特許第6971008号(P6971008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971008含水率連続測定方法および含水率連続測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971008
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】含水率連続測定方法および含水率連続測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 5/00 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   G01N5/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-126776(P2018-126776)
(22)【出願日】2018年7月3日
(65)【公開番号】特開2020-8309(P2020-8309A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2021年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】中尾 善和
(72)【発明者】
【氏名】東山 哲
【審査官】 野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−6323(JP,U)
【文献】 特開2006−118878(JP,A)
【文献】 特開平11−326172(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0081455(US,A1)
【文献】 特開2006−288604(JP,A)
【文献】 特開2018−90659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 5/00−9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製の試料(5)の含水率を連続して測定する含水率連続測定方法であって、
質量測定器(11)の計量位置(21)に対する前記試料の配置と、前記計量位置からの前記試料の離間と、を繰り返す質量連続測定工程(S1)と、
前記質量連続測定工程の所定周期毎に、前記質量測定器が測定した質量の最大値と最小値との差分から前記試料の含水質量を算出し、前記含水質量と前記試料の既知数である絶乾質量との差分に基づいて前記試料の含水率を算出する含水率連続算出工程(S2)と、を備えていることを特徴とする含水率連続測定方法。
【請求項2】
紙製の試料(5)の含水率を連続して測定する含水率連続測定方法であって、
質量測定器(14)の計量位置(21)に対する前記試料の配置と、前記計量位置からの前記試料の離間と、を繰り返す質量連続測定工程(S1)と、
前記質量連続測定工程の所定周期毎に、前記計量位置から前記試料を離間させた際に前記質量測定器のゼロ点補正を行う補正工程(S4)と、
前記質量連続測定工程の所定周期毎に、前記質量測定器が測定した質量の最大値を前記試料の含水質量とし、前記含水質量と前記試料の既知数である絶乾質量との差分に基づいて前記試料の含水率を算出する含水率連続算出工程(S2´)と、を備えていることを特徴とする含水率連続測定方法。
【請求項3】
環境湿度の増加または減少に伴って前記質量連続測定工程の周期を短くすることを特徴とする請求項1または2に記載の含水率連続測定方法。
【請求項4】
前記含水率連続算出工程で算出された含水率が予め設定された条件を満たしたことをユーザに報知する報知工程(S3)を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の含水率連続測定方法。
【請求項5】
紙製の試料(5)の含水率を連続して測定する含水率連続測定装置(1)であって、
計量位置(21)に配置された物の質量を測定する質量測定器(11)と、
前記計量位置に対する前記試料の配置と、前記計量位置からの前記試料の離間と、を繰り返し行う離接装置(12,15,16)と、
前記離接装置による前記試料の配置と離間の所定周期毎に、前記質量測定器が測定した質量の最大値と最小値との差分から前記試料の含水質量を算出し、前記含水質量と前記試料の既知数である絶乾質量との差分に基づいて前記試料の含水率を算出する算出装置(13)と、を備えていることを特徴とする含水率連続測定装置。
【請求項6】
紙製の試料(5)の含水率を連続して測定する含水率連続測定装置(2)であって、
計量位置(21)に配置された物の質量を測定する質量測定器(14)と、
前記計量位置に対する前記試料の配置と、前記計量位置からの前記試料の離間と、を繰り返し行う離接装置(12,15,16)と、
前記離接装置による前記試料の配置と離間の所定周期毎に、前記計量位置から前記試料を離間させた際に前記質量測定器のゼロ点補正を行う補正部(24)と、
前記離接装置による前記試料の配置と離間の所定周期毎に、前記質量測定器が測定した質量の最大値を前記試料の含水質量とし、前記含水質量と前記試料の既知数である絶乾質量との差分に基づいて前記試料の含水率を算出する算出装置(13)と、を備えていることを特徴とする含水率連続測定装置。
【請求項7】
前記離接装置は、環境湿度の増加または減少に伴って前記試料の配置と離間の周期を短くすることを特徴とする請求項5または6に記載の含水率連続測定装置。
【請求項8】
前記算出装置によって算出された含水率が予め設定された条件を満たしたことをユーザに報知する報知部(40,41)を更に備えていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の含水率連続測定装置。
【請求項9】
前記試料および前記質量測定器の周囲に配置される風防容器(10)を更に備え、
前記離接装置は、
前記風防容器の上部に設けられ、回転軸を回転させる駆動部(30)と、
前記駆動部の前記回転軸に固定されたクランク板(31)と、
前記クランク板の前記回転軸から径方向外側にずれた位置と前記試料との間に架設された連結部材(32,35)と、を含み、
前記駆動部が前記クランク板を一方向に回転させることで、前記連結部材を介して前記クランク板に繋がれた前記試料が前記計量位置に配置される状態と前記計量位置から離間する状態との間で周期的に昇降を繰り返すことを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の含水率連続測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製の試料の含水率を連続して測定する含水率連続測定方法および含水率連続測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製の試料の含水率(水分)を測定する方法が知られている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、乾燥器を使用して、板紙のロットの水分を測定する方法(以下、「絶乾法」ともいう。)が開示されている。この方法では、板紙の保管場所等、ある環境下での板紙の質量を質量測定器で測定した後、その板紙を乾燥機で恒量に達するまで乾燥(絶乾)させ、絶乾時の板紙の質量を質量測定器で測定する。そして、環境下の板紙質量と絶乾時の板紙質量との差を水分とみなして下式から含水率を算出する。
(式) 含水率(%)=(M0−M1)÷M0×100
M0:環境下の板紙質量(g)
M1:絶乾時の板紙質量(g)
なお、「水分」や「恒量」等の用語の定義、乾燥機の仕様、乾燥方法等は、非特許文献1の規定による。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本工業規格 JIS P 8127
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した絶乾法では、乾燥機で恒量に達するまで板紙を乾燥させるために多くの時間(約3時間)を要し、手軽に含水率を知ることができなかった。
【0006】
また、板紙の保管場所等では温度・湿度が刻々と変化するため、板紙の含水率の経時的な変化を把握したいという要求がある。この要求を満たすためには板紙の含水率を連続して(周期的に)測定する必要がある。しかしながら、上記した絶乾法を連続して行う場合、1回目の含水率を算出した後、質量測定器のゼロ点補正を行い、板紙の環境下の質量を測定し、再びその板紙を絶乾させて絶乾時の板紙質量を計測し直す必要があった。したがって、絶乾法によって含水率の算出を連続的(周期的)に行うことは、非常に多くの時間を必要とするため、現実的な方法とは言えず、板紙の含水率の変化をリアルタイムに把握することができなかった。
【0007】
一方で、測定対象物に端子(プローブ)を接触させて電気を流した際の抵抗値を水分量に置き換える電気抵抗式水分計が既に販売されており、この電気抵抗式水分計を用いて板紙の含水率を連続測定することができる場合がある。しかしながら、電気抵抗式水分計は、端子を接触させた板紙の一部分の水分を測定するのであって、板紙全体の含水率を測定することはできなかった。したがって、電気抵抗式水分計では、ある環境下に置かれた板紙全体の含水率を精度良く連続測定することができなかった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、試料の含水率を連続的に精度良く測定することができる含水率連続測定方法および含水率連続測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明は、紙製の試料の含水率を連続して測定する含水率連続測定方法であって、質量測定器の計量位置に対する前記試料の配置と、前記計量位置からの前記試料の離間と、を繰り返す質量連続測定工程と、前記質量連続測定工程の所定周期毎に、前記質量測定器が測定した質量の最大値と最小値との差分から前記試料の含水質量を算出し、前記含水質量と前記試料の既知数である絶乾質量との差分に基づいて前記試料の含水率を算出する含水率連続算出工程と、を備えている。
【0010】
他にも、上記した目的を達成するため、本発明は、紙製の試料の含水率を連続して測定する含水率連続測定方法であって、質量測定器の計量位置に対する前記試料の配置と、前記計量位置からの前記試料の離間と、を繰り返す質量連続測定工程と、前記質量連続測定工程の所定周期毎に、前記計量位置から前記試料を離間させた際に前記質量測定器のゼロ点補正を行う補正工程と、前記質量連続測定工程の所定周期毎に、前記質量測定器が測定した質量の最大値を前記試料の含水質量とし、前記含水質量と前記試料の既知数である絶乾質量との差分に基づいて前記試料の含水率を算出する含水率連続算出工程と、を備えている。
【0011】
この場合、環境湿度の増加または減少に伴って前記質量連続測定工程の周期を短くすることが好ましい。
【0012】
この場合、前記含水率連続算出工程で算出された含水率が予め設定された条件を満たしたことをユーザに報知する報知工程を更に備えていることが好ましい。
【0013】
上記した目的を達成するため、本発明は、紙製の試料の含水率を連続して測定する含水率連続測定装置であって、計量位置に配置された物の質量を測定する質量測定器と、前記計量位置に対する前記試料の配置と、前記計量位置からの前記試料の離間と、を繰り返し行う離接装置と、前記離接装置による前記試料の配置と離間の所定周期毎に、前記質量測定器が測定した質量の最大値と最小値との差分から前記試料の含水質量を算出し、前記含水質量と前記試料の既知数である絶乾質量との差分に基づいて前記試料の含水率を算出する算出装置と、を備えている。
【0014】
他にも、上記した目的を達成するため、本発明は、紙製の試料の含水率を連続して測定する含水率連続測定装置であって、計量位置に配置された物の質量を測定する質量測定器と、前記計量位置に対する前記試料の配置と、前記計量位置からの前記試料の離間と、を繰り返し行う離接装置と、前記離接装置による前記試料の配置と離間の所定周期毎に、前記計量位置から前記試料を離間させた際に前記質量測定器のゼロ点補正を行う補正部と、前記離接装置による前記試料の配置と離間の所定周期毎に、前記質量測定器が測定した質量の最大値を前記試料の含水質量とし、前記含水質量と前記試料の既知数である絶乾質量との差分に基づいて前記試料の含水率を算出する算出装置と、を備えている。
【0015】
この場合、前記離接装置は、環境湿度の増加または減少に伴って前記試料の配置と離間の周期を短くすることが好ましい。
【0016】
この場合、前記算出装置によって算出された含水率が予め設定された条件を満たしたことをユーザに報知する報知部を更に備えていることが好ましい。
【0017】
この場合、前記試料および前記質量測定器の周囲に配置される風防容器を更に備え、前記離接装置は、前記風防容器の上部に設けられ、回転軸を回転させる駆動部と、前記駆動部の前記回転軸に固定されたクランク板と、前記クランク板の前記回転軸から径方向外側にずれた位置と前記試料との間に架設された連結部材と、を含み、前記駆動部が前記クランク板を一方向に回転させることで、前記連結部材を介して前記クランク板に繋がれた前記試料が前記計量位置に配置される状態と前記計量位置から離間する状態との間で周期的に昇降を繰り返すことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、紙製の試料の含水率を連続的に精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る含水率連続測定装置を示す構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る含水率連続測定装置で用いる試料を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る含水率連続測定装置の電子天秤および算出装置を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る含水率連続測定装置の作用を説明する構成図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る含水率連続測定方法を示すアクティビティ図(フローチャート)である。
図6】本発明の第1実施形態に係る含水率連続測定方法の検証実験[1]の結果を示すグラフである。
図7】本発明の第1実施形態に係る含水率連続測定方法の検証実験[2]の結果を示すグラフである。
図8】本発明の第2実施形態に係る含水率連続測定装置の電子天秤および算出装置を示すブロック図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る含水率連続測定方法を示すアクティビティ図(フローチャート)である。
図10】本発明の第1および第2実施形態の第2変形例に係る含水率連続測定装置を示す側面図である。
図11】本発明の第1および第2実施形態の第3変形例に係る含水率連続測定装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0021】
[第1実施形態:含水率連続測定装置]
図1ないし図3を参照して、第1実施形態に係る含水率連続測定装置1について説明する。図1は含水率連続測定装置1を示す構成図である。図2は試料5を示す斜視図である。図3は含水率連続測定装置1の電子天秤11および算出装置13を示すブロック図である。
【0022】
含水率連続測定装置1は、例えば、紙製の段ボール箱を積み重ねて保管する倉庫内に設置され、段ボール箱の含水率を把握・管理するために使用される。例えば、圧縮荷重を受ける段ボール箱は含水率の増加に伴って胴膨れや潰れ(座屈)等の問題を発生し易くなるが、段ボール箱の含水率を把握することで、問題の発生を事前に予測して対応策を講ずることが可能になる。
【0023】
倉庫内の湿度は、気温、時間、天候、季節等によって刻々と変化するため、有効な対応策をとるには、段ボール箱の含水率の経時的な変化を把握する必要がある。つまり、段ボール箱の含水率を連続して測定することが必要になる。例えば、含水率の連続測定方法として、段ボール箱と同じ材料から成るサンプルの絶乾質量を予め測定しておき、そのサンプルを電子天秤11に載せたままにし、定期的に電子天秤11の表示から質量変化を読み取って含水率を算出することが考えられる。
【0024】
しかしながら、電子天秤11を設置した環境の温湿度変化によって、電子天秤11の部品が、熱膨張または熱収縮したり、乾燥時により帯電したりして、電子天秤11の計量皿21に何も載せていない状態でも電子天秤11の表示が0(ゼロ)にならないことがある。つまり、環境の温湿度変化によって、電子天秤11のゼロ点が変化する。このため、サンプルを天秤に載せたまま質量測定を行う上記の方法では、サンプルの正確な質量測定を行うことができず、誤差を含む質量に基づいて算出された含水率にも誤差が含まれることになる。
【0025】
そこで、第1実施形態に係る含水率連続測定装置1は、電子天秤11のゼロ点が変化したとしても、紙製の試料5の含水率を正確に且つ連続して測定(周期的に測定)することができるように構成されている。なお、本明細書において「試料5の含水率を正確に且つ連続して測定(周期的に測定)する」の「連続」とは、時間的に切れ目なく連なり続くことのみを意味するのではなく、一定間隔(間欠的)または不定間隔で繰り返されることをも含んでいる。また、「周期」または「周期的」とは、一定間隔で繰り返されることを含むと共に、不定間隔で繰り返されることも含んでいる。
【0026】
<試料>
まず、図2を参照して、含水率連続測定装置1で用いる試料5について説明する。試料5は、含水率を把握・管理したい段ボール箱と同じ紙製の段ボールシートで構成されている。この段ボールシートは、波状の中しんの表裏にライナを貼り合せた両面段ボールシートである。試料5は、段ボールシートを折り込んで略角筒状に形成されている。角筒状に折り込んだ時の段ボールシートの端部分には接続片5Aが連設されており、段ボールシートの端部分と重なる部分に開いた接続穴5Bに接続片5Aを差し込むことで試料5が角筒形状に保持される。また、段ボールシートの端部分と重なる部分は極力少なくなるように設計されている。
【0027】
以上のように、試料5が角筒状を成すことで、試料5の表面積を広く確保することができ、安定した状態で電子天秤11上に自立させることもできる。また、接着剤等を使用していないため、段ボールシート以外の材料による水分の誤差を防止することができる。さらに、段ボールシートの重なり部分が少ないため、水分を吸収・放出し易く、含水率の変化を把握し易くなっている。
【0028】
図1に示すように、含水率連続測定装置1は、風防容器10と、電子天秤11と、離接装置12と、算出装置13と、を備えている。
【0029】
<風防容器>
風防容器10は、紙製、合成樹脂製または金属製、若しくはこれらの組み合わせから成る箱であって、底面を開口した略直方体状に形成されている。風防容器10の前面や側面には、外部と内部とを連通させる開口部10Aが形成されている。風防容器10は、試料5および電子天秤11の周囲を取り囲むように配置される。
【0030】
<電子天秤>
質量測定器の一例としての電子天秤11は、略水平な設置面上に配置され、風防容器10に囲まれている。電子天秤11は、天秤本体20の上面に計量皿21を配置した電磁力平衡式の秤であって、計量皿21(計量位置)に配置された物(試料5)の質量を測定する。なお、電子天秤11は、AC−DC変換回路を介して商用電源に電気的に接続されている(図示せず)。
【0031】
図3に示すように、天秤本体20は、磁石周りのコイルから電磁力を加えられる棹を含み、コイルに流れる電流を測定する電流測定部22と、電流測定部22によって測定された電流値(アナログ電気信号)をデジタル電気信号に変換(A/D変換)する変換送信部23と、を有している。電流測定部22は、コイルに流れる電流を調整することで棹に加わる電磁力を変化させ、計量皿21に載置された物の質量と釣り合ったときのコイルの電流値を測定する。変換送信部23は、コイルの電流値をA/D変換し、デジタル処理を施すことで計量皿21に載置された物の質量を算出する。また、変換送信部23は、デジタル電気信号を外部(後述する算出装置13)に出力する機能も有している。なお、電子天秤11には電流測定部22や変換送信部23を制御する制御部(図示せず)が内蔵され、制御部は算出された質量を天秤本体20の液晶ディスプレイ等に表示する。
【0032】
<離接装置>
図1に示すように、離接装置12は、風防容器10の上面に設けられ、試料5を昇降させるための装置である。離接装置12は、駆動部30と、クランク板31と、細紐32と、を含んでいる。
【0033】
(駆動部)
駆動部30は、風防容器10の上面(上部)に設けられている。駆動部30は、給電されて回転力を生み出す駆動モータ33と、複数のギア(図示せず)で構成された減速機34と、を含んでいる。駆動モータ33は、電池を内蔵した電池ボックス(図示せず)に電気的に接続された所謂DCモータである。駆動モータ33のピニオンギア(図示せず)は、減速機34の入力ギアに噛み合っている。駆動モータ33は、電池から電力の供給を受け、複数のギアを介して減速機34の最終ギアから延びた回転軸34Aを回転させる。減速機34は、回転軸34Aを約20秒で1回転(周波数:約0.05Hz)させるように駆動モータ33の回転数を減速する。
【0034】
(クランク板)
クランク板31は、回転軸34Aから径方向に延びた板状に形成されている。クランク板31は、駆動部30の回転軸34Aに固定されており、回転軸34Aと共に回転する。
【0035】
(細紐)
連結部材の一例としての細紐32は、綿や毛等の繊維または合成樹脂を細長く引きのばした糸である。細紐32は、風防容器10の上面に開いた穴を貫通し、クランク板31の先端部(回転軸34Aから径方向外側にずれた位置)と試料5との間に架設されている。詳細には、細紐32の上端部はクランク板31の先端部にあいた穴に結び付けられ、細紐32の下端部は試料5の先端部にあいた穴に結び付けられている。試料5とクランク板31とに対する細紐32の接続部分(結び目)は、細紐32の回転を許容するように構成されている。細紐32は、クランク板31の先端部が最も低い位置にあるときには柔軟に曲がり、且つクランク板31の先端部が最も高い位置にあるときには張力が作用する長さに形成されている(図1および図4参照)。
【0036】
<算出装置>
算出装置13は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)によって構成されている。図3に示すように、算出装置13は、演算処理部40と、記憶部41と、インターフェース42と、を含んでいる。演算処理部40は、記憶部41に記憶されたソフトウェア(プログラム)やデータ等に従って演算処理を実行する。記憶部41は、演算処理部40から直接アクセス可能な主記憶装置と、ソフトウェアやデータ等を保存する補助記憶装置と、を含んでいる。記憶部41には、ソフトウェアやデータの他、演算処理部40による演算結果等も記憶されることがある。インターフェース42には、通信ケーブル43を介して電子天秤11(変換送信部23)が電気的に接続されている。なお、算出装置13は、AC−DC変換回路を介して商用電源に接続されている(図示せず)。
【0037】
算出装置13は、演算処理結果やデータ等をディスプレイ(図示せず)に表示したり、スピーカ(図示せず)から警告音を発したりする報知機能を有している。なお、請求項に言う「報知部」は、報知機能を実現するためのものであって、演算処理部40、記憶部41に記憶されたソフトウェア、ディスプレイおよびスピーカ等によって構成されている。
【0038】
[含水率連続測定方法]
次に、図1図4および図5を参照して、含水率連続測定装置1を用いて試料5の含水率を連続して測定する方法(含水率連続測定方法)について説明する。図4は含水率連続測定装置1の作用を説明する構成図である。図5は含水率連続測定方法を示すアクティビティ図(フローチャート)である。なお、含水率連続測定装置1は、含水率を把握・管理したい段ボール箱を保管している倉庫内に設置されているものとする。
【0039】
<準備>
作業者は、試料5を乾燥機で恒量に達するまで乾燥(絶乾)させ、絶乾時の試料5の質量(絶乾質量)を予め測定し、算出装置13の記憶部41に記憶しておく。つまり、この含水率連続測定方法では、試料5の絶乾質量を既知数としておく。なお、試料5が恒量に達した(絶乾した)か否かを判定する基準は、日本工業規格 JIS P 8127やJIS P 8203等の記載による。
【0040】
作業者は、含水率連続測定方法の実施前に、電子天秤11および算出装置13の電源を入れ、細紐32の先端部に接続された試料5を計量皿21に載置する(図1参照)。なお、クランク板31の先端部は最も低い位置の周辺にあるものとする(図1参照)。また、電子天秤11と算出装置13とが、互いに連動して電源ON・OFFするように構成されていてもよい。
【0041】
図5に示すように、含水率連続測定方法は、質量連続測定工程S1と、含水率連続算出工程S2と、報知工程S3と、を備えている。
【0042】
<質量連続測定工程>
質量連続測定工程S1では、離接装置12が、計量皿21に対する試料5の配置と、計量皿21からの試料5の離間と、を繰り返し行う(図1および図4参照)。具体的には、作業者が離接装置12の駆動モータ33の電源を入れると、駆動モータ33が回転軸34Aを中心にクランク板31を一方向に一定速度で回転させる(図5のS10)。なお、駆動モータ33の電源ON・OFFは、電子天秤11および算出装置13の電源ON・OFFと連動するようにしてもよい。
【0043】
クランク板31の先端部が最も低い位置またはその周辺にある場合、細紐32は弛み、試料5は計量皿21に載置されている(図1参照)。クランク板31の回転が進み、細紐32に張力が作用し始めると、試料5は上方に引っ張られて計量皿21から離れ始める。更にクランク板31の回転が進み、クランク板31の先端部が最も高い位置までくると、試料5は計量皿21から最も上方に離れた状態になる(図4参照)。また、更にクランク板31の回転が進むと、試料5が計量皿21に再び接触し、細紐32は弛んだ状態になる(図1参照)。
【0044】
以上のように、クランク板31が1回転する毎に、試料5が上下方向に1往復する。したがって、駆動部30がクランク板31を一方向に回転させることで、細紐32を介してクランク板31に繋がれた試料5が計量皿21に配置される状態と計量皿21から離間する状態との間で周期的に(一定間隔で)昇降を繰り返す。第1実施形態では、電源を切るまで(電源OFF)、駆動部30がクランク板31を一方向に回転させ続ける。具体的には、駆動部30はクランク板31を約20秒で1回転させるため、試料5は約20秒で上下方向に1往復する。
【0045】
また、質量連続測定工程S1では、電子天秤11は、計量皿21に載せられた試料5の質量を測定する(図5のS11)。試料5が計量皿21から離れた場合(図4参照)、電子天秤11は、0gまたは0g前後の質量を測定する。すなわち、電子天秤11は、計量皿21に試料5を載せている期間に質量の最大値を計測し、計量皿21から試料5を離間させている期間に質量の最小値を計測することになる。
【0046】
また、質量連続測定工程S1では、電子天秤11の変換送信部23は、デジタル電気信号に変換された質量データを算出装置13に定期的(例えば、約2秒毎(サンプリングレート:0.5Hz))に送信する(図5のS12)。なお、駆動部30はクランク板31を約20秒で1回転させるため、10個の質量データがクランク板31の1周分(試料5の上下1往復分)に相当する。
【0047】
<含水率連続算出工程>
含水率連続算出工程S2は、質量連続測定工程S1と並行して実行される。含水率連続算出工程S2では、算出装置13が、質量連続測定工程S1の1周期毎に、電子天秤11が測定した質量の最大値と最小値との差分から試料5の含水質量を算出する。なお、「質量連続測定工程S1の1周期毎」とは、「離接装置12による計量皿21に対する試料5の配置と離間の1周期毎」という意味であり、言い換えれば「クランク板31の1周毎」または「試料5の上下1往復」という意味でもある。また、試料5の「含水質量」とは、恒量に達していない(絶乾させていない)水分を含んだ試料5の質量を意味する。
【0048】
算出装置13は、質量データの受信待ち状態となっている(図5のS20でNO)。算出装置13は、電子天秤11から質量データを受信すると(図5のS20でYES)、受信した質量データの中から最大値と最小値とを選択する(図5のS21)。算出装置13(演算処理部40)は、最大値と最小値との差を計算することで試料5の含水質量を算出する(図5のS22)。なお、算出装置13(演算処理部40)は、計算結果(含水質量)を記憶部41に記録する。
【0049】
次に、含水率連続算出工程S2では、算出装置13が、含水質量と既知数である絶乾質量との差分に基づいて試料5の含水率を算出する(図5のS23)。具体的には、算出装置13(演算処理部40)は、下記の式1から含水率を算出する。
(式1) WH=(M0−M1)÷M0×100
WH:含水率(%)
M0:含水質量(g)
M1:絶乾質量(g)
また、算出装置13は、必要に応じて、算出した含水率をディスプレイに表示し、含水率を記憶部41に記録する。
【0050】
次に、報知工程S3では、算出装置13が、含水率連続算出工程S2で算出された含水率が予め設定された条件を満たしたことをユーザに報知する。具体的には、演算処理部40は、算出された含水率と、記憶部41に予め記憶された含水率上限値とを比較演算する(図5のS24)。なお、含水率上限値は、例えば、11〜13%の範囲で設定されている。算出された含水率が含水率上限値以上である場合(図5のS24でYES)、演算処理部40は、ソフトウェアに従って演算処理を行い、含水率の増加を警告するメッセージをディスプレイに表示したり、スピーカから警告音を鳴らしたりする(図5のS25)。つまり、ユーザに対して含水率が異常であることを報知(警告)する。なお、含水率が含水率上限値未満である場合(図5のS24でNO)、演算処理部40はユーザに対する報知を行わず、質量データの受信待ち状態(図5のS20)に戻る。
【0051】
以上によって、含水率連続測定方法における各工程S1,S2,S3の1サイクルが終了する。電子天秤11、離接装置12および算出装置13は、それぞれ、電源OFFにするまで、上記の各工程S1,S2,S3を繰り返して実行し、含水率を連続的(周期的)に求める。
【0052】
[検証試験]
次に、図6および図7を参照して、含水率連続測定方法の効果を確かめるために行った検証試験(比較試験)について説明する。図6は含水率連続測定方法の検証実験[1]の結果を示すグラフである。図7は含水率連続測定方法の検証実験[2]の結果を示すグラフである。
【0053】
<検証実験[1]>
含水率連続測定方法の検証試験[1]では、3つの試料5を、温度20℃、湿度50%の環境に24時間静置させた後、温度40℃、湿度70%の環境に置き、それらの試料5を用いて、以下の(1)〜(3)に示す3つの方法で含水率を測定した。
(1)絶乾法(JIS P 8127:電子天秤11で1時間おきに試料5の質量を測定した。測定終了後に絶乾質量を測定して上記の(式1)にて含水率を算出した。)
(2)第1実施形態に係る含水率連続測定方法(20秒間隔で試料5を昇降させた。)
(3)電子天秤11に試料5を載せたまま20秒間隔で質量測定する方法
図6では、上記の方法による測定結果のうち0、1、2、4、6時間経過時における測定結果を抜粋して示している。なお、前提として、絶乾法によって求められた含水率は、非常に精度が高いことが知られている。
【0054】
図6に示すように、全期間において、(2)含水率連続測定方法による含水率の測定結果は、(1)絶乾法による含水率の測定結果と近似していた。一方で、(3)の方法よる含水率の測定結果は、時間が経過するにつれて、(1)絶乾法による含水率の測定結果からの乖離が大きくなっていた。したがって、(3)の方法では、時間が経過すると電子天秤11のゼロ点がずれてしまうため、正確な資料5の質量を連続的に測定することができず、精度良く試料5の含水率を求めることができないことが確認された。これに対し、第1実施形態に係る含水率連続測定方法では、精度良く含水率を求められることが確認された。
【0055】
<検証実験[2]>
次に、含水率連続測定方法の検証試験[2]では、温度40℃で湿度が異なる(80%、90%、95%)環境に24時間静置させた2つの試料5を用いて、以下の(1)〜(3)に示す3つの方法で含水率を測定した。
(1)絶乾法(JIS P 8127)
(2)第1実施形態に係る含水率連続測定方法
(3)電気抵抗式水分計(サンコウ電子研究所製MR−200II)の使用
【0056】
図7に示すように、全ての環境下において、(1)絶乾法と(2)含水率連続測定方法とによる含水率の測定結果は近似していたが、(3)電気抵抗式水分計による含水率の測定結果は、他の2つの方法の測定結果に比べて、大きくずれていた。したがって、電気抵抗式水分計では、精度良く試料5の含水率を求めることができないことが確認された。一方で、第1実施形態に係る含水率連続測定方法では、精度良く含水率を求められることが確認された。
【0057】
以上説明した第1実施形態に係る含水率連続測定方法(含水率連続測定装置1)では、試料5が電子天秤11の計量皿21に対する配置と離間を繰り返していた。試料5が計量皿21に置かれている期間に電子天秤11が最大質量を計測し、試料5が計量皿21から離れている期間に電子天秤11が最小質量を計測していた。これにより、電子天秤11のゼロ点がずれていたとしても、最大質量と最小質量との差から正確な試料5の含水質量を求めることができる。
【0058】
また、質量連続測定工程S1の周期に連動するように、一定間隔で試料5の含水質量を求めることができる。これにより、求めた含水質量と既知の絶乾質量との差分から試料5の含水率を連続的に(一定間隔で)精度良く測定することができる。その結果、含水率連続測定装置1を設置した環境下(倉庫内)において、段ボール箱の含水率の経時的な変化を把握することができ、段ボール箱の胴膨れや潰れ(座屈)等の問題発生を事前に予測することができ、この対応策を講ずることが可能になる。
【0059】
また、第1実施形態に係る含水率連続測定方法(含水率連続測定装置1)によれば、例えば、異常に高い含水率(例えば11〜13%以上)を予め設定した条件とすることで、試料5の含水率が異常に増加したことをユーザに通知することができる。これにより、ユーザは段ボール箱に胴膨れ等の問題が発生する可能性を明確に知ることができる。
【0060】
また、第1実施形態に係る含水率連続測定装置1によれば、試料5および電子天秤11を風防容器10内に収めることで、試料5の質量測定時において風による悪影響を抑えることができる。また、離接装置12では、駆動モータ33がクランク板31を一方向に回転させるという簡単な構造で、試料5の昇降動作を繰り返すことができる。
【0061】
なお、第1実施形態に係る含水率連続測定装置1(含水率連続測定方法)では、算出装置13が、含水率連続算出工程S2において、質量連続測定工程S1の1周期毎に試料5の含水質量を測定していたが、本発明はこれに限定されない。算出装置13は、含水率連続算出工程S2において、質量連続測定工程S1の所定周期毎に、電子天秤11が測定した質量の最大値と最小値との差分から試料5の含水質量を算出すればよく、例えば、3〜4周期毎に(3〜4周期分の質量データに基づいて)試料5の含水質量を算出してもよい。なお、本明細書において、「所定周期毎」とは、ユーザが実験的または経験的に予め設定した周期であって、ユーザが希望する含水率連続測定の間隔に応じて1周期以上で自由に設定することができる。
【0062】
また、第1実施形態に係る含水率連続測定方法の報知工程S3では、算出された含水率と含水率上限値とを比較演算していたが(図5のS24)、本発明はこれに限定されない。例えば、段ボール箱の含水率が低下し過ぎると反りや罫割れ等の問題が発生するため、含水率下限値(例えば5〜6%)を記憶部41に予め記憶しておき、報知工程S3において、演算処理部40は、含水率と含水率下限値とを比較演算し、含水率が含水率下限値以下である場合にユーザに報知してもよい(図示せず)。また、例えば、報知工程S3において、演算処理部40は、含水率と含水率上限値・含水率下限値とを比較演算し、含水率が含水率上限値以上または含水率下限値以下である場合にユーザに報知してもよい(図示せず)。
【0063】
[第2実施形態]
次に、図8を参照して、第2実施形態に係る含水率連続測定装置2(含水率連続測定方法)について説明する。図8は含水率連続測定装置2の電子天秤14および算出装置13を示すブロック図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る含水率連続測定装置1(含水率連続測定方法)と同様または対応する構成(工程)については同一の符号を付し、含水率連続測定装置1(含水率連続測定方法)と同様または対応する説明は省略する。
【0064】
第2実施形態に係る含水率連続測定装置2の電子天秤14は、計量皿21から試料5を離間させる度に電子天秤14のゼロ点補正を行う補正部24を含んでいる。なお、「ゼロ点補正」とは、電子天秤14の計量皿21に何も載せていない状態で電子天秤14の表示が0(ゼロ)にすることを意味する。例えば、補正部24は、変換送信部23によって算出された質量が0gに近づき、0g前後の算出結果が所定時間(例えば0.5〜1秒程度)継続する場合に、ゼロ点補正を実行する。
【0065】
なお、計量皿21上の試料5を検知する輝度センサ等を設け、この輝度センサの出力に基づいて補正部24がゼロ点補正を実行してもよい。例えば、輝度センサは、計量皿21に試料5を載せると出力が低下し、計量皿21から試料5を離すと出力が上昇する。補正部24は、輝度センサの出力変化に基づいて試料5が計量皿21から離れたことを判定し、ゼロ点補正を実行してもよい。また、タイマー制御で、一定時間経過後にゼロ点補正を実行してもよい。
【0066】
[含水率連続測定方法]
次に、図9を参照して、含水率連続測定装置2を用いて試料5の含水率を連続して測定する方法(含水率連続測定方法)について説明する。図9は含水率連続測定方法を示すアクティビティ図(フローチャート)である。
【0067】
含水率連続測定方法は、質量連続測定工程S1と、補正工程S4と、含水率連続算出工程S2´と、報知工程S3と、を備えている。
【0068】
<質量連続測定工程>
まず、第1実施形態に係る含水率連続測定方法と同様に、質量連続測定工程S1を実行する。なお、質量連続測定工程S1において、1回目の質量測定の前に、電子天秤14はゼロ点補正されているものとする。
【0069】
<補正工程>
補正工程S4は、質量連続測定工程S1と並行して実行される。正確には、質量連続測定工程S1において駆動モータ33によってクランク板31が回転し、細紐32に張力が作用し始め、試料5が計量皿21から離れ始めると、補正工程S4が開始される。補正工程S4では、質量0g前後(例えば0g±0.1g程度)となる測定結果が所定時間(例えば0.5〜1秒程度)継続すると(図9のS13でYES)、電子天秤14の補正部24がゼロ点補正を実行し(図9のS14)、その後、試料5の質量測定(図9のS11)に戻る。なお、補正工程S4では、質量0g前後となっていない、または、質量0g前後となる測定結果が所定時間経過していない場合(図9のS13でNO)、試料5の質量測定(図9のS11)に戻る。
【0070】
<含水率連続算出工程>
含水率連続算出工程S2´は、質量連続測定工程S1および補正工程S4と並行して実行される。含水率連続算出工程S2´では、算出装置13(演算処理部40)が、質量連続測定工程S1の1周期毎に、電子天秤14が測定した質量の最大値を試料5の含水質量とし(図9のS21´)、その含水質量を記憶部41に記録する。第2実施形態に係る含水率連続算出工程S2´では、電子天秤14が試料5の質量計測前にゼロ点補正されているため、電子天秤14が測定した質量の最大値を試料5の含水質量とみなすことができる。
【0071】
また、含水率連続算出工程S2´では、算出装置13が、含水質量と既知数である絶乾質量との差分に基づいて試料5の含水率を算出する(図9のS23)。具体的には、算出装置13(演算処理部40)は上記した式1から含水率を算出し、必要に応じて、その含水率をディスプレイに表示し、含水率を記憶部41に記録する。
【0072】
<報知工程>
次に、第1実施形態に係る含水率連続測定方法と同様に、報知工程S3を実行する。
【0073】
以上によって、含水率連続測定方法における各工程S1,S4,S2´,S3の1サイクルが終了する。電子天秤14、離接装置12および算出装置13は、それぞれ、電源OFFにするまで、上記の各工程S1,S4,S2´,S3を繰り返して実行し、含水率を連続的(周期的)に求める。
【0074】
以上説明した第2実施形態に係る含水率連続測定方法(含水率連続測定装置2)では、試料5が電子天秤14の計量皿21に対する配置と離間を繰り返し、補正部24が、計量皿21から試料5を離間させる度に電子天秤14のゼロ点補正を行っていた。この構成によれば、試料5は常にゼロ点補正された電子天秤14の計量皿21に載せられるため、電子天秤14が測定した最大質量を試料5の含水質量とみなすことができる。これにより、電子天秤14は正確な試料5の含水質量を連続的に測定することができる。その結果、この含水質量と既知の絶乾質量との差分から試料5の含水率を連続的に精度良く測定することができる。
【0075】
なお、第2実施形態に係る含水率連続測定装置2では、補正部24が、電子天秤14に含まれていたが、本発明はこれに限定されない。補正部(図示せず)は、算出装置13の機能として含まれていてもよい。この場合、補正部は、演算処理部40および記憶部41に記憶されたソフトウェア等によって構成される。この補正部は、算出装置13が受信した質量データの中で最小値となるものを認識すると、試料5が計量皿21から離れたものと判断して電子天秤14にリセット信号を送信する。電子天秤14は、リセット信号を受信すると、ゼロ点補正を実行する。
【0076】
また、第2実施形態に係る含水率連続測定装置2(含水率連続測定方法)では、補正部24が計量皿21から試料5を離間させる度にゼロ点補正を行っていたが、本発明はこれに限定されない。補正部24は、補正工程S4において、質量連続測定工程S1の所定周期毎に、計量皿21から試料5を離間させた際に電子天秤14のゼロ点補正を行えばよく、例えば、3〜4周期毎に電子天秤14のゼロ点補正を行ってもよい。
【0077】
また、第2実施形態に係る含水率連続測定装置2(含水率連続測定方法)では、算出装置13が、含水率連続算出工程S2´において、質量連続測定工程S1の1周期毎に試料5の含水質量を測定していたが、本発明はこれに限定されない。算出装置13は、含水率連続算出工程S2´において、質量連続測定工程S1の所定周期毎に、電子天秤11が測定した質量の最大値を試料5の含水質量とすればよく、例えば、3〜4周期毎に(3〜4周期分の質量データに基づいて)試料5の含水質量を求めてもよい。
【0078】
なお、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、駆動部30の駆動モータ33等が、風防容器10の上面に載せられていたが、これに限らず、例えば、風防容器10の天面から吊り下げられていてもよい(図示せず)。また、駆動モータ33は、電池から電力を受けていたが、これに代えて、AC−DC変換回路を介して商用電源に接続されてもよい。
【0079】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、駆動部30が、駆動モータ33(DCモータ)と減速機34とで構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動部は、サーボモータ、ソレノイドまたはピストン・シリンダ機構等で構成されてもよい(いずれも図示せず)。
【0080】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、駆動部30がクランク板31を約20秒で1回転(試料5を1往復)させていたが、本発明はこれに限定されない。駆動部30がクランク板31を1回転(試料5を1往復)させる時間(周期)は、ユーザの希望に応じて自由に設定することができる。クランク板31を1回転させる時間を変更するには、例えば、減速機34の減速比を変更したり、駆動モータ33に供給する電流を制御したりすればよい。他にも、サーボモータを用いた場合には、算出装置13がサーボモータの出力軸(クランク板31)の回転角度を制御してもよい。
【0081】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、駆動モータ33がクランク板31を回転させ続けていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、算出装置13が駆動モータ33の駆動時間をタイマー制御して、クランク板31を1回転させる動作を、所定時間(数十秒から数十時間)が経過する度に繰り返すように設定されてもよい。つまり、試料5を1往復させる動作が間欠的に実施されてもよい。
【0082】
[第1変形例]
以上説明した第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2(含水率連続測定方法)では、離接装置12(質量連続測定工程S1)が一定間隔で試料5を昇降させていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1および第2実施形態の第1変形例に係る含水率連続測定装置1,2(含水率連続測定方法)として、離接装置12は、環境湿度の増加または減少に伴って試料5の配置と離間の周期、つまり、質量連続測定工程S1の周期を短くしてもよい。つまり、環境湿度に応じて、質量連続測定工程S1の周期を変更(調整)してもよい。この場合、離接装置12(駆動モータ33)は、算出装置13(インターフェース42)に電気的に接続され、算出装置13によって駆動制御されることが好ましい。
【0083】
クランク板31を回転させ続ける場合、駆動モータ33の回転速度を変更して質量連続測定工程S1の周期を調整する。一方、クランク板31を間欠的に回転させる場合、算出装置13が駆動モータ33の駆動時間をタイマー制御して、クランク板31を1回転させる間隔(頻度)を調整する。また、環境湿度の判定法としては、例えば、算出装置13の記憶部41に、含水率上限値(例えば11〜13%)と含水率下限値(例えば5〜6%)とを予め記憶しておき、演算処理部40が、算出した含水率と含水率上限値・含水率下限値とを比較演算する。算出装置13は、含水率が含水率上限値以上または含水率下限値以下であれば環境湿度が異常に高いまたは低いと判定する。他の判定法として、湿度を示す電気信号を出力可能な湿度計を、算出装置13(インターフェース42)に電気的に接続し、湿度計の出力に基づいて環境湿度を判定してもよい。
【0084】
以上説明した第1変形例に係る含水率連続測定装置1,2(含水率連続測定方法)によれば、環境湿度が高いまたは低い場合に質量連続測定工程S1の周期を短縮することで、試料5の含水率の経時的な変化を詳細に把握することができる。これにより、雨季等で環境湿度が高い時期や乾季で環境湿度が低い時期に、段ボール箱に発生し得る問題を抑制する対策を講ずることができる。なお、適切な環境湿度(例えば、30〜70%)である場合には、段ボール箱に胴膨れ等が発生する可能性が低いため、含水率の測定間隔(質量連続測定工程S1の周期)を長くすることで、含水率連続測定装置1,2の消費電力を削減することもできる。
【0085】
[第2変形例]
なお、第1および第2実施形態(第1変形例を含む。)に係る含水率連続測定装置1,2では、連結部材の一例として、細紐32が採用されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、他の離接装置15は、柔軟に曲がらない棒状または板状の連結部材35を有している(第2変形例)。この場合、試料5には突起部5Cが突設され、連結部材35には突起部5Cが嵌り込む長穴35Aが形成され、その長穴35Aの範囲で突起部5Cが移動するように構成することが好ましい(図10の二点鎖線参照)。
【0086】
また、第1および第2実施形態(第1および第2変形例を含む。)に係る含水率連続測定装置1,2では、細紐32や連結部材35の先端部が試料5の上部に直接接続されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、細紐32等の先端部は、試料5の上部に固定した環状の針金等を介して接続されてもよい(図示せず)。他にも、例えば、試料5を載せるトレイ(図示せず)を別途設け、細紐32等の先端部をトレイに接続してもよい。
【0087】
[第3変形例]
また、第1および第2実施形態(第1および第2変形例を含む。)に係る含水率連続測定装置1,2では、離接装置12,15が、細紐32や連結部材35で試料5を吊り下げる方式であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11に示すように、他の離接装置16は、電子天秤11,14を挟んで対向配置された複数(図11では2つ)のエアーシリンダ36(ピストン・シリンダ機構)と、複数のエアーシリンダ36に架設され、試料5を載置するプレート37と、を有している(第3変形例)。なお、図11では風防容器10の図示を省略している。また、エアーシリンダ36の数は自由に変更してもよい。
【0088】
各エアーシリンダ36は、上下方向に往復移動するピストンロッド36Aを含んでいる。プレート37は、複数のピストンロッド36Aの先端部に載せられている(または固定されている)。複数のエアーシリンダ36は複数のピストンロッド36Aを同期して昇降を繰り返すことで、プレート37は電子天秤11,14の計量皿21に載る位置と離れる位置との間で昇降を繰り返す。試料5はプレート37を介して計量皿21上に配置され、電子天秤11,14は試料5とプレート37との質量を測定する。算出装置13の記憶部41にはプレート37の質量が予め記憶されており、算出装置13は測定された質量とプレート37の質量との差分から試料5の質量を算出することができる。
【0089】
なお、第1および第2実施形態(第1〜第3変形例を含む。以下同じ。)に係る含水率連続測定装置1,2では、電子天秤11,14の変換送信部23が、A/D変換した電流値を算出装置13に送信していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、電子天秤11,14の変換送信部23は、A/D変換する前の電流値(アナログ電気信号)を算出装置13に送信し、算出装置13が受信した電流値をデジタル電気信号に変換してもよい。
【0090】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、電子天秤11,14が、測定原理として電磁力平衡式を採用していたが、これに限らず、ロードセル式または音叉式等の測定原理が採用されてもよい。また、質量測定器としては、電子天秤11,14に限らず、測定した質量を電気信号として出力可能な秤であればよい。
【0091】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、電子天秤11,14と算出装置13とが別個独立の装置であったが、これに限らず、例えば、電子天秤11,14が算出装置13の機能を備えていてもよい。つまり、算出装置13が電子天秤11,14と一体となっていてもよい。
【0092】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、離接装置12,15,16が試料5を昇降させていたが、本発明はこれに限定されない。離接装置は、計量皿21に試料5を載せたり、計量皿21から試料5を離したりできればよいのであって、試料5を把持して横方向(水平方向)に移動させる構造(ロボットアーム等)であってもよい(図示せず)。
【0093】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、算出装置13がPCで構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、算出装置13は、PCに限らず、専用のデータロガーであってもよい。また、電子天秤11,14は、算出装置13のインターフェース42に直結されていたが、これに限らず、データロガーを挟んで接続されてもよい。
【0094】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定方法は、報知工程S3を有していたが、報知工程S3は不要であれば省略することもできる。
【0095】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、風防容器10が略直方体状に形成されていたが、風防容器10の形状や大きさは、試料5や電子天秤11,14の大きさ等に応じて適宜変更してもよい。また、上記した風防容器10の底面は開放されていたが、これに限らず、風防容器10の底面は閉塞されていてもよい(図示せず)。この場合、電子天秤11,14は風防容器10の底面上に配置される。さらに、風防容器10に開口した開口部10Aの形成位置や大きさも、電子天秤11,14の操作性等を考慮して適宜変更してもよい。また、風防容器10に開口部10Aを開閉するための扉を取り付けてもよい(図示せず)。
【0096】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2では、電子天秤11,14が風防容器10に内包されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、風防容器が、電子天秤11,14に装着されてもよいし、電子天秤11,14と一体に形成されてもよい(いずれも図示せず)。また、電子天秤11,14による質量の計測結果に風の悪影響が無いのであれば、風防容器10は省略することもできる。
【0097】
また、第1および第2実施形態に係る含水率連続測定装置1,2で使用する試料5は、略角筒状に形成されていたが、これに限らず、試料5は、略U字状や略L字状に形成されてもよい。また、板状の試料5をスタンドに立てた状態で計量皿21に載せてもよい。また、試料5は、ボールシートで構成されていたが、これに限らず、板紙(厚紙)等であってもよい。すなわち、試料5は、含水率を把握・管理したい紙製品に合わせて選択すればよい。また、試料5は、含水率を把握・管理したい紙製品と同一材料を用いることが好ましいが、完全に同一材料であることを要求するものではなく、同様の吸湿特性を有するものであればよい。
【0098】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る含水率連続測定方法および含水率連続測定装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0099】
1,2 含水率連続測定装置
5 試料
10 風防容器
11,14 電子天秤(質量測定器)
12,15,16 離接装置
13 算出装置
21 計量皿(計量位置)
24 補正部
30 駆動部
31 クランク板
32 細紐(連結部材)
35 連結部材
40 演算処理部(報知部)
41 記憶部(報知部)
S1 質量連続測定工程
S2,S2´ 含水率連続算出工程
S3 報知工程
S4 補正工程
図1
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