特許第6970907号(P6970907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6970907
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】保持具、保持具固定具、及び配線支持具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20211111BHJP
   H01H 85/20 20060101ALN20211111BHJP
   H01H 85/60 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   H02G1/02
   !H01H85/20 D
   !H01H85/60
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-25176(P2017-25176)
(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公開番号】特開2018-133893(P2018-133893A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2020年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】安田 英幸
(72)【発明者】
【氏名】領野 昌治
(72)【発明者】
【氏名】石谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 茂宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 綾佳
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 実開平3−86727(JP,U)
【文献】 実開平3−8868(JP,U)
【文献】 特開2006−149028(JP,A)
【文献】 実開平3−11312(JP,U)
【文献】 特開2014−135843(JP,A)
【文献】 特開2008−263664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H01H 85/20
H01H 85/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線を所定の固定対象に対して固定するための保持具であって、前記配線を保持するための保持部と、前記固定対象又は該固定対象が固定されているベース部に対して固定される被固定部であって、該被固定部を前記固定対象又は前記ベース部に固定するための保持具固定具によって固定される被固定部と、を備え、
前記保持部は、前記保持具固定具によって前記被固定部が前記固定対象又は前記ベース部に固定されることで前記固定対象に対して位置固定され、且つ前記位置固定された状態で、前記配線が前記固定対象に対して前記配線自身の長手方向に移動するのを規制すべく前記配線を保持するように構成され
前記保持部は、対向して配置された一対の把持片と、該一対の把持片を開閉させる把持操作部であって、作業者が保持した状態で前記一対の把持片を開閉可能に構成された把持操作部と、を備えている保持具。
【請求項2】
前記固定対象は、前記配線を接続するための接続部と、該接続部を収容する多面体状の筐体であって、前記配線を挿通するための挿通孔が所定の面に形成された筐体と、を備え、
前記保持部は、前記挿通孔に挿通され、前記接続部に接続された配線を前記筐体の外側で保持するように構成され、
前記被固定部は、前記保持部に連結固定され、前記挿通孔が形成された面と同じ面上に固定されるように構成されている請求項に記載の保持具。
【請求項3】
前記保持部は、対向して配置された一対の把持片を備え、前記被固定部は、前記一対の把持片のうちの少なくとも一方の把持片から、開閉方向外側に延びるように前記保持部に連結固定されている請求項に記載の保持具。
【請求項4】
配線を所定の固定対象に対して固定するための保持具であって、前記配線を保持するための保持部と、前記固定対象又は該固定対象が固定されているベース部に対して固定される被固定部であって、前記固定対象又は前記ベース部に対して挟持することで固定されるようコの字状に構成される、若しくは前記固定対象又は前記ベース部に対してネジ止め又は接着により固定されるように構成される被固定部と、を備え、
前記保持部は、前記被固定部が前記固定対象又は前記ベース部に固定されることで前記固定対象に対して位置固定され、且つ前記位置固定された状態で、前記配線が前記固定対象に対して前記配線自身の長手方向に移動するのを規制すべく前記配線を保持するように構成され
前記保持部は、対向して配置された一対の把持片と、該一対の把持片を開閉させる把持操作部であって、作業者が保持した状態で前記一対の把持片を開閉可能に構成された把持操作部と、を備えている保持具。
【請求項5】
配線を所定の固定対象に対して固定するための保持具であって、前記配線を保持するための保持部と、前記固定対象又は該固定対象が固定されているベース部に対して固定される被固定部であって、前記固定対象又は前記ベース部に対して固定手段によって固定される被固定部と、を備え、
前記保持部は、前記被固定部が前記固定対象又は前記ベース部に固定されることで前記固定対象に対して位置固定され、且つ前記位置固定された状態で、前記配線が前記固定対象に対して前記配線自身の長手方向に移動するのを規制すべく前記配線を保持するように構成され
前記保持部は、対向して配置された一対の把持片と、該一対の把持片を開閉させる把持操作部であって、作業者が保持した状態で前記一対の把持片を開閉可能に構成された把持操作部と、を備えている保持具。
【請求項6】
請求項1に記載の保持具の前記被固定部を前記固定対象又は前記ベース部に固定するための保持具固定具であって、前記被固定部と前記固定対象又は前記ベース部とを重ねて挟持する挟持部を備える保持具固定具。
【請求項7】
前記挟持部は、前記被固定部と重ね対象としての前記固定対象又は前記ベース部とを重ねて挟持する際に、前記被固定部及び前記重ね対象のうちの少なくとも一方に形成された凹部と嵌合係止するように構成された凸部、及び前記被固定部及び前記重ね対象のうちの少なくとも一方に形成された凸部と嵌合係止するように構成された凹部のうちの少なくとも一方を備えている、請求項に記載の保持具固定具。
【請求項8】
配線を所定の固定対象に対して固定するための配線支持具であって、前記配線を保持するための保持部と、前記固定対象又は該固定対象が固定されているベース部に対して固定される被固定部と、を有する保持具と、
前記被固定部を前記固定対象又は前記ベース部に対して固定するため保持具固定具と、を備え、
前記保持部は、前記被固定部が前記固定対象又は前記ベース部に固定されることで前記固定対象に対して位置固定され、且つ前記位置固定された状態で、前記配線が前記固定対象に対して前記配線自身の長手方向に移動するのを規制すべく前記配線を保持するように構成され、
前記保持具固定具は、前記被固定部と前記固定対象又は前記ベース部とを重ねて挟持する挟持部を備える配線支持具。
【請求項9】
前記保持部は、前記被固定部が前記固定対象に固定され、
前記固定対象は、前記配線を接続するための接続部と、該接続部を収容する多面体状の筐体であって、前記配線を挿通するための挿通孔が所定の面に形成された筐体と、を備え、
前記保持部は、前記挿通孔に挿通され、前記接続部に接続された配線を前記筐体の外側で保持するように構成され、
前記保持具固定具は、前記被固定部を、前記配線の挿通方向における端子側に向けて付勢して前記筐体に対して固定するように構成されている、請求項に記載の配線支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線を所定の固定対象に対して固定するための保持具、保持具固定具、及び配線支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高圧配電線から変圧器に引き込まれる電線である引下線は、変圧器を過電流から保護するために、カットアウトを介して変圧器に接続される。カットアウトは、前面に開口部を有すると共に、側面に電線挿入孔を有する直方体状のカットアウト本体と、該カットアウト本体の開口部を開閉する蓋と、該カットアウト本体内に設けられた端子とを備える。引下線は、電線挿入孔からカットアウト内に挿入され、前記端子に対してビス止めによって接続される(特許文献1)。
【0003】
カットアウトから外へ延出した引下線に対して、例えば、カットアウト周辺での作業時に、目印としてジャバラポリ管が取り付けられることがある。引下線は、カットアウトの端子にビス止めされているので、引下線と端子との接続が十分でない場合がある。この場合、上記のような取り付け作業の際に引下線が引っ張られると、引下線が端子から外れてカットアウトから抜けてしまう虞があり、停電を招く虞がある。引下線の抜け防止のために、作業前にカットアウトの蓋を開け、ビスの増し締めによって引下線と端子との接続を強固にすることも考えられるが、カットアウトの蓋を開ける作業には停電が伴うため、ビスの増し締めは困難である。
【0004】
そのため、作業者は、例えば、カットアウトから延出した引下線の根元を、間接活線工具で端子から外れないように支持しながら作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−37994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような作業では、引下線の根元を支持する作業者の手元が不用意に動いて引下線を引っ張ってしまうことで、引下線が端子から外れカットアウトから抜けてしまう虞があり、引下線の支持としては信頼性が低い。
【0007】
このような問題は、カットアウトに限られず、例えば、配電用又は通信用の端子台などのように、電線やケーブルが端子台から抜けるのを防止する場合にも同様に起こり得る。
【0008】
また、電線や配線ケーブルを固定対象に仮固定するような場合、例えば、高圧配電線から切り離された引下線を腕金等に仮固定するような場合に、引下線の支持が十分でないと、仮固定した引下線がぶらつき、又は腕金から落下し、周辺の充電部位に接触するなど危険であるという問題もある。
【0009】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、配線を確実に支持することができる保持具、保持具固定具、及び配線支持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る保持具は、配線を所定の固定対象に対して固定するための保持具であって、前記配線を保持するための保持部と、前記固定対象又は該固定対象が固定されているベース部に対して固定される被固定部と、を備え、前記保持部は、前記被固定部が前記固定対象又は前記ベース部に固定されることで前記固定対象に対して位置固定され、且つ前記位置固定された状態で、前記配線が前記固定対象に対して長手方向に移動するのを規制すべく前記配線を保持するように構成されている。
【0011】
かかる構成によれば、保持部は、被固定部が固定対象又はベース部に固定されることで固定対象に対して位置固定されるように構成されているので、被固定部が固定対象又はベース部に固定されると、保持部と固定対象との位置関係が決まった状態で維持される。そして、保持部は、前記位置固定された状態で、配線が固定対象に対して長手方向に移動するのを規制すべく配線を保持するように構成されている。そのため、配線が保持部に保持されると、配線の長手方向の移動が規制されるので、配線を固定対象に対して動かない状態で拘束することができ、配線が固定対象から外れるのを防止することができる。
【0012】
本発明の一態様として、前記保持部は、前記被固定部が前記固定対象に固定されることで、前記固定対象に対して位置固定されてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、保持部は、被固定部が固定対象に固定されることで該固定対象に対して位置固定されるので、ベース部という固定対象とは別の箇所に被固定部が固定される場合に比べて保持具をコンパクトに形成することができる。
【0014】
本発明の他態様として、前記保持部は、対向して配置された一対の把持片と、該一対の把持片を開閉させる把持操作部であって、作業者が保持した状態で前記一対の把持片を開閉可能に構成された把持操作部と、を備えていてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、作業者は、直接、又は間接活線工具によって把持操作部を保持した状態で一対の把持片を開状態にして配線の径方向から該配線に対して保持部をアプローチさせ、続いて、一対の把持片の間に配線を位置させた状態で一対の把持片を閉状態とすることで、保持部に配線を保持させることができる。そのため、上記構成の保持具は、配線に対して保持部を取り付け易いものとなっている。
【0016】
本発明の別の態様として、前記固定対象は、前記配線を接続するための接続部と、該接続部を収容する多面体状の筐体であって、前記配線を挿通するための挿通孔が所定の面に形成された筐体と、を備え、前記保持部は、前記挿通孔に挿通され、前記接続部に接続された配線を前記筐体の外側で保持するように構成され、前記被固定部は、前記保持部に連結固定され、前記挿通孔が形成された面と同じ面上に固定されるように構成されてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、保持部は、配線を筐体の外側で保持するように構成され、被固定部は、保持部に連結固定され、配線が挿通された挿通孔が形成された面と同じ面上に固定されるように構成されている。そのため、配線が引っ張られる方向と被固定部の固定面とが交差した状態となるので、配線が引っ張られる力に対して固定力を効果的に発揮して、引っ張り力に抗することができる。
【0018】
この場合、前記保持部は、対向して配置された一対の把持片を備え、前記被固定部は、前記一対の把持片のうちの少なくとも一方の把持片から、開閉方向外側に延びるように前記保持部に連結固定されていてもよい。
【0019】
かかる構成によれば、前記被固定部は、一対の把持片のうちの少なくとも一方の把持片から、開閉方向外側に向かって延びているので、一対の把持片の開閉に伴って被固定部が移動し、且つ該移動が、保持部による配線の保持を邪魔しないようになっている。そのため、上記構成の保持具は、配線に取り付け易い。
【0020】
本発明に係る保持具固定具は、上記の保持具の前記被固定部を前記固定対象又は前記ベース部に固定するための保持具固定具であって、前記被固定部と前記固定対象又は前記ベース部とを重ねて挟持する挟持部を備える。
【0021】
かかる構成によれば、保持具固定具は、被固定部と固定対象又はベース部とを重ねて挟持する挟持部を備え、被固定部を固定対象又はベース部に固定することができる。そのため、保持具とは別体の保持具固定具によって被固定部を固定対象又はベース部に固定することができるので、保持具自体に固定手段を設ける必要がなく、保持具をシンプルな構造にすることができる。
【0022】
本発明の一態様として、前記挟持部は、前記被固定部と重ね対象としての前記固定対象又は前記ベース部とを重ねて挟持する際に、前記被固定部及び前記重ね対象のうちの少なくとも一方に形成された凹部と嵌合係止するように構成された凸部、及び前記被固定部及び前記重ね対象のうちの少なくとも一方に形成された凸部と嵌合係止するように構成された凹部のうちの少なくとも一方を備えていてもよい。
【0023】
かかる構成によれば、被固定部と重ね対象としての固定対象又はベース部とを重ねて挟持する際に、挟持部の凸部又は凹部が、被固定部、及び重ね対象のうちの少なくとも一方に形成された凹部又は凸部に対して嵌合係止するので、保持具固定具が被固定部及び重ね対象から脱落し難くなっている。
【0024】
本発明に係る配線支持具は、配線を所定の固定対象に対して固定するための配線支持具であって、前記配線を保持するための保持部と、前記固定対象又は該固定対象が固定されているベース部に対して固定される被固定部と、を有する保持具と、前記被固定部を前記固定対象又は前記ベース部に対して固定するため保持具固定具と、を備え、前記保持部は、前記被固定部が前記固定対象又は前記ベース部に固定されることで前記固定対象に対して位置固定され、且つ前記位置固定された状態で、前記配線が前記固定対象に対して長手方向に移動するのを規制すべく前記配線を保持するように構成され、前記保持具固定具は、前記被固定部と前記固定対象又は前記ベース部とを重ねて挟持する挟持部を備える。
【0025】
本発明の一態様として、前記保持部は、前記被固定部が前記固定対象に固定され、前記固定対象は、前記配線を接続するための接続部と、該接続部を収容する多面体状の筐体であって、前記配線を挿通するための挿通孔が所定の面に形成された筐体と、を備え、前記保持部は、前記挿通孔に挿通され、前記接続部に接続された配線を前記筐体の外側で保持するように構成され、前記保持具固定具は、前記被固定部を、前記配線の挿通方向における端子側に向けて付勢して前記筐体に対して固定するように構成されていてもよい。
【0026】
かかる構成によれば、被固定部は、挿通方向における端子側に向けて付勢された状態で筐体に対して固定されるので、配線が引っ張られる方向とは逆向きに付勢された状態となっている。そのため、上記構成の配線支持具は、配線が引っ張られる力に対して逆向きに作用する付勢力(固定力)によって、引っ張り力に抗する力を効果的に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上より、本発明によれば、配線を確実に支持することができる保持具、保持具固定具、及び配線支持具を提供することを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る第1保持具の正面図である。
図2】同実施形態に係る第1保持具を開いた状態の正面図である。
図3】同実施形態に係る第1保持具の側面図である。
図4】同実施形態に係る第2保持具の正面図である。
図5】同実施形態に係る保持具固定具の正面図である。
図6】同実施形態に係る保持具固定具の側面図である。
図7】カットアウトの側面図である。
図8】カットアウトに第2保持具を取り付けた状態のカットアウトの側面図である。
図9】カットアウトに第1保持具及び第2保持具を取り付けた状態のカットアウトの側面図である。
図10】第1保持具及び第2保持具を保持具固定具でカットアウトに固定した状態のカットアウトの側面図である。
図11】同状態における正面図である。
図12】同状態における保持具固定具とカットアウトとの嵌合係止状態を説明するための図である。
図13】同実施形態に係る配線支持具の他の使用態様である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態に係る配線支持具について、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
配線支持具は、配線を所定の固定対象に対して固定するために使用される。
【0031】
本実施形態では、配線としての引下線を、固定対象としてのカットアウトに対して固定する場合について説明する。しかしながら、配線は引下線に限定されるものではなく、架線等の電線や通信用ケーブル等であってもよい。また、固定対象としては、カットアウトに限定されるものではなく、電線を接続するための端子台や通信用ケーブルを接続するための配電盤等であってもよい。
【0032】
まず、カットアウトについて説明する。図7及び図11に示すように、カットアウト9は、引下線Wを接続するための接続部(図示しない)と、該接続部を収容する多面体状の筐体92であって、引下線Wを挿通するための挿通孔Cが所定の面に形成された筐体92とを備える。カットアウト9は、例えば、ベース部Bとしての腕金Bに固定されている。本実施形態のカットアウト9は、高さ方向が横方向より長い直方体状に形成され、高さ方向が上下方向となるように固定金具を介して腕金Bに固定されている。カットアウト9は、例えば、腕金Bに対して斜めに傾斜するように固定されている。
【0033】
接続部は、端子部と、該端子部に対して引下線Wの端部を固定するためのビスとを有する。即ち、引下線Wは、端子部に対してビス止めされている。筐体92は、開口部920(図11参照)を有する筐体本体923と、該開口部920を開閉させる蓋部922とを備える。筐体92は、開口部920が形成された側を前面側として腕金Bに固定される。筐体本体923の一対の側面921には、後述する保持具固定具6の凸部611が嵌合係止する凹部901(図7及び図11参照)が形成されている。本実施形態では、一対の側面921には、筐体92の前面から後面に向かってハの字状に広がる一対の突起片90が形成され、該一対の突起片90同士の間が凹部901となっている。筐体92は、表面が滑らかな絶縁性材料(陶器)で形成されている。
【0034】
挿通孔Cは、一対の側面921のそれぞれに形成されている。挿通孔Cは、高さ方向における側面921の両端近傍に形成されている。具体的には、挿通孔Cは上下に二つ形成されている。本実施形態では、一対の側面921のうちの一方の側面921a(右側面921a)に形成された各挿通孔Cから引下線Wが筐体92内に挿通されている場合について説明する。
【0035】
配線支持具1は、図10に示すように、引下線Wを保持するための保持部3と、カットアウト9に対して固定される被固定部4と、を有する保持具2と、被固定部4をカットアウト9に対して固定するため保持具固定具6と、を備える。本実施形態では、配線支持具1は、保持具2として、図1に示すように、被固定部4が保持部3の右側から延出するように構成された第1保持具2aと、図4に示すように、被固定部4が保持部3の左側から延出するように構成された第2保持具2bとを備える。第1保持具2aと第2保持具2bとは、被固定部4が延出する方向が異なる以外は共通するため、以下、保持具2として説明する。
【0036】
保持部3は、被固定部4がカットアウト9に固定されることでカットアウト9に対して位置固定され、且つ前記位置固定された状態で、引下線Wがカットアウト9に対して長手方向に移動するのを規制すべく引下線Wを保持するように構成されている。保持部3は、カットアウト9の挿通孔Cに挿通され、カットアウト9の接続部に接続された引下線Wを筐体92の外側で保持するように構成されている。また、本実施形態の保持部3は、被固定部4に連結固定されている。
【0037】
保持部3は、引下線Wを把持するように構成されている。具体的には、図1図3に示すように、保持部3は、引下線Wを把持する把持部30と、該把持部30を操作するための把持操作部32と、把持部30と把持操作部32とを連結するアーム部33とを備える。本実施形態の保持部3は、引下線Wを挟持するように構成されている。即ち、把持部30は、対向して配置された一対の把持片31を備える。保持部3は、一対の把持片31を閉じる方向に付勢する把持付勢部34を更に備える。本実施形態の保持部3は、一対の把持片31で引下線Wを挟持するクリップ状に形成されている。即ち、保持部3は、一対の保持クリップ片300によって構成されている。以下、一対の保持クリップ片300のうちの被固定部4が連結される側の(図1における右側、又は図4における左側に位置する)保持クリップ片300を一方の保持クリップ片300aと称し、被固定部4が連結されていない側の保持クリップ片300を他方の保持クリップ片300bと称する。これに伴い、一方の保持クリップ片300aの構成要素については符号aを付し、他方の保持クリップ片300bの構成要素については符号bを付するものとする。また、把持部30側を先端側、把持操作部32側を基端側とする。
【0038】
把持部30は、通常状態(把持操作部32が操作されていない状態)では、図1に示すように一対の把持片31が閉じた閉状態となっている。把持部30は、把持操作部32が操作されることで、図2に示すように、一対の把持片31同士が離間した離間状態となる。把持部30には、一対の把持片31同士の間に、引下線Wを配置するための配置領域Qが形成されている。
【0039】
各把持片31には、一対の把持片31で引下線Wを挟持した際に、該引下線Wが長手方向に移動するのを規制する規制部301が設けられている。
【0040】
規制部301は、引下線Wの外周面と当接する当接部302と、対向する(対峙する)規制部301側へ突出する突出片303とを備える。当接部302の表面には、引下線Wに対して滑るのを防止する滑り止め手段304が設けられている。具体的には、当接部302の表面は、凹凸形状となっている。突出片303は、一対の把持片31が閉状態にあるときに、対向する把持片31に到達する長さで形成されている。図3に示すように、一方の突出片303aと他方の突出片303bとは、一対の把持片31が閉状態にあるときに、保持部3の厚み方向で重なった状態となっている。規制部301は、引下線Wに対する摩擦力を発揮するような材料(引下線Wが滑り難い)で形成されている。例えば、規制部301は、ゴム等の樹脂材料によって形成されている。
【0041】
また、図8図10に示すように、一対の把持片31が引下線Wを把持した状態で、一方の突出片303aと他方の突出片303bとは厚み方向で重なった状態となる。そのため、一対の突出片303がストッパーとなって、引下線Wが一対の把持片31から抜け難くなっている。
【0042】
図1及び図2に示すように、把持操作部32は、作業者が保持可能に構成されている。即ち、把持操作部32は、作業者が直接、又は間接活線工具を介して把持部30を操作できるように構成されている。また、把持操作部32は、一対の把持片31を開閉可能に構成されている。本実施形態では、把持操作部32は、間接活線工具(例えばヤットコ)によって把持可能に構成されている。把持操作部32は、対向して配置された一対の操作片321を有する。各操作片321a,321bには、ヤットコの先端を配置させるための凹部320a,320bが形成されている。また、凹部320a,320bの底部には、ヤットコの把持面が滑るのを防止するための滑り止用の凹凸322a,322bが形成されている。
【0043】
アーム部33は、把持部30と把持操作部32とを連結する部分である。アーム部33は、対向して配置された一対のアーム331を備える。一対のアーム331のうちの一方のアーム331aは、一方の把持片31a及び一方の操作片321aを連結している。他方のアーム331bは、他方の把持片31b及び他方の操作片321bを連結している。
【0044】
即ち、把持片31、アーム331、及び操作片321は、保持クリップ片300を構成している。保持部3は、一対の保持クリップ片300が対向して配置されることで構成されている。一対の保持クリップ片300は、回動軸5を介して互いに回動可能に連結されることで、先端同士が接離可能に構成されている。
【0045】
把持付勢部34は、一対の把持片31の先端同士が当接するように、一対の把持片31を閉方向に付勢している。本実施形態の把持付勢部34は、コイル状に形成された一般的なねじりバネである。把持付勢部34は、回動軸5に取り付けられている。
【0046】
被固定部4は、保持部3に連結固定されている。被固定部4は、一対の把持片31のうちの少なくとも一方の把持片31aから、開閉方向外側(側方)に延びるように保持部3に連結固定されている。本実施形態では、被固定部4は、一方の把持片31aに連結固定されている。被固定部4は、少なくとも一方の把持片31aの外面310aよりも外側へ延出している。本実施形態では、被固定部4は、一方の把持片31aの外面310a及び一方のアーム331aの外面330aよりも外側へ延出している。
【0047】
被固定部4は、カットアウト9の挿通孔Cが形成された面と同じ面上に固定されるように構成されている。本実施形態の被固定部4は、板状に形成されている。被固定部4は、平行四辺形状に近い略矩形状に形成されている。被固定部4は、4辺のうちの1辺が把持片31及びアーム331に固定され、他の3辺が開放されている(他の3辺が保持部3とは非接続状態となっている)。図1及び図2に表れている側を保持具2の表側(被固定部4が重ね合わされた側とは反対側)とすると、被固定部4は、表面が保持部3の裏面に対して重ね合わされた状態で保持部3に連結固定されている。具体的には、被固定部4は、把持片31及びアーム331に重ね合わされた状態で保持部3に対して連結固定されている。この構成により、保持具2をカットアウト9の側面921に当接させた場合に、被固定部4の裏面の全面が側面921に当接するので、保持具2を側面921に対して安定して固定することができる。被固定部4は、3辺のうちの対向する2辺(第1辺部41、及び第2辺部42とする)が平行となるように形成されている。
【0048】
図1に示すように、保持部3は、被固定部4に対して傾斜するように連結されている。具体的には、一対の把持片31が閉状態にあるときに、保持部3の中心線O(一対の保持クリップ片300の対称線O)が第1辺部41及び第2辺部42に対して傾斜している。即ち、被固定部4側を保持具2の内側とすると、保持部3は、把持部30が把持操作部32よりも内側に位置するように傾斜している。この構成により、第1保持具2a及び第2保持具2bをカットアウト9に固定する固定作業の際に、第1保持具2aの保持部3と第2保持具2bの保持部3とが、把持操作部32同士が離れるようにハの字状に配置されるので、把持操作部32同士の距離を取ることができる。そのため、間接活線工具で把持操作部32を操作する際に、互いの把持操作部32が邪魔になりにくく、作業性がよい。
【0049】
保持具固定具6は、保持具2の被固定部4をカットアウト9に固定するためのものである。図5及び図6に示すように、保持具固定具6は、被固定部4とカットアウト9とを重ねて挟持する挟持部60と、該挟持部60を操作するための挟持操作部63と、挟持部60と挟持操作部63とを連結する連結部62とを備える。挟持部60は、対向して配置された一対の挟持片61を備える。挟持部60は、一対の挟持片61を閉じる方向に付勢する挟持付勢部64と、一対の挟持片61が開方向に離間しないようにロックする開ロック機構65と、を更に備える。本実施形態の挟持部60は、一対の挟持片61で被固定部4とカットアウト9とを重ねて挟持するクリップ状に形成されている。即ち、保持具固定具6は、一対の固定クリップ片600によって構成されている。以下、一対の固定クリップ片600のうちの開ロック機構65が設けられた側の(図5における右側に位置する)固定クリップ片600を一方の固定クリップ片600aと称し、開ロック機構65が設けられていない側の固定クリップ片600を他方の固定クリップ片600bと称する。これに伴い、一方の固定クリップ片600aの構成要素については符号aを付し、他方の固定クリップ片600bの構成要素については符号bを付するものとする。また、挟持部60側を先端側、挟持操作部63側を基端側とする。
【0050】
挟持部60は、被固定部4と重ね対象としてのカットアウト9又は腕金Bとを重ねて挟持する際に、被固定部4及び重ね対象のうちの少なくとも一方に形成された凹部と嵌合係止するように構成された凸部611、及び被固定部4及び重ね対象のうちの少なくとも一方に形成された凸部と嵌合係止するように構成された凹部のうちの少なくとも一方を備えている。本実施形態では、挟持部60は、一対の挟持片61の先端に凸部611を備え、カットアウト9に形成された凹部901(図7参照)に対して嵌合係止するように構成されている。凸部611は、カットアウト9の筐体92表面に対して滑り難いゴム等の樹脂材料によって形成されている。
【0051】
本実施形態では、挟持部60は、通常状態(挟持操作部63が操作されていない状態)では、図5に示すように一対の挟持片61が離間した開状態となっている。挟持部60は、挟持操作部63が操作されることで、図5の状態から更に開くように構成されている。
【0052】
挟持操作部63は、作業者が保持可能に構成されている。即ち、挟持操作部63は、作業者が直接、又は間接活線工具を介して挟持部60を操作できるように構成されている。また、挟持操作部63は、一対の挟持片61を開閉可能に構成されている。本実施形態では、挟持操作部63は、間接活線工具(例えばヤットコ)によって把持可能に構成されている。即ち、挟持操作部63は、対向して配置された一対の挟持操作片631を有する。各挟持操作片631a,631bには、ヤットコの先端を配置させるための凹部630a,630bが形成されている。また、凹部630a,630bの底部には、ヤットコの把持面が滑るのを防止するための滑り止用の凹凸632a,632bが形成されている。
【0053】
連結部62は、挟持部60と挟持操作部63とを連結する部分である。連結部62は、対向する一対の連結片621を備える。一対の連結片621のうちの一方の連結片621aは、一方の挟持片61a及び一方の挟持操作片631aを連結している。他方の連結片621bは、他方の挟持片61b及び他方の挟持操作片631bを連結している。
【0054】
即ち、挟持片61、連結片621、及び挟持操作片631は、固定クリップ片600を構成している。保持具固定具6は、一対の固定クリップ片600が対向して配置されることで構成されている。一対の固定クリップ片600は、回動軸7を介して互いに回動可能に連結されることで、先端同士が接離可能に構成されている。
【0055】
挟持付勢部64は、一対の挟持片61の先端同士が当接するように、一対の挟持片61を閉方向に付勢している。本実施形態の挟持付勢部64は、コイル状に形成された一般的なねじりバネである。挟持付勢部64は、回動軸7に取り付けられている。
【0056】
開ロック機構65は、一方の挟持操作片631aに固定された第1爪部651と、他方の挟持操作片631bに固定され、第1爪部651と噛み合うように構成された第2爪部652とを備える。開ロック機構65は、一対の挟持片61が開いた状態で第1爪部651が第2爪部652に対して噛み合うことで、一対の挟持片61が開方向に離間するのを規制する。具体的には、開ロック機構65は、挟持付勢部64が一対の挟持片61を閉方向に付勢する付勢力を発揮させつつ、一対の挟持片61が開方向に離間するのを規制するように構成されている。即ち、開ロック機構65は、保持具固定具6が保持具2とカットアウト9とを重ねて挟持した状態で一対の挟持片61が開かないようにすることで、保持具固定具6が保持具2及びカットアウト9から脱落するのを防止している。
【0057】
本実施形態に係る配線支持具1の説明は以上である。以下、本実施形態に係る配線支持具1の使用方法について説明する。
【0058】
カットアウト9に引下線Wが引き込まれるパターンとして、例えば、一方の側面921aに対して上下各挿通孔Cに引下線Wが挿通されている第1のパターン(図7図11のパターン)と、一方の側面921aの下側挿通孔C、及び他方の側面921bの上側挿通孔Cに引下線Wが挿通されている第2のパターン(図13のパターン)の2種類がある。作業対象となるカットアウト9が何れのパターンで引下線Wと接続されているか予め確認しておくことも可能であるが、現場の状況に応じて作業を行わなければならない場合が多い。本実施形態に係る配線支持具1は、作業者が、2つの保持具2(本実施形態では第1保持具2a、及び第2保持具2b)、及び保持具固定具6を準備するだけで、第1のパターン及び第2のパターンの双方に対して作業することができ、現場の状況に柔軟に対応できるものとなっている。
【0059】
まず、引き込みパターンが第1のパターンであるときに配線支持具1をカットアウト9に取り付ける手順について説明する。
【0060】
作業者は、保持具2(図8では第2保持具2b)を、一対の把持片31が開状態となるように間接活線工具で保持する。作業者は、一対の把持片31を開いたまま保持具2を持ち上げ、引下線Wの径方向から接近させる。そして、引下線Wが配置領域Qに位置するように把持部30と引下線Wとを位置合せし、一対の把持片31を閉じて引下線Wを把持する。この場合、作業者は、把持部30をカットアウト9に接近させて、挿通孔Cから延出する引下線Wの出来るだけ根元を把持部30で把持し、被固定部4がカットアウト9の側面921aに対して出来るだけ接近して沿うように被固定部4を配置する。尚、この場合、図11に示すように、被固定部4がカットアウト9の側面921aに当接しているのが好ましい。また、この場合、図8に示すように、保持具2の第2辺部42と、カットアウト9の端縁Fとが略平行となるように保持具2を引下線Wに取り付けるが好ましい。
【0061】
続いて、作業者は、もう一つの保持具2(本実施形態では第1保持具2a)を、一対の把持片31が開状態となるように間接活線工具で保持する。作業者は、一対の把持片31を開いたまま保持具2を持ち上げ、引下線Wの径方向から接近させる。この時、作業者は、先に取り付けられた第2保持具2bの被固定部4の上に第1保持具2aの被固定部4が重なるように、一対の把持片31で引下線Wを把持する。図8及び図9では、第2保持具2bが先に取り付けられている。即ち、下側の挿通孔Cに挿通された引下線Wに対して、カットアウト9の前面側に把持操作部32が位置するように保持具2が取り付けられている。しかしながら、保持具2は、上側の挿通孔Cに挿通された引下線Wに対して先に取り付けられてもよいし、カットアウト9の後面側に把持操作部32が位置するように取り付けられてもよい。カットアウト9の腕金Bに対する取り付け態様や、装柱状況に応じて、作業の順番を適宜変更してもよい。
【0062】
この状態で、作業者は、保持具固定具6を、一対の挟持片61が開状態となるように間接活線工具で保持する。作業者は、一対の挟持片61を開いたまま保持具固定具6を持ち上げ、カットアウト9の前面側から接近させる。図9図11に示すように、一方の挟持片61aが、第1保持具2aの被固定部4と第2保持具2bの被固定部4との重なり部R上に位置し、図12に示すように、他方の挟持片61bの凸部611bが、カットアウト9の側面921bに形成された凹部901に嵌合係止するように一対の挟持片61でカットアウト9と2枚の被固定部4とを挟持する。これにより、保持部3は、カットアウト9に対して位置固定された状態となる。2枚の被固定部4は、挟持付勢部64の付勢力によってカットアウト9の側面921aに対して押し付けられているので、第1保持具2a及び第2保持具2bは、引下線Wの抜け方向とは逆向きの力が作用した状態でカットアウト9に固定されている。その上、開ロック機構65によって一対の挟持片61が開方向に離間するのが規制されていると共に、保持部3は、引下線Wがカットアウト9に対して長手方向に移動するのを規制すべく引下線Wを保持している。そのため、保持具固定具6によって被固定部4とカットアウト9とを重ねて挟持することで、引下線Wが抜け方向に引っ張られても、引下線Wが保持部3によって長手方向に移動しないように拘束され、且つ引下線Wを保持した保持部3が保持具固定具6によってカットアウト9に対して移動しないように拘束されているので、引下線Wがカットアウト9から抜け難くなっている。
【0063】
次に引き込みパターンが第2のパターンであるときに配線支持具1をカットアウト9に取り付ける手順について説明する。
【0064】
第2のパターンでは、第2保持具2bをカットアウト9に取り付ける手順については、第1のパターンと同様である。図13に示すように、第2保持具2bの取り付けが完了したら、作業者は、第1保持具2aを把持して他方の側面921bから延出している引下線Wに第1保持具2aを取り付ける。
【0065】
作業者は、保持具固定具6の一対の挟持片61のうちの一方の挟持片61aが第2保持具2bの被固定部4上に位置し、他方の挟持片61bが第1保持具2aの被固定部4上に位置するように一対の挟持片61でカットアウト9、第2保持具2b、及び第1保持具2aを挟む。上記実施形態では、保持具2として第1保持具2aと第2保持具2bとを準備した場合について説明しているので、他方の側面921bについては、第1保持具2aをカットアウト9の後面側から引下線Wにアプローチさせる。例えば、保持具2をカットアウト9の前面側から引下線Wにアプローチさせる方が作業し易い場合には、第2保持具2bを2つ用いて、他方の側面921bについても前面側からアプローチさせてもよい。以上のように、本実施形態の配線支持具1は、引下線Wがカットアウト9から互い違いに延出している場合であっても、問題なく取り付けることができる。
【0066】
以上の作業によって、カットアウト9から延出する引下線Wが配線支持具1によってしっかりと抜け止めされるので、引下線Wに対する作業、例えば、ジャバラポリ管取り付け作業を安心して行うことができる。
【0067】
以上のように、上記実施形態では、保持部3は、被固定部4が固定対象9又はベース部Bに固定されることで固定対象9に対して位置固定されるように構成されているので、被固定部4が固定対象9又はベース部Bに固定されると、保持部3と固定対象9との位置関係が決まった状態で維持される。そして、保持部3は、前記位置固定された状態で、配線Wが固定対象9に対して長手方向に移動するのを規制すべく配線Wを保持するように構成されている。そのため、配線Wが保持部3に保持されると、配線Wの長手方向の移動が規制されるので、配線Wを固定対象9に対して動かない状態で拘束することができ、配線Wが固定対象9から外れるのを防止することができる。
【0068】
また、保持具固定具6は、被固定部4と固定対象9又はベース部Bとを重ねて挟持する挟持部60を備え、被固定部4を固定対象9又はベース部Bに固定することができる。そのため、保持具2とは別体の保持具固定具6によって被固定部4を固定対象9又はベース部Bに固定することができるので、保持具2自体に固定手段を設ける必要がなく、保持具2をシンプルな構造にすることができる。
【0069】
また、上記実施形態では、保持部3は、被固定部4が固定対象9に固定されることで該固定対象9に対して位置固定されるので、ベース部Bという固定対象9とは別の箇所に被固定部4が固定される場合に比べて保持具2をコンパクトに形成することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、保持部3は、一対の把持片31と、該一対の把持片31を開閉させる把持操作部32とを備えている。かかる構成によれば、作業者は、直接、又は間接活線工具によって把持操作部32を保持した状態で一対の把持片31を開状態にして配線Wの径方向から該配線Wに対して保持部3をアプローチさせ、続いて、一対の把持片31の間に配線Wを位置させた状態で一対の把持片31を閉状態とすることで、保持部3に配線Wを保持させることができる。そのため、上記構成の保持具2は、配線Wに対して保持部3を取り付け易いものとなっている。
【0071】
また、上記実施形態では、保持部3は、配線Wを筐体92の外側で保持するように構成され、被固定部4は、保持部3に連結固定され、配線Wが挿通された挿通孔Cが形成された面と同じ面上に固定されるように構成されている。そのため、配線Wが引っ張られる方向と被固定部4の固定面とが交差した状態となるので、配線Wが挿通孔Cから抜ける方向に引っ張られる力に対して固定力を効果的に発揮して、引っ張り力に抗することができる。
【0072】
また、上記実施形態では、前記被固定部4は、一対の把持片31のうちの少なくとも一方の把持片31aから、開閉方向外側に向かって延びているので、一対の把持片31の開閉に伴って被固定部4が移動し、且つ該移動が、保持部3による配線Wの保持を邪魔しないようになっている。そのため、上記構成の保持具2は、配線Wに取り付け易い。
【0073】
また、上記実施形態では、挟持部60は、被固定部4と重ね対象としての固定対象9又はベース部Bとを重ねて挟持する際に、挟持部60の凸部611が、カットアウト9の凹部901に対して嵌合係止するので、保持具固定具6が被固定部4及びカットアウト9から脱落し難くなっている。
【0074】
また、上記実施形態では、被固定部4は、配線Wの挿通方向における端子側に向けて付勢された状態で筐体92に対して固定されるので、配線Wが引っ張られる方向とは逆向きに付勢された状態となっている。そのため、上記構成の配線支持具1は、配線Wが引っ張られる力に対して逆向きに作用する付勢力(固定力)によって、引っ張り力に抗する力を効果的に発揮させることができる。
【0075】
また、上記実施形態では、保持部3と被固定部4とが筐体92の外側で同じ面上に配置されるので、保持部3及び被固定部4が配置される領域が、固定対象9の形状やベース部Bに対する固定状況によって制約され難い。そのため、上記構成の配線支持具1は、現場の状況に左右され難く、対応しやすいものとなっている。
【0076】
また、上記実施形態では、作業者は、保持具2及び保持具固定具6を間接活線作業によってカットアウト9に取り付けることができるので作業者にとって安全性の高いものとなっている。
【0077】
また、上記実施形態では、保持具2を複数準備しておくことで、一方の側面921aから2本の配線Wが延出している場合も、一方の側面921a及び他方の側面921bのそれぞれから配線Wが延出している場合も、保持具2を配線Wに取り付けることができる。更に、挿通孔Cから延出している配線Wを別々の保持具2によって保持させることができるので、保持具2を様々な大きさの固定対象9に取り付けることができる。
【0078】
尚、本発明の配線支持具1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0079】
上記実施形態では、被固定部4を固定対象9としてのカットアウト9に固定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。被固定部4は、例えば、ベース部Bとしての腕金Bに固定されてもよい。即ち、腕金Bは、カットアウト9を固定する部分であるので、被固定部4を腕金Bに固定することでも、保持具2をカットアウト9に対して位置固定させることができる。また、被固定部4は、端子台や配電盤等の、配線Wが接続される機器類であってもよい。この場合、端子台や配電盤等に接続される配線Wとしては、電線やケーブル等であってもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、配線支持具1がカットアウト9からの抜け止めに使用される場合について説明したが、これに限定されるものではない。配線支持具1は、例えば、高圧配電線から切り離された引下線Wを仮固定する際に使用されてもよい。即ち、保持具2で引下線Wを把持し、該保持具2を、保持具固定具6を介して腕金B等に仮固定してもよい。
【0081】
上記実施形態では、保持具2を保持具固定具6によってカットアウト9に固定する場合について説明したがこれに限定されるものではない。保持具2は、例えば、被固定部4がコの字状の部材によって形成され、筐体92を挟持するように構成されてもよい。また、被固定部4が筐体92に対してネジ止めされるものであってもよい。更に、被固定部4は、接着手段等によって、筐体92に接着固定されるものであってもよい。
【0082】
上記実施形態では、把持部30は、一対の把持片31を備えることで、引下線Wを把持する場合について説明したが、これに限定されるものではない。把持部30は、引下線Wに対して引っ掛けられることによって引下線Wを把持するフック状のものであってもよい。要は、把持部30は、引下線Wが長手方向に移動するのを規制するように引下線Wをしっかりと保持できるように構成されていればよい。
【0083】
上記実施形態では、第1保持具2a及び第2保持具2bを用いて、上下の引下線Wの抜け止めを実施する場合について説明したが、上下の引下線Wのうちの何れか一方に対して抜け止めすることもできる。即ち、第1保持具2a、第2保持具2b、及び保持具固定具6がセットで使われる場合に限定されるものではなく、第1保持具2a及び第2保持具2bのうちの何れか一方と保持具固定具6とがセットで使われてもよい。
【0084】
上記実施形態では、保持具固定具6が凸部611を備え、該凸部611がカットアウト9に形成された凹部901に嵌合係止する場合について説明したが、これに限定されるものではない。保持具2に凹部が形成され、凸部611は、保持具2の凹部に嵌合係止されてもよい。また、カットアウト9又は保持具2に凸部が形成され、保持具固定具6に凹部が形成されることで、保持具固定具6とカットアウト9又は保持具2とが嵌合係止するものであってもよい。更に、保持具固定具6が、被固定部4と腕金Bとを重ねて挟持する場合には、腕金Bに凹部や凸部が形成され、保持具固定具6は、腕金Bの凹部又は凸部と嵌合係止するように構成されていてもよい。
【0085】
上記実施形態では、保持具2と、保持具固定具6とを備える配線支持具1について説明した。しかしながら、本発明は、保持具2の発明としても捉えることができる。また、本発明は、保持具固定具6の発明としても捉えることができる。
【符号の説明】
【0086】
1…配線支持具、2…保持具、2a…一方の保持具(第1保持具)、2b…他方の保持具(第2保持具)、3…保持部、30…把持部、300,300a,300b…保持クリップ片、31,31a,31b…把持片、301,301a,301b…規制部、302,302a,302b…当接部、303,303a,303b…突出片、32…把持操作部、321,321a,321b…操作片、33…アーム部、331,331a,331b…アーム、34…把持付勢部、4…被固定部、41…第1辺部、42…第2辺部、5,7…回動軸、6…保持具固定具、60…挟持部、61,61a,61b…挟持片、611,611a,611b…凸部、62…連結部、621,621a,621b…連結片、63…挟持操作部、631,631a,631b…挟持操作片、64…挟持付勢部、65…開ロック機構、9…カットアウト(固定対象)、92…筐体、923…筐体本体、922…蓋部、921,921a,921b…側面、90…突起片、901…凹部、C…挿通孔、B…腕金(ベース部)、W…引下線(配線)、Q…配置領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13