(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本実施形態は、電極体全体の体積増加を抑制しつつ、セパレータが収縮したときの第一の電極と第二の電極との接触を抑制できる蓄電素子、及び前記蓄電素子を備える蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の蓄電素子は、
第一の電極、セパレータ、及び前記第一の電極と極性が異なる第二の電極を有し、前記第一の電極と前記第二の電極とが前記セパレータを介して重なる電極体を備え、
前記第一の電極は、第一電極本体と、該第一電極本体の周縁から延びる第一延出片と、を有し、
前記第二の電極は、第二電極本体と、該第二電極本体の周縁から延びる第二延出片と、を有し、
前記第一延出片が延びる第一方向における前記セパレータの各端縁は、該第一方向における前記第一電極本体の対応する端縁より外側にあり、
前記第一延出片は、その先端を含む部位が前記セパレータの端縁より突出する位置まで延び、
前記セパレータの前記第一方向の寸法は、前記第二電極本体の前記第一方向の寸法より大きく、
前記セパレータの前記第一方向の端縁のうちの前記第一延出片が突出している側の第一端縁とは反対側の第二端縁は、前記第二電極本体の対応する端縁と同じ位置にある。
【0009】
かかる構成によれば、セパレータの第一方向の寸法が第二電極本体の第一方向の寸法より大きいため、第二端縁を第二電極本体の対応する端縁と同じにすることで、第一端縁(第一延出片の突出側の端縁)を第二電極本体の対応する端縁より第一延出片の突出方向側に突出させることができ、これにより、セパレータの収縮時における第一延出部(第一の電極)と第二電極本体(第二の電極)との接触を抑制することができる。しかも、セパレータの第二端縁が第二電極本体の対応する端縁と同じ位置にあるため、セパレータの周縁部が全周に亘って第二電極本体の周縁の外側に位置する場合に比べ、体積増加が抑制される。
【0010】
前記蓄電素子では、
第一の壁部及び該第一の壁部と間隔をあけて対向する第二の壁部を含み且つ前記第一の壁部と前記第二の壁部との間に前記電極体を収容するケースを備え、
前記セパレータの前記第一端縁が前記第一の壁部に直接又は間接に当接すると共に、前記セパレータの前記第二端縁が前記第二の壁部に直接又は間接に当接してもよい。
【0011】
かかる構成によれば、セパレータの第一端縁と第二端縁とがケースにおいて対向する壁部(第一の壁部と第二の壁部)に直接又は間接に当接しているため、第一の壁部と第二の壁部との対向方向にケースが振動しても、セパレータが位置ずれし難い。これにより、延出片と第二の電極との接触をより確実に抑えることができる。
【0012】
この場合、前記蓄電素子では、
前記第一の壁部の前記ケースの内側を向いた内面は、前記第一延出片と対応する位置に設けられた凹部を含んでもよい。
【0013】
かかる構成によれば、第一延出片が凹部内に配置されることで、第一の壁部とセパレータの第一端縁との間に挟み込まれた第一延出部によるセパレータの損傷を抑えることができる。即ち、第一の壁部に凹部を設けない場合、セパレータの第一端縁がケースの第一の壁部に当接すると、第一延出部が第一の壁部と第一端縁との間に挟まれ、これにより、第一延出片のエッジ(端縁角部)がセパレータに当接するが、前記凹部を設けて該凹部内に第一延出片を配置することで、前記第一延出片のエッジのセパレータとの当接を抑え、この当接に起因するセパレータの損傷を抑えることができる。
【0014】
前記蓄電素子では、
前記第二電極本体は、前記第一方向と直交する第二方向の一方側が開放されるように折り返された第一の折り返し部と、前記第二方向の他方側が開放されるように折り返された第二の折り返し部とが交互に配置されたつづら折り状態であり、
前記第一の電極は、前記第一延出片の延びる方向が各折り返し部のターン軸の延びる方向に沿うように前記第一の折り返し部の内側と前記第二の折り返し部の内側とのそれぞれに配置され、
前記第一の折り返し部及び前記第二の折り返し部の各折り返し部において前記第一の電極と前記第二の電極との間に配置されている前記セパレータは、二軸延伸されたセパレータであってもよい。
【0015】
各折り返し部の内側では、セパレータがターン軸の延びる方向(第一方向:例えば、
図8参照)に縮み易い(第二方向に比べて大きく縮む)が、セパレータの第一端縁(第一延出片の突出側の端縁)が第二電極本体の対応する端縁より第一方向における第一延出片の突出側に突出しているため、セパレータが前記ターン軸の延びる方向に大きく収縮したとしても、第一延出片の第二電極本体との接触がより確実に抑えられる。即ち、つづら折り状態の第二電極本体の各折り返し部の内側では、セパレータの第二方向の両端部(即ち、各折り返し部のターン部(前記ターン軸周りに方向転換している部位)に近い部位、及び前記ターン部が隣り合う部位の近傍:例えば、
図14の領域α参照)が圧迫され易いため、折り返し部の前記ターン軸の延びる方向(第一方向)におけるセパレータの収縮量が、第二方向におけるセパレータの収縮量に比べて顕著になる(大きくなる)。このため、かかる構成では、セパレータの第一端縁(第一延出片の突出側の端縁)を第二電極本体の対応する端縁の外側に突出させることで、セパレータが前記ターン軸の延びる方向に大きく収縮したときの第一延出片の第二電極本体との接触を防いでいる。
【0016】
また、前記蓄電素子では、
前記電極体を収容するケースを備え、
前記セパレータは、二軸延伸されたセパレータであり、
前記ケースは、少なくとも前記電極体の所定領域を、前記第一の電極と前記第二の電極とが重なる方向の両側から押圧した状態で該電極体を収容し、
前記所定領域は、前記電極体において、前記第一方向と直交し且つ前記第一の電極に沿った方向における前記第一電極本体の両端部と対応する領域であってもよい。
【0017】
かかる構成によれば、第二電極本体の各折り返し部の内側において、第二方向における第一電極本体の両端部と対応する領域が圧迫され、これにより、セパレータの第二方向の両端部が第二電極本体と第一電極本体とで強固に挟み込まれるため、セパレータが第二方向よりも折り返し部のターン軸の延びる方向(第一方向)に縮み易い(第二方向に比べて大きく縮む)が、セパレータの第一端縁(第一延出片の突出側の端縁)が第二電極本体の対応する端縁より外側に突出しているため、セパレータが第一方向に大きく収縮したとしても、第一延出片の第二電極本体との接触が確実に抑えられる。
【0018】
また、別の実施形態の蓄電装置は、
上記のいずれかの複数の蓄電素子であって、前記第一の電極と前記第二の電極とが重なる方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子を保持する保持部材と、を備え、
前記複数の蓄電素子のそれぞれは、前記電極体を収容するケースを有し、
前記複数の蓄電素子の各セパレータは、二軸延伸されたセパレータであり、
前記保持部材は、各蓄電素子において少なくとも前記電極体の所定領域が前記第一の電極と前記第二の電極とが重なる方向の両側から前記ケースを介して押圧されるように前記複数の蓄電素子を保持し、
前記所定領域は、前記電極体において、前記第一方向と直交し且つ前記第一の電極に沿った方向における前記第一電極本体の両端部と対応する領域である。
【0019】
かかる構成によれば、複数の蓄電素子のそれぞれの第二の電極の各折り返し部の内側において、電極体の所定領域(第一方向と直交し且つ第一電極本体に沿った方向(第二方向)における該第一電極本体の両端部と対応する領域)が圧迫されるため、セパレータが折り返し部のターン軸の延びる方向(第一方向)に縮み易い(第二方向に比べて大きく縮む)が、各蓄電素子の電極体においてセパレータの第一端縁(第一延出片の突出側の端縁)が第二電極本体の対応する端縁より外側に突出しているため、該セパレータが第一方向に大きく収縮したとしても、第一延出片の第二電極本体との接触が確実に抑えられる。しかも、各蓄電素子において、セパレータの第二端縁が第二電極本体の対応する端縁と同じ位置にあるため、セパレータの周縁部が全周に亘って第二電極本体の周縁の外側に位置する場合に比べ、体積増加が抑制される。
【発明の効果】
【0020】
以上より、本実施形態によれば、電極体全体の体積増加を抑制しつつ、セパレータが収縮したときの第一の電極と第二の電極との接触を抑制できる蓄電素子、及び前記蓄電素子を備える蓄電装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、
図1〜
図14を参照しつつ説明する。蓄電素子には、一次電池、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0023】
本実施形態の蓄電素子は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子と組み合わされて蓄電装置に用いられる。前記蓄電装置では、該蓄電装置に用いられる蓄電素子が電気エネルギーを供給する。
【0024】
蓄電素子は、
図1〜
図4に示すように、電極体2を備える。また、蓄電素子1は、電極体2を収容するケース3と、少なくとも一部が外部に露出した状態でケース3に取り付けられる外部端子4と、電極体2と外部端子4とを接続する集電体5と、を備える。また、蓄電素子1は、電極体2とケース3との間に配置される絶縁部材6等も備える。尚、各図においては、構造を示すために、電極体2を構成する電極等の厚さが誇張して表される等、電極体2の構成が模式的に表されている。
【0025】
電極体2は、
図5及び
図6にも示すように、第一の電極22と、セパレータ25と、第一の電極22と極性が異なる第二の電極21を有する。電極体2では、これら第一の電極22と第二の電極21とがセパレータ25を介して重なっている。本実施形態の電極体2は、第一の電極22と該第一の電極22を挟み込むセパレータ25とを有する枚葉状部材26と、第一の電極22と極性が異なり且つ枚葉状部材26の厚さ方向において該枚葉状部材26を挟み込む第二の電極21と、を有する。この電極体2では、第一の電極22は、正極であり、第二の電極21は、負極である。
【0026】
負極21は、
図7にも示すように、金属箔211と、金属箔211の両面のそれぞれに重ねられる負極活物質層212と、を有する。即ち、負極21は、一つの金属箔211と一対の負極活物質層212とを有する。本実施形態の金属箔211は、例えば、銅箔である。この負極21は、
図8にも示すように、長尺な帯状であり、折り返し部23を有する。
【0027】
負極活物質層212は、負極活物質と、バインダーと、を有する。
【0028】
負極活物質は、例えば、グラファイト、難黒鉛化炭素、及び易黒鉛化炭素などの炭素材、又は、ケイ素(Si)及び錫(Sn)などのリチウムイオンと合金化反応を生じる材料である。本実施形態の負極活物質は、グラファイトである。
【0029】
負極活物質層212に用いられるバインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンブタジエンゴム(SBR)である。本実施形態のバインダーは、ポリフッ化ビニリデンである。
【0030】
負極活物質層212は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の負極活物質層212は、導電助剤を有していない。
【0031】
折り返し部23は、
図9に示すように、谷折り側の面である第一の面231及び山折り側の面(即ち、第一の面231と反対側の面)である第二の面232をそれぞれ有し且つ第一の面231同士を対向させた一対の平坦部233と、一対の平坦部233の端部同士を接続するターン部234と、を含む。本実施形態の負極21は、ターン部234を反対に向けた状態で隣り合う折り返し部23同士がその一部(平坦部233)を共通させた状態で連続するつづら折り状態(蛇腹状)である。
【0032】
換言すると、負極21は、所定方向(
図8の左右方向)の一方側が開放されるように折り返された折り返し部(第一の折り返し部)23Aと、前記所定方向の他方側が開放されるように折り返された折り返し部(第二の折り返し部)23Bとが交互に配置されたつづら折り状態である。そして、一つの折り返し部(第一折り返し部)23Aに着目したときに、第一折り返し部23Aと、その隣(
図8における後ろ側)の折り返し部(第二折り返し部)23Bとでは、第一折り返し部23Aのターン部234Aと、第二折り返し部23Bのターン部234Bとの間の平坦部233A、233Bを共通させている。
【0033】
この場合、
図8に示すように、第一折り返し部23Aに着目したときの平坦部233Aでは、第一折り返し部23Aにおける谷折り面側の面が第一の面231Aであり、その反対側の面(山折り側の面)が第二の面232Aである。一方、第二折り返し部23Bに着目したときの平坦部233B(第一折り返し部23Aの平坦部233Aと共通させた平坦部233B)では、第二折り返し部23Bにおける谷折り面側の面が第一の面231Bであり、その反対側の面(山折り側の面)が第二の面232Bである。即ち、第一折り返し部23Aと第二折り返し部23Bとで共通させている平坦部233A、233Bでは、第一折り返し部23Aに着目したときと、第二折り返し部23Bに着目したときとで、第一の面(折り返し部23において向かい合う面)231と第二の面(折り返し部において反対方向を向く面)232とが逆になる。
【0034】
図2〜
図9に戻り、具体的には、負極21では、帯状の負極21が長尺方向において所定間隔で交互に折り返されることによって、平坦部233とターン部234とが交互に形成されている。即ち、長尺な負極21が、
図7に示す長手方向に所定間隔で交互に設定された山折り線21Aの位置と谷折り線21Bの位置とで山折りと谷折りとが交互に繰り返されることによって、つづら折り状態となる。これにより、負極21は、複数の平坦部233と複数のターン部234とを有し、複数の平坦部233のそれぞれは、平行若しくは略平行に並び、複数のターン部234のそれぞれは、隣り合う平坦部233の前記長尺方向の一端側の端部同士と他端側の端部同士とを交互に接続している。
【0035】
以下では、平坦部233が並ぶ方向を直交座標系におけるX軸方向とし、平坦部233に対してターン部234が配置されている方向(
図8における左右方向)を直交座標系におけるY軸方向とし、ターン部234のターン軸Sの延びる方向(
図8参照)を直交座標系のZ軸方向とする。
【0036】
複数の平坦部233のそれぞれは、矩形状の平坦部本体2331と、平坦部本体2331の矩形状の輪郭を構成する一辺から突出する(本実施形態の例では、Z軸方向の端縁からZ軸方向に延びる)負極タブ(第二延出片)2332と、を有する。本実施形態の平坦部本体2331は、Y軸方向に長い矩形状である。平坦部本体2331では、金属箔211の両面の全域が負極活物質層212に覆われ、負極タブ2332では、金属箔211が露出している。即ち、負極タブ2332は、負極活物質層212を有しない。本実施形態の負極21では、平坦部本体2331とターン部234とが交互に連なることで、負極本体(第二電極本体)を構成する。
【0037】
つづら折り状態の負極21において、各平坦部233の負極タブ2332は、X軸方向から見て重なっている。本実施形態の負極21では、各負極タブ2332は、平坦部本体2331のZ軸方向の一方(
図8における上側)の端縁におけるY軸方向の一方(
図8における右側)の端部からZ軸方向に延びている。この複数の平坦部本体2331のそれぞれから延びている負極タブ2332は、束ねられ、外部端子4と集電体5を介して接続されている(
図3参照)。本実施形態の負極タブ2332の束は、溶接によって集電体5に接続されている。尚、負極タブ2332の束は、加締めによって集電体5に接続されてもよい。
【0038】
複数のターン部234のそれぞれは、つづら折り状態の負極21において、Z軸方向に延びる軸をターン軸S(
図8参照)として帯状の負極21が旋回している(換言すると、ターン軸S周りに方向転換している)部位である。このターン部234においても、金属箔211の両面が負極活物質層212に覆われている。
【0039】
正極22は、
図5、
図6、
図10、及び
図11にも示すように、金属箔221と、金属箔221の両面のそれぞれに重ねられる正極活物質層222と、を有する。即ち、正極22は、一つの金属箔221と一対の正極活物質層222とを有する。本実施形態の金属箔221は、例えば、アルミニウム箔である。この正極22は、つづら折り状態の負極21において、X軸方向に隣り合う平坦部233間のそれぞれに配置されている。このため、本実施形態の電極体2は、複数の正極22を有している。
【0040】
正極活物質層222は、正極活物質と、バインダーと、を有する。
【0041】
本実施形態の正極活物質は、例えば、リチウム金属酸化物である。具体的に、正極活物質は、例えば、LiaMebOc(Meは、1又は2以上の遷移金属を表す)によって表される複合酸化物(LiaCoyO
2、LiaNixO
2、LiaMnzO
4、LiaNixCoyMnzO
2等)、LiaMeb(XOc)d(Meは、1又は2以上の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、Vを表す)によって表されるポリアニオン化合物(LiaFebPO
4、LiaMnbPO
4、LiaMnbSiO
4、LiaCobPO
4F等)である。本実施形態の正極活物質は、LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2である。
【0042】
正極活物質層222に用いられるバインダーは、負極活物質層212に用いられたバインダーと同様のものである。本実施形態のバインダーは、ポリフッ化ビニリデンである。
【0043】
正極活物質層222は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の正極活物質層222は、導電助剤としてアセチレンブラックを有する。
【0044】
具体的に、複数の正極22のそれぞれは、正極本体(第一電極本体)223と、正極本体223の周縁から延びる正極タブ(第一延出片)224と、を有する。詳しくは、複数の正極22のそれぞれは、矩形状の正極本体(第一電極本体)223と、正極本体223の矩形状の輪郭を構成する一辺から突出する(本実施形態の例では、Z軸方向の端縁からZ軸方向に延びる)正極タブ224と、を有する。本実施形態の正極本体223は、Y軸方向に長い矩形状である。正極本体223では、金属箔221の両面の全域が正極活物質層222に覆われ、正極タブ224では、金属箔221が露出している。即ち、正極タブ224は、正極活物質層222を有しない。尚、正極タブ224の根元(正極活物質層222に隣り合う領域)には、無機粒子等の絶縁体を含む絶縁層が形成されてもよい。
【0045】
正極本体223における正極活物質層222は、X軸方向に対向する(詳しくは、セパレータ25を介して対向する)平坦部233の負極活物質層212よりY−Z面(Y軸とZ軸とを含む平面)方向において小さい。即ち、正極本体223の正極活物質層222は、全域において平坦部233の負極活物質層212と対向し、平坦部233の負極活物質層212は、周縁部を除いた領域において正極本体223の正極活物質層222と対向する。
【0046】
電極体2において、各正極22の正極タブ224は、X軸方向から見て重なっている。本実施形態の正極22では、各正極タブ224は、正極本体223のZ軸方向の一方(
図5における上側)の端縁におけるY軸方向の他方(平坦部本体2331に対する負極タブ2332の位置とは反対側:
図5における左側)の端部からZ軸方向に延びている。この複数の正極本体223のそれぞれから延びている正極タブ224は、束ねられ、外部端子4と集電体5を介して接続されている。本実施形態の正極タブ224の束は、負極タブ2332の束と同様に、溶接によって集電体5と接続されている(
図3参照)。尚、正極タブ224の束は、加締めによって集電体5に接続されてもよい。
【0047】
セパレータ25は、絶縁性を有する部材であり、負極21と正極22との間に配置される。これにより、電極体2において、負極21と正極22とが互いに絶縁される。また、セパレータ25は、ケース3内において、電解液を保持する。これにより、蓄電素子1の充放電時において、セパレータ25を挟んで対向する負極21と正極22との間を、リチウムイオンが移動可能となる。
【0048】
このセパレータ25は、帯状であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ポリアミドなどの多孔質膜によって構成される。本実施形態のセパレータ25は、SiO
2粒子、Al
2O
3粒子、ベーマイト(アルミナ水和物)等の無機粒子を含んだ無機層を、多孔質膜によって形成された基材の上に設けることで形成されている。本実施形態のセパレータ25の基材は、例えば、ポリエチレンによって形成される。
【0049】
本実施形態のセパレータ25は、二軸延伸されたものである。即ち、セパレータ25は、二軸延伸フィルムである。二軸延伸されたセパレータ25は、通常、多孔質構造が多方向に配向している。つまり、二軸延伸されたセパレータ25に形成された孔の長手方向は、通常、一方向に揃っていない。このセパレータ25は、正極22を挟み込んでいる。具体的に、セパレータ25は、正極本体223全体をX軸方向に挟み込むように覆っている。このセパレータ25は、
図10及び
図11に示すように、矩形状のものを、間に正極22を挟み込むようにして長尺方向の中央部で折り返し、折目部位を除いた三辺(各端縁部)を接合(接着、溶着等)されている。このセパレータ25が正極22を挟み込んだ状態で、セパレータ25のZ軸方向の各端縁251、252は、正極本体223の対応する端縁より外側にある。本実施形態のセパレータ25の周縁は、正極本体223の周縁より外側にある(
図12参照)。この状態で、正極タブ224は、その先端を含む部位がセパレータ25の端縁から突出する位置まで延びている(
図12参照)。
【0050】
この正極22を挟み込んだ状態のセパレータ25は、X軸方向から見て矩形状であり、Z軸方向の寸法は、負極21の平坦部本体2331(負極本体)のZ軸方向の寸法より大きい。また、セパレータ25のY軸方向の寸法は、平坦部本体2331のY軸方向の寸法より大きいが、折り返し部23の内側からはみ出ない大きさである。本実施形態の電極体2では、正極22と、この正極22を挟み込んだ状態のセパレータ25とが、枚葉状部材26を構成している。
【0051】
以下では、セパレータ25(枚葉状部材26)における正極タブ224が突出している側(Z軸方向の一方側)の端縁を第一端縁251と称し、第一端縁と反対側(Z軸方向の他方側)の端縁を第二端縁252と称する。また、枚葉状部材26(セパレータ25)の第一端縁と第二端縁とを繋ぐ一対の端縁を第三端縁253と称する。
【0052】
電極体2において、セパレータ25の第一端縁251は、負極21の対応する端縁(
図12における平坦部233の上端)235より外側(
図12における上側)にあり、第二端縁252は、負極21の対応する端縁(
図12における平坦部233の下端)236と同じ位置にある。即ち、セパレータ25のZ軸方向の寸法が負極21の平坦部233のZ軸方向の寸法より大きく、このセパレータ25の第二端縁が負極21の対応する端縁と同じ位置であるため、セパレータ25の第一端縁251は、負極21の対応する端縁よりZ軸方向の外側に位置している(突出している)。また、電極体2において、セパレータ25の第三端縁253の一方は、ターン部234と当接し、他方は、折り返し部23の開放されている側の端縁(
図12に示す例では左側の端縁)と同じ位置にある。
【0053】
また、セパレータ25の第一端縁251と第二端縁252とは、ケース3の内面と直接又は間接に当接している。本実施形態の第一端縁251と第二端縁252とは、絶縁部材6を介して(即ち、間接に)ケース3の内面と当接している(
図4参照)。
【0054】
図1〜
図4に戻り、ケース3は、蓋板(第一の壁部)32及び該蓋板32と間隔をあけて対向する閉塞部(第二の壁部)311を含み且つ蓋板32と閉塞部311との間に電極体2を収容する。具体的には、このケース3は、開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板32と、を有する。このケース3では、ケース本体31と蓋板32とによって内部空間が画定される。ケース3は、この内部空間に、電極体2と共に電解液を収容する。
【0055】
この電解液は、非水溶液系電解液である。この電解液は、有機溶媒に電解質塩を溶解させることによって得られる。有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類である。電解質塩は、LiClO
4、LiBF
4、及びLiPF
6等である。本実施形態の電解液は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートを、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート=3:2:5の割合で調整した混合溶媒に、1mol/LのLiPF
6を溶解させたものである。
【0056】
ケース3は、上記の電解液に耐性を有する金属によって形成される。本実施形態のケース3は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成される。
【0057】
ケース本体31は、板状の閉塞部311と、閉塞部311の周縁に接続される筒状の胴部(周壁)312と、を備える。
【0058】
閉塞部311は、ケース本体31が開口を上に向けた姿勢で配置されたときにケース本体31の下端に位置する(即ち、前記開口が上を向いたときのケース本体31の底壁部となる)部位である。本実施形態の閉塞部311は、矩形状である。
【0059】
胴部312は、角筒形状、より詳しくは、偏平な角筒形状を有する。胴部312は、閉塞部311の周縁における長辺から延びる一対の長壁部313と、閉塞部311の周縁における短辺から延びる一対の短壁部314とを有する。短壁部314が一対の長壁部313の対応(詳しくは、X軸方向に対向)する端部同士をそれぞれ接続することによって、角筒状の胴部312が形成される。
【0060】
以上のように、ケース本体31は、開口方向(Z軸方向)における一方の端部が塞がれた角筒形状(即ち、有底角筒形状)を有する。
【0061】
蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐ部材である。
図13にも示すように、この蓋板32のケース3の内側(内部空間側)を向いた内面320は、正極タブ224と対応する位置に設けられた第一凹部(凹部)321を含む。また、内面320は、負極タブ2332と対応する位置に設けられた第二凹部322も含む。この蓋板32の輪郭形状は、ケース本体31の開口周縁部310(
図2参照)に対応した形状である。
【0062】
本実施形態の蓋板32は、板状の部材であり、第一凹部321と第二凹部322とが設けられた部位の板厚も、一定又は略一定となっている。即ち、蓋板32における外面(内面320と反対側の面)325は、第一凹部321と対応する位置に第一凸部326を含み、第二凹部322と対応する位置に第二凸部327を含む。
【0063】
これら第一凹部321と第二凹部322との深さは、束ねられた正極タブ224又は束ねられた負極タブ2332が収まる寸法、即ち、外部端子4に接続されている正極タブ224の束、又は外部端子4に接続されている負極タブ2332の束が、セパレータ25の第一端縁251よりも外側(
図3における上側)に位置できる大きさに設定されている。
【0064】
以上のように構成されるケース3には、負極21の各平坦部233が長壁部313と平行(略平行)となる(即ち、各ターン部234が短壁部314と対向する)ように、絶縁部材6に覆われた状態の電極体2が収容される(
図2〜
図4参照)。このとき、ケース3は、電極体2の全体をX軸方向に圧迫(押圧)した状態で該電極体2を収容する。そして、電極体2のセパレータ25の第一端縁251が蓋板32(詳しくは、内面320における第一凹部321及び第二凹部322を除いた部位)に絶縁部材6を介して当接し、第二端縁252が閉塞部311に絶縁部材6を介して当接している。
【0065】
外部端子4は、他の蓄電素子の外部端子又は外部機器等と電気的に接続される部位である。このため、外部端子4は、導電性を有する部材によって形成される。また、外部端子4は、溶接性の高い金属材料によって形成される。例えば、正極の外部端子4は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成され、負極の外部端子4は、銅又は銅合金等の銅系金属材料によって形成される。本実施形態の外部端子4は、少なくとも一部がケース3の外部に露出した状態で、蓋板32の第一凸部326及び第一凹部321によって画定される部位、又は蓋板32の第二凸部327及び第二凹部322によって画定される部位に取り付けられる。
【0066】
絶縁部材6は、絶縁性を有する樹脂によって形成されている。具体的に、絶縁部材6は、
図2〜
図4に示すように、所定の形状に裁断された絶縁性を有するシート状の部材を折り曲げることによって袋状に形成されている。本実施形態の絶縁部材6は、ケース3に沿った形の袋状であり、第一凹部321及び第二凹部322と対応する位置が開口する。
【0067】
以上の蓄電素子1によれば、セパレータ25のZ軸方向の寸法が負極本体(平坦部本体2331)のZ軸方向の寸法より大きいため、第二端縁252を負極本体(平坦部本体2331)の対応する端縁と同じにすることで、第一端縁(正極タブ224の突出側の端縁)251を負極本体の対応する端縁より正極タブ224の突出方向側に突出させる、即ち、前記対応する端縁より外側に突出させることができる。これにより、セパレータ25の収縮時における正極タブ224と負極本体(平坦部本体2331)との接触を抑制することができる。しかも、セパレータ25の第二端縁252が負極本体の対応する端縁と同じ位置にあるため、セパレータ25の周縁部が全周に亘って負極本体(平坦部本体2331)の周縁の外側に位置する場合に比べ、電極体2の体積増加が抑制される。また、負極21と、セパレータ25で挟み込まれた正極22とを重ね合わせる際、セパレータ25の第二端縁252を負極本体(平坦部本体2331)の対応する端縁と同じにすることで、第二端縁252を基準として負極21、セパレータ25、及び正極22を位置合わせすることができる。さらに、これらを位置合わせした状態で、セパレータ25の第一端縁(正極タブ224の突出側の端縁)251が負極本体(平坦部本体2331)の対応する端縁より正極タブ224の突出方向側に突出させることができる。
【0068】
ここで、「対応する端縁と同じ位置にある」とは、完全な同じ位置に限らず、合理的と認められる範囲の余裕(具体的には、1mm以内の製造誤差、等)が含まれることは言うまでもない。
【0069】
本実施形態の蓄電素子1では、セパレータ25の第一端縁251が蓋板32に間接に当接すると共に、セパレータ25の第二端縁252が閉塞部311に間接に当接している。このように、セパレータ25の第一端縁251と第二端縁252とがケース3において対向する壁部(蓋板32と閉塞部311)に間接に当接しているため、本実施形態の蓄電素子1では、Z軸方向(蓋板32と閉塞部311との対向方向)にケース3が振動しても、セパレータ25(枚葉状部材26)が位置ずれし難い。その結果、正極タブ224と負極本体(平坦部本体2331)との接触をより確実に抑えることができる。
【0070】
また、本実施形態の蓄電素子1では、蓋板32の内面320が、正極タブ224と対応する位置に設けられた第一凹部321を含んでいる。このため、正極タブ224が第一凹部321内に配置されることで、蓋板32とセパレータ25の第一端縁251との間に挟み込まれた正極タブ224によるセパレータ25の損傷(例えば、正極タブ224の端縁が当たることによってセパレータ25が切れる等)を抑えることができる。詳しくは、以下の通りである。
【0071】
蓋板32の内面320に第一凹部321を設けない場合、セパレータ25の第一端縁251がケース3の蓋板32に当接すると、正極タブ224が蓋板32とセパレータ25の第一端縁251との間に挟まれる。この場合、正極タブ224のエッジ(端縁角部)がセパレータ25に当接するが、正極タブ224が非常に薄い金属箔221であるため、セパレータ25が裂ける等、損傷し易い。そこで、本実施形態の蓄電素子1では、蓋板32の内面320に第一凹部321が設けられ、該第一凹部321内に正極タブ224の束が配置されることで、前記正極タブ224のエッジのセパレータ25との当接が抑えられる。その結果、本実施形態の蓄電素子1では、この正極タブ224との当接に起因するセパレータ25の損傷が抑えられる。
【0072】
尚、蓋板32の内面320は、負極タブ2332と対応する位置に設けられた第二凹部322も含んでいる。このため、負極タブ2332が第二凹部322内に配置されることで、蓋板32とセパレータ25の第一端縁251との間に挟み込まれた負極タブ2332によるセパレータ25の損傷も抑えられる。
【0073】
本実施形態の蓄電素子1では、セパレータ25が二軸延伸されたものであり、各折り返し部23の内側に枚葉状部材26が配置されている。このため、負極21の各折り返し部23の内側では、以下の理由から、枚葉状部材26のセパレータ25がZ軸方向(折り返し部23のターン軸Sの延びる方向)に縮み易い(Y軸方向に比べて大きく縮む)。
【0074】
つづら折り状態の負極21の各折り返し部23では、ターン部234及びその近傍のX軸方向の厚さ寸法が、一対の平坦部233のX軸方向の厚さ寸法より若干大きくなっている。このため、電極体2がケース3に収容されることで該ケース3(一対の長壁部313)からX軸方向に圧迫(押圧)されると、各折り返し部23の内側において、枚葉状部材26のY軸方向の両端部(即ち、各折り返し部23のターン部234に近い部位、及びターン部234がX軸方向に隣り合う部位:
図14の領域α参照)がX軸方向に圧迫される。これにより、セパレータ25のY軸方向の収縮が抑えられる一方、Z軸方向の収縮に対して前記圧迫はあまり作用しないため、収縮量が大きくなる。その結果、折り返し部23のターン軸Sの延びる方向(Z軸方向)におけるセパレータ25の収縮量が、Y軸方向におけるセパレータ25の収縮量に比べて顕著になる(大きくなる)。
【0075】
そこで、本実施形態の蓄電素子1では、セパレータ25の第一端縁(正極タブ224の突出側の端縁)251を負極本体(平坦部本体2331)の対応する端縁より外側に突出させることで、セパレータ25がZ軸方向に大きく収縮したとしても、正極タブ224が負極本体と接触することを抑えることができる(
図12参照)。
【0076】
ここで、セパレータ25の第一端縁部(負極21の第一端縁251と対応する端縁より突出している部位)2510(
図12参照)は、負極21の折り返し部23に挟み込まれていないため、負極21の折り返し部23に挟み込まれている第二端縁部(第二端縁252を含む部位)よりも収縮し易い。特に、第一端縁部2510のうちでも、折り返し部23が開放されている側(ターン部234と反対側)の部位程収縮し易い。しかし、セパレータ25の第一端縁(正極タブ224の突出側の端縁)251が負極本体(平坦部本体2331)の対応する端縁235より十分外側に配置されることで、第一端縁部2510が大きく収縮しても、正極タブ224が負極本体と接触することを効果的に防ぐことができる。
【0077】
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0078】
上記実施形態の蓄電素子1では、電極体2は、つづら折り状態の負極21と、枚葉状の正極22とを有する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、
図15に示すように、電極体2は、枚葉状の負極21と枚葉状の正極22とが積層される構成(いわゆるスタック型)でもよい。この場合、セパレータ25は、負極21と正極22との少なくとも一方を挟み込む。また、
図16に示すように、電極体2は、それぞれが独立した負極21によって構成される複数の折り返し部23を有し、各折り返し部23の内側、及び隣り合う折り返し部23同士の間に枚葉状部材26が配置される構成であってもよい。
【0079】
上記実施形態の蓄電素子1では、枚葉状部材26のZ軸方向の両端縁が絶縁部材6を介してケース3に当接している、詳しくは、セパレータ25の第一端縁251と第二端縁252とが絶縁部材6を介して蓋板32と閉塞部311とに当接しているが、この構成に限定されない。枚葉状部材26のZ軸方向の一方の端縁(例えば、セパレータ25の第一端縁251)は、ケース3に直接又は間接に当接していなくてもよい。
【0080】
上記実施形態の蓄電素子1では、枚葉状部材26のセパレータ25は、二軸延伸されたものであるが、この構成に限定されない。セパレータ25は、一軸延伸されたものでもよい。一軸延伸されたセパレータ25は、通常、多孔質構造が一方向(延伸方向)に配向している。つまり、一軸延伸されたセパレータ25に形成された孔の長手方向は、通常、一方向に揃っている。一軸延伸されたセパレータは、延伸方向には収縮しやすいが、延伸方向と直交する方向には収縮がし難い。このため、セパレータ25は、延伸方向がY軸方向と一致するように配置されることが好ましい。また、つづら折り状態の負極21を用いる場合、セパレータ25の延伸方向がY軸方向と一致するように配置されることが特に好ましい。つづら折り状態の負極21を用いることにより、ターン部234に近い部位及びターン部234がX軸方向に隣り合う部位がX軸方向に圧迫される。これにより、セパレータ25のY軸方向の収縮が抑えられると共に、延伸方向と直交するZ軸方向の収縮が抑えられる。その結果、正極タブ224が負極21と接触することを抑えることができる。
【0081】
上記実施形態の蓄電素子1では、ケース3は、電極体2の全体をX軸方向に圧迫するが、この構成に限定されない。電極体2は、ケース3の内部において、少なくとも正極本体223のY軸方向の両端部と対応する領域(例えば、X軸方向から見て重なる領域)を圧迫されていればよい。この圧迫は、ケース3によって行われてもよく、ケース3の内部に配置される部材によって行われてもよい。
【0082】
例えば、ケース3にエンボス加工が施される等により、ケース3の内面から電極体2に向かって突出する凸部が形成され、当該凸部により電極体2を圧迫してもよい。また、ケース3に収容される絶縁部材6のうち、電極体2を圧迫したい部分に対応する領域の厚みを大きくすることにより、電極体2を圧迫してもよい。さらに、電極体2の外周に絶縁テープを貼りつけることにより電極体2を圧迫してもよい。この場合、電極体2の外周寸法が、絶縁テープを貼りつける前よりも絶縁テープを貼りつけた後のほうが小さくなるように絶縁テープを貼りつけるとよい。
【0083】
また、上記実施形態においては、蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態において、蓄電素子の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
【0084】
上記実施形態の蓄電素子(例えば電池)1は、例えば
図17及び
図18に示すような蓄電装置(蓄電素子が電池の場合は電池モジュール)11に用いられてもよい。この蓄電装置11は、複数の蓄電素子1と、蓄電素子1と隣接する複数の隣接部材12と、複数の蓄電素子1及び複数の隣接部材12をひとまとめに保持する保持部材13と、異なる蓄電素子1の外部端子4同士を導通可能に接続するバスバ14と、を備える。また、この蓄電装置11は、複数の蓄電素子1と保持部材13との間に配置されるインシュレータ15等も備える。
【0085】
保持部材13は、X軸方向に隣接部材12を介して並ぶ複数の蓄電素子1をX軸方向の両側から挟み込む一対の終端部材131と、一対の終端部材131を連結する連結部材132と、を有する。この保持部材13は、各蓄電素子1において少なくとも電極体2の所定領域(Y軸方向における正極本体223の両端部と対応する領域(例えば、X軸方向から見て重なる領域))がX軸方向の両側からケース3を介して押圧(圧迫)されるように複数の蓄電素子1を保持する。この電極体2への押圧(圧迫)は、保持部材13によって複数の蓄電素子1が保持されることで加えられる構成でもよく、隣接部材12が蓄電素子1間に配置された状態で蓄電素子1と隣接部材12とが一緒に保持部材13に保持されることで加えられる構成でもよい。
【0086】
かかる構成によっても、複数の蓄電素子1のそれぞれの負極21の各折り返し部23の内側において、枚葉状部材26の所定領域(Y軸方向における正極本体223の両端部と対応する領域(X軸方向から見て重なっている領域))が圧迫される。このため、枚葉状部材26のセパレータ25が折り返し部23のターン軸Sの延びる方向(Z軸方向)に縮み易い(前記所定方向に比べて大きく縮む)。しかし、各蓄電素子1の電極体2においてセパレータ25の第一端縁251が負極21の対応する端縁235より外側にあり且つ正極22が正極本体223より大きなセパレータ25に挟み込まれているため、該セパレータ25が前記ターン軸Sの延びる方向に大きく収縮したとしても、正極本体223や正極タブ224の負極21との接触が抑えられる。