(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
クラウドサーバと無線通信可能な親機と、該親機と無線通信可能な少なくとも1つの子機と、該子機の各々に接続された少なくとも1つのセンサとを備えた照明監視システムであって、
前記センサが、検知データに基づいてセンシングデータを生成するように構成され、
前記子機が、前記センサからの前記センシングデータを前記親機に無線送信するように構成され、
前記親機が、前記子機から受信された前記センシングデータを前記クラウドサーバに無線送信するように構成され、
前記子機又は前記センサが、前記センシングデータをフィルタリングするフィルタ部を有し、該フィルタ部が、前記クラウドサーバから前記親機又は前記親機及び前記子機を介して受信された設定変更命令に応じて、前記フィルタリングの設定を変更するように構成された、照明監視システム。
クラウドサーバと無線通信可能な親機と、該親機と無線通信可能な少なくとも1つの子機と、該子機の各々に接続された少なくとも1つのセンサとを備えた照明監視システムであって、
前記センサが、検知データに基づいてセンシングデータを生成するように構成され、
前記子機が、前記センサからの前記センシングデータを前記親機に無線送信するように構成され、
前記親機が、前記子機から受信された前記センシングデータを前記クラウドサーバに無線送信するように構成され、
前記親機が、前記センシングデータをフィルタリングするフィルタ部を有し、該フィルタ部が、前記クラウドサーバから受信された設定変更命令に応じて、前記フィルタリングの設定を変更するように構成された、照明監視システム。
前記フィルタリングの設定が、前記設定変更命令によって示される前記センシングデータの用途又は前記センシングデータの通信量若しくは通信コストに応じて変更されるように構成された、請求項1又は2に記載の照明監視システム。
前記親機が、前記子機から受信された前記センシングデータを記憶するメモリ、及び該メモリに記憶された前記センシングデータを所定の送信間隔で前記クラウドサーバに無線送信させる通信制御部をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の照明監視システム。
クラウドサーバと無線通信可能な親機、該親機と無線通信可能な少なくとも1つの子機、及び該子機の各々に接続された少なくとも1つのセンサを備えた照明監視システムであって、
前記センサが、検知データに基づいてセンシングデータを生成するように構成され、
前記子機が、前記センサからの前記センシングデータを前記親機に無線送信するように構成され、
前記親機が、前記子機から受信された前記センシングデータを記憶するメモリ、該メモリに記憶された前記センシングデータを所定の送信タイミングで前記クラウドサーバに無線送信させる通信制御部、及び前記クラウドサーバから受信された設定変更命令に応じて前記所定の送信タイミングの設定を調整する送信調整部を含む、照明監視システム。
前記所定の送信タイミングが、前記設定変更命令によって示される前記センシングデータの通信量又は通信コストに応じて変更されるように構成された、請求項5又は6に記載の照明監視システム。
前記センサが、前記検知データを取得する検知部、及び所定時間内に取得された前記検知データに対して所定の演算処理を実行して前記センシングデータを生成する演算処理部を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の照明監視システム。
前記演算処理が、前記所定時間内に取得された前記検知データの最大値、最小値、平均値又は中央値を前記センシングデータとして演算するものである、請求項8に記載の照明監視システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、センサで得られたセンシングデータを子機及び親機を介してクラウドに転送するような照明監視システムでは、センサからクラウドへのセンシングデータの送信に関するデータ信頼性及び通信コストが問題となる。親機と子機の間ではサブギガ帯(例えば920MHz帯)などの特定小電力無線通信が利用され、親機とクラウドの間では3G、4Gなどの無線通信が利用され得る。サブギガ帯での無線通信は、他の2.4GHz帯などの無線通信と比較して到達距離が長く、回折性が高く、電波干渉を受けにくいという利点がある。そのため、近年ではLoRa、SIGFOXなどといった上記サブギガ帯によるセンシング技術が普及している。一方、サブギガ帯の無線通信には、電波法による無線通信制限(例えば10%、すなわち1時間あたり6分)などの制約がある。また、他の無線通信と比較して通信速度が遅く、データ転送量が小さいという制約がある。このような親機と子機の間の無線通信での制約に起因して、センシングデータの送信に間隔が生じ、センシングデータの欠落が発生し得る。これによって、最終的にクラウドで得られるセンシングデータの信頼性が低下するという問題があった。また、子機に多数のセンサが接続される場合には、子機から親機へのデータ通信量が増大し、通信速度が低下するだけでなく、通信コストも増加するという問題もあった。またさらに、親機からクラウドへの頻繁なセンシングデータの転送によって、通信コストの増加、データロスの可能性の増加などが問題となる場合もあった。
【0005】
そこで、本発明は、無線通信を利用してセンシングデータをクラウド上で管理する照明監視システムにおいて、データ信頼性の向上及び通信コストの抑制を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の形態の照明監視システムは、クラウドサーバと無線通信可能な親機と、親機と無線通信可能な少なくとも1つの子機と、子機の各々に接続された少なくとも1つのセンサとを備える。センサは検知データに基づいてセンシングデータを生成するように構成され、子機はセンサからのセンシングデータを親機に無線送信するように構成され、親機は子機から受信したセンシングデータをクラウドサーバに無線送信するように構成される。子機又はセンサはセンシングデータをフィルタリングするフィルタ部を有し、フィルタ部は、クラウドサーバから親機又は親機及び子機を介して受信された設定変更命令に応じて、フィルタリングの設定を変更するように構成される。
【0007】
上記照明監視システムによると、子機又はセンサのフィルタ部が、クラウドサーバからの設定変更命令に応じてセンシングデータのフィルタリングの設定を変更し、子機がそのフィルタリングによって得られたセンシングデータを親機に無線送信する。これにより、子機から親機に無線送信されるセンシングデータの内容又はデータ量が無線通信の制約に適した態様で最適化されてセンシングデータの欠落が抑制され、クラウドサーバで最終的に得られるセンシングデータのデータ信頼性が向上する。また、子機から親機に無線送信されるセンシングデータの通信量又は通信コストの調整又は軽減が可能となる。したがって、無線通信を利用してセンシングデータをクラウド上で管理する照明監視システムにおいて、データ信頼性の向上及び通信コストの抑制が可能となる。
【0008】
本開示の第2の形態の照明監視システムは、クラウドサーバと無線通信可能な親機と、親機と無線通信可能な少なくとも1つの子機と、子機の各々に接続された少なくとも1つのセンサとを備える。センサは検知データに基づいてセンシングデータを生成するように構成され、子機はセンサからのセンシングデータを親機に無線送信するように構成され、親機は子機から受信されたセンシングデータをクラウドサーバに無線送信するように構成される。親機はセンシングデータをフィルタリングするフィルタ部を有し、フィルタ部は、クラウドサーバから受信された設定変更命令に応じて、フィルタリングの設定を変更するように構成される。
【0009】
上記照明監視システムによると、親機のフィルタ部がクラウドサーバからの設定変更命令に応じてセンシングデータのフィルタリングの設定を変更し、変更されたフィルタリングに従ってセンシングデータがクラウドサーバに無線送信される。これにより、親機からクラウドサーバに送信されるセンシングデータの内容又はデータ量が最適化され、無用なデータロスの可能性が減少し、クラウドサーバで得られるセンシングデータのデータ信頼性が向上する。また、親機からクラウドサーバに送信されるセンシングデータの通信量又は通信コストの調整又は軽減が可能となる。したがって、無線通信を利用してセンシングデータをクラウド上で管理する照明監視システムにおいて、データ信頼性の向上及び通信コストの抑制が可能となる。
【0010】
上記第1及び第2の形態の照明監視システムにおいて、フィルタリングの設定は、設定変更命令によって示されるセンシングデータの用途又はセンシングデータの通信量若しくは通信コストに応じて変更されるように構成される。これにより、センシングデータの通信状態が柔軟かつ最適な態様で調整可能となる。
【0011】
また、上記第1及び第2の形態の照明監視システムにおいて、親機は、子機から受信されたセンシングデータを記憶するメモリ、及びメモリに記憶されたセンシングデータを所定の送信間隔でクラウドサーバに無線送信させる通信制御部をさらに含む。これにより、センシングデータが親機からクラウドサーバに逐次送信される構成と比べて、その通信回数が低減され、データロスの可能性がさらに減少する。
【0012】
本開示の第3の形態の照明監視システムは、クラウドサーバと無線通信可能な親機と、親機と無線通信可能な少なくとも1つの子機と、子機の各々に接続された少なくとも1つのセンサとを備える。センサは検知データに基づいてセンシングデータを生成するように構成され、子機はセンサからのセンシングデータを親機に無線送信するように構成される。親機は、子機から受信されたセンシングデータを記憶するメモリ、メモリに記憶されたセンシングデータを所定の送信タイミングでクラウドサーバに無線送信させる通信制御部、及びクラウドサーバから受信された設定変更命令に応じて送信タイミングの設定を調整する送信調整部を含む。
【0013】
上記照明監視システムによると、親機の通信制御部が、メモリに記憶されたセンシングデータを所定の送信タイミングでクラウドサーバに無線送信させ、送信調整部が、クラウドサーバから受信された設定変更命令に応じて送信タイミングの設定を調整する。これにより、親機からクラウドサーバに送信されるセンシングデータの通信回数を通信状況に応じて減少させることができる。したがって、無線通信を利用してセンシングデータをクラウド上で管理する照明監視システムにおいて、データ信頼性の向上及び通信コストの抑制が可能となる。
【0014】
ここで、上記第3の形態の照明監視システムにおいて、送信タイミングの設定の調整によってセンシングデータの送信間隔が変更されるように構成されることが好ましい。これにより、簡素な制御構成でデータ信頼性の向上及び通信コストの抑制が可能となる。
【0015】
また、上記第3の形態の照明監視システムにおいて、所定の送信タイミングの設定は、設定変更命令によって示されるセンシングデータの通信量又は通信コストに応じて変更されるように構成される。これにより、れにより、センシングデータの通信状態が柔軟かつ最適な態様で調整可能となる。
【0016】
上記第1から第3の形態の照明監視システムにおいて、センサは、検知データを取得する検知部、及び所定時間内に取得された検知データに対して所定の演算処理を実行してセンシングデータを生成する演算処理部を有する。例えば、演算処理は、所定時間内に取得された検知データの最大値、最小値、平均値又は中央値をセンシングデータとして演算するものである。これにより、各センサから子機に出力されるセンシングデータが形式又は量において適正化され、子機のデータ処理負担が軽減されるとともに子機の標準化が容易となる。
【0017】
また、第1から第3の形態の照明監視システムにおいて、親機と子機とが特定小電力無線によって通信接続され得る。本発明の照明監視システムは、データ通信に関して制約があるような無線通信においても好適に作用する。
【0018】
また、上記第1から第3の形態のいずれかの照明監視システムは、上記クラウドサーバをさらに備え得る。また、照明制御システムは、上記設定変更命令をクラウドサーバに送信可能に構成された端末機をさらに備え得る。このように、本開示の照明制御システムは、親機、少なくとも1つの子機及び少なくとも1つのセンサを最小構成単位として、クラウドサーバ、又はクラウドサーバ及び端末機を包含し得る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
図1に、本実施形態による照明監視システム1のブロック図を示す。照明監視システム1は、親機2、子機3−1〜3−m、各子機(
図1では子機3−1)に接続されたセンサ4−1〜4−n、クラウドサーバ5及び端末機6を備える。また、必要に応じて、制御装置7が親機2に接続されてもよい。以降の説明において、子機3−1〜3−mを総称して又はいずれか1つを代表して子機3といい、センサ4−1〜4−nを総称して又はいずれか1つを代表してセンサ4というものとする。各子機3は同様の構成を有するが、それぞれの子機3に接続されるセンサ4の個数及び種類は同じであってもよいし、異なっていてもよい。各子機3は、例えば、不図示の照明器具又は照明器具群に対応して配置される。各センサ4は、検知対象の相違を除いて実質的に同様の構成を有し、対応する子機3が配置された照明器具に対して設置される。クラウドサーバ5は、インターネットなどのクラウドC上に存在する。なお、本実施形態では1つの親機2がクラウドサーバ5に対応付けられているが、複数の親機2がクラウドサーバ5に対応付けられていてもよい。
【0021】
概略として、通常動作において、センサ4が検知データ(例えば、照明器具に関する測定データ)に基づいてセンシングデータを生成し、子機3がセンシングデータを親機2に送信し、親機2がセンシングデータを所定の送信間隔でクラウドサーバ5に送信するように構成される。そして、端末機6は、クラウドサーバ5にアクセスして、クラウドC上でセンシングデータを監視することができる。親機2と各子機3とは無線接続され、子機3とセンサ4とは同一基板に一体化されていてもよいし、別基板上に構成されて有線接続又は無線接続されてもよい。親機2と子機3の間の無線接続は、本実施形態では、サブギガ帯(例えば920MHz帯)などを利用する特定小電力無線であるが、Wi−SUN、ZigBee(登録商標)、BLEなどの通信規格に準拠した他の無線通信によるものであってもよい。親機2とクラウドサーバ5とは、例えば、3G、4G(LTE)などによって無線接続され、親機2と制御装置7とはLANなどで有線接続される。クラウドサーバ5と端末機6とは、任意の通信方式を介して有線接続又は無線接続される。
【0022】
親機2は、無線通信部20、CPU21、メモリ22及び送受信部23を備える。これらの各部は、バスを介して相互に信号及びデータのやり取りが可能な態様で接続される。無線通信部20は、各子機3(無線通信部30)と無線通信を行う無線モジュールである。CPU21は、通信制御部24を含む。CPU21は、通信制御部24の機能とともに、特に明記しない親機CPUとしての一般的な機能(子機3への照明制御信号の生成など)も実行可能であるものとする。メモリ22は、プログラム及びデータを記憶するRAM、ROMなどの記憶部であり、本実施形態を実行するためのプログラムがすでに書き込まれているものとする。CPU21及びメモリ22は、1つのマイクロコンピュータに含まれ得る。送受信部23は、クラウドサーバ5(送受信機50)と無線通信可能な通信手段であり、必要に応じて制御装置7(送受信部70)との有線通信機能も有する。
【0023】
通信制御部24は、子機3から無線通信部20を介して受信されたセンシングデータの、クラウドサーバ5への送信を制御する。通信制御部24は、センシングデータをメモリ22に記憶させ、記憶されたセンシングデータを所定の送信タイミングで送受信部23からクラウドサーバ5に送信させる。このように、メモリ22は、バッファとして機能する。すなわち、通信制御部24は、子機3から受信したセンシングデータを逐次クラウドサーバ5に送信するのではなく、このバッファに蓄積されたセンシングデータをまとめてクラウドサーバ5に転送するように構成される。これにより、センシングデータが親機2からクラウドサーバ5に逐次送信される構成と比べて、その通信回数が低減され、データロスの可能性が減少する。
【0024】
上記の所定の送信タイミングは、固定の周期によって規定されてもよいし(すなわち、送信間隔が一定となるように設定されてもよいし)、メモリ22に蓄積されたセンシングデータが所定量に達した時点として規定されてもよい(すなわち、1回のデータ通信量が一定となるように設定されてもよい)。また、通信制御部24は、クラウドサーバ5から送受信部23を介して受信された設定変更命令を無線通信部20から子機3に送信させる。この設定変更命令については後述する。
【0025】
子機3は、無線通信部30、CPU31、メモリ32及び入出力インターフェース(I/F)33を備える。これらの各部は、バスを介して相互に信号及びデータのやり取りが可能な態様で接続される。無線通信部30は、親機2(無線通信部20)と無線通信を行う無線モジュールである。CPU31は、通信制御部34及びフィルタ部35を含む。CPU31は、通信制御部34及びフィルタ部35の機能とともに、これらの統括制御など、特に明記しない子機CPUとしての一般的な機能(不図示の照明器具の照明制御など)も実行可能であるものとする。メモリ32は、プログラム及びデータを記憶するRAM、ROMなどの記憶部であり、本実施形態を実行するためのプログラムがすでに書き込まれているものとする。CPU31及びメモリ32は1つのマイクロコンピュータに含まれ得る。入出力I/F33は、センサ4(入出力I/F43)からのデータの入力及びセンサ4(入出力I/F43)への命令の出力のためのインターフェースである。
【0026】
通信制御部34は、センサ4から入出力I/F33を介して入力されたセンシングデータを、子機3−親機2間の無線通信の通信制限に従って無線通信部30から親機2に送信させる。例えば、通信時間に制限がある場合には、入力されたセンシングデータを一旦メモリ32に記憶させ、所定の時間に無線通信部30を動作させる。また、親機2から無線通信部30を介して受信された設定変更命令を入出力I/F33からセンサ4に出力させることができる。この設定変更命令については後述する。
【0027】
フィルタ部35は、センサ4から入出力I/F33を介して入力されたセンシングデータを所定期間についてフィルタリングする。このフィルタリングによって、子機3から親機2に(及びその結果として親機2からクラウドサーバ5に)送信されるセンシングデータのデータ量が減少する。
【0028】
フィルタリングは、例えば、センサ4−1〜4−nから収集されたセンシングデータのうちの所定のセンサ4からのセンシングデータを選択するための処理(以下、「センサ選択処理」という)であってもよい。例えば、センサ4−1〜4−nが異種又は同種の物理量を検知するセンサである場合に、センサ4−1〜4−nのうちの優先度の高い一部のセンサ4からのセンシングデータが選択され、フィルタリング後のセンシングデータとして親機2に送信されるようにしてもよい。例えば、フィルタリングにおいて、温度に関するセンシングデータの優先度が高い場合には、子機3−1〜3−mの各々に接続された温度センサからのセンシングデータが優先的に(又は温度センサからのセンシングデータのみが)親機2に送信される。
【0029】
また、フィルタリングは、センサ4−1〜4−nから収集された同種のセンシングデータから有意なセンシングデータを抽出又は演算するための処理(以下、「集計処理」という)であってもよい。例えば、センサ4−1〜4−nが同種の物理量を検知するセンサである場合に、各センサ4から収集されたn個のセンシングデータの平均値、最大値、最小値、中央値などが抽出又は演算され、フィルタリング後のセンシングデータとして親機2に送信される。なお、本開示において、平均値とは、算術平均値、移動平均値、トリム平均値などの種々の平均値を含み得るものとする。
【0030】
また、フィルタリングは、センサ4−1〜4−nの各々からのセンシングデータのうちの所定の演算結果の選択するための処理(以下、「演算選択処理」という)であってもよい。例えば、各センサ4からの各センシングデータが所定期間の平均値、最大値、最小値などを含む場合に、これらの演算値の一部がフィルタリング後のセンシングデータとして親機2に送信されるようにしてもよい。例えば、平均値、最大値及び最小値からなる演算結果のうちの最大値が選択される場合には、センサ4−1における最大値、センサ4−2における最大値、・・・、センサ4−nにおける最大値が、フィルタリング後のセンシングデータとして親機2に送信される。
【0031】
また、フィルタリングは、センサ4−1〜4−nの各々からのセンシングデータの各演算値について、さらに所定サンプリング期間における平均値、最大値、最小値、中央値などを二次的に再演算する処理(以下、「二次演算処理」という)であってもよい。例えば、センサ4−1から1秒間隔で入力されるセンシングデータについて1分間における(すなわち60個のセンシングデータにおける)平均値、最大値、最小値、中央値などが二次的に再演算されて、この再演算結果がフィルタリング後のセンシングデータとして親機2に送信される。
【0032】
あるいは、フィルタリングは、センサ4−1〜4−nの各々から逐次入力されるセンシングデータを所定の割合で除去する処理(以下、「間引き処理」という)であってもよい。例えば、センサ4−1から逐次入力されるセンシングデータが、所定の周期で採用又は除去される。なお、上記のフィルタリング処理は例示であり、他の多数の態様のフィルタリング処理が可能である。また、フィルタリングとして、上記のセンサ選択処理、集計処理、演算選択処理、二次演算処理又は間引き処理の2つ以上が適宜組み合わせられてもよい。
【0033】
設定変更命令は、上述のフィルタリング(センサ選択処理、集計処理、演算選択処理、二次演算処理、間引き処理など)の設定を変更させる命令である。フィルタ部35は、クラウドサーバ5から受信される設定変更命令に応じてフィルタリングの設定を変更する。この設定の変更は、上記フィルタリング間の切換であってもよいし、同じフィルタリング処理におけるフィルタリングレベル(絞り込みの度合い)の変更であってもよいし、フィルタリングの有効化/無効化の切換であってもよい。例えば、設定変更命令が、センシングデータの用途の変更に関するものであれば、設定変更命令によって上記のセンサ選択処理の適用又は変更が実行され得る。また、設定変更命令が、通信量又は通信コストに関するものであれば、上記処理のいずれかの適用又は変更が実行され得る。
【0034】
センサ4は、検知部40、CPU41、メモリ42、入出力インターフェース(I/F)43を備える。これらの各部は、バスを介して相互に信号及びデータのやり取りが可能な態様で接続される。CPU41は、演算処理部44及びフィルタ部45を含む。CPU41は、演算処理部44及びフィルタ部45の機能とともに、それらの統括制御など、特に明記しないセンサCPUとしての一般的な機能も実行可能であるものとする。メモリ42は、プログラム及びデータを記憶するRAM、ROMなどの記憶部であり、本実施形態を実行するためのプログラムがすでに書き込まれているものとする。CPU41及びメモリ42は1つのマイクロコンピュータに含まれ得る。入出力I/F43は、子機3(入出力I/F33)からの命令の入力及び子機3(入出力I/F33)へのデータの出力のためのインターフェースである。
【0035】
検知部40は、種々の検知データを取得するセンサ素子を含み得る。検知データは、照明器具内の温度又は湿度(温湿度センサ)、照明器具のポールの傾き(傾きセンサ)、照明器具の振動(加速度センサ)、照明器具からの照射による照度又は輝度(照度センサ)、照明器具周辺の日照による明るさである環境照度(照度センサ)、人体の在/不在(人感センサ)などを含み得る。なお、種々の検知データとは、上記のように照明器具の動作又は状態、照明器具周辺の状態だけでなく、不図示の通信手段(例えばBLEによる通信)などによって取得可能な情報(例えば、気象に関する情報など)も含み得る。検知部40は、各センサ素子によって検知される物理量を電気信号に変換し、その電気信号に基づいて検知データを生成する。
【0036】
演算処理部44は、検知部40によって取得された検知データの、所定期間内における平均値、最大値、最小値、中央値などを演算することができる。この所定期間は、検知部40のセンサ素子に応じて適宜定められる。例えば、照明器具内の温度又は湿度(温湿度センサ)、照明器具のポールの傾き(傾きセンサ)、照明器具周辺の日照などの環境照度(照度センサ)などのように変化が比較的遅い測定対象については、上記所定期間は相対的に長く設定され得る。一方、照明器具からの照射による照度又は輝度(照度センサ)、人体の在/不在(人感センサ)などのように変化が比較的速い測定対象については、上記所定期間は相対的に短く設定され得る。
【0037】
このように、各センサ4は、検知データを取得する検知部40、及び所定時間内に取得された検知データに対して所定の演算処理を実行してセンシングデータを生成する演算処理部44を有する。そして、演算処理によって、所定時間内に取得された検知データの最大値、最小値、平均値又は中央値がセンシングデータとして演算される。これにより、各センサ4から子機3に出力されるセンシングデータが形式又は量において適正化され、子機3のデータ処理負担が軽減されるとともに子機3の標準化が容易となる。
【0038】
フィルタ部45は、センシングデータのフィルタリングを行う。このフィルタリングによって、子機3から親機2に送信されるセンシングデータのデータ量(結果として親機2からクラウドサーバ5に送信されるセンシングデータのデータ量)が減少する。なお、フィルタ部45によるフィルタリングは、演算処理部44による検知データに対する演算後に実行されてもよいし、その演算とともに実行されてもよい。
【0039】
フィルタリングは、例えば、演算処理部44によって演算されるセンシングデータのうちの所定の演算結果を選択するための演算選択処理であってもよい。例えば、センシングデータが所定期間の平均値、最大値、最小値などを含む場合に、これらの演算値の一部(例えば、最大値のみ)がフィルタリング後のセンシングデータとして子機3に出力されるようにしてもよい。
【0040】
また、フィルタリングは、演算処理部44によって演算されるセンシングデータを所定の割合で除去する間引き処理であってもよい。例えば、演算処理部44によって演算されるセンシングデータが、所定の周期で採用又は除去される。あるいは、フィルタリングは、検知データのサンプリング期間を長くする処理(以下、「サンプリング増加処理」という)であってもよい。なお、上記のフィルタリング処理は例示であり、他の多数の態様のフィルタリング処理が可能である。また、フィルタリングとして、上記の演算選択処理、間引き処理又はサンプリング増加処理の2つ以上が適宜組み合わせられてもよい。
【0041】
設定変更命令は、上述のフィルタリング(演算選択処理、間引き処理、サンプリング増加処理など)の設定を変更させる命令となる。フィルタ部45は、クラウドサーバ5から子機3を介して受信される設定変更命令に応じてフィルタリングの設定を変更する。この設定の変更は、上記フィルタリング処理間の切換であってもよいし、同じフィルタリング処理におけるフィルタリングレベル(絞り込みの度合い)の変更であってもよいし、フィルタリングの有効化/無効化の切換であってもよい。例えば、設定変更命令がセンシングデータの用途の変更に関するものであれば、各センサ4のフィルタリングの有効化/無効化の切換が実行され得る。また、設定変更命令が、通信量又は通信コストに関するものであれば、上記処理のいずれかの適用又は変更が実行され得る。
【0042】
このように、フィルタ部35又は45におけるフィルタリングの設定が、設定変更命令によって示されるセンシングデータの用途又はセンシングデータの通信量若しくは通信コストに応じて変更されるように構成される。これにより、センシングデータの通信状態が柔軟かつ最適な態様で調整可能となる。
【0043】
なお、本実施形態では、子機3のフィルタ部35及びセンサ4のフィルタ部45の双方が適用される構成を示すが、フィルタ部35及びフィルタ部45のいずれか一方が採用されてもよい。
【0044】
クラウドサーバ5は、送受信機50、記憶部51、データ解析部52及び判定部53を備える。送受信機50は、一般的な通信装置であればよく、親機2(送受信部23)と無線通信が可能であり、端末機6(送受信部60)と無線通信又は有線通信可能であればよい。
【0045】
記憶部51は、親機2から送受信機50を介して受信されたセンシングデータを蓄積する。記憶部51は、大量のセンシングデータをビックデータとして蓄積することもできる。データ解析部52は、記憶部51に蓄積されたセンシングデータの個数処理など、統計的処理を行うことができる。判定部53は、データ解析部52の解析結果に基づいて、センシングデータが正常値であるのか異常値であるのか、すなわち、解析対象のセンシングデータに関係する照明器具が正常な状態にあるのか異常な状態にあるのかを判定する。そして、判定部53は、判定結果を送受信機50から端末機6に送信させる。判定結果は、判定対象の親機2、子機3又はセンサ4の識別、子機3又はセンサ4に対応する照明器具の状態の正常/異常の別、異常である場合には異常のレベルなどを含み得る。なお、クラウドサーバ5は、複数組の記憶部51、データ解析部52及び判定部53を含み得る。
【0046】
端末機6は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどであり、送受信部60、CPU61、メモリ62及び入出力インターフェース(I/F)63を備える。送受信部60は、クラウドサーバ5(送受信機50)と通信可能な一般的な通信手段であればよい。CPU61及びメモリ62は、一般的なコンピュータを構成するプロセッサ及びメモリであればよい。入出力I/F63は、端末機6がパーソナルコンピュータである場合にはキーボード、マウス、表示画面などで構成され、端末機6がタブレット、スマートフォンなどである場合にはタッチパネルからなる表示画面である。表示画面には、上記の判定結果が図表などによって表示される。端末機6は、クラウドサーバ5上で判定結果を閲覧するように構成されてもよいし、クラウドサーバ5から判定結果の通知(異常連絡のメールなど)を受信するように構成されてもよい。また、CPU61は、入出力I/F63を介してユーザ入力された上述の設定変更命令を送受信部60からクラウドサーバ5(送受信機50)に送信させることができる。
【0047】
制御装置7は、例えば、岩崎電気株式会社製のITACSであり、送受信部70、処理部71、記憶部72及びユーザインターフェース(I/F)73を備える。処理部71は、制御装置7の全体を統括制御するプロセッサなどである。記憶部72は、プログラム及びデータを記憶する。記憶部72に記憶されるデータとして、親機2、子機3及びセンサ4の紐付けの設定などがあり、この設定は親機2のメモリ22にも記憶され得る。ユーザI/F73は、タッチパネルでの情報の入出力を可能とするグラフィカルユーザインターフェース(GUI)などである。本開示では詳細を記載しないが、制御装置7は、照明制御指令を親機2に出力し、親機2及び子機3の照明制御用の処理部(不図示)を介して、子機3に接続され得る照明器具(不図示)の照明制御(点灯、調光、消灯など)を実行するように構成され得る。さらに、ユーザI/F73からの入力に応じて、処理部71が、記憶部72に記憶されている親機2、子機3及びセンサ4の紐付けの設定を変更できるようにしてもよい。また、処理部71は、親機2から送受信部70を介してセンシングデータを受信し、そのセンシングデータをユーザI/F73に表示させたり記憶部72に保存したりできるように構成されてもよい。ただし、クラウドサーバ5が任意の多数の親機2からのセンシングデータを受信することができるのに対し、制御装置7は接続された親機2のみからセンシングデータを受信する。
【0048】
ここで、上記構成に基づいて照明監視システム1の動作について説明する。
通常動作では、センサ4において、検知部40が検知データを取得し、演算処理部44が検知データに所定の演算を行ってセンシングデータを生成し、CPU41がセンシングデータを子機3に出力する。子機3において、通信制御部34が、センサ4−1〜4−nから収集されたセンシングデータを無線通信部30から親機2の無線通信部20に送信させる。親機2において、通信制御部24は、子機3−1〜3−mから収集されたセンシングデータをメモリ22に蓄積し、蓄積されたセンシングデータを所定のタイミングで送受信部23からクラウドサーバ5の送受信機50に送信させる。クラウドサーバ5において、記憶部51がセンシングデータを蓄積し、データ解析部52がその蓄積センシングデータを解析し、判定部53が解析結果、すなわち、センシングデータに対応する照明器具の正常/異常の別などを判定する。異常が判別されると、その旨がクラウドサーバ5から登録メールアドレスに通知される。
【0049】
一方、設定変更動作において、端末機6は、設定変更命令をクラウドサーバ5に送信することができる。クラウドサーバ5は、送受信機50によって設定変更命令を親機2の送受信部23に送信する。親機2において、通信制御部24は、受信された設定変更命令を無線通信部20から子機3の無線通信部30に送信させる。ここで、設定変更命令は、子機3−1〜3−mのいずれかを送信先として指定したものであってもよいし、子機3−1〜3−mのすべてを送信先として指定したものであってもよい。いずれの場合であっても、通信制御部24は、該当する送信先となる子機3に対して設定変更命令を無線通信部20から送信させる。なお、設定変更命令は、端末機6から起動されるだけでなく、事前に設定された時刻、照明器具の使用予定、その他のトリガ条件などに応じてクラウドサーバ5から自動的に起動されるようにしてもよい。
【0050】
設定変更命令を受信した子機3において、フィルタ部35は、以降に各センサ4から受信されるセンシングデータに対して上述のフィルタリングの設定を変更する。すなわち、この設定変更により、以降に子機3から親機2に送信されるセンシングデータの内容又はデータ量が変更される。
【0051】
また、設定変更命令を受信した子機3において、通信制御部34は、受信された設定変更命令をセンサ4に出力する。ここで、設定変更命令は、センサ4−1〜4−nのいずれかを出力先として指定したものであってもよいし、センサ4−1〜4−nのすべてを出力先として指定したものであってもよい。いずれの場合であっても、通信制御部34は、該当する出力先となるセンサ4に対して設定変更命令を出力する。
【0052】
設定変更命令が入力されたセンサ4において、フィルタ部45は、演算処理部44によって以降に演算されるセンシングデータについて、上記フィルタリングの設定を変更する。すなわち、この設定変更により、以降にセンサ4から子機3に出力されるセンシングデータの内容又はデータ量が変更される。
【0053】
なお、上記動作においては、子機3のフィルタ部35及びセンサ4のフィルタ部45の双方でフィルタリングの設定が変更され得る構成を示したが、子機3のフィルタ部35及びセンサ4のフィルタ部45のいずれか一方でフィルタリングの設定が変更されてもよい。この場合、設定変更命令は、フィルタ部35でのフィルタリング及びフィルタ部45でのフィルタリングのいずれを変更するかの識別を含むことができる。当然に、フィルタ部45でのフィルタリングの変更が不要な場合には、設定変更命令はセンサ4には出力されなくてもよい。
【0054】
以上のように、本実施形態の照明監視システム1は、クラウドサーバ5と無線通信可能な親機2と、親機2と無線通信可能な少なくとも1つの子機3と、子機3の各々に接続された少なくとも1つのセンサ4とを備える。センサ4は検知データに基づいてセンシングデータを生成するように構成され、子機3はセンサ4からのセンシングデータを親機2に無線送信するように構成され、親機2は子機3から受信されたセンシングデータを所定の送信タイミングでクラウドサーバ5に無線送信するように構成される。そして、子機3又はセンサ4はセンシングデータをフィルタリングするフィルタ部35又は45を有し、フィルタ部35又は45は、クラウドサーバ5から親機2又は親機2及び子機3を介して受信された設定変更命令に応じてフィルタリングの設定を変更するように構成される。
【0055】
このように、子機3又はセンサ4のフィルタ部35又は45が、クラウドサーバ5からの設定変更命令に応じてセンシングデータのフィルタリングの設定を変更し、子機3が、そのフィルタリングによって得られたセンシングデータを親機2に無線送信する。これにより、子機3から親機2に無線送信されるセンシングデータの内容又はデータ量が無線通信の制約に適した態様で最適化されてセンシングデータの欠落が抑制され、クラウドサーバ5で最終的に得られるセンシングデータのデータ信頼性が向上する。また、子機3から親機2に無線送信されるセンシングデータの通信量の調整又は軽減が可能となる。したがって、無線通信を利用してセンシングデータをクラウドC上で管理する照明監視システム1において、データ信頼性の向上及び通信コストの抑制が可能となる。
【0056】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、子機3又はセンサ4においてフィルタリングが変更されて親機2と子機3の間の無線通信が最適化される構成を示した。一方、本実施形態では、親機2においてフィルタリングが変更されて親機2とクラウドサーバ5の間の無線通信が最適化される構成を示す。
【0057】
図2に、本実施形態の照明監視システム1のブロック図を示す。本実施形態において、第1の実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。本実施形態は、親機2がフィルタ部25を含む点で、第1の実施形態とは異なる。
【0058】
親機2のCPU21は、通信制御部24及びフィルタ部25を備える。フィルタ部25は、子機3から無線通信部20を介して受信されたセンシングデータを所定期間についてフィルタリングする。クラウドサーバ5から設定変更命令が受信された場合に、センシングデータをフィルタリングする。このフィルタリングによって、親機2からクラウドサーバ5に送信されるセンシングデータのデータ量が減少する。
【0059】
フィルタリングは、例えば、複数の子機3−1〜3−mから収集されたセンシングデータのうちの所定の子機3からのセンシングデータを選択するための処理(以下、「子機選択処理」という)であってもよい。例えば、子機3−1〜3−mのうちの優先度の高い一部の子機3からのセンシングデータが選択され、フィルタリング後のセンシングデータとしてクラウドサーバ5に送信されるようにしてもよい。また、このような子機選択のフィルタリングは、第1の実施形態において、設定変更命令によって、選択対象の子機3のフィルタ部35におけるフィルタリングを有効化し、残余の子機3のフィルタ部35のフィルタリングを無効化することによっても実現可能である。
【0060】
また、フィルタリングは、例えば、複数の子機3−1〜3−mに接続されたそれぞれのセンサ4から収集されたセンシングデータのうちの所定のセンサ4からのセンシングデータを選択するためのセンサ選択処理であってもよい。例えば、異種又は同種の物理量を検知するセンサ4のうちの優先度の高い一部のセンサ4からのセンシングデータが選択され、フィルタリング後のセンシングデータとしてクラウドサーバ5に送信されるようにしてもよい。例えば、フィルタリングにおいて、人体の在/不在に関するセンシングデータの優先度が高い場合には、子機3−1〜3−mの各々に接続された人感センサからのセンシングデータが優先的に(又は人感センサからのセンシングデータのみが)クラウドサーバ5に送信されることになる。
【0061】
また、フィルタリングは、子機3−1〜3−mの各々からのセンシングデータの各演算値について、さらに所定サンプリング期間における平均値、最大値、最小値、中央値などを二次的に再演算する二次演算処理であってもよい。例えば、子機3−1から1分間隔で入力されるセンシングデータについて10分間における(すなわち10個のセンシングデータにおける)平均値、最大値、最小値、中央値などが二次的に再演算されて、この再演算結果がフィルタリング後のセンシングデータとしてクラウドサーバ5に送信される。
【0062】
あるいは、フィルタリングは、子機3−1〜3−mの各々から逐次入力されるセンシングデータを所定の割合で除去する間引き処理であってもよい。例えば、子機3−1から逐次入力されるセンシングデータが、所定の周期で採用又は除去される。なお、上記のフィルタリング処理は例示であり、他の多数の態様のフィルタリング処理が可能である。また、フィルタリングとして、上記の子機選択処理、センサ選択処理、二次演算処理又は間引き処理の2つ以上が適宜組み合わせられてもよい。
【0063】
設定変更命令は、上述のフィルタリング(子機選択処理、センサ選択処理、二次演算処理又は間引き処理など)の設定を変更させる命令となる。フィルタ部25は、クラウドサーバ5から受信される設定変更命令に応じてフィルタリングの設定を変更する。この設定の変更は、上記フィルタリング処理間の切換であってもよいし、同じフィルタリング処理におけるフィルタリングレベル(絞り込みの度合い)の変更であってもよいし、フィルタリングの有効化/無効化の切換であってもよい。例えば、設定変更命令がセンシングデータの用途の変更に関するものであれば、設定変更命令によって上記の子機選択処理又はセンサ選択処理の適用又は変更が実行され得る。また、設定変更命令が、通信量又は通信コストに関するものであれば、上記処理のいずれかの適用又は変更が実行され得る。これにより、親機2からクラウドサーバ5への送信タイミング(送信間隔)が一定に設定される場合には1回あたりのデータ通信量が軽減され、あるいは親機2からクラウドサーバ5へのデータ通信量が一定に設定される場合には送信間隔が長くなり、結果として通信コストが減少する。
【0064】
このように、フィルタ部25におけるフィルタリングの設定が、設定変更命令によって示されるセンシングデータの用途又はセンシングデータの通信量若しくは通信コストに応じて変更されるように構成される。これにより、センシングデータの通信状態が柔軟かつ最適な態様で調整可能となる。
【0065】
通常動作は、第1の実施形態で示した動作と同様である。一方、設定変更動作では、クラウドサーバ5は、端末機6から受信され又はクラウドサーバ5で起動された設定変更命令を親機2に送信する。親機2において、フィルタ部25は、以降に各子機3から受信されるセンシングデータに対して上述のフィルタリングを変更する。すなわち、このフィルタリングにより、以降にクラウドサーバ5に送信するセンシングデータの内容又はデータ量が変更される。
【0066】
以上のように、本実施形態の照明監視システム1は、クラウドサーバ5と無線通信可能な親機2と、親機2と無線通信可能な少なくとも1つの子機3と、子機3の各々に接続された少なくとも1つのセンサ4とを備える。センサ4は検知データに基づいてセンシングデータを生成するように構成され、子機3はセンサ4からのセンシングデータを親機2に無線送信するように構成され、親機2は子機3から受信されたセンシングデータをクラウドサーバ5に無線送信するように構成される。親機2はセンシングデータをフィルタリングするフィルタ部25を有し、フィルタ部25は、クラウドサーバ5から受信された設定変更命令に応じて、フィルタリングの設定を変更するように構成される。
【0067】
このように、親機2のフィルタ部25がクラウドサーバ5からの設定変更命令に応じてセンシングデータのフィルタリングの設定を変更し、変更されたフィルタリングに従ってセンシングデータがクラウドサーバ5に無線送信される。これにより、親機2からクラウドサーバ5に送信されるセンシングデータの内容又はデータ量が最適化され、無用なデータロスの可能性が減少し、クラウドサーバ5で得られるセンシングデータのデータ信頼性が向上する。また、親機2からクラウドサーバ5に送信されるセンシングデータの通信量の調整又は軽減が可能となる。したがって、無線通信を利用してセンシングデータをクラウドC上で管理する照明監視システム1において、データ信頼性の向上及び通信コストの抑制が可能となる。
【0068】
<第3の実施形態>
上記第2の実施形態では、センシングデータのフィルタリングの設定変更によって親機2からクラウドサーバ5への無線通信が最適化される構成を示した。一方、本実施形態では、親機2からクラウドサーバ5への送信タイミングを調整してその無線通信が最適化される構成を示す。
【0069】
図3に、本実施形態の照明監視システム1のブロック図を示す。本実施形態において、第1又は第2の実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。本実施形態は、親機2が送信調整部26を備える点で、第1及び第2の実施形態とは異なる。
【0070】
CPU21は、通信制御部24及び送信調整部26を備える。送信調整部26は、クラウドサーバ5から受信された設定変更命令に応じて、親機2からクラウドサーバ5へのセンシングデータの送信タイミングの設定を調整する。
【0071】
所定の送信タイミングは、メモリ22に記憶されたセンシングデータが設定値に達したことによって規定されてもよいし、固定の送信間隔によって規定されてもよい。そして、送信調整部26は、上記の設定値又は送信間隔を調整することによって所定の送信タイミングの設定を調整することができる。これにより、1回の送信におけるデータ通信量と単位時間当たりのデータ通信量とを柔軟に調整して、適正な通信態様を実現することが可能となる。
【0072】
また、所定の送信タイミング(例えば、送信間隔)は、設定変更命令によって示されるセンシングデータの通信量又は通信コストの要求レベルに応じて変更されるように構成される。これにより、センシングデータの通信の態様が柔軟に調整可能となる。
【0073】
通常動作は、第1及び第2の実施形態で示した動作と同様である。一方、設定変更処理では、クラウドサーバ5は、端末機6から受信された設定変更命令又はクラウドサーバ5で起動された設定変更命令を親機2に送信する。親機2は、この設定変更命令に応じてクラウドサーバ5へのセンシングデータの送信タイミング(例えば、送信間隔)を調整する。例えば、端末機6からクラウドサーバ5へのアクセスが少ない状況など、端末機6が高頻度のデータ更新を必要としていないような状況においては、送信間隔を増加させて送信回数を減少させ、送信に伴うデータロスの可能性を低減するとともに通信コストを軽減することができる。したがって、通信状況に応じて送信間隔を最適化(例えば、最大化)することが可能となる。このように、送信タイミングの設定の調整によってセンシングデータの送信間隔が変更される構成によって、簡素な制御構成で本実施形態の効果を得ることができる。
【0074】
以上のように、本実施形態の照明監視システム1は、クラウドサーバ5と無線通信可能な親機2と、親機2と無線通信可能な少なくとも1つの子機3と、子機3の各々に接続された少なくとも1つのセンサ4を備える。センサ4は検知データに基づいてセンシングデータを生成するように構成され、子機3はセンサ4からのセンシングデータを親機2に無線送信するように構成される。そして、親機2は、子機3から受信されたセンシングデータを記憶するメモリ22、メモリ22に記憶されたセンシングデータを所定の送信タイミングでクラウドサーバ5に無線送信させる通信制御部24、及びクラウドサーバ5から受信された設定変更命令に応じて送信タイミングの設定を調整する送信調整部26を含む。
【0075】
このように、親機2の通信制御部24が、メモリ22に記憶されたセンシングデータを所定の送信タイミングでクラウドサーバ5に無線送信させ、送信調整部26が、クラウドサーバ5から受信された設定変更命令に応じて送信タイミングの設定を調整する。これにより、親機2からクラウドサーバ5に送信されるセンシングデータの通信回数を通信状況に応じて減少させることができる。したがって、無線通信を利用してセンシングデータをクラウドC上で管理する照明監視システム1において、データ信頼性の向上及び通信コストの抑制が可能となる。
【0076】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0077】
(1)実施形態の組合せ
上記第1から第3の実施形態を個別の実施形態として示したが、これらの一部又は全部は適宜組み合わせて適用可能である。例えば、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせて、フィルタ部25、35及び45が併用されてもよいし、フィルタ部25及び35が併用されてもよいし、フィルタ部25及び45が併用されてもよい。また、第1又は第2の実施形態と第3の実施形態とが組み合わされて、フィルタ部25、35又は45と送信調整部26とが併用されてもよい。
【0078】
(2)子機3とセンサ4の機能分担に関する変形
上記第1から第3の実施形態では、子機3とセンサ4の機能を区別して示したが、子機3とセンサ4が一体形成される場合には、これらの機能も一体化されてもよい。すなわち、子機3とセンサ4が1つのCPUを共有する構成が採用されてもよく、この場合、入出力I/F33及び43は不要となる。