特許第6971001号(P6971001)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6971001
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】炭火焼き器
(51)【国際特許分類】
   F24B 1/20 20060101AFI20211111BHJP
   A47J 37/07 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   F24B1/20
   A47J37/07
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2021-110408(P2021-110408)
(22)【出願日】2021年7月1日
【審査請求日】2021年7月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721005441
【氏名又は名称】高橋 健治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健治
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−195383(JP,A)
【文献】 特開平10−019259(JP,A)
【文献】 特開2001−272038(JP,A)
【文献】 特開平11−304153(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0240698(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24B 1/00
F24B 13/00
F24B 15/00
A47J 37/07
A47J 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料材を配置する第一の横型部材を両端が開放された中空の筐体内の下部に備え、前記第一の横型部材の下にあるガスコンロの火力により前記燃料材の火起こしを可能とし、前記第一の横型部材よりも大きい第二の横型部材を前記筐体内の上部に備え、炭火焼きの食材を配置する前記第二の横型部材を斜めにする構造であることを特徴とする炭火焼き器。
【請求項2】
燃料材を両端が開放された中空の筐体の上端側の開口部から受け入れる第一と第二の縦型部材を前記筐体内の両端に備え交互に前記縦型部材を横に倒すことにより前記縦型部材の下にあるガスコンロの火力により前記燃料材の火起こしを可能とし、火起こし後に前記筐体内の両端に戻された前記第一と第二の縦型部材の間に、炭火焼きの食材を配置する第三の縦型部材を備える構造であることを特徴とする炭火焼き器。
【請求項3】
前記第一と第二の縦型部材は、前記第三の縦型部材に沿って上下に移動する構造であることを特徴とする請求項2に記載の炭火焼き器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木炭などの燃料材の火起こし、炭火による炭火焼き調理、そして炭の火消しからなる一連の作業を火起こし後の燃料材を筐体から取り出すことなく可能とする炭火焼き器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に炭火焼き器はバーベキューコンロや古くから日本にある火鉢、七輪、囲炉裏等があり、世界中で昔から炭火焼き器が多く使われている。最近ではコロナ禍の影響によりソロキャンプで炭火焼き器を使う方や2011年3月11日の東日本大震災の影響で防災用具として炭火焼き器を使う方も増えてきている。
【0003】
そして、当該炭火焼き器を使う際には炭焼き調理の前の「火起こし工程」と炭焼き調理後の「火消し工程」を安全にかつ確実に行うことが求められます。
【0004】
そこで、当該「火起こし工程」のために、特開2001-108239号公報(特許文献1)に開示される火起こし器があり、木炭や豆炭などの燃料材に簡単に火をおこすことができる火起こし器として商品化されている。また、特許第3722681号公報(特許文献2)に開示されている炭起こし器もあり、携帯用コンロや固形燃料などを使用して屋外でも簡単に火起こしができる炭起こし器として商品化されている。
【0005】
一方、当該「火消し工程」のためには、特許第5441572号公報(特許文献3)に開示される火消し壷があり、火のついた炭を入れることで火を消し、再利用する火消し壺が商品化されている。
【0006】
更には、当該「火起こし工程」と「火消し工程」の効率化を図るために、実用新案登録第3183248号公報(特許文献4)に開示される火起こし兼用火消し壺があり、火起こしと火消しの双方の用途を有する火起こし兼用火消し壺として商品化されている。
【0007】
また、特許第5735454号公報(特許文献5)に開示される炭おこし器セットがあり、火消し壺及び炭おこし器を所定の形状とし両者を組み合わせた新規な炭おこし器セットとして商品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-108239号公報
【特許文献2】特許第3722681号公報
【特許文献3】特許第5441572号公報
【特許文献4】実用新案登録第3183248号公報
【特許文献5】特許第5735454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記先行技術に記載された商品はあくまでも屋外での炭火焼きを想定したものであり、屋内での炭焼きを想定していない。欧米では屋外での炭火焼きが日々日常的に行われており、都市部のマンション等の高層住宅でもベランダで炭火焼きを楽しむ文化もありそれを許容する文化も欧米にはある。
【0010】
しかし、日本の地方においては自宅敷地内の庭での炭火焼きはある程度許容されるが、都市部では匂い、煙の問題があり炭火焼きを楽しむことはほぼ不可能である。また、日本では昔から七輪、火鉢、囲炉裏が多くの家庭で使われていたが、これら日本の伝統文化に不慣れな現代人にとっては日本の伝統家屋とは異なり気密性の高い現代家屋においてそれらを使いこなすことは難しい。
【0011】
これらを使いこなすための一番目の障壁となるのが、気密性の高い現代家屋において一酸化中毒にならないように換気を行うこと、そして、二番目の障壁が屋外では普通に行われる火起こし工程であり、火起こしした燃料材を七輪や火鉢に移す工程、炭火焼き後に燃料材の火消し工程を部屋で安全に行うのは難しい。昔の日本の伝統家屋のように通気性の良い家屋に設置された囲炉裏があれば、当該火起こし工程から火消し工程までを安全にかつ確実に行うことができるが、囲炉裏もない現代家屋において同じことを実行することはかなり難しい。
【0012】
それでも、部屋で火鉢を使うためにガスコンロの上に市販されている火起こし器を配置して火起こしをすることは可能であるが、木炭等の燃料材が爆ぜて室内に落下することによる火災、更には着火した燃料材を火鉢等へ移動する際に落下して火災になるリスクはある。
【0013】
日本の伝統家屋は通気性が良く換気の問題も解消されており、更には囲炉裏は床を四角く切って開けて灰を敷き詰めてその上で火起こしを行い、炭火焼き料理を楽しみ、更には暖房としても使われていた古き良き日本の伝統文化でもある。気密性の高い現代家屋において少しでも日本の古き良き伝統文化を継承したいものである。また、炭火焼きの炭火はガス火と異なりほとんど水分を含んでいないため食材の表面をパリッと仕上げ、かつ中身をふっくらと柔らかく仕上げることができる。特に、炭火で焼いた魚やステーキ肉は表面がパリッと中身がふっくらとしていてとてもおいしいものであり、これを現代家屋の部屋で実現したいものである。
【0014】
また、現代家屋の部屋での炭火焼きを可能とするには、一酸化炭素中毒を回避するために換気を常に行うことに加えて、いかに炭火焼きの煙を減らすかが更なる課題である。なぜならば、気密性の高い現代家屋では火災報知器が設置されており、炭火焼きの煙が多すぎて火災報知器が作動し炭火焼き料理を楽しむどころではなくなる可能性があるためである。
【0015】
更に、秋刀魚のような細長い食材を屋外で七輪を使って炭火焼きするのも難しいものであり、慣れないと煙だらけになり七輪の直径よりも大きい食材を部分的に炭火焼きしてひっくり返すことでボロボロに崩れてしまう。日本の伝統家屋の囲炉裏があれば、囲炉裏に配置した串焼き五徳(串焼き用に鉄などの金属製の円柱、角柱の形状をした枠の内部に炭を積み上げて使う台)に炭を集めて、その周辺に鮎や秋刀魚のような細長い魚に串を刺して炭火から少し離れたところで炭の遠赤外線を利用して炭火焼きにすることで煙を最小限にすることできる。しかしながら、現代家屋の換気扇の下で更に煙を減らし秋刀魚のような食材の原型を留めた状態で炭火焼きを実現するには作業空間や設備の課題がある。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みて提案されたものであり、部屋の換気扇の下で炭火焼き器に燃料材を配置してから当該燃料材を一度も取り出すことなく火起こし工程、炭火焼き工程、火消し工程の一連の工程を可能とする安全かつ安心な炭火焼き器を提案する。更に、当該炭火焼き器は室内での利用を前提としているため、換気扇の下のガスレンジ或いはIHレンジの上にガスコンロを設置し、その上に当該炭火焼き器を設置して上記一連の工程を可能とし、食材を受け入れた網、籠等の部材からの垂れる油等が炭火に触れないように設計することで、炭火焼きにおける煙を少なくする。そして、更に、炭火焼き器の筐体の両端に配置された縦型部材を上下に移動させることで、当該縦型部材の縦方向の長さよりも長い魚、ステーキ肉等の食材の炭焼きを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る炭火焼き器は、両端が開放された中空の筐体の中に設置された燃料材の火起こし後に、前記筐体の下端側の開口を開閉する下蓋の位置をシフトすることにより前記筐体の下部側面に設けられた開口部と前記下蓋の側面に設けれた開口部から構成される通気口の通気量を調整して前記燃料材の火力を調整する調整部を有し、前記筐体の上端側の開口を開閉する上蓋と前記調整部の調整により前記燃料材の火消しを行う構造であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る炭火焼き器は、前記燃料材を配置する第一の横型部材を前記筐体内の下部に備え、当該第一の横型部材の下にあるガスコンロの火力により前記燃料材の火起こしを可能とし、当該第一の横型部材よりも大きい第二の横型部材を前記筐体内の上部に備え、炭火焼きの食材を配置する当該第二の横型部材を斜めにする構造であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る炭火焼き器は、前記燃料材を前記筐体の上端側の開口部から受け入れる第一と第二の縦型部材を前記筐体内の両端に備え交互に前記縦型部材を横に倒すことにより当該縦型部材の下にあるガスコンロの火力により前記燃料材の火起こしを可能とし、火起こし後に前記筐体内の両端に戻された前記第一と第二の縦型部材の間に、炭火焼きの食材を配置する第三の縦型部材を備える構造であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る炭火焼き器は、前記第一と第二の縦型部材は、前記第三の縦型部材に沿って上下に移動する構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の構成は上記の通り、炭火焼き器に燃料材を配置してから一度も取り出すことなく火起こし工程、炭火焼き工程、火消し工程の一連の工程を可能とする安全かつ安心な炭火焼き器を提案できる。また、当該炭火焼き器は食材を受け入れた網、籠等の部材からの垂れる油等が炭火に触れないように設計することで、炭火焼きにおける煙を少なくすることができる。更に、当該炭火焼き器の筐体の両端に配置された縦型部材を上下に移動させることで、当該縦型部材の縦方向の長さよりも長い魚、ステーキ肉等の食材の炭焼きを可能にし、炭火焼きの煙を最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の六面図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
図2】本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の下端側の開口を開閉する下蓋の六面図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
図3】本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の上端側の開口を開閉する上蓋の六面図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
図4】本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の火起こしプロセスの正面図である。
図5】本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力大)の正面図である。
図6】本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力中)の正面図である。
図7】本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力小)の正面図である。
図8】本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋と上蓋から構成される火消しプロセスの正面図である。
図9】本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の六面図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
図10】本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の下端側の開口を開閉する下蓋の六面図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
図11】本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の上端側の開口を開閉する上蓋の六面図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
図12】本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の火起こしプロセスの正面図である。
図13】本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力大)の正面図である。
図14】本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力中)の正面図である。
図15】本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力小)の正面図である。
図16】本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋と上蓋から構成される火消しプロセスの正面図である。
図17】本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の火起こしプロセスの正面図である。
図18】本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力大)の正面図である。
図19】本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力中)の正面図である。
図20】本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力小)の正面図である。
図21】本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋と上蓋から構成される火消しプロセスの正面図である。
図22】本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の火起こし前の正面図である。
図23】本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の左側火起こしプロセスの正面図である。
図24】本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の右側火起こしプロセスの正面図である。
図25】本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力大)の正面図である。
図26】本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きローテーションプロセス(火力大)の正面図である。
図27】本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きローテーションプロセス(火力中)の正面図である。
図28】本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きローテーションプロセス(火力小)の正面図である。
図29】本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋と上蓋から構成される火消しプロセスの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本発明の第一の実施の形態に係る炭焼き器の筐体は、図1の六面図の(a)正面図、(b)背面図に示すように、当該筐体の下部側面に設けられた開口部(黒く塗りつぶした部分)を有し、これらが火起こし及び炭火焼きプロセスにおける通気口となる。なお、図1の(c)は当該筐体の左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。実際には、部屋の換気扇の下に配置されるガスコンロ或いはIHコンロの上に一時的に配置されるカセットガスコンロの上に図1に示す炭火焼き器の筐体を配置し、当該ガスコンロの火力を使っての火起こしを可能とする。あくまでも換気扇の下で本願発明の炭焼き器の筐体を使って火起こしを行うので、一酸化炭素中毒や木炭等の燃料材の落下等による火災を回避することができる。
【0025】
そして、本発明の第一の実施の形態に係る炭焼き器の筐体の下端側の開口を開閉する下蓋は、図2の六面図の(a)正面図、(b)背面図に示すように、当該下蓋の側面に設けられた開口部(黒く塗りつぶした部分)を有し、図1に示す筐体の下端側を図2に示す下蓋で閉じて当該開口部を合わせることで火起こし後の炭火焼きプロセスにおける通気口を構成する。なお、図2の(c)は当該下蓋の左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。実際には、部屋の換気扇の下に配置されるガスコンロ或いはIHコンロの上の空きスペースに図2に示す下蓋を配置し、その上に図1の炭火焼き器の筐体を配置し結合することで安全にかつ確実に炭火焼きを可能にする。あくまでも換気扇の下で本願発明の炭焼き器の筐体と下蓋を使って炭火焼きを行うので、当該下蓋が着火後の炭の受け皿になり、一酸化炭素中毒や木炭等の燃料材による火災を回避することができる。
【0026】
また、本発明の第一の実施の形態に係る炭焼き器の筐体の上端側の開口を開閉する上蓋は、図3の六面図に示すように、図1の炭火焼き器の筐体の上端側に被せることができる。なお、図3の(a)は、上蓋の正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。実際には、部屋の換気扇の下に配置されるガスコンロ或いはIHコンロの上の空きスペースに図2に示す下蓋を配置し、その上に図1の炭火焼き器の筐体を配置し結合することで安全にかつ確実に炭火焼きを行った後に、当該筐体と下蓋の開口部を左右にシフトして(ずらして)通気口を小さく或いは通気口を無くして(完全に開口部を閉じて)、更に、図3の上蓋を当該筐体に被せて当該筐体の上端側を閉じることで安全かつ確実に木炭等の燃料材の火消しを可能にする。
【0027】
あくまでも換気扇の下で本願発明の炭焼き器の筐体と下蓋と上蓋を使って火消しを行うので、一酸化炭素中毒や木炭等の燃料材の落下等による火災を回避することができる。更に、心配であれば炭火焼き器の周辺に一酸化炭素を検知する一酸化炭素検知器を配置することをお勧めする。
【0028】
図4は、本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の火起こしプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。図4において筐体100の内部の上下に点線で示す部材の内、下の点線が示す部材103が木炭等の燃料材を配置する金属製の網や籠であり、上の点線が示す部材102が魚や肉などの食材を配置する金属製の網や籠である。部屋の換気扇の下に配置されるガスコンロ或いはIHコンロの上に一時的に配置されるカセットガスコンロの上に図1に示す炭火焼き器の筐体を配置し、当該ガスコンロの火力を使っての火起こしを可能とする。図4の正面図に示すように通気口101からの通気によりガスコンロの火力は維持されて炭焼き器の筐体100内の下に配置された部材103に置かれた燃料材の火起こしが可能となる。更に、当該部材103の位置を上下可変にすることでガスコンロの火力を有効に使って火起こしができる。当該上下移動は、一般的に部材103にレバーを付けて筐体100の外側から手動で当該レバーを上下に動かす構造にすることで可能となる。
【0029】
図5は、本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。当該筐体100を下蓋104を被せた状態で正面図から見て左右どちらかに移動(回転)させることで当該筐体の開口部101(黒く塗りつぶした部分)と下蓋の開口部105(黒く塗りつぶした部分)が重なり通気口が最大、すなわち、通気量が最大となり火力が最大となる。
【0030】
図6は、本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力中)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。当該筐体100を下蓋104を被せた状態で正面図から見て左右どちらか(同じ方向)に更に移動(回転)させることで当該筐体の開口部101(黒く塗りつぶした部分)と下蓋104の開口部105(黒く塗りつぶした部分)がほぼ半分重なっているため通気口(黒く塗りつぶした部分)が中程度、すなわち通気量も中程度となり、火力が中程度となる。
【0031】
図7は、本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力小)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。当該筐体100を下蓋104を被せた状態で正面図から見て更に左右どちらか(同じ方向)に移動(回転)させることで当該筐体100の開口部101(黒く塗りつぶした部分)と下蓋104の開口部105(黒く塗りつぶした部分)がほぼ三分の一以下で重なり通気口(黒く塗りつぶした部分)が小程度、すなわち、通気量も小程度となり火力が小程度となる。実際には、下蓋104の上に配置される筐体100に耐熱の取っ手を付けて下蓋104を固定して当該筐体100の左右どちらかにずらして(シフトして)当該通気口を調整することで炭火焼き器の火力を容易に調整(大、中、小)することができる。図4に示す火起こしプロセスから図5から図7に示す炭火焼きプロセスまで一度も着火した木炭等の燃料材を出し入れすることなくシームレスに火起こしから炭火焼きができるので、着火後の燃料材の移動による落下が原因で発生する火災を完全に回避できる。
【0032】
そして、図8は、本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体100と下蓋104と上蓋106から構成される火消しプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。当該筐体100を下蓋104を被せた状態で正面図から見て更に左右どちらか(同じ方向)に更に移動(回転)させることで当該筐体100の開口部101(黒く塗りつぶした部分)と下蓋104の開口部105(黒く塗りつぶした部分)がほぼ重ならなくなり通気口が無くなり通気も無くなり、更に上蓋106を被せることにより筐体100内の燃料材が空気と遮断されるため火消しが可能となる。実際には、換気扇の下で図4から図8に示す全てのプロセスを行うので、一酸化炭素中毒や木炭等の燃料材の落下による火災を回避することができる。つまり、日本の伝統家屋にあった囲炉裏による炭火焼きを、本願発明の炭火焼き器を現代家屋の換気扇の下で使用することで安全かつ確実に再現できる。
【0033】
次に、本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体は、図9の六面図の(a)正面図、(b)背面図に示すように、当該筐体の下部側面に設けられた開口部(黒く塗りつぶした部分)を有し、これらが火起こし及び炭火焼きプロセスにおける通気口となる。なお、図9の(c)は当該筐体の左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
【0034】
そして、本発明の第二の実施の形態に係る炭焼き器の筐体の下端側の開口を開閉する下蓋は、図10の六面図の(a)正面図、(b)背面図に示すように、当該下蓋の側面に設けられた開口部(黒く塗りつぶした部分)を有し、図9に示す筐体の下端側を図10に示す下蓋で閉じて当該開口部を合わせることで火起こし後の炭火焼きプロセスにおける通気口となる。なお、図10の(c)は当該下蓋の左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
【0035】
また、本発明の第二の実施の形態に係る炭焼き器の筐体の上端側の開口を開閉する上蓋は、図11の六面図に示すように、図9の炭火焼き器の筐体の上端側に被せることができる。なお、図11の(a)は、上蓋の正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は平面図、(f)は底面図である。
【0036】
なお、本願発明の第一の実施の形態との違いは、意匠的な好みで円柱ではなく角柱にしている点であり、その使用方法及び効果は第一の実施の形態と同じであるが、製造コストを考えると第一の実施の形態である円柱の方が望ましい。
【0037】
図12は、本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体200の火起こしプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図9から図11に示す図面と同じである。
【0038】
図13は、本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体200と下蓋204から構成される炭火焼きプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図9から図11に示す図面と同じである。図5に示す本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体100と下蓋104から構成される炭火焼きプロセスの使用方法及び効果は同じである。但し、筐体を角柱としたため、当該筐体200の開口部201(黒く塗りつぶした部分)と下蓋204の開口部205(黒く塗りつぶした部分)が重なっているため通気口が最大となり通気量も多く火力が最大となるが、火力の調整方法が本発明の第一の実施の形態に係る炭火焼き器とは大きく異なる。それぞれの開口部201と205が重なるように筐体200に下蓋204を被せることで通気口を最大、すなわち、通気量を最大にして火力を最大にすることができる。
【0039】
本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器は構造上筐体200と下蓋204を左右ではなく上下にずらして(シフトして)通気口を調整し通気口の通気を調整し火力を調整する。当該筐体200と下蓋204を上下にシフトするには、筐体200と下蓋204が上下移動可能な摩擦になるように筐体200と下蓋204のサイズを調整して加工するか、筐体200に厚みを持たせて、ワークを位置決め・固定するための機械要素部品であるプランジャーを埋め込み適切な摩擦で筐体200と下蓋204の上下移動を可能にすることもできる。当該プランジャーの本体にスプリングを内蔵し、先端のボールまたはピンは荷重を与えると本体の内部に沈み込み、荷重が解けるとスプリングの力で元に戻り部品であり一般的に簡単に手に入る部材である。しかしながら、実際には本発明の炭火焼き器の製造コストを下げるためには意匠的な好みよりコストを優先して第一の実施の形態に係る円柱の炭火焼き器を選ぶことになると思われる。
【0040】
図14は、本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体200と下蓋204から構成される炭火焼きプロセス(火力中)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図9から図11に示す図面と同じである。当該筐体200を下蓋204に更に押し込む(下に移動)ことで当該筐体200の開口部201(黒く塗りつぶした部分)と下蓋204の開口部205(黒く塗りつぶした部分)がほぼ半分重なり通気口(黒く塗りつぶした部分)が中程度、すなわち、通気量も中程度となり、火力が中程度となる。
【0041】
図15は、本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体200と下蓋204から構成される炭火焼きプロセス(火力小)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図9から図11に示す図面と同じである。当該筐体200を下蓋204に更に押し込む(下に移動)ことで当該筐体200の開口部201(黒く塗りつぶした部分)と下蓋204の開口部205(黒く塗りつぶした部分)がほぼ三分の一以下で重なり、通気口(黒く塗りつぶした部分)が小程度、すなわち、通気量も小程度となり火力が小程度となる。
【0042】
図16は、本発明の第二の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体200と下蓋204と上蓋205から構成される火消しプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図9から図11に示す図面と同じである。当該筐体200を下蓋204に更に押し込む(下に移動)ことで当該筐体200の開口部201(黒く塗りつぶした部分)と下蓋204の開口部205(黒く塗りつぶした部分)がほぼ重ならなくなり通気口が無くなり通気も無くなり、更に上蓋205を被せることにより筐体200内の燃料材が空気と遮断されるため火消しが可能となる。
【0043】
上述した本発明の第二の実施の形態は、構造上筐体200と下蓋204を左右ではなく上下にずらして(シフトして)通気口の通気を調整し火力を調整する点が異なるだけであり、本発明の第一の実施の形態と同様に換気扇の下で図12から図16に示す全てのプロセスを行うので、一酸化炭素中毒や木炭等の燃料材による火災を回避することができる。つまり、日本の伝統家屋にあった囲炉裏による炭火焼きを、本願発明の炭火焼き器を現代家屋の換気扇の下で使用することで安全かつ確実に再現できる。
【0044】
上述した本発明の第一及び第二の実施の形態で示す炭火焼き器を現代家屋の換気扇の下で使用することで安全かつ確実に日本の伝統家屋にあった囲炉裏による炭火焼きを再現できるが、現代家屋においても煙の削減は求められる。日本の伝統家屋にあった囲炉裏においても、煙を削減するために薪ではなく木炭等の燃料材を使用し、更には燃料材に食材の油がかからないよう囲炉裏の中に配置した串焼き五徳(串焼き用に鉄などの金属製の円柱、角柱の形状をした枠の内部に炭を積み上げて使う台)に炭を集めて、その周辺に鮎や秋刀魚のような細長い魚に串を囲炉裏の灰に刺して炭火から少し離れたところで炭の遠赤外線を利用して炭火焼きにすることで煙を最小限にすることできる。しかしながら、現代家屋の換気扇の下で煙を更に減らし秋刀魚のような食材の原型を留めた状態で炭火焼きを実現するには作業空間や設備の課題がある。
【0045】
そこで、本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体、下蓋、上蓋は、図1から図3に示す筐体、下蓋、上蓋と同じであるが、図17から図21に示すように当該筐体300内の上下に配置された金属製の網や籠が異なり、現代家屋の換気扇の下で煙を更に減らしながら炭火焼きを実現することができる。
【0046】
図17は、本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の火起こしプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。図4に示す筐体100の正面図と異なる点は筐体400下部に配置する燃料材を受け入れる部材304(金属製の網或いは籠)が当該筐体400の上部に配置する食材を受け入れる部材302(金属製の網或いは籠)よりも小さい(直径が小さい)点と当該筐体300上部に配置される部材302が回転可能な構造になっている点である。図17の正面図に示す中心点303が軸となり当該筐体300の上部に配置される部材302を回転できる構造とし、必要に応じて当該部材302を斜めにしたり回転したりするための一般的なレバーや鎖を付けることで炭火焼き中に当該部材302の位置を可変にすることができる。なお、本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体300、上蓋307、下蓋305は、図9から図11に示す角柱にも応用できるが、製造コストを考えると図1から図3に示す円柱の方が好ましい。
【0047】
そして、現代家屋の部屋の換気扇の下に配置されるガスコンロ或いはIHコンロの上に一時的に配置されるカセットガスコンロの上に図17に示す炭火焼き器の筐体300を配置し、当該ガスコンロの火力を使って部材304に配置された燃料材の火起こしを可能とする。図17の正面図に示すように開口部301からの通気によりガスコンロの火力は維持されて炭焼き器の筐体300内の下部に配置された部材304に置かれた燃料材の火起こしが可能となる。更に、当該部材304の位置を上下可変にすることでガスコンロの火力を有効に使って火起こしができる。当該上下移動は、一般的に部材304にレバーを付けて筐体300の外側から手動で当該レバーを上下に動かす構造にすることで可能となる。
【0048】
図18は、本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。図17に示す火起こし後に当該筐体300を下蓋305を被せた状態で左右のどちらかに移動(回転)させる(シフトさせる)ことで当該筐体300の開口部301(黒く塗りつぶした部分)と下蓋305の開口部306(黒く塗りつぶした部分)が重なり通気口(黒く塗りつぶした部分)が最大、すなわち、通気量が最大となり火力が最大となる。そして、当該筐体300の上部に配置された食材を受け入れる部材302を中心軸303を固定して当該部材302の正面図における左側を下げて斜めにすることで煙の発生を少なくした炭火焼きを可能とする。当該部材302を斜めにすることで受け入れた食材から発生する油が当該部材302の先端に集まって落下し、当該筐体300の下部に配置された部材304に受け入れた燃料材にかからないようにすることで煙の発生を少なくすることができる。この点が本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体300の特徴的構成である。当該筐体300の上部に配置する部材302を斜めにすることなく平行のままにした場合には食材から発生する油がそのまま当該筐体300の下部に配置された部材304の燃料材に垂れて煙が大量に発生し、現代家屋の換気扇の下であっても炭火焼きが困難になることが想定される。
【0049】
図19は、本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力中)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。そして、当該筐体300を下蓋305を被せた状態で更に左右のどちらかに移動(回転)させる(シフトさせる)ことで当該筐体300の開口部301(黒く塗りつぶした部分)と下蓋305の開口部306(黒く塗りつぶした部分)がほぼ半分重なっているため通気口(黒く塗りつぶした部分)が中程度、すなわち通気量も中程度となり、火力が中程度となる。更に、当該筐体300の上部に配置された食材を受け入れる部材302を中心軸303を固定して当該部材302の正面図における右側を下げて斜めにすることで煙の発生を少なくした炭火焼きを可能とし、食材の炭火焼きを均等にすることができる。
【0050】
また、当該筐体300の上部に配置された食材を受け入れる部材302を中心軸303を固定して一回転させることで食材の表だけでなく裏も均等に炭火焼きすることができる。但し、その際には、部材302は網ではなく金属製の籠としその中に食材を入れた中心軸303を固定して回転できるようにすることが望ましい。当該筐体300の上部に配置された部材302を回転可能とし、炭火焼き中は正面図において左側或いは右側を下げて斜めにすることで、受け入れた食材から発生する油が当該部材302の端に集まって落下し、当該筐体300の下部に配置された部材304に受け入れた燃料材に垂れないようにすることで煙の発生を少なくすることができる。
【0051】
図20は、本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力小)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。そして、当該筐体300を下蓋305を被せた状態で更に左右のどちらか(同じ方向に)に移動(回転)させることで当該筐体300の開口部301(黒く塗りつぶした部分)と下蓋305の開口部306(黒く塗りつぶした部分)がほぼ三分の一以下で重なり通気口(黒く塗りつぶした部分)が小程度、すなわち、通気量も小程度となり火力が小程度となる。実際には、下蓋305の上に配置される筐体300に耐熱の取っ手を付けて下蓋305を固定して当該筐体300の左右どちらかにずらして(シフトして)当該通気口(黒く塗りつぶした部分)を調整することで炭火焼き器の火力を容易に調整(大、中、小)することができる。
【0052】
図17に示す火起こしプロセスから図18から図20に示す炭火焼きプロセスまで一度も着火した木炭等の燃料材を筐体300から出し入れすることなくシームレスに火起こしから炭火焼きができて、着火後の燃料材の移動による落下が原因で発生する火災を完全に回避できる。更には食材を受け入れる部材302を斜めにして食材から発生する油が落下しても部材304の上に配置された燃料材にかからないように構成することで、現代家屋の換気扇の下においても煙の発生を少なくすることができる。
【0053】
図21は、本発明の第三の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体300と下蓋305と上蓋307から構成される火消しプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。当該筐体300の開口部301(黒く塗りつぶした部分)と下蓋305の開口部306(黒く塗りつぶした部分)がほぼ重ならなくなり通気口(黒く塗りつぶした部分)が無くなり通気も無くなり、更に上蓋307を被せることにより筐体300内の燃料材が空気と遮断されるため火消しが可能となる。実際には、換気扇の下で図17から図21に示す全てのプロセスを行うので、一酸化炭素中毒や木炭等の燃料材による火災を回避することができるし、更には煙の発生を少なくすることができる。つまり、日本の伝統家屋にあった囲炉裏による炭火焼きを、本願発明の炭火焼き器を現代家屋の換気扇の下で使用することで安全かつ確実に再現できる。しかしながら、現代家屋の換気扇の下であっても秋刀魚等の長い食材の炭火焼きを実現するには設備の課題が残る。
【0054】
そこで、本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体400、下蓋406、上蓋は、図22から図28に示すように、燃料材を上部開口部から受け入れる第一と第二の縦型部材402,403(金属製の籠)を円柱の筐体400内の両端に備え交互に当該縦型部材402,403を横に倒すことにより当該筐体400の下にあるガスコンロの火力により燃料材の火起こしを可能とし、火起こし後に筐体400内の両端に戻された第一と第二の縦型部材402,403の間に、炭火焼きの食材を配置する第三の縦型部材408を備え、当該第一と第二の部材402,403を筐体400内で垂直方向に移動する構造とすることで、現代家屋の換気扇の下であっても秋刀魚等の長い食材の炭火焼きを可能にする炭火焼き器を提供する。
【0055】
図22は、本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の火起こし前の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。点線で示す燃料材を受け入れる縦型部材(金属製の籠)402、403が当該円柱の筐体400の正面図における左右両端に配置されている。当該部材402,403は直方体が望ましいが、筐体400が角柱であれば当該部材402,403を大きくすることができるが、説明を簡単にするために筐体400が円柱の場合で本発明の第四の実施の形態を説明する。
【0056】
図23は、本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の左側火起こしプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。燃料材を当該筐体400の上部開口部から受け入れる第一と第二の縦型部材(金属製の籠)402,403を円柱の筐体400内の両端に備え、正面図における左側に配置した当該縦型部材402を回転軸404を軸にして横に倒すことにより当該縦型部材402の下にあるガスコンロの火力により燃料材の火起こしを可能とする。、図23の正面図に示すように開口部401からの通気によりガスコンロの火力は維持されて炭焼き器の筐体400内で横に倒された当該縦型部材402に受け入れられた燃料材の火起こしが可能となり、更に、当該部材402の位置を上下可変にすることでガスコンロの火力を有効に使って火起こしができる。当該上下移動は、一般的に部材402にレバーを付けて筐体400の外側から手動で当該レバーを上下に動かす構造にすることで可能となる。
【0057】
図24は、本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体の右側火起こしプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。燃料材を当該筐体400の上部開口部から受け入れる第一と第二の縦型部材402,403(金属製の籠)を円柱の筐体400内の両端に備え、回転軸を中心にして正面図において右側に配置した当該縦型部材403を回転軸405を中心にして横に倒すことにより、当該縦型部材403の下にあるガスコンロの火力により燃料材の火起こしを可能とする。図24の正面図に示すように開口部401からの通気によりガスコンロの火力は維持されて炭焼き器の筐体400内で横に倒された当該縦型部材403に受け入れられた燃料材の火起こしが可能となり、更に、当該部材403の位置を正面図上下可変にすることでガスコンロの火力を有効に使って火起こしができる。当該上下移動は、一般的に部材402にレバーを付けて筐体400の外側から手動で当該レバーを上下に動かす構造にすることで可能となる。
【0058】
図25は、本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きプロセス(火力大)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。図24に示す横に倒された正面図において右側の縦型部材403が元の位置に戻された状態である。図23及び図24に示す火起こしプロセスにより、正面図において左右両端に配置された縦型部材402,403に受け入れられた燃料材は着火済である。そして、図25に示すように正面図において左右両端で筐体400の下部に設置された縦型部材402,403との間に、筐体上部から食材を受け入れた縦型部材408を取っ手409を使って吊るすことにより炭火焼きを可能にする。当該筐体400を下蓋406を被せた状態で左右のどちらかに移動(回転)させること(シフトさせること)で当該筐体400の開口部401(黒く塗りつぶした部分)と下蓋406の開口部407(黒く塗りつぶした部分)が重なり通気口(黒く塗りつぶした部分)が最大、すなわち、通気量が最大となり火力が最大となる。
【0059】
図26は、本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きローテーションプロセス(火力大)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。図25との相違点は正面図において左右両端で筐体400の下部に配置された縦型部材402,403を上下に移動可能な構成にした点である。これは当該筐体400に縦型部材402,403を上下移動可能にレールを筐体400内に取り付けることで容易に設ける事ができる。これにより、秋刀魚等の長い食材を受け入れた縦型部材408の両側で燃料材を受け入れた縦型部材402,403を上下に移動させて炭火焼きのローテーションを可能にし、燃料材を受け入れた縦型部材402,403よりも正面図において縦方向の長さが長い食材を均等に炭火焼きすることができる。
【0060】
図27は、本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きローテーションプロセス(火力中)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。図25との相違点は正面図において左右両端で筐体400の下部に配置された縦型部材402,403を任意な位置に移動して炭火焼きのむらを無くすことができる点である。更に、当該筐体400に下蓋406を被せた状態で左右どちらか(同じ方向に)に移動(回転)させることで当該筐体400の開口部401(黒く塗りつぶした部分)と下蓋406の開口部407(黒く塗りつぶした部分)がほぼ半分重なっているため通気口(黒く塗りつぶした部分)が中程度、すなわち通気量も中程度となり、火力を中程度に調整できる。
【0061】
図28は、本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋から構成される炭火焼きローテーションプロセス(火力小)の正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。図27との相違点は正面図において左右両端で筐体400の下部に配置された縦型部材402,403を元の位置に移動し、更に当該筐体400を下蓋406を被せた状態で左右どちらかに(同じ方向に)移動(回転)させることで当該筐体400の開口部401(黒く塗りつぶした部分)と下蓋406の開口部407(黒く塗りつぶした部分)がほぼ三分の一以下で重なり通気口(黒く塗りつぶした部分)が小程度、すなわち、通気量も小程度となり火力を小程度に調整できる。
【0062】
実際には、下蓋406の上に配置される筐体400に耐熱の取っ手を付けて下蓋406を固定して当該筐体400の左右どちらかにずらして(シフトして)当該通気口(黒く塗りつぶした部分)を調整することで炭火焼き器の火力を容易に調整(大、中、小)することができる。図22から図24に示す火起こしプロセスから図25から図28に示す炭火焼きプロセスまで一度も着火した木炭等の燃料材を筐体400から出し入れすることなくシームレスに火起こしから炭火焼きができる。そして、着火後の燃料材の筐体400からの出し入れによる落下が原因で発生する火災を完全に回避できるし、更には食材を受け入れた縦型部材408から垂れる油は燃料材に触れることなく落下して下蓋406に溜まるので図25から図28に示す炭火焼きプロセスにおいて煙の発生を最小限にすることができる。
【0063】
図29は、本発明の第四の実施の形態に係る炭火焼き器の筐体と下蓋と上蓋から構成される火消しプロセスの正面図であり、当該正面図以外の六面図は図1から図3に示す図面と同じである。図28との相違点は当該筐体400の開口部401(黒く塗りつぶした部分)と下蓋406の開口部407(黒く塗りつぶした部分)がほぼ重ならなくなり通気口(黒く塗りつぶした部分)が無くなり通気も無くなり、更に図28で露出している筐体400(下蓋406でカバーされない部分)を全て覆うように上蓋410を被せることにより筐体400内の燃料材が空気と遮断されるため火消しが可能となる。本発明の第四の実施の形態で上蓋410が第一から第三の実施の形態における上蓋と異なり、図28で露出している筐体400(下蓋で覆っていない部分)を全て覆うような大きな上蓋410にしたのは、図22から図27に示す火起こしプロセスから炭火焼きローテーションプロセスで縦型部材402,403を水平方向へ倒したり、上下に移動させるための構造を確保すると当該筐体400に多くの穴を開けることになりそれらを全て覆う上蓋410とすることで完全な火消しを可能にする。
【0064】
これにより、現代家屋の換気扇の下で図22から図29に示す全てのプロセスを行うので、一酸化炭素中毒や木炭等の燃料材の落下による火災を回避することができるし、更には日本の伝統家屋の囲炉裏における串焼き五徳を使った炭火焼きと同じ要領で炭火焼きの煙を最小限にすると共に、秋刀魚のような食材の原型を留めた状態で長い食材の炭火焼きを実現する。なお、食材の原型を留めるためには、食材を受け入れる縦型部材は食材を受け入れた際に食材が部材内を動かないようにホールド部材を設けるように工夫すれば良い。
【0065】
以上のように本発明によれば、炭火焼き器に燃料材を配置してから一度も取り出すことなく火起こし工程、炭火焼き工程、火消し工程の一連の工程を可能とする安全かつ安心な炭火焼き器を提案できる。また、当該炭火焼き器は食材を受け入れた網、籠等の部材からの垂れる油等が炭火に触れないように設計することで、炭火焼きにおける煙を少なくすることができる。更に、当該炭火焼き器の筐体の両端に配置された縦型部材を上下に移動させることで、当該縦型部材の縦方向の長さよりも長い魚、ステーキ肉等の食材の原型を留めて炭焼きを可能にし、更には炭火焼きの煙を最小限にすることできる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の構成は上記の通り、炭火焼き器に燃料材を配置してから一度も取り出すことなく火起こし工程、炭火焼き工程、火消し工程の一連の工程を可能とする安全かつ安心な炭火焼き器を提案できる。また、当該炭火焼き器は食材を受け入れた網、籠等の部材からの垂れる油等が炭火に触れないように設計することで、炭火焼きにおける煙を少なくすることができる。更に、当該炭火焼き器の筐体の両端に配置された縦型部材を上下に移動させることで、当該縦型部材の縦方向の長さよりも長い魚、ステーキ肉等の食材の炭焼きを可能にし、炭火焼きの煙を最小限にすることできる。
【符号の説明】
【0067】
100 本発明の第一の実施の形態における炭火焼き器の筐体
101 筐体に設けられた通気口
102 筐体内部に設けられた、食材を受け入れる部材
103 筐体内部に設けられた、燃料材を受け入れる部材
104 筐体の下部に設置する下蓋
105 筐体の下部に設置する下蓋に設けられた通気口
106 筐体の上部に設置する上蓋
200 本発明の第二の実施の形態における炭火焼き器の筐体
201 筐体に設けられた通気口
202 筐体内部に設けられた、食材を受け入れる部材
203 筐体内部に設けられた、燃料材を受け入れる部材
204 筐体の下部に設置する下蓋
205 筐体の下部に設置する下蓋に設けられた通気口
206 筐体の上部に設置する上蓋
300 本発明の第三の実施の形態における炭火焼き器の筐体
301 筐体に設けられた通気口
302 筐体内部に設けられた、食材を受け入れる回転可能な部材
303 筐体内部に設けられた、食材を受け入れる回転可能な部材の中心軸
304 筐体内部に設けられた、燃料材を受け入れる部材
305 筐体の下部に設置する下蓋
306 筐体の下部に設置する下蓋に設けられた通気口
307 筐体の上部に設置する上蓋
400 本発明の第四の実施の形態における炭火焼き器の筐体
401 筐体に設けられた通気口
402 筐体内部の左端に設けられた、燃料材を受け入れる移動可能な縦型部材
403 筐体内部の右端に設けられた、燃料材を受け入れる移動可能な縦型部材
404 筐体内部の左端に設けられた、移動可能な縦型部材の回転軸
405 筐体内部の右端に設けられた、移動可能な縦型部材の回転軸
406 筐体の下部に設置する下蓋
407 筐体の下部に設置する下蓋に設けられた通気口
408 筐体の内部に挿入する、食材を受け入れる縦型部材
409 食材を受け入れる縦型部材の取っ手
410 筐体の上部に設置する上蓋
【要約】
【課題】部屋の換気扇の下で炭火焼き器に燃料材を配置してから当該燃料材を一度も取り出すことなく火起こし工程、炭火焼き工程、火消し工程の一連の工程を可能とする。
【解決手段】両端が開放された中空の筐体100の中に設置された燃料材の火起こし後に、筐体100の下端側の開口を開閉する下蓋104の位置をシフトすることにより筐体100の下部側面に設けられた開口部と下蓋104の側面に設けれた開口部から構成される通気口の通気量を調整して燃料材の火力を調整する調整部を有し、筐体100の上端側の開口を開閉する上蓋106と当該調整部の調整により燃料材の火消しを行う。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29