特許第6971022号(P6971022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971022エレベータかごの移動の制御方法、及びエレベータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971022
(24)【登録日】2021年11月4日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】エレベータかごの移動の制御方法、及びエレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20211111BHJP
   B66B 3/02 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B66B5/02 X
   B66B3/02 P
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-224611(P2016-224611)
(22)【出願日】2016年11月18日
(65)【公開番号】特開2017-95281(P2017-95281A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2019年11月7日
(31)【優先権主張番号】62/257,024
(32)【優先日】2015年11月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エフ.クライン ジュニアー
(72)【発明者】
【氏名】ケネス ピー.リッテラル
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−053148(JP,A)
【文献】 米国特許第5644111(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エレベータかごが、指定された乗場に存在するかどうかを判定することと、
(b)ドアロック状態を判定することと、
(c)前記エレベータかごが、前記指定された乗場に存在するかどうか、及び前記ドアロック状態に基づき、エレベータ駆動装置をシャットダウンするように操作することと、
を備え、
前記ステップ(b)が、ドアロック機構にロック解除装置が所定の継続時間、係合しているかどうかを判定することを備えた、エレベータかごの移動の制御方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)が、乗場スイッチからの位置信号を受信するようにエレベータ駆動装置を操作することを備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の継続時間が、4秒以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シャットダウンするように操作することは、前記ドアロック機構に前記ロック解除装置が前記所定の継続時間、係合され、かつ前記かごが前記指定された乗場から離れていることを示す、乗場スイッチからの位置信号を前記エレベータ駆動装置が受信した場合に、前記エレベータかごの移動を防止するように前記エレベータ駆動装置を操作することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記シャットダウンするように操作することは無効にされない、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
乗場を含むエレベータ昇降路と、
前記エレベータ昇降路内に配置され、かつ乗場の近くに設置された乗場スイッチであって、位置信号を送信するように構成された、乗場スイッチと、
前記乗場に位置する昇降路ドアと、
前記昇降路ドアに操作可能に結合されたドアロック機構であって、ドアロック状態信号を送信するように構成された、ドアロック機構と、
前記エレベータ昇降路内に配置されたエレベータかごであって、前記エレベータ昇降路内を移動するように構成された、エレベータかごと、
前記エレベータかご、前記乗場スイッチ、及び前記ドアロック機構と通信するエレベータ駆動装置であって、前記位置信号及び前記ドアロック状態信号に基づきシャットダウン操作されるように構成された、エレベータ駆動装置と、
を備え、
前記ドアロック状態信号が、前記ドアロック機構にロック解除装置が所定の継続時間、係合しているかどうかを示す、エレベータシステム。
【請求項7】
前記位置信号が、前記乗場における前記エレベータかごの存在を示す、請求項に記載のエレベータシステム。
【請求項8】
前記所定の継続時間が、4秒以上である、請求項に記載のエレベータシステム。
【請求項9】
前記昇降路ドアに配置された開口部をさらに備え、前記開口部が、前記ドアロック機構に隣接して配置される、請求項のいずれかに記載のエレベータシステム。
【請求項10】
前記シャットダウン操作は無効にされない、請求項のいずれかに記載のエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、エレベータシステムに関し、より詳細には、昇降路へのアクセスのためにエレベータかごの移動を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータ作業者には、エレベータかごの予想外の動きに起因するエレベータシステムの保守及び設置に伴うリスクが存在し続ける。したがって、エレベータ整備士が保守を実行している間は、エレベータかごの移動を防止する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って本発明は、エレベータ昇降路へのアクセスの安全性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、エレベータかごの移動を制御する方法が提供される。方法は、エレベータかごが指定された乗場に存在するかどうかを判定し、ドアロック状態を判定し、エレベータかごが、指定された乗場に存在するかどうか、およびドアロック状態にある程度基づき、アクセス検出モードを開始することを含む。
【0005】
方法の実施形態では、エレベータかごが、指定された乗場に存在するかどうかを判定することは、乗場スイッチからの位置信号を受信するエレベータ駆動装置を操作することを含む。
【0006】
方法のいずれかの実施形態では、ドアのロック状態を判定することは、ドアロック機構が所定の継続時間、係合されているかどうかを判定することを含む。一実施形態では、所定の継続時間は、約4秒以上である。
【0007】
方法のいずれかの実施形態では、アクセス検出モードを開始することは、ドアロック機構が所定の継続時間、係合されており、かつ、かごが指定された乗場から離れていることを示す乗場スイッチからの位置信号をエレベータ駆動装置が受信した場合に、エレベータかごの移動を防止するようにエレベータ駆動装置を操作することを含む。
【0008】
いずれかの実施形態では、アクセス検出モードは無効にされない。いずれかの実施形態では、アクセス検出モードは、点検速度でエレベータかごを操作することを含む。
【0009】
一態様では、エレベータシステムが提供される。エレベータシステムは、1つの乗場を含むエレベータ昇降路と、エレベータ昇降路内に配置され乗場の近くに設置された乗場スイッチであって、位置信号を送信するように構成される乗場スイッチと、各乗場のそれぞれに位置する昇降路ドアと、昇降路ドアに操作可能に結合されたドアロック機構であって、ドアロック状態信号を送信するように構成されるドアロック機構と、エレベータ昇降路内に配置されたエレベータかごであって、エレベータ昇降路内を移動するように構成されるエレベータかごと、エレベータかごと通信するエレベータ駆動装置であって、位置信号及びドアロック状態信号にある程度基づき、アクセス検出モードを開始するように構成されるエレベータ駆動装置と、を含む。
【0010】
エレベータシステムのいずれかの実施形態では、位置信号は、1つの乗場におけるエレベータかごの存在を示す。
【0011】
エレベータシステムのいずれかの実施形態では、ドアロック状態信号は、ドアロック機構が所定の継続時間、係合しているかどうかを示すものである。一実施形態では、所定の継続時間は、約4秒以上である。
【0012】
エレベータシステムのいずれかの実施形態では、昇降路ドアは、その昇降路ドア内に配置された開口部を含み、開口部は、ドアロック機構に隣接して配置される。エレベータシステムのいずれかの実施形態では、アクセス検出モードは無効にされない。エレベータシステムのいずれかの実施形態では、アクセス検出モードは、エレベータかごを点検速度で操作することを含む。
【0013】
他の実施形態も開示される。
【0014】
本明細書に含まれる実施形態及びその他の特徴、利点及び開示、及びそれらを達成する方法は、明らかになるであろう。また、本開示は、添付の図面と併せて、本発明の様々な例示的な実施形態の以下の説明を参照することによって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施形態によるエレベータシステムの概略図である。
図2】本開示の実施形態によるエレベータ昇降路の概略図である。
図3】本開示の実施形態によるエレベータ昇降路への安全なアクセスを実行する方法の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の原理の理解を促進する目的のために、図面に示された実施形態を参照し、特定の用語が同じものを説明するために使用されるであろう。しかし、本開示の範囲の限定を意図するものではないことが理解されるであろう。
【0017】
図1は、全体を符号10で示すエレベータシステムを示す。エレベータシステム10は、ケーブルまたはベルト12、及びエレベータかご14を含む。ケーブル12は、エレベータかご14及び昇降路18の内部のカウンターウェイト16に接続されている。かご14は、一般に昇降路18の頂部の機械室22に設置されたエレベータ駆動装置20によってエレベータかご14にケーブル12を介して伝達された力により昇降路18内を昇降移動する。エレベータシステム10は、それぞれの乗場24A〜Cに配置された一組の昇降路ドア15(たとえば、図2に示す乗場24Aのドア15A)を介して乗客がエレベータかご14の乗り降りをできるようにするために複数の乗場24A〜Cで停止するように構成されている。
【0018】
図2に示すように、乗場スイッチ(landing switch)26は、乗場24Aに近接する昇降路18内に配置されている。乗場スイッチ26は、エレベータかご14が、指定された乗場(たとえば、乗場24A)に位置していることを示す、エレベータ駆動装置20への位置信号を送信するように構成されている。乗場スイッチ26は、最も低い乗場(たとえば、乗場24A)または任意の指定された乗場に配置されても良いことが理解されるであろう。乗場スイッチ26は、エレベータかご12が、指定された乗場に存在するときに、エレベータ駆動装置20に一定の電圧信号を提供する電気機械スイッチまたは感知装置であっても良いことが理解されるであろう。
【0019】
ドアロック機構28は、昇降路ドア15上に配置され、昇降路ドア15(たとえば、開または閉)の位置を示す、エレベータ駆動装置20への扉状態信号を送信するように構成されている。ドアロック機構28は、エレベータ整備士が、ドアロック機構28に隣接する昇降路ドア15に配置された開口部30内に、ロック解除装置、たとえば、エレベータドロップキーを挿入することを介して係合されても良い。したがって、エレベータの整備士は、エレベータピットまたはエレベータかご12の頂部にアクセスするために、昇降路ドア15をロック解除して開き得る。
【0020】
図3は、使用中のエレベータかご12の移動を安全に制御する方法を示す図であり、この方法は、全体を符号100で示すものである。方法は、エレベータかご12が、指定された乗場に存在するかどうかを判定するステップ102を含む。一実施形態では、エレベータかご12が指定された乗場に存在するかどうかを判定することは、乗場スイッチ26からの位置信号を受信するようにエレベータ駆動装置20を操作することを含む。
【0021】
たとえば、エレベータかご12が、乗場24Aに存在する場合、乗場スイッチ26は、エレベータかご12が存在することを示す信号をエレベータ駆動装置20に送信し得る。エレベータかご12が、乗場24Aに存在しない場合は、乗場スイッチ26は、エレベータかご12が乗場24Aから離れていることを示す、位置信号をエレベータ駆動装置20に送信し得る。いくつかの実施形態では、エレベータかごが乗場24Aから離れている場合に、乗場スイッチ26が、エレベータ駆動装置20からの一定の電圧信号を除去することによって、エレベータ駆動装置20に位置信号を送信し得ることが理解されるであろう。
【0022】
方法は、昇降路ドアの状態を判定するステップ104をさらに含む。一実施形態では、昇降路ドアの状態を判定することは、ドアロック機構28が、所定の継続時間、係合しているかどうかを判定することを含む。一実施形態では、所定の継続時間は、約4秒以上である。その他の所定の継続時間が、その他の実施形態で使用されても良いことが理解されるであろう。
【0023】
たとえば、エレベータ整備士が、ピットまたはエレベータかご12の頂部のいずれかにアクセスしようとする度に、エレベータ整備士は、ドアロック機構28を係合するために開口部30内にエレベータドロップキーを挿入する。ドアロック機構28は、昇降路ドア15がロック解除、及び開かれた可能性があることを示すドアロック信号をエレベータ駆動装置20に送信する。
【0024】
方法は、エレベータかご12が、指定された乗場に存在するかどうかや、昇降路ドアの状態にある程度基づき、アクセス検出モードを開始するステップ106をさらに含む。一実施形態では、アクセス検出モードは、ドアロック機構28が所定の継続時間、係合し、かつエレベータかご12が指定された乗場24から離れたことを示す乗場スイッチ26からの位置信号をエレベータ駆動装置20が受信した場合に、エレベータ駆動装置20をシャットダウンするように操作することを含む。
【0025】
たとえば、エレベータ整備士が、ドアロック機構28を介して、昇降路ドア15を開き、エレベータかご12が乗場24Aから離れた場合、エレベータ整備士は、エレベータかご12の制御を有していないことを示す。エレベータ整備士が、昇降路18に入ることは安全ではない可能性があり、したがって、エレベータかご12の移動を防止するためにエレベータ駆動装置20をシャットダウンする。エレベータかご12の操作を回復させるために、エレベータ整備士は、エレベータ駆動装置20でアクセス検出モードをリセットし得る。一実施例では、エレベータかご12は、アクセス検出モード中に、点検速度で操作し得る。いくつかの実施形態では、アクセス検出モードは無効にされない。エレベータ駆動装置20は、アクセス検出モードであるときに、聴覚または視覚警報システム(図示せず)を起動し得ることが理解されるであろう。
【0026】
したがって、本発明の実施形態は、エレベータかご12が、指定された乗場に存在しない場合、及び昇降路ドアロック機構が所定の継続時間よりも長く係合していた場合に、シャットダウンし、エレベータかご12の移動を防止するために、アクセス検出モードを開始することができるエレベータ駆動装置20を含むことが理解されるであろう。
【0027】
本開示は、図面及び前述の説明で、詳細に例示され説明されてきたが、これは、例示的なものとして見なすべきであって、限定的な性格のものとして見なすべきではない。特定の実施形態だけが示されて説明されていること、及び本開示の趣旨の範囲内に入るすべての変更及び修正が保護されることが望まれることを理解されたい。
【符号の説明】
【0028】
10…エレベータシステム
12…ケーブルまたはベルト
14…エレベータかご
15…昇降路ドア
16…カウンターウェイト
18…昇降路
20…エレベータ駆動装置
22…機械室
24A,24B,24C…乗場
26…乗場スイッチ
28…ドアロック機構
30…開口部
図1
図2
図3