、内部空間の減圧および加圧に耐える中空容器であり、典型的には略矩形の箱状に形成されている。本実施例の滅菌槽2は、被滅菌物を出し入れするためのドア(図示省略)を、正面(
図1の紙面に対し垂直手前側)に備える。但し、正面および背面にそれぞれドアを備え、一方のドアを、滅菌槽2内に被滅菌物を入れるための搬入ドアとし、他方のドアを、滅菌槽2外に被滅菌物を取り出すための搬出ドアとしてもよい。いずれにしても、ドアを閉じることで、滅菌槽2の開口部を気密に閉じることができる。つまり、滅菌槽2とドアとの隙間は、パッキン(図示省略)で封止される。
【0036】
ドアは、本実施例では、自動で開閉可能とされる。具体的には、蒸気滅菌装置1は、ドア開閉機構(図示省略)を備え、制御手段によりドア開閉機構を制御することで、ドアが自動で開閉される。自動開閉を容易に且つ安全に実現するために、ドアは、スイング式ではなく、シャッター式またはスライド式とされるのが好ましい。つまり、ドアは、開き戸状に開閉されるのではなく、上下または左右に移動して開閉されるのが好ましい。但し、ドアは、開放と閉鎖との内、少なくとも開放が自動で可能であれば、閉鎖は場合により手動でなされてもよい。
【0037】
蒸気ジャケット3は、滅菌槽2の外壁に設けられ、蒸気が供給されて滅菌槽2内を外側から加熱する。具体的には、蒸気滅菌装置1は、内缶9とそれを取り囲む外缶10とを備え、内缶9にて滅菌槽2が構成され、内缶9と外缶10との隙間が蒸気ジャケット3とされる。本実施例では、蒸気ジャケット3は、滅菌槽2の上下左右の各壁体に連続的に設けられる。
【0038】
減圧手段4は、真空排気路11を介して、滅菌槽2内の気体を外部へ吸引排出する。滅菌槽2内からの真空排気路11には、真空弁12、第一の逆止弁13、水封式の真空ポンプ14、および第二の逆止弁15が順に設けられる。さらに、真空排気路11には、真空ポンプ14の入口側(第一の逆止弁13と水封式の真空ポンプ14との間)に、蒸気凝縮用の熱交換器が設けられてもよい。真空弁12を開放すると共に真空ポンプ14を作動させることで、滅菌槽2内の気体を外部へ吸引排出して、滅菌槽2内を減圧することができる。その際、蒸気凝縮用の熱交換器を備える場合、熱交換器に冷却水を通して、滅菌槽2内からの蒸気を凝縮させることができる。なお、水封式の真空ポンプ14の作動時、周知のとおり、真空ポンプ14には封水が供給される。
【0039】
復圧手段5は、減圧下の滅菌槽2内に、給気路16を介して外気を導入する。滅菌槽2内への給気路16には、エアフィルタ17、給気弁18および逆止弁19が順に設けられる。滅菌槽2内が減圧された状態で給気弁18を開放すると、差圧により外気を滅菌槽2内へ導入して、滅菌槽2内を復圧することができる。その際、エアフィルタ17により、清浄な空気を滅菌槽2内へ導入することができる。なお、給気弁18を開度調整可能に構成すれば、滅菌槽2内の復圧を徐々に行うことができる。
【0040】
給蒸手段6は、蒸気発生源からの蒸気(飽和蒸気)を、滅菌槽2内および蒸気ジャケット3に供給する。本実施例では、滅菌槽2内への給蒸の有無を切替可能であると共に、蒸気ジャケット3への給蒸の有無を切替可能に構成される。蒸気発生源は、特に問わず、燃料焚きボイラでもよいが、本実施例では電気ボイラ20とされる。
【0041】
電気ボイラ20は、周知のとおりであるが、図示例では、水管を備えた缶体21内に、複数の電気ヒータ22が上方から差し込まれて構成される。また、電気ボイラ20には、缶体21内の水位を監視するために、水位検出器23が設けられている。さらに、缶体21の下部には、給水路24が接続されており、この給水路24には給水ポンプ25が設けられている。水位検出器23の検出信号に基づき缶体21内への給水を制御(ここでは給水ポンプ25を制御)することで、缶体21内の水位を所望に維持することができる。なお、缶体21の下部には、排水路26も接続されており、この排水路26には、排水弁27および逆止弁28が設けられている。
【0042】
本実施例の場合、滅菌槽2内および蒸気ジャケット3には、電気ボイラ20からの蒸気が次のようにして供給可能とされる。すなわち、まず、電気ボイラ20では、缶体21内の貯留水(典型的には軟水)を電気ヒータ22で加熱して蒸気とする。その蒸気は、缶体21の上部からの第一給蒸路29を介して、蒸気ジャケット3に供給される。本実施例では、蒸気ジャケット3内と缶体21内とは常時連通されている。従って、第一給蒸路29(または蒸気ジャケット3もしくは缶体21)に設けた外缶圧力センサ30(ボイラ圧力センサということもできる)の検出圧力に基づき、電気ヒータ22を制御することで、蒸気ジャケット3内の圧力ひいては温度を所望に調整することができる。なお、本実施例では、電気ヒータ22は、オンオフ制御されるが、場合により出力を制御されてもよい。
【0043】
そして、本実施例では、蒸気ジャケット3内の蒸気が、第二給蒸路31を介して、滅菌槽2内に供給可能とされる。つまり、本実施例では、蒸気ジャケット3と滅菌槽2とが第二給蒸路31で接続されており、電気ボイラ20からの蒸気は蒸気ジャケット3および第二給蒸路31を介して滅菌槽2内に供給可能とされる。第二給蒸路31には、蒸気ジャケット3から滅菌槽2へ向けて、内缶給蒸弁32および逆止弁33が設けられている。本実施例では、内缶給蒸弁32は、開閉を制御されるが、場合により開度を調整されてもよい。なお、図示例の場合、第二給蒸路31の下流側(滅菌槽2への接続側)は、給気路16の下流側と共通管路34とされている。言い換えれば、逆止弁19より下流の給気路16に、逆止弁33より下流の第二給蒸路31が接続されている。
【0044】
ところで、本実施例では、蒸気ジャケット3へ供給された蒸気の凝縮水は、ドレン戻し路35を介して、電気ボイラ20に戻される。具体的には、蒸気ジャケット3(外缶10)の下部と電気ボイラ20(缶体21)の下部とは、ドレン戻し路35で接続されている。なお、図示例の場合、ドレン戻し路35の下流側(電気ボイラ20への接続側)は、給水路24の下流側と共通管路36とされている。言い換えれば、蒸気ジャケット3から電気ボイラ20へのドレン戻し路35に、給水ポンプ25より下流の給水路24が接続されている。
【0045】
また、蒸気ジャケット3には、エアベント37と真空破壊弁38とが設けられている。エアベント37は、空気抜き弁であり、蒸気ジャケット3への給蒸時、蒸気ジャケット3内の空気を外部へ自動的に排出する。また、真空破壊弁38は、蒸気ジャケット3内が真空となった際、蒸気ジャケット3内へ外気を導入する。蒸気ジャケット3への給蒸停止後、蒸気ジャケット3内の蒸気が凝縮することで蒸気ジャケット3内が大気圧未満になっても、真空破壊弁38による給気で真空状態が解除される。
【0046】
ドレン排出手段7は、ドレン排出路39を介して、滅菌槽2内から蒸気の凝縮水を排出する。滅菌槽2内からのドレン排出路39には、スチームトラップ40および逆止弁41が順に設けられる。給蒸手段6により滅菌槽2内へ蒸気を供給中、蒸気の凝縮水はドレン排出手段7により滅菌槽2外へ排出される。
【0047】
排気手段8は、加圧下の滅菌槽2内から、排気路42を介して流体を導出する。滅菌槽2内からの排気路42には、排気弁43および逆止弁44が順に設けられる。滅菌槽2内が加圧された状態で排気弁43を開放すると、差圧により滅菌槽2内の気体を外部へ導出して、滅菌槽2内の圧力を下げることができる。
【0048】
なお、図示例では、真空排気路11、ドレン排出路39および排気路42は、上流側(滅菌槽2への接続側)において、共通管路45とされている。また、真空排気路11、ドレン排出路39および排気路42は、それぞれの逆止弁15,41,44よりも下流側において、共通管路46とされている。
【0049】
その他、滅菌槽2には、滅菌槽2内の圧力を検出する内缶圧力センサ47と、滅菌槽2内の温度を検出する内缶温度センサ48とが設けられる。内缶圧力センサ47の設置位置は、特に問わないが、たとえば図示例のように、滅菌槽2の側部に設けられる。一方、内缶温度センサ48は、滅菌に関する各種の規格に沿って、所定の位置に設けられる。図示例では、内缶温度センサ48は、前記共通管路45(真空排気路11とドレン排出路39と排気路42との共通管路)の内、滅菌槽2からの出口部に設けられる。
【0050】
制御手段は、前記各センサの検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段を制御する制御器(図示省略)である。具体的には、真空弁12、真空ポンプ14、給気弁18、電気ボイラ20(特にその電気ヒータ22)、給水ポンプ25、排水弁27、内缶給蒸弁32、排気弁43、外缶圧力センサ30、内缶圧力センサ47および内缶温度センサ48などは、制御器に接続される。そして、制御器は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、滅菌槽2内の被滅菌物の滅菌とその後の乾燥などを図る。
【0051】
なお、制御器は、さらに操作パネル(図示省略)にも接続されており、この操作パネルをユーザが操作することで、運転開始の他、所望によりドアの開放または閉鎖などが指示される。制御器は、運転開始を指示されると、後述する各工程を順次に実行する。また、制御器は、ドアの開放指令または閉鎖指令を受けると、ドア開閉機構を制御して、ドアを開放または閉鎖する。
【0052】
以下、本実施例の蒸気滅菌装置1の運転方法の具体例について説明する。
図2は、本実施例の蒸気滅菌装置1の運転工程の一例を示すフローチャートである。この図に示すように、蒸気滅菌装置1は、典型的には、予熱工程S1、前処理工程S2、滅菌工程S3、排気工程S4、乾燥工程S5および後処理工程S6を順次に実行する。以下、各工程について説明する。なお、初期状態において、給気弁18および排気弁43は開けられている一方、これら以外の各弁12,27,32は閉じられており、真空ポンプ14や電気ボイラ20などは停止している。そして、遅くとも前処理工程S2の開始まで(つまり予熱工程S1中またはその前後)には、滅菌槽2内に被滅菌物が収容され、滅菌槽2のドアは気密に閉じられる。その際、給気弁18および排気弁43も閉じられる。
【0053】
予熱工程S1では、滅菌槽2内を予熱する。予熱工程S1は、蒸気滅菌装置1の電源オン、もしくはその後の操作パネルからの指示に基づき、あるいは後述するように予め定められた設定タイミングで、開始される。予熱工程S1では、電気ボイラ20を起動して蒸気を発生させ、その蒸気を蒸気ジャケット3に供給することで、滅菌槽2内を外側から加熱する。
【0054】
電気ボイラ20の運転中、水位検出器23の検出信号に基づき給水ポンプ25を制御して、缶体21内の水位を所望に維持する。また、外缶圧力センサ30の検出圧力に基づき電気ヒータ22を制御して、蒸気ジャケット3内を所定圧力(言い換えれば所定温度)に維持する。電気ボイラ20から蒸気ジャケット3への給蒸中、蒸気ジャケット3内の空気はエアベント37から排出される。また、蒸気ジャケット3に供給された蒸気の凝縮水は、ドレン戻し路35を介して電気ボイラ20へ戻される。
【0055】
予熱工程S1の開始から所定時間経過後(および/または操作パネルからの指示に基づき)、前処理工程S2を開始する。但し、予熱工程S1の内容(つまり蒸気ジャケット3への給蒸による滅菌槽2の加熱)は、少なくとも乾燥工程S5の終了まで継続して実施される。また、前述したとおり、前処理工程S2の開始までに、滅菌槽2内には被滅菌物が収容され、滅菌槽2のドアは気密に閉じられる。なお、蒸気ジャケット3内の目標圧力は、工程などに応じて変更してもよい。
【0056】
前処理工程S2では、滅菌槽2内の空気を排除する。具体的には、減圧手段4により滅菌槽2内を減圧するが、その際、給蒸手段6による給蒸を伴ってもよい。また、減圧手段4により滅菌槽2内を一旦減圧後、給蒸手段6による給蒸と減圧手段4による減圧とを繰り返してもよいし、給蒸手段6による給蒸で大気圧を超える圧力まで滅菌槽2内を加圧する場合には、給蒸手段6による給蒸と排気手段8による排気とを繰り返してもよい。なお、給蒸手段6による滅菌槽2内への給蒸は、本実施例では内缶給蒸弁32の開放によりなされる。
【0057】
いずれにしても、滅菌槽2内からの空気排除を図った後、最終的には、給蒸手段6による給蒸で、滅菌槽2内を滅菌圧力まで昇圧する。そして、内缶温度センサ48の検出温度が滅菌温度になるか、内缶圧力センサ47の検出圧力が滅菌圧力になると、次工程へ移行する。
【0058】
滅菌工程S3では、滅菌槽2内の被滅菌物を蒸気で滅菌する。具体的には、内缶温度センサ48の検出温度が滅菌温度(典型的には121℃または135℃)を維持するように、給蒸手段6(より具体的には本実施例では内缶給蒸弁32)を制御して、滅菌時間保持することで、滅菌槽2内の被滅菌物を滅菌する。あるいは、内缶圧力センサ47の検出圧力が滅菌圧力(滅菌温度相当の飽和蒸気圧力)を維持するように、給蒸手段6(内缶給蒸弁32)を制御して、滅菌時間保持することで、滅菌槽2内の被滅菌物を滅菌する。その後、給蒸手段6による滅菌槽2内への給蒸を停止して、次工程へ移行する。
【0059】
排気工程S4では、加圧下の滅菌槽2内から蒸気を排出して、滅菌槽2内の圧力を大気圧付近まで下げる。具体的には、排気弁43を開放して、滅菌槽2外へ蒸気を排出する。排気弁43の開放から設定排気時間経過するか、滅菌槽2内の圧力が設定排気圧力(大気圧またはそれよりも若干高い圧力)まで下がると、排気弁43を閉鎖して、次工程へ移行する。
【0060】
乾燥工程S5では、滅菌槽2内の被滅菌物を乾燥させる。具体的には、減圧手段4により滅菌槽2内を設定乾燥圧力(減圧手段4の能力限界でもよい)まで減圧して設定乾燥時間保持することで、滅菌槽2内の被滅菌物を真空乾燥させる(連続真空乾燥)。但し、乾燥工程S5では、減圧手段4による設定乾燥圧力までの減圧と、復圧手段5による大気圧近くまでの復圧とを、繰り返してもよい(パルス乾燥)。あるいは、給気弁18を開放した状態で、減圧手段4を設定乾燥時間だけ作動し続けてもよい(ブロー乾燥)。もちろん、これら連続真空乾燥、パルス乾燥およびブロー乾燥などの内、いずれか二以上を適宜の順序で実施してもよい。いずれにしても、被滅菌物の乾燥後には、減圧手段4を停止する一方、復圧手段5により滅菌槽2内を大気圧まで復圧して、次工程へ移行する。
【0061】
後処理工程S6では、蒸気ジャケット3への給蒸を停止すると共に、滅菌槽2のドアを自動で開放する。つまり、本実施例では、電気ボイラ20(より具体的には電気ヒータ22)を停止すると共に、操作パネルによるドア開放指令を受けることなくドアを開放する。なお、蒸気ジャケット3への給蒸停止は、後処理工程S6の開始時(つまり乾燥工程S5の終了時)に行ってもよいし、その後遅れて行ってもよい。また、ドアの開放は、蒸気ジャケット3への給蒸停止時に行ってもよいし、その前もしくは後に行ってもよい。
【0062】
図3は、後処理工程S6の一例を示すフローチャートである。この図に示すように、後処理工程S6は、典型的には、次のように実施される。すなわち、乾燥工程S5の終了から設定待機時間(たとえば5分)の経過後(S61)、蒸気ジャケット3への給蒸(言い換えれば滅菌槽2の加熱)を停止すると共に(S62)、好ましくはブロー動作を実施する(S63)。乾燥工程S5の終了後、しばらくは滅菌槽2内の加熱を継続することで、被滅菌物の乾燥を確実に図ることができる。その後、蒸気ジャケット3への給蒸を停止した状態で、ブロー動作を行う。
【0063】
ブロー動作(S63)では、給気弁18を開けた状態で減圧手段4を作動させて、滅菌槽2内に通気する。ブロー動作を設定ブロー時間だけ実施した後、減圧手段4を停止して、ドアを自動で開放する(S64)。本実施例では、ドアは全開とされる。前後にドアを有する両扉式の蒸気滅菌装置1の場合、いずれか一方または双方のドアが開放される。なお、設定ブロー時間は、たとえば1〜99分の範囲で、予め操作パネルにより設定可能とされる。
【0064】
従って、たとえば、操作者が終業時に最後の滅菌運転をスタートさせ、この運転が終了するのを待たずに帰宅する場合でも、乾燥工程S5終了後、蒸気ジャケット3への給蒸を停止することで、エネルギ損失を防止することができる。また、蒸気ジャケット3への給蒸を停止すると共に、滅菌槽2のドアを自動開放することで、滅菌槽2内の被滅菌物の熱劣化を防止することができる。しかも、給気弁18を開けた状態で減圧手段4を作動させるブロー動作を実施することで、滅菌槽2内の換気と被滅菌物の冷却とを図ることができる。さらに、滅菌槽2のドアを開放しておくことで、減圧手段4(電気や水道)を用いることなく、被滅菌物の冷却を図ることができる。しかも、滅菌槽2内の湿度の上昇を防止して、被滅菌物への結露を防止することができる。
【0065】
以上のような後処理工程S6の終了後、所望により、設定タイミングにおいて予熱工程S1を再開可能としてもよい。つまり、後処理工程S6として、蒸気ジャケット3への給蒸を停止すると共に滅菌槽2のドアを開放した後、設定タイミングにおいて、ドアを開放したまま蒸気ジャケット3への給蒸を再開してもよい。たとえば、終業時に最後の滅菌運転をスタートさせて帰宅した場合において、翌朝の始業前に蒸気ジャケット3への給蒸が自動で再開されるように、予め操作パネルにより再開時間を設定しておけばよい。具体的には、たとえば、1日の最後の滅菌運転の終了(後処理工程S6の終了)から所定時間経過後に、蒸気ジャケット3への給蒸を再開するか、蒸気滅菌装置1が時計機能を備える場合には、所定時刻に蒸気ジャケット3への給蒸を再開するように、予め操作パネルにより、予熱工程S1の再開のタイミングが設定される。
【0066】
そして、その設定タイミングになると、予熱工程S1を再開する。具体的には、電気ボイラ20を起動させて蒸気を発生させ、その蒸気を蒸気ジャケット3に供給する。そして、蒸気ジャケット3内を所定圧力(言い換えれば所定温度)に維持する。なお、内缶給蒸弁32は閉鎖されている。その間、たとえば昨夜の最終運転により滅菌槽2内に被滅菌物が収容されていても、滅菌槽2のドアを開放したままであるから、被滅菌物を不必要に再加熱するおそれはない。そして、始業時に、滅菌槽2内から滅菌済みの被滅菌物を取り出し、滅菌槽2のドアを閉めて、次の滅菌運転に備えればよい。あるいは、滅菌槽2内から滅菌済みの被滅菌物を取り出すと共に、新たに滅菌しようとする被滅菌物を滅菌槽2内に収容して、滅菌槽2のドアを閉じて、滅菌運転を開始すればよい。それにより、上述した前処理工程S2からの一連の運転がなされる。予め電気ボイラ20で起蒸しておくことができるので、始業時など必要時には、滅菌作業を迅速に効率よく行うことができる。
【0067】
設定タイミングで蒸気ジャケット3への給蒸を再開して、滅菌槽2内を加熱しておくことで、従来のような暖機運転(滅菌槽2内に被滅菌物を収容する前に、ドアを閉めた状態で、滅菌槽2内および蒸気ジャケット3内に給蒸して機械を温める運転)を実施する必要はない。但し、所望により、予熱工程S1において、滅菌槽2内から被滅菌物を取り出した後、滅菌槽2のドアを閉じて暖機運転を実施可能としてもよい。
【0068】
ところで、後処理工程S6の実施の有無は、操作パネルにより変更可能としてもよい。つまり、予熱工程S1の開始から乾燥工程S5の終了までの一連の滅菌運転の完了後には、蒸気ジャケット3による滅菌槽2内の加熱を停止するか否か、および滅菌槽2のドアを自動開放するか否かなどを、予め操作パネルにより設定可能としてもよい。
【0069】
たとえば、後処理工程S6を実施しない第一運転モードと、後処理工程S6を実施する第二運転モードとを切替可能とする。そして、第一運転モードでは、乾燥工程S5の終了後、蒸気ジャケット3による滅菌槽2内の加熱を継続すると共に、操作パネルからのドア開放指令を受けるまで滅菌槽2のドアを開放しない。一方、第二運転モードでは、乾燥工程S5の終了後、後処理工程S6として、前述したように、蒸気ジャケット3による滅菌槽2内の加熱を停止すると共に、操作パネルからのドア開放指令を受けることなく滅菌槽2のドアを開放する。このような構成の場合、たとえば、操作者は、昼間は第一運転モードとして繰り返して滅菌運転を行い、終業時の最後の滅菌運転では、第二運転モードとして帰宅することもできる。
【0070】
本発明の蒸気滅菌装置1は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず適宜変更可能である。特に、被滅菌物が収容されると共に蒸気が供給されて被滅菌物を滅菌する滅菌槽2と、この滅菌槽2の外壁に設けられて滅菌槽2内を外側から加熱する蒸気ジャケット3と、滅菌槽2内の被滅菌物を蒸気滅菌後、蒸気ジャケット3への給蒸を停止すると共に滅菌槽2のドアを自動開放する制御手段とを備えるのであれば、その他の構造は適宜に変更可能である。
【0071】
たとえば、前記実施例では、蒸気滅菌装置1は、予熱工程S1、前処理工程S2、滅菌工程S3、排気工程S4、乾燥工程S5および後処理工程S6を順次に実行したが、少なくとも滅菌工程S3と後処理工程S6とを順次に含むのであれば、その他の工程の有無や内容は適宜に変更可能である。
【0072】
また、後処理工程S6において、蒸気ジャケット3による滅菌槽2の加熱を停止すると共に、滅菌槽2のドアを自動で(つまりユーザからのドア開放指令を受けることなく)開放するのであれば、その他は適宜に変更可能である。たとえば、後処理工程S6において、ブロー動作の実施を省略することもできる。また、前記実施例では、後処理工程S6において、蒸気ジャケット3への給蒸停止後に滅菌槽2のドアを開放したが、場合により、これとは逆に、滅菌槽2のドアを開放後に蒸気ジャケット3への給蒸を停止してもよい。あるいは、蒸気ジャケット3への給蒸停止と、滅菌槽2のドアの開放とを、同時に行ってもよい。いずれの場合も、ドアの開放直前に、所望によりブロー動作を実施してもよい。
【0073】
また、前記実施例では、電気ボイラ20からの蒸気を蒸気ジャケット3に供給すると共に、その蒸気ジャケット3内の蒸気を滅菌槽2内へ供給可能としたが、電気ボイラ20からの蒸気を滅菌槽2内へ直接に供給可能としてもよい。つまり、電気ボイラ20と蒸気ジャケット3とが第一給蒸路29で接続されると共に、電気ボイラ20と滅菌槽2とが第二給蒸路31で接続される構成としてもよい。そして、第二給蒸路31に内缶給蒸弁32を設けるが、場合により、第一給蒸路29に外缶給蒸弁を設けてもよい。典型的には、内缶給蒸弁32は、内缶圧力センサ47または内缶温度センサ48の検出信号に基づき制御され、外缶給蒸弁は、外缶圧力センサ30の検出信号に基づき制御される。
【0074】
また、前記実施例では、滅菌槽2内および蒸気ジャケット3には、同じ電気ボイラ20からの蒸気が供給されたが、場合により、異なるボイラからの蒸気が供給可能とされてもよい。その場合において、各ボイラは、電気ボイラに限らない。たとえば、蒸気ジャケット3には、第一ボイラ(たとえば電気ボイラ20)からの蒸気が供給可能とされ、滅菌槽2内には、第二ボイラ(たとえば燃料焚きボイラ)からの蒸気が供給可能とされる。このように、第一ボイラと第二ボイラとを備える場合、滅菌槽2内への供給蒸気として、第一ボイラからの蒸気と第二ボイラからの蒸気とを切替可能としてもよい。同様に、蒸気ジャケット3への供給蒸気として、第一ボイラからの蒸気と第二ボイラからの蒸気とを切替可能としてもよい。
【0075】
また、前記実施例では、滅菌槽2の外壁に蒸気ジャケット3を設けたが、蒸気ジャケット3に代えて蒸気管を設けてもよい。たとえば、滅菌槽2の外壁に蒸気管を巻き付けたり、蛇行した蒸気管を設けたりしてもよい。この場合も、蒸気ジャケット3の場合と同様に、蒸気管への給蒸により、滅菌槽2内を外側から加熱することができる。
【0076】
さらに、前記実施例では、滅菌槽2内を外側から加熱するか否かを、蒸気ジャケット3(または蒸気管)への蒸気供給の有無を制御して行ったが、場合により、蒸気ジャケット3(または蒸気管)内での蒸気発生の有無を制御して行ってもよい。つまり、蒸気ジャケット3(または蒸気管)内に、給水を加熱して蒸気を発生させる機能を付与してもよい。