【文献】
YADAV, V. R. et al,Novel formulation of solid lipid microparticles of curcumin for anti-angiogenic and anti-inflammatory activity for optimization of therapy of inflammatory bowel disease,J. Pharm. Pharmacol.,2009年,Vol.61、No.3,pp.311-321,ISSN:0022-3573
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。
【0011】
1.固体組成物
本発明の固体組成物は、
(1)非晶質の難水溶性ポリフェノール、
(2)親水性ポリマー、および
(3)ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、およびレシチンからなる群より選択される1種以上の非イオン性界面活性剤
を含有する。
【0012】
(1)ポリフェノール
通常、ほとんどのポリフェノールは、結晶質であり、その結果、水に難溶性、または不溶性である。
【0013】
本発明の固体組成物が含有するポリフェノールは、「非晶質の難水溶性ポリフェノール」である。
【0014】
本発明における「難水溶性ポリフェノール化合物」は、25℃において純水に対する溶解性が、0.1質量%以下である。
または、本発明における「難水溶性ポリフェノール化合物」は、オクタノール/水分配係数(logP)が−1.0〜4.0の範囲内である。当該logP値の決定は、JIS Z 7260-117(2006)に準拠して、高速液体クロマトグラフィー法により実施することができる。logP値は、次式により定義される。
logP=log(Coc/Cwa)
Coc:1−オクタノール層中の被験物質濃度
Cwa:水層中の被験物質濃度
本発明における「難水溶性ポリフェノール化合物」は、好適には、日本薬局方溶出試験に準拠した方法で測定した、第十六改正日本薬局方の第2液に対する溶解度が、0.2mg/100mL以下である。
【0015】
本明細書中、ポリフェノールは、同一分子内にフェノール性ヒドロキシ基を2つ以上もつ化合物を意味する。
【0016】
本発明の固体組成物が含有する「非晶質の難水溶性ポリフェノール」のポリフェノールの例は、以下のものを包含する。以下の例は、化合物、または組成物であり得る。
1.フェノール酸[例、ヒドロキシ桂皮酸(例、p−クマル酸、コーヒー酸、フェルラ酸)、ヒドロキシ安息香酸:(例、p−ヒドロキシ安息香酸、没食子酸、エラグ酸)、ロスマリン酸]、
2.フラボノイド[フラボン(例、ルテオリン、アピゲニン、フラボキセート、ジオスミン、ノビレチン)、フラバノン(例、ヘスペレチン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、ヘスペレチン)、フラバノール(例、ケルセチン、ミリセチン、シミラリン、シリマリン、シリビニン、ルチン、イソクエルシトリン)、フラバン−3−オール、カテキン(E)、エピカテキン(EC)、テアフラビン、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、イソフラボン(例、ゲニステイン、ダイゼイン)、アントシアニジン(例、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、プロアントシアニジン、オリゴメリックプロアントシアニジン(OPC)、プロシアニジン、ポリシアニジン、
3.スチルベノイド[例、レスベラトロール]、
4.タンニン[例、縮合型タンニン(プロアントシアニジン)、および加水分解性タンニン]
5.モノフェノール[例、ヒドロキシチロソール、p−チロソール]、
6.カプサイシノイド[例、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン]、
7.クルクミノイド[例、クルクミン(ケト型、およびエノール型)、ジメトキシクルクミン、ビスジメトキシクルクミン]、ならびにテトラヒドロクルクミン、
8.これらのアグリコン、およびそれらの誘導体(例、アセチル化物、マロニル化物、メチル化物、配糖体)
【0017】
その好ましい例は、クルクミン、シリマリン、及びルテオリンを包含する。
【0018】
本発明の固体組成物は、1種、または2種以上のポリフェノールを含有できる。
【0019】
本発明の固体組成物が含有するポリフェノールは、例えば、天然物由来の抽出物の状態であってもよい。
その例は、ウコン抽出物、オオアザミ抽出物、コーヒー抽出物、カンゾウ抽出物、キュウリ抽出物、ケイケットウ抽出物、ゲンチアナ(または、リンドウ)抽出物、ゲンノショウコ抽出物、コレステロール及びその誘導体、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(または、オウゴン)抽出物、ニンジン抽出物、マイカイカ(または、マイカイ、ハマナス)抽出物、サンペンズ(または、カワラケツメイ)抽出物、トルメンチラ抽出物、パセリ抽出物、ボタン(または、ボタンピ)抽出物、モッカ(または、ボケ)抽出物、メリッサ抽出物、ヤシャジツ(または、ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(または、マンネンロウ)抽出物、レタス抽出物、茶抽出物(例、烏龍茶エキス、紅茶エキス、緑茶エキス)、微生物醗酵代謝産物、および羅漢果抽出物等を包含する。
【0020】
本発明の好適な一態様においては、前記非晶質の難水溶性ポリフェノールが、クルクミンを包含する。
【0021】
本発明の固体組成物における非晶質の難水溶性ポリフェノールの含有量は、好ましくは1〜50質量%の範囲内、より好ましくは5〜40質量%の範囲内、および更に好ましくは10〜30質量%の範囲内である。
【0022】
本発明の固体組成物は、結晶質のポリフェノールを含有してもよいが、当該固体組成物全体、または全ポリフェノールに対する、その量、またはその割合は小さいことが好ましい。
【0023】
本発明の固体組成物が含有するポリフェノールの非晶質状態は、粉末X線回折、または示差走査熱量測定などの方法により確認できる。また、非晶質のポリフェノール量は示差走査熱量測定におけるピーク面積より計算できる。
【0024】
本発明の固体組成物が「結晶質のポリフェノール」を含有する場合、そのポリフェノールと、本発明の固体組成物が必須成分として含有する「非晶質の難水溶性ポリフェノール」のポリフェノールとは、同一であってもよく、一部が同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0025】
特に好ましくは、本発明の固体組成物は、結晶質のポリフェノールを実質的に、または完全に含有しない。
【0026】
本発明の固体組成物が含有する、全ポリフェノール(当該「全ポリフェノール」は、非晶質の難水溶性ポリフェノール、および結晶質のポリフェノールを包含する)の含有量は、好ましくは1〜50質量%の範囲内、より好ましくは5〜40質量%の範囲内、および更に好ましくは10〜30質量%の範囲内である。
【0027】
(2)親水性ポリマー
本発明で用いられる親水性ポリマーは、あらゆる条件下で親水性もしくは水溶性である必要はなく、好ましくは、少なくとも腸管管中のpHで、親水性もしくは水溶性であればよい。
本発明で用いられる親水性ポリマーは、好ましくは室温で固体である。
本発明で用いられる親水性ポリマーは、好ましくは約50℃以上、より好ましくは約80℃〜約180℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有する。当該ガラス転移温度(Tg)の決定は、JIS K 7121:2012に準拠して実施できる。
【0028】
本発明の固体組成物は、1種、または2種以上の親水性ポリマーを含有できる。
【0029】
本明細書で用いられる親水性ポリマーの例は、次のものを包含する。
(1)N−ビニルラクタム(好ましくは、N−ビニルピロリドン)のホモポリマー[例、ポリビニルピロリドン(すなわち、PVP、またはポビドン)(例、Kollidon
TM 12PF、Kollidon
TM 17PF、Kollidon
TM 25、Kollidon
TM 30、Kollidon
TM 90F、またはそれらの同等物)]、およびそのコポリマー[例、N−ビニルピロリドン、および酢酸ビニルのモノマーを含有するもの(すなわち、コポビドン)、またはN−ビニルピロリドン、およびプロピオン酸ビニルのモノマーを含有するものなど)];
(2)セルロースエステル、およびセルロースエーテル、特に、メチルセルロース、エチルセルロース、(ヒドロキシアルキル)セルロース[例、ヒドロキシプロピルセルロース(すなわち、HPC)]、(ヒドロキシアルキル)アルキル−セルロース[例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(すなわち、HPMC)]、またはヒプロメロース(例、Methocel
TM E3、Methocel
TM E5、Methocel
TM E6、Methocel
TM E15、またはそれらの同等物、Methocel
TM K3、またはその同等物)、フタル酸セルロース、およびコハク酸セルロース[例、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(すなわち、HPMC−AS)];
(3)高分子量ポリアルキレンオキシド[例、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ならびにエチレンオキシド、および酸化プロピレンのコポリマー(例、ポロクサマー)];
(4)ポリアクリレート、およびポリメタクリレート[例、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸2−ジメチルアミノエチルコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、およびポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)];
(5)ポリアクリルアミド;
(6)酢酸ビニルポリマー、およびポリビニルアルコールのコポリマー;
オリゴ糖、および多糖(例、カラギーナン、ガラクトマンナン、およびキサンタンガム);
ならびにこれらの2つ以上の混合物。
【0030】
本発明の好適な一態様においては、本発明の固体組成物が、前記親水性ポリマーとして、少なくとも、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される1種以上を含有し、更に他の親水性ポリマーを含有してもよい。
本発明の特に好適な一態様においては、本発明の固体組成物が、前記親水性ポリマーとして、少なくとも、ポリビニルピロリドンを含有し、更に他の親水性ポリマーを含有してもよい。
【0031】
本発明の別の好適な一態様においては、前記親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される1種以上である。
本発明の別の特に好適な一態様においては、前記親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドンである。
【0032】
本発明の固体組成物における親水性ポリマーの含有量は、好ましくは5〜90質量%の範囲内、より好ましくは20〜90質量%の範囲内、および更に好ましくは40〜90質量%の範囲内である。
【0034】
本発明の固体組成物が含有する非イオン性界面活性剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、およびレシチンからなる群より選択される1種以上の非イオン性界面活性剤である。
【0035】
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルの例は、(a)平均重合度が2以上(好ましくは3〜15、より好ましくは3〜10)のポリグリセリンと、(b)炭素数8〜18の脂肪酸(例、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびリノール酸)とのエステルを包含する。
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例は、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノステアレート、およびデカグリセリンモノオレートを包含する。
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種単独、または2種以上の組み合わせであることができる。
【0036】
本発明に用いられるショ糖脂肪酸エステルのHLB値は、好ましくは10以上、およびより好ましくは12以上である。
本発明に用いられるショ糖脂肪酸エステルにおける脂肪酸の炭素数は、好ましくは12以上、およびより好ましくは12〜20の範囲内である。
本発明に用いられるショ糖脂肪酸エステルの好ましい具体例は、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、およびショ糖エルカ酸エステルを包含する。
本発明で用いられるショ糖脂肪酸エステルは、1種単独、または2種以上の組み合わせであることができる。
【0037】
本発明で用いられるレシチンは、グリセリン二脂肪酸エステル(ジグリセリド)のリン酸誘導体付加物であり、動植物体に広く分布する。
本発明で用いられるレシチンの例は、卵黄に含まれている卵黄レシチン、大豆に含まれている大豆レシチン、およびヒマワリに含まれているヒマワリレシチンを包含する。
本発明で用いられるレシチンの例は、また、これらのレシチンから有効成分を取りだしたものである分別レシチン、ならびにレシチンを酵素で処理したものである、酵素処理レシチン、および酵素分解レシチンを包含する。
すなわち、本発明に用いられるレシチンの具体例は、レシチン、酵素分解レシチン(フォスファチジン酸)、リゾレシチン、ダイズレシチン(ダイズリン脂質)、卵黄レシチンを包含する。
本発明で用いられるレシチンは、商業的に入手可能であり、例えば、SLP−ホワイト(商品名、辻製油社)を挙げることができる。
本発明で用いられるレシチンは、1種単独、または2種以上の組み合わせであることができる。
【0038】
本発明の固体組成物が含有する非イオン性界面活性剤の特に好適な例は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを包含する。
【0039】
本発明の固体組成物は、1種、または2種以上の非イオン性界面活性剤を含有できる。
【0040】
本発明の好適な一態様においては、前記非イオン性界面活性剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0041】
本発明の固体組成物における非イオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは5〜90質量%の範囲内、より好ましくは5〜60質量%の範囲内、および更に好ましくは10〜40質量%の範囲内である。
【0042】
(4)他の成分
本発明の固体組成物は、所望により、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、前記成分以外の成分を含有してもよい。
このような成分の例は、賦形剤、充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、調味料、香料、および滑沢剤を包含する。
このような成分の種類、およびその量は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、技術常識に基づき、適宜、選択、および設計すればよい。
【0043】
2.固体組成物の用途、および形態
本発明の組成物は、食品、機能性食品、栄養補助食品(サプリメント)、特定保健用食品、医薬部外品、および医薬品等の用途に用いることができる。
本発明の固体組成物は、好ましくは経口用製剤である。
当該製剤の形態の好適な例は、錠剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、およびトローチ剤を包含する。本発明の組成物は、これらの製剤の製剤材料であってもよい。
この場合、本発明の固体組成物(経口ポリフェノール製剤)の投与または摂取量は、ポリフェノールの種類、使用者の年齢、体重、症状、投与形態、および処置期間などによって変わり得るが、例えば、ポリフェノールがクルクミンである場合、WHOのTechnical Reportによると、クルクミンのADI:0〜3mg/kg体重/日、NOAEL:250〜320mg/kg体重/日とされており(WHO Technical Report Series : 1237259778265_0.pdf,第33頁)、この範囲内で、1日に1回〜複数回(例、2回、3回、4回、5回)に分けて、好適に投与または摂取できる。
【0044】
尚、本発明で得られた固体組成物は、食品等の用途に限らず、例えば化粧品等へも添加することができる。化粧品の形態としては、ローション剤、クリーム、化粧水、乳液、美容液等のスキンケア化粧品やシャンプーなどの頭髪用化粧品、洗口液等を例示でき、さらに化粧品分野で一般に使用されている成分を制限なく組み合わせることができる。
例えば、界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアニオン界面活性剤、アミン塩、アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤等の一種以上を、本発明の固体組成物と組み合わせて使用することができる。
【0045】
本発明の固体組成物は、経口投与または摂取された場合、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への高い溶出性を発揮し、且つこれが長時間維持され、これによりポリフェノールの効率的な摂取を可能にする。
【0046】
3.固体組成物の製造方法
本発明の組成物は、例えば、
(1)結晶質のポリフェノール、
(2)親水性ポリマー、および
(3)ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、およびレシチンからなる群より選択される1種以上の非イオン性界面活性剤、ならびに
(4)所望により用いられるその他の成分
を混合する工程を含む製造方法であって、当該結晶質のポリフェノールを、非晶質に変化させる工程を含む製造方法により、製造できる。
当該混合においては、前記成分を、同時に混合してもよく、または逐次的に混合してもよい。
当該混合においては、好適に、有機溶媒等の溶媒を使用しないことができる。
当該溶媒を使用する場合であっても、ポリフェノール等の前記成分は、当該溶媒に完全に溶解されないことができる。
これにより、本発明の組成物は、大きな容器等を用いずに低コストで製造できる。
前記各成分を混合する工程と、前記結晶質のポリフェノールを、非晶質に変化させる工程とは、別々であってもよく、一部が共通していてもよく、または完全に共通していてもよい。
ここで、結晶質のポリフェノールが、より多い割合で非晶質に変化することが、より好ましい。結晶質のポリフェノールの実質的に全部、または全部が非晶質に変化することが特に好ましい。
本発明の組成物は、例えば、溶媒沈殿法、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、減圧乾燥法、または混練法、あるいはこれらの組み合わせにより、製造できる。
【0047】
本発明の組成物は、好ましくは、
(1)結晶質のポリフェノール、
(2)親水性ポリマー、および
(3)ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、およびレシチンからなる群より選択される1種以上の非イオン性界面活性剤、ならびに
(4)所望により用いられるその他の成分
を、混練する工程を含む製造方法により、製造される。
当該混練においては、前記結晶質のポリフェノール、前記親水性ポリマー、および前記非イオン性界面活性剤が、同時に混練されることが好ましい。
当該混練により、結晶質のポリフェノールの一部、好ましくは実質的に全部、または全部が、非晶質に変化する。
【0048】
当該混練は、例えば、一軸押出機、噛み合い型スクリュー押出機、または多軸押出機(例、二軸押出機)を用いることで好適に実施できるが、ホットプレート上での、スパーテルなどを用いた手による混練等の比較的弱い力での混練でも好適に実施できる。
当該混練では、例えば、各成分が融解する温度まで加熱混練し、各成分の融解後、室温まで冷却して、得られた固体組成物を粉砕機で粉末状に粉砕して、本発明の組成物を得ることができる。
【0049】
本発明の組成物の一次粒子径は、好ましくは、例えば、0.1〜500μmの範囲内であることができる。
【0050】
本発明の組成物は、好ましくは、例えば、
前記結晶質のポリフェノール、前記親水性ポリマー、および前記非イオン性界面活性剤、ならびに油脂を、十分に混合することにより、前記ポリフェノールが溶解しているスラリーを調製する工程;および
当該スラリーを乾燥する工程
を含む方法により、製造される。
当該乾燥の方法としては、例えば、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、真空乾燥法、ドラム乾燥法、および遠赤外線乾燥法などが挙げられ、なかでも噴霧乾燥法が好ましい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
実施例中の記号及び略号の意味を以下に示す。
CUR: クルクミン
SIL: シリマリン
LUT: ルテオリン
PVP: ポリビニルピロリドン
PGFE: ポリグリセリン脂肪酸エステル
HPC: ヒドロキシプロピルセルロース
HPMC: ヒドロキシプロピルメチルセルロース
【0053】
[試料の調製方法]
各組成物は、後記の記載の表1−1、1−2、又は1−3に記載の組成を有する各組成物を融解温度まで加熱混練し、融解後、室温まで冷却して、粉砕機で粉末状にしたものを用いた。
但し、比較例3の組成物の調製においては、加熱せず、成分を混合したのみで、これを試験試料とした。
【0054】
加熱混練は、ホットプレートをクルクミン、シリマリンは240℃、ルテオリンは350℃に設定し、その上で、組成物を溶融するまでスパーテルなどを用いて手で混練することにより、実施した。
【0055】
以下に、実施例、または比較例で用いた成分を記載する。PGFE(A)以外は、市販品を購入して使用した。PGFE(A)は、HLB12のポリグリセリンミリスチン酸エステルである。
[成分]
<クルクミン>
クルクミン原料(純度:クルクミン 90%以上)(原末)
<親水性ポリマー>
Koridon K30(商品名、BASF社):
PVP(ポリビニルピロリドン)
<非イオン性界面活性剤>
PGFE(A):
PGFE(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
リョートーポリグリエステル1-50SV(商品名、三菱化学フーズ社):
PGFE(デカグリセリンステアリン酸エステル)
リョートーポリグリエステルM-10D(商品名、三菱化学フーズ社):
PGFE(デカグリセリンミリスチン酸エステル)
NIKKOL HCO-60(商品名、日光ケミカルズ社):
ポリオキシエチレン硬化ヒマ油
NIKKOL TS-10V(商品名、日光ケミカルズ社):
ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル(ポリソルベート60)
NIKKOL TO-10V(商品名、日光ケミカルズ社):
ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル(ポリソルベート80)
NIKKOL TMGS-15V(商品名、日光ケミカルズ社):
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
【0056】
【表1-1】
【0057】
【表1-2】
【0058】
【表1-3】
【0059】
実施例1〜9、比較例1、及び、比較例4〜7に関して、粉末X線回折の測定により、結晶クルクミンのピークが完全、又は一部消失し、非晶質のクルクミンが含まれることを確認した。比較例2に関して、示差走査熱量測定により、結晶クルクミンのピークが減少し、非晶質のクルクミンが含まれることを確認した。比較例3の組成物は、単に混合したものであるので、当然にこれには結晶クルクミンが含まれることが推定される。
【0060】
[溶出試験方法]
溶出試験は、以下の材料、および条件を採用して、第十六改正日本薬局方に記載の試験方法に準じて、実施した。分析は、各時間で、試験液の少量を採取して、行った。
(溶出試験の材料、および条件)
[1]クルクミン溶出試験
溶出試験機:PJ−32S(製品名、宮本理研工業社)
試験液:日本薬局方第二液(人工腸液、pH6.8)
試料量:クルクミンとして10mg/100ml
温度:37℃
採取:0.2μmメンブランフィルターにてろ過後、ろ液を分析した。
分析:HPLC法
[2]シリマリン溶出試験
溶出試験機:PJ−32S(製品名、宮本理研工業社)
試験液:日本薬局方第二液(人工腸液、pH6.8)
試料量:シリマリンとして10mg/100ml
温度:37℃
採取:0.2μmメンブランフィルターにてろ過後、ろ液を分析した。
分析:HPLC法
[3]ルテオリン溶出試験
溶出試験機:PJ−32S(製品名、宮本理研工業社)
試験液:日本薬局方第二液(人工腸液、pH6.8)
試料量:ルテオリンとして10mg/100ml
温度:37℃
採取:0.2μmメンブランフィルターにてろ過後、ろ液を分析した。
分析:HPLC法
【0061】
以下に、試験結果を示す。
【0062】
試験例1−1
表2−1に示す試料を用いて、界面活性剤を含有しない固体組成物、可溶化製剤、及び加熱せずに調製した固体組成物との比較における、クルクミンの人工腸液への溶出性の経時変化を試験した。結果を、表3−1、及び
図1−1に示す。これから理解されるように、本発明の組成物は、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への高い溶出性を発揮し、且つこれが長時間維持された。
試験例1−2
表2−2に示す試料を用いて、界面活性剤を含有しない固体組成物、及び可溶化製剤、との比較における、シリマリンの人工腸液への溶出性の経時変化を試験した。結果を、表3−2、及び
図1−2に示す。これから理解されるように、本発明の組成物は、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への高い溶出性を発揮し、且つこれが長時間維持された。
試験例1−3
表2−3に示す試料を用いて、界面活性剤を含有しない固体組成物、及び可溶化製剤、との比較における、ルテオリンの人工腸液への溶出性の経時変化を試験した。結果を、表3−3、及び
図1−3に示す。これから理解されるように、本発明の組成物は、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への高い溶出性を発揮し、且つこれが長時間維持された。
【0063】
【表2-1】
【0064】
【表2-2】
【0065】
【表2-3】
【0066】
【表3-1】
【0067】
【表3-2】
【0068】
【表3-3】
【0069】
試験例2
表4に示す試料を用いて、他の非イオン性界面活性剤との比較における、クルクミンの人工腸液への溶出性の経時変化を試験した。結果を、表5、及び
図2に示す。これから理解されるように、特定の非イオン性界面活性剤を用いた場合にのみ、本発明の組成物は、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への高い溶出性を発揮し、且つこれが長時間維持された。
【表4】
【表5】
【0070】
試験例3
表6に示す試料について、様々な種類のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた場合の、クルクミンの人工腸液への溶出性の経時変化を試験した。結果を、表7、及び
図3に示す。これから理解されるように、様々なポリグリセリン脂肪酸エステルで、本発明の組成物は、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への高い溶出性を発揮し、且つこれが長時間維持された。
【表6】
【表7】
【0071】
試験例4
表8に示す試料について、様々な量でポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた場合の、クルクミンの人工腸液への溶出性の経時変化を試験した。結果を、表9、及び
図4に示す。これから理解されるように、ポリグリセリン脂肪酸エステルの使用量を変化させても、本発明の組成物は、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への高い溶出性を発揮し、且つこれが長時間維持された。
【表8】
【表9】
【0072】
試験例5
表10に示す試料について、ポリグリセリン脂肪酸エステルとの比較において、シュガーエステル、またはレシチンを用いた場合の、クルクミンの人工腸液への溶出性の経時変化を試験した。結果を、表11、及び
図5に示す。これから理解されるように、シュガーエステル、またはレシチンを用いた場合でも、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた場合と同様に、本発明の組成物は、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への高い溶出性を発揮し、且つこれが長時間維持された。
【表10】
【表11】
【0073】
試験例6
PVPに変えて、HPC、またはHPMCを用いて、前記で記載した製造方法で、組成物を調製し、および前記試験と同様の試験を行った。その結果、PVPを用いた場合に比べると、HPC、またはHPMCを用いた場合は、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への溶出性は低かったが、PVPと同様の傾向が確認され、ポリフェノールの体液(好ましくは腸液)への溶出性が長時間維持された。
【0074】
試験例7
以下の試験方法により、実施例1の非晶質製剤を投与したラットの血中クルクミン濃度の経時変化を調べた。比較例としては、クルクミン原末を投与した。
(試験方法)
動物:SDラット(雄、7週齢、投与の14〜16時間前から絶食)を各3匹使用
投与:クルクミンとして100mg/KG / 単回経口投与(ゾンテ法)
採血:投与直前、並びに投与の0.5、1、2、4、8、及び24時間後にそれぞれ頸静脈採血
分析:血漿25μlをβ−グルクロニダーゼにて酵素処理した。さらにクルクミンをアセトニトリルで抽出した後、溶媒を乾固した。これをメタノールにて再希釈し、UV検出(420nm)にて測定した。
【0075】
分析結果のグラフを
図6に示した。これにより、本発明の製剤によれば、難水溶性ポリフェノールが、高度に、且つ長時間にわたって生体内に吸収されることが確認された。